JPH08203672A - 薄膜電場発光素子の製造方法および製造装置 - Google Patents

薄膜電場発光素子の製造方法および製造装置

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JPH08203672A
JPH08203672A JP7011301A JP1130195A JPH08203672A JP H08203672 A JPH08203672 A JP H08203672A JP 7011301 A JP7011301 A JP 7011301A JP 1130195 A JP1130195 A JP 1130195A JP H08203672 A JPH08203672 A JP H08203672A
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hydrogen sulfide
light emitting
emitting layer
sulfide gas
nozzle
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Yukihiro Maruta
幸寛 丸田
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】発光輝度に優れるアルカリ土類金属硫化物を発
光母体とする薄膜電場発光素子の製造方法を得る。 【構成】チャンバの外部からの硫化水素ガスを、ノズル
33を介してチャンバ31内に載置された基体1の近傍
に供給する工程と、所定の温度に加熱された基体1上
に、蒸発源20の近傍を排気しながら蒸発源20からの
蒸発物質を蒸着させて発光層を形成する工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフルカラー、マルチカラ
ー薄膜電場発光素子の製造方法および製造装置に係り、
特に発光輝度に優れる発光層の製造方法および製造装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜電場発光素子は、平板で薄く大面積
形状の表示パネルができるので、文字表示から図形表
示、画像表示と幅広い用途が期待され近年脚光を浴びて
いる。特に二重絶縁型電場発光素子の開発(SID 74 Dig
est of Technical Papers 1974、Journal of Electroch
emical Society, 114 , 1066,1967)により、輝度及び寿
命が飛躍的に向上し、薄膜電場発光素子は薄型ディスプ
レイに応用されるようになり、黄橙色発光のモノクロデ
ィスプレイについては市販されるまでになった。
【0003】薄膜電場発光素子の発光色は、発光層を構
成する硫化亜鉛ZnS や硫化ストロンチウムSrS などの半
導体母体と、添加される発光中心の組合せできまり、例
えば黄橙色の発光は硫化亜鉛ZnS 母体に発光中心として
Mnを添加すると得られる。発光層の成膜方法としては、
抵抗加熱蒸着法,電子ビーム蒸着法,スパッタ法,MO
CVD法,ALE法などが用いられる。フルカラーある
いはマルチカラーの薄型ディスプレイに薄膜電場発光素
子を応用する場合、赤,緑,青の三原色を発光する薄膜
電場発光素子または白色を発光する薄膜電場発光素子と
カラーフィルターとを組み合わせたものが必要となる。
このため、各色を高輝度に発光する薄膜電場発光素子の
開発に多くの努力が払われている。
【0004】例えば、赤色薄膜電場発光素子は特開昭63
-299094 号公報, 特開平2-225589号公報などに、青色薄
膜電場発光素子は特開昭63-274091 号公報, 特開昭64-2
298号公報, 特開平1-217885号公報, 特開平1-280795号
公報, 特開平2- 56896号公報, 特開平3- 11591号公報,
特開平4-196088号公報, 特開平5-65478 号公報などに、
また白色薄膜電場発光素子は特開昭62- 74986 号公報,
特開平1-95182 号公報, 特開平2-66872 号公報, 特開平
2-98092 号公報, 特開平2-242548号公報, 特開平3-1677
83号公報, 特開平4-202285号公報などに開示がみられ
る。このようなカラー薄膜電場発光素子を開発するにあ
たり、アルカリ土類金属硫化物なかでも硫化ストロンチ
ウムSrS は母体物質として有望であり、発光中心として
Ceを添加したときには青緑色に、Euを添加したときには
赤色に、CeとEuを同時に添加したときには白色に発光す
ることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在実
用レベルの輝度に達しているものはマンガンを硫化亜鉛
ZnS にドーブしたZnS:Mnによる黄橙色発光のもののみで
あり、硫化ストロンチウムSrS では高い輝度が得られな
いという問題があった。従来、硫化ストロンチウムSrS
を母体とする発光層は例えばストロンチウムSrや硫黄S
をそれぞれ蒸発させて基板上に硫化ストロンチウムSrS
の結晶を析出して製作していた。
【0006】硫化ストロンチウムSrS は蒸着の過程で蒸
気圧の高い硫黄が結晶から抜けやすいために化学量論組
成から外れた組成となり、硫黄空孔などの結晶欠陥によ
り電子の加速が阻害されて薄膜電場発光素子の輝度が低
くなるものである。この発明は上述の点に鑑みてなさ
れ、その目的は発光層の成膜時における硫黄の離脱を防
止して発光輝度に優れるアルカリ土類金属硫化物発光層
の製造方法を提供し併せてその製造装置を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的は第一の発明
によれば発光中心となる物質を含むアルカリ土類金属硫
化物を発光層とする薄膜電場発光素子の製造方法であっ
て、第一の工程と第二の工程を有し、第一の工程はチャ
ンバの外部からの硫化水素ガスを、ノズルを介してチャ
ンバ内に載置された基体の近傍に供給する工程であり、
第二の工程は所定の温度に加熱された基体上に、蒸発源
近傍を排気しながら蒸発源からの蒸発物質を蒸着させて
発光層を形成する工程であるとすることにより達成され
る。
【0008】上述の発明において発光層を形成した直後
に硫化水素ガス雰囲気中において発光層成膜時に用いた
基体温度以上の温度で発光層の熱処理を行うとすること
が有効である。第二の発明によればチャンバ内に基体
と、ノズルと、蒸発源とを有し、チャンバは第一の排気
系により排気されるものであり、基体はヒータを介して
所定の温度に加熱されるものであり、ノズルはヒータを
有して内部を通流する硫化水素ガスを加熱するととも
に、加熱された硫化水素ガスを基体の近傍に供給するも
のであり、蒸発源は給電線を介してヒータにより加熱さ
れるとともに近傍に第二の排気系を有するとすることに
より達成される。
【0009】上述の発明においてチャンバまたは前記排
気系はトラップを備えるとすること、給電線はセラミッ
クスの絶縁被覆を備えるとすることまたはノズルは硫化
水素ガス分解装置を備えるとすることが有効である。硫
化水素ガス分解装置としては熱分解フィラメント,高周
波放電電極または紫外線ランプが用いられる。
【0010】
【作用】第一の工程においてノズルを介してチャンバ内
に載置された基体の近傍に硫化水素ガスを供給し、第二
の工程において所定の温度に加熱された基体上に、蒸発
源近傍を排気しながら蒸発源からの蒸発物質を蒸着させ
て発光層を形成すると、基体の近傍の硫化水素ガス濃度
は高くなりその他の領域の硫化水素ガス濃度は低くな
る。その結果気相中での硫化物生成反応が減り、基体表
面で硫黄の格子欠陥の少ない硫化物生成反応が促進され
る。
【0011】発光層を形成した後に硫化水素ガス雰囲気
中において発光層成膜時に用いた基体温度以上の温度で
発光層の熱処理を行うと発光層の成膜で発生した硫黄の
欠陥に硫黄が供給され、アルカリ土類金属硫化物の組成
が化学量論組成に近づく。ノズルは基体の近傍に硫化水
素ガスを集中的に供給する。蒸発源近傍の第二の排気系
は蒸発源近傍の硫化水素ガス濃度を低減する。
【0012】チャンバまたは前記排気系はトラップを備
えるとチャンバや蒸発源内部または排気系内に硫黄や硫
化物が付着することを防止する。セラミックスの絶縁被
覆は硫化水素ガスによる給電線の腐食を防止する。ノズ
ルのガス噴出口に設けられた熱分解フィラメント、高周
波放電電極または紫外線ランプは硫化水素ガスを分解し
て重合度の小さい気体状硫黄を生成する。
【0013】
【実施例】
実施例1 図1はこの発明の実施例に係る薄膜電場発光素子の製造
装置を示す配置図である。図2はこの発明の実施例に係
る薄膜電場発光素子を示す断面図である。
【0014】チャンバ31内に基板1,基体加熱用のヒ
ータ29,蒸発源20,硫化水素ガスの供給管32が配
置され、硫化水素ガスの供給管32はバルブ23を介し
てチャンバ内に硫化水素ガスを導く。硫化水素ガスの供
給管32はその先端にノズル33が設けられており硫化
水素ガスを加熱するためのヒータ35を備える。基板1
は紫外線ランプ34からの紫外線を照射することができ
る。またノズル33のガス噴出口の内部には図示しない
高周波放電電極34Aまたは熱分解フィラメント34B
が装着される。蒸発源20はヒータ41により所定の温
度に加熱される。ヒータ41は電源36からの給電線3
7により給電される。チャンバ31は蒸発源の周囲を囲
む冷却仕切板42、ノズルと冷却仕切板42の間にある
冷却仕切板43を備える。冷却仕切板42と冷却仕切板
43は硫化物や硫黄を捕捉するトラップの働きをする。
チャンバ31は主たる排気系である第一の排気系28と
蒸発源近傍を特に優先的に排気する第二の排気系40を
備える。第一の排気系28と第二の排気系40はその排
気経路にそれぞれトラップ27とトラップ27Aを備え
る。トラップ27とトラップ27Aは硫化物や硫黄を捕
捉する。
【0015】ノズル33は基体に平行に硫化水素ガスを
流し基体近傍の硫化水素ガス濃度を高める。第二の排気
系40は蒸発源近傍の硫化水素ガスを優先的に排気し気
体中の硫化物生成反応を抑止して基体表面の硫化物生成
反応を促進する。薄膜電場発光素子は基板1の上に透明
電極2,第一の絶縁層3,発光層4,第二の絶縁層5,
上部(Al)電極6がそれぞれ積層される。このような
薄膜電場発光素子は以下のようにして調製される。
【0016】Sr蒸発源としてショット状のSrメタルを
用い、硫化水素ガスとして100%H2Sをノズル33を介し
てチャンバー内31に導入した。発光中心として粉末状
CeF( 純度99.9%)を用いた。図示しないスパッタ
装置を用いて反応性スパッタ法によりガラス基板1(HO
YA(株)製NA-40)上に厚さ170nm のITO 電極2を形成し
た。さらにSiターゲットを用いて酸素20% とアルゴン80
% の混合ガスを導入して反応性スパッタ法により厚さ30
nmのSiO2と、窒素30% とアルゴン70% の混合ガスを導入
して厚さ170nm のSi 3N4 を順次形成し第一の絶縁層3を
得た。
【0017】続いて図1に示した蒸着装置を用い硫化水
素ガスを流しながらZnを蒸発させ、、基板温度200 ℃で
厚さ 100nmのZnS バッファー層(図示せず)を形成し
た。さらに続けて硫化水素ガス雰囲気のチャンバー内の
真空度を 1×10-5torrとしてSrS:Ce発光層を抵抗加熱法
を用いて 900nm厚さに形成した。この際硫化水素ガスは
ノズル33を用い基板1に平行に且つ均一に流した。基
板面を通過したガスは排気して基板面上でのガス圧を高
めた。冷却仕切板42,43の温度は周囲のチャンバー
内壁より低い温度とした。冷却仕切板42,43を設け
ると蒸発源内部に堆積された反応生成物(粉末状Sr
S等)が半分以下に減少し、一定温度保持により蒸着期
間中にSr,Ce等が安定して蒸発することが、蒸着モ
ニターにより確認された。硫黄Sや反応生成物が冷却
板で捕獲トラップされ、チャンバー内壁に付着しなくな
った。成膜された発光層の膜厚分布がノズルや局所排
気を用いなかった場合にくらべ良好になった。
【0018】基板温度はガラス基板の歪み点(610℃) よ
り低く、Srの融点(769℃) に近い550 ℃に設定した。原
子、格子欠陥の移動のし易さは材料の融点に近づくと増
大することが知られており、SrS の融点はSrやS の融点
より遙に高く、SrS を形成するSr,Sを別々に供給する蒸
着法において、基板温度を高めることは格子欠陥をより
少なくさせることが可能である。
【0019】SrS:Ce発光層を成膜した後に連続して600
℃に基板加熱を行いながら硫化水素ガスを30min 供給
し、熱処理を行った。続けてZnS バッファー層(図示せ
ず)を100nm 形成した。発光層上のZnS バッファー層は
発光層を水分や炭酸ガス、酸素などから保護するために
設ける。蒸発源であるルツボの給電線37は2φの銅線
上にアルミを300μmコートし、さらにセラミックス
を500μmコーティングしている。このようにすると
給電線37を硫化水素ガスからの腐食から守ることがで
きる。さらに温度の高い部分にはアルミの替わりにニッ
ケルを用いている。このようにして蒸着膜中に含まれる
銅の混入量は2000ppm 程度から200ppmに激減した。
【0020】次に再び反応性スパッタ法により厚さ170n
m のSi3N4 と厚さ30nmのSiO2とを順次形成し第二の絶縁
層5とした。次にAlを電子ビーム蒸着法により蒸着して
上部電極6とした。得られた薄膜電場発光素子の輝度を
パルス幅30μs,周波数60Hzの矩形波で駆動して測定した
結果、閾電圧+60V の印加電圧下での輝度L60 = 90cd/
m2を得た。 比較例1 SrS:Ce発光層を成膜した後に硫化水素を導入しないで加
熱処理を施して薄膜電場発光素子を製作し輝度を評価し
た。 L60=60cd/m2であった。 比較例2 SrS:Ce発光層を成膜した後にチャンバーを30分大気開放
し、次いで真空排気してから基板加熱を行いながら硫化
水素ガスを30min 供給して熱処理を行った。 L 60=70cd/
m2であった。比較例1,2の結果から発光層を成膜した
直後に大気開放せず、連続で硫化水素中において熱処理
することにより高輝度が得られることがわかる。 実施例2 実施例1においてノズル材質をアルミナとし、ノズル本
体をヒータ35により600 ℃に加熱して、発光層を成
膜して素子を作製し、実施例1と同じ方法で評価して L
60= 95cd/m2 を得た。 実施例3 実施例1においてノズル材質をアルミナとし、ノズル本
体をヒータ35により1000 ℃に加熱して、発光層を成
膜して素子を作製し、実施例1と同じ方法で評価して L
60=105cd/m2 を得た。 実施例4 実施例1においてノズル材質をアルミナとし、ノズル本
体をヒータ35により1500 ℃に加熱して、発光層を成
膜して素子を作製し、実施例1と同じ方法で評価して L
60=110cd/m2 を得た。
【0021】実施例2, 3,4の結果からノズル33を
高い温度で加熱することにより、硫化水素が分解され、
硫黄ラジカル,水素ラジカルが高い割合で発生し、輝度
の向上が図れることがわかる。実施例2, 3,4におい
てノズルの加熱温度を上昇させるにしたがい冷却仕切板
42,43に付着する分解硫黄の量が増大した。従って
ノズルの加熱温度を上昇させるにしたがい効率良く硫化
水素が分解していることがわかる。 実施例5 実施例1において、ノズル内部で周波数13.56MHz,放電
電力400Wの高周波RF放電により硫化水素を分解させな
がら、発光層を成膜して素子を作製した。素子の輝度を
測定すると L60= 98cd/m2 であった。 実施例6 実施例1において、ノズル内部で周波数13.56MHz,放電
電力500Wの高周波RF放電により硫化水素を分解させな
がら、発光層を成膜して素子を作製した。素子の輝度を
測定すると L60=100cd/m2 であった。 実施例7 実施例1において、ノズル内部で周波数13.56MHz,放電
電力600Wの高周波RF放電により硫化水素を分解させな
がら、発光層を成膜して素子を作製した。素子の輝度を
測定すると L60=102cd/m2 であった。
【0022】実施例5,6,7の結果からノズル33の
内部でRF放電により硫化水素を分解させると輝度の向
上が図れることがわかる。 比較例3 実施例1において、ノズル内部と基板近傍を周波数13.5
6MHz,放電電力600Wの高周波RF放電により硫化水素を
分解させながら、発光層を成膜して素子を作製した。素
子の輝度を測定すると L60=95cd/m2であった。
【0023】周波数13.56MHz,放電電力600Wの高周波R
F放電により基板に付着した吸着ガス等が放出され、不
純物として膜中に混入するものと考えられる。 実施例8 実施例1において、ノズル33のヒータ35とノズル内
部に設けられた熱分解フィラメント34Bを 600℃に加
熱して硫化水素を分解させながら、発光層を成膜して素
子を作製した。 L60=100cd/m2 であった。 実施例9 実施例1において、ノズル33のヒータ35とノズル内
部に設けられた熱分解フィラメント34Bを1000℃に加
熱して硫化水素を分解させながら、発光層を成膜して素
子を作製した。 L60=110cd/m2 であった。 実施例10 実施例1において、ノズル33のヒータ35とノズル内
部に設けられた熱分解フィラメント34Bを1500℃に加
熱することにより硫化水素を分解させながら、発光層を
成膜して素子を作製した。 L60=120cd/m2 であった。
【0024】実施例8,9,10の結果から熱分解フィ
ラメント34Bを加熱して硫化水素を分解すると輝度が
向上することがわかる。 実施例11 実施例1において、発光層成膜時に基板上に波長200 〜
300nm 、200Wの紫外線を照射し、且つ熱分解フィラメン
ト34Bを1000℃に加熱して硫化水素を分解しながら、
発光層を成膜して素子を作製した。 L60=126cd/m2 であ
った。 実施例12 実施例1において、発光層成膜時に基板上に波長200 〜
300nm 、400Wの紫外線を照射し、且つ熱分解フィラメン
ト34Bを1500℃に加熱して硫化水素を分解しながら、
発光層を成膜して素子を作製した。 L60=128cd/m2 であ
った。 比較例4 実施例11と実施例12において紫外線照射のみで硫化
水素の分解を行わなかった場合は輝度はそれぞれL60=92
cd/m2 ,L60=105cd/m2であった。紫外線の照射と硫化水
素の分解を併用することが効果を高めることを示す。基
板上に紫外線を照射すると励起状態の硫黄原子が生成す
るものと考えられる。 実施例13 実施例1において、硫化水素を導入したときの平均の真
空度を 1 ×10-6Torr、 3×10-6Torr、 5 ×10
-6Torr、 8 ×10-6Torr、3 ×10-5Torr、 4
×10-5Torr、5 ×10-5Torrであること以外は実施例1
0と同様にして発光層を成膜した。得られた素子の輝度
はそれぞれL60= 63cd/m2 L60= 91cd/m2 L60=12
0cd/m2 L60=125cd/m2 L60=115cd/m2 L60= 92c
d/m2L60= 65cd/m2であった。これより、圧力 5×10-6
〜3 ×10-5Torrの範囲で効果があることがわかる。望ま
しくは8 ×10-6Torrあった。
【0025】硫化水素の導入量が少ないと硫黄S不足に
より輝度の向上の効果がないこと、逆に過剰の硫黄はク
ラッキングの効果を弱めるためと考えられる。上述の真
空度は装置構造や基板ソース間距離などに依存して変化
する。 実施例14 Srの蒸発源としてK セルを用いる替わりに、イオン源ソ
ースを用いSrをクラスターイオン化した。
【0026】図3はこの発明の実施例に係るイオンクラ
スタ蒸着装置の蒸発源を示す配置図である。この蒸発源
は図1の冷却仕切板43で囲まれた内部に装着される。
試料48が装填されルツボ加熱部44の内部に載置され
たルツボは細孔47を備えて蒸発した原子が断熱膨張す
る。断熱膨張により原子はクラスタとなりイオン化部4
5で負に荷電される。負に荷電されたイオンクラスタは
加速部46により加速される。
【0027】Srをイオン化電流20A 、加速電圧1KV でイ
オンクラスタ化した。その他は実施例10同様にして発
光層を成膜した。 L60=120cd/m2 であった。これよりイ
オンクラスター蒸着によって発光層を製作しても同様の
効果があることがわかった。この方法はとくに膜の付着
力が向上するため、ZnS:Mnなどと積層して多層化した場
合、剥離防止に効果があった。
【0028】なお、本発明の素子に用いられる発光層は
上記実施例に限定されるものではなく例えば ZnSを母体
とする発光層やノンドープの ZnS層などとの積層構成と
しても得られる効果に変わりはない。また絶縁層も上記
実施例に限定されるものではない。例えばSiO2,Y2O3,Ti
O2,Al2O3,HfO2,Ta2O5,BaTa2O5,SrTiO3,PbTiO3,Si3N4,Zr
O2などやこれらの混合膜または積層膜を用いることがで
きる。
【0029】
【発明の効果】第一の発明によればノズルを介してチャ
ンバ内の所定の温度に加熱された基体上に硫化水素ガス
を供給し、且つ蒸発源近傍を排気しながら蒸発源からの
蒸発物質を蒸着させて発光層を形成するので、基体の近
傍の硫化水素ガス濃度が高くなるとともに他の領域の硫
化水素ガス濃度が低くなり気相中での反応が減ったり蒸
発源からの蒸発性が良くなり、硫黄欠陥の少ない発光層
結晶が効率的に生成する。
【0030】発光層を形成した直後に硫化水素ガス雰囲
気中において発光層成膜時に用いた基体温度以上の温度
で発光層の熱処理を行うと発光層結晶中の硫黄の組成が
化学量論組成になりやすく輝度に優れる薄膜電場発光素
子が得られる。第二の発明によればノズルと第二の排気
系を有する蒸発源を備えているので、ノズルにより基体
近傍の硫化水素ガス濃度が高まり蒸発源近傍では硫化水
素ガス濃度が減少し、硫黄欠陥の少ない発光層結晶が生
成して発光輝度に優れる薄膜電場発光素子が効率的に得
られる。
【0031】チャンバまたは排気系内のトラップはチャ
ンバや蒸発源内部または排気系内に硫黄や硫化物が付着
することを防止し薄膜電場発光素子の生産性を高める。
ノズルのガス噴出口内部に設けられた熱分解フィラメン
ト、高周波放電電極またはノズル近傍の紫外線ランプは
硫化水素ガスを分解して重合度の小さい気体状硫黄を生
成するので硫黄の格子欠陥が消失し易く化学量論性に優
れる薄膜電場発光素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係る薄膜電場発光素子の製
造装置を示す配置図
【図2】この発明の実施例に係る薄膜電場発光素子を示
す断面図
【図3】この発明の実施例に係るイオンクラスタ蒸着装
置の蒸発源を示す配置図
【符号の説明】
1 基板 2 透明電極 3 第一の絶縁層 4 発光層 5 第二の絶縁層 6 上部電極 20 蒸発源 23 バルブ 27 トラップ 27A トラップ 28 第一の排気系 31 チャンバ 32 硫化水素ガスの供給管 33 ノズル 34 紫外線ランプ 35 ヒータ 36 電源 37 給電線 40 第二の排気系 41 ヒータ 42 冷却仕切板 43 冷却仕切板 44 ルツボ加熱部 45 イオン化部 46 加速部 47 細孔

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発光中心となる物質を含むアルカリ土類金
    属硫化物を発光層とする薄膜電場発光素子の製造方法で
    あって、第一の工程と第二の工程を有し、 第一の工程はチャンバの外部からの硫化水素ガスを、ノ
    ズルを介してチャンバ内に載置された基体の近傍に供給
    する工程であり、 第二の工程は所定の温度に加熱された基体上に、蒸発源
    近傍を排気しながら蒸発源からの蒸発物質を蒸着させて
    発光層を形成する工程であることを特徴とする薄膜電場
    発光素子の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の製造方法において、発光
    層を形成した直後に硫化水素ガス雰囲気中において発光
    層成膜時に用いた基体温度以上の温度で発光層の熱処理
    を行うことを特徴とする薄膜電場発光素子の製造方法。
  3. 【請求項3】チャンバ内に基体と、ノズルと、蒸発源と
    を有し、 チャンバは第一の排気系により主排気されるものであ
    り、 基体はヒータを介して所定の温度に加熱されるものであ
    り、 ノズルはヒータを有して内部を通流する硫化水素ガスを
    加熱するとともに、加熱された硫化水素ガスを基体の近
    傍に供給するものであり、 蒸発源は給電線を介してヒータにより加熱されるととも
    に蒸発源近傍に第二の排気系を有することを特徴とする
    薄膜電場発光素子の製造装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の製造装置において、チャ
    ンバまたは排気系はトラップを備えることを特徴とする
    薄膜電場発光素子の製造装置。
  5. 【請求項5】請求項3に記載の製造装置において、給電
    線はセラミックスの絶縁被覆を備えることを特徴とする
    薄膜電場発光素子の製造装置。
  6. 【請求項6】請求項3に記載の製造装置において、ノズ
    ルのガス噴射口は硫化水素ガス分解装置を備えることを
    特徴とする薄膜電場発光素子の製造装置。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の製造装置において、硫化
    水素ガス分解装置は熱分解フィラメントであることを特
    徴とする薄膜電場発光素子の製造装置。
  8. 【請求項8】請求項6に記載の製造装置において、硫化
    水素ガス分解装置は高周波放電電極であることを特徴と
    する薄膜電場発光素子の製造装置。
  9. 【請求項9】請求項6に記載の製造装置において、硫化
    水素ガス分解装置は紫外線ランプであることを特徴とす
    る薄膜電場発光素子の製造装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002250799A (ja) * 2001-02-23 2002-09-06 Ushio Inc 電子ビーム処理装置
KR100713019B1 (ko) * 1999-06-28 2007-05-02 가부시키가이샤 한도오따이 에네루기 켄큐쇼 전기광학장치의 제작방법
KR101284760B1 (ko) * 2011-11-22 2013-07-17 주식회사 인포비온 태양전지 제조용 고속 열처리 시스템 및 이를 이용한 열처리 방법

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