JP2001035424A - 発光装置 - Google Patents

発光装置

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JP2001035424A
JP2001035424A JP20464999A JP20464999A JP2001035424A JP 2001035424 A JP2001035424 A JP 2001035424A JP 20464999 A JP20464999 A JP 20464999A JP 20464999 A JP20464999 A JP 20464999A JP 2001035424 A JP2001035424 A JP 2001035424A
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秀俊 齋藤
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秀雄 木下
Yoshitomo Ueda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】冷陰極素子の製造方法がスピント型素子よりも
簡単であって、発光効率の高い発光装置を得る。 【解決手段】冷陰極素子10は、部材3とゲート電極4
と区画部材6とを備えている。先ず、基板11の一方の
面に多数の突起12が形成された剣山状部材1を作製す
る。基板11はAl2 3 単結晶板であり、突起12は
酸化亜鉛である。この剣山状部材1の突起12側の表面
全体に金属薄膜2を形成することにより、多数の突起状
の電子放出体31を有する部材3を得る。突起12の先
端部は凸状になっていて、その尖鋭度(頂点部分を所定
範囲で2次曲線に近似することにより算出される値)を
示す曲率半径は10μm以下である。ガラス基板G1に
陽極D1と発光体Hを設け、発光体H側の面が電子放出
体31と対向するようにガラス基板G1を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子とし
て冷陰極素子を備えた発光装置(例えば、電界放射型デ
ィスプレイ、OA機器の光源、照明器具等)に関する。
【0002】
【従来の技術】電子放出素子と発光体を備えた発光装置
の一例として、ブラウン管が挙げられるが、その電子放
出素子としては従来より熱陰極素子が用いられてきた。
しかしながら、熱陰極素子は、熱エネルギーによって電
子を放出させるため、エネルギー効率が低いという問題
点がある。そのため、近年は、電子放出に熱エネルギー
を使用しない冷陰極素子の需要が大きくなりつつある。
【0003】電子放出素子として冷陰極素子を備えた発
光装置としては、例えば図9に示すものがある。この発
光装置では、真空の容器内に冷陰極素子10と発光体H
とが配置されている。容器を構成する2枚のガラス基板
G1,G2が所定の間隔を開けて平行に配置されてお
り、一方のガラス基板G1の内面に、電極層(陽極)D
1を介して膜状の発光体Hが形成されている。他方のガ
ラス基板G2には、電極層(陰極)D2を介して冷陰極
素子10が接合されている。
【0004】冷陰極素子10は、シリコン基板8上に、
多数のコーン状の電子放出体31が隙間を開けて並列に
配置されたものである。各電子放出体31は絶縁層60
で分離された空洞内に配置され、この絶縁層60の上
に、各電子放出体31の先端部を露出させる穴41を有
するゲート電極4が設けてある。そして、ゲート電極4
と陰極D2との間に印加された高電圧により、電子放出
体31の先端に強い電界が生じて、電子放出体31の先
端から電子が放出される。その電子が陽極D1に印加さ
れた高電圧で加速されて発光体Hに衝突することによ
り、発光体Hが発光して、ガラス基板G1から光が放射
されるようになっている。
【0005】この発光装置において、電子放出体31を
各画素に対応させて設けたものが電界放射型ディスプレ
イであり、赤、緑、青の光を出す3つの発光体を規則正
しく陽極D1上に塗布することによって、カラーディス
プレイが得られる。近年、この電界放射型ディスプレイ
についての研究開発が行われている。この発光装置の冷
陰極素子10はスピント型と称され、例えば以下のよう
にして作製される。
【0006】先ず、高導電率シリコン等からなる基板8
の上に、絶縁層60となるシリコン酸化膜を形成し、そ
の上にゲート電極4となるモリブデン膜を成膜する。次
に、このモリブデン膜の上にホールパターンを形成し、
このパターンを用いてモリブデン膜とシリコン酸化膜を
エッチングする。これにより、モリブデン膜とシリコン
酸化膜に、各電子放出体の位置に対応させた穴が形成さ
れる。次に、モリブデン膜の穴の部分に、アルミニウム
の犠牲層を斜め蒸着した後、モリブデンをシリコン酸化
膜の穴にコーン状に蒸着する。次に、アルミニウムの犠
牲層をエッチングにより除去する。
【0007】一方、従来より、多数の針状結晶を形成す
る方法として、有機金属熱分解法(以下MOCVD法と
記述する)を用いて III−V族化合物半導体、IV−VI族
化合物半導体、元素半導体のいずれか少なくとも一者か
らなる針状結晶をMOCVD法を用いて形成する方法が
行われている。しかし、この方法で得られる針状結晶は
III−V族化合物半導体、IV−VI族化合物半導体、元素
半導体のいずれか少なくとも一者からなり、金属酸化物
の形成に関しては公知の文献には教示も示唆もない。
【0008】さらに、常圧下、MOCVD法を用いて金
属酸化物を形成する方法として、例えばジャーナル・オ
ブ・ザ・セラミック・ソサイエティー・オブ・ジャパ
ン,105(1997年)第551頁から第554頁
(Journal of theCeramic So
ciety of Japan,105(1997)p
p.L551〜R554)に記載されている方法があ
る。しかし、該論文中に記載の方法では酸化チタン薄膜
が形成されるのみで、高い存在密度を有する針状結晶を
得る方法は開示されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の冷陰極素子(スピント型素子)を備えた発光装置で
は、発光装置の用途によっては、電子放出体からの電子
放出量が不十分となって十分な輝度が得られない場合が
ある。冷陰極素子の電子放出体からの電子放出量は、電
子放出体の先端部の尖鋭度が高いほど高くなると考えら
れるが、スピント型素子の電子放出体をレーザー加工等
の機械的な加工法で作製すると、先端部の尖鋭度を十分
に高くすることが困難である。前述のエッチング加工を
行う方法によれば、レーザー加工等の機械的な加工法よ
りも高い尖鋭度でスピント型素子の電子放出体の先端部
を形成することができるが、この方法は、特にコーン状
の電子放出体の形成工程が非常に煩雑である。また、上
述の針状結晶の形成方法によっても、先端部の尖鋭度が
高い針状結晶を得ることは困難である。
【0010】本発明は、電子放出素子として冷陰極素子
を備えた発光装置において、冷陰極素子の製造方法がス
ピント型素子よりも簡単であって、高い発光効率が得ら
れる発光装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、多数の突起状の電子放出体が隙間を開け
て並列に配置されている構造の冷陰極素子と発光体と
が、真空の容器内または気体が封入された容器内に配置
されていて、冷陰極素子から放出された電子線によって
発光体が発光するようになっている発光装置において、
電子放出体をなす突起は金属酸化物からなり、この突起
の先端部は凸状になっており、その頂点部分を所定範囲
で2次曲線に近似することにより算出される尖鋭度を示
す曲率半径が10μm以下であることを特徴とする発光
装置を提供する。
【0012】前記突起をなす金属酸化物が絶縁体の場合
には、突起の少なくとも先端部に導電性物質を被覆する
必要がある。突起をなす金属酸化物が導電性を有する
(金属的または半導体的な導電性を示す)場合には、必
ずしも導電性物質を被覆する必要はないが、例えば使用
する金属酸化物の導電率があまり高くない場合(半導体
的な導電性である場合)には、十分な電子放出作用を得
るために導電性物質を被覆することが好ましい。
【0013】本発明においては、電子放出体をなす突起
の凸状先端部の尖鋭度を、凸状先端部の頂点部分を所定
範囲で2次曲線に近似することにより算出される曲率半
径で表している。この尖鋭度を示す曲率半径について、
図3を用いて説明する。ここでは、突起12の基部12
aが円柱状で、先端部12bが円錐状である場合を例に
とって説明する。図3(a)はこの突起の斜視図であ
る。この突起12においては、先端部12bをなす円錐
の頂点Cと、基部12aをなす円柱の中心軸Oとが一致
している。この中心軸Oに沿った平面で突起12を切断
した面を図3(b)に示す。
【0014】図3(b)には、突起12の外形線を示す
線Eが示されるが、この線Eのうち先端部12bの頂点
C(ここでは基部の底面円の中心点と同じ)から突起1
2の幅方向(ここでは基部の底面円の半径方向)両側に
100nmの範囲Wにある部分E0 を、図3(c)に示
すように、点Cを原点とした2次曲線に近似する。そし
て、この2次曲線を表す2次方程式(y=ax2 +bx
+c)の2次の項の係数aを2倍した値の逆数(1/
(2a))を前記曲率半径とする。請求項1の「所定範
囲」は前記範囲Wを意味する。
【0015】このように高い尖鋭度(前記曲率半径が1
0μm以下)の先端部を有する金属酸化物からなる突起
は、空気中の酸素または水と反応して酸化物を形成する
金属化合物を原材料として用い、所定圧力の空気が存在
する空間に設置された基板の面に、この金属化合物の気
体および/または微粒子を向かわせて、金属酸化物を基
板面上にエピタキシャル成長させる方法によって得るこ
とができる。この場合には、基板を設置する空間の圧力
を大気圧にすることが好ましい。また、原材料として使
用する金属化合物は揮発性の高いものであることが好ま
しい。また、基板の温度を、この基板面上に向かわせる
金属化合物の気体および/または微粒子よりも高い温度
に設定することが好ましい。
【0016】この方法により、基板と金属酸化物からな
る多数の突起とで構成され、突起が基板面から垂直に延
びていて、隣り合う突起同士に隙間を有する剣山状部材
が得られる。なお、突起の断面の円換算径および配置密
度は、製造条件の設定などによって所定径および所定密
度に制御することができる。また、この方法は、前述の
スピント素子の製造方法よりも簡単である。
【0017】前記曲率半径が小さいほど尖鋭度が高くな
るため、電子放出体をなす突起の先端部の前記曲率半径
は小さいほど好ましいが、上述の方法によっても突起の
先端部の前記曲率半径を0.001μm未満にすること
は困難である。したがって、本発明の発光装置では、電
子放出体をなす突起の前記曲率半径の下限値を0.00
1μmとする。
【0018】本発明の発光装置において、電子放出体を
なす突起の横断面(突出方向(高さ方向)に垂直な断
面)の形状は円形、略円形、多角形、略多角形等、いず
れであってもよい。また、突起の横断面形状は、高さ方
向全体で同じであっても、途中で変化するものであって
もよい。ただし、少なくとも突起の先端部は上述の尖鋭
度にする必要がある。また、突起の横断面形状が途中で
変化する場合でも、隣り合う突起同士が接触しないよう
になっている必要がある。
【0019】本発明の発光装置において、前記突起の横
断面は小さいほど好ましいが、上記方法によって、横断
面の円換算径が0.01μm未満である突起を得ること
は困難である。また、突起の基部の横断面の円換算径が
10000μmを超えると、電子放出体としての作用が
十分に得られ難い。したがって、前記突起の基部の横断
面の円換算径の好ましい範囲は、高さ方向中心位置での
値で、0.01μm以上10000μm以下であり、よ
り好ましい範囲は0.01μm以上100μm以下であ
り、さらに好ましい範囲は0.1μm以上10μm以下
である。
【0020】なお、円換算径とは、例えば画像解析を利
用した従来公知の方法で測定された断面積を、円周率π
で除した値の平方根を2倍した値である。本発明の発光
装置において、突起のアスペクト比(前記円換算径に対
する突起の高さの比)は0.1以上であることが好まし
い。アスペクト比がこの範囲を外れると、電子放出体と
しての作用が十分に得られ難い。また、アスペクト比が
1.0を超えると、使用時に変形が生じる可能性が高く
なるため、1.0未満であることが好ましい。
【0021】本発明の発光装置において、突起の配置密
度は大きいほど好ましいが、上記方法によって、基板面
100μm2 当たりの配置密度が10000本を超える
突起を得ることは困難である。基板面100μm2 当た
りの配置密度が0.001本未満であると、電子放出体
としての作用が十分に得られ難い。突起の配置密度(基
板面100μm2 当たり)の好ましい範囲は0.001
本以上10000本以下であり、より好ましい範囲は
0.01本以上1000本以下であり、さらに好ましい
範囲は1本以上500本以下である。
【0022】本発明の発光装置において、突起の長さ
(突出方向の寸法、すなわち高さ)は、0.1μm以上
10000μm以下であることが好ましい。突起の長さ
が0.1μm未満であると電子放出体としての作用が十
分に得られ難く、10000μmを超えると突起の機械
的強度が著しく低下する。突起の長さのより好ましい範
囲は1μm以上1000μm以下であり、さらに好まし
い範囲は10μm以上500以下である。
【0023】本発明の発光装置において、冷陰極素子は
電子放出素子をなす多数の突起を有するものであり、全
ての突起が同一の形状で得られない場合もある。即ちア
スペクト比や長さの異なる突起物の集合体となる場合が
ある。この場合には、アスペクト比や長さの平均値を用
いる。アスペクト比の平均値は、前記剣山状部材の中心
部の200μmの断面における加重平均値で示す。ま
た、長さの平均値は、前記剣山状部材の基板面の中心部
の10μm×10μmの範囲での加重平均値で示す。
【0024】また、突起の中心軸は相互に平行であるこ
とが好ましい。突起をなす金属酸化物は単結晶であるこ
とが好ましい。突起(金属酸化物結晶)は相互に平行
に、且つ結晶軸が同一方向に存在していることが好まし
い。本発明の発光装置の突起をなす金属酸化物として
は、例えば、MgO、Al23 、In2 3 、SiO
2 、SnO2 、TiO2 、ZnO、チタン酸バリウム、
SrTiO3 、LiNiO3 、PZT、YBCO、YS
Z、YAG、ITO(In2 3 /SnO2 )等が挙げ
られる。また、ZnO中にAl2 3 がドーピングされ
ているようなものであってよい。さらに、KTaO
3 や、NbLiO3のような複合酸化物であってもよ
い。
【0025】また、二種類以上の金属酸化物を用いても
よい。その場合、突起は、混合された金属酸化物により
形成されていてもよいし、組成の異なる金属酸化物の層
が積層された状態になっていてもよい。本発明の発光装
置を作製する際には、例えば、先ず、上記方法により、
基板上に多数の突起が形成された前記剣山状部材を作製
する。次に、必要に応じて、この剣山状部材の突起の表
面に導電性物質を被覆する。導電性物質の被覆は、少な
くとも突起の先端部に設けるが、突起の表面全体に設け
てあってもよい。
【0026】突起に被覆する導電性物質としては、固有
抵抗率が10Ω/m以下、好ましくは1Ω/m以下の物
質を使用する。具体的には、銅、ニッケル、クロム、
鉄、金、銀、パラジウム、アルミニウム、亜鉛、錫、ま
たはチタン等の金属、これらの金属の合金、シリコン、
ITO(In2 3 /SnO2 )、導電性樹脂、炭素薄
膜、ダイヤモンド薄膜等が挙げられる。
【0027】突起の表面に導電性物質を被覆する方法と
しては、導電性物質を、気相や液相を通じて物理的また
は化学的に金属酸化物上に形成する方法、例えば、蒸
着、スパッタリング、ディッピング、および溶液鍍金等
の鍍金、塗布、印刷が挙げられる。また、焼き付け法
や、特公昭57−13515号公報や特開昭61−17
475号公報に記載の方法(導電性物質と金属酸化物の
間に該導電性物質の粉末または該導電性物質の主たる成
分とする粉末を介在させ、反応性または不活性な雰囲気
中で、導電性物質の融点より低い温度で加熱して熱処理
する方法)等が挙げられる。
【0028】本発明の発光装置においては、剣山状部材
の突起が倒れたり折れたりすることを防止するために、
隣り合う突起同士の隙間の基板側の部分を合成樹脂やエ
ラストマー等で埋めることが好ましい。この隙間を埋め
る材料として使用可能な材料としては、熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、エラストマー、およびシアノアクリレー
トのような瞬間接着剤等の有機物質、または、ガラスや
セラミックス等の無機物質が挙げられる。 [剣山状部材の作製方法]基板と金属酸化物からなる多
数の突起とで構成された前記剣山状部材を得るための、
上述の方法について、以下に詳述する。
【0029】この方法は、原材料である金属化合物を
気体化および/または微粒子化する工程と、気体化お
よび/または微粒子化された金属化合物を、所定圧力の
空気が存在する空間に設置された基板の面に向かわせる
工程と、この金属化合物を空気中の酸素または水と反
応させて、金属酸化物からなる多数の突起を基板面上に
エピタキシャル成長させる工程とで構成される。
【0030】原材料である金属化合物としては、空気中
の酸素または水と反応して目的とする金属酸化物が形成
されるものを使用する。このような金属化合物として
は、例えばアルコキシド類、配位子として、アセチ
ルアセトン、エチレンジアミン、ビピペリジン、ビピラ
ジン、シクロヘキサンジアミン、テトラアザシクロテト
ラデカン、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンビス
(グアニド)、エチレンビス(サリチルアミン)、テト
ラエチレングリコール、アミノエタノール、グリシン、
トリグリシン、ナフチリジン、フェナントロリン、ペン
タンジアミン、ピリジン、サリチルアルデヒド、サリチ
リデンアミン、ポルフィリン、チオ尿素などから選ばれ
る1種あるいは2種以上を有する錯体、配位子とし
て、カルボニル基、アルキル基、アルケニル基、フェニ
ルあるいはアルキルフェニル基、オレフィン基、アリー
ル基、シクロブタジエン基をはじめとする共役ジエン
基、シクロペンタジエニル基をはじめとするジエニル
基、トリエン基、アレーン基、シクロヘプタトリエニル
基をはじめとするトリエニル基などから選ばれる1種あ
るいは2種以上を有する、各種の有機金属化合物および
ハロゲン化有機金属化合物が挙げられる。
【0031】この中でも、アセチルアセトンを配位子と
して有する錯体およびアルコキシド類がより好ましく用
いられる。の工程が金属化合物を気体化する工程であ
る場合には、の工程では、蒸発圧が十分高くなる温度
に金属化合物を加熱することを行う。この加熱温度は使
用する金属化合物によって異なるが、例えば30℃以上
600℃以下、50℃以上300℃以下とする。使用す
る金属化合物が、アルコキシド類やアセチルアセトンを
配位子として有する錯体である場合には、80〜180
℃とすることが好ましい。
【0032】の工程が金属化合物を微粒子化する工程
である場合には、の工程では、金属化合物を蒸気圧が
十分高くなる温度に加熱して気体化した後、得られた金
属化合物の蒸気を冷却するか、金属化合物を液状で噴霧
するか、金属化合物を固体の状態で擦り潰すことを行
う。の工程では、系内に、酸素や水を存在させない
か、その存在量を極めて少なくしておくことが好まし
い。このようにしないと、の工程で金属化合物と酸素
または水との反応が生じ、配管に詰まりが生じたり、所
望の形態の金属酸化物が基板面上に形成されない恐れが
ある。ただし、使用する金属化合物の酸素および水との
反応速度が極めて遅い場合には、の工程で系内に酸素
や水を共存させてもよい。
【0033】の工程では、金属化合物の気体および/
または微粒子のみをそのまま基板面に向かわせてもよい
し、キャリヤガスを用いて金属化合物の気体および/ま
たは微粒子を積極的に移動させ、キャリアガスとの混合
状態でノズルから基板面に吹き付けてもよい。この場合
のキャリアガスの流量は、の工程の温度や基板を設置
する空間の雰囲気によってその最適値が異なる。
【0034】基板の設置空間が室温、常圧雰囲気である
場合には、キャリアガスの流量を、空間体積値が20/
分以下となるようにすることが好ましく、5/分以下と
なるようにすることがより好ましい。ここで、空間体積
値とは、キャリアガスの流量R(1分当たりの体積)
と、の工程で金属化合物を気体化および/または微粒
子化させる加熱槽(キャリアガスが導入される空間)の
体積Vとの比(R/V)に相当する。
【0035】キャリアガスは、原材料の金属化合物と反
応しないものであれば特に限定されない。具体例とし
て、窒素ガスやヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性
ガス、炭酸ガス、有機弗素ガス、あるいはヘプタン、ヘ
キサン等の有機物質等が挙げられる。これらのうちで、
安全性、経済性の上から不活性ガスが好ましい。特に窒
素ガスが経済性の面より最も好ましい。
【0036】キャリアガスを用いて、金属化合物をノズ
ルから基板面に吹き付ける方法を採用する場合は、ノズ
ルの吹き出し口と基板面との距離を所定範囲内とするこ
とが好ましい。この範囲は、吹き出し口の開口部の長軸
(断面が長方形である場合には長辺の長さ、正方形であ
る場合には1辺の長さ)をL、吹き出し口と基板面との
距離をKとしたときに、その比(K/L)が0.01以
上1以下となるようにすることが好ましく、0.05以
上0.7以下となるようにすることがより好ましく、
0.1以上0.5以下となるようにすることがさらに好
ましい。この比(K/L)が1を超えると、の工程で
金属化合物が金属酸化物に変換される効率が低くなる。
【0037】基板の設置空間の雰囲気は、減圧下、常圧
下、あるいは加圧下のいずれでもよい。しかしながら、
高度な減圧下、例えば超真空下であると、酸化物単結晶
の成長速度が遅く、生産性に劣るため好ましくない。加
圧下で実施する場合、酸化物単結晶のの成長速度に関し
ては問題ないが、加圧するための設備が必要となって好
ましくない。したがって、基板の設置空間の雰囲気は、
0.001〜20atmとすることが好ましく、0.1
〜10atmとすることがより好ましく、常圧とするこ
とが最も好ましい。
【0038】の工程で使用する基板をなす材料として
は、例えば、酸化アルミニウムのような金属酸化物の単
結晶、半導体の単結晶、セラミック、シリコンを含む金
属、ガラス、プラスチックが挙げられる。ガラス板やプ
ラスチック板を使用する際は、表面が配向処理されてい
るものが好ましい。これらの中で好ましく用いられる基
板材料は、シリコンを含む金属、金属酸化物、及びZn
Te、GaP、GaAs、InP等の半導体単結晶であ
る。
【0039】金属酸化物や半導体の単結晶からなる基板
を使用する場合には、基板の単結晶種として、その格子
定数が、基板面上にエピタキシャル成長させる金属酸化
物(突起)の結晶種の格子定数と近いものを選択するこ
とが好ましい。格子定数の測定は、広角X線回折法等の
従来公知の方法で行うことができる。基板をなす単結晶
種としては、突起をなす単結晶種の基板との接触面の格
子定数(A)と、基板をなす単結晶種の突起との接触面
の格子定数(B)との比(A/B)が、0.8以上1.
2以下となるものを選択することが好ましい。この比
(A/B)が0.9以上1.1以下となるものを選択す
ることがさらに好ましく、0.95以上1.05以下と
なるものを選択することが特に好ましい。
【0040】基板をなす単結晶種として特に好ましく用
いられるものは、シリコンや、酸化アルミニウム、酸化
マグネシウム、SrTiO3 等の金属酸化物である。基
板は、一種類以上の単結晶からなるものであっても、多
結晶からなるものであってもよい。非晶部と結晶部を同
時に有する一種類以上の半結晶性物質からなるものであ
ってもよい。また、これらの混合物であってもよい。し
かしながら、一種類の単結晶からなるものが最も好まし
い。
【0041】この場合、基板の表面は単結晶の特定の面
になっていることが好ましい。具体的には、例えば、基
板面上にエピタキシャル成長させる金属酸化物が酸化チ
タンであって、基板が酸化マグネシウム基板である場合
には、基板表面の結晶面を(100)面とすることが好
ましい。また、基板面上にエピタキシャル成長させる金
属酸化物が酸化亜鉛であって、基板がシリコン基板であ
る場合には、基板表面の結晶面を(111)面とするこ
とが、基板が酸化アルミニウム基板である場合には基板
表面の結晶面を(0001)面とすることが、基板がS
rTiO3 基板である場合には基板表面の結晶面を(0
01)面とすることが好ましい。
【0042】の工程で基板面上に形成される金属酸化
物の状態は、主に、基板温度と原材料である金属化合物
の過飽和度によって決定される。基板温度は原材料の基
板面での拡散距離を決定する因子であり、この拡散距離
によって単位面積当たりの金属酸化物結晶の数、すなわ
ち核生成密度が決定される。一般に、基板温度が高いと
核生成密度は小さくなって、単位面積当たりの金属酸化
物結晶の数が小さくなる。基板温度が低いと核生成密度
は大きくなって、単位面積当たりの金属酸化物結晶の数
が大きくなる。したがって、基板温度は、必要とする突
起の形成密度に応じて設定すればよい。この基板温度と
しては、例えば、0℃以上800℃以下が好ましく、2
0℃以上800℃以下がより好ましく、100℃以上7
00℃以下がさらに好ましい。
【0043】金属化合物の過飽和度は結晶晶癖を決定す
る因子であり、この結晶晶癖で金属酸化物結晶の径およ
び長さ、すなわちアスペクト比が決定される。一般に、
過飽和度が低いと、金属酸化物結晶は、基板面に垂直な
方向よりも水平な方向に成長する傾向にあるため、アス
ペクト比が小さくなる。過飽和度が高いと、金属酸化物
結晶は、基板面に水平な方向よりも垂直な方向に成長す
る傾向にあるため、アスペクト比が大きくなる。
【0044】金属酸化物結晶のアスペクト比を1以上と
するためには、過飽和度を1%以上とすることが好まし
い。また、この過飽和度は10%以上とすることがより
好ましく、20%以上とすることがさらに好ましい。こ
の場合の過飽和度の定義は、[(実際の蒸気圧−平衡蒸
気圧)/平衡蒸気圧]×100である。の工程で、金
属化合物を空気中の酸素または水と反応させて、金属酸
化物からなる多数の突起を基板面上にエピタキシャル成
長させるための最適な反応時間は、反応条件や使用する
原材料の種類に応じて異なる。例えば、原材料として亜
鉛アセチルアセトネートを用いた場合は、通常の室温、
常圧雰囲気下では10分以上とすることが好ましい。さ
らに好ましくは30分以上、特に好ましくは1時間以上
である。また、原材料としてテトライソプロポキシチタ
ネートを用いた場合は、通常の室温、常圧雰囲気下では
3分以下とすることが好ましく、90秒以下とすること
がさらに好ましい。
【0045】金属酸化物が基板面上でエピタキシャル成
長しているかどうかは、通常のX線回折法により確認す
ることができる。特に、基板と突起(金属酸化物結晶)
との面内方位関係を、φスキャン法で観察する方法を採
用することが好ましい。金属酸化物結晶の結晶軸が同一
方向にある(結晶軸方位が揃っている)ことが好まし
い。例えば、X線ロッキング曲線法において測定される
結晶軸方位のゆらぎが10度以内であることが好まし
く、5度以内であることがさらに好ましい。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。図1は、本発明の一実施形態に相当する発光
装置を示す断面図である。図2はこの発光装置の冷陰極
素子を示す平面図であって、図1の冷陰極素子の部分は
図2のA−A線断面図に相当する。
【0047】この発光装置では、真空の容器内に冷陰極
素子10と発光体Hとが配置されている。容器を構成す
る2枚のガラス基板G1,G2が、所定の間隔を開けて
平行に配置されており、一方のガラス基板G1の内面
に、電極層(陽極)D1を介して膜状の発光体Hが形成
されている。他方のガラス基板G2には、電極層(陰
極)D2を介して冷陰極素子10が接合されている。ま
た、ゲート電極(陽極)4と冷陰極素子10側の電極層
(陰極)D2との間に電源B1が、冷陰極素子10側の
電極層(陰極)D2と発光体H側の電極層(陽極)D1
との間に電源B2がそれぞれ接続されている。
【0048】冷陰極素子10は、多数の突起状の電子放
出体31を有する部材3として、剣山状部材1の突起1
2側の表面全体に金属薄膜2が被覆された部材を備えて
いる。この冷陰極素子10は、さらに、電子放出体31
の先端部を露出させる穴41を有するゲート電極4と、
電子放出体31を複数個毎に区分する空洞61を形成す
る区画部材6とを備えている。
【0049】この冷陰極素子10は、以下のようにして
作製される。先ず、以下のようにして剣山状部材1を得
る。この剣山状部材1は、基板11と多数の突起12と
からなり、基板11の一方の面から多数の突起12が垂
直に延びている。また、隣り合う突起12が接触してい
ないため、隣り合う突起12同士に隙間がある。基板1
1はAl2 3 単結晶板からなり、突起12は酸化亜鉛
からなる。
【0050】この剣山状部材1は、図4に示すような製
造装置を用い、基板11の一方の面に金属酸化物からな
る突起12を、所定条件でエピタキシャル成長させるこ
とによって得られる。この製造装置は、キャリアガスで
ある窒素の供給源51と、キャリアガスの流量を調整す
る流量計52と、原材料である金属化合物を気化する加
熱槽53と、キャリアガスを加熱槽53に導入する配管
54と、加熱槽53で気化された金属化合物を基板11
に向かわせる配管55と、基板11を加熱状態で保持す
る基板ステージ56とで構成されている。配管54には
液体窒素トラップ57が設けてある。この液体窒素トラ
ップ57は、供給源51から供給されたキャリアガス中
に含まれる液体窒素を除去するものである。
【0051】配管55の先端部には所定形状の吹き出し
口58が接続してあり、この吹き出し口58の開口部5
8aは、配管55からの気体が、基板11の突起12を
形成する面全体に吹き出されるように形成されている。
また、配管55および吹き出し口58はリボンヒータで
加熱されている。基板ステージ56は、吹き出し口58
と基板11の面との距離Kが、吹き出し口の開口部58
aの長軸Lに対する比(K/L)で0.6となるように
配置されている。
【0052】吹き出し口58および基板ステージ56を
常温の実験室内に配置し、吹き出し口58と基板ステー
ジ56との間の空間を大気圧とした。基板11は、一方
の面が結晶面(0001)に沿うように形成されたもの
であり、この面を上に向けて基板ステージ56に設置し
た。この基板11を基板ステージ56で550℃に加熱
するとともに、加熱槽53内に亜鉛アセチルアセトネー
トを入れて115℃に加熱した。この状態で、供給源5
1から配管54に窒素を1.2dm3 /minで供給す
ることにより、金属化合物の気体と窒素ガスとの混合気
体を、配管55を介して吹き出し口58から基板11の
面に吹き付けた。
【0053】これにより、原材料である金属化合物は、
基板11面上およびその近傍で、空気中の酸素または水
と反応して金属酸化物となり、この金属酸化物が基板1
1面上にエピタキシャル成長する。その結果、基板11
の一方の面上に多数の突起12が垂直に延びている剣山
状部材1が得られる。このようにして得られた剣山状部
材1は、混合ガスの吹き付け時間を10分とした場合、
突起12の長さが1μm、突起12の断面の円換算径が
2μm、断面の円換算径に対する長さの比が0.5とな
った。また、得られた剣山状部材1の電子顕微鏡写真を
図5に示す。この図から、突起12の先端は略円錐状に
なっていることが分かる。
【0054】次に、このようにして得られた剣山状部材
1の突起12側の表面に、スパッタリング法により例え
ばニッケル等の金属薄膜2を形成することにより、部材
3を得る。次に、導電性材料からなる板材に、この部材
3の各突起12の位置に対応させた穴41を形成するこ
とにより、ゲート電極4を得る。次に、このゲート電極
4の一方の面に、電子放出体31を複数個毎に区分する
区画部材6を固定する。この区画部材6は絶縁性材料で
形成する。
【0055】次に、この区画部材6を部材3の金属薄膜
2側の面に固定する。このとき、区画部材6が突起12
同士の隙間に配置されるようにする。この区画部材6に
より、ゲート電極4と部材3との間に、電子放出体31
を複数個毎に区分する空洞61が形成される。次に、ガ
ラス基板G2の一方の面にスパッタリング法等によって
導電性膜を成膜することにより、電極層D2を形成す
る。このガラス基板G2の電極層D2側の面に、冷陰極
素子10の基板11の裏面を接合する。また、金属薄膜
2と電極層D2とを導電性ペースト等によって接続す
る。ガラス基板G1の一方の面には、スパッタリング法
等によって導電性膜を成膜することにより電極層D1を
形成した後、この電極層D1側の面に蛍光体を塗布する
ことにより膜状の発光体Hを形成する。
【0056】次に、電極層D1と発光体Hが形成された
ガラス基板G1と、冷陰極素子10が一体化されたガラ
ス基板G2とを、発光体H側および冷陰極素子10側を
内側にして、発光体Hとゲート電極4との間に所定の間
隔を開けて平行に配置する。その状態で側面部全体を枠
部材で囲い、内部を真空にして密封する。したがって、
この発光装置の電源B1,B2から、陰極D2とゲート
電極(陽極)4および陽極D1との間にそれぞれ高電圧
を印加することにより、電子放出体31の先端に強い電
界が生じて電子放出体31の先端から電子が放出され、
その電子が加速されて発光体Hに衝突することにより発
光体Hが発光する。その結果、陽極D1が透明電極であ
れば、ガラス基板G1から光が放射される。また、この
発光装置の冷陰極素子10は、従来のスピント素子と比
較して、突起状の電子放出体の形成方法が簡単であるた
め、製造コストを低減することができる。
【0057】なお、この実施形態では、剣山状部材1を
形成する際の基板11としてAl23 単結晶板を用
い、この基板11の上に酸化亜鉛の突起12をエピタキ
シャル成長させている。このように、基板11の材質
は、成長させる突起12と異なるものであってもよい
し、同じであってもよい。また、この実施形態の発光装
置はゲート電極4を有する構成になっているが、用途に
よってはゲート電極4を設ける必要がない。
【0058】また、この実施形態の発光装置では、発光
体Hをガラス基板G1の内側面に設けることにより、発
光面を平面にしているが、発光面は曲面であってもよ
い。また、この実施形態の発光装置では、電子放出体3
1を平面基板11から突出させて、基板11と発光面と
を平行に配置しているが、電子放出体31は曲面状に配
置されていてもよい。
【0059】しかしながら、この実施形態のように、平
面状の発光面と平面状に配置された電子放出体31とが
平行に配置されている発光装置とすることが好ましい。
そして、この場合に、発光面の対角線の長さの、電子放
出体31の先端位置と発光体Hとの距離(図7の距離D
に相当する距離)に対する比が大きいほど、発光効率が
高くなるため好ましい。
【0060】また、この実施形態の発光装置で陽極D1
を透明電極とすれば、電子放出体31が形成されている
側(ガラス基板G2側)ではなくこれに対向する側(ガ
ラス基板G1側)から光が放射されるが、電子放出体3
1が形成されている側から光が放射されるようになって
いてもよい。また、本発明の発光装置は、従来の各種発
光デバイスに代わるものとして使用することができる。
その用途としては、磁気コアメモリー、光電変換デバイ
ス、照明、コピー機、ファックス等の光源やバックライ
ト、サイドライト等の光源、各種ディスプレイ等が挙げ
られる。特に、光源やディスプレイ等の用途に好適であ
る。
【0061】ディスプレイとしては、液晶ディスプレイ
(LCD)、分散粒子配向型ディスプレイ(SPD)、
プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッ
センス(ELD)、蛍光表示管ディスプレイ(VF
D)、ブラウン管ディスプレイ(CRT)等があり、本
発明の発光装置はこれらの代替品とすることができる。
また、これらのディスプレイの電子放出素子として、金
属酸化物からなる突起を電子放出体として有するもの、
すなわち前述の剣山状部材1を使用することもできる。
【0062】
【実施例】[実施例1]前記部材3の電子放出特性を以
下のようにして測定した。先ず、前記と同じ条件で、A
2 3 単結晶板からなる基板11の上に、酸化亜鉛か
らなる突起12を形成することにより、剣山状部材1を
作製した。得られた剣山状部材1の、基板11面に対す
る突起12の配置密度は200万本/mm 2 (100μ
2 当たり200本)であった。また、突起12の長さ
は1μm、突起12の断面の円換算径は2μm、断面の
円換算径に対する長さの比は0.5であった。次に、こ
の剣山状部材1をスパッタリング試料とするために、図
6に示すように、剣山状部材1の基板11の裏面にシリ
コン基板71を両面テープで貼り付けた。
【0063】この試料をスパッタリング装置に入れて、
剣山状部材1側の面に金属薄膜2を形成した。スパッタ
リング装置としては、日電アネルバ(株)製「SPF−
332」を使用した。スパッタリング条件は、Ar雰囲
気、圧力0.1torr、スパッタリング時間4時間と
し、金属薄膜2としてニッケル薄膜を形成した。この金
属薄膜2は、剣山状部材1の突起12側の表面全体と、
基板11の端面およびシリコン基板71の表面に形成さ
れた。
【0064】この金属薄膜2を形成した後に剣山状部材
1のSEM写真を撮り、その写真を用いて、金属薄膜2
形成後の突起12について、凸状先端部の尖鋭度を示す
前述の曲率半径を算出したところ、その値は1.5μm
であった。次に、この試料のシリコン基板71の裏面
に、シリコン基板71より外形寸法の大きな銅製の電極
板72を取り付けて、この電極板72をアースに接続し
た。次に、この電極板72のシリコン基板71より外側
となる部分に、シリコン基板71の外形寸法より一回り
大きな寸法の貫通穴73aを有するシリコン製のスペー
サ73を取り付けた。次に、この貫通穴73aとシリコ
ン基板71との隙間を導電性ペースト74で塞ぐことに
より、金属薄膜2と電極板72を電気的に接続した。
【0065】このスペーサ73およびシリコン基板71
の上に、剣山状部材1の周囲を囲むようにシリコン製の
スペーサ75を取り付けた。このスペーサ75の高さ
は、取り付けたときに、部材3の電子放出体31の上方
に所定寸法の空間76が形成される高さとした。次に、
絶縁フィルム77の中心部に正方形の切り抜き部77a
を設けた後、この絶縁フィルム77を、銅製の電極板7
8の一方の面に貼りつけた。
【0066】次に、この電極板78を、絶縁フィルム7
7側の面を下側にしてスペーサ75の上に載せることに
より、電極板78の絶縁フィルム77で覆われていない
部分(切り抜き部)77aと電子放出体31とを対向さ
せた。この電極板78を陽極に接続した。これにより、
部材3を陰極とする回路が形成された。図6はこの回路
を示す。ここでは、切り抜き部77aをなす正方形の一
辺を2mmとし、電子放出体31の先端と電極板78と
の距離Dを0.5mmとした。
【0067】この回路を真空チャンバ内に入れ、チャン
バ内圧力を6×10-6torrにした。この回路の陽極
とアースの間に電流電圧計と高圧電源を取り付け、高圧
電源から電圧を印加してこの回路に流れる電流を測定し
た。その結果、陽極−アース間の電位差が3kVの時に
部材3からの放出電流は0.4μAであり、4kVの時
には3μAであった。
【0068】次に、図7に示す回路を作製して、この発
光装置の発光特性を測定した。先ず、ITO薄膜からな
る透明電極91が一方の面に形成されているガラス基板
92を用意し、このガラス基板92のITO電極91側
の面に、スパッタリング法により発光体膜93を形成し
た。このスパッタリングは、スパッタリング装置として
日電アネルバ(株)製「SPF−332」を用い、ター
ゲットとして日亜化学工業(株)製の蛍光体「NP−1
024−01(商品名)」を用い、Arガス雰囲気、雰
囲気圧0.1torr、成膜時間15分間の条件で行っ
た。
【0069】次に、このガラス基板92を、図6の回路
(部材3の電子放出特性の測定用回路)の絶縁フィルム
77と電極板78の代わりに、発光体膜93側の面を部
材3と向き合わせてスペーサ75の上に載せて、ITO
電極91を陽極に接続した。ここでは、部材3の電子放
出体31の先端と発光体膜93との距離Dを0.5mm
とした。
【0070】この回路を真空チャンバ内に入れ、チャン
バ内圧力を6×10-6torrにした。この回路の陽極
とアースの間に電圧計と高圧電源を取り付け、高圧電源
から電圧を印加し徐々に電圧を上げたところ、陽極−ア
ース間の電位差が2kVを越えた段階で、発光体膜93
の発光が観察された。 [実施例2]実施例1で得られた剣山状部材1に、金属
薄膜2として、ニッケル薄膜をスパッタリング時間を1
2分にして形成した。この金属薄膜2を形成した後に剣
山状部材1のSEM写真を撮り、その写真を用いて、金
属薄膜2形成後の突起12について、凸状先端部の尖鋭
度を示す前述の曲率半径を算出したところ、その値は
0.4μmであった。
【0071】これ以外の点は実施例1と同じ方法で、図
6および7の回路を作製した。図6の回路を用いて、上
記と同じ方法で放出電流を測定したところ、陽極−アー
ス間の電位差が3kVの時に部材3からの放出電流は6
μAであり、4kVの時には40μAであった。また、
図7の回路を用いて、上記と同じ方法で高圧電源から電
圧を印加したところ、陽極−アース間の電位差が1.5
kVを越えた段階で、発光体膜93の発光が観察され
た。 [比較例1]実施例1で得られた剣山状部材1に、金属
薄膜2として、ニッケル薄膜をスパッタリング時間を1
6時間にして形成した。この金属薄膜2を形成した後に
剣山状部材1のSEM写真を撮り、その写真を用いて、
金属薄膜2形成後の突起12について、凸状先端部の尖
鋭度を示す前述の曲率半径を算出したところ、その値は
12μmであった。
【0072】これ以外の点は実施例1と同じ方法で、図
6および7の回路を作製した。図6の回路を用いて、上
記と同じ方法で放出電流を測定したところ、陽極−アー
ス間の電位差が3kVの時に部材3からの放出電流は
0.02μAであり、4kVの時には0.15μAであ
った。また、図7の回路を用いて、上記と同じ方法で高
圧電源から電圧を印加したところ、陽極−アース間の電
位差が6kVを越えた段階でも、発光体膜93の発光が
観察されなかった。
【0073】実施例1,2および比較例1の部材3は、
同じ剣山状部材1の突起12にスパッタリング時間を変
えてニッケル薄膜(金属薄膜)2をスパッタリングする
ことにより、突起12の先端部の形状が異なるものとな
っている。図8(a)は実施例1の部材3の断面図を、
(b)は実施例2の部材3の断面図を、(c)は比較例
1の部材3の断面図をそれぞれ示す。このように、突起
2の少なくとも先端部に導電性物質を被覆する場合に
は、導電性物質の形成条件によって突起12の先端部の
尖鋭度を制御することもできる。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
発光効率の高い発光装置が得られる。特に、請求項3お
よび4によれば、冷陰極素子の製造方法がスピント型素
子よりも簡単であって、発光効率の高い発光装置が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に相当する発光装置を示す
概略構成図である。
【図2】図1の発光装置を構成する電子放電素子を示す
平面図である。
【図3】電子放出体をなす突起の凸状先端部の尖鋭度を
示す曲率半径を説明するための図である。
【図4】剣山状部材を製造するための製造装置を示す概
略構成図である。
【図5】実施形態で得られた剣山状部材の突起の結晶構
造を示す図面代用写真である。
【図6】電子放出特性を測定するために作製した回路を
示す概略構成図である。
【図7】発光特性を測定するために作製した回路を示す
概略構成図である。
【図8】実施例1,2および比較例1で作製された、多
数の電子放出体を備えた部材を示す断面図である。
【図9】発光装置の従来例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
H 発光体 G1 ガラス基板(容器) G2 ガラス基板(容器) 1 剣山状部材 2 金属薄膜 3 多数の電子放出体を備えた部材 4 ゲート電極 6 区画部材 10 冷陰極素子 11 基板 12 突起 12a 突起の基部 12b 突起の凸部 31 電子放出体 51 窒素の供給源 52 流量計 53 加熱槽 54 配管 55 配管 56 基板ステージ 57 液体窒素トラップ 58 吹き出し口 58a 開口部 61 空洞
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04N 5/68 H01J 1/30 F (72)発明者 植田 致知 神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目3番1号 旭化成工業株式会社内 Fターム(参考) 5C031 DD09 DD17 DD19 5C036 EE01 EG12 EH01 EH11 EH23 5C039 MM09 5C058 AA03 AA05 AB06 BA05 BA35 CA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の突起状の電子放出体が隙間を開け
    て並列に配置されている構造の冷陰極素子と発光体と
    が、真空の容器内または気体が封入された容器内に配置
    されていて、冷陰極素子から放出された電子線によって
    発光体が発光するようになっている発光装置において、 電子放出体をなす突起は金属酸化物からなり、この突起
    の先端部は凸状になっており、その頂点部分を所定範囲
    で2次曲線に近似することにより算出される尖鋭度を示
    す曲率半径が10μm以下であることを特徴とする発光
    装置。
  2. 【請求項2】 前記突起の少なくとも先端部に導電性物
    質が被覆されていることを特徴とする請求項1記載の発
    光装置。
  3. 【請求項3】 前記突起は、空気中の酸素または水と反
    応して酸化物を形成する金属化合物を原材料として用
    い、所定圧力の空気が存在する空間に設置された基板の
    面に、この金属化合物の気体および/または微粒子を向
    かわせて、金属酸化物を基板面上にエピタキシャル成長
    させることによって得られたものであることを特徴とす
    る請求項1または2記載の発光装置。
  4. 【請求項4】 基板を設置する空間の圧力は大気圧であ
    ることを特徴とする請求項3記載の発光装置。
  5. 【請求項5】 前記突起は、高さ方向中心位置での横断
    面の円換算径が0.01μm以上10000μm以下で
    あり、アスペクト比(前記円換算径に対する高さの比)
    が0.1以上であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載の発光装置。
  6. 【請求項6】 前記突起の配置密度は100μm2 当た
    り0.001本以上10000本以下であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
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