JP2002168686A - 放射検出装置 - Google Patents

放射検出装置

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JP2002168686A
JP2002168686A JP2000366436A JP2000366436A JP2002168686A JP 2002168686 A JP2002168686 A JP 2002168686A JP 2000366436 A JP2000366436 A JP 2000366436A JP 2000366436 A JP2000366436 A JP 2000366436A JP 2002168686 A JP2002168686 A JP 2002168686A
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light
radiation
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English (en)
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Toru Ishizuya
徹 石津谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2つの光作用要素の相対的な位置関係を所望
の関係に設定し、放射検出の所望の特性を得る。 【解決手段】 互いに対向するハーフミラー部11及び
反射部10は、同じ構成の2つの変位部4,8の自由端
にそれぞれ固定される。変位部4,8は、異なる膨張係
数を有する異なる物質の互いに上下に重なった2つの層
からなる。変位部4は、赤外線吸収部12からの熱を受
けて湾曲するが、変位部8は赤外線吸収部12からの熱
は受けない。変位部4,8は、同時に成膜して作製でき
るように、上下に重なることなく横に並んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱型赤外線検出装
置などの放射検出装置に関し、特に、赤外線等の入射放
射を変位に変換しこの変位を読み出し光の変化として読
み出す、いわゆる光読み出し型の放射検出装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】光読み出し型の放射検出装置として、例
えば、特開平10−185680号公報に開示された放
射検出装置が提案されている。
【0003】この放射検出装置は、基板と、該基板に支
持された第1の変位部と、前記基板に支持された第2の
変位部と、前記第1の変位部に対して固定された読み出
し光ハーフミラーと、前記第2の変位部に対して固定さ
れた読み出し光反射部と、赤外線等の放射を吸収し前記
第1の変位部に熱的に結合されるとともに前記第2の変
位部に熱的に実質的に結合されない放射吸収部とを備え
ている。
【0004】前記第1及び第2の変位部の各々は、バイ
メタルと同様に膨張係数の異なる2層の膜からなり、そ
の2層の膜の重なり方向は基板の法線方向となってい
る。前記第1の変位部と前記第2の変位部とは、互いに
平行に配置され、基板の法線方向に互いに間隔をあけて
配置されており、基板の法線方向から見た場合に互いに
ちょうど重なるように配置されている。第1の変位部の
下側の膜と上側の膜との膨張係数の大小関係と、第2の
変位部の下側の膜と上側の膜との膨張係数の大小関係と
が同一となるように、例えば、第1及び第2の変位部は
同一の構成とされる。
【0005】前記読み出し光ハーフミラー及び読み出し
光反射部は、互いに対向配置され、可視光等の読み出し
光を受光して、受光した読み出し光に、読み出し光ハー
フミラーと読み出し光反射部との間の相対的な変位に応
じた干渉強度を有する読み出し光を出射させるようにな
っている。
【0006】この従来の放射検出装置によれば、目標物
体からの赤外線等が放射吸収部に入射すると、この赤外
線等が放射吸収部に吸収されて熱に変換され、この熱に
応じて第1の変位部が湾曲する。このとき、放射吸収部
にて発生した熱は、第2の変位部には実質的に伝わらな
いことから、第2の変位部は湾曲しないので、前記読み
出し光ハーフミラーと読み出し光反射部との間の距離が
入射した赤外線等の量に応じて変化する。したがって、
読み出し光を照射することにより前記読み出し光ハーフ
ミラー及び読み出し光反射部から戻ってくる干渉光の強
度として、目標物体からの赤外線を検出することができ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の放射検出装
置では、第1の変位部と同一の構成を有する第2の変位
部に読み出し光反射部が固定されているので、理想的に
は、環境温度が変化してその分第1の変位部が変位して
も、第2の変位部も同じ量だけ変位することになるはず
である。したがって、理想的には、環境温度の変化によ
って読み出し光ハーフミラーと読み出し光反射部との間
の相対的な位置関係は変化しないはずである。このた
め、前記干渉光の強度が変化せず、環境温度の影響を受
けずに目標物体からの赤外線等を精度良く検出すること
ができるはずである。したがって、環境温度の影響を受
けないようにするために基板の温度制御を行う場合であ
っても、厳密な温度制御が必要なくなり、コストの低減
を図ることができるはずである。
【0008】しかしながら、前記従来の放射検出装置で
は、実際に製造すると次のような問題が生ずることが判
明した。
【0009】前記従来の放射検出装置では、前述したよ
うに、第1及び第2の変位部は、基板の法線方向から見
た場合に互いにちょうど重なるように配置されている。
したがって、前記従来の放射検出装置の製造に際して
は、必然的に、基板上に一方の変位部を作製した後にそ
の上に他方の変位部を作製することになり、両方の変位
部を同時に作製することは不可能であった。このよう
に、前記従来の放射検出装置では、その製造時に、第1
の変位部の製造工程(互いに重なった2層の膜の形成工
程)と第2の変位部の製造工程とを別々に行わなければ
ならなかった。
【0010】前記従来の放射検出装置では、第1及び第
2の変位部を別々の製造工程で作製せざるを得ないこと
から、目標物体からの赤外線等が入射していない場合に
おける読み出し光ハーフミラーと読み出し光反射との間
の間隔(初期的な間隔)を、所望の間隔に設定すること
は困難であった。すなわち、各変位部を構成する2層の
膜は、熱容量を小さくして応答性を高めるべく非常に薄
く構成されることから、成膜時の条件で定まる各膜のス
トレス(内部応力)によって、基板に対して上方もしく
は下方に湾曲する。各膜のストレスを定める成膜時の条
件は、非常に微妙であり、厳密に制御することは困難で
ある。このため、第1及び第2の変位部が別々の製造工
程で作製されることから、第1の変位部の初期的な湾曲
具合と第2の変位部の初期的な湾曲具合とが異なってし
まい、読み出し光ハーフミラーと読み出し光反射部との
間の間隔(あるいは位置関係)を所望の間隔(あるいは
位置関係)に設定することが困難である。その結果、前
記従来の放射検出装置では、所望の放射検出特性を得る
ことが困難であった。
【0011】この点について説明する。前記従来の放射
検出装置では、干渉の原理によるため、読み出し光の干
渉強度の変化は、前記読み出し光ハーフミラーと読み出
し光反射部との間の間隔の変化に対して正弦波状に周期
的に変化する。このため、読み出し光ハーフミラーと読
み出し光反射部との間の初期的な間隔に依存して、読み
出し光の干渉強度の変化量(すなわち、放射検出の感
度)や、放射の入射量が増加又は減少する際に単調変化
するかあるいは途中で反転するかや、放射の入射量の増
加に対して読み出し光の干渉強度が増加するかあるいは
減少するかなどの、放射検出特性が変わってしまう。し
たがって、前記従来の放射検出装置では、読み出し光ハ
ーフミラーと読み出し光反射部との間の初期的な間隔を
所望の間隔に設定することが困難であることから、所望
の放射検出特性を得ることができないのである。
【0012】また、前記従来の放射検出装置では、前述
したように第1及び第2の変位部を別々の製造工程で作
製せざるを得ないことから、実際上、環境温度の変化に
よる読み出し光ハーフミラー部と読み出し光反射部との
間隔の変化を、必ずしも十分に抑えることは困難であ
る。すなわち、第1及び第2の変位部を別々の製造工程
で作製するので、第1の変位部と第2の変位部とで、膜
特性(膜厚など)を完全に同じにすることはできない。
したがって、温度変化による湾曲の特性は膜特性(膜厚
など)によって変わるために、第1の変位部と第2の変
位部とで温度変化による湾曲の特性が異なってしまう。
このため、前記従来の放射検出装置では、実際上、環境
温度の変化により読み出し光ハーフミラー部と読み出し
光反射部との間の間隔が変化し、しかも、その変化量が
比較的大きくなってしまう。
【0013】本発明は、前述した事情に鑑みてなされた
もので、読み出し光ハーフミラー部及び読み出し光反射
部などの2つの光作用要素の間の位置関係を所望の関係
に設定することができ、放射検出の所望の特性を得るこ
とができる放射検出装置を提供することを目的とする。
【0014】また、本発明は、厳密な温度制御等を行わ
ない場合には、従来に比べて、環境温度の変化による2
つの光作用要素の間の相対的な位置関係の変化を一層抑
えることができ、より精度良く放射を検出することがで
きる放射検出装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第1の態様による放射検出装置は、基体
と、該基体に支持された第1の変位部と、前記基体に支
持され前記第1の変位部と実質的に同じ構成を有し前記
第1の変位部と実質的に平行に配置された第2の変位部
と、前記第1の変位部に対して固定された第1の光作用
要素と、前記第2の変位部に対して固定された第2の光
作用要素と、放射を吸収し前記第1の変位部に熱的に結
合されるとともに前記第2の変位部に熱的に実質的に結
合されない放射吸収部とを備え、前記第1及び第2の光
作用要素は、読み出し光を受光して、受光した読み出し
光に、前記第1及び第2の光作用要素間の相対的な変位
に応じた変化を与えて当該変化した読み出し光を出射さ
せる光作用部を構成し、前記第1の変位部及び第2の変
位部の各々は、異なる膨張係数を有する異なる物質の互
いに重なった少なくとも2つの層を有し、前記第1及び
第2の変位部における前記少なくとも2つの層の重なり
方向から見た場合に、前記第1及び第2の変位部は互い
に重ならないように配置されたものである。
【0016】この第1の態様によれば、赤外線、X線、
紫外線等の放射が放射吸収部に入射すると、この放射が
放射吸収部に吸収されて熱に変換され、この熱に応じて
第1の変位部が湾曲する。このとき、放射吸収部にて発
生した熱は、第2の変位部には実質的に伝わらないこと
から、第2の変位部は湾曲しないので、第1及び第2の
光作用要素間の相対的な変位が、入射した放射の量に応
じて変化する。したがって、読み出し光を照射すること
により、光作用部を構成する第1及び第2の光作用要素
から、入射した放射の量に応じて変化した読み出し光が
得られ、放射を検出することができる。
【0017】以上の点は前記従来の放射検出装置と同様
であるが、前記第1の態様では、前記従来の放射検出装
置と異なり、第1及び第2の変位部における前記少なく
とも2つの層の重なり方向から見た場合に、前記第1及
び第2の変位部は互いに重ならないように配置されてい
る。したがって、第1及び第2の変位部を同時に同一の
製造工程で作製することができる。つまり、例えば第1
及び第2の変位部がそれぞれ下側膜及び上側膜の2層で
構成される場合、第1及び第2の変位部の下側膜を同時
に形成することができ、その後、第1及び第2の変位部
の上側膜を同時に形成することができる。
【0018】前記第1の態様によれば、前述したように
同一の製造工程で第1及び第2の変位部を製造すること
ができるので、第1及び第2の変位部が各膜の成膜時の
ストレスによって初期的に湾曲したとしても、その湾曲
具合は第1の変位部と第2の変位部とで実質的に同じに
なる。したがって、第1及び第2の変位部が各膜の成膜
時のストレスによって初期的に湾曲したとしても、第1
及び第2の光作用要素間の初期的な位置関係は常にほぼ
所望の位置関係に設定することができる。このため、前
記第1の態様によれば、放射検出の所望の特性を得るこ
とができる。なお、第1及び第2の変位部を互いに近接
させておくと、第1の変位部と第2の変位部とで各膜の
成膜時のストレスの差がより小さくなるので、好まし
い。
【0019】また、前記第1の態様によれば、前述した
ように同一の製造工程で第1及び第2の変位部を製造す
ることができるので、第1及び第2の変位部の膜特性
(膜厚など)の差がほとんどなくなり、第1の変位部と
前記第2の変位部とで温度変化による湾曲の特性の差
が、前記従来の放射検出装置に比べて小さくなる。この
ため、前記第1の態様によれば、厳密な基体の温度制御
等を行わない場合には、前記従来の放射検出装置に比べ
て、環境温度の変化による第1及び第2の光作用要素の
相対的な位置関係の変化量が小さくなり、より精度良く
放射を検出することができる。なお、第1及び第2の変
位部を互いに近接させておくと、第1及び第2の変位部
の膜特性の差がより小さくなるので、好ましい。
【0020】もっとも、前記第1の態様による放射検出
装置を用いる場合、当該放射検出装置を真空容器内に収
容したり、基体の温度を厳密に制御したりして、環境温
度の変化の影響を防止するようにしてもよい。この場
合、前記第2の変位部は、環境温度変化をキャンセルす
るように変位するという動作は行わなくなる。しかし、
この場合であっても、前記第2の変位部は、第1及び第
2の光作用要素間の相対的な位置関係を常にほぼ所望の
位置関係に設定することができるという前述した利点を
得るための手段として作用し、その役割は大きい。
【0021】本発明の第2の態様による放射検出装置
は、前記第1の態様において、前記放射吸収部が、入射
した放射の一部を反射する特性を有し、nを奇数、前記
放射の所望の波長域の中心波長をλとして、前記放射
吸収部から実質的にnλ/4の間隔をあけて配置され
前記放射を略々全反射する放射反射部を備えたものであ
る。
【0022】この第2の態様によれば、放射吸収部に放
射反射部と反対側から放射が入射し、放射吸収部と放射
反射部の間隔が入射する放射の所望の波長域の中心波長
の1/4の略奇数倍とされているので、オプティカルキ
ャビティーの原理に従い、放射吸収部における放射の吸
収率が高まる。したがって、放射吸収部の厚みを薄くし
てその熱容量を小さくしても、放射の吸収率を高めるこ
とができる。その結果、検出感度及び検出応答性の両方
を高めることができる。
【0023】なお、前記放射吸収部の入射する放射に対
する反射率を約33%(約1/3)にすると、放射吸収
部における放射の吸収率が一層高まるので、好ましい。
【0024】本発明の第3の態様による放射検出装置
は、前記第2の態様において、前記放射反射部が前記第
1及び第2の光作用要素のうちの少なくとも一方で兼用
され、前記放射吸収部が前記第1及び第2の光作用要素
のうちの少なくとも一方に対して前記重なり方向に配置
されたものである。
【0025】この第3の態様によれば、放射反射部が光
作用要素で兼用されるので、構造が簡単となる。また、
放射吸収部が光作用要素に対して前記重なり方向に配置
されているので、任意の一定領域内での放射吸収部や光
作用要素の面積を大きくとることができ、放射に対する
感度が向上する。
【0026】本発明の第4の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至3のいずれかの態様において、前記第
1及び第2の光作用要素のうちの少なくとも一方は、支
持枠を介して前記第1の変位部又は前記第2の変位部に
対して固定され、前記支持枠は、平面部と、当該平面部
の周辺部分の少なくとも一部に渡って、当該平面部から
立ち上がるように形成された立ち上がり部とを有するも
のである。
【0027】この第4の態様によれば、立ち上がり部で
補強された支持枠が用いられているので、第1の光作用
要素又は第2の光作用要素の、第1の変位部又は第2の
変位部に対する固定を高い強度で行うことができる。
【0028】本発明の第5の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記
第1の変位部が第1の脚部を介して前記基体に支持さ
れ、前記第2の変位部が第2の脚部を介して前記基体に
支持され、前記第1の脚部の始点部と前記第1の脚部の
終点部との間の前記第1の脚部の長さ方向に沿った距離
と、前記第2の脚部の始点部と前記第2の脚部の終点部
との間の前記第2の脚部の長さ方向に沿った距離とが、
実質的に等しいものである。ここで、脚部の始点部と
は、脚部における基体からちょうど立ち上がり切った箇
所をいう。また、脚部の終点部とは、脚部における変位
部の始点である。
【0029】この第5の態様のように前記距離を実質的
に等しくしておけば、第1及び第2の脚部がその成膜時
等のストレスにより初期的に湾曲していたとしても、第
1及び第2の脚部の終点部(したがって、第1及び第2
の変位部の始点部)での基体に対する高さと角度を互い
に実質的に等しくすることができ、好ましい。
【0030】本発明の第6の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記
第1の変位部が第1の脚部を介して前記基体に支持さ
れ、前記第2の変位部が第2の脚部を介して前記基体に
支持され、前記第2の脚部における前記始点部から前記
終点部までの長さが、前記第1の脚部における前記始点
部から前記終点部までの長さより短いか、あるいは実質
的にゼロであるものである。
【0031】前記第5の態様は、第1及び第2の脚部が
成膜時等のストレスにより湾曲している場合に特に有効
であるのに対し、この第6の態様は、第1及び第2の脚
部が湾曲していない場合に特に有効である。第1及び第
2の脚部が湾曲していなければ、前記第5の態様のよう
に前記距離を等しくしなくても、第1及び第2の脚部の
終点部(したがって、第1及び第2の変位部の始点部)
での基体に対する高さと角度を互いに等しくすることが
できる。そこで、第1及び第2の脚部が湾曲していなけ
れば、前記第6の態様のように、第2の脚部の長さを短
くするか実質的にゼロにしておくと、基体上の第2の脚
部が占める領域が少なくなり、好ましい。
【0032】本発明の第7の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第6のいずれかの態様において、前記
第1の変位部における前記第1の変位部の始点部から前
記第1の変位部の終点部までの長さと、前記第2の変位
部における前記第2の変位部の始点部から前記第2の変
位部の終点部までの長さとが、実質的に等しいものであ
る。ここで、変位部の始点部とは、複数層の平坦な膜か
らなる変位部の基体側の端点をいう。また、変位部の終
点部とは、複数層の平坦な膜からなる変位部の光作用要
素側の端点をいう。
【0033】この第7の態様のように、前記長さを等し
くしておけば、目標物体からの放射が入射していない初
期状態において、基体に対する第1及び第2の変位部の
終点部の角度が等しくなり、好ましい。
【0034】本発明の第8の態様による放射検出装置
は、前記第7の態様において、前記第1及び第2の変位
部の幅方向から見た場合の、前記第1の変位部の始点部
の位置と前記第2の変位部の始点部の位置とが、実質的
に同一であるものである。
【0035】この第8の態様のように前記位置を同一に
しておくと、目標物体からの放射が入射していない初期
状態において、基体に対する第1及び第2の変位部の高
さも等しくなる。したがって、環境温度の変化によって
第1及び第2の光作用要素の相対的な位置関係はほとん
ど変化しなくなり、好ましい。
【0036】本発明の第9の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第8のいずれかの態様において、前記
第1の変位部が第1の脚部を介して前記基体に支持さ
れ、前記第2の変位部が第2の脚部を介して前記基体に
支持され、前記第1及び第2の脚部と、前記第1及び第
2の変位部と、前記第1及び第2の光作用要素と、前記
放射吸収部とが、前記重なり方向にそれぞれ空間を隔て
て配置されものである。
【0037】この第9の態様によれば、第1及び第2の
脚部と、第1及び第2の変位部と、第1及び第2の光作
用要素と、放射吸収部とが、いわば上下に積み上げられ
ているので、任意の一定領域内での放射吸収部や光作用
要素の面積を大きくとることができ、放射に対する感度
が向上する。また、この第9の態様のような積み上げ構
造を採用すると、横方向へ拡がらなくなるので、構造体
全体のバランスが良くなり、機械的な強度の高い構造を
実現すると同時に、放射や読み出し光に対する開口率を
向上することができる。
【0038】本発明の第10の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第9の態様において、前記第1及び第
2の光作用要素のうちの一方は反射部であり、前記第1
及び第2の光作用要素のうちの他方は、前記反射部と対
向するとともに受光した読み出し光の一部のみを反射す
るハーフミラー部であり、前記反射部及び前記ハーフミ
ラー部は、受光した読み出し光を干渉光として反射させ
るものである。
【0039】この第10の態様は、第1及び第2の光作
用要素の例を挙げたものであり、前記従来の放射検出装
置と同様に、反射部及びハーフミラー部を採用すること
により、読み出し光による変位の読み出し原理として干
渉を採用したものである。
【0040】本発明の第11の態様による放射検出装置
は、前記第1乃至第9のいずれかの態様において、前記
第1の光作用要素は第1の反射部であり、前記第2の光
作用要素は第2の反射部であり、前記第1及び第2の反
射部は、実質的に反射型回折格子を構成し、受光した読
み出し光を回折光として反射させるものである。
【0041】この第11の態様は、第1及び第2の光作
用要素の他の例を挙げたものであり、実質的に反射型回
折格子を構成する第1及び第2の反射部を採用すること
により、読み出し光による変位の読み出し原理として回
折を採用したものである。
【0042】なお、前記第1乃至第11の態様では、前
記第1及び第2の変位部、前記第1及び第2の光作用要
素、並びに前記放射吸収部を1個の素子(画素に相当)
として当該素子を複数個有し、当該素子が1次元状又は
2次元状に配列されていてもよい。この場合には、当該
放射検出装置は放射による像を撮像する撮像装置を構成
することになる。勿論、前記第1乃至第11の態様で
は、単に放射を検出する場合には、1個の素子のみを有
していればよい。
【0043】また、前記第1の乃至第11の態様におい
て、前記放射を前記第2の変位部に対して実質的に遮蔽
する遮蔽部を備えていることが、好ましい。前記第1乃
至第11の態様では、第2の変位部が放射を吸収する特
性を有していれば、放射吸収部のみならず第2の変位部
にも放射が入射してしまうと、第2の変位部において放
射を吸収してしまい、第2の変位部が温度上昇して変位
する。この変位は、放射吸収部が放射を受けたことによ
り第1の変位部が発生すべき変位をキャンセルする方向
に作用するので、放射の検出感度が低下する原因とな
る。そこで、この感度低下を防止するため、前記遮蔽部
を設けることが好ましい。もっとも、第2の変位部が放
射を吸収する特性を有していても、検出感度の低下はさ
ほど大きくないので、必ずしも遮蔽部を設ける必要はな
い。特に、第2の変位部が放射を吸収する特性をほとん
ど有していない場合には、遮蔽部を設けておかなくて
も、ほとんど検出感度の低下を来すことがない。
【0044】
【発明の実施の形態】以下の説明では、放射を赤外線と
し読み出し光を可視光とした例について説明するが、本
発明では、放射を赤外線以外のX線や紫外線やその他の
種々の放射としてもよいし、また、読み出し光を可視光
以外の他の光としてもよい。
【0045】[第1の実施の形態]
【0046】図1は、本発明の第1の実施の形態による
放射検出装置の単位画素(単位素子)を示す概略平面図
である。なお、図1において、本来破線(隠れ線)とな
るべき線も実線で示し、また、段差等を表す線について
は省略している。また、説明の便宜上、図1に示すよう
に、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する。
【0047】なお、図1中の各部の長さは、放射検出装
置として最適化したものではなく、図面表記の便宜を考
慮して定めており、実際には各部の寸法や比率等は適宜
変更できることは言うまでもない。この点は、後述する
各図についても同様である。
【0048】図2は図1中のX1−X2線に沿った概略
断面図、図3は図1中のX3−X4線に沿った概略断面
図、図4は図1中のX5−X6線に沿った概略断面図、
図5は図1中のX7−X8線に沿った概略断面図、図6
は図1中のX17−X18線に沿った概略断面図、図7
は図1中のX19−X20線に沿った概略断面図、図8
は図1中のY1−Y2線に沿った概略断面図、図9は図
1中のY3−Y4線に沿った概略断面図、図10は図1
中のA1−A10線に沿った概略断面図である。図10
中の各位置A2〜A9と図1中の各位置A2〜A9と
は、それぞれ同一の位置を示している。
【0049】図面には示していないが、図1中のX9−
X10線に沿った概略断面図は図5と同様となり、図1
中のX11−X12線に沿った概略断面図は図4と同様
となり、図1中のX13−X14線に沿った概略断面図
は図3と同様となり、図1中のX15−X16線に沿っ
た概略断面図は図2と同様となる。
【0050】本実施の形態による放射検出装置は、基体
としての赤外線iを透過させるSi基板等の基板1(そ
の面はXY平面と平行である。)と、基板1からZ軸方
向(上下方向)に立ち上がり基板1とほぼ平行に延びた
2つの第1の脚部2,3と、第1の脚部2,3をそれぞ
れ介して基板1に支持された2つの第1の変位部4,5
と、基板1からZ軸方向に立ち上がり基板1とほぼ平行
に延びた2つの第2の脚部6,7と、第2の脚部6,7
をそれぞれ介して基板1に支持された2つの第2の変位
部8,9と、第1の変位部4,5に対して固定された第
1の光作用要素としての反射部10と、第2の変位部
8,9に対して固定され反射部10とZ軸方向に間隔d
2をあけて対向する第2の光作用要素としてのハーフミ
ラー部11と、赤外線iを吸収し第1の変位部4,5に
熱的に結合されるとともに第2の変位部8,9に熱的に
実質的に結合されない赤外線吸収部12とを備えてい
る。
【0051】ハーフミラー部11は、図7、図9及び図
10に示すように基板1の上方から読み出し光jを受光
し、受光した読み出し光jの一部のみを反射する。本実
施の形態では、ハーフミラー部11及び反射部10が、
上方から読み出し光jを受光して、受光した読み出し光
jに、ハーフミラー部11及び反射部10間の相対的な
変位に応じた変化を与えて当該変化した読み出し光を出
射させる光作用部を構成している。具体的には、ハーフ
ミラー部11及び反射部10は、上方から受光した読み
出し光を、間隔d2に応じた干渉強度を有する干渉光と
して反射させる。
【0052】本実施の形態による放射検出装置は、図1
中の左右に関して左右対称に構成され、脚部3,7及び
変位部5,9はそれぞれ脚部2,6及び変位部4,8に
相当しているので、脚部3,7及び変位部5,9の説明
は省略する。本実施の形態では、機械的な構造の安定性
を得るために、2つの脚部及び2つの変位部からなる組
を2つ設けているが、本発明では当該組は1つ以上であ
ればよい。
【0053】脚部2,6は、断熱性の高い材料で構成さ
れ、本実施の形態ではSiN膜で構成されている。脚部
2と脚部6とは、それらを構成する膜の材料のみなら
ず、幅及び厚さ等も同一とされている。図1中、2a,
6aは、脚部2,6における基板1上へのコンタクト部
をそれぞれ示している。基板1と略平行な脚部2,6の
平面部2b,6bは、図1に示すように、それぞれ長さ
方向を主にX軸方向として延びるL字状に構成されてい
る。図2〜図5、図8に示すように、脚部2,6はそれ
ぞれ、平面部2b,6bの周辺部分のほぼ全体に渡って
平面部2b,6bからほぼZ軸方向に沿って基板1の側
へ立ち上がるように形成された立ち上がり部2c,6c
と、立ち上がり部2c,6cの端部から側方に外側にわ
ずかに延びた水平部2d,6dと、を有している。水平
部2d,6dは取り除いておいてもよい。平面部2b,
6bが立ち上がり部2c,6cによって補強されるの
で、平面部2b,6bの所望の強度を確保しつつ、平面
部2b,6bの膜厚を薄くすることができる。このた
め、脚部2,6の強度不足による変形を防止しつつ、脚
部2,6の断熱性を高めることができる。脚部2の断熱
性を高めることができるので、変位部4の変位量が入射
赤外線量を精度良く反映したものとなり、赤外線検出の
S/Nを高めることができる。
【0054】変位部4,8は、それぞれ、Z軸方向(上
下方向)に互いに重なった2つの膜21,22で構成さ
れ、それらの一方端部が脚部2,6の先端部分にそれぞ
れ接続されて支持されることにより、それぞれカンチレ
バーを構成しており、基板1上に浮いた状態に支持され
ている。変位部4,8は、それぞれX軸方向に延びてお
り、互いに平行に配置されている。そして、図1に示す
ように、本実施の形態では、変位部4,8は、膜21,
22の重なり方向(Z軸方向)から見た場合に、互いに
重ならないように配置されている。
【0055】膜21及び膜22は、互いに異なる膨張係
数を有する異なる物質で構成されており、変位部4,8
は、いわゆるバイモルフ構造(bi-material elementと
もいう。)を構成している。したがって、変位部4,8
は、熱を受けると、その熱に応じて、下側の膜21の膨
張係数が上側の膜22の膨張係数より小さい場合には下
方に、逆の場合には上方に湾曲して傾斜する。本実施の
形態では、下側の膜21はSiN膜で構成され、上側の
膜22はAl膜(その膨張係数はSiN膜の膨張係数よ
り大きい)で構成され、変位部4,8は、熱を受けて温
度上昇すると、その熱に応じて下方に湾曲して傾斜する
ようになっている。変位部4を構成する膜21,22と
変位部8を構成する膜21,22とは、それぞれ、その
材料のみならず、幅、長さ及び厚さも同一とされてい
る。
【0056】本実施の形態では、変位部4の下側のSi
N膜21は、脚部2を構成するSiN膜がそのまま連続
して延びることにより形成されている。同様に、変位部
8の下側のSiN膜21は、脚部6を構成するSiN膜
がそのまま連続して延びることにより形成されている。
【0057】反射部10は、変位部4,5の上側のAl
膜22がそのまま連続して延びることにより形成され
て、その一部が変位部4,5の自由端部(脚部2,3に
接続された端部と反対側の端部)に対してそれぞれ固定
されることにより、基板1上に浮いた状態に支持されて
いる。
【0058】反射部10は、図7及び図9に示すよう
に、基板1と略平行な平面部10aと、平面部10aの
周辺部分のほぼ全体に渡って平面部10aからほぼZ軸
方向に沿って基板1の側へ立ち上がるように形成された
立ち上がり部10bと、立ち上がり部10bの端部から
側方に外側にわずかに延びた水平部10cと、を有して
いる。水平部10cは取り除いておいてもよい。平面部
10aが立ち上がり部10bによって補強されるので、
平面部10aの所望の強度を確保しつつ、平面部10a
の膜厚を薄くして低熱容量化を図ることができる。
【0059】ハーフミラー部11は、図1、図6及び図
9に示すように、SiN膜からなる支持枠13を介し
て、変位部8,9の自由端部(脚部6,7に接続された
端部と反対側の端部)に対してそれぞれ固定されること
により、反射部10の上方に間隔d2をあけて対向する
ように配置されている。この間隔d2は、読み出し光j
の所望の波長域の中心波長をλとして、例えばλ
4〜λ/2程度に設定される。
【0060】支持枠13は、図1、図4〜図7、図9に
示すように、変位部8,9の自由端部から変位部8,9
の下側のSiN膜21がそのまま連続して延びることに
より形成され、反射部10の周囲に沿って略々コ字状に
配置されている。支持枠13は、基板1と略平行な平面
部13aと、平面部13aの周辺部分のほぼ全体に渡っ
て平面部13aからほぼZ軸方向に沿って基板1の側へ
立ち上がるように形成された立ち上がり部13bと、立
ち上がり部13bの端部から側方に外側にわずかに延び
た水平部13cと、を有している。水平部13cは取り
除いておいてもよい。平面部13aが立ち上がり部13
bによって補強されるので、平面部13aの所望の強度
を確保しつつ、平面部13aの膜厚を薄くすることがで
きる。
【0061】ハーフミラー部11は、読み出し光jに対
する透過膜であるシリコン酸化膜と、所望の反射率を得
るべく、その上に被着させたチタン等の金属とから構成
されている。ハーフミラー部11は、図6、図7及び図
9に示すように、基板1と略平行な平面部11aと、平
面部11aの周辺部分のほぼ全体に渡って平面部11a
からほぼZ軸方向に沿って反射部10と反対の側へ立ち
上がるように形成された立ち上がり部11bと、立ち上
がり部11bの端部から側方に外側にわずかに延びた水
平部11cと、を有している。水平部11cは取り除い
ておいてもよい。平面部11aが立ち上がり部11bに
よって補強されるので、平面部11aの所望の強度を確
保しつつ、平面部11aの膜厚を薄くすることができ
る。
【0062】ハーフミラー部11は、図1、図6及び図
9に示すように、平面部11aの4箇所の部分が接続部
14を介して支持枠13の平面部13aに固定され、こ
れにより、支持枠13を介して変位部8,9の自由端部
に対してそれぞれ固定されている。接続部14は、ハー
フミラー部11を構成するシリコン酸化膜がそのまま延
びることにより形成されている。
【0063】赤外線吸収部12には、基板1の下方から
基板1を透過して赤外線iが入射される。赤外線吸収部
12は、赤外線iの一部を反射する特性を有する所定厚
さのSiN膜で構成されている。赤外線吸収部12の赤
外線反射率は、約33%であることが好ましい。赤外線
吸収部12は、図7及び図9に示すように、基板1と略
平行な平面部12aと、平面部12aの周辺部分のほぼ
全体に渡って平面部12aからほぼZ軸方向に沿って基
板1側へ立ち上がるように形成された立ち上がり部12
bと、立ち上がり部12bの端部から側方に外側にわず
かに延びた水平部12cと、を有している。水平部12
cは取り除いておいてもよい。平面部12aが立ち上が
り部12bによって補強されるので、平面部12aの所
望の強度を確保しつつ、平面部12aの膜厚を薄くする
ことができる。
【0064】赤外線吸収部12は、図1及び図7に示す
ように、平面部12aの中央の部分が接続部19を介し
て反射部10の中央部分に固定され、反射部10の下方
に間隔d1をあけて配置されている。したがって、本実
施の形態では、赤外線吸収部12は、接続部19及び反
射部10を介して、変位部4,5に熱的に結合されてい
る。なお、接続部19は、反射部10を構成するAl膜
がそのまま延びることにより形成されている。
【0065】赤外線吸収部12は、nを奇数、入射赤外
線iの所望の波長域の中心波長をλ として、赤外線吸
収部12と反射部10との間の間隔d1が実質的にnλ
/4となるように、配置されている。例えば、λ
10μm、nを1として、間隔d1を約2.5μmに設
定すればよい。本実施の形態では、反射部10が赤外線
iを略々全反射する赤外線反射部として兼用され、赤外
線吸収部12及び反射部10がオプティカルキャビティ
ー構造を構成している。もっとも、本発明では、このよ
うな赤外線反射部は反射部10とは別に設けてもよい。
また、本発明では、赤外線吸収部12に代わる赤外線吸
収部として例えば金黒等を用い、この金黒等を反射部1
0の下面に形成し、これに赤外線iを入射させてもよ
い。
【0066】図面には示していないが、本実施の形態に
よる放射検出装置では、変位部4,5,8,9、脚部
2,3,6,7、反射部10、ハーフミラー部11及び
放射吸収部12を単位素子(画素)として、この画素が
基板1上に1次元状又は2次元状に配置されている。
【0067】次に、本実施の形態による放射検出装置の
製造方法の一例について、図11乃至図22を参照して
説明する。
【0068】図11、図12、図14、図16〜図19
は、この製造方法の各工程をそれぞれ模式的に示す概略
平面図である。図13は、図12中のY5−Y6線に沿
った概略断面図である。図15は、図14中のB1−B
2線に沿った概略断面図である。図20は図19中のX
17’−X18’線に沿った概略断面図、図21は図1
9中のX19’−X20’線に沿った概略断面図、図2
2は図19中のY1’−Y2’線に沿った概略断面図で
ある。これらの図では、1画素分のみについて示してい
る。
【0069】まず、図11に示すように、Si基板1上
の全面に犠牲層となるレジスト51を塗布し、このレジ
スト51に、脚部2,6のコンタクト部2a,6a及び
脚部3,7のコンタクト部に応じた開口51aをフォト
リソグラフィーにより形成する。次に、この状態の基板
上の全面にスピンコート法等により犠牲層としてのポリ
イミド膜52を被着させ、赤外線吸収部12の平面部に
応じた部分のみのポリイミド膜52を島状に残すよう
に、ポリイミド膜52の他の部分(開口51aの部分も
含む)をフォトリソエッチング法により除去する(図1
1)。
【0070】次いで、赤外線吸収部12となるべきSi
N膜53をP−CVD法等によりデポした後、フォトリ
ソエッチング法によりパターニングし、赤外線吸収部1
2の形状とする(図12及び図13)。このとき、Si
N膜53のパターニングによって残す領域を、ポリイミ
ド膜52と重なりかつポリイミド膜52の大きさよりも
大きくすることによって、赤外線吸収部12の平面部、
基板1側に立ち上がった立ち上がり部及び水平部が形成
されることとなる。
【0071】その後、図12及び図13に示す状態の基
板上の全面に犠牲層となるレジスト54を塗布し、フォ
トリソエッチング法によって、前記開口51aに相当す
る箇所に開口を形成するとともに、接続部19に応じた
開口54aを形成する。次に、この状態の基板上の全面
にスピンコート法等により犠牲層としてのポリイミド膜
55を被着させ、脚部2,3,6,7の平面部、支持枠
13の平面部及び反射部10の平面部に応じた部分のみ
のポリイミド膜55を島状に残すように、ポリイミド膜
55の他の部分(開口51a,54aの部分も含む)を
フォトリソエッチング法により除去する(図14及び図
15)。
【0072】次いで、脚部2,3,6,7、変位部4,
5,8,9の下側の膜21及び支持枠13となるべきS
iN膜56をP−CVD法等によりデポした後、フォト
リソエッチング法によりパターニングし、脚部2,3,
6,7、変位部4,5,8,9の下側の膜21及び支持
枠13の形状とする(図16)。このとき、SiN膜5
6のパターニングによって残す領域を、ポリイミド膜5
5と重なりかつポリイミド膜55の大きさ(反射部10
に相当する領域を除く)よりも大きくすることによっ
て、平面部、基板1側に立ち上がった立ち上がり部及び
水平部が形成されることとなる。
【0073】その後、反射部10、変位部4,5,8,
9の上側の膜22となるべきAl膜57を蒸着法等によ
りデポした後、フォトリソエッチング法によりパターニ
ングし、反射部10、変位部4,5,8,9の上側の膜
22の形状とする(図17)。このとき、Al膜54の
パターニングによって残す領域を、ポリイミド膜55と
重なりかつポリイミド膜55の大きさよりも大きくする
ことによって、反射部10の平面部、基板1側に立ち上
がった立ち上がり部及び水平部が形成されることとな
る。
【0074】次に、図17に示す状態の基板上の全面に
犠牲層となるレジスト58を塗布し、フォトリソエッチ
ング法によって、接続部14に応じた開口58aを形成
する。次いで、この状態の基板上の全面にスピンコート
法等により犠牲層としてのポリイミド膜59を被着さ
せ、ハーフミラー部11の平面部に応じた部分(開口5
8aの部分も含む)をフォトリソエッチング法により除
去する(図18)。なお、図18では、レジスト58及
びポリイミド膜59で隠れて隠れ線(破線)となるべき
線も実線で示している。
【0075】次いで、ハーフミラー部11の一部を構成
する膜となるべきシリコン酸化膜60をP−CVD法等
によりデポした後、フォトリソエッチング法によりパタ
ーニングし、ハーフミラー部11の形状とする。このと
き、シリコン酸化膜60のパターニングによって残す領
域を、ポリイミド膜59の開口59aの大きさよりも大
きくすることによって、ハーフミラー部11の平面部、
基板1と反対側に立ち上がった立ち上がり部及び水平部
が形成されることとなる(図19〜図22)。その後、
シリコン酸化膜60等の上に、前記ハーフミラー部11
の一部を構成するハーフミラーの材料となるべきチタン
などの金属(図示せず)を所望の反射率を得るように非
常に薄くスパッタ法等により被着させ、当該金属をパタ
ーニングし、ハーフミラー部11の形状とする。なお、
図19では、ポリイミド膜59及びシリコン酸化膜60
等で隠れて隠れ線(破線)となるべき線も実線で示して
いる。
【0076】最後に、この状態の基板を、ダイシングな
どによりチップ毎に分割し、全ての犠牲層、すなわち、
レジスト51,54,58及びポリイミド膜52,5
5,59をアッシング法などにより除去する。これによ
り、図1乃至図10に示す放射検出装置が完成する。
【0077】本実施の形態による放射検出装置では、図
7、図9及び図10に示すように目標物体からの赤外線
iが下方から入射し、赤外線吸収部12と反射部10の
間隔d1が入射する赤外線iの所望の波長域の中心波長
の1/4の略奇数倍とされているので、オプティカルキ
ャビティーの原理に従い、赤外線吸収部12における赤
外線の吸収率が高まる。したがって、赤外線吸収部12
の厚みを薄くしてその熱容量を小さくしても、赤外線の
吸収率を高めることができる。その結果、検出感度及び
検出応答性の両方を高めることができる。
【0078】赤外線吸収部12で発生した熱が接続部1
9及び反射部10を介して変位部4,5に伝わり、この
熱に応じて、カンチレバーを構成している変位部4,5
が下方に湾曲して傾斜する。このため、反射部10が、
入射した赤外線iの量に応じた量だけ傾く。このとき、
赤外線吸収部12で発生した熱は、変位部8,9に伝わ
らないことから、変位部8,9は湾曲しないので、反射
部10とハーフミラー部11との間の距離d2が、入射
した赤外線iの量に応じた量だけ変化する。上方から読
み出し光jを照射すると、反射部10からの反射光とハ
ーフミラー部11からの反射光とが干渉して干渉光とな
って、上方へ戻る。この干渉光の強度はハーフミラー部
11と反射部10との間の間隔d2に依存するので、入
射赤外線量に応じた強度の干渉光が得られる。これによ
り、入射赤外線量を前記干渉光の強度の変化として検出
することができる。
【0079】そして、本実施の形態では、第1の変位部
4,5と第2の変位部8,9とは、膜21,22の重な
り方向(Z軸方向)から見た場合に、互いに重ならない
ように配置されている。したがって、図16を参照して
説明したように第1の変位部4,5の下側膜21と第2
の変位部8,9の下側膜21とを同時に形成することが
でき、その後、図17を参照して説明したように第1の
変位部4,5の上側膜22と第2の変位部8,9の上側
膜22とを同時に形成することができる。
【0080】このように第1の変位部4,5と第2の変
位部8,9とを同時に製造することができるので、第1
の変位部4,5及び第2の変位部8,9が各膜21,2
2の成膜時のストレスによって初期的に湾曲したとして
も、その湾曲具合は第1の変位部4,5と第2の変位部
8,9とで実質的に同じになる。したがって、第1の変
位部4,5及び第2の変位部8,9が各膜21,22の
成膜時のストレスによって初期的に湾曲したとしても、
反射部10とハーフミラー部11との間の初期的な間隔
(あるいは位置関係)はストレスの値に関係なく常にほ
ぼ所望の間隔(あるいは位置関係)に設定することがで
きる。このため、本実施の形態によれば、放射検出の所
望の特性を得ることができる。この点については、図2
3及び図24を参照して後述する。
【0081】ところで、本実施の形態では、脚部2の始
点部P1(図2参照)のXZ位置(Y軸方向(変位部
4,8の幅方向に相当)から見た位置)と、脚部6の始
点部P11(図3参照)のXZ位置とは、一致してい
る。脚部2の終点部(=変位部4の始点部)P2(図5
参照)のXZ位置と、脚部6の終点部(=変位部8の始
点部)P12(図4参照)のXZ位置とは、一致してい
る。したがって、脚部2の始点部P1から終点部P2ま
での脚部2の長さ方向の距離(脚部2の幅方向(Y軸方
向)から見た場合の、始点部P1から終点部P2までの
脚部2に沿った距離)と、脚部6の始点部P11から終
点部P12までの脚部6の長さ方向の距離(脚部6の幅
方向(Y軸方向)から見た場合の、始点部P11から終
点部P12までの脚部6に沿った距離)とは、等しくな
っている。また、変位部4の始点部P2から変位部4の
終点部P3(図5参照)までの変位部4の長さと、変位
部8の始点部P12から変位部8の終点部P13(図4
参照)までの変位部8の長さとは、等しくなっている。
以上の点は、脚部3,7及び変位部5,9についても同
様である。
【0082】図23は、以上の点を考慮して、本実施の
形態による放射検出装置の初期的な状態(目標物体から
の赤外線iが入射していない状態)の一例をモデル化し
たものを示している。図23(a)は、Y軸方向から見
た脚部2、変位部4及び反射部10を簡略化して示して
いる。図23(b)は、Y軸方向から見た脚部6、変位
部8及びハーフミラー部11を簡略化して示している。
図23(c)は、Y軸方向から見た脚部2,6、変位部
4,8、反射部10及びハーフミラー部11を簡略化し
て示しており、図23(a)(b)を重ね合わせたもの
に相当している。ただし、本実施の形態では、図1に示
すように、脚部2,6が変位部4,8に対してそれぞれ
折り返したように配置されているが、図23では、脚部
2,6が変位部4,8に対して真っ直ぐ延ばしたような
状態に、等価的に変換している。図23に示す例では、
脚部2,6が基板1と平行に延びているとともに、変位
部4,8は初期的に基板1と平行になっている。
【0083】図24は、本実施の形態による放射検出装
置の初期的な状態の他の例をモデル化したものを示して
いる。図24(a)〜(c)は図23(a)〜(c)に
それぞれ対応している。図24に示す例では、変位部
4,8が各膜21,22の成膜時のストレスによって初
期的に上方に湾曲している状態を示している。前述した
ように、変位部4,8を同時に製造することができるの
で、図24に示すように、変位部4,8の初期状態の湾
曲具合は変位部4と変位部8とで同じになっている。
【0084】図23と図24との比較からわかるよう
に、変位部4,8が各膜21,22の成膜時のストレス
によって初期的に湾曲したとしても、反射部10とハー
フミラー部11との間の初期的な間隔は、同じとなって
いる。このことは、変位部4,,8が各膜21,22の
成膜時のストレスによって初期的に湾曲したとしても、
反射部10とハーフミラー部11との間の初期的な間隔
は常にほぼ所望の間隔に設定することができることを意
味している。このため、本実施の形態によれば、赤外線
検出の所望の特性を得ることができるのである。また、
本実施の形態では、各画素間における反射部10とハー
フミラー部11との間の初期的な位置関係(間隔)のば
らつきも軽減することができる。
【0085】また、本実施の形態では、ハーフミラー部
11が第1の変位部4,5と同一の構成を有する第2の
変位部8,9に固定されているので、環境温度が変化し
てその分第1の変位部4,5が変形しても、第2の変位
部8,9も同じ量だけ変形することになる。したがっ
て、環境温度の変化によってハーフミラー部11及び反
射部10間の相対的な位置関係は変化しない。このた
め、環境温度の影響を受けずに目標物体からの赤外線i
を精度良く検出することができる。したがって、環境温
度の影響を受けないようにするために基板の温度制御を
行う必要はなく、コストの低減を図ることができる。
【0086】この点、本実施の形態によれば、前述した
ように同一の製造工程で第1の変位部4,5及び第2の
変位部8,9を製造することができるので、第1の変位
部4,5及び第2の変位部8,9の膜特性(膜厚など)
の差がほとんどなくなり、第1の変位部4,5と第2の
変位部8,9とで温度変化による湾曲の特性の差が、前
記従来の放射検出装置に比べて小さくなる。このため、
本実施の形態によれば、厳密な基板1の温度制御等を行
わない場合には、前記従来の放射検出装置に比べて、環
境温度の変化によるハーフミラー部11及び反射部10
間の相対的な位置関係の変化量が小さくなり、より精度
良く放射を検出することができる。
【0087】もっとも、本実施の形態による放射検出装
置を用いる場合、当該放射検出装置を真空容器内に収容
したり、基体の温度を厳密に制御してもよい。
【0088】また、本実施の形態では、前述したよう
に、図24に示すように、脚部2の始点部P1から終点
部P2までの脚部2の長さ方向の距離と、脚部6の始点
部P11から終点部P12までの脚部6の長さ方向の距
離とが、等しくなっている。このため、図25に示すよ
うに、第1の脚部2及び第2の脚部6がその成膜時等の
ストレスにより初期的に湾曲していたとしても、第1及
び第2の脚部の終点部(=第1の変位部4及び第2の変
位部8の始点部)P2,P12での基板1に対する高さ
と角度を互いに等しくすることができ、好ましい。
【0089】なお、図25は、本実施の形態による放射
検出装置の初期的な状態の更に他の例をモデル化したも
のを示している。図25(a)〜(c)は図23(a)
〜(c)にそれぞれ対応している。
【0090】ところで、本発明では、本実施の形態を図
26に示すように変形してもよい。図26は、本実施の
形態を変形した放射検出装置の初期的な状態の例をモデ
ル化したものを示している。図26(a)〜(c)は図
24(a)〜(c)にそれぞれ対応している。図24に
示す場合には、反射部10とハーフミラー部11との間
の間隔は、図21中の犠牲層58の厚さと等しくなり、
犠牲層58の厚さより狭めたりあるいは広げたりするこ
とはできない。これに対し、図26の場合には、第1の
変位部2の始点部P2のXZ位置と第2の変位部6の始
点部P12のXZ位置とが、反射部10とハーフミラー
部11との間の間隔が狭まるようにずらされている。こ
の場合、反射部10とハーフミラー部11との間の間隔
を犠牲層58の厚さより狭めることができる。必要に応
じて、始点部P2のXZ位置と第2の変位部6の始点部
P12のXZ位置を、反射部10とハーフミラー部11
との間の間隔が広がるようにずらしてもよい。
【0091】また、本発明では、本実施の形態を図27
に示すように変形してもよい。図27は、本実施の形態
を変形した放射検出装置の初期的な状態の例をモデル化
したものを示している。図27(a)〜(c)は図24
(a)〜(c)にそれぞれ対応している。図24の場合
のように脚部2,6が基板1と平行である場合には、図
27に示すように、脚部6の長さを実質的にゼロにして
も同じ効果が得られる。脚部2の長さをゼロにすれば、
放射吸収部12で発生し変位部4へ伝導した熱が基板1
へ逃げやすくなって好ましくないが、脚部6の長さを実
質的にゼロにしてもそのような不都合は生じない。図2
7に示すように、脚部6の長さを実質的にゼロにすれ
ば、基板1上の第2の脚部6が占める領域が少なくな
り、好ましい。
【0092】本実施の形態では、前述したように、赤外
線iが基板1の下側から入射される。図10中に想像線
で示すように、この赤外線iを第2の変位部8,9、脚
部6,7及び支持枠13(例えば、第2の変位部8,9
のみであってもよい)に対して遮蔽する遮蔽部として、
Al膜等からなる赤外線遮光膜30を、これらの下方に
おいて基板1上に形成してもよい。この場合、変位部
8,9の下側膜21、脚部6,7及び支持枠13を構成
するSiN膜が赤外線吸収性を有するが、検出感度の低
下を招くようなことがない。もっとも、赤外線遮光膜3
0は、必ずしも形成しておかなくてもよいし、また、例
えば、第2の変位部8,9に対してのみ赤外線iを遮光
するように形成してもよい。これらの点は後述する各実
施の形態についても同様に適用することができ、赤外線
遮光膜30に相当する赤外線遮光膜を適宜設けてもよ
い。
【0093】また、本実施の形態では、支持枠13は、
赤外線吸収性を有するSiN膜で構成されている。しか
し、支持枠13を赤外線吸収性を持たない材料(例え
ば、Al膜)で構成すれば、前記赤外線遮光膜30が形
成されていない場合であっても、検出感度の低下が少な
くなり、好ましい。
【0094】ここで、本実施の形態による放射検出装置
を用いた映像化装置の一例について、図28を参照して
説明する。図28は、この映像化装置を示す概略構成図
である。図28中、本実施の形態による放射検出装置に
は、符号100を付している。ただし、本例による映像
化装置では、図28中の光線束制限部35は取り除かれ
る。
【0095】この映像化装置は、放射検出装置100の
他に、読み出し光学系と、撮像手段としての2次元CC
D30と、観察対象(目標物体)としての熱源31から
の赤外線iを集光して、放射検出装置100の赤外線吸
収部12が分布している面上に、熱源31の赤外線画像
を結像させる赤外線用の結像レンズ32とから構成され
ている。
【0096】この映像化装置では、前記読み出し光学系
は、読み出し光を供給するための読み出し光供給手段と
してのLD(レーザーダイオード)33と、LD33か
らの読み出し光を放射検出装置100の全ての画素のハ
ーフミラー部11へ導く第1レンズ系34と、第1レン
ズ系34と協働して各画素のハーフミラー部11(ある
いは反射部10)と共役な位置を形成し且つ該共役な位
置に光線束を導く第2レンズ系36とから構成されてい
る。前記共役な位置にはCCD30の受光面が配置され
ている。
【0097】LD33は、第1レンズ系34の光軸Oに
関して一方の側(図28中の右側)に配置されており、
当該一方の側の領域を読み出し光が通過するように読み
出し光を供給する。本例では、LD33が第1レンズ系
34の第2レンズ系36側の焦点面付近に配置されて、
第1レンズ系34を通過した読み出し光が略平行光束と
なって全ての画素のハーフミラー部11を照射するよう
になっている。本例では、放射検出装置100は、その
基板1の面(本例では、目標物体からの赤外線が入射し
ない場合の反射部としての膜10の面と平行)が光軸O
と直交するように配置されている。もっとも、このよう
な配置に限定されるものではない。
【0098】図28に示す映像化装置によれば、LD3
3から出射した読み出し光の光線束41は、第1レンズ
系34に入射し、略平行化された光線束42となる。次
に、この略平行化された光線束42は、放射検出装置1
00の全ての画素のハーフミラー部11に、基板1の法
線に対してある角度をもって入射し、全ての画素の反射
部10及びハーフミラー部11で反射してハーフミラー
部11から干渉光となって出射し、全体として光線束4
3となる。この光線束43は再び第1レンズ系34に今
度はLD33の側とは反対の側から入射して集光光束4
4となり、その集光点の位置に集光する。その後、集光
光束44は発散光束45となって第2レンズ系36に入
射する。第2レンズ系36に入射した発散光束45は、
第2レンズ系36により例えば略平行光束46となって
CCD30の受光面に入射する。ここで、各画素のハー
フミラー部11とCCD30の受光面とはレンズ系3
4,36によって共役な関係にあるので、CCD30の
受光面上の対応する各部位にそれぞれハーフミラー部1
1の像が形成され、全体として、全ての画素のハーフミ
ラー部11の分布像である光学像が形成される。
【0099】ところで、結像レンズ32によって、熱源
31からの赤外線が集光され、放射検出装置100の赤
外線吸収部12が分布している面上に、熱源31の赤外
線画像が結像される。これにより、放射検出装置100
の各画素の赤外線吸収部12に赤外線が入射する。この
入射赤外線は、各画素のハーフミラー部11と反射部1
0との間の間隔に変換される。このため、各画素のハー
フミラー部11から出射される干渉光の強度は入射赤外
線量により変化する。したがって、CCD30上に形成
された全体としての光学像のうち各画素のハーフミラー
部11の像の光量は、各画素に入射した赤外線の量に応
じて変化することになる。
【0100】したがって、CCD30の受光面上に形成
された読み出し光による光学像は、放射検出装置100
に入射した赤外線像を反映したものとなる。この光学像
は、CCD30により撮像される。なお、CCD30を
用いずに、接眼レンズ等を用いて前記光学像を肉眼で観
察してもよい。
【0101】なお、読み出し光学系の構成が前述した構
成に限定されるものではないことは、言うまでもない。
【0102】以上は映像化装置の例であったが、図28
において、放射検出装置100として、単一の画素(素
子)のみを有する放射検出装置を用い、2次元CCD3
0に代えて、単一の受光部のみを有する光検出器を用い
れば、赤外線のいわゆるポイントセンサとしての検出装
置を構成することができる。この点は、後述する各実施
の形態についても同様である。
【0103】[第2の実施の形態]
【0104】図29は、本発明の第2の実施の形態によ
る放射検出装置の単位画素を示す概略断面図であり、図
10に対応している。図29において、図1乃至図10
中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、
その重複する説明は省略する。
【0105】本実施の形態が前記第1の実施の形態と主
として異なる所は、図29と図10との比較からわかる
ように、前記第1実施の形態では、反射部10が第1の
変位部4の自由端部に固定され、赤外線吸収部12が反
射部10にぶら下がっているのに対し、本実施の形態で
は、赤外線吸収部12が第1の変位部4の自由端部に固
定され、赤外線吸収部12の上に反射部10が載ってい
る点である。本実施の形態では、赤外線吸収部12を構
成しているSiN膜は、第1の変位部4を構成するSi
N膜がそのまま連続して延びることにより形成されてい
る。
【0106】本実施の形態によっても、前記第1の実施
の形態と同様の利点が得られる。
【0107】なお、前記第2の実施の形態による各放射
検出装置も、前記第1の実施の形態による放射検出装置
と同様に、膜の形成及びパターニング、犠牲層の形成及
び除去などの半導体製造技術を利用して、製造すること
ができる。この点は、後述する各実施の形態についても
同様である。
【0108】なお、本発明では、前記第1の実施の形態
を変形して本実施の形態を得たのと同様の変形を、後述
する各実施の形態及びその変形例に適用することもでき
る。
【0109】[第3の実施の形態]
【0110】図30は、本発明の第3の実施の形態によ
る放射検出装置の単位画素を示す概略平面図である。図
31は図30中のX47−X48線に沿った概略断面
図、図32は図30中のX49−X50線に沿った概略
断面図、図33は図30中のY33−Y34線に沿った
概略断面図である。これらの図面において、図1乃至図
11中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付
し、その重複する説明は省略する。
【0111】図面には示していないが、図30中のX3
1−X32線に沿った概略断面図は図2と同様となり、
図30中のX33−X34線に沿った概略断面図は図3
と同様となり、図30中のX35−X36線に沿った概
略断面図は図4と同様となり、図30中のX37−X3
8線に沿った概略断面図は図5と同様となり、図30中
のX39−X40線に沿った概略断面図は図5と同様と
なり、図30中のX41−X42線に沿った概略断面図
は図4と同様となり、図30中のX43−X44線に沿
った概略断面図は図3と同様となり、図30中のX45
−X46線に沿った概略断面図は図2と同様となり、図
30中のY31−Y32線に沿った概略断面図は図8と
同様となる。
【0112】本実施の形態が前記第1の実施の形態と主
として異なる所は、前記第1の実施の形態では、基板1
側から赤外線吸収部12、反射部10及びハーフミラー
部11の順に配置されているのに対し、本実施の形態で
は、逆に、基板1側からハーフミラー部11、反射部1
0及び赤外線吸収部12の順に配置され、基板1として
読み出し光jを透過させるガラス基板等が用いられ、読
み出し光jが基板1の下側から照射され、赤外線iが上
方から入射される点である。
【0113】支持枠65は、変位部4,5の自由端部か
ら変位部4,5の下側のSiN膜21がそのまま連続し
て延びることにより形成され、支持枠13の内側に沿っ
て略々四角形状に配置されている。支持枠65は、基板
1と略平行な平面部65aと、平面部65aの周辺部分
のほぼ全体に渡って平面部65aからほぼZ軸方向に沿
って基板1の側へ立ち上がるように形成された立ち上が
り部65bと、立ち上がり部65bの端部から側方に外
側にわずかに延びた水平部65cと、を有している。水
平部65cは取り除いておいてもよい。平面部65aが
立ち上がり部65bによって補強されるので、平面部6
5aの所望の強度を確保しつつ、平面部65aの膜厚を
薄くすることができる。
【0114】ハーフミラー部11は、その平面部11a
の4箇所の部分が接続部66を介して支持枠65の平面
部65aに固定され、これにより、支持枠65を介して
変位部4,5の自由端部(脚部2,3に接続された端部
と反対側の端部)に対してそれぞれ固定されている。接
続部66は、ハーフミラー部11を構成するシリコン酸
化膜がそのまま延びることにより形成されている。
【0115】反射部10は、その平面部10aの4箇所
の部分が接続部67を介して支持枠13の平面部13a
に固定され、これにより、支持枠13を介して変位部
8,9の自由端部(脚部6,7に接続された端部と反対
側の端部)に対してそれぞれ固定されている。接続部6
7は、反射部10を構成するAl膜がそのまま延びるこ
とにより形成されている。
【0116】赤外線吸収部12は、その平面部12aの
4箇所の部分が接続部68を介して反射部10の平面部
10aに固定されている。
【0117】本実施の形態によれば、前記第1の実施の
形態と同様の利点が得られる。また、他の部分と衝突す
ることなく、赤外線吸収部12及び反射部10の面積を
拡大することができるので、入射する赤外線に対する開
口率を大幅に向上させることができる。なお、図面表記
の便宜上、図30〜図33では、赤外線吸収部12及び
反射部10の面積はさほど拡大させていない。
【0118】なお、本発明では、前記第1の実施の形態
を変形して本実施の形態を得たのと同様の変形を、後述
する各実施の形態及びその変形例に適用することもでき
る。
【0119】[第4の実施の形態]
【0120】図34は、本発明の第4の実施の形態によ
る放射検出装置の単位画素を示す概略断面図であり、図
10及び図29に対応している。図34において、図1
乃至図10並びに図29中の要素と同一又は対応する要
素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0121】本実施の形態が図29に示す前記第2の実
施の形態と主として異なる所は、図34と図29との比
較からわかるように、ハーフミラー部11を赤外線吸収
部12に対して固定し、反射部10を支持枠13に対し
て固定した点である。
【0122】本実施の形態では、読み出し光による変位
の読み出し原理として干渉が採用されているので、ハー
フミラー部11及び反射部10間の相対的な変位の範囲
を制限しなければ、干渉の強度は光路長差が読み出し光
の波長の1/2毎に強弱を繰り返す。このため、ある強
度以上の赤外線が入射すると逆に干渉の強度が反転する
という反転現象が起こってしまう。そこで、前記相対的
な変位の範囲を制限することが好ましい。本実施の形態
によれば、一方の変位部4に対して固定したハーフミラ
ー部11及び赤外線吸収部12が、他方の変位部8に対
して固定した反射部を挟むことになるので、変位の範囲
を制限するストッパーとして機能させることが可能とな
る。したがって、特別なストッパーを設ける必要がな
く、便利である。
【0123】また、本実施の形態によれば、前記第1の
実施の形態と同様の利点も得られる。
【0124】なお、本発明では、前記第1の実施の形態
を変形して本実施の形態を得たのと同様の変形を、後述
する各実施の形態及びその変形例に適用することもでき
る。
【0125】[第5の実施の形態]
【0126】図35は、本発明の第5の実施の形態によ
る放射検出装置の単位画素を示す概略平面図である。な
お、図35において、本来破線(隠れ線)となるべき線
も実線で示し、また、段差等を表す線については省略し
ている。また、説明の便宜上、図35に示すように、互
いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する。
【0127】図36は図35中のX51−X52線に沿
った概略断面図、図37は図35中のX53−X54線
に沿った概略断面図、図38は図35中のX55−X5
6線に沿った概略断面図、図39は図35中のY51−
Y52線に沿った概略断面図である。図面には示してい
ないが、図38中のX57−X58線に沿った概略断面
図は図37と同様となり、図35中のX59−X60線
に沿った概略断面図は図36と同様となる。
【0128】これらの図面において、図1乃至図11中
の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、そ
の重複する説明は省略する。本実施の形態が前記第1の
実施の形態と異なる所は、主に、以下に説明する点であ
る。
【0129】前記第1の実施の形態では、脚部2,3,
6,7が変位部4,5,8,9の側方に配置されていた
のに対し、本実施の形態では、図35乃至図39に示す
ように、脚部2,3,6,7の上方に間隔をあけて変位
部4,5,8,9が配置されている。すなわち、本実施
の形態では、脚部2,3,6,7と、変位部4,5,
8,9と、赤外線吸収部12と、反射部10と、ハーフ
ミラー部11とが、Z軸方向にそれぞれ空間を隔てて配
置されている。
【0130】本実施の形態では、この配置に伴い、変位
部4,5,8,9、反射部10、ハーフミラー部11及
び赤外線吸収部12の接続方法が変更されている。すな
わち、本実施の形態では、変位部4,5,8,9は、変
位部4,5,8,9を構成する上側のAl膜22及び下
側のSiN膜21がそのまま延びることにより形成され
た接続部80,81,82,83をそれぞれ介して、脚
部2,3,6,7にそれぞれ固定されている。
【0131】また、赤外線吸収部12は、これを構成す
るSiN膜がそのまま延びることにより形成された接続
部70,71をそれぞれ介して、変位部4,5の自由端
側部分にそれぞれ固定されている。ハーフミラー部11
は、これを構成するシリコン酸化膜がそのまま延びるこ
とにより形成された接続部72,73をそれぞれ介し
て、変位部8,9の自由端側部分にそれぞれ固定されて
いる。赤外線吸収部12には、接続部72,73を逃げ
るための開口12e,12fが形成されている。反射部
10には、接続部72,73を逃げるための開口10
e,10fが形成されている。反射部10は、これを構
成するAl膜がそのまま延びることにより形成された接
続部74を介して、赤外線吸収部12の中央部に固定さ
れている。
【0132】本実施の形態によれば、前記第1の実施の
形態と同様の利点が得られる他、脚部2,3,6,7
と、変位部4,5,8,9と、赤外線吸収部12と、反
射部10と、ハーフミラー部11とが、Z軸方向に積み
上げられているので、任意の一定領域内での放射吸収部
12やハーフミラー部11や反射部10の面積を大きく
とることができ、赤外線に対する感度が向上する。ま
た、本実施の形態のような積み上げ構造を採用すると、
横方向へ拡がらなくなるので、構造体全体のバランスが
良くなり、機械的な強度の高い構造を実現することがで
きると同時に、開口率を向上することができる。
【0133】なお、本実施の形態を次のように変形して
もよい。すなわち、基板1側からハーフミラー部11、
反射部10及び赤外線吸収部12の順に配置し、基板1
として読み出し光jを透過させるガラス基板等を用い、
読み出し光jを基板1の下側から照射し、赤外線iを上
方から入射させてもよい。この場合、前記第3の実施の
形態の場合と同様に、入射する赤外線に対する開口率を
更に向上させることができる。
【0134】なお、本発明では、前記第1の実施の形態
を変形して本実施の形態を得たのと同様の変形を、後述
する各実施の形態及びその変形例に適用することもでき
る。
【0135】[第6の実施の形態]
【0136】図40は、本発明の第6の実施の形態によ
る放射検出装置の単位画素を示す概略平面図である。な
お、図40において、本来破線(隠れ線)となるべき線
も実線で示し、また、段差等を表す線については省略し
ている。また、説明の便宜上、図40に示すように、互
いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する。
【0137】図41は図40中のX61−X62線に沿
った概略断面図、図42は図40中のX63−X64線
に沿った概略断面図、図43は図40中のX65−X6
6線に沿った概略断面図、図44は図40中のX67−
X68線に沿った概略断面図、図45は図40中のX7
7−X78線に沿った概略断面図、図46は図40中の
X79−X80線に沿った概略断面図、図47は図40
中のY61−Y62線に沿った概略断面図、図48は図
40中のY63−Y64線に沿った概略断面図である。
【0138】図面には示していないが、図40中のX6
9−X70線に沿った概略断面図は図44と同様とな
り、図40中のX71−X72線に沿った概略断面図は
図43と同様となり、図40中のX73−X74線に沿
った概略断面図は図42と同様となり、図40中のX7
5−X76線に沿った概略断面図は図41と同様とな
る。
【0139】これらの図面において、図1乃至図11中
の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、そ
の重複する説明は省略する。本実施の形態が前記第1の
実施の形態と異なる所は、主に、以下に説明する点であ
る。
【0140】本実施の形態では、赤外線吸収部12は、
変位部4,5の下側のSiN膜21がそのまま連続して
延びることにより形成されて、その一部が変位部4,5
の自由端部に対してそれぞれ固定されることにより、基
板1上に浮いた状態に支持されている。支持枠13は、
SiN膜ではなく、変位部8,9の自由端部から変位部
8,9の上側のAl膜22がそのまま連続して延びるこ
とにより形成され、赤外線吸収部12の周囲に沿って略
々コ字状に配置されている。
【0141】本実施の形態では、図1乃至図11中の反
射部10及びハーフミラー部11に代えて、複数の帯状
の第1の反射部90と、複数の帯状の第2の反射部91
とが設けられている。第1の反射部90は、これを構成
するAl膜がそのまま延びることにより形成された接続
部100を介して、赤外線吸収部12の平面部12aに
固定されている。第2の反射部91は、これを構成する
Al膜がそのまま延びることにより形成された接続部1
01を介して、支持枠13の平面部13aに固定されて
いる。複数の第1の反射部90は互いに同一XY平面内
に配置され、複数の第2の反射部91は互いに同一XY
平面内に配置され、本実施の形態では、第1の反射部9
0も第2の反射部91もほぼ同一XY平面内に配置され
ている。複数の第1の反射部90と複数の第2の反射部
91は、それぞれY軸方向に延び、X軸方向に交互に並
んでいる。以上により、複数の第1の反射部90及び複
数の第2の反射部91は、実質的に反射型回折格子を構
成している。第1の反射部90と第2の反射部91との
間の段差量(高さの差)に応じて、上方から入射した読
み出し光jの反射回折光、例えば、+1次回折光の光量
が変化する。
【0142】また、本実施の形態では、第1及び第2の
反射部90,91は、赤外線iを略々全反射する赤外線
反射部として兼用され、赤外線吸収部12及び反射部9
0,91がオプティカルキャビティー構造を構成してい
る。
【0143】本実施の形態によれば、目標物体からの赤
外線iが入射しない場合には、環境温度が変動しても、
第1の反射部90は第2の反射部91と平行で高さも一
定のままである。目標物体からの赤外線iが入射する
と、入射赤外線量に応じて、第1の反射部90が傾いて
前記段差量が変化し、例えば前記+1次回折光の光量が
変化する。
【0144】本実施の形態による放射検出装置は、例え
ば、前述した図28に示す映像化装置において、放射検
出装置100に代えて用いることができる。ただし、こ
の場合、集光光束44の集光位置付近に、光線束制限部
35を配置する。この光線束制限部35は、例えば、読
み出し光の照射により反射部90,91で反射した回折
光のうち+1次回折光のみを選択的に通過させるように
開口部35aを形成しておく。+1次回折光の光線束に
ついては、光線束制限部35は何ら制限しないようにし
ておく。この映像化装置によっても、放射検出装置10
0を用いた図28に示す映像化装置と同様に、CCD3
0の受光面上に形成された読み出し光による光学像は、
入射した赤外線像を反映したものとなる。
【0145】本実施の形態によっても、前記第1の実施
の形態と同様の利点が得られる。
【0146】[第7の実施の形態]
【0147】図49は、本発明の第7の実施の形態によ
る放射検出装置の単位画素を示す概略平面図である。な
お、図49中の間隔Lは、図面表記の便宜上設けたもの
であり、実際にはこの間隔は狭められる。図50は図4
9中のX97−X98線に沿った概略断面図、図51は
図49中のX99−X100線に沿った概略断面図であ
る。
【0148】図面には示していないが、図49中のX8
1−X82線に沿った概略断面図は図41と同様とな
り、図49中のX83−X84線に沿った概略断面図は
図42と同様となり、図49中のX85−X86線に沿
った概略断面図は図43と同様となり、図49中のX8
7−X88線に沿った概略断面図は図44と同様とな
り、図49中のX89−X90線に沿った概略断面図は
図44と同様となり、図49中のX91−X92線に沿
った概略断面図は図43と同様となり、図49中のX9
3−X94線に沿った概略断面図は図42と同様とな
り、図49中のX95−X96線に沿った概略断面図は
図41と同様となり、図49中のY81−Y82線に沿
った概略断面図は図47と同様となる。
【0149】本実施の形態が前記第6の実施の形態と主
として異なる所は、第1の反射部90及び第2の反射部
91の向きを90゜変更して、第1の反射部90及び第
2の反射部91が、それぞれX軸方向に延びるように配
列され、Y軸方向に交互に並んでいる点である。
【0150】この配列を実現するため、次のように変更
されている。支持枠110が、変位部4,5の自由端部
から変位部4,5の下側のSiN膜21がそのまま連続
して延びることにより形成され、支持枠13の内側に沿
って略々コ字状に配置されている。赤外線吸収部12
は、これを構成するSiN膜がそのまま延びることによ
り形成された接続部111を介して、支持枠110の平
面部に固定されている。互いにX軸方向に間隔をあけて
Y軸方向に延びる2本の棒状の支持部115,116
が、これらをそれぞれ構成するAl膜がそのまま延びる
ことにより形成された接続部117,118をそれぞれ
介して、支持枠13に固定されている。図中に符号を付
していないが、支持枠110及び支持部115,116
も、その周辺部分に基板1側へ立ち上がった立ち上がり
部を有している。第1の反射部90は、接続部100を
介して赤外線吸収部12に固定されている。第2の反射
部91は、接続部101を介して支持部115,116
にそれぞれ固定されている。
【0151】本実施の形態によっても、前記第6の実施
の形態と同様の利点が得られる。
【0152】[第8の実施の形態]
【0153】図52は、本発明の第8の実施の形態によ
る放射検出装置の単位画素を示す概略平面図である。な
お、図52において、本来破線(隠れ線)となるべき線
も実線で示し、また、段差等を表す線については省略し
ている。また、説明の便宜上、図52に示すように、互
いに直交するX軸、Y軸、Z軸を定義する。
【0154】図53は図52中のX101−X102線
に沿った概略断面図、図54は図52中のX103−X
104線に沿った概略断面図、図55は図52中のX1
05−X106線に沿った概略断面図、図56は図52
中のY101−Y102線に沿った概略断面図である。
図面には示していないが、図52中のX107−X10
8線に沿った概略断面図は図55と同様となり、図52
中のX109−X110線に沿った概略断面図は図53
と同様となる。
【0155】これらの図面において、図40乃至図48
中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、
その重複する説明は省略する。本実施の形態が図40乃
至図48に示す前記第6の実施の形態と異なる所は、主
に、以下に説明する点である。
【0156】前記第6の実施の形態では、脚部2,3,
6,7が変位部4,5,8,9の側方に配置されていた
のに対し、本実施の形態では、図52乃至図56に示す
ように、脚部2,3,6,7の上方に間隔をあけて変位
部4,5,8,9が配置されている。すなわち、本実施
の形態では、脚部2,3,6,7と、変位部4,5,
8,9と、赤外線吸収部12と、第1及び第2の反射部
90,91とが、Z軸方向にそれぞれ空間を隔てて配置
されている。
【0157】本実施の形態では、この配置に伴い、変位
部4,5,8,9、第1及び第2の反射部90,91及
び赤外線吸収部12の接続方法が変更されている。すな
わち、本実施の形態では、変位部4,5,8,9は、変
位部4,5,8,9を構成する上側のAl膜22及び下
側のSiN膜21がそのまま延びることにより形成され
た接続部180,181,182,183をそれぞれ介
して、脚部2,3,6,7にそれぞれ固定されている。
【0158】また、赤外線吸収部12は、これを構成す
るSiN膜がそのまま延びることにより形成された接続
部172,173をそれぞれ介して、変位部8,9の自
由端側部分にそれぞれ固定されている。支持枠120
が、赤外線吸収部12の周囲に沿って四角形状をなすよ
うに配置されている。支持枠120は、これを構成する
Al膜がそのまま延びることにより形成された接続部1
70,171をそれぞれ介して、変位部4,5の自由端
側部分にそれぞれ固定されている。第1の反射部90
は、接続部100を介して赤外線吸収部12に固定され
ている。第2の反射部91は、接続部101を介して支
持枠120に固定されている。
【0159】本実施の形態によれば、前記第6の実施の
形態と同様の利点が得られる他、脚部2,3,6,7
と、変位部4,5,8,9と、赤外線吸収部12と、第
1及び第2の反射部90,91とが、Z軸方向に積み上
げられているので、任意の一定領域内での第1及び第2
の反射部90,91の全体の面積や赤外線吸収部12の
面積大きくとることができ、赤外線に対する感度が向上
する。また、本実施の形態のような積み上げ構造を採用
すると、横方向へ拡がらなくなるので、構造体全体のバ
ランスが良くなり、機械的な強度の高い構造を実現する
ことができると同時に、開口率を向上することができ
る。
【0160】なお、本発明では、前記第6の実施の形態
を変形して前記第7の実施の形態を得たのと同様の変形
を、本実施の形態に適用することもできる。
【0161】以上、本発明の各実施の形態について説明
した本発明はこれらの実施の形態に限定されるものでは
ない。例えば、材料等は前述した例に限定されるもので
はない。
【0162】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
2つの光作用要素の間の位置関係を所望の関係に設定す
ることができ、放射検出の所望の特性を得ることができ
る。
【0163】また、本発明によれば、厳密な温度制御等
を行わない場合であっても、従来に比べて、環境温度の
変化による2つの光作用要素の間の相対的な位置関係の
変化を一層抑えることができ、より精度良く放射を検出
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による放射検出装置
の単位画素を示す概略平面図である。
【図2】図1中のX1−X2線に沿った概略断面図であ
る。
【図3】図1中のX3−X4線に沿った概略断面図であ
る。
【図4】図1中のX5−X6線に沿った概略断面図であ
る。
【図5】図1中のX7−X8線に沿った概略断面図であ
る。
【図6】図1中のX17−X18線に沿った概略断面図
である。
【図7】図1中のX19−X20線に沿った概略断面図
である。
【図8】図1中のY1−Y2線に沿った概略断面図であ
る。
【図9】図1中のY3−Y4線に沿った概略断面図であ
る。
【図10】図1中のA1−A10線に沿った概略断面図
である。
【図11】本発明の第1の実施の形態による放射検出装
置の製造工程を示す概略平面図である。
【図12】図11に引き続く製造工程を示す概略平面図
である。
【図13】図12中のY5−Y6線に沿った概略断面図
である。
【図14】図12に引き続く製造工程を示す概略平面図
である。
【図15】図14中のB1−B2線に沿った概略断面図
である。
【図16】図14に引き続く製造工程を示す概略平面図
である。
【図17】図16に引き続く製造工程を示す概略平面図
である。
【図18】図17に引き続く製造工程を示す概略平面図
である。
【図19】図18に引き続く製造工程を示す概略平面図
である。
【図20】図19中のX17’−X18’線に沿った概
略断面図である。
【図21】図19中のX19’−X20’線に沿った概
略断面図である。
【図22】図19中のY1’−Y2’線に沿った概略断
面図である。
【図23】初期状態の一例のモデルを示す図である。
【図24】初期状態の他の例のモデルを示す図である。
【図25】初期状態の更に他の例のモデルを示す図であ
る。
【図26】初期状態の更に他の例のモデルを示す図であ
る。
【図27】初期状態の更に他の例のモデルを示す図であ
る。
【図28】映像化装置を示す概略構成図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態による放射検出装
置の単位画素を示す概略断面図である。
【図30】本発明の第3の実施の形態による放射検出装
置の単位画素を示す概略平面図である。
【図31】図30中のX47−X48線に沿った概略断
面図である。
【図32】図30中のX49−X50線に沿った概略断
面図である。
【図33】図30中のY33−Y34線に沿った概略断
面図である。
【図34】本発明の第4の実施の形態による放射検出装
置の単位画素を示す概略断面図である。
【図35】本発明の第5の実施の形態による放射検出装
置の単位画素を示す概略平面図である。
【図36】図35中のX51−X52線に沿った概略断
面図である。
【図37】図35中のX53−X54線に沿った概略断
面図である。
【図38】図35中のX55−X56線に沿った概略断
面図である。
【図39】図35中のY51−Y52線に沿った概略断
面図である。
【図40】本発明の第6の実施の形態による放射検出装
置の単位画素を示す概略平面図である。
【図41】図40中のX61−X62線に沿った概略断
面図である。
【図42】図40中のX63−X64線に沿った概略断
面図である。
【図43】図40中のX65−X66線に沿った概略断
面図である。
【図44】図40中のX67−X68線に沿った概略断
面図である。
【図45】図40中のX77−X78線に沿った概略断
面図である。
【図46】図40中のX79−X80線に沿った概略断
面図である。
【図47】図40中のY61−Y62線に沿った概略断
面図である。
【図48】図40中のY63−Y64線に沿った概略断
面図である。
【図49】本発明の第7の実施の形態による放射検出装
置の単位画素を示す概略平面図である。
【図50】図49中のX97−X98線に沿った概略断
面図である。
【図51】図49中のX99−X100線に沿った概略
断面図である。
【図52】本発明の第8の実施の形態による放射検出装
置の単位画素を示す概略平面図である。
【図53】図52中のX101−X102線に沿った概
略断面図である。
【図54】図52中のX103−X104線に沿った概
略断面図である。
【図55】図52中のX105−X106線に沿った概
略断面図である。
【図56】図52中のY101−Y102線に沿った概
略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2,3,6,7 脚部 4,5,8,9 変位部 10 反射部 11 ハーフミラー部 12 赤外線吸収部 13 支持枠 90,91 反射部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体と、該基体に支持された第1の変位
    部と、前記基体に支持され前記第1の変位部と実質的に
    同じ構成を有し前記第1の変位部と実質的に平行に配置
    された第2の変位部と、前記第1の変位部に対して固定
    された第1の光作用要素と、前記第2の変位部に対して
    固定された第2の光作用要素と、放射を吸収し前記第1
    の変位部に熱的に結合されるとともに前記第2の変位部
    に熱的に実質的に結合されない放射吸収部とを備え、 前記第1及び第2の光作用要素は、読み出し光を受光し
    て、受光した読み出し光に、前記第1及び第2の光作用
    要素間の相対的な変位に応じた変化を与えて当該変化し
    た読み出し光を出射させる光作用部を構成し、 前記第1の変位部及び第2の変位部の各々は、異なる膨
    張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも
    2つの層を有し、 前記第1及び第2の変位部における前記少なくとも2つ
    の層の重なり方向から見た場合に、前記第1及び第2の
    変位部は互いに重ならないように配置されたことを特徴
    とする放射検出装置。
  2. 【請求項2】 前記放射吸収部が、入射した放射の一部
    を反射する特性を有し、 nを奇数、前記放射の所望の波長域の中心波長をλ
    して、前記放射吸収部から実質的にnλ/4の間隔を
    あけて配置され前記放射を略々全反射する放射反射部を
    備えたことを特徴とする請求項1記載の放射検出装置。
  3. 【請求項3】 前記放射反射部が前記第1及び第2の光
    作用要素のうちの少なくとも一方で兼用され、前記放射
    吸収部が前記第1及び第2の光作用要素のうちの少なく
    とも一方に対して前記重なり方向に配置されたことを特
    徴とする請求項2記載の放射検出装置。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2の光作用要素のうちの
    少なくとも一方は、支持枠を介して前記第1の変位部又
    は前記第2の変位部に対して固定され、 前記支持枠は、平面部と、当該平面部の周辺部分の少な
    くとも一部に渡って、当該平面部から立ち上がるように
    形成された立ち上がり部とを有することを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかに記載の放射検出装置。
  5. 【請求項5】 前記第1の変位部が第1の脚部を介して
    前記基体に支持され、前記第2の変位部が第2の脚部を
    介して前記基体に支持され、前記第1の脚部の始点部と
    前記第1の脚部の終点部との間の前記第1の脚部の長さ
    方向に沿った距離と、前記第2の脚部の始点部と前記第
    2の脚部の終点部との間の前記第2の脚部の長さ方向に
    沿った距離とが、実質的に等しいことを特徴とする請求
    項1乃至4のいずれかに記載の放射検出装置。
  6. 【請求項6】 前記第1の変位部が第1の脚部を介して
    前記基体に支持され、前記第2の変位部が第2の脚部を
    介して前記基体に支持され、前記第2の脚部における前
    記始点部から前記終点部までの長さが、前記第1の脚部
    における前記始点部から前記終点部までの長さより短い
    か、あるいは実質的にゼロであることを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれかに記載の放射検出装置。
  7. 【請求項7】 前記第1の変位部における前記第1の変
    位部の始点部から前記第1の変位部の終点部までの長さ
    と、前記第2の変位部における前記第2の変位部の始点
    部から前記第2の変位部の終点部までの長さとが、実質
    的に等しいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    に記載の放射検出装置。
  8. 【請求項8】 前記第1及び第2の変位部の幅方向から
    見た場合の、前記第1の変位部の始点部の位置と前記第
    2の変位部の始点部の位置とが、実質的に同一であるこ
    とを特徴とする請求項7記載の放射検出装置。
  9. 【請求項9】 前記第1の変位部が第1の脚部を介して
    前記基体に支持され、前記第2の変位部が第2の脚部を
    介して前記基体に支持され、 前記第1及び第2の脚部と、前記第1及び第2の変位部
    と、前記第1及び第2の光作用要素と、前記放射吸収部
    とが、前記重なり方向にそれぞれ空間を隔てて配置され
    たことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の
    放射検出装置。
  10. 【請求項10】 前記第1及び第2の光作用要素のうち
    の一方は反射部であり、前記第1及び第2の光作用要素
    のうちの他方は、前記反射部と対向するとともに受光し
    た読み出し光の一部のみを反射するハーフミラー部であ
    り、前記反射部及び前記ハーフミラー部は、受光した読
    み出し光を干渉光として反射させることを特徴とする請
    求項1乃至9のいずれかに記載の放射検出装置。
  11. 【請求項11】 前記第1の光作用要素は第1の反射部
    であり、前記第2の光作用要素は第2の反射部であり、
    前記第1及び第2の反射部は、実質的に反射型回折格子
    を構成し、受光した読み出し光を回折光として反射させ
    ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の
    放射検出装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010035578A1 (ja) * 2008-09-25 2010-04-01 株式会社 東芝 赤外線撮像素子及びその製造方法

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