JP2007218384A - 転動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】研削時にチタン合金の転動面に発生するむしれやクラックに起因する寿命低下を回避して十分な寿命を確保することができる転動装置を提供する。
【解決手段】案内レール1とスライダ2との間に複数のボールBが転動自在に配設されたリニアガイドであって、案内レール1、スライダ本体2A及びボールBの内の少なくとも一つをチタン合金で形成し、且つ転動面の表面粗さをRa0.10μm以下とする。
【選択図】 図1
【解決手段】案内レール1とスライダ2との間に複数のボールBが転動自在に配設されたリニアガイドであって、案内レール1、スライダ本体2A及びボールBの内の少なくとも一つをチタン合金で形成し、且つ転動面の表面粗さをRa0.10μm以下とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば食品機械、半導体製造装置、化学繊維製造装置等のように水、海水、化学薬品などの腐食性環境下で用いられる機械装置、および半導体製造装置、液晶製造装置、X線や電子線を使用した計測装置のように非磁性が要求される環境下で用いられる機械装置等に用いられる転がり軸受、リニアガイド、ボールねじ等の特殊環境用転動装置に関する。
従来、この種の転動装置の軌道部材や転動体は、主に高炭素クロム軸受鋼や肌焼鋼のような鉄鋼材料が使用されているが、転動装置の使用環境は多種多様であり、水、海水、化学薬品中等の腐食性環境下で使用されることもあることから、このような高い耐食性が要求される環境下で使用される場合には、ステンレス鋼が使用されている。
しかし、近年、転動装置の使用環境が過酷になってきており、ステンレス鋼でも耐食性が不足する場合が生じている。
しかし、近年、転動装置の使用環境が過酷になってきており、ステンレス鋼でも耐食性が不足する場合が生じている。
また、半導体製造装置、液晶製造装置、X線や電子線を使用した計測装置等のように、磁場を利用した装置や磁場によって測定精度が低下する装置が増加している。このような装置に使用される転動装置の軌道部材や転動体は、回転によって周辺の磁場を乱さないように、非磁性が要求されるため、非磁性ステンレス鋼あるいはベリリウム銅が用いられている。
しかし、非磁性ステンレス鋼の透磁率は1.04〜1.002程度であり、この程度の透磁率では、電子線等を用いる分析装置や測定装置においては、軌道部材や転動体がわずかに磁化するだけでも、転動装置の精度不良の原因になる場合がある。
そこで、より完全に近い非磁性が要求される場合には、透磁率が1.001以下であるベリリウム銅が用いられる場合が多い。しかし、ベリリウム銅の構成元素であるベリリウムやその化合物の一部は、環境負荷物質として認識されており、使用に際して制約を受ける場合がある。
そこで、より完全に近い非磁性が要求される場合には、透磁率が1.001以下であるベリリウム銅が用いられる場合が多い。しかし、ベリリウム銅の構成元素であるベリリウムやその化合物の一部は、環境負荷物質として認識されており、使用に際して制約を受ける場合がある。
このような事情から、耐食性、非磁性能力に優れるチタン合金にガス窒化処理を施して硬さ等を改良し、転動装置の軌道部材や転動体として使用することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、転がり軸受、リニアガイド、ボールねじなどの転動装置では、軌道部材の転動面は研削加工により高精度に加工されているが、チタン合金は、熱伝導率が小さく、高融点であり、また、ヤング率が小さく、耐摩耗性に劣り、焼きつきを起こしやすく、更には、化学的に活性で酸素や窒素と反応しやすい等の特性から研削が非常に難しい材料である。
しかし、転がり軸受、リニアガイド、ボールねじなどの転動装置では、軌道部材の転動面は研削加工により高精度に加工されているが、チタン合金は、熱伝導率が小さく、高融点であり、また、ヤング率が小さく、耐摩耗性に劣り、焼きつきを起こしやすく、更には、化学的に活性で酸素や窒素と反応しやすい等の特性から研削が非常に難しい材料である。
例えば、チタン合金は、熱伝導率が小さいため研削熱が加工点に蓄積して砥粒の摩耗が大きくなり、また、化学的に非常に活性なため砥石に切り屑が付着して目つぶれや目づまりを起こして研削焼けが生じやすい。研削焼けが生じると、表面粗さが大きくなるだけでなく、表面にクラックが生じる虞れがある。
また、チタン合金は、耐摩耗性に劣り、焼付きを生じやすく、ヤング率が低い等の特性により、研削面がむしれた面になる等の問題がある。
また、チタン合金は、耐摩耗性に劣り、焼付きを生じやすく、ヤング率が低い等の特性により、研削面がむしれた面になる等の問題がある。
ところで、転動装置の軌道部材や転動体の転動面の寿命は、軌道部材と転動体との各転動面間に生じる油膜厚さと転動面の粗さとの比率(油膜厚さ/粗さ)と密接な関係があり、この比率はより大きい(理想的には油膜厚さ/粗さ=3以上)ことが望ましいとされている。
しかし、チタン合金を軌道部材や転動体に用いた転動装置においては、前述のクラックやむしれの存在により転動面の強度が低下し、転動面寿命と油膜厚さ/転動面粗さとの関係が成り立たず、設計上十分な粗さ値を確保しているにも関わらず、必要な寿命が確保できないという問題があった。
しかし、チタン合金を軌道部材や転動体に用いた転動装置においては、前述のクラックやむしれの存在により転動面の強度が低下し、転動面寿命と油膜厚さ/転動面粗さとの関係が成り立たず、設計上十分な粗さ値を確保しているにも関わらず、必要な寿命が確保できないという問題があった。
また、このようなチタン合金を軌道部材や転動体に使用した転動装置は、その非磁性の特性から電子ビームを用いた半導体製造装置などに使用されることから、低アウトガス、低発塵の特性も要求されるが、この低アウトガス、低発塵の要求に対しては、官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)を含有する潤滑膜を転動面に施すことで対応することが可能である(例えば特許文献2及び特許文献3参照)。
しかし、この潤滑膜は発塵を抑えるために数μm以下の薄膜として形成されるので、一般環境で使用されるグリース潤滑に比べて潤滑性が劣る。そして、このような潤滑性が劣る環境下において、前述のむしれやクラック等が寿命低下に及ぼす影響はさらに顕著になる。
特開2001−227550号公報
特開2003−74557号公報
特開2001−254803号公報
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、チタン合金の転動面に発生するむしれやクラックに起因する寿命低下を回避して十分な寿命を確保することができる転動装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、チタン合金製の軌道部材や転動体の転動面に発生するむしれやクラックに対して、加工条件や加工法の変更して、その時のむしれやクラックの状況を観察したり、表面粗さの測定を行った結果、表面粗さがRa0.10μm以下の加工面では、むしれやクラックのない面となることを知見し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内方軌道部材と外方軌道部材との間に複数の転動体が転動自在に配設された転動装置であって、
前記内方軌道部材、前記外方軌道部材及び前記転動体の内の少なくとも一つがチタン合金で形成され、且つ前記チタン合金で形成された軌道部材又は転動体の転動面の表面粗さがRa0.1μm以下であることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記内方軌道部材、前記外方軌道部材及び前記転動体の内の少なくとも一つが官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜で覆われたことを特徴とする。
前記内方軌道部材、前記外方軌道部材及び前記転動体の内の少なくとも一つがチタン合金で形成され、且つ前記チタン合金で形成された軌道部材又は転動体の転動面の表面粗さがRa0.1μm以下であることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記内方軌道部材、前記外方軌道部材及び前記転動体の内の少なくとも一つが官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜で覆われたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、前記内方軌道部材が軸受内輪、前記外方軌道部材が軸受外輪であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2において、前記内方軌道部材がリニアガイドの案内レール、前記外方軌道部材がリニアガイドのスライダであることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2において、前記内方軌道部材がボールねじのねじ軸、前記外方軌道部材がボールねじのナットであることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2において、前記内方軌道部材がリニアガイドの案内レール、前記外方軌道部材がリニアガイドのスライダであることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2において、前記内方軌道部材がボールねじのねじ軸、前記外方軌道部材がボールねじのナットであることを特徴とする。
本発明によれば、内方軌道部材、外方軌道部材及び転動体の内の少なくとも一つをチタン合金で形成し、且つ転動面の表面粗さをRa0.10μm以下とすることで、チタン合金の転動面の加工面をクラックやむしれが発生しない面とすることができ、これにより、チタン合金の転動面のむしれやクラックに起因する寿命低下を避けることができ、十分な寿命を確保することができる。
また、チタン合金の転動面の表面粗さをRa0.10μm以下として、該転動面をクラックやむしれのない面としているため、一般環境で使用されるグリース潤滑に比べて潤滑性が劣る、官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜を使用しても、研削時に発生するむしれやクラックに起因する寿命低下を回避して十分な寿命を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態の一例を図を参照して説明する。図1は本発明に係る転動装置の実施の形態の一例であるリニアガイドを説明するための斜視図、図2は比較例2におけるチタン合金の研削加工面(Ra0.40μm)の表面状態を示す顕微鏡写真、図3は比較例3におけるチタン合金の研削加工面(Ra0.24μm)の表面状態を示す顕微鏡写真、図4は実施例1におけるチタン合金の研削加工面(Ra0.10μm)の表面状態を示す顕微鏡写真、図5はリニアガイドの真空環境試験機を示す図である。
本発明の実施の形態の一例であるリニアガイドは、図1に示すように、軸方向に延びる案内レール(内方軌道部材)1と、該案内レール1上に軸方向に相対移動可能に跨架されたスライダ(外方軌道部材)2とを備える。
案内レール1の両側面にはそれぞれ軸方向に延びる転動体転動面3が形成されており、スライダ2のスライダ本体2Aには、その両袖部4の内側面に、それぞれ転動体転動面3に対向する転動体転動面7が形成されている。そして、これらの向き合った両転動体転動面3,7の間には転動体の一例としての多数のボールBが転動自在に装填され、これらのボールBの転動を介してスライダ2が案内レール1上を軸方向に沿って相対移動できるようになっている。
案内レール1の両側面にはそれぞれ軸方向に延びる転動体転動面3が形成されており、スライダ2のスライダ本体2Aには、その両袖部4の内側面に、それぞれ転動体転動面3に対向する転動体転動面7が形成されている。そして、これらの向き合った両転動体転動面3,7の間には転動体の一例としての多数のボールBが転動自在に装填され、これらのボールBの転動を介してスライダ2が案内レール1上を軸方向に沿って相対移動できるようになっている。
この移動につれて、案内レール1とスライダ2との間に介在するボールBは転動してスライダ2の端部に移動するが、スライダ2を軸方向に継続して移動させていくためには、これらのボールBを無限に循環させる必要がある。
このため、スライダ本体2Aの袖部4内に軸方向に貫通する転動体通路8を形成すると共に、スライダ本体2Aの両端にそれぞれ略コ字状のエンドキャップ5を例えばねじ12等の固定手段を介して固定し、このエンドキャップ5に上記両転動体転動面3,7間と上記転動体通路8とを連通する円弧状に湾曲した方向転換路6を形成することにより、転動体無限循環軌道を形成している。
このため、スライダ本体2Aの袖部4内に軸方向に貫通する転動体通路8を形成すると共に、スライダ本体2Aの両端にそれぞれ略コ字状のエンドキャップ5を例えばねじ12等の固定手段を介して固定し、このエンドキャップ5に上記両転動体転動面3,7間と上記転動体通路8とを連通する円弧状に湾曲した方向転換路6を形成することにより、転動体無限循環軌道を形成している。
なお、図1において、符号11はエンドキャップ5と共にスライダ本体2Aの端面にねじ12等を介して固定されたサイドシール、10はスライダ本体2Aの端面に形成されたねじ12のタップ穴、13は給脂用ニップル、14は案内レール1の固定用のボルト挿通穴である。
ここで、この実施の形態では、案内レール1及びスライダ本体2Aをβ型チタン合金、ボールBを窒化珪素セラミックス、エンドキャップ5をPEEK樹脂、ねじ12を純チタンでそれぞれ形成し、且つ案内レール1の転動体転動面3の研削加工面及びスライダ本体2Aの転動体転動面7の研削加工面の各表面粗さをRa0.10μm以下としている。
ここで、この実施の形態では、案内レール1及びスライダ本体2Aをβ型チタン合金、ボールBを窒化珪素セラミックス、エンドキャップ5をPEEK樹脂、ねじ12を純チタンでそれぞれ形成し、且つ案内レール1の転動体転動面3の研削加工面及びスライダ本体2Aの転動体転動面7の研削加工面の各表面粗さをRa0.10μm以下としている。
このようにこの実施の形態では、リニアガイドの案内レール1及びスライダ本体2Aをβ型チタン合金で形成し、且つ案内レール1の転動体転動面3の研削加工面及びスライダ本体2Aの転動体転動面7の研削加工面の各表面粗さをRa0.10μm以下としているので、チタン合金製の転動体転動面3,7にクラックやむしれが発生しないようにすることができる。
これにより、チタン合金の転動体転動面3,7に存在するむしれやクラックに起因する寿命低下を避けることができ、十分な寿命を確保することができる。
これにより、チタン合金の転動体転動面3,7に存在するむしれやクラックに起因する寿命低下を避けることができ、十分な寿命を確保することができる。
また、チタン合金の転動体転動面3,7の表面粗さをRa0.10μm以下として、該転動体転動面3,7をクラックやむしれのない面としているため、一般環境で使用されるグリース潤滑に比べて潤滑性が劣る、官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜を使用しても、研削時に発生するむしれやクラックに起因する寿命低下を回避して十分な寿命を確保することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、案内レール1及びスライダ本体2Aにチタン合金を用いた場合を例示したが、これに限定されず、案内レール1、スライダ本体2A及びボールBの内の少なくとも一つをチタン合金で形成し、且つチタン合金で形成した部材の転動面の表面粗さをRa0.10μm以下とすることで、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
例えば、上記実施の形態では、案内レール1及びスライダ本体2Aにチタン合金を用いた場合を例示したが、これに限定されず、案内レール1、スライダ本体2A及びボールBの内の少なくとも一つをチタン合金で形成し、且つチタン合金で形成した部材の転動面の表面粗さをRa0.10μm以下とすることで、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記実施の形態では、転動装置としてリニアガイドを例示したが、これに代えて、転動装置として転がり軸受やボールねじ等を採用して、転がり軸受の内輪、外輪及び転動体の内の少なくとも一つをチタン合金で形成し、且つ転動面の表面粗さをRa0.10μm以下とすることで、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができ、また、ボールねじのねじ軸、ナット及び転動体の内の少なくとも一つをチタン合金で形成し、且つ転動面の表面粗さをRa0.10μm以下とすることで、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
表1に、本発明例である実施例1〜3及び比較例1〜4について、それぞれチタン合金の転動面(加工面)の表面粗さと表面状態を観察した結果を示す。また、図2に比較例2のチタン合金の転動面(加工面)の顕微鏡写真を、図3に比較例3のチタン合金の転動面(加工面)の顕微鏡写真を、図4に実施例1のチタン合金の転動面(加工面)の顕微鏡写真をそれぞれ示す。
比較例1及び比較例2は、通常の鉄鋼材料の転がり転動面に近い表面粗さでの表面状態を観察した結果を示したもので、比較例1のチタン合金の転動面の表面粗さはRa0.59μm、比較例2のチタン合金の転動面の表面粗さはRa0.40μmであり、いずれも表面にむしれ・クラックが多く存在している。
比較例3はチタン合金の転動面の表面粗さがRa0.24μm、比較例4はチタン合金の転動面の表面粗さがRa0.14μmであり、表面状態の観察した結果、比較例1及び比較例2に比べてむしれ・クラックの大きさが小さく、数も減っているが、表面にむしれ・クラックが存在している。
比較例3はチタン合金の転動面の表面粗さがRa0.24μm、比較例4はチタン合金の転動面の表面粗さがRa0.14μmであり、表面状態の観察した結果、比較例1及び比較例2に比べてむしれ・クラックの大きさが小さく、数も減っているが、表面にむしれ・クラックが存在している。
これに対し、本発明例である実施例1、実施例2及び実施例3は、それぞれチタン合金の転動面の表面粗さがRa0.10μm、Ra0.07μm及びRa0.06μmであり、表面状態を観察した結果、むしれ・クラックなどは見られない面となっている。
以上の結果より、チタン合金の転動面(加工面)におけるむしれ・クラックの存否は、転動面の表面粗さを基準とすることができ、転動面の表面粗さをRa0.10μm以下とすることで、チタン合金の転動面をむしれ・クラックが存在しない面とすることができることが判る。
以上の結果より、チタン合金の転動面(加工面)におけるむしれ・クラックの存否は、転動面の表面粗さを基準とすることができ、転動面の表面粗さをRa0.10μm以下とすることで、チタン合金の転動面をむしれ・クラックが存在しない面とすることができることが判る。
次に、図1と略同一構造のリニアガイドを用いて寿命試験を行った結果について説明する。
試験は、リニアガイドの案内レール1、スライダ本体2A、ボールB及びエンドキャップ5に、官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜処理を施し、本発明例である実施例4の試験用リニアガイド及び比較例5の試験用リニアガイドについて、図5に示す真空環境試験機を用いて真空環境で実施した。
試験は、リニアガイドの案内レール1、スライダ本体2A、ボールB及びエンドキャップ5に、官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜処理を施し、本発明例である実施例4の試験用リニアガイド及び比較例5の試験用リニアガイドについて、図5に示す真空環境試験機を用いて真空環境で実施した。
真空環境試験機は、図5に示すように、真空槽内で2セットの試験用リニアガイド20を案内レール1の下面同士を合わせてスライダ2部分を負荷装置21内に装着すると共に、該負荷装置21内のコイルスプリング22により各試験用リニアガイド20に負荷を与え、真空槽外の大気中に配置された駆動モータ23の回転を真空槽内の駆動用ボールねじ24で直線運動に変換して、この直線駆動力をサポート用リニアガイド25を介して真空環境の真空槽内の各試験用リニアガイド20のスライダ2に伝達し、これにより、該スライダ2を案内レール1に沿って往復動させるものである。
寿命判定は、試験用リニアガイド20のスライダ2に取り付けた温度センサの温度上昇及び転動体転動面3,7の表面状態の観察結果により判定した。
試験条件は次の通りである。
試験用リニアガイド:日本精工株式会社製LH20相当
スライダ本体:β型チタン合金
・実施例4の転動面の表面粗さ:0.09μmRa
・比較例5の転動面の表面粗さ:0.17μmRa
案内レール :β型チタン合金
・実施例4の転動面の表面粗さ:0.09μmRa
・比較例5の転動面の表面粗さ:0.17μmRa
ボール:窒化珪素セラミックス
エンドキャップ:PEEK樹脂
転動面面圧:1GPa
速度:500mm/s
周辺環境:4×10-7〜1×10-4torr
潤滑:官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜
表2に、試験結果を示す。
試験条件は次の通りである。
試験用リニアガイド:日本精工株式会社製LH20相当
スライダ本体:β型チタン合金
・実施例4の転動面の表面粗さ:0.09μmRa
・比較例5の転動面の表面粗さ:0.17μmRa
案内レール :β型チタン合金
・実施例4の転動面の表面粗さ:0.09μmRa
・比較例5の転動面の表面粗さ:0.17μmRa
ボール:窒化珪素セラミックス
エンドキャップ:PEEK樹脂
転動面面圧:1GPa
速度:500mm/s
周辺環境:4×10-7〜1×10-4torr
潤滑:官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜
表2に、試験結果を示す。
表2から、β型チタン合金で製作された案内レール1及びスライダ本体2Aの転動体転動面3,7の表面粗さがRa0.17μmである比較例5においては、走行距離約200kmにてスライダ2の温度が急上昇したため、試験を停止し、転動体転動面3,7の観察を行った結果、転動体転動面3,7に損傷が発生していた。
これに対し、β型チタン合金で製作された案内レール1及びスライダ本体2Aの転動体転動面3,7の表面粗さをRa0.09μmとした実施例4においては、比較例5の走行距離の2倍の400km走行においても試験途中の急激な温度上昇は認められず、400km走行後の観察においても転動体転動面3,7に異常はなく、継続使用可能な状態であった。
これに対し、β型チタン合金で製作された案内レール1及びスライダ本体2Aの転動体転動面3,7の表面粗さをRa0.09μmとした実施例4においては、比較例5の走行距離の2倍の400km走行においても試験途中の急激な温度上昇は認められず、400km走行後の観察においても転動体転動面3,7に異常はなく、継続使用可能な状態であった。
また、試験前に実施した案内レール1及びスライダ本体2Aの転動体転動面3,7の観察において、表面粗さがRa0.17μmであった比較例5では、研削によるむしれ・クラックの存在したが、表面粗さがRa0.10μm以下(Ra0.09μm)である実施例4においては、むしれ・クラックはなかった。
このように、チタン合金を用いたリニアガイドの案内レール1及びスライダ本体2Aの転動体転動面3,7の表面粗さをRa0.10μm以下とすることで、チタン合金の転動体転動面3,7のむしれ・クラックをなくし、走行寿命を延長することができることが確認された。
このように、チタン合金を用いたリニアガイドの案内レール1及びスライダ本体2Aの転動体転動面3,7の表面粗さをRa0.10μm以下とすることで、チタン合金の転動体転動面3,7のむしれ・クラックをなくし、走行寿命を延長することができることが確認された。
1 案内レール(内方軌道部材)
2 スライダ(外方軌道部材)
B ボール(転動体)
2 スライダ(外方軌道部材)
B ボール(転動体)
Claims (5)
- 内方軌道部材と外方軌道部材との間に複数の転動体が転動自在に配設された転動装置であって、
前記内方軌道部材、前記外方軌道部材及び前記転動体の内の少なくとも一つがチタン合金で形成され、且つ前記チタン合金で形成された軌道部材又は転動体の転動面の表面粗さがRa0.1μm以下であることを特徴とする転動装置。 - 前記内方軌道部材、前記外方軌道部材及び前記転動体の内の少なくとも一つが官能基を有する含フッ素重合体とパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを含有する潤滑膜で覆われたことを特徴とする請求項1に記載した転動装置。
- 前記内方軌道部材が軸受内輪、前記外方軌道部材が軸受外輪であることを特徴とする請求項1又は2に記載した転動装置。
- 前記内方軌道部材がリニアガイドの案内レール、前記外方軌道部材がリニアガイドのスライダであることを特徴とする請求項1又は2に記載した転動装置。
- 前記内方軌道部材がボールねじのねじ軸、前記外方軌道部材がボールねじのナットであることを特徴とする請求項1又は2に記載した転動装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105626686A (zh) * | 2016-02-01 | 2016-06-01 | 嘉兴海菱达精密传动科技有限公司 | 一种能实现高平稳运行的滑块 |
-
2006
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CN105626686A (zh) * | 2016-02-01 | 2016-06-01 | 嘉兴海菱达精密传动科技有限公司 | 一种能实现高平稳运行的滑块 |
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