JP2007212436A - 導電性高分子からなる布帛を用いたセンサ、アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繊維が導電性高分子繊維を含む布帛を用いたセンサおよびアクチュエータ。
【選択図】図24
Description
本発明に係わる布帛は、繊維から成り、その繊維が導電性高分子繊維を含むことを特徴とする。ここで、布帛には織物及び編物が含まれる。
上記のような織物の他、編物の形を取ることも可能である。編物とは一般に、一本、あるいは数本の糸がループを作り、そのループに次の糸を引っ掛け、新しいループを作ることを連続して作った編地である。一般的に横編機で編まれた編地をニット品(図7:平編み、8:ゴム編み)と呼び、丸編機、経編機で反物状に編まれたものをジャージと呼ぶ。この場合は、用いる1本の糸自体が複数本の糸からなる撚り糸を形成し、その撚り糸中の導電性高分子繊維の密度により、センシングの強度や、アクチュエート量を設計することができる。
あらかじめ表面層の一部または全部に対し、他の高分子と組合せこのような形状とすることで、接触部分の制御や、繊維の強度を上げることができる。ここでいう表面層の一部とは、これらの導電性高分子を芯とした繊維体の表面に、他の材料からなる積層体を形成することのうち、前記導電性高分子の表面すべてを覆うことがない状態をいう。その積層時の断面形状は、例えば図25に示すようなものが挙げられる。円形以外でも、異形断面形状としては、扁平断面、中空断面、三角形やY型などの繊維形態や、繊維表面に微細な凹凸や筋を有する繊維形態などを採用することができる。図25に示される断面形状では、ハッチングの種類により材質が異なることを示すが、面積の大小を問わず、2種類の材質で組み合わされていれば、本機能を発現させることができる。
本発明のセンサにおいて、布帛の導電率の検出を行う単位ごとに端子を設置することが好ましい。すなわち、端子は縦糸間、または横糸間に設ける。このように検出用端子を設置することにより、センシングを効率的に行うことができる。この場合、検出用の端子を一つのバンドルに取り付けることが好ましい。
本発明のアクチュエータにおいて、布帛の伸縮の検出行う単位ごとの端子または検出および駆動を行なう単位ごとの電圧印加などの端子を設置することが好ましい。すなわち、端子は縦糸間、または横糸間に設ける。このように駆動用端子を設置することにより、効率的にアクチュエートを行わせることができる。また、検出及び駆動用端子を設置することにより、センシングに基づいてアクチュエートを効率的に行わせることができる。この場合、例えば検出用の端子を一のバンドルに取り付け、駆動用の端子を一のバンドルに直近するまたは近傍の同方向に配列したバンドルに取り付けることにより行う。
本発明の布帛を用いたセンサや本発明の布帛を用いたアクチュエータのように、ここで得られた導電性高分子繊維からなる織物や編物を車両に用いられる繊維材料と置換することで、車両から乗員へ信号を伝達する手段や、繊維の動きにより乗り心地を改善する手段に用いるのは好適である。
湿式紡糸法を利用し、溶媒相にアセトン(和光化学製:019−00353)を用い、一度濾過した導電性高分子PEDOT/PSSの水分散液(スタルク製Baytron P(登録商標))をマイクロシリンジ(伊藤製作所製、MS−GLL100、針部内径260μm)から2μL/min.の速度で押し出すことによって、直径約10μmの導電性高分子繊維を得た。得られた導電性高分子繊維の導電率をJIS K 7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に準拠して測定し、得られた抵抗率(Ω・cm)の逆数(S/cm)として算出したところ、約1S/cmとなった。
実施例1と同様に被覆したバンドルを形成し、縦糸のみに用いた。横糸には、ポリエチレンテレフタレート製繊維(直径15μm、カネボウ合繊製)、5000本からなるバンドルを用い、織物を得た。
芯鞘型湿式紡糸器の口金の芯部からはN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)を溶媒とするアクリロニトリル溶液(樹脂濃度25%)、鞘部からはPEDOT/PSSをそれぞれ0.2mL/min.の速度でDMAC(濃度85%)中に同時に吐出させ、芯鞘型繊維(直径15μm、鞘部量約30%、鞘部空隙率約30%)を得た。
実施例3と同様に、サイドバイサイド型湿式紡糸器の口金の一方からはN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)を溶媒とするアクリロニトリル溶液(樹脂濃度25%)、もう一方からはPEDOT/PSSをそれぞれ0.2mL/min.の速度でDMAC(濃度85%)中に同時に吐出させ、サイドバイサイド型繊維(直径15μm)を得た。
実施例1と同様の条件で導電性高分子繊維を得た。長繊維状態のままバンドル化し、そこから連続工程で水系アクリルエマルジョン(日本NSC社、AA−64)を最終繊維径が15μmになる様に塗布し、25℃で24時間乾燥させた。
実施例1と同様の条件で導電性高分子繊維を得た。このバンドル表面に、発泡材として熱分解型の炭酸水素ナトリウムを約10質量%混入した水系ポリエステルエマルジョン(日本NSC社製、AA−64)を表面に塗布し、50℃環境下で緩やかに発泡させつつ24時間乾燥させた。得られたバンドルの表面は多孔質状(空隙率約50%)になり、太さは約1mmのバンドルとなった。
実施例1と同様の条件で導電性高分子繊維を得た。この繊維をバンドル化したが被覆せず、縦糸のみに用いて織物化した。
実施例1と同様の湿式紡糸法で、針部内径300μm、押し出し速度を5μL/min.として、直径約10μmの導電性高分子繊維を得た。得られた導電性高分子繊維の導電率は約0.1S/cmであった。
導電成分として、銀コロイド水分散液(三井金属鉱業製パストラン)をPEDOT/PSS水分散液に5質量%添加した以外は、実施例1と同様に導電性高分子繊維を得た。得られた導電性高分子繊維の導電率は約10S/cmであった。
導電成分として、銀コロイド水分散液(三井金属鉱業製パストラン)をPEDOT/PSS水分散液に10質量%添加した以外は、実施例1と同様に導電性高分子繊維を得た。得られた導電性高分子繊維の導電率は約100S/cmであった。
導電性高分子としてポリピロール5%水溶液(アルドリッチ製)を用いた以外は、実施例1と同様の湿式紡糸法、被覆法で、繊維、バンドルを得た。得られた導電性高分子繊維の導電率は約10S/cmであった。
ピロール0.4gおよび過塩素酸テトラエチルアンモニウム1.15gを、l vol%の水を含む炭酸プロピレンに溶かして100mLとし、正極に白金板(長さ100mm、幅100mm、厚さ0.1mm)、負極にアルミ箔(長さ200mm、幅50mm、厚さ0.01mm)を用いた電解重合セルに、上記溶液を入れた。
導電性高分子としてポリアニリン5%水溶液(アルドリッチ製)を用いた以外は、実施例1と同様の湿式紡糸法、被覆法で、繊維、バンドルを得た。得られた導電性高分子繊維の導電率は約10S/cmであった。
エレクトロスピニング法で繊維を作製する。パラキシレンテトラヒドロチオフェニウムクロライドの2.5%水溶液にメタノールを50vol.%となる様に添加して原液を得た。これを内径340μmの針先から電圧5kVを印加して、針先より20cm下のアルミホイル基板上に、前駆体繊維を析出させた。得られた前駆体繊維を、250℃で24時間真空乾燥を行い、得られたナノファイバー(直径約10nm)を撚り糸とし、直径約10μmの繊維を得た。得られた導電性高分子繊維の導電率は約10S/cmであった。
実施例3と同様にして得た導電性高分子繊維を長い状態のままバンドル化して、連続工程で被覆を行なった。得られた繊維をジャージ状に編み物化した。
実施例1の織物を車両のステアリングに巻きつけ(図31)、10Hz、5Vで通電を行ったところ、運転者は通電時に振動感触を感じとることができた。また、握る場所を変えるごとに、電流値変化を観測することができた。これらのことから、導電性高分子繊維からなる織物は、センシング機能とアクチュエート機能を併せ持つことが認められた。
実施例1の織物を車両のシート座面に用い(図32)、電流値測定を行なったところ、運転中の臀部の動きに合わせて、電流値変化を測定することができた。また、入力の大きかった部分のセンシングに用いていなかったバンドルに5Vの電圧を印加することで、臀部に対して入力を行なうことができた。
実施例12と同様にポリピロールフィルムを得て、真空乾燥を行った。その後、常圧下で、塩酸蒸気に30秒さらしたポリピロールフィルムを、これを長さ50mm、幅1mmに切断して導電性高分子繊維として用いた。このフィルムの導電率は約450S/cmであった。
実施例12と同様にポリピロールフィルムを得て、真空乾燥を行った。その後、常圧下で、塩酸蒸気に60秒さらしたポリピロールフィルムを、これを長さ50mm、幅1mmに切断して導電性高分子繊維として用いた。このフィルムの導電率は約600S/cmであった。
PET長繊維(繊維径15μm、カネボウ合繊製)、5000本を用いてバンドルと形成し、縦糸、横糸として織物を形成し、比較例として用いた。
圧電性を持つPVDFフィルム(クレハ製KFピエゾフィルム、厚さ100μm)を長さ50mm、幅1mmに切り出し、縦糸に用いて織物を形成し、比較例として用いた。電極がフィルム両面に設定されているので、電極は端部の片面ずつ設置した。
実施例及1〜17及び比較例1〜2で得られた織物、編物を40mm角で用意した。用いた導電性高分子繊維のバンドルの両端に直径0.025mmの銅線(ニラコ製CU−111086)を導電ペースト(藤倉化成製D−500)でつなぎ、サンプルの外周部を固定し、以下の試験を行った。(図33:評価サンプル準備)
(評価試験1)
センシング性能試験1:圧子スライド試験
直径5mmの先端部が円形の圧子を用いてサンプルに対して、0.3Nの力で押し付ける(図34)。10秒間で30mmスライド(図35:圧子の動き スライド試験)させ、各バンドルの電流値の計時変化を測定する。
センシング性能試験2:圧子ピストンスライド試験
評価試験1と同様の治具、条件に加え、圧子を0.5Hzの正弦波で上下動させながらスライドさせる(図36)。
アクチュエート性能試験
サンプル中央部に圧子を0.3Nで押し付ける。5Vの電圧印加に対して、発生する応力はロードセル(共和電業製LTS−500GA)を用いて測定する(図37)。測定結果を発生応力で表した。
2a 芯鞘繊維の鞘成分
2b 芯鞘繊維の芯成分
3a サイドバイサイド型繊維の1成分
3b サイドバイサイド型繊維の3aと異なる材料からなる成分
4a 海島型繊維の海成分
4b 海島型繊維の島成分
5a 中空繊維の繊維成分
5b 中空繊維の中空部
20 湿式紡糸装置
21 湿式紡糸用口金
22 湿式紡糸溶媒槽
23 繊維送り器
24 繊維巻き取り器
25 塗布乾燥装置
26 コーティング槽
27 乾燥装置
30 エレクトロスピニング装置
31 シリンダー
32 シリンダー針
33 電極
34 絶縁材(土台)
35 電圧印加装置
36 電線。
Claims (12)
- 導電性高分子繊維を含む布帛と、
該導電性高分子繊維の導電率を測定する導電率検出手段とを備えることを特徴とするセンサ。 - 前記導電性高分子繊維の導電率が0.1〜600S/cmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- 前記導電性高分子繊維の導電率が1〜450S/cmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- 前記導電性高分子繊維は、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンにポリ4−スチレンサルフォネートをドープしたPEDTOT/PSSおよびパラフェニレンビニレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサ。
- 前記布帛は、他の高分子により被覆されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ。
- 前記導電性高分子繊維は、他の高分子と組み合わせてなる芯鞘型、サイドバイサイド型または海島型の断面形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサ。
- 前記導電性高分子繊維に用いる他の高分子は、エラストマーであることを特徴とする請求項6記載のセンサ。
- 前記導電性高分子繊維に用いる他の高分子は、多孔質体であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のセンサ。
- 導電性高分子繊維を含む布帛と、
該導電性高分子繊維に電圧を付与する電圧印加手段とを備えることを特徴とするアクチュエータ。 - 前記導電性高分子繊維は、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンにポリ4−スチレンサルフォネートをドープしたPEDTOT/PSSおよびパラフェニレンビニレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項9に記載のアクチュエータ。
- 前記導電性高分子繊維は、他の高分子と組み合わせてなる芯鞘型、サイドバイサイド型または海島型の断面形状であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のアクチュエータ。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のセンサ及び/又は請求項9〜11のいずれか1項に記載のアクチュエータを用いた車両用部品。
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