JP2004069013A - ボールねじ - Google Patents

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Abstract

【課題】より高い耐食性及び非磁性が要求される環境下であっても、厳密な予圧調整を行うことを可能としたボールねじを提供する。
【解決手段】ねじ軸1及びナット2がチタン合金製であり、且つ、ボール3がセラミックス製であるボールねじにおいて、ナット2を、予圧調整用の間座23を間に挿入した第一のナット21と第二のナット22とから形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品機械、半導体製造装置、化学繊維製造装置などのように、水、海水、化学薬品などの腐食性環境下で用いられる機械装置や、半導体製造装置、液晶製造装置、X線或いは電子線を使用した計測装置などのように、非磁性が要求される環境下で用いられる機械装置に好適に用いられるボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボールねじを構成するナットやねじ軸は、主に高炭素クロム軸受鋼や肌焼鋼などの鉄鋼材料が一般的に使用されている。
このボールねじの使用環境は多種多用であり、水、海水、化学薬品中などの腐食性環境下で使用されることもある。このような高い耐食性が要求される環境下で使用される場合には、ステンレス鋼からなるボールねじが多々使用されている。しかし、近年、転動部材の使用環境がさらに過酷になるにつれ、従来のステンレス鋼からなるボールねじであっても、耐食性が不足する場合が生じている。
【0003】
また、半導体製造装置、液晶製造装置、X線や電子線を使用した測定装置などのように、磁場を利用した装置や磁場によって測定精度が低下する装置において使用されることもある。
このような装置において適用される構成部品としては、回転及び移動によって周辺の磁場を乱さないように非磁性が要求されるため、非磁性ステンレス鋼やベリリウム銅から構成されたものが使用されている。
【0004】
しかし、この非磁性ステンレス鋼の透磁率は、1.002〜1.040程度であるが、この程度の透磁率では、構成部品がわずかに磁化するだけでも精度不良の原因となる電子線などを用いた分析装置や測定装置において適用することは困難である。
そこで、より完全に近い非磁性が要求される場合には、透磁率が1.001以下であるベリリウム銅から構成されたボールねじが使用されている。ところが、このベリリウム銅を構成する元素であるベリリウムやその化合物の一部は、環境負荷物質として認識されているため、ベリリウム銅以外の材料から非磁性能力に優れたボールねじを形成することが切望されている。
【0005】
このような状況から、特開2001−227550号公報において、ねじ軸とナットとを、耐食性、非磁性能力に優れるチタン合金製とした手段が提案されている。
この手段によると、ねじ軸及びナットにおける耐食性及び非磁性を確保できるようになった。ところが、さらなる耐食性及び非磁性が要求される環境下では、このねじ軸及びナット以外の構成部品であるボールなどの耐食性及び非磁性が問題となる場合があった。
【0006】
ここで、ボールもチタン合金製とすることが考えられるが、難削材であるチタン合金から、ボールねじに要求される高精度なボールを数多く製造することは非常に困難であった。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
ところで、上述した半導体製造装置、液晶製造装置、或いは計測装置などに使用するボールねじは、軸方向の位置決め精度を確保するため、ボールねじに予圧を付与することにより剛性を向上させることが一般に行われている。
ここで、特に、真空環境や腐食性環境など、ボールねじにとって過酷な使用条件となる環境下においては、必要以上に予圧量を大きくすることは寿命低下につながるため、厳密な予圧調整が必要とされている。
【0008】
この予圧調整は、例えば、約1μm毎にサイズを有する複数のボールを用意し、図5に示すように、ねじ軸1の外周面に形成された第一のねじ溝1aと、ナット2の内周面に形成された第二のねじ溝2aとの間に、第一のねじ溝1a及び第二のねじ溝2aの対角寸法L以上のサイズのボール3を充填するオーバーサイズボールによって行うことができる。なお、図5中の符号4はボールを循環させるためのリターンチューブ、5はこのリターンチューブ4をナット2に固定するためのチューブ止め具、6はチューブ止め具5と同様にリターンチューブ4をナット2に固定するための循環路固定ボルトを示し、いずれもねじ軸1及びナット2、並びにボール3と同様に、ステンレス鋼から構成されている。また、図5中の符号7はボールねじ内に外部から異物が侵入するのを抑制するためのラビリンスシールを示し、ポリアセタールから構成されている。
【0009】
しかしながら、耐食性及び非磁性を確保するのに最適なセラミックス製のボールにおいて、一般的に入手可能なものは約2.5μm毎のサイズしかなく、ボールサイズのみで厳密な予圧調整を行うことは非常に困難であった。
ここで、第一のねじ溝1a及び第二のねじ溝2aのボール軌道面を精密加工することにより予圧を調整することも考えられるが、難削材であるチタン合金を予圧調整のレベルで加工することは非常に困難であった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ねじ軸及びナットをチタン合金製とし、且つ、ボールをセラミックス製とし、耐食性及び非磁性が要求される環境下で好適に用いることできるボールねじにおいて、厳密な予圧調整を可能としたボールねじを提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明のボールねじは、外周面に第一のねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸に形成された第一のねじ溝に対向する内周面に第二のねじ溝を有するナットと、前記第一及び第二のねじ溝間に転動自在に配設された複数のボールとを備え、前記ねじ軸及び前記ナットがチタン合金製であり、且つ、前記ボールがセラミックス製であるボールねじにおいて、前記ナットが、予圧調整用の間座を間に挿入した第一のナットと第二のナットとから構成されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のボールねじにおいて、前記間座が、チタン合金製であることが好ましい。
さらに、本発明のボールねじにおいて、前記間座が、異なる二種類以上の材料を軸方向に重ね合わせて構成されているとともに、当該間座全体での軸方向における線膨張係数がチタン合金と同等となるように、前記材料の軸方向における厚みが調整されているようにしてもよい。
【0013】
ここで、前記間座を構成する前記材料は、チタン合金とアルミ合金であるようにしてもよい。
また、前記間座を構成する前記材料は、チタン合金とセラミックスであるようにしてもよい。
さらに、前記間座を構成する前記材料は、セラミックスとアルミ合金であるようにしてもよい。
【0014】
本発明のボールねじによれば、ねじ軸及びナットがチタン合金製であり、且つ、ボールがセラミックス製であるボールねじにおいて、ナットが、予圧調整用の間座を間に挿入した第一のナットと第二のナットとから構成されていることによって、この間座の軸方向における厚さを調整することにより、軸方向と回転方向の位置決めができ、予圧調整を行うことが可能となる。これにより、ボールサイズによる予圧調整や、第一のねじ溝及び第二のねじ溝における軌道面の加工調整を行うことなく、容易且つ確実に厳密な予圧調整を行うことができる。
【0015】
すなわち、ねじ軸及びナットをチタン合金製とし、且つ、ボールをセラミックス製とすることで、高い耐食性及び非磁性が要求される環境下であっても好適に用いられるとともに、容易且つ低コストで厳密な予圧調整を行うことを可能としたボールねじを提供することができる。
また、本発明のボールねじによれば、間座をチタン合金製とすることによって、間座、ねじ軸、及びナットの線膨張係数が等しくなり、ボールねじの使用条件によりボールねじ温度が変化した場合であっても、予圧調整時の予圧量を保持することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明のボールねじによれば、間座を、異なる二種類以上の材料を軸方向に重ね合わせて構成するとともに、当該間座全体での軸方向における線膨張係数がチタン合金と同等となるように、材料の軸方向における厚みを調整することによって、間座をチタン合金単独で構成した場合とほぼ同等の効果を低コストで得ることが可能となる。
【0017】
ここで、本発明のボールねじにおける間座を、チタン合金と、アルミ合金或いはセラミックスとから構成する場合には、アルミ合金或いはセラミックスの厚さを、チタン合金よりも薄くすることで、間座全体としての線膨張係数をチタン合金の線膨張係数に近づけることが好ましい。このことによって、ボールねじの使用条件によりボールねじ温度が変化した場合であっても、予圧調整時の予圧量を保持することが可能となる。このとき、チタン合金よりも薄く形成したアルミ合金或いはセラミックスの間座の厚みによって予圧調整を行うようにすれば、難削材であるチタン合金を加工する場合に比べて、大幅に低コストで予圧調整を行うことが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、本発明のボールねじの一構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。なお、図1に示すボールねじにおいて、図5に示した従来のボールねじと同一の部品には、同一の符号を付して説明する。
【0019】
本実施例におけるボールねじは、外周面に螺旋状の第一のねじ溝1aを有するねじ軸1と、このねじ軸1の第一のねじ溝1aと対向する内周面に第二のねじ溝2aを有するナット2と、この第一のねじ溝1aと第二のねじ溝2aとの間に形成されたボール転動路(図示しない)に転動自在に配設された複数のボール3とを備えている。
【0020】
また、ナット2は、軸方向(図1における左右方向)に並べられた第一のナット21及び第二のナット22と、この第一のナット21及び第二のナット22間に挿入された予圧調整用の間座23とが、ナット2の外周部に設けられたキー材8によって一体に構成されており、ボール転動路内のボール3には、間座23から第一及び第二のナット21、22に各々向かう方向(図1に示す矢印方向)に予圧が付与されている。ここで、間座23の軸方向における厚みWを調整することによって、軸方向と回転方向の位置決めができ、所望の予圧量に調整を行うようにする。
【0021】
さらに、ボールねじには、ナット2の外周に、リターンチューブ4と、このリターンチューブ4をナット2に固定するためのチューブ止め具5及び循環路固定ボルト6とを備えており、このリターンチューブ4内には、ボール転動路と連通させるボール戻し路が形成されている。
ここで、本実施例におけるボールねじにおいて、ねじ軸1、ナット2、リターンチューブ4及び循環路固定ボルト6は、チタン合金から構成している。
【0022】
また、ボール3は、セラミックスから構成している。
さらに、間座23及びキー材8は、アルミ合金もしくは非磁性SUSから構成している。
さらに、ラビリンスシール7は、フッ素樹脂から構成している。
このように、本実施例におけるボールねじによれば、ねじ軸1及びナット2がチタン合金製であり、且つ、ボール3がセラミックス製であるとともに、ナット2を、予圧調整用の間座23を間に挿入した第一のナット21と第二のナット22とから構成することによって、この間座23の軸方向における厚みWを調整することで、軸方向と回転方向の位置決めができ、予圧調整を行うことができる。ここで、間座23の厚み調整は、平面加工によるため、高精度な加工調整が可能となる。よって、厳しい耐食性及び非磁性が要求される環境下で用いられる機械装置において、厳密な予圧調整を容易且つ確実に行うことが可能となる。
【0023】
また、本発明におけるボールねじによれば、その構成部品である間座23及びキー材8を、アルミ合金もしくは非磁性SUSから構成したことによって、さらに厳しい耐食性及び非磁性が要求される環境下で用いられる機械装置において、好適に用いることが可能となる。
(実施例2)
本実施例におけるボールねじは、実施例1で示すボールねじにおいて、間座23及びキー材8を、チタン合金から構成している。
【0024】
このように、本実施例におけるボールねじによれば、間座23をチタン合金から構成したことによって、間座23、ねじ軸1、第一のナット21、及び第二のナット22の線膨張係数が等しくなり、ボールねじの使用条件により予圧調整時と比べてボールねじ温度が変化してしまったとしても、予圧調整時の予圧量を保持することが可能となる。
【0025】
また、本実施例におけるボールねじによれば、間座23及びキー材8もチタン合金から構成したことによって、さらに厳しい耐食性及び非磁性が要求される環境下で用いられる機械装置において、好適に用いることが可能となる。
(実施例3)
図2は、本発明のボールねじの他の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。なお、本実施例におけるボールねじは、実施例1で示すボールねじに対して、ボールの循環路における形成方式が相違するだけであるため、相違する部分についてのみ説明する。
【0026】
本実施例におけるボールねじは、実施例1で示したボールねじにおけるリターンチューブ7に代わって、ナット2の軸方向両端に設けられたエンドキャップ9と、ナット2の内周面に設けられた循環穴2Aとにより、ボール3の循環を行うようになっている。
このナット2の軸方向両端とは、第一のナット21の軸方向一端と、第二のナット22の第一のナット21側とは反対の軸方向一端とを指し、この第一のナット21及び第二のナット22のそれぞれに、循環路固定ボルト6によってエンドキャップ9が固定されている。また、実施例1と同様に、この第一のナット21と第二のナット22と、その間に介在された間座23とは、ナット2の外周面に設けられたキー材8によって、一体に構成されている。
【0027】
ここで、本実施例におけるボールねじにおいては、エンドキャップを、例えばピーク材などの剛性の低い樹脂から構成した以外は、実施例2と同様の材料からそれぞれの構成部品を構成している。
このように、本実施例におけるボールねじによれば、間座23がエンドキャップ9を跨いで構成されているため、実施例1及び実施例2に示したチューブ式ボールねじよりも間座23の長さが長くなる。すなわち、実施例1及び実施例2に示したボールねじと比べて、ボールねじ温度変化に起因する寸法の変化が大きくなった場合であっても、間座23をチタン合金から構成したことによって、予圧調整時の予圧量を保持することが可能となる。
【0028】
また、本実施例におけるボールねじによれば、実施例2に示したボールねじと同様の効果を得ることができる。
(実施例4)
図3は、本発明におけるボールねじの他の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。本実施例におけるボールねじは、実施例3で示すボールねじにおいて、間座23の形成材料のみが相違するだけであるため、相違する部分についてのみ説明する。
【0029】
本実施例におけるボールねじは、実施例3で示すボールねじにおいて、間座23を、チタン合金からなる第一の間座23Aと、このチタン合金の厚みW1よりも薄い、厚みW2を有するアルミ合金からなる第二の間座23Bとを、軸方向(図3における左右方向)に重ね合わせて構成している。
ここで、予圧量を調整するための間座23の厚み調整は、第二の間座23Bの厚みW2を調整することで行うようにする。
【0030】
このように、本実施例におけるボールねじによれば、間座23を、チタン合金からなる第一の間座23Aと、アルミ合金からなる第二の間座23Bとから構成し、第二の間座23Bの厚みW2を第一の間座23Aの厚みW1よりも十分に薄く形成したことによって、間座23の全体としての線膨張係数は、ねじ軸1、第一のナット21、及び第二のナット22を構成するチタン合金の線膨張係数により近くなる。よって、ボールねじの使用条件により、ボールねじ温度が予圧調整時と比べて変化したとしても、予圧調整時の予圧量を保持することが可能となる。 また、本実施例におけるボールねじによれば、第二の間座23Bを構成するアルミ合金の厚みW2を調整することで予圧量の調整を行うようにしたことによって、特殊な精密加工が要求され、高コストを要するチタン合金単独で間座23が構成された実施例2及び実施例3と比べて、予圧調整にかかるコストを低減させることが可能となる。
(実施例5)
本実施例におけるボールねじは、実施例4で示したボールねじにおける第一の間座23Aをチタン合金から構成するとともに、第二の間座23Bをこのチタン合金の厚みW1よりも薄い厚みW2を有するセラミックスから構成している。
【0031】
ここで、予圧量を調整するための間座23の厚み調整は、第二の間座23Bの厚みW2を調整することで行うようにする。
このように、本実施例におけるボールねじによれば、間座23を、チタン合金からなる第一の間座23Aと、セラミックスからなる第二の間座23Bとから構成し、第二の間座23Bの厚みを第一の間座23Aよりも十分に薄く形成したことによって、間座23の全体としての線膨張係数は、ねじ軸1、第一のナット21、及び第二のナット22を構成するチタン合金の線膨張係数により近くなる。よって、ボールねじの使用条件により、ボールねじ温度が予圧調整時と比べて変化したとしても、予圧調整時の予圧量を保持することが可能となる。
【0032】
また、本実施例におけるボールねじによれば、セラミックスからなる第二の間座23Bの厚みW2を調整することで予圧量の調整を行うようにしたことによって、特殊な精密加工が要求され、高コストを要するチタン合金単独で間座23が構成された実施例2及び実施例3と比べて、予圧調整にかかるコストを低減させることが可能となる。
(実施例6)
図4は、本発明におけるボールねじの他の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。本実施例におけるボールねじは、実施例4で示すボールねじにおいて、間座23の形成材料のみが相違するだけであるため、相違する部分についてのみ説明する。
【0033】
本実施例におけるボールねじは、実施例4で示したボールねじにおいて、間座23を、窒化珪素系セラミックスからなる第一の間座23Aと、アルミ合金からなる第二の間座23Bとから構成している。
ここで、間座23全体の軸方向における線膨張係数をチタン合金の線膨張係数と略等しくなるように、第一の間座23A厚みW1と第二の間座23Bの厚みW2との軸方向における予圧調整時の比率を、約73:27となるように構成している。なお、チタン合金の線膨張係数は8.4×10−6/℃で、第一の間座23Aを構成する窒化珪素系セラミックスの線膨張係数は2.8×10−6/℃で、第二の間座23Bを構成するアルミ合金の線膨張係数は23.6×10−6/℃である。
【0034】
このように、本実施例におけるボールねじによれば、間座23を、窒化珪素系セラミックスからなる第一の間座23Aと、アルミ合金からなる第二の間座23Bとから構成し、第一の間座23Aの厚みW1と第二の間座23Bの厚みW2とを調整して間座23全体の軸方向における線膨張係数をチタン合金の線膨張係数と略等しくすることによって、ボールねじの使用条件によりボールねじ温度が予圧調整時と比べて変化した場合でも、予圧調整時の予圧量を保持することが可能とある。
【0035】
また、間座23を構成する第一の間座23A及び第二の間座23Bを、いずれも精密加工が容易な材料から構成することによって、容易且つ安価で厳密な予圧量の調整を行うことが可能となる。
なお、実施例4〜実施例6におけるボールねじにおいて、間座23を、異なる材料からなる第一の間座23A及び第二の間座23Bの二種類で構成したが、間座23全体での軸方向における線膨張係数がチタン合金と同等となるように厚みが調整されているのであれば、二種類以上の材料から構成するようにしてもかまわない。
【0036】
また、実施例1〜実施例6におけるボールねじにおいて、間座23から第一のナット21及び第二のナット22の方向に向かう引張り予圧が付与される場合について説明したが、これに限らず、第一のナット21及び第二のナット22から間座23に向かう方向に圧縮予圧が付与されるように設定してもかまわない。
【0037】
【発明の効果】
このように、本発明のボールねじによれば、ねじ軸及びナットがチタン合金製であり、且つ、ボールがセラミックス製であるボールねじにおいて、ナットを、予圧調整用の間座を間に挿入した第一のナットと第二のナットとから構成したことによって、高い耐食性及び非磁性が要求される環境下であっても好適に用いられるとともに、容易且つ低コストで厳密な予圧調整を行うことが可能となる。
【0038】
また、本発明のボールねじによれば、間座を、チタン合金製とすることによって、ボールねじの使用条件により予圧調整時と比べてボールねじ温度が変化した場合であっても、予圧調整時の予圧量を保持することが可能となる。
さらに、本発明のボールねじによれば、間座を、異なる二種類以上の材料を軸方向に重ね合わせて構成するとともに、当該間座全体での軸方向における線膨張係数がチタン合金と同等となるように、材料の軸方向における厚みを調整することによって、ボールねじの使用条件により予圧調整時に比べてボールねじ温度が変化した場合であっても、予圧調整時の予圧量を低コストで保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるボールねじの一構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図2】本発明におけるボールねじの他の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図3】本発明におけるボールねじの他の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図4】本発明におけるボールねじの他の構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図5】従来におけるボールねじの一構成例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)はボールの拡大断面図である。
【符号の説明】
1    ねじ軸
1a   第一のねじ溝
2    ナット
2a   第二のねじ溝
2A   貫通穴
3    ボール
4    リターンチューブ
5    チューブ止め具
6    循環路固定ボルト
7    ラビリンスシール
8    キー材
9    エンドキャップ
21    第一のナット
22    第二のナット
23    間座
23A   第一の間座
23B   第二の間座

Claims (6)

  1. 外周面に第一のねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸に形成された第一のねじ溝に対向する内周面に第二のねじ溝を有するナットと、前記第一及び第二のねじ溝間に転動自在に配設された複数のボールとを備え、前記ねじ軸及び前記ナットがチタン合金製であり、且つ、前記ボールがセラミックス製であるボールねじにおいて、
    前記ナットが、予圧調整用の間座を間に挿入した第一のナットと第二のナットとから構成されていることを特徴とするボールねじ。
  2. 前記間座が、チタン合金製であることを特徴とする請求項1に記載のボールねじ。
  3. 前記間座が、異なる二種類以上の材料を軸方向に重ね合わせて構成されているとともに、当該間座全体での軸方向における線膨張係数がチタン合金と同等となるように、前記材料の軸方向における厚みが調整されていることを特徴とする請求項1に記載のボールねじ。
  4. 前記間座を構成する前記材料は、チタン合金とアルミ合金であることを特徴とする請求項3に記載のボールねじ。
  5. 前記間座を構成する前記材料は、チタン合金とセラミックスであることを特徴とする請求項3に記載のボールねじ。
  6. 前記間座を構成する前記材料は、セラミックスとアルミ合金であることを特徴とする請求項3に記載のボールねじ。
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