JP2007212345A - 薄膜構造体並びにこれを用いた熱型変位素子及び放射検出装置 - Google Patents

薄膜構造体並びにこれを用いた熱型変位素子及び放射検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】バイメタル長に相当する変位部の長さを長くすることを可能にして、変位部の感度を高める。
【解決手段】変位部をなす周回部4は、スパイラル状をなす。また、周回部4は、基板1の面と平行な仮想軸Jの回りに1つの周回方向に1周より多く周回する。周回部4は、薄膜で構成され順次機械的に接続された4つの円弧状部4−1〜4−4を含む。各円弧状部4−1〜4−4は、外周側のSiN膜及びこれに積層された内周側のAl膜で構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜構造体、並びに、これを用いた熱型変位素子及び放射検出装置に関するものである。
マイクロマシニング技術の進展に伴い、種々の分野において、要素技術として薄膜構造体(薄膜を用いた構造体)の重要性が高まっている。
薄膜構造体が用いられている分野の一例として、例えば、下記特許文献1に開示されているような光読み出し型の熱型赤外線検出装置を挙げることができる。この熱型赤外線検出装置においては、基体と、この基体に支持された被支持部とを備えた熱型変位素子が用いられている。前記被支持部は、薄膜で構成され、薄膜構造体をなしている。前記被支持部は、赤外線を受けて熱に変換する赤外線吸収部と、該赤外線吸収部と熱的に結合されその熱に応じて前記基体に対してバイメタルの原理により変位する変位部とを有している。したがって、放射が熱に変換され、その熱に応じて変位部が湾曲して変位する。そして、変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材が、変位部に固定されている。例えば、特許文献1の図1に開示されているように変位読み出し部材としてミラーが用いられ、読み出し光学系にて前記ミラーに読み出し光を照射しその反射光を受光することで、変位部の変位(すなわち、赤外線の強度)がミラーの傾きとして検出される。
前記従来の熱型変位素子の前記変位部は、バイメタルの原理により湾曲するものであるが、所定の仮想軸の回りに周回するようなものではなかった。
また、従来は、熱型赤外線検出装置以外の分野において用いられている薄膜構造体においても、支持基体の支持面と略平行な仮想軸の回りに周回する周回部を持つ薄膜構造体は提供されていなかった。
特開2003−75259号公報
しかしながら、前記従来の熱型変位素子を用いた赤外線装置では、前記変位部が湾曲しているものの仮想軸の回りを周回するようなものでないため、バイメタル長に相当する前記変位部の長さを長くすることが困難であった。したがって、前記変位部の感度(温度変化に応じて生ずる変位量の大きさ)、ひいては、赤外線検出の感度を高めることが困難であった。
また、マイクロマシニング技術等においては、要素技術の多様化が要望されており、新たな薄膜構造体が求められていることは、言うまでもない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、バイメタル長に相当する変位部の長さを長くすることができて変位部の感度を高めることができる熱型変位素子、及び、これを用いた放射検出装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、このような熱型変位素子などに適した新たな薄膜構造体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による薄膜構造体は、基体にその1つの面の側において支持された薄膜構造体であって、前記面と略平行な仮想軸の回りに1つの周回方向に1周より多く周回した周回部を備え、前記周回部は、薄膜で構成され順次機械的に接続された複数の円弧状部を含むものである。
なお、本明細書において、1周より多く周回するとは、360゜より多く周回するという意味であり、必ずしも2周以上周回しなくてもよく、1周より多く周回すれば2周より少なく周回してもよい。
本発明の第2の態様による薄膜構造体は、前記第1の態様において、前記各円弧状部の膜面が円弧状面をなすものである。
本発明の第3の態様による薄膜構造体は、前記第1又は第2の態様において、前記周回部はスパイラル状をなすものである。
本明細書においては、スパイラル状とは、曲率が順次変化していく渦巻状のような形態を意味し、軸方向位置が変化しないような形態の他、軸方向位置が順次ずれていくような形態も含むものとする。
本発明の第4の態様による薄膜構造体は、前記第1又は第2の態様において、前記周回部はヘリカル状をなすものである。
本明細書においては、ヘリカル状とは、曲率がほぼ一定で、軸方向位置が順次ずれていくような形態を意味するものとする。
本発明の第5の態様による薄膜構造体は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重なるものである。
本発明の第6の態様による薄膜構造体は、前記第5の態様において、前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに異なるものである。
本発明の第7の態様による薄膜構造体は、前記第1、第2、第4のいずれかの態様において、前記周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重ならないものである。
本発明の第8の態様による薄膜構造体は、前記第7の態様において、前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに実質的に同じであるものである。
本発明の第9の態様による薄膜構造体は、前記第1乃至第8の態様において、前記各円弧状部は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有するものである。
本発明の第10の態様による薄膜構造体は、前記第1乃至第9のいずれかの態様において、前記周回部を複数備え、当該複数の周回部のうちの少なくとも2つの周回部が機械的に直列的に接続されたものである。
本発明の第11の態様による薄膜構造体は、前記第10の態様において、前記少なくとも2つの周回部のうちの端部同士が機械的に接続された2つの周回部に関して、一方の周回部の始点部から前記一方の周回部の終点部へ向かう前記仮想軸回りの周回方向と、他方の周回部の始点部から前記他方の周回部の終点部へ向かう前記仮想軸回りの周回方向とが、逆であるものである。
なお、本明細書において、周回部の始点部とは、基体から機械的に連続するルートにおいて、当該周回部の端部のうち基体に近い側の端部をいう。また、周回部の終点部とは、基体から機械的に連続するルートにおいて、当該周回部の端部のうち基体から遠い側の端部をいう。
本発明の第12の態様による薄膜構造体は、前記第1乃至第9のいずれかの態様において、前記周回部を複数備え、当該複数の周回部のうちの少なくとも2つの周回部が機械的に並列的に接続されたものである。
本発明の第13の態様による薄膜構造体は、前記第1乃至第9のいずれかの態様において、前記周回部を2つ以上有する組を複数備え、前記各組において当該組の前記2つ以上の周回部が機械的に直列的に接続され、前記複数の組が機械的に並列的に接続されたものである。
本発明の第14の態様による熱型変位素子は、基体及び該基体に支持された被支持部を備え、前記被支持部の少なくとも一部が温度変化により変位する熱型変位素子であって、前記被支持部が前記第1乃至第13のいずれかの態様による薄膜構造体を含むものである。
本発明の第15の態様による熱型変位素子は、基体と、該基体にその1つの面の側において支持された被支持部とを備え、(i)前記被支持部は、放射を受けて熱に変換する放射吸収部と、前記放射吸収部と熱的に結合された変位部とを含み、(ii)前記変位部は、前記面と略平行な仮想軸の回りに1つの周回方向に1周より多く周回した周回部を含み、(iii)前記周回部は、薄膜で構成され順次機械的に接続された複数の円弧状部を含み、(iv)前記各円弧状部は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有するものである。
本発明の第16の態様による熱型変位素子は、前記第15の態様において、前記複数の円弧状部は、互いに、その各層を構成する物質同士が同じであるとともに各物質の層の重なり順序が同じであるものである。ここで、重なり順序は、円弧の内周側から外周側への順序(又はその逆の順序)をいうものとする。
本発明の第17の態様による熱型変位素子は、前記第15又は第16の態様において、前記各円弧状部の膜面が円弧状面をなすものである。
本発明の第18の態様による熱型変位素子は、前記第15乃至第17のいずれかの態様において、前記周回部はスパイラル状をなすものである。
本発明の第19の態様による熱型変位素子は、前記第15乃至第17のいずれかの態様において、前記周回部はヘリカル状をなすものである。
本発明の第20の態様による熱型変位素子は、前記第15乃至第18のいずれかの態様において、前記周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重なるものである。
本発明の第21の態様による熱型変位素子は、前記第20の態様において、前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに異なるものである。
本発明の第22の態様による熱型変位素子は、前記第15、第16、第17、第19のいずれかの態様において、前記周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重ならないものである。
本発明の第23の態様による熱型変位素子は、前記第22の態様において、前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに実質的に同じであるものである。
本発明の第24の態様による放射検出装置は、前記第15乃至第23のいずれかの態様による熱型変位素子と、前記変位部に対して固定された変位読み出し部材であって、前記変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材とを備えたものである。
本発明の第25の態様による熱型変位素子は、基体と、該基体にその1つの面の側において支持された被支持部とを備え、(i)前記被支持部は、熱抵抗の高い熱分離部と、放射を受けて熱に変換する放射吸収部と、第1及び第2の変位部とを含み、(ii)前記第1の変位部は、前記面と略平行な仮想軸の回りに1周より多く周回した第1の周回部を含み、(iii)前記第2の変位部は、前記仮想軸の回りに1周より多く周回した第2の周回部を含み、(iv)前記第1の周回部及び第2の周回部の各々は、薄膜で構成され順次機械的に接続された複数の円弧状部を含み、(v)前記第1の周回部の前記複数の円弧状部の各々は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有し、(vi)前記第2の周回部の前記複数の円弧状部の各々は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有し、(vii)前記第1の変位部は、前記基体に対して、前記熱分離部を介することなく機械的に連続し、(viii)前記放射吸収部及び前記第2の変位部は、前記基体に対して、前記熱分離部及び前記第1の変位部を介して機械的に連続し、(ix)前記第2の変位部は前記放射吸収部と熱的に結合されたものである。
本発明の第26の態様による熱型変位素子は、前記第25の態様において、(i)前記第1の周回部の始点部から前記第1の周回部の終点部へ向かう前記仮想軸回りの周回方向と、前記第2の周回部の始点部から前記第2の周回部の終点部へ向かう前記仮想軸回りの周回方向とが、逆であり、(ii)前記第1の周回部の前記複数の円弧状部及び前記第2の周回部の前記複数の円弧状部は、互いに、その各層を構成する物質同士が同じであるとともに各物質の層の重なり順序が同じであるものである。
本発明の第27の態様による熱型変位素子は、前記第25又は第26の態様において、前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部の前記各円弧状部の膜面が円弧状面をなすものである。
本発明の第28の態様による熱型変位素子は、前記第25乃至第27のいずれかの態様において、前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部はスパイラル状をなすものである。
前記第29の態様による熱型変位素子は、前記第25乃至第27のいずれかの態様において、前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部はヘリカル状をなすものである。
本発明の第30の態様による熱型変位素子は、前記第25乃至第28のいずれかの態様において、前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重なるものである。
本発明の第31の態様による熱型変位素子は、前記第30の態様において、前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに異なるものである。
本発明の第32の態様による熱型変位素子は、前記第25、第26、第27、第29のいずれかの態様において、前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重ならないものである。
本発明の第33の態様による熱型変位素子は、前記第32の態様において、前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに実質的に同じであるものである。
本発明の第34の態様による熱型変位素子は、前記第25乃至第33のいずれかの態様による熱型変位素子と、前記第2の変位部に対して固定された変位読み出し部材であって、前記第2の変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材とを備えたものである。
本発明によれば、バイメタル長に相当する変位部の長さを長くすることができて変位部の感度を高めることができる熱型変位素子、及び、これを用いた放射検出装置を提供することができる。
また、本発明によれば、このような熱型変位素子などに適した新たな薄膜構造体を提供することができる。
以下、本発明による薄膜構造体並びにこれを用いた熱型変位素子及び放射検出装置について、図面を参照して説明する。
以下の説明では、放射を赤外線とした例について説明するが、放射を赤外線以外のX線や紫外線やその他の種々の放射としてもよい。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による放射検出装置の単位画素(単位素子)を模式的に示す概略斜視図である。図2及び図3はそれぞれ、図1に示す単位素子を−Y側から+Y方向に見た概略側面図である。図1及び図2は常温付近の低温物体を観察している(すなわち、当該低温物体からの赤外線iが入射している)様子を示し、図3はかなり温度の高い高温物体を観察している(すなわち、当該高温物体からの赤外線iが入射している)様子を示している。図1乃至図3では、簡略化して示しており、例えば、図4中の凸部3b,8a,9a,10a等の図示は省略している。図4は、本実施の形態による放射検出装置の製造途中において犠牲層81〜89を除去する前の単位素子の状態を示す概略平面図である。ただし、図4では犠牲層81〜89の図示は省略している。図5は、図4中のA−A’線に沿った概略断面図である。なお、図4及び図5では、犠牲層81〜89を除去する前であるので、円弧状部4−1〜4−4は、犠牲層81〜89により保持されて、円弧状とならずに平板状となっている。犠牲層81〜89を除去した後に円弧状部4−1〜4−4がその構成層の応力によって図1乃至図3に示すように円弧状になると、図5中の円弧状部4−1〜4−4の下面が外周側の面をなすとともに図5中の円弧状部4−1〜4−4の上面が内周側の面をなすようになっている。
なお、説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する(後述する図についても同様である。)。基板1の面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。なお、以下に説明する材料等は例示であり、これに限定されるものではない。
本実施の形態による放射検出装置は、基体としてのシリコン基板1と、基板1にその+Z側に支持された被支持部2と、被支持部2の変位部をなす周回部4に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材としての、受光した読み出し光jを反射する反射板10とを備えている。
本実施の形態では、被支持部2は、基板1からZ軸方向(上下方向)に立ち上がった2つの脚部3を介して、基板1上に浮いた状態に支持されている。被支持部2は、それぞれ変位部をなす2つの周回部4と、赤外線iを受けて熱に変換する赤外線吸収部8とを有している。本実施の形態では、図2及び図3に示すように、読み出し光jは上方から入射され、観察対象の物体からの赤外線iは、下方から入射されて、基板1を透過する。シリコン基板1は、赤外線iに対して透明である。
本実施の形態による放射検出装置は、図1中の+Y側及び−Y側の両側が対称に構成されており、機械的な構造の安定性を得るために、脚部3及び周回部4からなる組を2つ設けているが、本発明では当該組は1つ以上であればよい。
脚部3は、図5に示すようにSiN膜21で構成され、基板1から立ち上がった後にX軸方向に延びた水平部3aを有している。水平部3aは、基板1と後述する円弧状部4−1との間の熱抵抗を高めるために設けられているが、必ずしも設けなくてもよい。図4及び図5に示すように、水平部3aの周辺部分を除く領域に凸部3bが形成されることで、水平部3aの周辺部分に補強用の段差(立ち上がり部)3cが形成されている。水平部3aは、段差3cにより補強され、所望の強度を確保しつつ膜厚を薄くすることができる。
周回部4は、図1乃至図3に示すように、基板1の上面と平行にY軸方向と平行に延びた仮想軸Jの回りに1つの周回方向に1周より多く周回している。周回部4は、薄膜で構成され順次機械的に接続された4つの円弧状部4−1〜4−4を有している。円弧状部4−1の一端部が脚部3の水平部3aに接続され、円弧状部4−1の他端部が接続部5によって円弧状部4−2の一端部に接続され、円弧状部4−2の他端部が接続部6によって円弧状部4−3の一端部に接続され、円弧状部4−3の他端部が接続部7によって円弧状部4−4の一端部に接続されている。円弧状部4−4の他端部は、接続部9によって赤外線吸収部8に接続されている。本実施の形態では、円弧状部4−1〜4−4の仮想軸Jの方向の位置(Y方向位置)は、互いに重なっているとともに、それらの曲率半径R1〜R4は順次小さくなっている(すなわち、R1>R2>R3>R4)。これにより、周回部4はスパイラル状をなしている。
図5に示すように、各円弧状部4−1〜4−4は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった2つの層(これらの層は、仮想軸Jに対するラジアル方向に重なっている。)で構成されている。
円弧状部4−1は、脚部3からそのまま連続して延びた外周側のSiN膜21と、その内周側に積層されたAl膜22とから構成されている。円弧状部4−2は、外周側のSiN膜23と、その内周側に積層されたAl膜24とから構成されている。接続部5は、円弧状部4−2を構成しているSiN膜23及びAl膜24がそのまま連続して延びることによって形成されている。円弧状部4−3は、外周側のSiN膜25と、その内周側に積層されたAl膜26とから構成されている。接続部6は、円弧状部4−3を構成しているSiN膜25及びAl膜26がそのまま連続して延びることによって形成されている。円弧状部4−4は、外周側のSiN膜27と、その内周側に積層されたAl膜28とから構成されている。接続部7は、円弧状部4−4を構成しているSiN膜27及びAl膜28がそのまま連続して延びることによって形成されている。以上の説明からわかるように、円弧状部4−1〜4−4の膜面が円弧状面となっている。
円弧状部4−1は、犠牲層81〜89が除去されていない段階では、図4及び図5に示すように、犠牲層81〜89により保持されて円弧状とならずに、基板1と平行にX軸方向に真っ直ぐ延びているが、膜21,22の膜厚や製造時の成膜条件等を設定することで、最終的に犠牲層81〜89が除去されると、膜21,22の内部応力によって、常温において図1及び図2に示すように、SiN膜21が外周側でAl膜21が内周側となるように、曲率半径R1の円弧状になっている。円弧状部4−1の曲率半径R1は、成膜条件や膜厚等を調整することで、自在に設定できる。SiN膜21よりAl膜22の方が膨張係数が大きいので、円弧状部4−1は、熱を受けて温度が上昇すると、その温度に応じて、その曲率半径R1が大きくなる。
円弧状部4−2〜4−4も、円弧状部4−1と同様に、犠牲層81〜89が除去されていない段階では基板1と平行にX軸方向に真っ直ぐ延びているが、最終的に犠牲層81〜89が除去されると、構成膜の内部応力によって、常温において図1及び図2に示すように、SiN膜が外周側でAl膜が内周側となるように円弧状になる。ただし、常温時の円弧状部4−2〜4−4の曲率半径は、前述したように、それぞれR2〜R4である。また、円弧状部4−2〜4−4も、円弧状部4−1と同様に、熱を受けて温度が上昇すると、その温度に応じて、その曲率半径R2〜R4がそれぞれ大きくなる。
なお、図4及び図5に示す状態から犠牲層81〜89を除去することで図1及び図2に示す状態になろうとする際に、赤外線吸収部8及び反射板10が基板1に衝突してしまうのを避けるために、基板1には図1乃至図4に示すように凹所1aが形成されている。もっとも、脚部3を多段構造で構成するなどして脚部3の高さを高くしたような場合には、必ずしも基板1に凹所1aを形成しておく必要はない。
本実施の形態では、各円弧状部4−1〜4−4は、図1及び図2に示すように、仮想軸Jの回りをちょうど半周するように、その長さ等が設定されている。もっとも、本発明では、これに限定されず、例えば、各円弧状部4−1〜4−4が仮想軸Jの回りに1周近く回るようにしてもよい。
なお、円弧状部4−1〜4−4を構成する層数や材料は、前述した例に限定されるものではない。この点は、後述する円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3についても同様である。
赤外線吸収部8は、平板状に構成されているが、図4及び図5に示すように、その周辺部分を除く領域に凸部8aが形成されることで、その周辺部分に補強用の段差(立ち上がり部)8bが形成されている。赤外線吸収部8及び接続部9は、円弧状部4−4を構成しているSiN膜27がそのまま連続して延びることによって形成されている。接続部9は、その周辺部分を除く領域に、赤外線吸収部8の凸部8aと連続する凸部9aが形成されることで、その周辺部分に補強用の段差(立ち上がり部)9bが形成されている。
反射板10は、Al膜29で構成され、赤外線吸収部8の大部分の領域から間隔dをあけるように、接続部11によって赤外線吸収部8に接続されている。反射板10は、平板状に構成されているが、図4及び図5に示すように、その周辺部分を除く領域に凸部10aが形成されることで、その周辺部分に補強用の段差(立ち上がり部)10bが形成されている。
赤外線吸収部8の赤外線反射率は、約33%であることが好ましい。赤外線吸収部8は、nを奇数、入射赤外線iの所望の波長域の中心波長をλとして、赤外線吸収部8と反射板10との間の間隔dが実質的にnλ/4となるように、配置されている。例えば、λを10μm、nを1として、間隔dを約2.5μmに設定すればよい。本実施の形態では、読み出し光jを反射する反射板10は、赤外線iを略々全反射する赤外線反射部として兼用され、赤外線吸収部8及び反射板10がオプティカルキャビティー構造を構成している。もっとも、このような赤外線反射部は反射板10とは別に設けてもよい。なお、前述したようなオプティカルキャビティー構造は必ずしも採用する必要はなく、例えば、赤外線吸収部8としてのSiN膜27と反射板10としてのAl膜29とを直接積層してもよい。
図面には示していないが、本実施の形態による放射検出装置では、前述した図1等に示す単位画素が基板1上に1次元状又は2次元状に配置されている。この点は、後述する各実施の形態についても同様である。
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、基板1、脚部3、被支持部2、反射板10及び赤外線吸収部8が赤外線iにより生ずる熱に応じて変位を発生する熱型変位素子を構成しており、各単位画素においてこの熱型変位素子の被支持部2が1つずつ用いられている。
また、前述した説明からわかるように、本実施の形態では、被支持部2が薄膜構造体を構成しており、被支持部2において、2つの周回部4が基板1と赤外線吸収部8との間で機械的に並列的に接続されている。
ここで、本実施の形態による放射検出装置の製造方法の一例について、図4及び図5の他に、図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7は、各製造工程を示す断面図であり、図5に対応している。
まず、フォトリソエッチング法によりシリコン基板1に凹所1aを形成した後に、この凹所1aをレジスト等の犠牲層81で埋め戻す(図6(a))。
次に、図6(a)に示す状態の基板1上にレジスト等の犠牲層82を形成し、犠牲層82において脚部3を形成すべき位置に開口をフォトリソグラフィにより形成する。次いで、脚部3の水平部3aの凸部3bに応じた領域に、レジスト等の犠牲層83を島状に形成する。引き続いて、SiN膜21をデポし、フォトリソエッチング法により、このSiN膜21を脚部3(水平部3aを含む)及び円弧状部4−1の形状にパターニングする。その後、Al膜22を成膜し、このAl膜22を円弧状部4−2の形状にパターニングする。このとき、膜21,22の成膜条件及び厚さ等は、犠牲層81〜89を除去した後に常温において円弧状部4−1が曲率半径R1で円弧状となるように設定する。次に、この状態の基板上にレジスト等の犠牲層84を形成し、この犠牲層84において接続部5の位置に開口84aを形成する(図6(b))。
次いで、SiN膜23を形成した後にこれを接続部5及び円弧状部4−2の形状にパターニングし、さらに、Al膜24を形成した後にこれを接続部5及び円弧状部4−2の形状にパターニングする。このとき、膜23,24の成膜条件及び厚さ等は、犠牲層81〜89を除去した後に常温において円弧状部4−2が曲率半径R2で円弧状となるように設定する。引き続いて、レジスト等の犠牲層85を形成し、この犠牲層85において接続部6の位置に開口85aを形成する(図7(a))。
引き続いて、SiN膜25を形成した後にこれを接続部6及び円弧状部4−3の形状にパターニングし、さらに、Al膜26を形成した後にこれを接続部6及び円弧状部4−3の形状にパターニングする。このとき、膜25,26の成膜条件及び厚さ等は、犠牲層81〜89を除去した後に常温において円弧状部4−3が曲率半径R3で円弧状となるように設定する。その後、レジスト等の犠牲層86を形成し、この犠牲層86において接続部7の位置に開口を形成する。次に、接続部9の凸部9a及び赤外線吸収部8の凸部8aに応じた領域に、レジスト等の犠牲層87を島状に形成する。次いで、SiN膜27を形成した後にこれを接続部7,9、円弧状部4−4及び赤外線吸収部8の形状にパターニングし、さらに、Al膜28を形成した後にこれを円弧状部4−4の形状にパターニングする(図7(b))。このとき、膜27,28の成膜条件及び厚さ等は、犠牲層81〜89を除去した後に常温において円弧状部4−4が曲率半径R4で円弧状となるように設定する。
その後、図7(b)に示す状態の基板上にレジスト等の犠牲層88を形成し、この犠牲層88において接続部11の位置に開口を形成する。次に、反射板10の凸部10aに応じた領域にレジスト等の犠牲層89を島状に形成する。引き続いて、Al膜29を形成した後、これを反射板10及び接続部11の形状にパターニングする(図4、図5)。
最後に、アッシング等により、犠牲層81〜89を除去する。これにより、円弧状部4−1〜4−4が平板状から円弧状となって、図1及び図2に示す状態となり、本実施の形態による放射検出装置が完成する。
本実施の形態によれば、周回部4が前述した膜構成の円弧状部4−1〜4−4により構成されているので、常温T0付近の低温物体を観察している場合には、図2に示すように、反射板10が基板1と平行となる。そして、かなり温度の高い高温物体を観察すると、高温物体からの赤外線iが赤外線吸収部8により熱に変換され、この熱により周回部4の円弧状部4−1〜4−4の曲率半径R1〜R4が大きくなる。したがって、図3に示すように、その熱に応じて(したがって、入射赤外線iの強度に応じて)、反射板10が傾く。よって、本実施の形態によれば、入射赤外線量を反射板10の傾き角度として検出することができる。
そして、本実施の形態によれば、円弧状部4−1〜4−4で構成され仮想軸Jの回りを1周以上周回する周回部4が変位部を構成しているので、前述した従来技術に比べて、バイメタル長に相当する変位部の長さを長くすることができる。したがって、入射赤外線iの強度変化に対する反射板10の角度変化を大きくすることができ、ひいては、入射赤外線iに対する検出感度を高めることができる。
ここで、本実施の形態による放射検出装置を用いた映像化装置の一例について、図8を参照して説明する。図8は、この映像化装置を示す概略構成図である。図8中、本実施の形態による放射検出装置には、符号100を付している。
この映像化装置は、放射検出装置100の他に、読み出し光学系と、撮像手段としての2次元CCD30と、観察対象(目標物体)としての熱源31からの赤外線iを集光して、放射検出装置100の赤外線吸収部8が分布している面上に、熱源31の赤外線画像を結像させる赤外線用の結像レンズ32とから構成されている。
この映像化装置では、前記読み出し光学系は、読み出し光を供給するための読み出し光供給手段としてのLD(レーザーダイオード)33と、LD33からの読み出し光を放射検出装置100の全ての画素の反射板10へ導く第1レンズ系34と、第1レンズ系34を通過した後に全ての画素の反射板10にて反射された読み出し光の光線束のうち所望の光線束のみを選択的に通過させる光線束制限部35と、第1レンズ系34と協働して各画素の反射板10と共役な位置を形成し且つ該共役な位置に光線束制限部35を通過した光線束を導く第2レンズ系36とから構成されている。前記共役な位置にはCCD30の受光面が配置されており、レンズ系34,36によって全ての画素の反射板10とCCD30の複数の受光素子とが光学的に共役な関係となっている。
LD33は、第1レンズ系34の光軸Oに関して一方の側(図8中の右側)に配置されており、当該一方の側の領域を読み出し光が通過するように読み出し光を供給する。本例では、LD33が第1レンズ系34の第2レンズ系36側の焦点面付近に配置されて、第1レンズ系34を通過した読み出し光が略平行光束となって全ての画素の反射板10を照射するようになっている。CCD30上の光学像のコントラストを高めるため、LD33の前部に読み出し光絞りを設けてもよい。本例では、放射検出装置100は、その基板1の面(本例では、赤外線が入射しない場合の反射部としての膜12の面と平行)が光軸Oと直交するように配置されている。
光線束制限部35は、前記所望の光線束のみを選択的に通過させる部位が第1レンズ系34の光軸Oに関して他方の側(図8中の左側)の領域に配置されるように構成されている。本例では、光線束制限部35は、開口35aを有する遮光板からなり、開口絞りとして構成されている。本例では、いずれの画素の赤外線吸収部8にも熱源31から赤外線が入射していなくて全ての画素の反射板10が基板1と平行である場合に、全ての画素の反射板10で反射した光線束(各反射板10で反射した個別光線束の束)が第1レンズ系34によって集光する集光点の位置と開口35aの位置とがほぼ一致するように、光線束制限部35が配置されている。また、開口35aの大きさは、この光線束の前記集光点での断面の大きさとほぼ一致するように定められている。
図8に示す映像化装置によれば、LD33から出射した読み出し光の光線束41は、第1レンズ系34に入射し、略平行化された光線束42となる。次に、この略平行化された光線束42は、放射検出装置100の全ての画素の反射板10に、基板1の法線に対してある角度をもって入射する。
一方、結像レンズ32によって、熱源31からの赤外線が集光され、放射検出装置100の赤外線吸収部8が分布している面上に、熱源31の赤外線画像が結像される。これにより、放射検出装置100の各画素の赤外線吸収部8に赤外線が入射する。この入射赤外線は、各画素の反射板10の傾きに変換される。
今、全ての画素の赤外線吸収部8には熱源31からの赤外線が入射しておらず、全ての画素の反射板10が基板1と平行であるものとする。全ての画素の反射板10に入射した光線束42は、これらの反射板10にて反射されて光線束43となり、再び第1レンズ系34に今度はLD33の側とは反対の側から入射して集光光束44となり、この集光光束44の集光点の位置に配置された光線束制限部35の開口35aの部位に集光する。その結果、集光光束44は開口35aを透過して発散光束45となって第2レンズ系36に入射する。第2レンズ系36に入射した発散光束45は、第2レンズ系36により例えば略平行光束46となってCCD30の受光面に入射する。ここで、各画素の反射板10とCCD30の受光面とはレンズ系34,36によって共役な関係にあるので、CCD30の受光面上の対応する各部位にそれぞれ反射板10の像が形成され、全体として、全ての画素の反射板10の分布像である光学像が形成される。
今、ある画素の変位部9に熱源32からある量の赤外線が入射して、その入射量に応じた量だけ当該画素の反射板10が基板1の面に対して傾いたものとする。光線束42のうち当該反射板10に入射する個別光線束は、当該反射板10によってその傾き量だけ異なる方向に反射されるので、第1レンズ系34を通過した後、その傾き量に応じた量だけ前記集光点(すなわち、開口35a)の位置からずれた位置に集光し、その傾き量に応じた量だけ光線束制限部35により遮られることになる。したがって、CCD30上に形成された全体としての光学像のうち当該反射板10の像の光量は、当該反射板10の傾き量に応じた量だけ低下することになる。
したがって、CCD30の受光面上に形成された読み出し光による光学像は、放射検出装置100に入射した赤外線像を反映したものとなる。この光学像は、CCD30により撮像される。なお、CCD30を用いずに、接眼レンズ等を用いて前記光学像を肉眼で観察してもよい。
以上は映像化装置の例であったが、図8において、放射検出装置100として、単一の画素(素子)のみを有する放射検出装置を用い、2次元CCD30に代えて、単一の受光部のみを有する光検出器を用いれば、赤外線のいわゆるポイントセンサとしての検出装置を構成することができる。この点は、後述する各実施の形態についても同様である。
[第2の実施の形態]
図9は、本実施の形態の第2の実施の形態による放射検出装置の単位画素(単位素子)を模式的に示す概略正面図である。図10は、図9に示す単位素子を−Y側から+Y方向に見た概略側面図である。図9及び図10は常温付近の低温物体を観察している(すなわち、当該低温物体からの赤外線iが入射している)様子を示している。図9及び図10では、簡略化して示しており、例えば、図11中の凸部3b,8a,9a,55a,56a,57a等の図示は省略している。図11は、本実施の形態による放射検出装置の製造途中において犠牲層91〜95を除去する前の単位素子の状態を示す概略平面図である。ただし、図11では犠牲層91〜95の図示は省略している。図12は、図11中のB−B’線に沿った概略断面図である。なお、図11及び図12では、犠牲層91〜95を除去する前であるので、円弧状部4−1〜4−4は、犠牲層91〜95により保持されて、円弧状とならずに平板状となっている。犠牲層91〜95を除去した後に円弧状部4−1〜4−4がその構成層の応力によって図9乃至図10に示すように円弧状になると、図12中の円弧状部4−1〜4−4の下面が外周側の面をなすとともに図12中の円弧状部4−1〜4−4の上面が内周側の面をなすようになっている。
なお、図10において、円弧状部4−3は円弧状部4−1と重なっていて表れておらず、円弧状部4−4は円弧状部4−2と重なっていて表れていない。
図9乃至図12において、図1乃至図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
前記第1の実施の形態では、周回部4がスパイラル状をなしていたのに対し、本実施の形態では、周回部4がヘリカル状をなしている。具体的には、本実施の形態では、図9に示すように、円弧状部4−1〜4−4の仮想軸Jの方向の位置(Y方向位置)は、互いに重なっておらずに順次ずれているとともに、それらの曲率半径は同一になっている。また、前記第1の実施の形態では、円弧状部4−1〜4−4は接続部5〜7により順次機械的に接続されているのに対し、本実施の形態では、各円弧状部4−1〜4−4のY方向位置をずらすべく、円弧状部4−1〜4−4は接続部55〜57により順次機械的に接続されている。
本実施の形態では、図12に示すように、脚部3(水平部3aを含む)、円弧状部4−1〜4−4、接続9,55〜57及び赤外線吸収部8の全体に渡って、SiN膜61が連続して形成されている。また、図12に示すように、円弧状部4−1〜4−4及び接続部55〜57の全体に渡って、SiN膜61上にAl膜62が積層されている。脚部3(水平部3aを含む)、接続部9及び赤外線吸収部8はそれぞれ、SiN膜61で構成されている。円弧状部4−1〜4−4はそれぞれ、外周側のSiN膜61及び内周側のAl膜62で構成されている。また、接続部55〜57もそれぞれ、SiN膜61及びAl膜62で構成されている。
図11及び図12に示すように、接続部55〜57は、その周辺部分を除く領域に、凸部55a〜57aがそれぞれ形成されることで、その周辺部分に補強用の段差(立ち上がり部)55b〜57bがそれぞれ形成されている。
ここで、本実施の形態による放射検出装置の製造方法の一例について、図11及び図12の他に、図13を参照して説明する。図13は、各製造工程を示す断面図であり、図12に対応している。
まず、フォトリソエッチング法によりシリコン基板1に凹所1aを形成した後に、この凹所1aをレジスト等の犠牲層91で埋め戻す。次に、レジスト等の犠牲層92を形成し、犠牲層92において脚部3を形成すべき位置に開口92aをフォトリソグラフィにより形成する。次いで、脚部3の水平部3aの凸部3bに応じた領域、及び、接続部55〜57の凸部55a〜57aに応じた領域にそれぞれ、レジスト等の犠牲層93を島状に形成する。このとき、この犠牲層93には、脚部3を形成すべき位置に開口93aを形成する(図13(a))。
引き続いて、SiN膜61をデポし、フォトリソエッチング法により、このSiN膜61を、脚部3(水平部3aを含む)、円弧状部4−1〜4−4、接続9,55〜57及び赤外線吸収部8の形状にパターニングする。その後、Al膜62を成膜し、このAl膜62を、円弧状部4−1〜4−4、接続9,55〜57及び赤外線吸収部8の形状にパターニングする(図13(b))。このとき、膜61,62の成膜条件及び厚さ等は、犠牲層91〜95を除去した後に常温において円弧状部4−1〜4−4が所望の曲率半径で円弧状となるように設定する。
次に、図13(b)に示す状態の基板上にレジスト等の犠牲層94を形成し、この犠牲層94において接続部11の位置に開口94aを形成する。次いで、反射板10の凸部10aに応じた領域にレジスト等の犠牲層95を島状に形成する(図13(c))。
引き続いて、Al膜29を形成した後、これを反射板10及び接続部11の形状にパターニングする(図11、図12)。
最後に、アッシング等により、犠牲層91〜95を除去する。これにより、円弧状部4−1〜4−4が平板状から円弧状となって、図9及び図10に示す状態となり、本実施の形態による放射検出装置が完成する。
本実施の形態による放射検出装置は、例えば、前述した図8に示す映像化装置において、放射検出装置100に代えて用いることができる。
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態によれば、前述したように円弧状部4−1〜4−4を一括して形成することができるので、円弧状部4−1〜4−4を順次に形成する前記第1の実施の形態に比べて、製造が容易となりコスト低減を図ることができる。
なお、本発明では、周回部4において、任意の2つ以上の円弧状部同士を第1の実施の形態の場合の円弧状部のようなY方向位置が重なり曲率半径が異なるものとし、他の2つ以上の円弧状部同士を第2の実施の形態のようなY方向位置が重ならずに曲率半径が同じであるものとしてもよい。また、周回部4において、任意の2つ以上の円弧状部同士をY方向位置が重ならずに曲率半径が異なるものとしてもよい。この場合において2つの円弧状部の端部同士を接続する場合、例えば、前記第1の実施の形態における接続部5のような立ち上がった接続部と前記第2の実施の形態における接続部55のような横にずれた接続部とを、複合して用いればよい。
[第3の実施の形態]
図14は、本実施の形態の第3の実施の形態による放射検出装置の単位画素(単位素子)を模式的に示す概略正面図である。図15は、図14に示す単位素子を−Y側から+Y方向に見た概略側面図である。図15及び図14は常温付近の低温物体を観察している(すなわち、当該低温物体からの赤外線iが入射している)様子を示している。図14及び図15では、簡略化して示しており、例えば、図16中の凸部3b,8a,9a,66a,67a,68a,69a,70a等の図示は省略している。図16は、本実施の形態による放射検出装置の製造途中において犠牲層を除去する前の単位素子の状態を示す概略平面図である。ただし、図16では犠牲層の図示は省略している。なお、図16では、犠牲層を除去する前であるので、円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3は、犠牲層により保持されて、円弧状とならずに平板状となっている。犠牲層を除去した後に円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3がその構成層の応力によって図14及び図15に示すように円弧状になると、図16中の円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3の−Z側の面が外周側の面をなすとともに図16中の円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3の+Z側の面が内周側の面をなすようになっている。
なお、図15において、円弧状部64−3,65−1,65−3は円弧状部64−1と重なっていて表れておらず、円弧状部65−2は円弧状部64−2と重なっていて表れていない。
図14乃至図16において、図9乃至図12中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。本実施の形態が前記第2の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
本実施の形態では、脚部3において水平部3aが取り除かれて、脚部3と赤外線吸収部8との間に、周回部4の代わりに、第1の変位部をなす第1の周回部64、熱抵抗の高い熱分離部68及び第2の変位部をなす第2の周回部65が順次機械的に接続されている。具体的には、図14の右側の周回部64,65において、周回部64の始点部(円弧状部64−1の脚部3側の端部)が脚部3に接続され、周回部64の終点部(円弧状部64−3の熱分離部68側の端部)が熱分離部68の−Y側の端部に接続され、熱分離部68の+Y側の端部が周回部65の始点部(熱分離部68側の端部)に接続され、周回部65の終点部(赤外線吸収部8側の端部)が接続部9によって赤外線吸収部8に接続されている。したがって、2つの周回部64,65が機械的に直列的に接続されている。本実施の形態では、機械的な構造の安定性を得るために、脚部3、周回部64、熱分離部68及び周回部65からなる組が2つ設けられているので、2つの直列的に接続された周回部64,65の組が機械的に並列的に接続されている。
したがって、周回部64は、基板1に対して、熱分離部68を介することなく機械的に連続している。一方、周回部65は、基板1に対して、熱分離部68及び周回部64を介して機械的に連続している。また、周回部65は、赤外線吸収部8と熱的に結合されている。
周回部64,65はそれぞれ、基板1の上面と平行にY軸方向と平行に延びた仮想軸Jの回りに1周より多く周回している。図14乃至図16からわかるように、周回部64の始点部から終点部へ向かう周回方向と、周回部65の始点部から終点部へ向かう周回方向とは、逆になっている。
周回部64は、薄膜で構成され接続部66,67によって順次機械的に接続された3つの円弧状部64−1〜64−3を有している。周回部65は、薄膜で構成され接続部69,70によって順次機械的に接続された3つの円弧状部65−1〜65−3を有している。各円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3は、仮想軸Jの回りをちょうど半周するように、その長さ等が設定されているが、これに限定されるものではない。円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3は、外周側のSiN膜とその内周側に積層されたAl膜とから構成され、その層の重なり順序が同じになっている。接続部66,67,69,70も、積層されたSiN膜及びAl膜で構成されている。熱分離部68は、熱抵抗の高い材料の膜としてSiN膜で構成され、Y軸方向に延びている。
また、本実施の形態では、脚部3は、SiN膜及びこれに積層されたAl膜で構成されている。
脚部3、円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3、接続部66,67,69,70、熱分離部68、接続部9及び赤外線吸収部8を構成しているSiN膜は、全体的に連続して形成されている。脚部3、円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3及び接続部66,67,69,70を構成しているAl膜は、全体的に連続して形成されている。
円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3は、犠牲層が除去されていない段階では、図16に示すように、犠牲層により保持されて円弧状とならずに、基板1と平行にX軸方向に真っ直ぐ延びているが、その構成膜(SiN膜及びAl膜)の膜厚や製造時の成膜条件等を設定することで、最終的に犠牲層が除去されると、その構成膜の内部応力によって、常温において図14及び図15に示すように、SiN膜が外周側でAl膜が内周側となるように円弧状になっている。SiN膜よりAl膜の方が膨張係数が大きいので、円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3はいずれも、熱を受けて温度が上昇すると、その温度に応じて、その曲率半径が大きくなる。
図16に示すように、接続部66,67,69,70及び熱分離部68は、その周辺部分を除く領域に、凸部66a,67a,69a,70a,68aがそれぞれ形成されることで、その周辺部分に補強用の段差(立ち上がり部)66b,67b,69b,70b,68bがそれぞれ形成されている。
本実施の形態では、周回部64,65はヘリカル状をなしている。具体的には、本実施の形態では、図14に示すように、円弧状部64−1〜64−3の仮想軸Jの方向の位置(Y方向位置)は、互いに重なっておらずに順次ずれているとともに、それらの曲率半径は同一になっている。同様に、円弧状部65−1〜65−3の仮想軸Jの方向の位置(Y方向位置)は、互いに重なっておらずに順次ずれているとともに、それらの曲率半径は同一になっている。円弧状部64−1〜64−3の曲率半径と円弧状部65−1〜65−3の曲率半径も同一となっている。
もっとも、本発明では、例えば、周回部64,65の一方又は両方を、前記第1の実施の形態の周回部4と同様にスパイラル状に構成してもよい。
なお、図16に示す状態から犠牲層を除去することで図14及び図15に示す状態になろうとする際に、赤外線吸収部8及び反射板10が基板1に衝突して図14及び図15に示す状態になり得ないという事態は生じない。このため、基板1には第1及び第2の実施の形態で設けられていた凹所1aは形成されていない。しかしながら、赤外線iの強度の検出範囲を広げるために、赤外線吸収部8及び反射板10が傾いても基板1に衝突しないようにする必要がある場合などには、適宜、基板1に凹所1aを形成してもよい。
本実施の形態による放射検出装置は、前記第2の実施の形態による放射検出装置と同様の製造方法によって製造することができる。
本実施の形態による放射検出装置は、例えば、前述した図8に示す映像化装置において、放射検出装置100に代えて用いることができる。
本実施の形態では、図15に示すように、観察対象の物体からの赤外線iが上方から入射される。このとき、パッケージ等に設けた赤外線遮光部(図示せず)により、観察対象の物体からの赤外線iが第1の周回部65に入射しないように遮光することが、好ましい。もっとも、このような遮光は必ずしも必要ではない。
本実施の形態によれば、第1及び第2の周回部64,65が前述したように円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3で構成されているので、常温T0付近の低温物体を観察している状態において、環境温度が常温T0である場合に、熱平衡に達して基板及び素子各部の温度もT0となったときには、図14及び図15に示すようになる。すなわち、全ての円弧状部64−1〜64−3,65−1〜65−3の曲率半径が、温度T0に応じた同じ曲率半径になる。
そして、環境温度及び基板温度がT0である場合において、かなり温度の高い高温物体を観察すると、高温物体からの赤外線iが赤外線吸収部8により熱に変換され、この熱により第2の周回部65の円弧状部65−1〜65−3の曲率半径が大きくなる。また、赤外線吸収部8により変換された熱は、熱分離部68によって、第1の周回部64へは比較的短い時間ではほとんど伝導されないため、第1の周回部64の円弧状部64−1〜64−3の曲率半径はほとんど変動しない。したがって、反射板10の傾きは、入射した赤外線iの量に応じたものとなる。
また、環境温度がT0からΔTだけ変化する場合を考えると、その変化に対して素子各部が熱平衡状態に達すれば、第1の周回部64の温度がΔTだけ変化するのみならず、熱分離部68を介して第2の周回部65の温度もΔTだけ変化する。これは、環境温度の変化を考える場合、ΔTが熱分離部68を介して第2の周回部65に伝導するのに十分な時間が存するものと考えることができるためである。第1の周回部64の温度がΔTだけ変化するとその分だけ円弧状部64−1〜64−3の曲率半径は小さくなる(又は大きくなる)が、第2の周回部65の曲率半径も小さくなる(又は大きくなる)ので、第1の周回部64の周回方向と第2の周回部65の周回方向とが逆であることから、反射板10の角度変化に対する影響が相殺されて、反射板10の角度は変化しない。したがって、本実施の形態によれば、環境温度変化の影響を排除した赤外線検出が可能である。
また、本実施の形態によれば、仮想軸Jの回りを1周以上周回する周回部64,65(特に、周回部65)が変位部を構成しているので、前記第1及び第2の実施の形態と同様に、前述した従来技術に比べて、バイメタル長に相当する変位部の長さを長くすることができる。したがって、入射赤外線iの強度変化に対する反射板10の角度変化を大きくすることができ、ひいては、入射赤外線iに対する検出感度を高めることができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前述した各実施の形態は、本発明による薄膜構造体を熱型変位素子及びこれを用いた放射検出装置に適用した例であったが、本発明による薄膜構造体は、要素技術として、種々の分野の各種装置に用いることができる。例えば、本発明による薄膜構造体は、機械的なバネ要素や電気的なインダクタンス要素などを含む薄膜構造体として用いることができる。
本発明の第1の実施の形態による放射検出装置の単位画素を模式的に示す概略斜視図である。 所定の状態において図1に示す単位素子を−Y側から+Y方向に見た概略側面図である。 他の状態において図1に示す単位素子を−Y側から+Y方向に見た概略側面図である。 図1に示す単位画素の犠牲層除去前の状態を示す概略平面図である。 図4中のA−A’線に沿った概略断面図である。 本発明の第1の実施の形態による放射検出装置の製造方法を示す工程図である。 図6に引き続く工程を示す工程図である。 映像化装置を示す概略構成図である。 本実施の形態の第2の実施の形態による放射検出装置の単位画素を模式的に示す概略正面図である。 図9に示す単位素子を−Y側から+Y方向に見た概略側面図である。 図9に示す単位画素の犠牲層除去前の状態を示す概略平面図である。 図11中のB−B’線に沿った概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態による放射検出装置の製造方法を示す工程図である。 本実施の形態の第3の実施の形態による放射検出装置の単位画素を模式的に示す概略正面図である。 図14に示す単位素子を−Y側から+Y方向に見た概略側面図である。 図14に示す単位画素の犠牲層除去前の状態を示す概略平面図である。
符号の説明
1 基板
2 被支持部
4,64,65 周回部
4−1〜4−4,64−1〜64−3,65−1〜65−3 円弧状部
68 熱分離部
8 赤外線吸収部
10 反射板

Claims (34)

  1. 基体にその1つの面の側において支持された薄膜構造体であって、前記面と略平行な仮想軸の回りに1つの周回方向に1周より多く周回した周回部を備え、前記周回部は、薄膜で構成され順次機械的に接続された複数の円弧状部を含むことを特徴とする薄膜構造体。
  2. 前記各円弧状部の膜面が円弧状面をなすことを特徴とする請求項1記載の薄膜構造体。
  3. 前記周回部はスパイラル状をなすことを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜構造体。
  4. 前記周回部はヘリカル状をなすことを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜構造体。
  5. 前記周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薄膜構造体。
  6. 前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに異なることを特徴とする請求項5記載の薄膜構造体。
  7. 前記周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重ならないことを特徴とする請求項1、2、4のいずれかに記載の薄膜構造体。
  8. 前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに実質的に同じであることを特徴とする請求項7記載の薄膜構造体。
  9. 前記各円弧状部は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の薄膜構造体。
  10. 前記周回部を複数備え、当該複数の周回部のうちの少なくとも2つの周回部が機械的に直列的に接続されたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薄膜構造体。
  11. 前記少なくとも2つの周回部のうちの端部同士が機械的に接続された2つの周回部に関して、一方の周回部の始点部から前記一方の周回部の終点部へ向かう前記仮想軸回りの周回方向と、他方の周回部の始点部から前記他方の周回部の終点部へ向かう前記仮想軸回りの周回方向とが、逆であることを特徴とする請求項10記載の薄膜構造体。
  12. 前記周回部を複数備え、当該複数の周回部のうちの少なくとも2つの周回部が機械的に並列的に接続されたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薄膜構造体。
  13. 前記周回部を2つ以上有する組を複数備え、前記各組において当該組の前記2つ以上の周回部が機械的に直列的に接続され、前記複数の組が機械的に並列的に接続されたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薄膜構造体。
  14. 基体及び該基体に支持された被支持部を備え、前記被支持部の少なくとも一部が温度変化により変位する熱型変位素子であって、
    前記被支持部が請求項1乃至13のいずれかに記載の薄膜構造体を含むことを特徴とする熱型変位素子。
  15. 基体と、該基体にその1つの面の側において支持された被支持部とを備え、
    前記被支持部は、放射を受けて熱に変換する放射吸収部と、前記放射吸収部と熱的に結合された変位部とを含み、
    前記変位部は、前記面と略平行な仮想軸の回りに1つの周回方向に1周より多く周回した周回部を含み、
    前記周回部は、薄膜で構成され順次機械的に接続された複数の円弧状部を含み、
    前記各円弧状部は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有することを特徴とすることを特徴とする熱型変位素子。
  16. 前記複数の円弧状部は、互いに、その各層を構成する物質同士が同じであるとともに各物質の層の重なり順序が同じであることを特徴とする請求項15記載の熱型変位素子。
  17. 前記各円弧状部の膜面が円弧状面をなすことを特徴とする請求項15又は16記載の熱型変位素子。
  18. 前記周回部はスパイラル状をなすことを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載の熱型変位素子。
  19. 前記周回部はヘリカル状をなすことを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載の熱型変位素子。
  20. 前記周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重なることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載の熱型変位素子。
  21. 前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに異なることを特徴とする請求項20記載の熱型変位素子。
  22. 前記周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重ならないことを特徴とする請求項15、16、17、19のいずれかに記載の熱型変位素子。
  23. 前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに実質的に同じであることを特徴とする請求項22記載の熱型変位素子。
  24. 請求項15乃至23のいずれかに記載の熱型変位素子と、前記変位部に対して固定された変位読み出し部材であって、前記変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材とを備えたことを特徴とする放射検出装置。
  25. 基体と、該基体にその1つの面の側において支持された被支持部とを備え、
    前記被支持部は、熱抵抗の高い熱分離部と、放射を受けて熱に変換する放射吸収部と、第1及び第2の変位部とを含み、
    前記第1の変位部は、前記面と略平行な仮想軸の回りに1周より多く周回した第1の周回部を含み、
    前記第2の変位部は、前記仮想軸の回りに1周より多く周回した第2の周回部を含み、
    前記第1の周回部及び第2の周回部の各々は、薄膜で構成され順次機械的に接続された複数の円弧状部を含み、
    前記第1の周回部の前記複数の円弧状部の各々は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有し、
    前記第2の周回部の前記複数の円弧状部の各々は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有し、
    前記第1の変位部は、前記基体に対して、前記熱分離部を介することなく機械的に連続し、
    前記放射吸収部及び前記第2の変位部は、前記基体に対して、前記熱分離部及び前記第1の変位部を介して機械的に連続し、
    前記第2の変位部は前記放射吸収部と熱的に結合されたことを特徴とする熱型変位素子。
  26. 前記第1の周回部の始点部から前記第1の周回部の終点部へ向かう前記仮想軸回りの周回方向と、前記第2の周回部の始点部から前記第2の周回部の終点部へ向かう前記仮想軸回りの周回方向とが、逆であり、
    前記第1の周回部の前記複数の円弧状部及び前記第2の周回部の前記複数の円弧状部は、互いに、その各層を構成する物質同士が同じであるとともに各物質の層の重なり順序が同じであることを特徴とする請求項25記載の熱型変位素子。
  27. 前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部の前記各円弧状部の膜面が円弧状面をなすことを特徴とする請求項25又は26記載の熱型変位素子。
  28. 前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部はスパイラル状をなすことを特徴とする請求項25乃至27のいずれかに記載の熱型変位素子。
  29. 前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部はヘリカル状をなすことを特徴とする請求項25乃至27のいずれかに記載の熱型変位素子。
  30. 前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重なることを特徴とする請求項25乃至28のいずれかに記載の熱型変位素子。
  31. 前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに異なることを特徴とする請求項30記載の熱型変位素子。
  32. 前記第1及び第2の周回部のうちの少なくとも一方の周回部の前記複数の円弧状部のうちの少なくとも2つの円弧状部の前記仮想軸の方向の位置は、互いに重ならないことを特徴とする請求項25、26、27、29のいずれかに記載の熱型変位素子。
  33. 前記少なくとも2つの円弧状部の曲率半径は互いに実質的に同じであることを特徴とする請求項32記載の熱型変位素子。
  34. 請求項25乃至33のいずれかに記載の熱型変位素子と、前記第2の変位部に対して固定された変位読み出し部材であって、前記第2の変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材とを備えたことを特徴とする放射検出装置。
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