JP2007218744A - 震災リスクの評価方法及び震災リスク評価用の断層モデル形成プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】断層情報が十分に知られておらず、或いは震源を特定できないような地域で、地震による建物などの被害予測を行うことができるようにする評価方法、及びその評価のための断層モデル作成用プログラムを提案する。
【解決手段】断層モデルを作成する段階と、統計的グリーン関数を生成する段階と、基盤面での地震動の時刻歴を求める段階と、表層地盤の震動増幅特性を解析する段階と、地表の構造物への影響を算定する段階とで構成され、上記断層モデルの作成段階で、地震活動の特性を共通する一定の地域を表す地形モデルに、相互に一定間隔を置いた基準点4群を、それら基準点の位置を調整可能に配置し、各基準点を中心として、少なくとも面積乃至寸法を調整可能な仮想の断層面6を震源域の深さに設定し、上記仮想断層面6の少なくとも外周部分の2箇所以上に単位震源モデルをそれぞれ設置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、震災リスクの評価方法、及び、この方法の実施に適した断層モデル形成用プログラムに関するものであり、特に震源の特定できない地震に対するリスクの評価に適したものに関する。
近年、地震に対する人々の関心が高まっている。そのため、地震による建物の被害を予測して、建物の安全性を確認することが強く求められている。
震災リスクの評価方法として、地表面での最大加速度と該加速度の年超過確率との関係を表す地震ハザード曲線を用いる方法があるが(非特許文献1)、その評価を行うには、加速度の時刻歴ベースでの解析が必要となる。
加速度の時刻歴を求めるためには、断層面の震源関数からグリーン関数法で基盤面の震動関数を生成し、この関数に表層地盤の伝達関数を乗じて、更にフーリエ逆変換をすれば良い。ここでグリーン関数法とは、断層面を例えば図10に示す同心環状或いは格子状の小断層に分割して、それら小断層の地震動に対する基盤面の応答を示すグリーン関数を生成し、各小断層に配した震源関数とグリーン関数との重畳積分を行い、その総和をとって断層面全体による地震動を求める手法である(特許文献1)。換言すれば、断層面全体の破壊による大地震の波形を、断層面の一部破壊による小地震の波形を所定の手順で足し合わせることで合成しているのである。その小地震の波形として、過去に観測した波形を用いることもできるが、いわゆる地震動のスケーリング則(相似則)を用いて理論的に生成することもでき、後者の手法を統計的グリーン関数法と呼んでいる(例えば特許文献2の段落0086参照)。尚、スケーリング則とは、地震動の周波数ωは低周波数帯を除いて周波数の−2乗に比例するという法則である。又、上記表層地盤の伝達関数を計算するには、表層地盤の震動増幅特性を解析すれば良く、そのためには、ボーリングデータの解析、弾性波探査、微動観測など従来さまざまな方法が知られている(特許文献3)。
更に、地表面の加速度の時刻歴を求めたら、建物の各点に対して従来公知の多質点応答解析を行い(特許文献4参照)、建物の震動の影響を具体的に評価すればよい。その他の背景技術に関しては、適宜明細書中に引用する。
特開2003−139863号 特開2004−362311号 特開平11−183630号 特開平11−160144号 遠藤昭彦「鉄筋コンクリート橋脚に対する地震リスク評価手法の運用」構造工学論文集 Vol49A 土木学会 2003年3月 佐藤良輔 「日本の地震断層パラメータハンドブック」 第85頁 鹿島出版 1979年 釜江克弘・入倉孝次郎・福知保長 「地震のスケーリング則に基づいた大地震時の強震動予測 日本建築学会構造系論文報告集 第430号 1〜9頁 1991年 垣見俊弘 「日本列島と周辺海域の地震地体構造区分」、地震、第2集第55巻4号 2003年 第389〜406頁
上記特許文献2の統計的グリーン関数法では、地域の断層情報に基づいて大きさや向きを設定した断層モデルを形成する。しかしながら、現状では公表されている断層情報は主として将来の海洋型巨大地震に関するものであり、震度4程度の中規模地震に対して模擬地震動の形成が困難であった。又、内陸直下型の地震は、震源が特定できない場所で発生することが指摘されており、この場合には、詳細なデータに基づいた正確な断層モデルを期待できない。
しかしながら、例えば半導体工場などでは、内陸直下型の地震に遇っても操業が停止する可能性がある。その対策として設備の免震化を検討するにあたって、従来リスク評価の困難であった直下型地震などに関しても、免震化の効果をシミュレーションすることが産業界において現在強く要望されている。
そこで本発明は、断層情報が十分に知られておらず、或いは震源を特定できないような地域で、地震による建物などの被害予測を行うことができるようにする評価方法、及びその評価のための断層モデル形成用プログラムを提案することを目的とする。
第1の手段は、震災リスクの評価方法であって、
地層地盤下方の震源域に仮想断層面を有する断層モデルを形成する段階と、
上記断層面の各部分での地震動に対する表層地盤の基盤面での応答を示す統計的グリーン関数を生成する段階と、
この統計的グリーン関数を用いて、全ての断層面分の地震動に対する上記基盤面での地震動の時刻歴を求める段階と、
上記表層地盤の震動増幅特性の解析により、上記基盤面の地震動の時刻歴から地表面での地震動の時刻歴を生成する段階と、
この地表面での地震動の時刻歴に基づいて地表の構造物への影響を算定する段階と、で構成され、
上記断層モデルの形成段階で、
地震活動の特性を共通する一定の地域を表す地形モデルに、相互に一定間隔を置いた複数の基準点4を、この基準点群の位置を調整可能に配置し、
各基準点を中心として、少なくとも面積乃至寸法を調整可能な仮想断層面6を震源域の深さに設定し、
上記仮想断層面6の少なくとも外周部分の2箇所以上に単位震源モデルをそれぞれ設置することを特徴とする。
本手段では、震災リスク評価方法の各段階のうち断層モデルを自動形成することを特徴としている。断層自体の情報が公開されていない地域での地震や、震源を特定できない直下型地震を想定して、地震の規模と断層面との関係に関する経験則や、地域別の地震の頻度などの地震域に関する間接的な情報を最大限に生かし、かつ断層面の設定の手法を工夫して、出来る限り信頼性の高いリスク評価を行うようにしている。尚、本発明の方法は、中規模の地震、例えばマグニチュード5〜7程度の地震に対して特に有効である。もちろん、巨大地震や小地震に対しても理論的には適用できるが、前者の場合には断層モデルが公表されているので、これを用いた解析が可能であり、また、後者の場合には建物への実質的被害が生じないことが多いからである。
「地震活動の特性を共通する一定の地域」とは、例えば地震の発震機構や規模別の頻度を共通する機構である。この発生頻度を用いて年間の地震による地震被害の予測などを行うことができる。例えば学会では、日本列島及びその周辺海域を13の地域(地震地体構造区分)に分割することが提案されている(後述の表2参照)。もっとも当該地域を更に細分化した地域、或いは別個に分類した地域を用いても構わない。
「地形モデル」とは、現実の地図や地殻模型でもよく、電子情報として構成された仮想のモデルでも構わない。
「基準点群」とは、最も近い隣接点との間隔を一定として特定のパターン、例えば点格子状のパターンに配列された点の集合であり、その集合全体として地表面上を任意にスライドして位置を決定することができるものとすることが望ましい。そうすることで、その点の集合の一つが、地表上の任意の観測点、特に評価対象である建物・設備の設置箇所に重なるようにすることができるからである。前述の通り、直下型地震では震源を特定できないため、基準点群の一つを観測点に重ねることで、少なくとも地震規模毎に震災の被害が最大となる場合を想定することができる。各基準点の間の距離は、基本的に自由であるが、例えばマグニチュード5〜7の範囲で任意に設定した地震での平均的な断層の大きさと同じ程度とすることができる。
「仮想断層面」とは、任意の枠(ケース)で囲まれた断層面であって、その寸法乃至面積を任意に設定することができるものとする。一般に統計的グリーン関数法では大きな断層面の破壊による大規模地震の波形を形成するために、その断層面を小断層に分割するが、本発明では、枠に囲まれた各部分が独自に震動する断層面であり、これら仮想断層面相互の間には隙間があっても良く、また、場合によっては仮想断層面相互が重なっても構わない。更に一つの観測点に対する震災リスクを評価するときには、その観測点下方の基準点の周りに仮想断層面を形成すれば足りる。仮想断層面は、一定の広がりを有する現実の断層面のモデルであり、従って、その仮想断層面の外周部分に、少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の単位震源モデルを相互に適当な間隔をおいて設置することで形成すると良い。尚、仮想断層面の形状は、円形・多角形など適宜変更することができる。
「単位震源モデル」は、実在の震源断層上での最初の断層破壊が始まった点(断層破壊点)に相当するものである。広がりを持つ震源断層は全面に亘って一気に破壊するのではない。まずどこか1点で破壊が始まり、それが高速で周囲に広がって行き、やがて破壊の拡大が止まり、震源断層の形成が終了することとなる。単位震源モデルを表す式としてはさまざまなものが提案されているが、その一例を実施形態で示す。
断層モデルを形成した後には、統計的グリーン関数の生成、表層地盤の基盤面での地震動の時刻歴の算出、表層地盤での震動増幅解析の解析を順次行って、地震動における地表面での最大加速度を求める。更に好ましくは地表面での建物を多質点解析して建物各層での最大加速度も求めると良い。これら各段階の手順は従来公知であるので説明を省略する。最大加速度を求めたら、上述の地域ごとの地震発生確率を乗じて震災による被害額を算定するようにすれば良い。
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ上記仮想断層面中心とその外周部分の少なくとも3箇所にそれぞれ単位震源モデルを設置したことを特徴としている。
このような構成とすることで、仮想断層面にバランス良く単位震源を分布させることができる。例えば仮想断層面を多角形とする場合には、その各角部に単位震源モデルを設置することができる。
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段である震災リスクの評価方法を実施するために適したプログラムであって、
コンピュータに、
地震活動の特性を共通する一定の地域を表す地形モデルに、相互に一定間隔を置いた複数の基準点4を、この基準点群の位置を調整可能に配置する手順と、
各基準点を中心として、仮想断層面6を震源域の深さに設定する手順と、
少なくとも一つの上記仮想断層面6の外周部分に2以上の単位震源モデルをそれぞれ設置する手順と、
単位震源モデルを設置した仮想断層面6の面積Sが、想定する地震のマグニチュードMに対応して、
[数式1]log10S=c×M−d 但しc、dは定数
に従うように、上記仮想断層面を相似的に拡大又は縮小する手順と、
を行わせることを特徴としている。
本手段は、震災リスク評価用の断層モデル形成プログラムである。このプログラムは、震災リスクを評価するプログラムにモジュールとして組み込んだものでも良い。本手段では、現実の断層面の面積と地震の規模との関係に係る経験則に応じて仮想断層面拡大・縮小する手順を、コンピュータに実行させるように構成されている。上記数式1の係数c、dに関しては、c=1、d=4.06〜4.07とすることが好ましい(非特許文献2)。もっともこれらの係数は地震の大きさにより多少変動するものである。
第4の手段は、第3の手段を有し、かつコンピュータに、上記単位震源モデルを設置した仮想断層面6を、その図形中心である基準点を中心として回動させる手順を行わせることができるようにしている。
この構成によれば、仮想破断層の走向(地層面と水平面との交線の方向)を任意に設定することができる。回転角は、任意に変化できるようにしても良く、また、複数の角度を選択できるようにしても良い。
第5の手段は、第3の手段又は第4の手段を有し、かつコンピュータに、上記単位震源モデルを設置した仮想断層面6を、水平面に対して傾斜させる手順を行わせることができるようにしている。
水平面に対する傾斜角は、任意に変化できるようにしても良く、また、一定角度に固定しても良い。
第1の手段に係る発明によれば次の効果を奏する。
○地震規模や地域の活動特性に応じて断層モデルを作るから、震源を特定できない直下型地震に対しても、地表の地震動を求め、建物の具体的な挙動を動的に解析できる。
○断層情報が公開されていない地域でも、本手段により形成した断層モデルを解析して精密なハザード曲線を作成することができる。
○地震の発生頻度などの地震の活動特性ごとに評価対象である地域を分割したから、被害額の評価などを精密に行うことができる。
○地震の活動特性を共通する一定地域に基準点4群を設置して各基準点4の周りに仮想断層面を設置したから、震源の位置をさまざまに変えた場合の震災のシミュレーションを容易に行うことができ、また、それら基準点群の位置を調節可能としたから、地震の規模毎に最大の被害を的確に評価することができる。
第2の手段に係る発明によれば、上記仮想断層面中心とその外周部分の少なくとも3箇所とにそれぞれ単位震源モデルを設置したから、観測点から各単位震源モデルへの距離のばらつきの影響を少なくして、的確な評価が得られる。
第3の手段に係る発明によれば、コンピュータに、単位震源モデルを設置した仮想断層面6の面積が、想定する地震のマグニチュードに対応して、経験則に従うように、上記仮想断層面を相似的に拡大又は縮小する手順を行わせるから、想定する地震規模ごとに的確な評価が得られる。
第4の手段に係る発明によれば、仮想断層面を任意に回転できるから、断層面の走向に関する情報が得られないときでも、建物の向きに対して仮想断層面の走向の向きをさまざまに変化させることで各走向毎の建物の動的解析を行い、最大の被害を評価することが容易である。
第5の手段に係る発明によれば、仮想断層面6を、水平面に対して傾斜させることができるから、的確な評価を行うことができる。
図1から図6は、震災リスク評価用の断層モデル形成プログラムの説明図である。本プログラムでは、これら各図をコンピュータのディスプレイ画面に表示させて操作できるものとすることが望ましい。
図1は、震災のリスク評価の対象となる地盤を模式的に表したものである。同図中、Aは表層地盤、Cは震源域、Bは表層地盤の基盤面Dと震源域との間の中間地殻部分である。更に地表面E上で点2は、観測点であり、評価対象である建物が設置されている場所である。又、震源域Cにおいては複数の仮想断層面6を設定している。これらについては後述する。
図2は、本発明の評価の対象となる地殻構造を、図2に示す如く、地震活動の特性を共通する複数の地域(以下活動域という)S、S…に分割した例を示している。もっとも図示の地域は説明のために簡略化したものであり、具体的な分割例に関しては後述する。
図3乃至図6は、本発明の断層モデル形成プログラムの具体的手順を示している。本実施形態のプログラムは次の手順をコンピュータに実行させるものである。
(1)基準点の配置
まず図2に示すように現実の地形に対応した地形モデルのうち、観測点2から一定距離内にある活動域をオペレータに選定させる。すると、コンピュータは、図3の如く選定した活動域Sn内で多数の基準点4を均等に配置する。図示の例では点格子状に基準点を配置しているが、その配置のパターンを適宜変更することができる。また格子の向きや格子間の間隔は自由に設定することができる。これら基準点4群は、オペレータの操作に応じて、全体として地形モデル上での位置を自由に配置し、又はスライドして、基準点4の一つが観測点の直下に位置するように調整できるようにすると良い。
(2)仮想断層面の設定
次に図3に示す如く、一つの基準点4の周りに仮想断層面6を設定する。図示の仮想断層面は、正方形であるが、例えば三角形、長方形など適宜変更しても良い。この仮想断層面は、図中に実線で示された枠(ケース)8で囲われた部分であり、この中に直下型地震の震源、特に強い震動を生ずるアスペリティが含まれるように設けられている。そのため、仮想断層面6の面積Sは、数式log10S=M−.406より求めることが望ましい。そうすると、マグニチュードM=5、6、7に対する断面積、及び仮想断面が正方形であるとしたときの一辺の長さは表1のようになる。簡単のため、マグニチュード5での仮想断層面の面積を零(点震源)をすることもできる。仮想断層面の面積があまり小さい場合には、仮想断層面の各部分に後述の点震源モデルを配置しても各モデル間の距離が小さく、その距離が後述の統計的グリーン関数の計算に殆ど反映されないからである。尚、地表面からの仮想断層面の深さは、オペレータが適宜設定することができるものとする。
Figure 2007218744
(3)単位震源モデルの設置
図示例のように正方形の仮想断層面では、各角部及び図形の中心に単位震源モデルを設置すればよい。単位震源モデルに関しては、前述のスケーリング則に基づいて、次の数式1のモデルが提案されており、これに従うと地震動のS波の加速度フーリエスペクトルは数式3のようになる(例えば非特許文献3参照)。
[数式2]S(ω)=ω/(1+(ω/ω
[数式3]A(ω)=(Rφθ×M/4πρβ)×S(ω)×P(ω)×exp[−ωR/2QΒ]/r
但し、Rφθはラディエーション係数、ρは密度、βは媒質のS波地震波速度、rは震源距離である。また、P(ω)は高周波数遮断関数であり、例えばP(ω)={1+(ω/ω} −1/2で与えられている。
(4)仮想断層面の調整
仮想断層面に対しては、オペレータの操作により、拡大・縮小、回転などの各種の処理をすることができる。
例えば、想定する地震のマグニチュードに対応して数式1に従って、図4に実線で示す大きな仮想断層面から想像線で示す小さな仮想断層面へ変更することができる。
また、図5に示す如く仮想断層面を回転させることもできる。このとき、回転角度を、0から45度単位で増加して、仮想断層面の走向を8つの方向から任意に選択できるようにすることができる。
更に、断層モデルは、図6に2点鎖線で示す水平状態から実線で示す如く傾斜した状態に想像線で描く傾斜状態とすることができる。傾斜角度は例えば45度とすることができる。
本プログラムを使用するときには、図2に示す如く建物の場所を観測点2として指定して、少なくともこの観測点が属する活動域Snを選択し、この活動域内に基準点4群を設置させる。この場合、まず、基準点の一つを観測点の直下に設定し、これに関して仮想断層面を形成するとともに点震源モデルを設置して、後述の方法でリスク評価の解析を行う。そうすることで、評価対象の真下を震源とした場合の震災の影響を評価することができる。更に、必要により、観測点から離れた他の基準点を震源とした場合の震災の影響も同様の手順で評価することができる。
図7乃至図8は、本発明の震災リスク評価方法の説明図である。この手順は次の通りである。
I.断層モデルの形成
この断層モデルの形成は、基本的に上記断層モデル形成用プログラムの構成及び使用法として説明した内容と同じであるので説明を省略する。
II.断層モデルを用いた解析
この過程は、基本的に従来公知のことであるので、簡単に説明する。
(1)統計的グリーン関数法の実施
まず、仮想断層面に設定した各点震源モデル10と、基盤面D上の任意の一点(中間点)12との間でグリーン関数を生成する。次に上記点震源モデルのそれぞれについて、数式3により地震動の加速度フーリエスペクトルを求め、その総和として震動関数を生成する。震源域での震動関数をA(ω)、中間地殻部分の伝達関数をH(f)とすると、基盤面での震動関数はA(ω)=H(ω)×A(ω)で与えられる(特許文献2の段落0092)。そしてこれら震動関数とグリーン関数との重畳積分を実施すると、全ての点震源モデルの地震動に対する中間点12での応答が求まる。
(2)基盤面の地震動の時刻歴を求める。
上記重畳積分の結果をフーリエ逆変換すると、基盤面D上の中間点12での震動の時刻歴を求める。
(3)表層地盤の震動増幅特性の解析
既述の従来方法により、表層地盤Aの特性を解析して、これと中間点12での震動時刻歴とから観測点2での地震時刻歴を求める。
(4)多質点解析
観測点、即ち地表面での震動の時刻歴から建物の各箇所への影響を解析する。
III.建物のリスク評価
この過程では、上記の解析で得られた最大加速度と、活動域毎に与えられる規模別の地震の発生頻度から、図8に示すような確率分布図を作成し、これに基づいて建物の各階・各部での具体的なダメージを算定する。
尚、各活動域での規模別の地震発生頻度は次のように求める。ある地域でのマグニチュードM以上の地震の数をNとすると、log10N=a−b×Mという関係(グーテンベルグ・リヒター則)が成り立つことが知られている。ここでa,bはそれぞれ定数であり、後者は「b値」と呼ばれる地域固有の数値である。ここで、想定する地震の最小値をMmin,Mmaxとし、マグニチュードM=5、6、7での地震発生確率を、それぞれP(5)=∫5.0 5.5(m)dm、P(6)=∫5.5 6.5(m)dm、P(7)=∫6.5 Mmax(m)dmと定義する。但し、f(m)は地震発生の確率密度関数であり、グーテンベルグ・リヒター則から次式の様に導かれる。
[数式4]f(m)=b×ln10×exp{−b×ln10×(m−Mmin)}/[1−exp{−b×ln10×(Mmax−Mmin)}]
そして、マグニチュード5以上の地震の1kmでの発生確率PM5、ある活動域の面積をS、その活動域での基準点の数をlaと置く。そうすると、上記のPは、P(5)+P(6)+P(7)=1と正規化されているので、各地点での発生頻度はPは、次の通りとなる。
[数式5] P(n)=P(n)×PM5×(S/la) n=5,6,7
非特許文献4では、日本列島及びその周辺海域の地体構造を図9のように分類しており、次の表2は、その具体的地域名を記載したものである。本発明において、活動域を区分するときには、こうした地殻情報に基づくことが望ましい。
Figure 2007218744
本発明を適用する地盤の斜視図である。 本発明に用いる断層モデルの形成する一の手順を示す説明図である。 上記断層モデルの形成する他の手順を示す説明図である。 上記断層モデルの形成する更に他の手順を示す説明図である。 上記断層モデルの形成する更に他の手順を示す説明図である。 上記断層モデルの形成する更に他の手順を示す説明図である。 本発明の災害リスク評価方法の過程のフローチャートである。 同方法での建物リスク評価で作成する最大加速度と発生確率との相関図である。 同方法に用いる地域区分図の例である。 従来の方法を表す図である。
符号の説明
2…観測点 4…基準点 6…仮想断層面 8…枠 10…点震源 12…中間点
A…表層地盤 B…中間地殻部分 C…震源域 D…基盤面 E…地表面
Sn…地域(活性域)

Claims (5)

  1. 地層地盤下方の震源域に仮想の断層面を有する断層モデルを形成する段階と、
    上記断層面の各部分での地震動に対する表層地盤の基盤面での応答を示す統計的グリーン関数を生成する段階と、
    この統計的グリーン関数を用いて、全ての断層面分の地震動に対する上記基盤面での地震動の時刻歴を求める段階と、
    上記表層地盤の震動増幅特性の解析により、上記基盤面の地震動の時刻歴から地表面での地震動の時刻歴を生成する段階と、
    この地表面での地震動の時刻歴に基づいて地表の構造物への影響を算定する段階と、で構成され、
    上記断層モデルの形成段階で、
    地震活動の特性を共通する一定の地域を表す地形モデルに、相互に一定間隔を置いた複数の基準点4を、この基準点群の位置を調整可能に配置し、
    各基準点を中心として、少なくとも面積乃至寸法を調整可能な仮想断層面6を震源域の深さに設定し、
    上記仮想断層面6の少なくとも外周部分の2箇所以上に単位震源モデルをそれぞれ設置する、震災リスクの評価方法。
  2. 上記仮想断層面中心とその外周部分の少なくとも3箇所とにそれぞれ単位震源モデルを設置したことを特徴とする、請求項1記載の震災リスクの評価方法。
  3. 請求項1又は請求項2の何れかに記載の震災リスクの評価方法を実施するために適したプログラムであって、
    コンピュータに、
    地震活動の特性を共通する一定の地域を表す地形モデルに、相互に一定間隔を置いた複数の基準点4を、この基準点群の位置を調整可能に配置する手順と、
    各基準点を中心として、仮想断層面6を震源域の深さに設定する手順と、
    少なくとも一つの上記仮想断層面6の外周部分に2以上の単位震源モデルをそれぞれ設置する手順と、
    単位震源モデルを設置した仮想断層面6の面積Sが、想定する地震のマグニチュードMに対応して、
    [数式1]log10S=c×M−d 但しc、dは定数
    に従うように、上記仮想断層面を相似的に拡大又は縮小する手順と、
    を行わせることを特徴とする震災リスク評価用の断層モデル形成プログラム。
  4. コンピュータに、上記単位震源モデルを設置した仮想断層面6を、その図形中心である基準点を中心として回動させる手順を行わせることができるようにしたことを特徴とする、請求項3記載の震災リスク評価用の断層モデル形成プログラム。
  5. コンピュータに、上記単位震源モデルを設置した仮想断層面6を、水平面に対して傾斜させる手順を行わせることができるようにしたことを特徴とする、請求項3又は請求項4記載の震災リスク評価用の断層モデル形成プログラム。
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