JP2007051987A - 斜面崩壊および構造物被害のエネルギーによる評価方法およびエネルギー測定装置 - Google Patents

斜面崩壊および構造物被害のエネルギーによる評価方法およびエネルギー測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 斜面崩壊の開始条件を高い精度で評価することができる評価方法を提供する。
【解決手段】 本発明の評価方法は、逸散減衰エネルギーデータとエネルギー閾値データと地盤の地形、地質および地盤構造データとを保持するコンピュータにより実行され、地震規模を表すマグニチュードおよび震源データの入力に応答して、震源から斜面までの震源距離を算出し、震源距離と地形、地質および地盤構造データとから基盤における地震動の入射エネルギーデータを生成するステップ(520)と、入射エネルギーデータと逸散減衰エネルギーデータとから、地盤に入力されるエネルギーデータを生成し(530)、地盤に入力されるエネルギー量がエネルギー閾値より大きいか否かを判定するステップ(540)とを含み、斜面が崩壊するか否か、崩壊する場合にはその流動距離や衝撃力等を評価させることを特徴とする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、地震時における擁壁を含む斜面の崩壊および構造物被害に関わるエネルギー収支に基づいて、斜面崩壊の開始条件や崩壊土砂の流動量等、構造物の崩壊等の被害を評価するための評価方法および該構造物被害の評価に必要とされるエネルギーを測定するための装置に関する。
斜面の安定性の評価は、滑り面を仮定して、滑動力と抵抗力のバランスから安全率を求める斜面安定計算により行われている。地震時における斜面の安定性は、静的震度を考慮した滑り面法や、加速度時刻歴を用いたNewmark法により評価されている(例えば、特許文献1参照)。
Newmark法は、安全率のほか、滑り土塊の滑り面に沿った変形量も算出することができる。なお、このNewmark法は、滑り面上に沿って滑る土塊を剛体として仮定し、潜在的に滑る剛体土塊に加わる地震加速度の二重積分に基づき、仮定した滑り面に沿って斜面変位を計算する方法である。
しかしながら、滑り面法やNewmark法では、斜面崩壊の開始条件を正確に表すことができず、また、破壊後の大きな流動量や斜面下方への影響範囲の評価を行うことができないといった問題があった。すなわち、これらの方法では、斜面の崩壊開始条件を地震加速度で評価しているが、この地震加速度では地震動が異なれば破壊が開始する加速度も異なるため、一意的に定義することができず、正確に表すことはできない。また、斜面の崩壊が始まり、土塊が下方に大きく流動する場合に、地震加速度からは流動量を評価することができず、また、斜面崩壊により崩壊した土砂が下流へ流動する距離を計算することはできない。Newmark法では、単一の滑り面上の剛体滑りが前提であるため、間隙水圧上昇等による斜面地盤の強度低下の効果が十分に評価されないといった問題がある。これは、実際の大規模斜面崩壊では、滑り土塊は剛体とは異なる大きなせん断変形を示し、明瞭な滑り面なしに変形する場合が多く、また、土の強度が崩壊後に極端に減少する場合に、剛体的滑りから流動破壊に変わり、より破壊的になる傾向が見られるからである。その結果、上記方法では高い精度で評価を行うことはできず、自然、人工斜面の地震時における被害評価や、ハザードマップ作成に適用するには不十分であった。近い将来に起こるであろう、東海地震等の大地震において、地震のマグニチュードと震源距離からの斜面全体の危険度評価を簡便かつ統一的に、また、フィルダム、高速鉄道、高速道路の周辺斜面、原子力施設周辺斜面、河川堤防等の重要な斜面構造物の個別の地震被害想定にも高い精度で評価することができる評価方法の提供が望まれている。
従来の滑り面法やNewmark法の上記問題に鑑み、地震時の斜面崩壊に係わる波動エネルギーや位置エネルギーなどの収支に着目し、斜面の変形量を評価できる方法が提案されている(例えば、非特許文献1〜非特許文献4参照)。
これらの方法では、地震の波動エネルギーや位置エネルギーをエネルギー収支に取り入れ、斜面上の剛体ブロックの滑りをモデルとして取り入れ、単純化することにより、斜面崩壊により崩壊した土砂が下流へ流動する距離を理論的に計算することができる。
具体的には、エネルギー収支は次式で表すことができる。
Figure 2007051987
EQは、斜面の崩壊に使用される地震動エネルギーで、−δEは、位置エネルギーで、EDPは、崩壊土塊内で失われる損失エネルギーで、Eは、崩壊土塊の運動エネルギーである。位置エネルギーの変化量は通常、負であるため、上記式1では負の符号で表されている。滑りが開始される前、および、流動停止後は、運動エネルギーが0であるため、ブロック滑りに寄与する地震動エネルギーは、次式で表すことができる。
Figure 2007051987
δは斜面の残留水平変位、μは斜面の摩擦係数、βは斜面勾配(β=tanθ、θは傾斜角度を示す)、Mgは崩壊土砂の重量、すなわち質量Mに重力加速度gを乗じて得られる値を示す。この式2を参照すると、振幅、波長、震動の継続時間、震度が含まれておらず、地震動エネルギーEEQにより一意的に定義できることがわかる。また、この式2から、残留水平変位δを導くことができる。この残留水平変位δは、水平方向へ流動する距離を表すものである。
Figure 2007051987
上記式は、乾燥砂などの水分が不飽和の斜面に対する評価式であり、水分飽和状態では、斜面に対して法線方向の有効応力が地震の慣性力に依存せず、一定であるため、以下の式で表すことができる。
Figure 2007051987
Figure 2007051987
上記式4は、上記式2に相当する式で、上記式5は、上記式3に相当する式である。このように、理論上では、振幅や振動数、震度に関係なく、一意的に定義でき、また、斜面崩壊により崩壊した土砂が下流へ流動する距離を計算することができる。しかしながら、実際には、例えば、静的傾斜実験により得られる安息角に対応した摩擦係数μを適用しても、実験値には一致せず、整合も良くないといった問題があった。
特開2004−362311号公報 國生剛治、本山隆一、万谷昌吾、本山寛、「表層地盤における地震波のエネルギーフローと性能設計」、[online]、2005年1月、日本地震工学会、インターネット、<URL:http://www.jaee.gr.jp/journal/submit-j/v04n04/040401_paper.pdf> 國生剛治、石澤友浩、原田朋史、「地震時斜面崩壊のエネルギー的評価方法」、土木学会地震工学論文集、2003年12月 國生剛治、石澤友浩、鈴木伸平、「入力波の振動数の違いによる斜面変形量と震動エネルギーの関係」、社団法人地盤工学会、2005年7月 國生剛治、石澤友浩、「エネルギー法による新しい地震時斜面流動量評価法」、社団法人地盤工学会、2005年7月
本発明は、上記問題に鑑み、斜面崩壊の開始条件を高い精度で評価することができ、崩壊土砂の流動量も高い精度で評価することができ、また、地震のマグニチュードと震源距離からの斜面全体の危険度評価を簡便かつ統一的に評価することができ、自然斜面の地震時における被害評価やハザードマップ作成に適し、フィルダム、高速鉄道、高速道路の周辺斜面、原子力施設周辺斜面、河川堤防等の重要な斜面構造物の個別の地震被害想定にも高い精度で評価することができ、さらには、一般的な構造物の被害を評価することもできる評価方法を提供することを目的とする。また、本発明は、一般的な構造物の被害を評価するために必要とされる地震動の入力エネルギーを測定する測定装置も提供する。
本発明者が鋭意検討した結果、加速度や振動数に関係なく、崩壊土砂の水平流動距離と、震動エネルギーEEQとが比例関係で表され、摩擦係数を適切な値に設定することで、上記簡便な評価式を適用し、高い精度で評価できることを見出した。震動エネルギーは、実際に斜面地盤下部の基盤に入射される入射エネルギーを逸散減衰エネルギー(斜面を構成する地盤の震動エネルギーの一部が下部の地盤等に逃げていくことにより逸散されるエネルギー)で減算することにより得ることができるが、入射エネルギーは、加速度を積分して得られる震動速度からエネルギーフラックスを得、そのエネルギーフラックスからエネルギー累積値を得ることにより得られることを見出した。本発明は、これらのことを見出すことによりなされたものであり、上記課題は、本発明の評価方法および測定装置を提供することにより達成される。
すなわち、本発明の評価方法は、評価対象となる斜面を有する地盤から該地盤下部の基盤へと逸散するエネルギー量を表す逸散減衰エネルギーデータと、斜面の勾配および地盤の強度、地形、地質および地盤構造データにより決定され、斜面崩壊に必要とされるエネルギー量を表すエネルギー閾値データと、地形、地質および地盤構造データとを保持するコンピュータに、地震時の斜面崩壊をエネルギー収支に基づき評価させる方法であり、
地震規模を表すマグニチュードおよび震源データの入力に応答して、震源から斜面までの震源距離を算出し、震源距離と地形、地質および地盤構造データとから基盤における地震動の入射エネルギーデータを生成するステップと、
入射エネルギーデータと逸散減衰エネルギーデータとから、地盤に入力されるエネルギーデータを生成し、地盤に入力されるエネルギー量が前記エネルギー閾値より大きいか否かを判定するステップとを含み、斜面が崩壊するか否かを評価させるものである。
また、上記コンピュータは、さらに、地盤に入力されるエネルギー量がエネルギー閾値より大きいと判定した場合、地盤に入力されるエネルギーデータとエネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成し、地形、地質および地盤構造データから崩壊土の質量を算出し、地形データとして保持される地盤の斜面勾配データを用いて、質量から法線応力データを生成するステップと、地形、地質および地盤構造データにより決定され保持される摩擦係数データと、斜面勾配データと、法線応力データと、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータと、地形、地質および構造データから得られる崩壊面積データとを用いて、崩壊土の流動距離を算出するステップとを含み、崩壊土の流動範囲を評価させることもできる。
上記斜面が、水分が飽和した飽和斜面である場合、浮力として作用する水圧を減算して、質量から第2の法線応力データを生成するステップをさらに含み、上記摩擦係数データ等と、第2の法線応力データとを用いて、上記崩壊土の流動距離を算出することができる。
また、上記コンピュータは、さらに、地盤に入力されるエネルギーがエネルギー閾値より大きいと判定した場合、地盤に入力されるエネルギーデータとエネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成し、地形、地質および地盤構造データから崩壊土の質量を算出し、地形データとして保持される地盤の斜面勾配データを用いて、質量から法線応力データを生成するステップと、崩壊土の流動距離データの入力に応答して、地震動の振動数および斜面勾配に依存せず、地形、地質および地盤構造データ等により決定され保持される摩擦係数データと、斜面勾配データと、法線応力データと、地盤の地形、地質および構造データから得られる崩壊面積データとを用いて、入力された流動距離に対応するエネルギー量を表す流動途中のエネルギーデータを生成するステップと、流動途中のエネルギーデータと、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータとから運動エネルギーデータを生成するステップとを含み、流動途中における構造物への衝撃力を評価させることもできる。
本発明は、評価対象となる斜面を有する地盤から該地盤下部の基盤へと減衰するエネルギー量を表す逸散減衰エネルギーデータと、斜面の勾配および地盤の強度、地形、地質および地盤構造データにより決定され、斜面崩壊に必要とされるエネルギー量を表すエネルギー閾値データと、地形、地質および地盤構造データとを保持するコンピュータに、地震時の斜面崩壊をエネルギー収支に基づき評価する評価方法を実行させるプログラムも提供することができる。
フィルダム、高速鉄道、高速道路の周辺斜面、原子力施設周辺斜面、河川堤防等の重要な斜面構造物の個別の地震被害想定には、上記コンピュータと、設計用地震動を用いて、地震動の斜面崩壊をエネルギー収支に基づき評価させることができる。具体的には、設計用地震動の加速度データを積分して震動速度データを生成し、S波伝播速度データと、地盤の密度データと、生成した震動速度データとからエネルギーフラックスを算出し、エネルギーフラックスを積分して入射エネルギーデータを生成し、この入射エネルギーデータと逸散減衰エネルギーデータとから地盤に入力されるエネルギーデータを生成し、この地盤に入力されるエネルギーデータが示すエネルギー量が、エネルギー閾値より大きいか否かを判定することで評価させることができる。
これは、地盤上に構築された一般的な構造物の地震による被害を想定することを可能にする。すなわち、地盤上に構築される構造物から地盤へと逸散するエネルギー量を表す逸散減衰エネルギーデータと、構造物の強度、形状、材質、構造により決定され、構造物の被害に必要とされるエネルギー量を表すエネルギー閾値データとを保持するコンピュータと、加速度測定装置と計算手段とを含むエネルギー測定装置とを用いて、コンピュータに地震時の構造物の被害をエネルギー収支に基づき評価させることができる。この場合の評価方法は、加速度測定装置により地盤の震動加速度を測定するステップと、計算手段により加速度測定装置から震動加速度データを取得し、震動加速度データを積分して震動速度データを生成するステップと、S波伝播速度データと、地盤の密度データと、震動速度データとからエネルギーフラックスを算出し、エネルギーフラックスを積分して入射エネルギーデータを生成するステップと、入射エネルギーデータを計算手段からコンピュータに送信するステップと、コンピュータにより受信した入射エネルギーデータと逸散減衰エネルギーデータとから構造物に入力されるエネルギーデータを生成し、構造物に入力されるエネルギー量がエネルギー閾値より大きいか否かを判定するステップとを含む。
これにより、地震時の一般的な構造物の被害をエネルギー収支に基づき評価する評価方法に用いられるエネルギーを測定する装置を提供することもでき、このエネルギー測定装置は、地盤の震動加速度を測定する加速度測定装置と、加速度測定装置から震動加速度データを取得し、震動加速度データを積分して震動速度データを生成し、S波伝播速度データと地盤の密度データと震動速度データからエネルギーフラックスを算出し、エネルギーフラックスを積分して入射エネルギーデータを生成する計算手段とを含む。
本発明の評価方法を提供することにより、地震のマグニチュードと震源距離からの斜面崩壊の有無を高い精度で評価することができ、崩壊土の流動範囲を高い精度で評価することができ、また、危険度の評価も簡便かつ統一的に評価することができ、さらには、フィルダム、高速鉄道、高速道路の周辺斜面、原子力施設周辺斜面、河川堤防等の重要な斜面の個別の地震被害想定にも高い精度で評価することができる。また、一般的な構造物の地震による被害の想定も可能となる。さらに、本発明のエネルギー測定装置を提供することにより、地震直後に信頼性の高い被害評価が可能となり、算出されるエネルギーフラックスによって、脆性破壊をしやすい構造物の被害の評価を、また、算出される入射エネルギーによって、揺れが繰り返し続くことにより破壊される構造物の被害の評価をより高い精度で行うことができる。
本発明の評価方法は、地震動に対する斜面崩壊の開始条件、崩壊した場合の流動範囲、被害の程度、危険度、個別の構造物に対する被害を評価するために好適な方法である。すなわち、斜面が多く存在する山間地や宅地造成地の地域全体において、斜面崩壊が起こる可能性に加え、崩壊後の斜面下方への影響を受ける範囲までを含めた評価を行うことができ、また、フィルダム、高速鉄道や高速道路周辺の斜面、原子力発電所周辺の斜面、河川防波堤等の重要な斜面といった個別の被害想定にも適用できるものである。
まず、各評価を行うにあたって、導入される評価式について説明する。斜面崩壊が起こるか否かを評価するにあたっては、下記式6を用いる。
Figure 2007051987
ここで、入射エネルギーEIPは、マグニチュードと震源距離から算出することができる。震源距離は、震源と評価対象の斜面との距離を算出することにより得ることができる。入射エネルギーEIPは、図1に示すように、被害想定の対象とする地震規模を表すマグニチュードの関数で与えられるGutenberg-Richterの関係式から得られる単位面積当たりのエネルギーと震源距離Rの対数とが比例関係となるため、この図1に示される関係および以下に説明する崩壊面積Aを用いてエネルギーを算出することができる。ちなみに、防災科学技術研究所の基盤強震観測網(KIK-net)から得られる中越地震の東竹沢地区のデータでは、上記関係式から得られる結果よりわずかに低いエネルギー値を示すが、図1に示すように互いに平行な直線となり、傾きが同じ同様の式で表すことができることが見出された。したがって、Gutenberg-Richterの関係式を用いて、高い精度で入射エネルギーを算出することができる。
逸散減衰エネルギーERDは、逸散減衰定数から算出することができる。例えば、フィルダムにおいては、この減衰定数として15%が使用されており、共振すると仮定した場合、エネルギーE* EQ/EIP=35%と算出することができる。また、斜面と基盤とを含んだ解析モデルを解析する計算プログラムにおいて、基盤に設計用地震動を入射するように入力し、基盤への逸散減衰エネルギーERDを計算することにより得ることができる。その他これまで知られたいかなる計算式を適用して計算することができる。なお、逸散減衰エネルギーERDは、エネルギーデータとしてコンピュータに記憶しておくことができ、計算に必要な場合に、読み出すことができる。
地盤に入力されるエネルギーE* EQは、入射エネルギーEIPを逸散減衰エネルギーERDで減算することにより算出することができる。また、斜面崩壊に使用されるエネルギーEEQは、このエネルギーE* EQを斜面崩壊が始まるために必要なエネルギー閾値E’EQで減算することにより算出することができる。このエネルギー閾値E’EQは、斜面の勾配、斜面材料の強度、地形、地質および地盤構造、内部減衰等によって変化する値で、エネルギーE* EQがこのエネルギー閾値E’EQを超える場合に、斜面崩壊が始まる。
また、崩壊土塊が下方に流動する範囲は、上記式3および式5を適用し、水平距離、すなわち流動距離として算出することができるが、本発明では、以下のように表すことができる。
Figure 2007051987
Figure 2007051987
上記式7および8のμは地震動の振動数および斜面勾配に依存せず、地形、地質および地盤構造データ等により決定される斜面の摩擦係数、βは斜面の勾配(β=tanθ、θは斜面の傾斜角度)、Aは斜面の崩壊面積、Mgは崩壊土の重量(質量Mに重力加速度gを乗して得られる値)、σn0は滑り面への法線応力、σ’n0は浮力として作用する水圧を引いた滑り面への法線応力を示す。
崩壊土塊の体積や面積は、例えば、従来の滑り面法における安全率の最も低い滑り面の位置や形状等から求められる。この場合、Aは、崩壊土塊の水平面への投影面積とすることができる。また、地質調査や地形調査等からこの崩壊土塊の体積や面積を判断することもできる。Mgは、崩壊土塊の密度を測定することにより崩壊土塊の崩壊体積と重力加速度gより算出することができる。
斜面が崩壊するときの勾配に対応する摩擦係数μでは、上述したように整合がよくない。本発明では、図2に示す模型試験での単位重量あたりのエネルギーEEQ/Mgと流動距離δとの関係からもわかるように、振動数f=2.0Hz〜2.7Hzまであるが、これら振動数に関係なく、一つの直線上によく一致した関係となり、この直線は、所定の摩擦係数を与えることにより表すことができることを見出した。この図2は、図3に示すような、透明な容器30内に乾燥砂31を傾斜角度29°になるように充填し、容器30の一端を台32に、他端をリフト33で昇降可能にした装置を用い、試験して得られた結果である。この試験は、毎秒0.01°で上昇させ、乾燥砂31に異なる振動数で振動させて行ったものである。試験では、リフト33を上昇させ、台32と容器30の角度αが、約6.4°となる時、滑りを生じた。また、単位面積あたりのエネルギーEEQ/Aと流動距離δとが比例関係を示し、この場合、摩擦係数が0.86で、よく一致する関係を表すことができた。この場合の安息角は約40.6°となる。ちなみに、静的ブロックモデルと仮定した場合、安息角は29°+6.4°=35.4°であり、この安息角から得られる摩擦係数は0.71である。本発明では、傾斜勾配θが10°や20°というように異なっていても、安息角が約40.6°であれば、摩擦係数0.86を用いて流動距離δを良好に表すことができる。これらのことから、摩擦係数は、模型試験では材料密度、安息角に依存するが、実際の斜面ではそれ以外に強度、地形、地質および地盤構造等にも依存するものと推定され、これらのデータを数多く取り、適切な摩擦係数を得ておくことで、計算時において適切な摩擦係数を読み出し、適用することができる。
図4は、斜面崩壊に使用されるエネルギーEEQと流動距離δとの関係を示した図である。流動距離δが2cmより大きくなると直線関係を示し、それ以下では曲線を示している。また、流動距離δが0のときのエネルギーE’EQは、所定の値をもち、この値がE’EQになることを見出した。なお、このE’EQは、傾斜勾配θによって異なる値をとる。
流動距離δは、最終的に崩壊土が停止したところで決定される。したがって、エネルギー収支式(式1)において運動エネルギーE=0として計算することができる。しかしながら、複雑な形状の斜面での流動継続中の計算や、斜面に建てられている構造物や下流に建てられている構造物への衝撃計算を行う場合は、上記運動エネルギーEが0にはならないため、例えば、水平方向への距離を与えることで、その位置におけるエネルギーや衝撃力等を計算することができる。この計算により、その衝撃力等が、構造物の耐えうる力を超える場合には構造物が崩壊等することがわかり、個別の構造物に対する被害、危険度を評価することができる。
図5は、斜面崩壊が起こるか否かを評価するフローを示した図である。この評価は、逸散減衰エネルギーERDおよびエネルギー閾値E’EQをエネルギーデータとして保持するコンピュータにおいて実施することができる。逸散減衰エネルギーERDおよびエネルギー閾値E’EQは、様々な条件においてデータを採取し、各条件における逸散減衰エネルギーERDおよびエネルギー閾値E’EQをテーブルに格納しておき、入力された条件を基に読み出すことで、適切な逸散減衰エネルギーERDおよびエネルギー閾値E’EQを与えることができる。また、コンピュータは、地盤の地形、地質および地盤構造データも保持する。これらデータは、地形調査や地質調査等を行うことにより収集することができる。
まず、ステップ500で、ユーザにより入力されたマグニチュードおよび震源データを受け取る。次に、ステップ510で、ハードディスク等の記憶装置に記憶されている、その地盤における地形、地質および地盤構造等のデータを読み出す。これは、次の入射エネルギーEIPの算出において崩壊面積Aが必要であり、この面積Aを算出するためである。ステップ520では、まず、震源データから震源距離Rが算出される。次に、図1に示す震源距離Rと単位面積当たりのエネルギーEIP/Aとの関係から、EIP/Aを求める。さらに次に、ステップ510で読み出されたデータを用いて崩壊面積Aを算出し、求めたEIP/Aに適用してEIPを算出する。このようにして入射エネルギーEIPを算出することにより、そのエネルギーデータを生成する。ステップ530で、上記式6に、入射エネルギーデータ、保持した逸散減衰エネルギーデータを適用し、地盤に入力されるエネルギーE* EQを算出する。ステップ540で、そのE* EQがエネルギー閾値E’EQを超えるか否かを判定する。超える場合、ステップ550で斜面崩壊が起こると判定する。超えない場合、ステップ560に進み、斜面崩壊は起きないと判定する。なお、この判定は、上記式6で、斜面崩壊に使用されるエネルギーEEQを算出し、このEEQが、0を超えるか否かで判定することもできる。
ここで、コンピュータとしては、パーソナルコンピュータ等とすることができ、上記エネルギーデータの生成および判定を、プログラムを実行することにより行うことができる。プログラムは、ハードディスク等の記録媒体に格納することができ、必要に応じて読み出し、実行することができる。
図6は、斜面崩壊が起こる場合の崩壊土の流動距離を評価するフローを示した図である。これは、図5に示すフローで、斜面崩壊が起こると判定した場合に実行される。まず、ステップ600において、地盤に入力されるエネルギーデータとエネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成する。ステップ610において、地形、地質および地盤構造データを読み出す。ステップ620において、読み出したデータから、崩壊土の質量を算出する。図5のステップ520で既に算出された崩壊面積、厚さ、平均密度等から求めることができる。ステップ630において、地形データとして保持される地盤の斜面勾配データを用いて、算出された質量から法線応力データを生成する。ここで、斜面を有する地盤の断面を図7に例示する。一般に、略水平な基盤面70aを有する基盤70上に、斜面71を有する地盤72が形成される。したがって、斜面の勾配は、斜面71と基盤面70aに平行な面とによって形成される角度θの勾配となる。
再び図6を参照し、ステップ640において、地震動の振動数および斜面勾配に依存せず、地形、地質および地盤構造データ等により決定され保持される摩擦係数データと、斜面勾配データと、法線応力データと、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータと、崩壊面積データとを上記式7に適用して、崩壊土の流動距離δを算出する。この流動距離δにより、どの程度の崩壊土が、どの程度の距離まで流動するかを評価することができる。また、これにより、どの範囲まで被害が及ぶかを評価することもできる。また、斜面が、水分が飽和した斜面である場合、浮力として作用する水圧を減算して、質量から第2の法線応力データを生成し、この第2の法線応力データを、上記式8に適用して、流動距離δを算出する。
図8は、崩壊土が流動する途中における構造物への衝撃力を評価するフローを示した図である。これは、斜面崩壊が起こると判定した場合に実行される。図6に示すフローと同様に、まず、ステップ800において、地盤に入力されるエネルギーデータとエネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成する。次に、ステップ810において、地形、地質および地盤構造データを読み出す。ステップ820において、読み出したデータから、崩壊土の質量を算出する。図5のステップ520で既に算出された崩壊面積、厚さ、平均密度等から求めることができる。次のステップ830において、地形データとして保持される地盤の斜面勾配データを用いて、質量から法線応力データを生成する。さらに次のステップ840において、崩壊土の流動距離データの入力を受け取り、地震動の振動数および斜面勾配に依存せず、地形、地質および地盤構造データ等により決定され保持される摩擦係数データと、斜面勾配データと、法線応力データと、崩壊面積データとを上記式7に適用して、入力された流動距離に対応するエネルギー量を表す流動途中のエネルギーデータを生成する。このエネルギーは、上記式7のEEQとして得られる。ステップ850で、流動途中のエネルギーデータと、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータとから運動エネルギーデータを生成する。運動エネルギーEは、上記式1より算出することができる。具体的には、斜面崩壊に使用される震動エネルギーEEQが、流動途中のエネルギー+運動エネルギーEであることから算出することができる。
算出された運動エネルギーEは、例えば、構造物に衝撃エネルギーとして与えられ、その衝撃エネルギーによってその構造物が破壊されるか否か等を評価することができる。これにより、個別の構造物の被害、危険度を想定することができる。
図9は、地震時の一般的な構造物の被害をエネルギー収支に基づき評価する評価方法に用いられる入射エネルギーを測定するためのエネルギー測定装置を例示した図である。エネルギー測定装置は、上記式6における入射エネルギーEIPを測定するための装置であり、地表に設置しておき、地震が起きた時、地表での入射エネルギーEIPを測定することができる。このエネルギー測定装置90は、地表の震動加速度を測定する加速度測定装置91と、加速度測定装置91から地表加速度データを取得し、震動加速度データを積分して震動速度データを生成し、地盤のS波伝播速度データと、密度データと、生成された震動速度データとからエネルギーフラックスを算出し、そのエネルギーフラックスを積分して入射エネルギーデータを生成する計算手段92とを含んで構成される。
加速度測定装置91としては、図9に示すように加速度センサを備えるものを挙げることができる。例えば、一般に広く使用されているサーボ型地震計を使用することができる。このサーボ型地震計は、振子に加速度が加わって零位置からずれると、高感度の変位検出器がこのずれを信号として検出し、その信号を、サーボ増幅器を通って駆動部に電流を流す。この電流は、ずれと逆方向の電磁気力を発生させ、振子を元の零位置にもどすように作用する。この電流により与えられる力は、ずれを起こした力と比例するため、その流れた電流によって加速度を測定することができる。サーボ型地震計は、振子の零位置に戻した状態で測定することを特徴としており、高感度、高精度で測定できる。その他、加速度を測定することができればいかなる加速度計でも用いることができる。
計算手段92としては、計算回路を用いることができ、図9に示すようなCPUとデータを記憶するためのメモリとを備えるものとすることができる。計算手段92は、メモリにプログラムを記憶しており、プログラムを実行することにより、測定して得られた加速度データから入射エネルギーEIPを算出することができる。プログラムでは、加速度データを積分することにより震動速度データを生成する。生成された震動速度データは、順にメモリに記憶される。入射エネルギーEIPを算出するために、震動速度データが順に読み出され、震動速度データから、まず、エネルギーフラックスを算出する。エネルギーフラックスは、次式で与えられる。
Figure 2007051987
dE/dtがエネルギーフラックスであり、地表での入射波の速度(du/dt)を二乗した値から得られる。次に、エネルギー累積値を計算する。このエネルギー累積値は、エネルギーフラックスを微小区間における時間tからtまで積分することにより算出することができる。このエネルギー累積値を、入射エネルギーEIPとすることができる。入射エネルギーEIPは、次式から計算される。
Figure 2007051987
エネルギー収支に基づいて広範な種類の構造物の被害および危険度の評価を行うことが有用であることから、本発明のエネルギー測定装置により、エネルギーを直接算出することで、信頼性の高い評価を行うことができる。特に、このエネルギー測定装置は、地震直後の被害、危険度の評価のために有用である。
上記エネルギーフラックスは、極めて脆性破壊しやすい構造物、例えば、柱が細く耐震壁の少ないコンクリート構造物の被害に直結するものということができ、また、上記エネルギー累積値は、粘りがあり、一度の大きな揺れだけではなく、揺れが繰り返されることで破壊される構造物、例えば、多くの耐震性建物や土構造物等の被害評価に適するものである。
図10は、このエネルギー測定装置と、上記コンピュータとを用いて、一般的な構造物の被害を評価するフローを示した図である。コンピュータは、逸散減衰エネルギーデータ、エネルギー閾値データを保持しており、エネルギー測定装置は、加速度測定装置と計算手段とを含んで構成される。エネルギー閾値は、構造物の強度、形状、材質、構造等と被害の程度によって決定される。
まず、ステップ1000において、加速度測定装置により、地表の震動加速度を測定する。地震が発生することにより、地表に設置されているエネルギー測定装置の加速度測定装置が震動加速度を検出し、これをデータとして得る。ステップ1010で、計算手段により、加速度測定装置から震動加速度データを取得する。例えば、加速度測定装置が計算手段に送信することにより、震動加速度データを計算手段が取得することができる。次のステップ1020において、計算手段が、震動加速度データを積分して震動速度データを生成する。
ステップ1030において、S波伝播速度データと、地盤の密度データと、生成された震動速度データとから、上記式9を適用してエネルギーフラックスを算出する。ステップ1040において、上記式10を適用し、算出されたエネルギーフラックスを積分して入射エネルギーデータを生成する。ステップ1050で、入射エネルギーデータを、計算手段からコンピュータに送信する。
次のステップ1060で、コンピュータにより、受信した入射エネルギーデータと、保持する逸散減衰エネルギーデータとから、構造物に入力されるエネルギーデータを生成する。ステップ1070において、構造物に入力されるエネルギー量が、エネルギー閾値より大きいか否かを判定する。エネルギー閾値より大きい場合、ステップ1080に進み、構造物の被害が起こると判定する。反対に小さい場合には、ステップ1090に進み、構造物の被害は起こらないと判定する。上記構造物の被害は、構造物の崩壊に限らず、複数のエネルギー閾値を設定しておき、閾値に応じて構造物の被害の程度を評価することもできる。
これまで、図面を参照して本発明の方法および装置について説明してきたが、本発明の評価方法では、エネルギー閾値に一致する入射エネルギーを算出して、重要斜面における限界地震動の評価を行うこともできる。
本発明の評価方法は、高い精度で斜面崩壊の開始条件、流動範囲、その地域全体の被害および危険度、個別の構造物の被害および危険度を評価することができるため、ハザードマップの作成に反映することができる。
震源距離と入射エネルギーとの関係を示した図。 単位質量あたりのエネルギーEEQ/Mgと流動距離δとの関係を示した図。 試験装置を示した図。 入射エネルギーEEQと流動距離との関係を示した図。 斜面崩壊が起こるか否かを評価させるフローを示した図。 斜面崩壊が起こる場合の崩壊土の流動距離を評価させるフローを示した図。 斜面を有する地盤を例示した図。 崩壊土が流動する途中における構造物への衝撃力を評価させるフローを示した図。 入射エネルギーを測定するためのエネルギー測定装置を例示した図。 エネルギー測定装置とコンピュータとを用いて、構造物の被害を評価させるフローを示した図。
符号の説明
30…容器、31…乾燥砂、32…台、33…リフト、70…基盤、70a…基盤面、71…斜面、72…地盤、90…エネルギー測定装置、91…加速度測定装置、92…計算手段

Claims (10)

  1. 評価対象となる擁壁を含む斜面を有する地盤から該地盤下部の基盤へと逸散するエネルギー量を表す逸散減衰エネルギーデータと、前記斜面の勾配および前記地盤の強度、地形、地質および地盤構造データにより決定され、斜面崩壊に必要とされるエネルギー量を表すエネルギー閾値データと、前記地盤の地形、地質および地盤構造データとを保持するコンピュータに、地震時の斜面崩壊をエネルギー収支に基づき評価させる評価方法であって、
    地盤規模を表すマグニチュードおよび震源データの入力に応答して、前記震源から前記斜面までの震源距離を算出し、前記震源距離と前記地形、地質および地盤構造データとから前記基盤における地震動の前記入射エネルギーデータを生成するステップと、
    前記入射エネルギーデータと前記逸散減衰エネルギーデータとから、前記地盤に入力されるエネルギーデータを生成し、前記地盤に入力されるエネルギー量が前記エネルギー閾値より大きいか否かを判定するステップとを含み、前記斜面が崩壊するか否かを評価させる評価方法。
  2. 前記評価方法は、さらに、
    前記地盤に入力されるエネルギー量が前記エネルギー閾値より大きいと判定した場合、前記地盤に入力されるエネルギーデータと前記エネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成し、前記地形、地質および地盤構造データから崩壊土の質量を算出し、前記地形データとして保持される前記地盤の斜面勾配データを用いて、前記質量から法線応力データを生成するステップと、
    前記地形、地質および地盤構造データにより決定され保持される摩擦係数データと、前記斜面勾配データと、前記法線応力データと、前記斜面崩壊に使用されるエネルギーデータと、前記地形、地質および地盤構造データから得られる崩壊面積データとを用いて、前記崩壊土の流動距離を算出するステップとを含み、前記崩壊土の流動範囲を評価させる、請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記斜面は、水分が飽和した飽和斜面であり、前記評価方法は、さらに、
    前記地盤に入力されるエネルギー量が前記エネルギー閾値より大きいと判定した場合、前記地盤に入力されるエネルギーデータと前記エネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成し、前記地形、地質および地盤構造データから崩壊土の質量を算出し、前記地形データとして保持される前記地盤の斜面勾配データを用いて、前記質量から法線応力データを生成するステップと、
    浮力として作用する水圧を減算して、前記質量から第2の法線応力データを生成するステップと、
    前記地形、地質および地盤構造データにより決定され保持される摩擦係数データと、前記斜面勾配データと、前記法線応力データと、前記第2の法線応力データと、前記斜面崩壊に使用されるエネルギーデータと、前記地形、地質および地盤構造データから得られる崩壊面積データとを用いて、前記崩壊土の流動距離を算出するステップとを含み、前記崩壊土の流動範囲を評価させる、請求項1に記載の評価方法。
  4. 前記評価方法は、さらに、
    前記地盤に入力されるエネルギーが前記エネルギー閾値より大きいと判定した場合、前記地盤に入力されるエネルギーデータと前記エネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成し、前記地形、地質および地盤構造データから崩壊土の質量を算出し、前記地形データとして保持される前記地盤の斜面勾配データを用いて、前記質量から法線応力データを生成するステップと、
    前記崩壊土の流動距離データの入力に応答して、前記地形、地質および地盤構造データから決定され保持される摩擦係数データと前記斜面勾配データと前記法線応力データと前記地形、地質および地盤構造データから得られる崩壊面積データとを用いて、入力された前記流動距離に対応するエネルギー量を表す流動途中のエネルギーデータを生成するステップと、
    前記流動途中のエネルギーデータと前記斜面崩壊に使用されるエネルギーデータとから運動エネルギーデータを生成するステップとを含み、前記流動途中における構造物への衝撃力を評価させる、請求項1に記載の評価方法。
  5. 評価対象となる斜面を有する地盤から該地盤下部の基盤へと逸散するエネルギー量を表す逸散減衰エネルギーデータと、前記斜面の勾配および前記地盤の強度、地形、地質および地盤構造データにより決定され、斜面崩壊に必要とされるエネルギー量を表すエネルギー閾値データと、前記地盤の地形、地質および地盤構造データとを保持するコンピュータに、地震時の斜面崩壊をエネルギー収支に基づき評価する評価方法を実行させるプログラムであって、
    地震規模を表すマグニチュードおよび震源データの入力に応答して、前記震源から前記斜面までの震源距離を算出し、前記震源距離と前記地盤の地形、地質および地盤構造データとから前記基盤における地震動の前記入射エネルギーデータを生成するステップと、
    前記入射エネルギーデータと前記逸散減衰エネルギーデータとから、前記地盤に入力されるエネルギーデータを生成し、前記地盤に入力されるエネルギー量が前記エネルギー閾値より大きいか否かを判定するステップとを実行させる、プログラム。
  6. 前記プログラムは、さらに、
    前記地盤に入力されるエネルギー量が前記エネルギー閾値より大きいと判定した場合、前記地盤に入力されるエネルギーデータと前記エネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成し、前記地形、地質および地盤構造データから崩壊土の質量を算出し、前記地形データとして保持される前記地盤の斜面勾配データを用いて、前記質量から法線応力データを生成するステップと、
    前記地形、地質および地盤構造データにより決定され保持される摩擦係数データと、前記斜面勾配データと、前記法線応力データと、前記斜面崩壊に使用されるエネルギーデータと、前記地形、地質および構造データから得られる崩壊面積データとを用いて、前記崩壊土の流動距離を算出するステップとを実行させる、請求項5に記載のプログラム。
  7. 前記斜面は、水分が飽和した飽和斜面であり、前記プログラムは、さらに、
    前記地盤に入力されるエネルギー量が前記エネルギー閾値より大きいと判定した場合、前記地盤に入力されるエネルギーデータと前記エネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成し、前記地形、地質および地盤構造データから崩壊土の質量を算出し、前記地形データとして保持される前記地盤の斜面勾配データを用いて、前記質量から法線応力データを生成するステップと、
    浮力として作用する水圧を減算して、前記質量から第2の法線応力データを生成するステップと、
    前記地形、地質および地盤構造データにより決定され保持される摩擦係数データと、前記斜面勾配データと、前記法線応力データと、前記第2の法線応力データと、前記斜面崩壊に使用されるエネルギーデータと、前記地形、地質および地盤構造データから得られる崩壊面積データとを用いて、前記崩壊土の流動距離を算出するステップとを実行させる、請求項5に記載のプログラム。
  8. 前記プログラムは、さらに、
    前記地盤に入力されるエネルギーが前記エネルギー閾値より大きいと判定した場合、前記地盤に入力されるエネルギーデータと前記エネルギー閾値データとから、斜面崩壊に使用されるエネルギーデータを生成し、前記地形、地質および地盤構造データから崩壊土の質量を算出し、前記地形データとして保持される前記地盤の斜面勾配データを用いて、前記質量から法線応力データを生成するステップと、
    前記崩壊土の流動距離データの入力に応答して、前記地形、地質および地盤構造データにより決定され保持される摩擦係数データと前記斜面勾配データと前記法線応力データと前記地形、地質および構造データから得られる崩壊面積データとを用いて、入力された前記流動距離に対応するエネルギー量を表す流動途中のエネルギーデータを生成するステップと、
    前記流動途中のエネルギーデータと前記斜面崩壊に使用されるエネルギーデータとから運動エネルギーデータを生成するステップとを実行させる、請求項5に記載のプログラム。
  9. 地盤上に構築される構造物から該地盤へと逸散するエネルギー量を表す逸散減衰エネルギーデータと、前記構造物の強度、形状、材質、構造により決定され、構造物の被害に必要とされるエネルギー量を表すエネルギー閾値データとを保持するコンピュータと、加速度測定装置と計算手段とを含むエネルギー測定装置とを用いて、前記コンピュータに地震時の構造物の被害をエネルギー収支に基づき評価させる評価方法であって、
    前記加速度測定装置により前記地盤の震動加速度を測定するステップと、
    前記計算手段により前記加速度測定装置から震動加速度データを取得し、前記震動加速度データを積分して震動速度データを生成するステップと、
    前記地盤のS波伝播速度データと、密度データと、前記震動速度データとからエネルギーフラックスを算出し、前記エネルギーフラックスを積分して前記入射エネルギーデータを生成するステップと、
    前記入射エネルギーデータを前記計算手段から前記コンピュータに送信するステップと、
    前記コンピュータにより受信した前記入射エネルギーデータと前記逸散減衰エネルギーデータとから前記構造物に入力されるエネルギーデータを生成し、前記構造物に入力されるエネルギー量が前記エネルギー閾値より大きいか否かを判定するステップとを含み、前記構造物の被害の程度を評価させる評価方法。
  10. 地震時の地盤上に構築される構造物の被害をエネルギー収支に基づき評価する評価方法に用いられる入射エネルギーを測定するためのエネルギー測定装置であって、
    前記基盤の震動加速度を測定する加速度測定装置と、
    前記加速度測定装置から震動加速度データを取得し、前記震動加速度データを積分して震動速度データを生成し、前記地盤のS波伝播速度データと密度データと前記震動速度データからエネルギーフラックスを算出し、前記エネルギーフラックスを積分して前記入射エネルギーデータを生成する計算手段とを含む、エネルギー測定装置。
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