JP2004362311A - 地震損害評価システム、地震損害評価方法、地震損害評価プログラムおよび地震損害評価プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

地震損害評価システム、地震損害評価方法、地震損害評価プログラムおよび地震損害評価プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】地震損害評価を精度よく行える地震損害評価システム、地震損害評価方法、地震損害評価プログラムおよび地震損害評価プログラムを記録した記録媒体を提供する。
【解決手段】任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成し、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成し、任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出し、上記損害額と地震発生率とに基づき期待損害を算出することとした。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震損害評価システム、地震損害評価方法、地震損害評価プログラムおよび地震損害評価プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に地震動強さ(たとえば、PGA:最大地動加速度、PGV:最大地動速度、震度階など)は断層破壊面からの距離が大きくなるに従い減少することが知られており、過去に観測された地震動のデータから経験的に導き出される上記現象をモデル化した距離減衰式(A)の提案がなされるにいたっている。
【0003】
【数1】
Figure 2004362311
ここで、それぞれ、aは地震動強さを示し、mはマグニチュードを示し、dは対象地点から震源までの距離を示している。
【0004】
そして、上述の距離減衰式によれば、震源域の地震のマグニチュードmおよび断層破壊面から地震動強さを求める対象地点までの距離dなどをもとに、対象地点の地震動強さを求めることができる。
【0005】
そして、従来この種地震損害評価システム、地震損害評価方法、地震損害評価プログラムおよび地震損害評価プログラムを記録した記録媒体(以下、「地震損害評価システム等」という)にあっては、地震損害評価の対象となる地点の地震動強さを上記距離減衰式を用いて算出するとともに、上記地震動強さに基づいて被害関数(フラジリティ曲線)を用いて被害率rを求め、さらに、この被害率rにたとえば建築物や施設の再調達費用、修理費用を乗ずることにより損害額を算出していた(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−27626号公報(発明の実施の形態)
【0007】
【特許文献2】
特開2001−282960号公報(発明の実施の形態)
【0008】
【特許文献3】
特開2002−148348号公報(発明の実施の形態)
【0009】
【特許文献4】
特開平11−175623号公報(発明の実施の形態)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の地震損害評価システム等では、距離減衰式を使用しているため、簡易に損害評価が可能である点ではよいのであるが、地震動そのものについては地震動強さしか考慮されないので、損害評価の精度が悪く、詳細な損害評価が不可能であった。
【0011】
上記従来の地震損害評価システム等の中には、その点に着目し、地震動強さを被害率に換算する被害関数を緻密にする提案がなされているが、やはり、上述のように、地震動そのものについては地震動強さしか考慮されないので、この地震損害評価システム等でも、上記問題は解決されていない。
【0012】
そこで、本発明は上記問題点を解決するために創案されたものであって、その目的とするところは、地震損害評価を精度よく行える地震損害評価システム、地震損害評価方法、地震損害評価プログラムおよび地震損害評価プログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の課題解決手段の地震損害評価システムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出手段と、上記損害額と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた。
【0014】
本発明の第2の課題解決手段の地震損害評価システムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出する損害算出手段と、上記損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた。
【0015】
本発明の第3の課題解決手段の地震損害評価システムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出する損害算出手段と、上記損害額と損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた地震損害評価システム。
【0016】
本発明の第4の課題解決手段の地震損害評価システムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出する損害額算出手段と、上記マグニチュード毎の損害額と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた。
【0017】
本発明の第5の課題解決手段の地震損害評価システムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物および構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出する損害算出手段と、上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた。
【0018】
本発明の第6の課題解決手段の地震損害評価システムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出する損害額算出手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出する損害算出手段と、上記マグニチュード毎の損害額と上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた。
【0019】
本発明の第7の課題解決手段の地震損害評価システムは、第1,3,4または6の課題解決手段において、上記損害額が構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の再調達費用および機能損失時間の一方又はその両方に対する損失利益であることを特徴とする。
【0020】
本発明の第8の課題解決手段の地震損害評価システムは、第1,3,4,6または7の課題解決手段において、上記期待損害と構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の調達費用とに基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のライフサイクルコストを算出するライフサイクルコスト算出手段を備えた。
【0021】
本発明の第9の課題解決手段の地震損害評価システムは、第1から8のいずれかの課題解決手段において、上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率を地震発生率算出手段が算出することを特徴とする。
【0022】
本発明の第10の課題解決手段の地震損害評価システムは、第9の課題解決手段において、任意地点に地震動を及ぼす震源域における過去地震の発生年月日、マグニチュードおよび発生率を含む地震情報を格納した地震情報データベースを備え、当該地震情報データベースの格納情報に基づき地震発生率算出手段が構造物の残存耐用期間中の上記震源域における地震発生率を算出することを特徴とする。
【0023】
本発明の第11の課題解決手段の地震損害評価システムは、第1から10のいずれかの課題解決手段において、上記損害額および損害の一方又はその両方を、構造物の階層毎に分けて演算し、その演算結果を合算したものとすることを特徴とする。
【0024】
本発明の第12の課題解決手段の地震損害評価システムは、第1から11のいずれかの課題解決手段において、地震基盤面時刻歴生成手段が任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を震源域における断層パラメータに基づいて生成することを特徴とする。
【0025】
本発明の第13の課題解決手段の地震損害評価システムは、第1から12のいずれかの課題解決手段において、任意地点時刻歴生成手段が生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を任意地点における地下構造と表層地盤とに基づいて生成することを特徴とする。
【0026】
本発明の第14の課題解決手段の地震損害評価システムは、第1から13のいずれかの課題解決手段において、地震基盤面時刻歴生成手段が任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を統計的グリーン関数法を用いて生成することを特徴とする。
【0027】
本発明の第15の課題解決手段の地震損害評価システムは、第1から14のいずれかの課題解決手段において、任意地点時刻歴生成手段が生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を一次元重複反射理論を用いて生成することを特徴とする。
【0028】
本発明の第16の課題解決手段の地震損害評価システムは、第1から15のいずれかの課題解決手段において、地震基盤面時刻歴生成手段の任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する過程と、任意地点時刻歴生成手段の生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する過程と、解析手段の任意地点における構造物の地震応答を解析する過程と、上記損害額算出手段の損害額算出過程もしくは損害算出手段の損害算出過程の一方またはその両方の各過程における不確定要素にモンテカルロ法を適用し損害額もしくは損害一方またはその両方を複数個演算して損害額もしくは損害一方またはその両方の期待値を算出する期待値算出手段を備え、期待損害算出手段が当該期待値と構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づいて期待損害を算出することを特徴とする。
【0029】
本発明の第17の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記損害額と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる。
【0030】
本発明の第18の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出する損害算出ステップと、上記損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる。
【0031】
本発明の第19の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出する損害算出ステップと、上記損害額と損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる。
【0032】
本発明の第20の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記マグニチュード毎の損害額と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる。
【0033】
本発明の第21の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出する損害算出ステップと、上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる。
【0034】
本発明の第22の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出する損害算出ステップと、上記マグニチュード毎の損害額と上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる。
【0035】
本発明の第23の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第17,19,20または22の課題解決手段において、上記損害額が構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の再調達費用および機能損失時間の一方又はその両方に対する損失利益であることを特徴とする。
【0036】
本発明の第24の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第17,19,20,22または23の課題解決手段において、上記期待損害と構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の調達費用とに基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のライフサイクルコストを算出するライフサイクルコスト算出ステップを備えた。
【0037】
本発明の第25の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第17から24のいずれかの課題解決手段において、構造物の残存耐用期間中の上記震源域における地震発生率を算出する地震発生率算出ステップを備えたことを特徴とする。
【0038】
本発明の第26の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第25の課題解決手段において、任意地点に地震動を及ぼす震源域における過去地震の発生年月日、マグニチュードおよび発生率を含む地震情報を格納した地震情報データベースを備え、当該地震情報データベースの格納情報に基づき構造物の残存耐用期間中の上記震源域における地震発生率を算出する地震発生率算出ステップを備えたことを特徴とする。
【0039】
本発明の第27の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第17から26のいずれかの課題解決手段において、上記損害額算出ステップおよび損害算出ステップの一方又はその両方では、構造物の階層毎に分けて演算し、その演算結果を合算することを特徴とする。
【0040】
本発明の第28の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第17から27のいずれかの課題解決手段において、地震基盤面時刻歴生成ステップでは任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を震源域における断層パラメータに基づいて生成することを特徴とする。
【0041】
本発明の第29の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第17から28のいずれかの課題解決手段において、任意地点時刻歴生成ステップでは生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を任意地点における地下構造と表層地盤とに基づいて生成することを特徴とする。
【0042】
本発明の第30の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第17から29のいずれかの課題解決手段において、地震基盤面時刻歴生成ステップでは任意地点における地震基盤面地震動の時刻歴を統計的グリーン関数法を用いて生成することを特徴とする。
【0043】
本発明の第31の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第17から30のいずれかの課題解決手段において、任意地点時刻歴生成ステップでは地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を一次元重複反射理論を用いて生成することを特徴とする。
【0044】
本発明の第32の課題解決手段の地震損害評価プログラムは、第17から31のいずれかの課題解決手段において、地震基盤面時刻歴生成ステップの任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する過程と、任意地点時刻歴生成ステップの生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する過程と、解析ステップの任意地点における構造物の地震応答を解析する過程と、上記損害額算出ステップの損害額算出過程もしくは損害算出ステップの損害算出過程の一方またはその両方の各過程における不確定要素にモンテカルロ法を適用し損害額もしくは損害一方またはその両方を複数個演算して損害額もしくは損害一方またはその両方の期待値を算出し、期待損害算出ステップが当該期待値と構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づいて期待損害を算出することを特徴とする。
【0045】
本発明の第33の課題解決手段の地震損害評価プログラムを記録した記録媒体は、第17から32のいずれかの課題解決手段の地震損害プログラムを記録した。
【0046】
本発明の第34の課題解決手段の地震損害評価方法は、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成し、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出し、上記損害額と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする。
【0047】
本発明の第35の課題解決手段の地震損害評価方法は、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成し、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出し、上記損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする。
【0048】
本発明の第36の課題解決手段の地震損害評価方法は、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成し、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出し、上記損害額と損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする。
【0049】
本発明の第37の課題解決手段の地震損害評価方法は、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成し、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出し、上記マグニチュード毎の損害額と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする。
【0050】
本発明の第38の課題解決手段の地震損害評価方法は、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成し、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出し、上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする。
【0051】
本発明の第39の課題解決手段の地震損害評価方法は、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成し、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出し、上記マグニチュード毎の損害額と上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする。
【0052】
本発明の第40の課題解決手段の地震損害評価方法は、第34,36,37または39の課題解決手段において、記載の地震損害評価方法上記損害額が構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の再調達費用および機能損失時間の一方又はその両方に対する損失利益であることを特徴とする。
【0053】
本発明の第41の課題解決手段の地震損害評価方法は、第34,36,37,39または40の課題解決手段において、上記期待損害と構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の調達費用とに基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のライフサイクルコストを算出することを特徴とする。
【0054】
本発明の第42の課題解決手段の地震損害評価方法は、第34から41のいずれかの課題解決手段において、任意地点に地震動を及ぼす震源域の歴史地震の発生年月日、マグニチュードおよび発生率の地震情報から地震発生率を算出することを特徴とする。
【0055】
本発明の第43の課題解決手段の地震損害評価方法は、第34から42のいずれかの課題解決手段において、上記損害額および損害の一方又はその両方を、構造物の階層毎に分けて演算し、その演算結果を合算して算出することを特徴とする。
【0056】
本発明の第44の課題解決手段の地震損害評価方法は、第34から43のいずれかの課題解決手段において、任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を断層パラメータに基づいて生成することを特徴とする。
【0057】
本発明の第45の課題解決手段の地震損害評価方法は、第34から44のいずれかの課題解決手段において、任意地点における地表面の地震動の時刻歴を任意地点における地下構造と表層地盤とに基づいて生成することを特徴とする。
【0058】
本発明の第46の課題解決手段の地震損害評価方法は、第34から45のいずれかの課題解決手段において、任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を統計的グリーン関数法を用いて生成することを特徴とする。
【0059】
本発明の第47の課題解決手段の地震損害評価方法は、第34から46のいずれかの課題解決手段において、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を一次元重複反射理論を用いて生成することを特徴とする。
【0060】
本発明の第48の課題解決手段の地震損害評価方法は、第34から47のいずれかの課題解決手段において、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する過程と、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する過程と、任意地点における構造物の地震応答を解析する過程と、損害額算出過程もしくは損害算出過程の一方またはその両方の各過程における不確定要素にモンテカルロ法を適用し損害額もしくは損害一方またはその両方を複数個演算して損害額もしくは損害一方またはその両方の期待値を算出し、当該期待値と構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づいて期待損害を算出することを特徴とする。
【0061】
したがって、本発明の課題解決手段によれば、単に任意地点と震源域との間の距離から任意地点における地震動強さを導くのではなく、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊から任意地点における地震動の時刻歴を模擬的に生成し構造物の地震応答解析を行っているので、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムに比較して精緻な地震応答解析を行うことができる。
【0062】
さらに、精緻な地震応答解析が行えるので、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムに比較して精緻な損害評価が可能となり、その結果、信頼度の高い地震損害評価が可能となるのである。
【0063】
そして、断層パラメータを使用する場合には、任意地点における地震基盤面の地震動の精密な時刻歴を模擬的に生成することができ、かつ、地下構造および表層地盤データを使用する場合には、任意地点における地表面の地震動の精密な時刻歴を模擬的に生成することができ、さらに、工学基盤面の地震動の時刻歴から地表面の地震動の時刻歴を生成する手法に比較して、地震基盤面と工学基盤面との間に位置する岩盤等の影響をも考慮でき地表面の地震動の時刻歴を正確に生成することができるので、より一層、精密な構造物の地震応答解析ができ、その結果、より一層信頼度の高い地震損害評価を行うことができる。
【0064】
また、地震動による任意地点における構造物および構造物内収容物の期待損害を算出することができることから、現存する構造物およびその構造物内の収容物の将来発生する可能性のある地震動による期待損害を算出可能である。すると、構造物のオーナーは、この損害額から将来発生するであろう損害に対する修繕費の積み立てを行ったり、火災保険に加入したりといった対応が可能となり、この期待損害は、上記失われるであろう利益を含めてコストとして認識することが可能であるので、特に構造物を賃貸して収入を得る場合については、地震によるコストを正確に把握できるので、構造物の経営が容易となる。また、構造物の入居者についても、同様の対応が可能となるばかりでなく、入居候補の構造物ごとに期待損害を算出すれば、将来発生するコストの把握が可能であるので、たとえば、コストが最低となる構造物に入居することができるようになり、入居者は最適な構造物を選択することができるようになる。
【0065】
また、これから構造物を建設する場合には、構造物の設計情報に基づいて、将来発生する期待損害を算出することができるので、たとえば、構造物に免震、制振装置を導入する場合の期待損害と、同装置を導入しない場合の期待損害とを比較することができるので、上記免震、制振装置を導入の可否選択が容易となる。
【0066】
また、任意地点に地震動を及ぼす可能性のある震源域全てについて、地震損害評価をすることができると同時に、構造物の各階層毎に損害評価する場合には、より一層精度の高い地震損害評価ができる。
【0067】
さらに、マグニチュード毎に損害額を算出して期待損害を演算する場合には、より一層精度の高い地震損害評価が可能となる。
【0068】
このとき、ライフサイクルコストを算出する場合には、免震、制振装置の損害発生抑制の費用対効果を認識することが可能となり、より一層上記免震、制振装置を導入の可否選択が容易となる。また、上述のようにライフサイクルコストを算出するようにしておけば、構造物の設計プラン毎に、構造物の耐用年数内に生じるであろうコストを比較できることとなる。したがって、構造物をこれから建設しようとする者は、あらかじめ、信頼度の高い設計プラン毎に生じるライフサイクルコストを容易に把握できるので、最適な設計プランを選択できるだけでなく、無駄な支出を防止することができる。
【0069】
他方、火災保険会社等においても、任意地点における現存および将来建築される構造物の地震による期待損害を算出することが可能であるので、保険掛け金の設定や保険の設計が容易となる。
【0070】
また、この地震損害評価システムでは、精緻に期待損害を算出可能であるから、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムを使用した場合に比較して、構造物のオーナー、入居者、火災保険会社等は、信頼度の高い期待損害を算出可能となるから、より正確な経営判断をすることが可能となるのである。
【0071】
そして、地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する過程で統計的グリーン関数法を用いた場合には、震源域における断層パラメータの他に震源域付近の物性値等も考慮されるために、地震基盤面の地震動の時刻歴を巨視的断層パラメータと構造物位置と震源域との間の距離とから算出する場合に比較して、より精密に算出することが可能であり、また、その演算処理についても、演算処理装置における演算処理時間も、算出方法がさほど複雑とならないので、断層パラメータと構造物位置と震源域との間の距離とから算出する場合に比較して、遜色がない。
【0072】
また、この任意地点たる構造物位置における地表面の時刻歴を生成する過程で一次元重複反射理論を用いる場合には、複数層で構成される岩盤および表層地盤の力学特性、すなわち、各層のせん断波速度、密度、層厚、剛性の非線形性、減衰性の非線形性等を考慮して地表面の地震動の時刻歴を生成するので、より精密に、地表面の地震動の時刻歴を算出することが可能である。
【0073】
さらに、一義的には決定できない不確定要素について、モンテカルロ法を適用して、期待損害を算出する場合には、偏りが少ない理想的な演算結果が得られることとなる。すなわち、演算結果に偏りが少なくなるので、より平均的で信頼度の高い期待損害の値が得られる。
【0074】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態における地震損害評価システムの構成を示す概念図である。第1の実施の形態における地震損害評価システムは、図1に示すように、記憶媒体たる記憶装置1と、入力装置2と、演算処理装置3と、表示装置4とから構成されている。記憶装置1は、本発明の地震損害評価プログラムおよびこの地震損害評価プログラムで使用される1つ以上の震源域における過去地震の発生年月日、震源域の位置、震源位置(緯度、経度、深さ)、マグニチュード、活断層の位置、発生率および断層パラメータ等の地震動の発生要因となる各種地震情報のデータベースが格納されている。そして、記憶装置1は、具体的には、たとえば、ハードディスクやCD−ROM、DVD−ROM等である。また、震源域の各種地震情報としては、たとえば、この地震損害評価システムが日本国内のみで使用される場合には、日本国内および日本国内の任意地点に地震動を及ぼすであろう震源域をピックアップしてデータベースとしておけばよく、また、世界中における任意地点の地震損害評価をする場合には、それに応じて世界中の震源域についての各種地震情報をデータベースとすればよい。
【0075】
入力装置2は、この地震損害評価システムを使用するユーザーが、適宜地震損害評価システムに与える命令やデータを入力するための装置であって、具体的には、たとえば、キーボードやマウス等で構成される。
【0076】
演算処理装置3は、記憶装置1に格納された地震損害評価プログラムを実行するための装置であって、具体的には、たとえば、演算処理を行うCPU(中央演算処理装置)とこのCPUの演算処理結果や命令を一時的に記憶するRAM(Ramdom Access Memory)等で構成され、記憶装置1からRAMにロードされた地震損害評価プログラムの与える命令に従って、CPUが演算処理して後述する期待損害を算出する。
【0077】
表示装置4は、CPUによって算出された上記期待損害の算出結果を表示するための装置で、具体的には、たとえば、CRT、液晶ディスプレイやプリンタ等である。
【0078】
すなわち、本実施の形態では、この地震損害評価システムは、周知のコンピュータシステムに具現化されている。
【0079】
そして、第1の実施の形態における地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記損害額と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップと、上記期待損害算出ステップにて算出した期待損害を表示する表示ステップとで構成され、地震損害評価システムのユーザーの操作により、演算処理装置3で実行されて最終的に期待損害を算出できるようになっている。
【0080】
そして、具体的には、たとえば、第1の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理は、第1の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理手順100を示すフローチャートである図2に示すような手順で処理される。まず、地震損害評価システムを利用するユーザーが、ステップ101で入力装置2を介して任意地点たる構造物の位置(以下「構造物位置」という)と構造物の設計情報と構造物内収容物の調達費用、種類、数量等の情報(以下、単に「収容物情報」という)を地震損害評価システムに入力する。なお、構造物は、柱、梁、壁、床等の構造部材と、いわゆる建築仕上げに該当するカーテンウォール、ガラス、間仕切り等といった構造物の変形により損傷を受ける変形依存型非構造部材と、給水設備、空調設備、電源供給設備等の機械設備といった構造物の振動加速度に依存して損傷をうける加速度依存型非構造部材とからなり、構造物内収容物は、構造物内に収容される什器備品、コンピュータ等である。また、構造物の設計情報は、構造物の構造、構造物の各階層毎の柱と梁の材質と太さ、構造物の各階層毎の床と壁の厚さと材質、構造物の各階層毎の述べ床面積、建築年月日等の地震応答解析に必要な情報である。すると、上記構造物位置、構造物の設計情報、収容物情報等は記憶装置1に格納される。
【0081】
つづいて、ステップ102では、演算処理装置3が入力された構造物位置から、上記各種地震情報のデータベースを参照して、この構造物位置に地震動を及ぼす可能性がある震源域を選択する。なお、選択の方法は、任意地点たる構造物位置から経験上構造物位置に地震動を及ぼす可能性があると考えられる距離に位置する、具体的には、たとえば、日本国内であれば半径300km以内に位置する震源域を選択するようにしておけばよい。なお、構造物位置からどの程度の距離に位置する震源域を選択するかについては、構造物位置における地下構造や表層地盤データによっても異なる場合があるので、これら地下構造や表層地盤データによって、構造物位置からの距離を最適となるように演算処理装置3に演算させてもよく、場合によっては、記憶装置に格納されている全ての震源域を選択するようにしてもよい。ちなみに、上述したところでは、演算処理装置3が構造物位置および各種地震情報から震源域を選択するようにしているが、これを地震損害評価システムのユーザーが選択するようにしてもよい。ここで、震源域とは、いわゆる活断層および過去に断層破壊があった地域および将来断層破壊があると考えられている地域を含むものである。
【0082】
つづいて、ステップ103では、選択された震源域の断層破壊による任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する。すなわち、演算処理装置3が記憶装置1内に格納されている各種地震情報のベータベースを参照して、選択した震源域において発生しうるマグニチュードにより想定される選択された震源域の静的断層パラメータおよび動的断層パラメータを抽出して、この各断層パラメータから震源域における断層破壊を想定し、さらに、この震源域における断層破壊により引き起こされる任意地点たる構造物位置における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する。ここで、選択した震源域において発生しうるマグニチュードにより演算処理装置3が最適となる断層パラメータを抽出するように設定されている。なお、静的断層パラメータとは、図3に示すように、北を0度として断層の方向を示す走向角φ、断層の水平線からの傾きをしめす傾きθ、断層面のすべり角度を示すすべり角λ、地震基盤面からの深さをしめす深さh、断層の移動量をしめすすべり量U、断層の幅をしめす幅W、断層の長さをしめす長さL、断層の横ずれ量Us、断層の縦ずれ量Udとからなり、動的断層パラメータとは、震源からの破壊伝播速度である。そして、これらの量で震源域における断層破壊をモデル化するとともに、当該震源域から任意地点までの距離から任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴が式(B)を利用して生成される。
【0083】
【数2】
Figure 2004362311
ここで、A(f)は地震波の加速度スペクトルを、fは地震波の振動数を、Rθφは放射特性係数を、FSは自由表面による増幅を、PRTITNは2方向のエネルギーの分配を説明する低減係数を、ρは媒質の密度を、βは媒質のせん断波速度を、Moは小断層の破壊の地震モーメントを、S(f,fc)は震源スペクトルを、fcはコーナー周波数を、P(f,Fmax)は高域遮断フィルターを、Fmaxは地震動の最大周波数を、Qsは媒体の減衰性を、rは小断層から任意地点までの距離を、それぞれ示している。
【0084】
より具体的には、演算処理装置3が、式(B)に基づいて、まず、任意地点たる構造物位置の地震動の加速度のスペクトルを得る。そして、この得られた加速度のスペクトルをフーリエ逆変換により時刻歴を生成する。ここで、地震動の時刻歴とは、地震動の振動加速度の時間的変化であり、上述のように、断層パラメータおよび地震基盤面と震源域との間の距離から算出することができる。なお、断層パラメータの各数値については、各種地震情報のデータベースの格納情報とされているが、ある程度の数値の幅があるので、たとえば、地震損害評価システムのユーザーがデータベース内に格納されている断層パラメータの各数値の幅を参照しながら、適切な数値を選択して入力するとしてもよく、また、各数値の平均値をあらかじめデータベース内に格納しておいて、時刻歴算出の際に各量における平均値を使用するとしてもよい。さらに、地震損害評価システムのユーザーが震源域におけるマグニチュードを設定することにより、演算処理装置3が最適となる断層パラメータを抽出するようにしておくとしてもよい。ちなみに、上述したところでは、地震動の加速度のスペクトルをフーリエ逆変換して時刻歴を算出するようにしているが、たとえば、経験上得られている地震動の時刻歴を各種地震情報のデータベースに格納しておき、この経験上得られている地震動の時刻歴を震源域と地震基盤面との間の距離を用いて補正演算して地震基盤面の地震動の時刻歴を算出するとしてもよく、また、地震動の加速度のスペクトルを算出する過程を得ずに、断層パラメータおよび震源域と構造物位置における地震基盤面との間の距離から直接時刻歴を算出する方法を採用してもよい。
【0085】
そして、このステップ103では、任意地点たる構造物位置における地震基盤面に地震動を及ぼすステップ102で選択された震源域毎に、地震動の時刻歴を算出する。したがって、選択された震源域が複数の場合には、複数の時刻歴が算出されることとなる。
【0086】
また、この任意地点たる構造物位置における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成するには、統計的グリーン関数法を用いるとよい。統計的グリーン関数法とは、震源域における断層破壊や岩盤内の地震波の伝播を考慮して、地震基盤面での地震動の時刻歴を生成する手法であって、断層破壊面の位置、断層破壊面内の震源位置、断層破壊面上のすべり量分布、断層付近の物性値(せん断波速度、密度、減衰性)等に基づいて、地震基盤面の地震動の時刻歴を算出する。具体的には、図4に示すように、震源域における断層破壊面を小断層20に分割し、この分割された各小断層20から小地震波21,22,23が式(B)により計算される。つづいて、この小地震波21,22,23が各小断層20から任意地点における地震基盤面まで伝播するのにかかる時間、断層破壊にかかる時間を考慮して、全小断層20からの小地震波21,22,23を合成して、任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴24が算出される。したがって、震源域における断層パラメータの他に、震源域における断層破壊面を小断層に分割し、さらに、震源域付近の物性値等も考慮されるために、地震基盤面の地震動の時刻歴を巨視的断層パラメータと構造物位置と震源域との間の距離とから算出する場合に比較して、より精密に算出することが可能であり、また、その演算処理についても、演算処理装置3における演算処理時間も、算出方法がさほど複雑とならないので、断層パラメータと構造物位置と震源域との間の距離とから算出する場合に比較して、遜色がない。
【0087】
そして、ステップ104では、演算処理装置3が、ステップ103で生成された任意地点たる構造物位置における地震基盤面の地震動の時刻歴から、任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を生成する。すなわち、演算処理装置3が、上記地震基盤面の地震動の時刻歴および任意地点たる構造物位置の地下構造および表層地盤データに基づいて任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を生成する。なお、地下構造および表層地盤データについては、あらかじめ記憶装置1内にデータベースとして格納しておき、ステップ101で構造物位置を入力することにより、演算処理装置3において当該地下構造および表層地盤データを参照するように設定しておくと便利であるが、これに換えて、ステップ101の構造物位置の入力に際して、地震損害評価システムを使用するユーザーが地下構造および表層地盤データを入力するとしてもよい。なお、地下構造および表層地盤データは、複数層で構成される岩盤および表層地盤の力学特性、すなわち、各層のせん断波速度、密度、層厚、剛性の非線形性、減衰性の非線形性等である。
【0088】
さて、地表面の地震動の時刻歴を生成する手法であるが、演算処理装置3が、ステップ103で得られた地震基盤面の地震動の時刻歴を、上記地下構造および表層地盤データから岩盤および表層地盤の力学特性に基づいて地表面の地震動の時刻歴に変換する演算処理を行う。
【0089】
そして、このステップ104では、ステップ103で得られた任意地点たる構造物位置における地震基盤面に地震動の時刻歴が複数ある場合には、その時刻歴毎に、上記演算処理を行って、地表面の地震動の時刻歴を生成する。すなわち、震源域毎に構造物位置における地表面の地震動の時刻歴が生成されることとなる。
【0090】
また、この任意地点たる構造物位置における地表面の時刻歴を生成するには、一次元重複反射理論を用いるとよい。一次元重複反射理論法とは、地震基盤面の時刻歴を地表面の地震動の時刻歴に変換する手法であって、図4に示すように、上述の複数層で構成される岩盤および表層地盤の力学特性、すなわち、各層のせん断波速度、密度、層厚、剛性の非線形性、減衰性の非線形性等を考慮してステップ103で得られた地震基盤面の地震動の時刻歴24から地表面の地震動の時刻歴25を生成する手法である。
【0091】
具体的には、この任意地点たる構造物位置における地表面の時刻歴は、式(C)を利用して生成される。
【0092】
【数3】
Figure 2004362311
ここで、Asurface(f)は地表面の地震動加速度のフーリエスペクトルを、fは振動数を、H(f)は表層地盤の伝達関数を、Abase(f)は地震基盤面の入射加速度のフーリエスペクトルを、それぞれ示している。ここで、実際の計算過程を説明すると、式(B)で求めた任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をフーリエ逆変換によってAbase(f)を求め、この値に多層からなる岩盤および表層地盤の物性値(せん断波速度、密度、層厚、減衰性)から求められる伝達関数H(f)を乗じて得られる地表面の地震動加速度のフーリエスペクトルAsurface(f)をフーリエ逆変換することにより、地表面における地震動の時刻歴を求める。このとき、表層地盤の各層の剛性や減衰性には非線形性(歪に対する依存性)があるので、等価線形化法等の収束計算を行う。
【0093】
なお、地震基盤面の地震動の時刻歴を地表面の地震動の時刻歴に変換するにあたり、経験的に得られている地震情報を用いて変換することもできるが、必ずしも、経験的に得られている地震情報は任意地点における地表面で観測したデータではないので、地下構造および表層地盤データに基づいて地表面の地震動の時刻歴を生成するとしたほうが、より精密に、地表面の地震動の時刻歴を算出することが可能である。
【0094】
つづいて、ステップ105では、演算処理装置3が、ステップ104で演算された任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を入力として構造物の地震応答解析を行う。すなわち、演算処理装置3が、任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を入力として、ステップ101で入力された構造物の設計情報に基づき地震応答解析を行うが、より具体的には、構造物の力学特性、すなわち、構造物の設計情報に基づいて算出される構造物の各階層毎の重量、剛性、減衰性から構造物の揺れの状態を演算し、結果として構造物の各階層毎の振動の最大応答加速度および層間変形角の地震応答値が算出される。たとえば、構造物を、図5に示すように、地震動の時刻歴Jを入力とし、構造物の各階層をF1,F2,・・,FNとしてその質点をバネで接続した直列せん断モデルとして弾塑性地震応答解析を行い、振動S1,S2,・・,SNを得て、さらに、これら振動S1,S2,・・,SNから各階層の最大応答加速度および層間変形角が算出される。
【0095】
そして、この地震応答解析は、ステップ102で選択された震源域が複数の場合には、各震源域毎に行われる。なお、地震応答解析の手法は、弾塑性応答解析による以外にも、少なくとも構造物の最大応答加速度を得られる他の公知の手法を行って解析してもよい。
【0096】
さらに、ステップ106では、演算処理装置3が、ステップ105で得られた地震応答値に基づいて構造物および構造物内収容物の損害額が演算される。すなわち、演算処理装置3が、任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を入力として、ステップ101で入力された構造物の設計情報および収容物情報に基づき損害額を算出する。そして、より具体的には、フラジリティ曲線を用いて、演算される。詳しく説明すると、構造物の損害額のうち、構造部材および変形依存型非構造部材については上記地震応答値のうち層間変形角と、構造物の構造および築年数に対応するフラジリティ曲線を用いて算出され、加速度依存型非構造部材については上記地震応答値のうち最大応答加速度と構造物の構造および築年数に対応するフラジリティ曲線を用いて算出される。なお、フラジリティ曲線は、構造部材および変形依存型非構造部材に対応するものと、加速度依存型非構造部材に対応するもの個別に用意されるが、演算処理装置3は、このフラジリティ曲線をあらかじめ記憶装置1内に格納しておくことにより、構造物の設計情報から最適なフラジリティ曲線を抽出できるように設定されている。
【0097】
ここで、フラジリティ曲線は、図6に示すように、地震応答と被害との相関関係を示すものであり、縦軸は確率を示し、横軸は地震応答値を示しており、この図6の縦軸と横軸で作られる平面はフラジリティ曲線によって複数の領域に分割されており、この領域は、領域毎に構造物もしくは構造物内収容物のうける損傷の状態を表しており、以下、領域Nは被害が無いことを示しており、領域Sは構造物もしくは構造物内収容物が小破すること示しており、領域Mは構造物もしくは構造物内収容物が中破すること示しており、領域Eは構造物もしくは構造物内収容物が大破すること示しており、領域Cは構造物もしくは構造物内収容物が全壊すること示している。ここで、損害額算出にあたっては、構造物の各階層毎に以下に示す演算が行われる。
【0098】
演算対象の構造物の1つの階層における地震応答値がXの場合、すなわち、地震応答値Xから図6中垂直に引いた点線10が交わる領域は、図6中下から順に領域C、領域E、領域M、領域Sおよび領域Nであることがわかる。ついで、点線10が交わる各領域C,E,M,S,Nについて、それぞれの損傷の状態が出現する確率は、点線10が各領域C,E,M,S,Nに交わっている長さで認識される。したがって、領域C,E,M,S,N毎、すなわち各損傷の状態毎に出現確率が設定される。なお、図6中領域C,Eについては、点線10は微小な長さで交わっており、確率はゼロではない。
【0099】
さらに、この各損傷の状態毎の損害額が計算されるが、具体的には、図7に示すような各損傷状態毎に構造物および構造物内収容物の再調達費用に対する損害割合をあらかじめ設定しておき、この損害割合と上記再調達費用とを乗算して各損傷状態における損害額を算出し、さらに、この各損傷状態における損害額と対応する出現確率とを乗算し、こうして得られた各結果全てがさらに合算される。なお、この演算は構造物の各階層毎に行われ、各階層毎に得られた加算結果がさらに全て合算されることにより構造物と構造物内収容物の損害額が算出される。
【0100】
すなわち、構造物の各階層毎の損傷状態から各階層毎の構造物および構造物内収容物の損害額を算出して、それら各階層毎の損害額をトータルしたものが構造物および構造物内収容物の損害額となるのである。したがって、ここで言う損害額は期待値として把握される。また、この構造物および構造物内収容物の損害額は、上記ステップ103,104,105と同様に震源域毎に行われる。
【0101】
また、損害額について、構造物および構造物内収容物の再調達費用から算出しているが、この構造物および構造物内収容物の再調達費用に加えて、機能損失時間を勘案して、その損失時間に構造物および構造物内収容物が獲得できなかった利益を損害と見なして、損害額にこの利益を加算して演算するとしてもよい。この場合には、具体的には、図8に示すような、機能復旧曲線が使用される。この機能復旧曲線は、その損害の状態毎に設定され、縦軸が機能復旧率で、横軸が時間である。すなわち、この機能復旧曲線は、構造物や構造物内収容物の機能復旧率と時間との相関関係を示している。そして、この機能復旧曲線を用いれば、地震動によって構造物および構造物内収容物の機能が復旧するまでの時間が算出され、この時間と、たとえば、1月当り、1日当りもしくは単位時間当りの利益とで失われるであろう利益を算出することが可能である。ちなみに、失われるであろう利益をも算出して損害額に加える場合には、上述の1月当り、1日当りもしくは単位時間当りの利益をステップ101の構造物の種々の情報を入力するときに、入力するとすればよい。
【0102】
なお、上述したところでは、構造物および構造物内収容物の損害額を各階層毎の構造物および構造物内収容物の損害額をトータルすることで算出しているが、これに換えて、地震動強さ(PGAやPGV、震階度など)と構造物の損傷状態との相関関係を示すフラジリティ曲線を利用して、直接構造物および構造物内収容物の全体の損害額を算出するとしてもよいが、各階層毎に損害額を算出するほうが精密に損害額を算出可能である。
【0103】
さらに、上記演算後、演算処理装置3は、ステップ107で、期待損害を演算する。すなわち、構造物および構造物内収容物の損害額と震源域における構造物および構造物内収容物の残存耐用期間中の地震発生率とから期待損害を演算する。震源域における地震発生率については各種地震情報のデータベースを参照して、その震源域における地震発生率を抽出し、この震源域における地震発生率とその震源域が及ぼす構造物および構造物内収容物の損害額を乗算する。ここで、地震発生率は、たとえば、単位年当りにその震源域において地震が発生する頻度をさす。なお、地震の発生をポアソン過程と仮定する場合には、時間にかかわらず、地震発生率は一定の値となるので、震源域における地震発生率を一定の値として損害額を計算してもよい。そして、この演算を震源域毎に行い、この演算結果を全てトータルすることで期待損害が演算される。したがって、このステップ107の演算結果は、選択された各震源域が任意地点たる構造物位置にある構造物および構造物内収容物の損害額の期待値である。
【0104】
すなわち、具体的には、式(D)により期待損害E[C ]が算出される。
【0105】
【数4】
Figure 2004362311
ここで、E[C]は震源域毎に生じる構造物もしくは構造物内収容物の期待値としての損害額、Qは金利係数(Q=1/(1+d),dは金利)、tは計算開始時間、tlifeは残存耐用年数、ν(t)は震源域における地震発生率、all sourcesは選択された震源域の全てを示している。なお、単純に損害額のみを算出するだけであれば、金利係数の項を省くことができるが、金利係数を計算に含むことにより、残存耐用年数内で発生する損害額をコストとして把握できるようになる。つまり、この場合には、損害額を支出することによって、その支出が無かった場合にその支出に相当する金額を運用して得られるであろう利益まで計算することができる。言い換えれば失われるであろう利益を計算することによって、損害額から生じる損失まで把握することができる。なお、上記金利係数を勘案する場合には、損害額が地震損害評価の計算期間中いつ発生するかも計算しなくてはならないので、期待損害を算出するときに、各震源域の損害計算にあたり、たとえば、単年毎に損害額を算出することとなる。実際には、損害額に単年毎の地震発生率を使用して期待損害を算出することとなる。また、金利係数を省く場合には、単年毎に損害額を算出する必要が無いのは言うまでもない。
【0106】
また、上述したところでは、選択した震源域において発生しうるマグニチュードにより地震基盤面および地表面の地震動の時刻歴を生成し、地震応答解析を行い、損害額を算出するが、発生しうるマグニチュードが複数存在する震源域においては、マグニチュード毎に、ステップ103からステップ106の処理を繰り返して、マグニチュード毎に損害額を算出して、そのマグニチュード毎の損害額とマグニチュード毎の地震発生率とから期待損害を演算するとしてもよい。当該震源域に複数のマグニチュードの地震が発生する可能性がある場合とは、その震源域にて複数のマグニチュードの地震が発生している場合や断層の状況から複数のマグニチュードの地震を発生する可能性がある場合が想定され、主として、過去地震データにより判断されることになる。したがって、特定のマグニチュードの地震しか発生しないような震源域については、マグニチュードは特定されているので、その特定されたマグニチュードの地震による期待損害を算出するとしてもよいが、実際には、特定されたマグニチュード以外の地震発生率はゼロとなるので、各マグニチュードについて演算実行するとしても差し支えない。なお、実用上は、構造物、構造物内収容物に損害を与える可能性のあるマグニチュード5以上の地震についてのみ、演算するとしてもよい。
【0107】
この場合には、式(E)を用いて期待損害E[C ]が算出される。
【0108】
【数5】
Figure 2004362311
ここで、E[C(m)]は各震源域のマグニチュード毎に生じる構造物もしくは構造物内収容物の期待値としての損害額、Qは金利係数(Q=1/(1+d),dは金利)、tは計算開始時間、tlifeは残存耐用年数、ν(t,m)はマグニチュードmの地震の時間tにおける発生率、すなわち、震源域におけるマグニチュード毎の地震発生率、all sourcesは選択された震源域の全てを示している。なお、単純に損害額のみを算出するだけであれば、金利係数の項を省くことができること、および、金利係数を計算に含むことにより、損害額から生じる損失まで把握することができることは上述したとおりである。また、この場合にも、上記金利係数を勘案する場合には、損害額が地震損害評価の計算期間中いつ発生するかも計算しなくてはならないので、期待損害を算出するときに、各震源域の損害計算にあたり、たとえば、単年毎に損害額を算出することとなる。実際には、損害額に単年毎の地震発生率を使用して期待損害を算出することとなる。また、金利係数を省く場合には、単年毎に損害額を算出する必要が無いのは言うまでもない。
【0109】
最後に、この構造物および構造物内収容物の期待損害がステップ108の処理によりディスプレイやプリンタ等の表示装置により表示される。ここで、表示方法としては、構造物および構造物内収容物の損害額をそれぞれ別々に表示するとしてもよく、また、構造物の損害額および構造物内収容物の損害額を合算したものも同時に表示してもよい。
【0110】
上述のように地震損害評価システムは構成されるが、この本実施の形態の場合、地震損害評価プログラムの各ステップと地震損害評価プログラムを実行する演算処理装置3が、後述の地震基盤面時刻歴生成手段、任意地点時刻歴生成手段、解析手段、損害額算出手段、期待損害算出手段、損害算出手段および地震発生率算出手段となる。そして、表示手段は表示装置4となる。
【0111】
そして、この第1の実施の形態の地震損害評価システムによれば、単に任意地点と震源域との間の距離から任意地点における地震動強さを導くのではなく、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊から任意地点における地震動の時刻歴を模擬的に生成し構造物の地震応答解析を行っているので、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムに比較して精緻な地震応答解析を行うことができる。
【0112】
さらに、精緻な地震応答解析が行えるので、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムに比較して精緻な損害評価が可能となり、その結果、信頼度の高い地震損害評価が可能となるのである。
【0113】
そして、断層パラメータを使用する場合には、任意地点における地震基盤面の地震動の精密な時刻歴を模擬的に生成することができ、かつ、地下構造および表層地盤データを使用する場合には、任意地点における地表面の地震動の精密な時刻歴を模擬的に生成することができ、さらに、工学基盤面の地震動の時刻歴から地表面の地震動の時刻歴を生成する手法に比較して、地震基盤面と工学基盤面との間に位置する岩盤等の影響をも考慮でき地表面の地震動の時刻歴を正確に生成することができるので、より一層、精密な構造物の地震応答解析ができ、その結果、より一層信頼度の高い地震損害評価を行うことができる。
【0114】
また、任意地点に地震動を及ぼす可能性のある震源域全てについて、地震損害評価をすることができ、さらに、構造物の各階層毎に損害評価するで、この点でも、精度の高い地震損害評価ができる。
【0115】
また、マグニチュード毎に損害額を算出して期待損害を演算する場合には、より一層精度の高い地震損害評価が可能となる。
【0116】
さて、この地震損害評価システムは、たとえば、以下のように使用される。この地震損害評価システムにあっては、上述のように、地震動による任意地点における構造物および構造物内収容物の期待損害を算出することができることから、現存する構造物およびその構造物内の収容物の将来発生する可能性のある地震動による期待損害を算出可能である。すると、構造物のオーナーは、この損害額から将来発生するであろう損害に対する修繕費の積み立てを行ったり、火災保険に加入したりといった対応が可能となり、この期待損害は、上記失われるであろう利益を含めてコストとして認識することが可能であるので、特に構造物を賃貸して収入を得る場合については、地震によるコストを正確に把握できるので、構造物の経営が容易となる。また、構造物の入居者についても、同様の対応が可能となるばかりでなく、入居候補の構造物ごとに期待損害を算出すれば、将来発生するコストの把握が可能であるので、たとえば、コストが最低となる構造物に入居することができるようになり、入居者は最適な構造物を選択することができるようになる。
【0117】
また、これから構造物を建設する場合には、構造物の設計情報に基づいて、将来発生する期待損害を算出することができるので、たとえば、構造物に免震、制振装置を導入する場合の期待損害と、同装置を導入しない場合の期待損害とを比較することができるので、上記免震、制振装置を導入の可否選択が容易となる。このとき、この地震損害評価システムに期待損害を演算することに加え、上記期待損害と構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の調達費用とに基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のライフサイクルコストを算出するライフサイクルコスト算出ステップを設けて、構造物および構造物内収容物の調達費用、すなわち、初期コストをステップ101で入力し、ステップ107で算出する期待損害にこの初期コストを加算して、耐用年数内に生じるであろうコスト、すなわち、ライフサイクルコストを演算するようにしておけば、構造物に免震、制振装置を導入する場合のライフサイクルコストと、同装置を導入しない場合のライフサイクルコストとを比較することができるようになるので、この場合には、免震、制振装置の損害発生抑制の費用対効果を認識することが可能となり、より一層上記免震、制振装置を導入の可否選択が容易となる。なお、この場合ライフサイクルコスト算出手段は、地震損害評価プログラムのライフサイクルコスト算出ステップと地震損害評価プログラムを実行する演算処理装置3で構成されることとなる。そして、具体的には、たとえば、ライフサイクルコストE[C]は、式(F)により演算されることとなる。
【0118】
【数6】
Figure 2004362311
ここで、Cは構造物および構造物内収容物の調達費用たる初期コスト、E[C(m)]は震源域毎に生じる構造物もしくは構造物内収容物の期待値としての損害額、Qは金利係数(Q=1/(1+d),dは金利)、tは計算開始時間、tlifeは残存耐用年数、ν(t,m)はマグニチュードmの地震の時間tにおける発生率、すなわち、震源域におけるマグニチュード毎の地震発生率、all sourcesは選択された震源域の全てを示している。なお、単純に損害額のみを算出するだけであれば、金利係数の項を省くことができること、および、金利係数を計算に含むことにより、損害額から生じる損失まで把握することができることは上述したとおりである。また、この場合にも、上記金利係数を勘案する場合には、損害額が地震損害評価の計算期間中いつ発生するかも計算しなくてはならないので、期待損害を算出するときに、各震源域の損害計算にあたり、たとえば、単年毎に損害額を算出することとなる。実際には、損害額に単年毎の地震発生率を使用して期待損害を算出することとなる。また、金利係数を省く場合には、単年毎に損害額を算出する必要が無いのは言うまでもない。
【0119】
また、上述のようにライフサイクルコストを算出するようにしておけば、構造物の設計プラン毎に、構造物の耐用年数内に生じるであろうコストを比較できることとなる。したがって、構造物をこれから建設しようとする者は、あらかじめ、信頼度の高い設計プラン毎に生じるライフサイクルコストを容易に把握できるので、最適な設計プランを選択できるだけでなく、無駄な支出を防止することができる。
【0120】
他方、火災保険会社等においても、任意地点における現存および将来建築される構造物の地震による期待損害を算出することが可能であるので、保険掛け金の設定や保険の設計が容易となる。
【0121】
また、この地震損害評価システムでは、精緻に期待損害を算出可能であるから、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムを使用した場合に比較して、構造物のオーナー、入居者、火災保険会社等は、信頼度の高い期待損害を算出可能となるから、より正確な経営判断をすることが可能となるのである。
【0122】
つづいて、第2の実施の形態における地震損害評価システムについて説明する。第2の実施の形態においても、第1の実施の形態における地震損害評価システムと同様に、記憶媒体たる記憶装置1と、入力装置2と、演算処理装置3と、表示装置4とから構成され、記憶装置1には、本発明の第2の実施の形態の地震損害評価プログラムおよびこの地震損害評価プログラムで使用される1つ以上の震源域における過去地震の発生年月日、震源域の位置、震源位置(緯度、経度、深さ)、マグニチュード、活断層の位置、活動度、発生率および断層パラメータ等の地震動の発生要因となる各種地震情報のデータベースが格納されており、その他、入力装置2、演算処理装置3、表示装置4については第1の実施の形態と同様の構成である。
【0123】
そして、第2の実施の形態における地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出ステップと、地震情報データベースの格納情報に基づき構造物の残存耐用期間中の上記震源域における地震発生率を算出する地震発生率算出ステップと、上記損害額と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップと、上記期待損害算出ステップにて算出した期待損害を表示する表示ステップとで構成され、地震損害評価システムのユーザーの操作により、演算処理装置3で実行されて最終的に期待損害を算出できるようになっている。
【0124】
そして、具体的には、たとえば、第2の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理は、第2の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理手順200を示すフローチャートである図9に示すような手順で処理される。そして、第2の実施の形態では、第1の実施の形態の地震損害評価プログラムに地震情報データベースの格納情報に基づき構造物の残存耐用期間中の上記震源域における地震発生率を算出する地震発生率算出ステップを加えたものである。したがって、この地震発生率算出ステップ以外のステップについては、 第1の実施の形態と同様であるので、同様のステップについては、同様の符号を付するのみとしてその説明を省略する。
【0125】
そして、第1の実施の形態と異なる地震発生率算出ステップ201について、詳細に説明すると、図9に示すように、地震発生率算出ステップ201の算出結果はステップ107の期待損害の演算時に必要となるので、この地震発生率算出ステップ201の処理は、ステップ107より以前であって、ステップ101の構造物の位置等の入力後であればいつでもよい。
【0126】
この地震発生率算出ステップ201では、任意地点に地震動を及ぼす震源域における過去地震の発生年月日、マグニチュードおよび発生率から、データベースに格納されている過去地震の発生率を補正演算して地震発生率を算出する。たとえば、あるマグニチュードの過去地震が50年毎に発生する震源域において、当該マグニチュードの地震が単年内に発生する発生率は2%となるが、過去地震の発生年月日から地震損害評価の計算期間にかかるまでに地震の発生が無かった場合には、単年内に地震が発生する確率は高くなる、すなわち、上記の例で、計算期間が20年で、計算期間の始まりに地震が30年間発生しなかった場合には、計算期間の最初の1年では、地震発生率は、5%となる。そして、最初の1年で地震が発生しない場合、次ぎの年の地震発生率は、もっと高くなる。このように、計算期間の各年毎に地震発生率を演算して、最終的に、各年毎の地震発生率を算出する。また、上述したところでは、単純なモデルで説明したが、実際には、活動度も加味して演算する。具体的には、以下の式(G)を用いて算出される。
【0127】
【数7】
Figure 2004362311
ここで、ν(t,m)はマグニチュードmの地震の時間tにおける発生率を、fw(t,m|W>t)は前回地震からtまで地震が発生していないという条件のもとでのn回目の地震が発生するまでの時間の確率密度関数を、wは前回の地震からn回目の地震が発生するまでの待ち時間を、それぞれ示している。
【0128】
そして、この式(G)により算出される各年毎の地震発生率とステップ106で算出した損害額とから期待損害を算出することとなる。なお、この期待損害算出については上述のステップ107で説明したとおりである。
【0129】
すなわち、第2の実施の形態の地震損害評価システムおよび地震損害プログラムでは、地震発生率を演算し、精緻な地震発生率を使用して期待損害を算出するので、より一層信頼性の高い地震損害評価が可能となる。
【0130】
さらに、第3の実施の形態における地震損害評価システムについて説明する。第3の実施の形態においても、第1の実施の形態における地震損害評価システムと同様に、記憶媒体たる記憶装置1と、入力装置2と、演算処理装置3と、表示装置4とから構成され、記憶装置1には、本発明の第2の実施の形態の地震損害評価プログラムおよびこの地震損害評価プログラムで使用される1つ以上の震源域における過去地震の発生年月日、震源域の位置、震源位置(緯度、経度、深さ)、マグニチュード、活断層の位置、発生率および断層パラメータ等の地震動の発生要因となる各種地震情報のデータベースが格納されており、その他、入力装置2、演算処理装置3、表示装置4については第1の実施の形態と同様の構成である。
【0131】
そして、第3の実施の形態における地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の損害を算出する損害算出ステップと、上記損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとで構成され、地震損害評価システムのユーザーの操作により、演算処理装置3で実行されて最終的に期待損害を算出できるようになっている。
【0132】
そして、具体的には、たとえば、第3の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理は、第3の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理手順300を示すフローチャートである図10に示すような手順で処理される。そして、第2の実施の形態の地震損害評価システムが構造物および構造物内収容物の損害額を算出するのに換えて、第3の実施の形態の地震損害評価システムでは、構造物における死者数および負傷者数の損害を算出するようになっている。したがって、この損害算出ステップ以外のステップについては、 第2の実施の形態と同様であるので、同様のステップについては、同様の符号を付するのみとしてその説明を省略する。
【0133】
そして、第2の実施の形態と異なる損害算出ステップについて、詳細に説明すると、図10に示すように、損害算出ステップ301の算出結果は、ステップ107の期待損害の演算時に必要となるので、第2の実施の形態の損害額算出ステップ106に換えて損害算出ステップ301を設ければよいこととなる。
【0134】
そして、この損害算出ステップ301の具体的処理は、演算処理装置3が、任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を入力として、ステップ101で入力された構造物の設計情報に基づき損害額を算出する。
【0135】
そして、より具体的には、フラジリティ曲線を用いて、演算される。詳しく説明すると、構造物の地震応答値のうち層間変形角と、構造物の構造および築年数に対応するフラジリティ曲線と、構造物の延べ床面積と使用態様とから想定される構造物内の収容人数と、を用いて算出される。なお、フラジリティ曲線は、死者数および負傷者数に対応するものが使用されるが、演算処理装置3は、このフラジリティ曲線をあらかじめ記憶装置1内に格納しておくことにより、構造物の設計情報から最適なフラジリティ曲線を抽出できるように設定されている。また、上述したところでは、構造物の延べ床面積、使用態様等の設計情報から、構造物内の収容人数を演算処理装置3が算出できるように設定されているが、ステップ101にて、構造物内に実際に収容される人数を入力してもよい。
【0136】
ここで、フラジリティ曲線は、上述したように、地震応答と被害との相関関係を示すものであり、縦軸は確率を示し、横軸は地震応答値を示しており、第1の実施の形態と同様であるので図示はしないが、縦軸と横軸で作られる平面はフラジリティ曲線によって複数の領域N,S,M,E,Cに分割されており、この領域は、領域毎に構造物のうける損傷の状態を表しており、以下、領域Nは被害が無いことを示しており、領域Sは構造物が小破すること示しており、領域Mは構造物が中破すること示しており、領域Eは構造物が大破すること示しており、領域Cは構造物が全壊すること示している。
【0137】
また、演算の手法も第1の実施の形態の損害額の演算手法と同様であり、各領域毎の出現確率を算出し、構造物の収容人数と、各領域毎の死傷者割合および負傷者割合と、上記各領域の出現確率と、から死者数および負傷者数を示す損害が算出される。具体的には、各損傷の状態毎の死傷者および負傷者の数を示す損害が計算されるが、各損傷状態毎の死傷者割合および負傷者割合と収容人数とを乗算して各損傷状態における損害を算出し、さらに、この各損傷状態における損害と対応する出現確率とを乗算し、こうして得られた各結果全てがさらに合算される。この演算は構造物の各階層毎に行われ、各階層毎に得られた加算結果がさらに全て合算されることにより死者数および負傷者数を示す、死者数および負傷者数の損害が算出される。ここで、上述の各領域毎の死傷者割合および負傷者割合は、あらかじめ記憶装置1内に格納されており、演算処理装置3が適宜参照できるようになっている。なお、構造物の各階層毎に死者数および負傷者数を算出する場合には、各階層毎の収容人数を構造物の設計情報から想定もしくは実際の各階層毎の収容人数を入力して、これらの収容人数と、各領域毎、すなわち各損傷状態毎の死傷者割合および負傷者割合と、上記各領域の出現確率と、から死者数および負傷者数の損害が算出される。
【0138】
すなわち、構造物の各階層毎の損傷状態から各階層毎の死傷者数および負傷者数の損害を算出して、それら各階層毎の損害をトータルしたものが死者数および負傷者数の損害となるのである。したがって、ここで言う損害は期待値として把握される。また、この死者数および負傷者数の損害は、第1の実施の形態と同様に震源域毎に行われる。
【0139】
なお、上述したところでは、死者数および負傷者数の損害を各階層毎の死者数および負傷者数の損害をトータルすることで算出しているが、これに換えて、構造物の最大応答加速度と死者数および負傷者数の損害状態との相関関係を示すフラジリティ曲線を利用して、直接死者数および負傷者数の全体の損害を算出するとしてもよいが、各階層毎に損害を算出するほうが精密に損害を算出可能である。
【0140】
さらに、上記演算後、演算処理装置3は、ステップ107で、期待損害を演算する。すなわち、死者数および負傷者数の損害と構造物および構造物内収容物の残存耐用期間中の震源域における地震発生率とから期待損害を演算する。すなわち、死者数および負傷者数の損害と震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とから期待損害を演算する。震源域における地震発生率については第2の実施の形態と同様に演算処理装置3が各種地震情報のデータベースを参照して演算する。そして、この震源域における地震発生率とその震源域が及ぼす死者数および負傷者数の損害を乗算する。この演算を震源域毎に行い、この演算結果を全てトータルすることで期待損害が演算される。具体的には、上述の式(D)により期待損害が算出される。ただし、この場合には、式(D)中のE[C ]は震源域毎に生じる死者数および負傷者数の期待値としての損害を示す。
【0141】
最後に、この死者数および負傷者数の期待損害がステップ108の処理によりディスプレイやプリンタ等の表示装置により表示される。ここで、表示方法としては、死者数および負傷者数の損害をそれぞれ別々に表示する。
【0142】
そして、この第3の実施の形態の地震損害評価システムによれば、単に任意地点と震源域との間の距離から任意地点における地震動強さを導くのではなく、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊から任意地点における地震動の時刻歴を模擬的に生成し構造物の地震応答解析を行っているので、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムに比較して精緻な地震応答解析を行うことができる。
【0143】
さらに、精緻な地震応答解析が行えるので、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムに比較して精緻な損害評価が可能となり、その結果、信頼度の高い地震損害評価が可能となるのである。
【0144】
そして、断層パラメータを使用する場合には、任意地点における地震基盤面の地震動の精密な時刻歴を模擬的に生成することができ、かつ、地下構造および表層地盤データを使用する場合には、任意地点における地表面の地震動の精密な時刻歴を模擬的に生成することができ、さらに、工学基盤面の地震動の時刻歴から地表面の地震動の時刻歴を生成する手法に比較して、地震基盤面と工学基盤面との間に位置する岩盤等の影響をも考慮でき地表面の地震動の時刻歴を正確に生成することができるので、より一層、精密な構造物の地震応答解析ができ、その結果、より一層信頼度の高い地震損害評価を行うことができる。
【0145】
また、任意地点に地震動を及ぼす可能性のある震源域全てについて、地震損害評価をすることができ、さらに、構造物の各階層毎に損害評価するで、この点でも、精度の高い地震損害評価ができる。
【0146】
さて、この第3の実施の形態における地震損害評価システムは、たとえば、以下のように使用される。この地震損害評価システムにあっては、上述のように、地震動による任意地点における構造物で生じる死者数および負傷者数の期待損害を算出することができることから、現存する構造物において将来発生する可能性のある地震動による死者数および負傷者数の損害を算出可能である。すると、また、構造物の入居者は、入居候補の構造物ごとに期待損害を算出すれば、将来発生するであろう損害が把握可能となるので、期待損害が最低となる構造物に入居することができるようになり、入居者は最適な構造物を選択することができるようになり、経営上のリスクマネジメントが容易となると同時に、期待損害に応じた生命保険、火災保険の保険金額の想定が容易となる。
【0147】
また、これから構造物を建設する場合には、構造物の設計情報に基づいて、将来発生する期待損害を算出することができるので、たとえば、構造物に免震、制振装置を導入する場合の損害と、同装置を導入しない場合の損害とを比較することができるので、上記免震、制振装置を導入の可否選択が容易となる。
【0148】
また、この第3の実施の形態の地震損害評価システムでは、精緻に損害を算出可能であるから、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムを使用した場合に比較して、構造物のオーナー、入居者は、信頼度の高い損害を算出可能となるから、より正確な経営判断をすることが可能となるのである。
【0149】
なお、第3の実施の形態にあっても、第1の実施の形態と同様に、選択した震源域において発生しうるマグニチュードが複数存在する震源域においては、マグニチュード毎に損害を算出して、そのマグニチュード毎の損害とマグニチュード毎の地震発生率とから期待損害を演算するとしてもよいことは勿論である。この場合には、具体的には、上述の式(E)により演算されることとなる。ただし、この場合には、式(E)中のE[C(m)]は各震源域のマグニチュード毎に生じる死者数および負傷者数の期待値としての損害を示す。
【0150】
最後に、第4の実施の形態における地震損害評価システムについて説明する。第4の実施の形態においても、第1の実施の形態における地震損害評価システムと同様に、記憶媒体たる記憶装置1と、入力装置2と、演算処理装置3と、表示装置4とから構成され、記憶装置1には、本発明の第1の実施の形態の地震損害評価プログラムおよびこの地震損害評価プログラムで使用される1つ以上の震源域における過去地震の発生年月日、震源域の位置、震源位置(緯度、経度、深さ)、マグニチュード、活断層の位置、発生率および断層パラメータ等の地震動の発生要因となる各種地震情報のデータベースが格納されており、その他、入力装置2、演算処理装置3、表示装置4については第1の実施の形態と同様の構成である。
【0151】
そして、第4の実施の形態における地震損害評価プログラムは、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面における地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出する損害算出ステップと、上記マグニチュード毎の損害額と上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップと、を備えており、地震基盤面時刻歴生成ステップの任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する過程と、任意地点時刻歴生成ステップの生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する過程と、解析ステップの任意地点における構造物の地震応答を解析する過程と、上記損害額算出ステップの損害額算出過程および損害算出ステップの損害算出過程の各過程における不確定要素にモンテカルロ法を適用し損害額および損害を複数個演算して損害額および損害の期待値を算出し、期待損害算出ステップが当該期待値と構造物および構造物内収容物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づいて期待損害を算出するようになっている。
【0152】
すなわち、第2の実施の形態の地震損害プログラムに、第3の実施の形態と同様の死者数および負傷者数の損害算出ステップを加えて、さらに、各ステップにおける不確定要素にモンテカルロ法を適用して損害額と損害の期待値を算出して、この期待値にから期待損害を演算するものである。
【0153】
そして、具体的には、たとえば、第4の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理は、第4の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理手順400を示すフローチャートである図11に示すような手順で処理される。
【0154】
以下、各ステップについて説明すると、まず、第4の実施の形態における地震損害評価システムを利用するユーザーが、ステップ401で入力装置2を介して任意地点たる構造物位置と構造物の設計情報と構造物内収容物の収容物情報を地震損害評価システムに入力する。すると、上記構造物位置、構造物の設計情報、収容物情報等は記憶装置1に格納される。つづいて、ステップ402では、演算処理装置3が入力された構造物位置から、上記各種地震情報のデータベースを参照して、この構造物位置に地震動を及ぼす可能性がある震源域を選択する。なお、選択の方法は、第1の実施の形態において説明したとおりである。
【0155】
さらに、ステップ403では、第4の実施の形態における地震損害評価システムのユーザーが、選択された震源域を参照しながら、サンプル数を入力する。このサンプル数は、モンテカルロ法を適用して損害額および損害の期待値を演算する上で必要となるもので、サンプル毎にモンテカルロ法が適用されるので、サンプル数が多ければ多いほど、最終的に算出される期待損害は、上記各算出過程における不確定要素に起因するばらつきが少ない理想的な数値となる。なお、本実施の形態においては、サンプル数をユーザーが入力しているが、選択される震源域のマグニチュードの地震毎につき、サンプル数を自動的にたとえば100とし、あるいは、震源域毎や震源域毎のマグニチュードの地震毎にあらかじめサンプル数を決めておいて、ユーザーの入力を待たずに演算処理装置3が自動的に演算を行うとしてもよい。
【0156】
つづいて、ステップ404では、選択された震源域の断層破壊による任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する。すなわち、演算処理装置3が記憶装置1内に格納されている各種地震情報のベータベースを参照して、選択した震源域毎に発生する地震の想定マグニチュードにより想定される選択された震源域の静的断層パラメータおよび動的断層パラメータを抽出して、この各断層パラメータから震源域における断層破壊を想定し、さらに、この震源域における断層破壊により引き起こされる任意地点たる構造物位置における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する。ここで、選択した震源域に発生する地震の想定マグニチュードにより演算処理装置3が最適となる断層パラメータを抽出するように設定されている。なお、当該震源域の断層破壊を想定するのに想定マグニチュード毎に断層パラメータが抽出される。ここで、想定されるマグニチュードは、たとえば、1から10まで、1刻みで想定してもよいし、0.1や0.5刻みで想定してもよい。しかし、あまりマグニチュードを細分化しても、計算が複雑となるので実用的には、1刻みで想定すればよい。すなわち、1刻みで想定するのであれば、各ステップでマグニチュード毎に演算する際には、マグニチュードが1,2,3,4,5,6,7,8,9,10の各値をとった場合で、各値毎に演算実行される。このとき、断層パラメータは、モンテカルロ法により抽出される。すなわち、マグニチュードのある値に対してある程度断層パラメータは決まってくるが、一義的には断層パラメータは決定できない。そこで、モンテカルロ法を用いて、断層パラメータの各値を決定する。なお、モンテカルロ法を適用するに際しては、演算処理装置3に乱数を発生させて、この乱数に基づいて各値を決定していく。なお、上述のように各震源域で発生する地震のマグニチュード毎に、入力あるいは自動的に決定される数のサンプルをとることとなり、サンプル毎に損害額および損害の演算が行われる。
【0157】
そして、決定された断層パラメータで震源域における断層破壊をモデル化するとともに、当該震源域から任意地点までの距離から任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴が上述の式(B)を利用して生成される。
【0158】
また、この任意地点たる構造物位置における地震基盤面の地震動の時刻歴を、統計的グリーン関数法を用いる場合には、断層パラメータのみならず震源域内の断層破壊面の位置、断層破壊面内の震源位置、断層破壊面上のすべり量分布、小地震波の時刻歴等にもモンテカルロ法を適用して、上記震源域内の断層破壊面の位置、断層破壊面内の震源位置、断層破壊面上のすべり量分布、小地震波の時刻歴等を決定して演算処理を行う。
【0159】
そして、このステップ404では、任意地点たる構造物位置における地震基盤面に地震動を及ぼすステップ402で選択された各震源域のマグニチュード毎に、任意地点における地表面の地震動の時刻歴を算出する。
【0160】
そして、ステップ405では、演算処理装置3が、ステップ404で生成された任意地点たる構造物位置における地震基盤面の地震動の時刻歴から、任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を生成する。すなわち、演算処理装置3が、上記地震基盤面の地震動の時刻歴および任意地点たる構造物位置の地下構造および表層地盤データに基づいて任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を生成する。
【0161】
さて、地表面の地震動の時刻歴を生成する手法であるが、演算処理装置3が、ステップ404で得られた地震基盤面の地震動の時刻歴を、上記地下構造および表層地盤データから岩盤および表層地盤の力学特性に基づいて地表面の地震動の時刻歴に変換する演算処理を行う。
【0162】
ここで、地下構造および表層地盤データから得られる、上述の複数層で構成される表層地盤の力学特性、すなわち、各層のせん断波速度、密度、層厚、剛性の非線形性、減衰性の非線形性等の各数値はある程度採り得る幅があるので、この各値を決定するに際してモンテカルロ法を適用して、決定し、地表面の地震動の時刻歴を生成する。
【0163】
つづいて、ステップ406では、演算処理装置3が、ステップ405で演算された任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を入力として構造物の地震応答解析を行う。すなわち、演算処理装置3が、任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を入力として、ステップ401で入力された構造物の設計情報に基づき地震応答解析を行うが、より具体的には、構造物の力学特性、すなわち、構造物の設計情報に基づいて算出される構造物の各階層毎の重量、剛性、減衰性にモンテカルロ法を適用し、これらの値を決定して構造物の揺れの状態を演算し、結果として構造物の各階層毎の振動の最大応答加速度および層間変形角の地震応答値が算出される。
【0164】
さらに、ステップ407では、演算処理装置3が、ステップ406で得られた地震応答値に基づいて構造物および構造物内収容物の損害額と、死者数および負傷者数の損害が演算される。すなわち、演算処理装置3が、任意地点たる構造物位置における地表面の地震動の時刻歴を入力として、ステップ401で入力された構造物の設計情報および収容物情報に基づき損害額を算出する。そして、より具体的には、フラジリティ曲線を用いて、演算されるが、上述したところでは、フラジリティ曲線で仕切られる各領域と、地震応答値を示す点線とが交わる線分の長さで各領域の損害状態の出現率を算出していたが、本実施の形態のおいては、1つのサンプルがどの領域に属するかはモンテカルロ法により決定される。
【0165】
そして、モンテカルロ法により一意に発生させた損傷状態に対応する損害割合と構造物および構造物内収容物の再調達費用とから、すなわち、上記損害状態の出現率に基づいてモンテカルロ法により一意に発生された損傷状態に対応する損害割合に構造物および構造物内収容物の再調達費用を乗算して、そのサンプルにおける損害額が決定され、さらに、モンテカルロ法により決定された損傷状態とその損害割合と構造物の収容人数とからそのサンプルにおける損害が決定される。なお、この演算は構造物の各階層毎に行われ、各階層毎に得られた結果がさらに全て合算されることにより構造物と構造物内収容物の損害額が算出される。
【0166】
すなわち、構造物の各階層毎の損傷状態から各階層毎の構造物および構造物内収容物の損害額と、死者数および負傷者の損害を算出して、それら各階層毎の損害額をトータルしたものがそのサンプルにおける損害額および損害とされる。なお、上記算出を各階層毎に行わずに、直接全体の損害額と損害を計算するとしてもよい。
【0167】
以上で、1つのサンプルについて損害額および損害が算出されるが、これをステップ402で入力した各震源域の地震のマグニチュード毎のサンプル数の損害額および損害が算出されるまで、ステップ403からステップ407を繰り返す。
【0168】
そして、入力されたステップ数の数のサンプルが演算されると、ステップ408で損害額および損害の期待値を演算する。ここまでに、損害額および損害は、各震源域の地震のマグニチュード毎に入力されたサンプル数の数演算されているが、これらサンプルに基づいて、各震源域の地震のマグニチュード毎に損害額および損害の期待値を算出する。すなわち、ステップ408では、各震源域の地震のマグニチュード毎に損害額と損害の期待値が1つずつ算出される。
【0169】
つづいて、ステップ409では、演算処理装置3は、ステップ408で、演算した上記損害額と損害の期待値から期待損害を演算する。すなわち、損害額の期待値と各震源域の地震のマグニチュード毎の構造物および構造物内収容物の残存耐用期間中の地震発生率とから、および、損害の期待値と各震源域の地震のマグニチュード毎の構造物の残存耐用期間中の地震発生率とから期待損害を演算する。具体的には、上述の式(E)を用いて演算される。ただし、この場合には、式(E)中のE[C(m)]は各震源域のマグニチュード毎に生じる構造物および構造物内収容物の期待値としての損害額と、死者数および負傷者数の期待値としての損害の両方を示す。なお、本実施の形態のおいては、震源域における地震のマグニチュード毎の地震発生率については各種地震情報のデータベースを参照して、その震源域における地震のマグニチュード毎の地震発生率を抽出し、この震源域における地震のマグニチュード毎の地震発生率とその震源域が及ぼす構造物および構造物内収容物の損害額の期待値、および、死者数および負傷者数の損害の期待値とを乗算しているが、上記地震発生率を第2の実施の形態同様に、演算してもよい。
【0170】
最後に、構造物および構造物内収容物と死者数および負傷者数の期待損害がステップ410の処理によりディスプレイやプリンタ等の表示装置により表示されるが、構造物および構造物内収容物の期待損害と死者数および負傷者数の期待損害をそれぞれ別々に表示する。なお、構造物の損害額および構造物内収容物の損害額を合算したものも同時に表示してもよい。
【0171】
したがって、上記各実施の形態の作用効果を奏することは無論のこととして、この第4の実施の形態の地震損害評価システムによれば、本実施の形態では、サンプル毎にステップ403からステップ407の演算過程において一義的には決定できない不確定要素について、モンテカルロ法を適用して、期待損害を算出しているので、偏りが少ない理想的な演算結果が得られることとなる。すなわち、演算結果に偏りが少なくなるので、より平均的で信頼度の高い期待損害の値が得られる。
【0172】
また、この第4の実施の形態の地震損害評価システムは、第1の実施の形態と同様に使用され、上述のように、地震動による任意地点における構造物および構造物内収容物および死者数および負傷者数の平均的で信頼度の高い期待損害を算出することができることから、構造物のオーナー、構造物に入居もしくは入居しようとする者、構造物を建設しようとする者および火災保険会社等は、第1の実施の形態で述べたメリットを享受することが可能となる。
【0173】
また、この地震損害評価システムに期待損害を演算することに加え、上記期待損害と構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の調達費用とに基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のライフサイクルコストを算出するライフサイクルコスト算出ステップを設けて、構造物および構造物内収容物の調達費用、すなわち、初期コストをステップ401で入力し、ステップ409で算出する期待損害にこの初期コストを加算して、耐用年数内に生じるであろうコスト、すなわち、ライフサイクルコストを演算するようにしておけば、構造物に免震、制振装置を導入する場合のライフサイクルコストと、同装置を導入しない場合のライフサイクルコストとを比較することができるようになるので、この場合には、免震、制振装置の損害発生抑制の費用対効果を認識することが可能となり、より一層上記免震、制振装置を導入の可否選択が容易となる。なお、この場合ライフサイクルコスト算出手段は、地震損害評価プログラムのライフサイクルコスト算出ステップと地震損害評価プログラムを実行する演算処理装置3で構成されることとなる。そして、具体的には、たとえば、第1の実施の形態と同様にライフサイクルコストは、上述の式(F)により演算されることとなる。ただし、この場合には、式(F)中のE[C(m)]は各震源域のマグニチュード毎に生じる構造物および構造物内収容物の期待値としての損害額と、死者数および負傷者数の期待値としての損害の両方を示す。
【0174】
また、上述のようにライフサイクルコストを算出するようにしておけば、構造物の設計プラン毎に、構造物の耐用年数内に生じるであろうコストを比較できることとなる。したがって、構造物をこれから建設しようとする者は、あらかじめ、信頼度の高い設計プラン毎に生じるライフサイクルコストを容易に把握できるので、最適な設計プランを選択できるだけでなく、無駄な支出を防止することができる。
【0175】
また、この地震損害評価システムでは、期待損害を算出可能であるから、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムを使用した場合に比較して、構造物のオーナー、入居者、火災保険会社等は、信頼度の高い期待損害を算出可能となるから、より正確な経営判断をすることが可能となるのである。
【0176】
なお、損害額について、構造物および構造物内収容物の再調達費用から算出しているが、第1の実施の形態と同様に、この構造物および構造物内収容物の再調達費用に加えて、機能損失時間を勘案して、その損失時間に構造物および構造物内収容物が獲得できなかった利益を損害と見なして、損害額にこの利益を加算して演算するとしてもよい。
【0177】
上述のように地震損害評価システムは構成されるが、この本実施の形態の場合、地震損害評価プログラムと地震損害評価プログラムを実行する演算処理装置3が、後述の地震基盤面時刻歴生成手段、任意地点時刻歴生成手段、解析手段、損害額算出手段、期待損害算出手段、損害算出手段、地震発生率算出手段、期待値算出手段、となる。そして、表示手段は表示装置4となる。
【0178】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【0179】
【発明の効果】
本発明によれば、単に任意地点と震源域との間の距離から任意地点における地震動強さを導くのではなく、任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊から任意地点における地震動の時刻歴を模擬的に生成し構造物の地震応答解析を行っているので、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムに比較して精緻な地震応答解析を行うことができる。
【0180】
さらに、精緻な地震応答解析が行えるので、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムに比較して精緻な損害評価が可能となり、その結果、信頼度の高い地震損害評価が可能となるのである。
【0181】
そして、断層パラメータを使用する場合には、任意地点における地震基盤面の地震動の精密な時刻歴を模擬的に生成することができ、かつ、地下構造および表層地盤データを使用する場合には、任意地点における地表面の地震動の精密な時刻歴を模擬的に生成することができ、さらに、工学基盤面の地震動の時刻歴から地表面の地震動の時刻歴を生成する手法に比較して、地震基盤面と工学基盤面との間に位置する岩盤等の影響をも考慮でき地表面の地震動の時刻歴を正確に生成することができるので、より一層、精密な構造物の地震応答解析ができ、その結果、より一層信頼度の高い地震損害評価を行うことができる。
【0182】
また、地震動による任意地点における構造物および構造物内収容物の期待損害を算出することができることから、現存する構造物およびその構造物内の収容物の将来発生する可能性のある地震動による期待損害を算出可能である。すると、構造物のオーナーは、この損害額から将来発生するであろう損害に対する修繕費の積み立てを行ったり、火災保険に加入したりといった対応が可能となり、この期待損害は、上記失われるであろう利益を含めてコストとして認識することが可能であるので、特に構造物を賃貸して収入を得る場合については、地震によるコストを正確に把握できるので、構造物の経営が容易となる。また、構造物の入居者についても、同様の対応が可能となるばかりでなく、入居候補の構造物ごとに期待損害を算出すれば、将来発生するコストの把握が可能であるので、たとえば、コストが最低となる構造物に入居することができるようになり、入居者は最適な構造物を選択することができるようになる。
【0183】
また、これから構造物を建設する場合には、構造物の設計情報に基づいて、将来発生する期待損害を算出することができるので、たとえば、構造物に免震、制振装置を導入する場合の期待損害と、同装置を導入しない場合の期待損害とを比較することができるので、上記免震、制振装置を導入の可否選択が容易となる。
【0184】
また、任意地点に地震動を及ぼす可能性のある震源域全てについて、地震損害評価をすることができると同時に、構造物の各階層毎に損害評価する場合には、より一層精度の高い地震損害評価ができる。
【0185】
さらに、マグニチュード毎に損害額を算出して期待損害を演算する場合には、より一層精度の高い地震損害評価が可能となる。
【0186】
このとき、ライフサイクルコストを算出する場合には、免震、制振装置の損害発生抑制の費用対効果を認識することが可能となり、より一層上記免震、制振装置を導入の可否選択が容易となる。また、上述のようにライフサイクルコストを算出するようにしておけば、構造物の設計プラン毎に、構造物の耐用年数内に生じるであろうコストを比較できることとなる。したがって、構造物をこれから建設しようとする者は、あらかじめ、信頼度の高い設計プラン毎に生じるライフサイクルコストを容易に把握できるので、最適な設計プランを選択できるだけでなく、無駄な支出を防止することができる。
【0187】
他方、火災保険会社等においても、任意地点における現存および将来建築される構造物の地震による期待損害を算出することが可能であるので、保険掛け金の設定や保険の設計が容易となる。
【0188】
また、この地震損害評価システムでは、精緻に期待損害を算出可能であるから、従来の損害評価システムおよび損害評価プログラムを使用した場合に比較して、構造物のオーナー、入居者、火災保険会社等は、信頼度の高い期待損害を算出可能となるから、より正確な経営判断をすることが可能となるのである。
【0189】
そして、地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する過程で統計的グリーン関数法を用いた場合には、震源域における断層パラメータの他に震源域付近の物性値等も考慮されるために、地震基盤面の地震動の時刻歴を巨視的断層パラメータと構造物位置と震源域との間の距離とから算出する場合に比較して、より精密に算出することが可能であり、また、その演算処理についても、演算処理装置における演算処理時間も、算出方法がさほど複雑とならないので、断層パラメータと構造物位置と震源域との間の距離とから算出する場合に比較して、遜色がない。
【0190】
また、この任意地点たる構造物位置における地表面の時刻歴を生成する過程で一次元重複反射理論を用いる場合には、複数層で構成される表層地盤の力学特性、すなわち、各層のせん断波速度、密度、層厚、剛性の非線形性、減衰性の非線形性等を考慮して地表面の地震動の時刻歴を生成するので、より精密に、地表面の地震動の時刻歴を算出することが可能である。
【0191】
さらに、一義的には決定できない不確定要素について、モンテカルロ法を適用して、期待損害を算出する場合には、偏りが少ない理想的な演算結果が得られることとなる。すなわち、演算結果に偏りが少なくなるので、より平均的で信頼度の高い期待損害の値が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における地震損害評価システムの構成を示す概念図である。
【図2】第1の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】静的断層パラメータの各値の説明図である。
【図4】統計的グリーン関数法および一次元重複反射理論を概念的に示した図である。
【図5】構造物を質点直列せん断モデルした場合の弾塑性応答解析の概念図である。
【図6】フラジリティ曲線の一例を示す図である。
【図7】損傷状態毎の構造物および構造物内収容物の再調達費用に対する損害割合の一例を示した図である。
【図8】機能復旧曲線の一例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第4の実施の形態における地震損害評価プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 記憶装置
2 入力装置
3 演算処理装置
4 表示装置
100,200,300,400 地震損害処理プログラムの処理手順

Claims (48)

  1. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出手段と、上記損害額と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた地震損害評価システム。
  2. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出する損害算出手段と、上記損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた地震損害評価システム。
  3. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出する損害算出手段と、上記損害額と損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた地震損害評価システム。
  4. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出する損害額算出手段と、上記マグニチュード毎の損害額と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた地震損害評価システム。
  5. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出する損害算出手段と、上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた地震損害評価システム。
  6. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成手段と、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成手段と、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出する損害額算出手段と、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出する損害算出手段と、上記マグニチュード毎の損害額と上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出手段とを備えた地震損害評価システム。
  7. 上記損害額が構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の修理、再調達費用および機能損失時間の一方又はその両方に対する損失利益であることを特徴とする請求項1,3,4または6に記載の地震損害評価システム。
  8. 上記期待損害と構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の調達費用とに基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のライフサイクルコストを算出するライフサイクルコスト算出手段を備えた請求項1,3,4,6または7に記載の地震損害評価システム。
  9. 構造物の残存耐用期間中の上記震源域における地震発生率を地震発生率算出手段が算出することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の地震損害評価システム。
  10. 任意地点に地震動を及ぼす震源域における過去地震の発生年月日、マグニチュードおよび発生率を含む地震情報を格納した地震情報データベースを備え、当該地震情報データベースの格納情報に基づき地震発生率算出手段が構造物の残存耐用期間中の上記震源域における地震発生率を算出することを特徴とする請求項9に記載の地震損害評価システム。
  11. 上記損害額および損害の一方又はその両方を、構造物の階層毎に分けて演算し、その演算結果を合算したものとすることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の地震損害評価システム。
  12. 地震基盤面時刻歴生成手段が任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を震源域における断層パラメータに基づいて生成することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の地震損害評価システム。
  13. 任意地点時刻歴生成手段が生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を任意地点における地下構造と表層地盤とに基づいて生成することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の地震損害評価システム。
  14. 地震基盤面時刻歴生成手段が任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を統計的グリーン関数法を用いて生成することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の地震損害評価システム。
  15. 任意地点時刻歴生成手段が生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を一次元重複反射理論を用いて生成することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の地震損害評価システム。
  16. 地震基盤面時刻歴生成手段の任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する過程と、任意地点時刻歴生成手段の地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する過程と、解析手段の任意地点における構造物の地震応答を解析する過程と、上記損害額算出手段の損害額算出過程もしくは損害算出手段の損害算出過程の一方またはその両方の各過程における不確定要素にモンテカルロ法を適用し損害額もしくは損害一方またはその両方を複数個演算して損害額もしくは損害一方またはその両方の期待値を算出する期待値算出手段を備え、期待損害算出手段が当該期待値と構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づいて期待損害を算出することを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の地震損害評価システム。
  17. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記損害額と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる地震損害評価プログラム。
  18. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出する損害算出ステップと、上記損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる地震損害評価プログラム。
  19. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出する損害算出ステップと、上記損害額と損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる地震損害評価プログラム。
  20. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記マグニチュード毎の損害額と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる地震損害評価プログラム。
  21. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出する損害算出ステップと、上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる地震損害評価プログラム。
  22. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成する地震基盤面時刻歴生成ステップと、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成する任意地点時刻歴生成ステップと、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析する解析ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出する損害額算出ステップと、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出する損害算出ステップと、上記マグニチュード毎の損害額と上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出する期待損害算出ステップとをコンピュータに実行させる地震損害評価プログラム。
  23. 上記損害額が構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の再調達費用および機能損失時間の一方又はその両方に対する損失利益であることを特徴とする請求項17,19,20または22に記載の地震損害評価プログラム。
  24. 上記期待損害と構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の調達費用とに基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のライフサイクルコストを算出するライフサイクルコスト算出ステップを備えた請求項17,19,20,22または23に記載の地震損害評価システム。
  25. 構造物の残存耐用期間中の上記震源域における地震発生率を算出する地震発生率算出ステップを備えたことを特徴とする請求項17から24のいずれかに記載の地震損害評価プログラム。
  26. 任意地点に地震動を及ぼす震源域における過去地震の発生年月日、マグニチュードおよび発生率を含む地震情報を格納した地震情報データベースを備え、当該地震情報データベースの格納情報に基づき構造物の残存耐用期間中の上記震源域における地震発生率を算出する地震発生率算出ステップを備えたことを特徴とする請求項23に記載の地震損害評価プログラム。
  27. 上記損害額算出ステップおよび損害算出ステップの一方又はその両方では、構造物の階層毎に分けて演算し、その演算結果を合算することを特徴とする請求項17から26のいずれかに記載の地震損害評価プログラム。
  28. 地震基盤面時刻歴生成ステップでは任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を震源域における断層パラメータに基づいて生成することを特徴とする請求項17から27のいずれかに記載の地震損害評価プログラム。
  29. 任意地点時刻歴生成ステップでは生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を任意地点における地下構造と表層地盤とに基づいて生成することを特徴とする請求項17から28のいずれかに記載の地震損害評価プログラム。
  30. 地震基盤面時刻歴生成ステップでは任意地点における地震基盤面地震動の時刻歴を統計的グリーン関数法を用いて生成することを特徴とする請求項17から29のいずれかに記載の地震損害評価プログラム。
  31. 任意地点時刻歴生成ステップでは地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を一次元重複反射理論を用いて生成することを特徴とする請求項17から30のいずれかに記載の地震損害評価プログラム。
  32. 地震基盤面時刻歴生成ステップの任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する過程と、任意地点時刻歴生成ステップの生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する過程と、解析ステップの任意地点における構造物の地震応答を解析する過程と、上記損害額算出ステップの損害額算出過程もしくは損害算出ステップの損害算出過程の一方またはその両方の各過程における不確定要素にモンテカルロ法を適用し損害額もしくは損害一方またはその両方を複数個演算して損害額もしくは損害一方またはその両方の期待値を算出し、期待損害算出ステップが当該期待値と構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づいて期待損害を算出することを特徴とする請求項17から31のいずれかに記載の地震損害評価プログラム。
  33. 請求項17から32のいずれかに記載の地震損害評価プログラムを記録した記録媒体。
  34. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成し、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出し、上記損害額と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする地震損害評価方法。
  35. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成し、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出し、上記損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする地震損害評価方法。
  36. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成し、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動の時刻歴に基づき任意地点における構造物の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の損害額を算出し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方の損害を算出し、上記損害額と損害と上記震源域における構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする地震損害評価方法。
  37. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成し、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出し、上記マグニチュード毎の損害額と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする地震損害評価方法。
  38. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成し、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出し、上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする地震損害評価方法。
  39. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴をマグニチュード毎に生成し、生成した地震基盤面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴から任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴を生成し、得られた任意地点における地表面の地震動のマグニチュード毎の時刻歴に基づき任意地点における構造物のマグニチュード毎の地震応答を解析し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害額を算出し、上記地震応答の解析結果に基づき構造物における死者数および負傷者数の一方又はその両方のマグニチュード毎の損害を算出し、上記マグニチュード毎の損害額と上記マグニチュード毎の損害と上記震源域における各マグニチュードに対応する構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づき期待損害を算出することを特徴とする地震損害評価方法。
  40. 上記損害額が構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の再調達費用および機能損失時間の一方又はその両方に対する損失利益であることを特徴とする請求項34,36,37または39に記載の地震損害評価方法。
  41. 上記期待損害と構造物および構造物内収容物の一方又はその両方の調達費用とに基づき構造物および構造物内収容物の一方又はその両方のライフサイクルコストを算出する請求項34,36,37,39または40に記載の地震損害評価方法。
  42. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の歴史地震の発生年月日、マグニチュードおよび発生率の地震情報から地震発生率を算出することを特徴とする請求項34から41のいずれかに記載の地震損害評価方法。
  43. 上記損害額および損害の一方又はその両方を、構造物の階層毎に分けて演算し、その演算結果を合算して算出することを特徴とする請求項34から42のいずれかに記載の地震損害評価方法。
  44. 任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を断層パラメータに基づいて生成することを特徴とする請求項34から43のいずれかに記載の地震損害評価方法。
  45. 任意地点における地表面の地震動の時刻歴を任意地点における地下構造と表層地盤とに基づいて生成することを特徴とする請求項34から44のいずれかに記載の地震損害評価方法。
  46. 任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を統計的グリーン関数法を用いて生成することを特徴とする請求項34から45のいずれかに記載の地震損害評価方法。
  47. 生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を一次元重複反射理論を用いて生成することを特徴とする請求項34から46のいずれかに記載の地震損害評価方法。
  48. 任意地点に地震動を及ぼす震源域の断層破壊により生じる任意地点における地震基盤面の地震動の時刻歴を生成する過程と、生成した地震基盤面の地震動の時刻歴から任意地点における地表面の地震動の時刻歴を生成する過程と、任意地点における構造物の地震応答を解析する過程と、損害額算出過程もしくは損害算出過程の一方またはその両方の各過程における不確定要素にモンテカルロ法を適用し損害額もしくは損害一方またはその両方を複数個演算して損害額もしくは損害一方またはその両方の期待値を算出し、当該期待値と構造物の残存耐用期間中の地震発生率とに基づいて期待損害を算出することを特徴とする請求項34から47のいずれかに記載の地震損害評価方法。
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