JP3790878B2 - 熱型変位素子及びこれを用いた放射検出装置 - Google Patents

熱型変位素子及びこれを用いた放射検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱型赤外線検出装置等の熱型放射検出装置などにおいて用いられる熱型変位素子、及びこれを用いた放射検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば静電容量型の熱型赤外線検出装置においては、基体及びこの基体に支持され熱に応じて前記基体に対して変位する変位部を備えた熱型変位素子が用いられている(特開平8−193888号公報、米国特許第3,896,309号公報等)。
【0003】
このような従来の静電容量型の熱型赤外線検出装置の一例を図15に示す。図15(a)はその概略平面図、図15(b)は図15(a)中のX37−X38線に沿った赤外線iが入射していない状態を示す概略断面図、図15(c)は図15(a)中のX37−X38線に沿った赤外線iが入射している状態を示す概略断面図である。なお、図15(a)では2つの単位素子(単位画素)のみ、図15(b)(c)では1つの単位素子のみを示している。
【0004】
この赤外線検出装置は、Si基板1と、基板1に支持され熱に応じて基板1に対して変位する変位部3と、変位部3に生じた変位に応じた静電容量の変化を得るために用いられる変位読み出し部材としての電極4とを備えている。変位部3は、その一端部が脚部2を介して基板1に対して固定されることにより、基板1から空間を隔てて浮いている。変位部3は、Al膜11とその下に積層されたSiO2膜12とから構成され、赤外線iを吸収する赤外線吸収部を兼用している。Alの膨張係数は、SiO2の膨張係数より大きい。脚部2は、変位部3の一部を構成しているSiO2膜12がそのまま延びたものとして構成されている。電極4は、変位部3と略同一平面内に位置するように、変位部3の他端部に設けられ、金属膜による薄板として構成されている。基板1上には、電極4と対向するように、金属膜からなる電極6が形成されている。また、基板1には、この電極6の下側にこの電極6と電気的に接続された拡散層7が形成されるとともに、脚部2の先端部分である接地部2aの下側に拡散層8が形成されている。変位部3から脚部2にかけて、電極4と拡散層8との間を電気的に接続する配線層5が部分的に形成されている。
【0005】
この赤外線検出器によれば、上方から赤外線iが入射すると、変位部3が赤外線iを吸収して熱を発生する。この熱により、変位部3が図15(c)に示すように下方に湾曲し、電極4,6間の距離dが変化する。これにより、電極4,6間の静電容量の値が変化し、入射赤外線量を拡散層7,8間から静電容量の変化として検出することができる。なお、図面には示していないが、拡散層7,8はその静電容量を読み出す読み出し回路に接続されている。
【0006】
なお、変位部3、脚部2及び電極4,6を単位素子(画素)として、この画素が図15(a)に示すように基板1上に1次元状又は2次元状に配置されており、前記読み出し回路から赤外線画像信号が得られる。
【0007】
以上の説明からわかるように、基板1、変位部3及び脚部2が熱に応じて変位を発生する熱型変位素子を構成しており、各単位画素においてこの熱型変位素子の変位部3が1つずつ用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の赤外線検出装置では、当然のことながら、変位部3の変位量が大きいほど検出感度が高い。変位部3の変位量は、変位部3を構成する2種の膜11,12の膨張係数、膜厚、ヤング率など膜そのものの持つ物性値の他、変位部3の長さLに依存し、長さLが長いほど変位量は大きくなり、変位部3の幅Wには依存しない。よって、前記従来の赤外線検出装置では、変位部3の構成膜11,12が既に決まっている場合は、変位部3の長さLを長くすることで検出感度を高めることができる。
【0009】
しかしながら、前記従来の赤外線検出装置では、変位部3の変位量を大きくするべく変位部3の長さLを長くすると、図15(a)に示すように、複数の画素を基板1上に配置する場合、その長さ方向(図15中の左右方向)の画素数が低下してしまい、その長さ方向の空間分解能が低下して、得られる画像の画質が劣化してしまう。換言すれば、前記従来の赤外線検出器において用いられている熱型変位素子では、複数の変位部3を基板1上に配置する場合には、大きな変位量を得ながらその配置を理想的な配置に近づけることはできなかった。
【0010】
また、前記従来の赤外線検出部では、変位読み出し部材としての電極4が、変位部3と略同一平面内に位置するように、変位部3の端部に設けられていたため、図15に示すように、複数の画素を基板1上に配置する場合、電極4の分だけ画素全体の図15中の左右方向の長さが長くなってしまい、その方向の空間分解能が低下して、得られる画像の画質が劣化してしまう。すなわち、変位部3及び電極(変位読み出し部材)4の複数の対を基板上に配置する場合であっても、これらの配置を理想的な配置に近づけることができなかった。
【0011】
以上説明した事情は、容量型の熱型赤外線検出装置及びこれを用いた熱型変位素子に限らず、他の熱型変位素子やこれを用いた放射検出装置についても同様である。
【0012】
本発明は、前述したような事情に鑑みてなされたもので、複数の変位部を基体上に配置する場合であっても、大きな変位量を得ることができるとともに、その配置を理想的な配置に近づけることができる熱型変位素子及びこれを用いた放射検出装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、変位部及び変位読み出し部材の複数の対を基体上に配置する場合であっても、これらの配置を理想的な配置に近づけることができる放射検出装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による熱型変位素子は、基体と、該基体に支持され熱に応じて前記基体に対して変位する変位部とを備えた熱型変位素子において、前記変位部が複数の個別変位部を有するものである。そして、前記複数の個別変位部の各々は、直線状に延びるとともに、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有する。前記複数の個別変位部が互いに平行に配置される。前記複数の個別変位部が全体として機械的に接続された1つの接続体をなすように、前記複数の個別変位部の各端部がそれぞれ、前記基体に対して固定されるかあるいは他の個別変位部の一端部に接続部を介して機械的に接続される。前記複数の個別変位部のうちの少なくとも1つの個別変位部の一端部が前記基体に対して固定される。前記複数の個別変位部のうちの少なくとも1つの個別変位部の両端部のいずれもが前記基体に対しては固定されない。
【0015】
この第1の態様によれば、変位部が接続部を介して機械的に接続された複数の個別変位部で構成されているので、例えば、各個別変位部の長さの合計の長さを持った単一の個別変位部で変位部を構成した場合(前述した従来の熱型変位素子において長さLを前記合計の長さとしたような場合)と略同じ変位量を得ることができる。このように大きな変位量を得ることができるにも関わらず、前述した従来の熱型変位素子のように変位部がいわば単一の個別変位部で構成されるのではなく、変位部が接続部を介して接続された複数の個別変位部で構成されているので、各個別変位部の配置の自由度が高まる。このため、複数の変位部を基体上に配置する場合であっても、その配置を、例えば当該複数の変位部の分布密度を高めることができるなどの理想的な配置に近づけることができる。
【0016】
このように、前記第1の態様によれば、複数の変位部を基体上に配置する場合であっても、大きな変位量を得ることができるとともに、その配置を理想的な配置に近づけることができる。
【0017】
本発明の第2の態様による熱型変位素子は、前記第1の態様による熱型変位素子において、前記複数の個別変位部のうちのある個別変位部から前記基体に対して機械的に連続するルートのうち、当該ルートに含まれる個別変位部の数が最も少なくなるルートにおいて、当該個別変位部が前記基体の側から数えてN番目の個別変位部である場合に、当該個別変位部を第N段の個別変位部であると定義し、第N段の個別変位部を第N+1段の個別変位部に対する前段の個別変位部、第N+1段の個別変位部を第N段の個別変位部に対する次段の個別変位部であると定義したとき、(1)前記各接続部において、同じ接続部を介して互いに接続された前段の個別変位部の端部及び次段の個別変位部の端部は、それぞれ当該前段及び次段の個別変位部の互いに同じ側の端部であり、(2)前記各段の個別変位部の前記少なくとも2つの層の物質の膨張係数の大小関係と、その次段の個別変位部の前記少なくとも2つの層の物質の膨張係数の大小関係とが、互いに逆であるものである。なお、前段及び次段の個別変位部の互いに同じ側の端部とは、前段及び次段の個別変位部が直線状に延びている方向が例えば左右方向であるとすれば、前段の個別変位部の右側端部と次段の個別変位部の右側端部、及び、前段の個別変位部の左側端部と次段の個別変位部の左側端部、のうちのいずれかであることを意味するものである。
【0018】
この第2の態様では、互いに平行に配置された前段の個別変位部と次段の個別変位部とが、当該前段及び次段の個別変位部の互いに同じ側の端部で接続部を介して機械的に接続されているので、前段の個別変位部と次段の個別変位部とが接続部において互いに折り返されたように機械的に連続することとなる。したがって、変位部の長さ(個別変位部が直線状に延びている方向の長さ)は、第1段から最終段の各個別変位部の長さの合計よりかなり短くすることができる。したがって、複数の変位部を基体上に配置する場合であっても、その配置を、例えば当該複数の変位部の分布密度を高めることができるなどの理想的な配置に一層近づけることができる。そして、前記第2の態様では、各段の個別変位部の前記少なくとも2つの層の物質の膨張係数の大小関係と、その次段の個別変位部の前記少なくとも2つの層の物質の膨張係数の大小関係とが、互いに逆となっているので、各個別変位部に生ずる個々の変位量の合計の変位量が最終段の個別変位部に生ずることとなる。このため、第1段から最終段までの各個別変位部の長さの合計の長さを持った単一の個別変位部で変位部を構成した場合(前述した従来の熱型変位素子において長さLを前記合計の長さとしたような場合)と略同じ変位量を得ることができる。
【0019】
このように、前記第2の態様によれば、複数の変位部を基体上に配置する場合であっても、大きな変位量を得ることができるとともに、その配置を一層理想的な配置に近づけることができる。
【0020】
本発明の第3の態様による熱型変位素子は、前記第1又は第2の態様による熱型変位素子において、前記複数の個別変位部のうちのある個別変位部から前記基体に対して機械的に連続するルートのうち、当該ルートに含まれる個別変位部の数が最も少なくなるルートにおいて、当該個別変位部が前記基体の側から数えてN番目の個別変位部である場合に、当該個別変位部を第N段の個別変位部であると定義したとき、(1)第1段の個別変位部の数が2つであるとともに最終段の個別変位部の数が1つ又は2つであり、(2)前記2つの第1段の個別変位部のうちの一方から前記2つの最終段の個別変位部のうちの一方又は前記1つの最終段の個別変位部にかけての構造と、前記2つの第1段の個別変位部のうちの他方から前記2つの最終段の個別変位部のうちの他方又は前記1つの最終段の個別変位部にかけての構造とが、対称的であるものである。
【0021】
前記第1及び第2の態様において、第1段の個別変位部の一端部が基体に対する固定端となるとともに最終段の個別変位部の一端部が自由端となるが、前記第3のように、第1段の個別変位部が2つあって、この両者から最終段の個別変位部にかけての構造が対称的であれば、変位部が基体に対して安定して支持されることになる。このため、前記第3の態様によれば、機械的に強度の高い構造を実現することができる。
【0022】
本発明の第4の態様による熱型変位素子は、前記第1又は第2の態様による熱型変位素子において、前記複数の個別変位部のうちのある個別変位部から前記基体に対して機械的に連続するルートのうち、当該ルートに含まれる個別変位部の数が最も少なくなるルートにおいて、当該個別変位部が前記基体の側から数えてN番目の個別変位部である場合に、当該個別変位部を第N段の個別変位部であると定義したとき、(1)第1段の個別変位部の数が1つであるとともに最終段の個別変位部の数が2つであり、(2)前記第1段の個別変位部から前記2つの最終段の個別変位部のうちの一方にかけての構造と、前記第1段の個別変位部から前記2つの最終段の個別変位部のうちの他方にかけての構造とが、対称的であるものである。
【0023】
前記第1乃至第4のいずれかの態様による熱型変位素子において、前記接続体の重心が、前記基体による前記接続体の支持の中心位置の付近にあってもよい。この場合、接続体すなわち変位部のバランスが良くなり、機械的に強度の高い構造を実現することができる。
【0024】
本発明の第5の態様による放射検出装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様による熱型変位素子と、前記最終段の個別変位部に対して固定された変位読み出し部材であって、前記最終段の個別変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材とを備え、前記複数の個別変位部が放射を受けて熱を発生するものである。なお、前記放射は、赤外線のみならず、X線、紫外線等の不可視光や他の種々の放射であってもよい。
【0025】
この第5の態様によれば、前記第1乃至第4の態様による熱型変位素子が用いられているので、複数の画素を配置する場合であっても、放射の検出感度を高めることができるとともに、空間分解能が低下するようなことがなく、得られる画像の画質が劣化してしまうようなことがない。
【0026】
なお、前記第1乃至第4の態様による熱型変位素子は、必ずしも放射検出装置において用いる必要はなく、例えば、用途によっては単なる温度センサ又は温度分布像を検出するセンサ等としても用いることができる。
【0027】
前記第5の態様による放射検出装置において、前記変位読み出し部材を、前記変位部に対して上方又は下方に空間を隔てて配置してもよい。この場合、変位部と変位読み出し部材とが上下に重なり合うため、それら全体の占有面積を小さくすることができ、変位部及び変位読み出し部材の対を基体上に複数配置する場合であっても、これらの配置を理想的な配置に近づけることができる。
【0028】
本発明の第6の態様による放射検出装置は、基体と、該基体に支持され、放射を吸収した時に生ずる熱に応じて前記基体に対して変位する変位部と、該変位部に対して固定された変位読み出し部材であって、前記変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材とを備えた放射検出装置において、前記変位読み出し部材が、前記変位部に対して上方又は下方に空間を隔てて配置されたものである。
【0029】
この第6の態様によれば、変位読み出し部材が変位部に対して上方又は下方に空間を隔てて配置されているので、変位部と変位読み出し部材とが上下に重なり合うため、それら全体の占有面積を小さくすることができ、変位部及び変位読み出し部材の対を基体上に複数配置する場合であっても、これらの配置を理想的な配置に近づけることができる。
【0030】
前記第6の態様による放射検出装置において、前記変位読み出し部材を含む面の付近に位置する部分の重心、前記変位部による支持の中心であって前記変位読み出し部材を含む面の付近に位置する前記部分の支持の中心、及び、前記変位部の重心、のうちの少なくとも1つが、前記基体による前記変位部の支持の中心位置の付近にあってもよい。この場合、基体により支持された変位部及び変位読み出し部材全体のバランスが良くなり、機械的な強度の高い構造を実現することができる。
【0031】
前記第5又は第6の態様による放射検出装置において、前記変位読み出し部材が、受光した読み出し光を反射する反射板であってもよいし、電極であってもよい。前者は、前記第5及び第6の態様を、入射放射量を読み出し光の変化として読み出すいわば光読み出し型の放射検出装置に適用した例である。後者は、前記第5及び第6の態様を、入射放射量を静電容量の変化として読み出す静電容量型の放射検出装置等に適用した例である。もっとも、前記第5及び第6の態様は、これらのタイプの放射検出装置に限定されるものではない。
【0032】
前記第5又は第6の態様による放射検出装置において、前記変位部及び前記変位読み出し部材を1個の素子として当該素子を複数個設け、当該素子を1次元状又は2次元状に配列してもよい。この場合、放射の像を映像化することが可能となるが、前記第5及び第6の態様では、変位部及び変位読み出し部材の対を1個のみ有していてもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下の説明では、放射を赤外線とし読み出し光を可視光とした例について説明するが、本発明では、放射を赤外線以外のX線や紫外線やその他の種々の放射としてもよいし、また、読み出し光を可視光以外の他の光としてもよい。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による光読み出し型の放射検出装置を模式的に示す図であり、図1(a)はその単位画素(単位素子)を示す概略平面図、図1(b)は図1(a)中のX1−X2線に沿った概略断面図、図1(c)は図1(a)中のX3−X4線に沿った概略断面図である。なお、以下の説明において、左右は図1中の左右をいうものとする。
【0035】
この放射検出装置は、基体としてのSi基板21と、基板21に支持され熱に応じて基板21に対して変位する変位部22とを備えている。変位部22は、2つの個別変位部23,24と、これらの右側端部間を機械的に接続する接続部25とから構成されている。変位部22は、個別変位部23の左側端部が脚部26を介して基板21に対して固定されることにより、基板21から空間を隔てて浮いている。このような脚部26を用いずに、例えば、基板21に穴を形成し、該穴上に突出するように変位部22を形成し、基板21における当該穴の縁部分に脚部26の左側端部を固定するようにしてもよい(この点は、後述する各実施の形態についても同様である。)。
【0036】
各個別変位部23,24は、左右方向に直線状に延びており、互いに平行に配置されている。個別変位部23は、厚さ3000オングストロームのSiO2膜31と、その下に積層された厚さ3000オングストロームのAl膜32とから構成されている。個別変位部24は、厚さ3000オングストロームのAl膜33と、その下に積層された厚さ3000オングストロームのSiO2膜34とから構成されている。Alの膨張係数はSiO2の膨張係数より大きく、個別変位部23の2つの膜31,32の膨張係数の大小関係(上側の膜31に対する下側の膜32の膨張係数の大小関係)と、個別変位部24の2つの膜33,34の膨張係数の大小関係(上側の膜33に対する下側の膜34の膨張係数の大小関係)とは、互いに逆となっている。
【0037】
接続部25は、個別変位部23の右側端部の延長上の位置から個別変位部24の右側端部の延長上の位置にかけて形成された厚さ5000オングストロームのSiON膜35と、個別変位部23を構成するSiO2膜31がそのまま右方向に延びてSiON膜35上に重なった部分と、個別変位部24を構成するSiO2膜34がそのまま右方向に延びてSiON膜35上に重なった部分とから構成されている。
【0038】
脚部26は、厚さ5000オングストロームのSiON膜37と、個別変位部23を構成するSiO2膜31がそのまま左方向に延びてSiON膜37上に重なった部分とから構成されている。
【0039】
以上の説明からわかるように、2つの個別変位部23,24が全体として機械的に接続された1つの接続体をなすように、個別変位部23,24の各端部がそれぞれ、基板21に対して固定されるかあるいは他の個別変位部の一端部に接続部25を介して機械的に接続されている。そして、個別変位部23の左側端部が基板21に対して固定され、個別変位部24の両端部のいずれもが基板21に対しては固定されていない。
【0040】
ここで、複数の個別変位部のうちのある個別変位部から基板21に対して機械的に連続するルートのうち、当該ルートに含まれる個別変位部の数が最も少なくなるルートにおいて、当該個別変位部が前記基板21の側から数えてN番目の個別変位部である場合に、当該個別変位部を第N段の個別変位部であると定義し、第N段の個別変位部を第N+1段の個別変位部に対する前段の個別変位部、第N+1段の個別変位部を第N段の個別変位部に対する次段の個別変位部であると定義する。また、Nが最大値をとる個別変位部を最終段の個別変位部であると定義する。この定義は、後述する各実施の形態についても、同様に適用される。
【0041】
この定義に従うと、本実施の形態では、個別変位部23から基板21に対して機械的に連続するルートは、個別変位部23→脚部26→基板21のルートのみである。個別変位部23は、このルートにおいて基板21の側から数えて1番目の個別変位部である。よって、個別変位部23は第1段の個別変位部である。同様にして、よって、個別変位部24は、第2段の個別変位部である。したがって、個別変位部23は個別変位部24に対する前段の個別変位部であり、個別変位部24は個別変位部23に対する次段の個別変位部である。そして、第3段以降の個別変位部は存在しないので、個別変位部24が最終段の個別変位部である。
【0042】
前述した説明からわかるように、同じ接続部25を介して互いに接続された前段の個別変位部23の端部及び次段の個別変位部24の端部は、当該前段及び次段の個別変位部23,24の互いに同じ側の端部である個別変位部23,24の右側端部となっている。これにより、個別変位部23,24は接続部25において折り返されたような形態をなすことになる。
【0043】
前記個別変位部23,24が赤外線iを吸収する赤外線吸収部を兼用している。必ずしも膜31,32が赤外線吸収部を兼用する必要はなく、例えば、膜32の下面に金黒等の赤外線吸収膜を形成しておいてもよい。同様に、膜34の下面に赤外線吸収膜を形成しておいてもよい。また、個別変位部24の上側のAl膜33が、変位部22に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材としての、受光した読み出し光jを反射する反射板を兼用している。読み出し光jは上方から照射されるが、読み出し光jは、変位部22の上方に設けた図示しないマスクによって、個別変位部24のAl膜33のみを照射するようにマスクされる。
【0044】
また、図面には示していないが、変位部22及び脚部26を単位素子(画素)として、この画素が基板21上に1次元状又は2次元状に配置されている。
【0045】
以上の説明からわかるように、基板21、変位部22及び脚部26が熱に応じて変位を発生する熱型変位素子を構成しており、各単位画素においてこの熱型変位素子の変位部22が1つずつ用いられている。
【0046】
なお、本実施の形態による放射検出装置は、膜の形成及びパターニング、犠牲層の形成及び除去などの半導体製造技術を利用して、後述する第2の実施の形態による放射検出装置と同様の製造方法により、製造することができる。
【0047】
本実施の形態による放射検出装置によれば、下方から赤外線iが入射すると、個別変位部23,24が赤外線iを吸収して熱を発生する。この熱により、個別変位部23の右側端部が図1(b)中の矢印100で示すようにその左側端部に対して相対的に上方に変位するように、個別変位部23が撓み、また、個別変位部24の左側端部が図1(c)中の矢印101で示すようにその右側端部に対して相対的に下方に変位するように、個別変位部24が撓む。この時、個別変位部24の左側端部が初期状態に対して変位した角度変化量(角度に関する変位量)は、ちょうど、個別変位部23の長さL1(図1(b))と個別変位部24の長さL2(図1(c))の合計の長さを持った単一の個別変位部で変位部22を構成した場合(前述した図15に示す従来の検出装置において長さLをL1+L2の長さにしたような場合)に得られる角度変化量に等しくなる。
【0048】
このように大きな変位量を得ることができ、ひいては検出感度を高めることができるにも関わらず、前段の変位部23と次段の変位部24とが接続部25において互いに折り返されたように機械的に連続しているので、変位部22の左右方向の長さがL1+L2の長さに比べてかなり短くなる。したがって、複数の変位部22を基板21上に配置する場合であっても、複数の変位部22の左右方向の分布密度を高めることができ、左右方向の空間分解能が向上し、得られる画像の画質が劣化してしまうようなことがない。また、変位部22の左右方向の長さが短くなるので、変位部22の重心位置は、図1(a)中の直線m1上の点P1付近にあり、前記従来の検出装置のように単一の個別変位部で変位部22を構成した場合と比べて、脚部26に近い位置にあることから、バランスが良く、安定している。このため、脚部26に加わる応力が低下し、機械的に強度の高い構造が実現される。
【0049】
なお、接続部25を構成している単層膜35は、低ストレスの膜(内部応力の小さい膜)で構成することが好ましい。このようにすると、変位部22の変位に関係なく、変位部22の形状は捻れるような変形を起こしにくくなるからである。接続部25が2層以上の複合膜で構成されている場合には、複合膜全体で見たときの応力が小さければよい。この点については、後述する各実施の形態についても同様である。
【0050】
また、本実施の形態では、図1(a)に示すように、各個別変位部23,24について、当該個別変位部を構成する全ての膜の幅(図1(a)中の上下方向の長さ)が下側の膜ほど若干広くなっており、下側の膜における両側辺(図1(a)中の左右方向に延びる辺)にそれぞれ沿った上面部分が上側の膜で覆われることなく露出している。すなわち、個別変位部23を構成する下側の膜32の幅が上の膜31の幅より若干広くなっており、下側の膜32における両側辺にそれぞれ沿った上面部分が上側の膜31で覆われることなく露出している。個別変位部24についても同様である。したがって、本実施の形態では、例えば製造時に上側の膜をフォトエッチした際、上側の膜31,33が下側の膜32,34の側壁に付着したままでき上がってしまうようなことがなくなる。上側の膜31,33が下側の膜32,34の側壁(図1(a)中の左右に延びる辺の箇所の側壁)に付着したままであれば、その側壁に付着した部分が補強材と同様の作用をなして機械的強度を不必要に高め、個別変位部23,24の変位が抑制されてしまうことになる。以上の点については、後述する各実施の形態についても同様である。
【0051】
ここで、本実施の形態による放射検出装置を用いた映像化装置の一例について、図2を参照して説明する。図2は、この映像化装置を示す概略構成図である。
【0052】
本例による映像化装置は、図1に示す放射検出装置(図2においては符号40で示す。)と、放射検出装置40の各画素の前記変位部22の変位に応じた光学像を形成する読み出し光学系と、前記光学像を撮像する撮像手段としての2次元CCD41と、赤外線用の結像レンズ43と、を備えている。本例では、前記読み出し光学系は、光源としてのランプ44と、円形の開口を有する絞り45と、コリメートレンズ46と、偏光板47と、偏光ビームスプリッタ48と、1/4波長板49と、プリズム50と、結像光学系としての結像レンズ51とから構成されている。
【0053】
ランプ44からの出射した読み出し光は、絞り45により周辺の光がカットされた後、コリメートレンズ46によって平行光束にされる。コリメートレンズ46により平行光束にされた読み出し光は、偏光板47によって直線偏光光とされ、更に偏光ビームスプリッタ48により反射され、1/4波長板49を通過して円偏光光となり、放射検出装置40の各画素の反射板としての個別変位部24の膜33が分布している領域全体を、上方から基板21の面と垂直に照射する。
【0054】
一方、結像レンズ43によって、熱源42からの赤外線が集光され、放射検出装置40の個別変位部23,24が分布している面上に、観察対象としての熱源42の赤外線画像が結像される。この入射赤外線は、赤外線吸収部としての個別変位部23,24により吸収されて熱に変換される。この熱に応じて変位部22が前述したように変位し、個別変位部24(したがって反射板としての個別変位部24の膜33)が下方に湾曲して傾斜する。このため、前述したように個別変位部24の膜33に入射した平行光束の読み出し光は、膜33によって、前記熱に応じた方向に反射されることになる。
【0055】
各画素の個別変位部24の膜33により反射された読み出し光は、再び1/4波長板49を通過して、最初に1/4波長板49を通過する前の直線偏光光とは偏光方向が90度異なる直線偏光光に変換される。この直線偏光光となった読み出し光の反射光は、偏光ビームスプリッタ48を透過してプリズム50の面50bからプリズム50内に入射し、更に面50aにP偏光光として入射する。
【0056】
プリズム50の臨界角に関する特性を考慮して、プリズム50は、放射検出装置40の各画素の個別変位部24の膜33により反射され偏光ビームスプリッタ48を透過したP偏光光の読み出し光が、面50bからプリズム50内に入射され、面50aに対して面50aの臨界角φc付近の入射角であって臨界角φc以下の入射角にて入射されるように、かつ、当該入射角が前記各画素の膜33による読み出し光の反射方向に応じて変化するように、配置されている。図2中、60は入射赤外線の量が少ない場合の所定の画素の個別変位部24の膜33で反射された読み出し光の光路を示し、61は入射赤外線の量が多い場合の所定の画素の個別変位部24の膜33で反射された読み出し光の光路を示している。
【0057】
各画素の個別変位部24の膜33により反射されプリズム50の面50aを透過した読み出し光の光量、及び、膜33により反射され更にプリズム50の面50aにて反射されて面50cから出射した読み出し光の光量は、各画素の個別変位部23,24が受ける赤外線の量に応じて変化することとなる。
【0058】
プリズム50の面50aの透過側に、前記結像レンズ51及びCCD41が配置されている。結像レンズ51は、プリズム50の面50aを透過した読み出し光による前記各画素の反射板としての個別変位部24の膜33の像をCCD41の受光面上に結像させる。すなわち、各画素の反射板としての個別変位部24の膜33が分布している面とCCD41の受光面とは、結像レンズ51により共役な関係となっている。したがって、CCD41の受光面上には、入射赤外線像に応じた読み出し光による光学像(本例では、可視画像)が形成され、この光学像がCCD41により撮像されることとなる。前記光路60を進行する読み出し光と前記光路61を進行する読み出し光とでは結像レンズ41への入射角度が異なるが、結像レンズ51により前述した共役関係が保たれているので、光路60,61を進行する読み出し光は、CCD41の受光面の同一位置に到達してCCD41の同一画素により受光される。なお、CCD41を用いずに、前記光学像を接眼レンズを介するなどして肉眼で観察してもよい。なお、図2中の光路62は、反射板としての個別変位部24の膜33以外の部分に入射した読み出し光(ノイズ光)の大部分の光の光路を示している。また、本例では、プリズム50は、シャフト52を含む調整機構によって、シャフト52の中心軸回りに回動自在でかつ所望の回動位置に固定自在に支持されている。
【0059】
以上は映像化装置の例であったが、図2において、放射検出装置40として、単一の画素(素子)のみを有する放射検出装置を用い、2次元CCD41に代えて、単一の受光部のみを有する光検出器を用いれば、赤外線のいわゆるポイントセンサとしての検出装置を構成することができる。この点は、後述する各実施の形態についても同様である。
【0060】
なお、後述する第2、第3、第5及び第7の実施の形態による放射検出装置も、図2に示す映像化装置において放射検出装置40として用いることができる。
【0061】
(第2の実施の形態)
図3は本発明の第2の実施の形態による光読み出し型の放射検出装置を模式的に示す図であり、図3(a)はその単位画素(単位素子)を示す概略平面図、図3(b)は図3(a)中のX5−X6線に沿った概略断面図、図3(c)は図3(a)中のX7−X8線に沿った概略断面図、図3(d)は図3(a)中のX9−X10線に沿った概略断面図である。図面には示していないが、図3(a)中のX11−X12線に沿った概略断面図は図3(d)と同様となり、図3(a)中のX13−X14線に沿った概略断面図は図3(c)と同様となり、図3(a)中のX15−X16線に沿った概略断面図は図3(b)と同様となる。なお、以下の説明において、左右は図3中の左右をいうものとする。
【0062】
この放射検出装置は、基体としてのSi基板71と、基板71に支持され熱に応じて基板71に対して変位する変位部72とを備えている。変位部72は、6つの個別変位部73〜78と、これらの所定の端部間を機械的に接続する5つの接続部79〜83とから構成されている。変位部72は、個別変位部73の左側端部が脚部84を介して、個別変位部78の左側端部が脚部85を介してそれぞれ基板71に対して固定されることにより、基板71から空間を隔てて浮いている。個別変位部73の右側端部と個別変位部74の右側端部とが接続部79により、個別変位部74の左側端部と個別変位部75の左側端部とが接続部80により、個別変位部75の右側端部と個別変位部76の右側端部とが接続部81により、個別変位部76の左側端部と個別変位部77の左側端部とが接続部82により、個別変位部77の右側端部と個別変位部78の右側端部とが接続部83により、それぞれ機械的に接続されている。
【0063】
各個別変位部73〜78は、左右方向に直線状に延びており、互いに平行に配置されている。各個別変位部73,75,76,78は、Al膜と、その下に積層されたSiO2膜とから構成されている。各個別変位部74,77は、逆に、SiO2膜と、その下に積層されたAl膜とから構成されている。図3中、110〜115はそれぞれ個別変位部73〜78を構成するAl膜を示し、120〜125はそれぞれ個別変位部73〜78を構成するSiO2膜を示す。Alの膨張係数はSiO2の膨張係数より大きく、各個別変位部73,75,76,78の各2つの膜の膨張係数の大小関係と、各個別変位部74,77の各2つの膜の膨張係数の大小関係とは、互いに逆となっている。
【0064】
接続部79は、個別変位部73の右側端部の延長上の位置から個別変位部74の右側端部の延長上の位置にかけて形成されたSiON膜130と、個別変位部73を構成するSiO2膜120がそのまま右方向に延びてSiON膜130上に重なった部分と、個別変位部74を構成するSiO2膜121がそのまま右方向に延びてSiON膜130上に重なった部分とから構成されている。接続部80〜83も同様に構成されている。図3中、131〜134は、それぞれ接続部80〜83を構成するSiON膜を示し、前記SiON膜130に対応するものである。
【0065】
脚部84は、SiON膜135と、個別変位部73を構成するSiO2膜120がそのまま左方向に延びてSiON膜135上に重なった部分とから構成されている。同様に、脚部85は、SiON膜136と、個別変位部78を構成するSiO2膜125がそのまま左方向に延びてSiON膜136上に重なった部分とから構成されている。
【0066】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、6つの個別変位部73〜78が全体として機械的に接続された1つの接続体をなすように、個別変位部73〜78の各端部がそれぞれ、基板71に対して固定されるかあるいは他の個別変位部の一端部に接続部79〜83を介して機械的に接続されている。そして、個別変位部73,78の左側端部が基板71に対してそれぞれ固定され、個別変位部74〜77の両端部のいずれもが基板71に対しては固定されていない。
【0067】
前述した定義に従うと、個別変位部74から基板71に対して機械的に連続するルートは、個別変位部74→接続部79→個別変位部73→脚部84→基板71の第1のルートと、個別変位部74→接続部80→個別変位部75→接続部81→個別変位部76→接続部82→個別変位部77→接続部83→個別変位部78→脚部85→基板71の第2のルートである。この2つのルートのうち、当該ルートに含まれる個別変位部の数が最も少なくなるルートは、前記第1のルートである。そして、個別変位部74は、この第1のルートにおいて基板71の側から数えて2番目の個別変位部である。よって、個別変位部74は、第2段の個別変位部である。同様にして、個別変位部73は第1段、個別変位部75は第3段、個別変位部76は第3段、個別変位部77は第2段、個別変位部78は第1段の個別変位部であり、個別変位部75,76が最終段の個別変位部である。
【0068】
前述した説明からわかるように、本実施の形態では、各接続部79〜83において、同じ接続部を介して互いに接続された前段の個別変位部の端部及び次段の個別変位部の端部は、それぞれ当該前段及び次段の個別変位部の互いに同じ側の端部となっている。例えば、同じ接続部79を介して互いに接続された第1段(前段)の個別変位部73の端部及び第2段(次段)の個別変位部74は、それぞれ当該個別変位部73,74の互いに同じ側の端部である右側端部となっている。これにより、個別変位部73,74は接続部79において折り返されたような形態をなすことになる。
【0069】
本実施の形態では、第1段の個別変位部73,78の数が2つであり、最終段の個別変位部75,76の数が2つである。一方の第1段の個別変位部73から一方の最終段の個別変位部75にかけての構造と、他方の第1段の個別変位部78から他方の最終段の個別変位部76にかけての構造とが対称的になっている。
【0070】
個別変位部73〜78が赤外線iを吸収する赤外線吸収部を兼用し、個別変位部75,76の上側のAl膜112,113が、変位部72に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材としての、受光した読み出し光jを反射する反射板を兼用している。読み出し光jは、上方から照射されるが、変位部72の上方に設けた図示しないマスクによって、個別変位部75,76のAl膜112,113のみを照射するようにマスクされる。
【0071】
また、図面には示していないが、変位部72及び脚部84,85を単位素子(画素)として、この画素が基板71上に1次元状又は2次元状に配置されている。
【0072】
以上の説明からわかるように、基板71、変位部72及び脚部84,85が熱に応じて変位を発生する熱型変位素子を構成している。
【0073】
次に、本実施の形態による放射検出装置の製造方法の一例について、図4及び図5を参照して説明する。図4及び図5は、この製造工程を模式的に示す概略平面図である。これらの図では、1画素分の領域のみを示している。
【0074】
まず、図4(a)に示すように、Si基板71上の全面に犠牲層となるレジスト(図示せず)を塗布し、脚部84,85が基板71と接触する部分のみに開口150をフォトリソグラフィーにより形成する。次に、接続部79〜83及び脚部84,85を構成する膜130〜136となるべき低ストレスSiON膜を厚さ5000オングストロームだけP−CVD法によりデポした後、フォトエッチ法によりパターニングし、膜130〜136の形状とする(図4(a))。次に、個別変位部73,75,76,78の下側の膜120,122,123,125となるべきSiO2膜を3000オングストロームだけP−CVD法によりデポした後、フォトエッチ法によりパターニングし、膜120,122,123,125の形状とする(図4(b))。
【0075】
次に、個別変位部73,75,76,78の上側の膜110,112,113,115及び個別変位部74,77の下側の膜111,114となるべき、Al膜を厚さ3000オングストロームだけ蒸着法によりデポした後、フォトエッチ法により110〜115の形状とする(図5(a))。このように、本例では、個別変位部73,75,76,78の上側の膜110,112,113,115の形成と個別変位部74,77の下側の膜111,114の形成とを、一工程で行っているので、製造工程が簡略化され、好ましい。
【0076】
次に、個別変位部74,76の上側の膜121,124となるべきSiO2膜を厚さ3000オングストロームだけデポし、フォトエッチ法によりパターニングし、膜121,124の形状とする(図5(b))。
【0077】
最後に、図5(b)に示す状態の基板を、ダイシングなどによりチップ毎に分割し、犠牲層である前記レジストをアッシング法などにより除去する。これにより、図3に示す放射検出装置が完成する。
【0078】
なお、この製造方法と同様な方法で、後述する各実施の形態による放射検出装置を製造することができる。
【0079】
本実施の形態による放射検出装置によっても、前記第1の実施の形態と同様の動作により、同様の利点が得られる。そして、本実施の形態によれば、2つの個別変位部73,78の左側端部がそれぞれ脚部84,85を介して基板71に対して固定され、これにより変位部72が2つの支持点で支持されているので、機械的に強度の高い構造が実現されている。さらに、本実施の形態では、変位部(接続体)72の重心位置は、図3(a)中の直線m2上の点P2付近にあるとともに、基板71による変位部72の支持の中心位置(本実施の形態では脚部84,85を結ぶ線分の中点)も点P2付近にある。よって、本実施の形態によれば、極めてバランスが良く、機械的強度がより一層高い構造が実現されている。
【0080】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の第3の実施の形態による光読み出し型の放射検出装置を模式的に示す概略平面図である。図6では、単位画素(単位素子)の3つ分を示している。図面には示していないが、図6中のX17−X18線に沿った単位画素分の概略断面図及び図6中のX25−X26線に沿った単位画素分の概略断面図は図3(b)と同様となり、図6中のX19−X20線に沿った単位画素分の概略断面図及び図6中のX23−X24線に沿った単位画素分の概略断面図は図3(d)と同様となり、図6中のX21−X22線に沿った単位画素分の概略断面図は図1(c)の左右反転したものと同様となる。なお、以下の説明において、左右は図6中の左右をいうものとする。
【0081】
図6において、155は単位画素領域を示し、ハッチングを付した部分が単位画素である。1つの単位画素は3つの単位画素領域に跨り設けられている。
【0082】
この放射検出装置は、基体としてのSi基板161と、基板161に支持され熱に応じて基板161に対して変位する変位部162とを備えている。変位部162は、5つの個別変位部163〜167と、これらの所定の端部間を機械的に接続する3つの接続部169〜171とから構成されている。変位部162は、個別変位部163の左側端部が脚部172を介して、個別変位部167の左側端部が脚部173を介してそれぞれ基板161に対して固定されることにより、基板161から空間を隔てて浮いている。個別変位部163の右側端部と個別変位部164の左側端部とが接続部169により、個別変位部164の右側端部と個別変位部166の右側端部と個別変位部165の左側端部とが接続部170により、個別変位部166の左側端部と個別変位部167の右側端部とが接続部171により、それぞれ機械的に接続されている。
【0083】
各個別変位部163〜167は、左右方向に直線状に延びており、互いに平行に配置されている。各個別変位部163〜167の構成は、前述した第1及び第2の実施の形態の個別変位部と同様であるが、全ての個別変位部163〜167は、Al膜と、その下に積層されたSiO2膜とから構成されている。すなわち、各個別変位部163〜167において、2つの膜の膨張係数の大小関係は同じとなっている。接続部169〜171及び脚部172,173の構成も、前述した第1及び第2の実施の形態の接続部及び脚部とそれぞれ同様である。
【0084】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、5つの個別変位部163〜167が全体として機械的に接続された1つの接続体をなすように、個別変位部163〜167の各端部がそれぞれ、基板161に対して固定されるかあるいは他の個別変位部の一端部に接続部169〜171を介して機械的に接続されている。そして、個別変位部163,167の左側端部が基板161に対してそれぞれ固定され、個別変位部164〜166の両端部のいずれもが基板161に対しては固定されていない。
【0085】
前述した定義に従うと、個別変位部163は第1段、個別変位部164は第2段、個別変位部165は第3段、個別変位部166は第2段、個別変位部167は第1段の個別変位部であり、個別変位部165が最終段の個別変位部である。
【0086】
個別変位部163〜167が赤外線を吸収する赤外線吸収部を兼用し、個別変位部165の上側のAl膜が、変位部162に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材としての、受光した読み出し光を反射する反射板を兼用している。読み出し光jは上方から照射されるが、読み出し光jは、変位部162の上方に設けた図示しないマスクによって、個別変位部165のAl膜のみを照射するようにマスクされる。
【0087】
また、図6に示すように、変位部162及び脚部172,173を単位素子(画素)として、この画素が基板161上に1次元状又は2次元状に配置されている。
【0088】
以上の説明からわかるように、基板161、変位部162及び脚部172,173が熱に応じて変位を発生する熱型変位素子を構成している。
【0089】
本実施の形態によれば、個別変位部165に生ずる角度変化量は、個別変位部163の長さと個別変位部164の長さと個別変位部165の長さの合計の長さを持った単一の個別変位部で変位部162を構成した場合(前述した図15に示す従来の検出装置において長さLを前記合計の長さにしたような場合)に得られる角度変化量に等しくなる。
【0090】
このように大きな変位量を得ることができ、ひいては検出感度を高めることができるにも関わらず、各個別変位部163〜167が図6中の上下方向にずらして配置されているため、読み出し光を反射する反射板としても機能する個別変位部165の、左右方向の分布密度を高めることができ、左右方向の空間分解能が向上し、得られる画像の画質が劣化してしまうようなことがない。
【0091】
また、本実施の形態によれば、2つの個別変位部163,167の左側端部がそれぞれ脚部172,173を介して基板161に対して固定され、これにより変位部162が2つの支持点で支持されているので、機械的に強度の比較的高い構造が実現されている。
【0092】
(第4の実施の形態)
図7は、本発明の第4の実施の形態による静電容量型の放射検出装置を模式的に示す概略平面図である。図7において、図6中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複した説明は省略する。
【0093】
本実施の形態が前述した図6に示す放射検出装置と異なる所は、最終段の個別変位部165の先端に図15中の電極4に相当する電極180が設けられている点と、図15中の配線層5、電極6及び拡散層7,8に相当する要素(図示せず)が設けられている点のみである。
【0094】
本実施の形態によっても、前記第3の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0095】
なお、第3の実施の形態を変形して第4の実施の形態を得たのと同様の変形を前記第1及び第2の実施の形態に対して行えば、それぞれ第1及び第2の実施の形態に対応する静電容量型の放射検出装置を得ることができる。
【0096】
(第5の実施の形態)
図8は本発明の第5の実施の形態による放射検出装置を示す図であり、図8(a)はその概略平面図、図8(b)は図8(a)中のX27−X28線に沿った赤外線iが入射していない状態を示す概略断面図、図8(c)は図8(a)中のX27−X28線に沿った赤外線iが入射している状態を示す概略断面図である。なお、図8(a)では2つの単位素子(単位画素)のみ、図8(b)(c)では1つの単位素子のみを示している。
【0097】
この放射検出装置は、基体としてのSi基板191と、基板191に支持され熱に応じて基板191に対して変位する変位部192と、変位部192に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材としての、受光した読み出し光jを反射する反射板193とを備えている。
【0098】
変位部192は、その一端部が脚部194を介して基板191に対して固定されることにより、基板191から空間を隔てて浮いている。変位部192は、Al膜195とその下に積層されたSiO2膜196とから構成され、赤外線iを吸収する赤外線吸収部を兼用している。Alの膨張係数は、SiO2の膨張係数より大きい。脚部194は、変位部192の一部を構成しているSiO2膜196がそのまま延びたものとして構成されている。
【0099】
反射板193は、その一端部が脚部197を介して変位部192の先端部に対して固定されることにより、変位部192の上方に空間を隔てて配置され、単位画素領域のほぼ全体をカバーするように配置されている。変位部192の一部を構成しているSiO2膜196が変位部192の先端から更に図8中の右方向に若干延びており、この延びた部分196aに脚部197の下部197aが固定されている。反射板193は、低ストレスのAl膜198で構成され、ほとんど平坦な反射鏡となっている。脚部197は、反射板193を構成するAl膜198がそのまま延びたものとして構成されている。前記脚部197と前記部分196aとが、変位部192の先端部と反射板193の端部とを機械的に接続する接続部を構成している。反射板193は、必ずしも変位部192の先端部に対して固定する必要はないが、先端部に対して固定すれば、変位部192の変位に伴う反射板193の傾き量が大きくなるので、好ましい。
【0100】
図8(a)に示すように、変位部192、反射板193及び脚部194,197を1つの単位素子(画素)として、この画素が基板191上に1次元状又は2次元状に配置されている。
【0101】
本実施の形態によれば、下方から赤外線iが入射すると、変位部192が赤外線iを吸収して熱を発生する。この熱により、変位部192が図8(c)に示すように下方に撓み、変位部192の先端部の変位に従って反射板193が傾くこととなる。このとき、反射板193は、変位部192から空間を隔てて上方に配置されているので、撓むことなく平坦なままである。よって、上方から入射した略平行光である読み出し光jは、図8(c)に示す矢印j0の方向に全て反射される。このようにして、入射赤外線量は読み出し光の反射方向の変化として読み出される。
【0102】
本実施の形態によれば、反射板193が変位部192の上方に配置されているので、図15に示す従来技術のように脚部197を設けることなく反射板193を変位部192の先端部に変位部192と略同一平面内に位置するように配置する場合に比べて、複数の画素を配置する場合であっても、図8(a)に示すように複数の画素の図8(a)中の左右方向の分布密度を高めることができ、左右方向の空間分解能が向上し、得られる画像の画質が劣化してしまうようなことがない。
【0103】
さらに、本実施の形態によれば、入射赤外線iの検出感度及びS/Nを高めることができる。この点について、図9に示す放射検出装置と比較して説明する。
【0104】
図9は図8に対応しており、図9に示す放射検出装置は、図8中の反射板198を除去して変位部192のAl膜195を反射板として兼用したものである。図9の場合は、赤外線iが入射すると、図9(c)に示すように、変位部192が円弧状に撓むため、略平行光として入射した読み出し光jはAl膜195により矢印j1,j2,j3などの方向に拡がって反射される。ところで、図9に示す放射検出装置は、入射赤外線iの光量を読み出し光jの反射方向の変化として読み出すものであるから、反射方向の変化が大きい程、検出感度は高い。つまり、図9(c)に示した、変位部192の根元付近での反射光j1より、変位部192の中央付近での反射光j2の方が、さらには変位部192の先端付近での反射光j3の方が反射方向の変化が大きく、より高感度な反射光となっている。にもかかわらず、図9に示す放射検出装置では、全ての方向j1,j2,j3に拡がる反射光が全て読み出し光学系で読み出されるため、すなわち、高感度の反射光(j3)と、高感度でない反射光(j1,j2)とが混ざった反射光が全て読み出されるため、十分な高感度化は達成されない。これに対し、本実施の形態では、前述したように入射した略平行光の読み出し光jが全て同じ方向(変位部の先端付近の反射方向、図9のj3に相当する方向)に反射されるので、高感度化が実現できる。
【0105】
また、図9の場合には、読み出し光jが変位部192に照射されるので、わずかながら読み出し光jの一部が変位部192に吸収され、その分変位部192が変位してしまいS/Nが低下する。これに対し、本実施の形態では、変位部192は、反射板193によって読み出し光jから遮光されることになるので、変位部192には入射赤外線iのみに依存した変位が生ずるので、S/Nが高まる。
【0106】
(第6の実施の形態)
図10は、本発明の第6の実施の形態による静電容量型の放射検出装置を示す図であり、図15に対応している。図10において、図15中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0107】
本実施の形態が図15に示す従来の放射検出装置と異なる所は、主として、変位部3においてAl膜11がSiO2膜12の下側に積層されている点と、SiO2膜等からなる電極支持板200が変位部3と基板1との間に両者からそれぞれ空間を隔てて配置され、電極支持板200の一端部が脚部201を介して変位部3の先端部に対して固定され、電極支持板200の他端部に電極4が設けられ、これにより、電極4が変位部3に対して下方に空間を隔てて配置されている点と、電極4と拡散層8との間を電気的に接続する配線層5が脚部201及び電極支持板200にも形成されている点である。脚部201は、変位部3の一部を構成しているSiO2膜12がそのまま延びたものとして構成されている。脚部201と電極支持板200とが、変位部3の先端部と電極4とを機械的に接続する接続部を構成している。
【0108】
本実施の形態によれば、電極4が変位部3の下方に配置されているので、図15に示す従来技術に比べて、複数の画素を配置する場合であっても、図10(a)に示すように複数の画素の図10(a)中の左右方向の分布密度を高めることができ、左右方向の空間分解能が向上し、得られる画像の画質が劣化してしまうようなことがない。
【0109】
(第7の実施の形態)
図11は本発明の第7の実施の形態による光読み出し型の放射検出装置を模式的に示す概略平面図である。図11では、3つの単位画素(単位素子)を示している。図12(a)は図11中のX33−X34線に沿った単位画素分の概略断面図、図12(b)は図11中のY1−Y2線に沿った概略断面図である。なお、以下の説明において、左右は図11中の左右をいうものとする。
【0110】
本実施の形態は、前記第2の実施の形態のような変位部の折り返し構造と、前記第5の実施の形態のような変位読み出し部材の2階建て構造とを組み合わせたものである。
【0111】
この放射検出装置は、基体としてのSi基板211と、基板211に支持され熱に応じて基板211に対して変位する変位部212と、変位部212に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材としての、受光した読み出し光を反射する反射板240とを備えている。
【0112】
変位部212は、5つの個別変位部213〜217と、これらの所定の端部間を機械的に接続する3つの接続部219〜221とから構成されている。変位部212は、個別変位部213の左側端部が脚部222を介して、個別変位部217の左側端部が脚部223を介して基板211に対してそれぞれ固定されることにより、基板211から空間を隔てて浮いている。個別変位部213の右側端部と個別変位部214の右側端部とが接続部219により、個別変位部214の左側端部と個別変位部215の左側端部と個別変位部216の左側端部とが接続部220により、個別変位部216の右側端部と個別変位部217の右側端部とが接続部221により、それぞれ機械的に接続されている。
【0113】
各個別変位部213〜217は、左右方向に直線状に延びており、互いに平行に配置されている。各個別変位部213,215,217は、Al膜230と、その下に積層されたSiO2膜231とから構成されている。各個別変位部214,216は、逆に、SiO2膜231と、その下に積層されたAl膜230とから構成されている。接続部219〜221及び脚部222,223の構成は、前述した第1及び第2の実施の形態の接続部及び脚部とそれぞれ同様である。個別変位部213〜217は、赤外線を吸収する赤外線吸収部を兼用している。
【0114】
前述した定義に従うと、個別変位部213は第1段、個別変位部214は第2段、個別変位部215は第3段、個別変位部216は第2段、個別変位部217は第1段の個別変位部であり、個別変位部215が最終段の個別変位部である。第1段の個別変位部213,217の数が2つであり、最終段の個別変位部215の数が1つである。一方の第1段の個別変位部213から最終段の個別変位部215にかけての構造と、他方の第1段の個別変位部217から最終段の個別変位部215にかけての構造とが対称的になっている。
【0115】
反射板240は、その中央が脚部241を介して変位部212の最終段の個別変位部215の先端部に対して固定されることにより、変位部212の上方に空間を隔てて配置され、単位画素領域250のほぼ全体をカバーするように配置されている。図12(a)に示すように、個別変位部215の一部を構成しているSiO2膜231が個別変位部215の先端から更に右方向に若干延びており、この延びた部分231aに脚部241の下部241aが固定されている。脚部241は、反射板240を構成するAl膜がそのまま延びて構成されている。脚部241と前記部分231aとが、個別変位部215の先端部と反射板240の中央とを機械的に接続する接続部を構成している。
【0116】
本実施の形態によれば、前記第2の実施の形態の利点と前記第5実施の形態の利点の両方を得ることができる。また、本実施の形態では、反射板240の重心も、変位部212による支持の中心であって反射板240の支持の中心(本実施の形態では、脚部241の位置)も、変位部212の重心も、基板211による変位部212の支持の中心位置(本実施の形態では、脚部222,223を結ぶ線分の中点)も、いずれも単位画素領域の中央付近にあるので、極めてバランスが良く、機械的強度がより一層高い構造が実現されている。さらに、前記第2の態様では、読み出し光反射領域が単位画素領域の一部の領域(個別変位部75,76の領域)に限定されていたのに対し、本実施の形態では、読み出し光反射領域が単位画素領域のほぼ全体となり、この点からも読み出し光の利用効率が高まる。
【0117】
なお、本実施の形態において、基板211による変位部212の支持点と、変位部212による反射板240の支持点とを、入れ替えてもよい。すなわち、脚部241に相当する脚部を図11中の脚部222,223の位置にそれぞれ設け、脚部222,223に相当する脚部を図11中の脚部241の位置に設けてもよい。この場合、個別変位部213は第3段、個別変位部214は第2段、個別変位部215は第1段、個別変位部216は第2段、個別変位部217は第3段の個別変位部となり、個別変位部213,217が最終段の個別変位部となる。第1段の個別変位部215数が1つであり、最終段の個別変位部213,217の数が2つである。
【0118】
(第8の実施の形態)
図13は本発明の第8の実施の形態による静電容量型の放射検出装置を模式的に示す概略平面図である。図13では、3つの単位画素(単位素子)を示している。図14(a)は図13中のX35−X36線に沿った単位画素分の概略断面図、図14(b)は図13中のY3−Y4線に沿った概略断面図である。
【0119】
本実施の形態は、前記第7実施の形態と同様の構造を持つ静電容量型の放射検出装置の例である。図13及び図14において、図11及び図12中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複した説明は省略する。
【0120】
この放射検出装置が前記第7の実施の形態と異なる所は、反射板240に代えて、図10中の電極支持板200に相当する電極支持板320が、変位部212の下方に空間を隔てて配置されている点と、図10中の電極4,6及び拡散層7にそれぞれ相当する電極304,306及び拡散層307が設けられている点と、図10中の配線層5及び拡散層8に相当する要素(図示せず)が設けられている点である。
【0121】
本実施の形態によれば、前記第2の実施の形態の利点と前記第6実施の形態の利点の両方を得ることができる。また、本実施の形態では、前記第7の態様と同様に、機械的強度がより一層高い構造が実現されている。さらに、前記第4の態様では図7に示すように電極180の図7中の上下方向の長さを短くせざるを得なかったのに対し、本実施の形態では、電極304が変位部211の下方に配置されているので、電極304の図13中の上下方向の長さを画素領域に対して図13中の長さL10まで長くすることができる。したがって、電極304,307間の静電容量値の絶対値が大きくなるとともに、その静電容量値の変化量も大きくなる。このため、本実施の形態によれば、検出のS/Nが大きくなるとともに、検出の感度も高まる。
【0122】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。例えば、膜の材料や寸法等は前述したものに限定されない。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の変位部を基体上に配置する場合であっても、大きな変位量を得ることができるとともに、その配置を理想的な配置に近づけることができる。
【0124】
また、変位部及び変位読み出し部材の複数の対を基体上に配置する場合であっても、これらの配置を理想的な配置に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による放射検出装置を示す図である。
【図2】映像化装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による放射検出装置を示す図である。
【図4】図1に示す放射検出装置の製造工程を示す概略平面図である。
【図5】図4に示す工程に引き続く工程を示す概略平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態による放射検出装置を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態による放射検出装置を示す概略平面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態による放射検出装置を示す図である。
【図9】本発明と比較される放射検出装置を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態による放射検出装置を示す図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態による放射検出装置を示す図である。
【図12】図11に示す放射検出装置の概略断面図である。
【図13】本発明の第8の実施の形態による放射検出装置を示す図である。
【図14】図13に示す放射検出装置の概略断面図である。
【図15】従来の赤外線検出装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
4, 6,180,304,306 電極
5 配線層
7,8,307 拡散層
21,71,161,191,211 Si基板
22,72,162,192,212 変位部
23,24,73〜78,163〜167,213〜217 個別変位部
25,79〜83,169〜171,219〜221 接続部
26,84,85,172,173,197,201,222,223 脚部
193,240 反射板
200,320 電極支持板

Claims (4)

  1. 基体と、該基体に支持され熱に応じて前記基体に対して変位する変位部とを備えた熱型変位素子において、
    前記変位部は複数の個別変位部を有し、
    前記複数の個別変位部の各々は、直線状に延びるとともに、異なる膨張係数を有する異なる物質の互いに重なった少なくとも2つの層を有し、
    前記複数の個別変位部が互いに平行に配置され、
    前記複数の個別変位部は、当該各個別変位部の前記少なくとも2つの層の積層方向から見たときに互いに重ならないように配置され、
    前記複数の個別変位部が全体として機械的に接続された1つの接続体をなすように、前記複数の個別変位部の各端部がそれぞれ、前記基体に対して固定されるかあるいは他の個別変位部の一端部に接続部を介して機械的に接続され、
    前記複数の個別変位部のうちの少なくとも1つの個別変位部の一端部が前記基体に対して固定され、
    前記複数の個別変位部のうちの少なくとも1つの個別変位部の両端部のいずれもが前記基体に対しては固定されず、
    前記複数の個別変位部のうちのある個別変位部から前記基体に対して機械的に連続するルートのうち、当該ルートに含まれる個別変位部の数が最も少なくなるルートにおいて、当該個別変位部が前記基体の側から数えてN番目の個別変位部である場合に、当該個別変位部を第N段の個別変位部であると定義し、第N段の個別変位部を第N+1段の個別変位部に対する前段の個別変位部、第N+1段の個別変位部を第N段の個別変位部に対する次段の個別変位部であると定義したとき、
    前記各接続部において、同じ接続部を介して互いに接続された前段の個別変位部の端部及び次段の個別変位部の端部は、それぞれ当該前段及び次段の個別変位部の互いに同じ側の端部であり、
    前記各段の個別変位部の前記少なくとも2つの層の物質の膨張係数の大小関係と、その次段の個別変位部の前記少なくとも2つの層の物質の膨張係数の大小関係とが、互いに逆であることを特徴とする熱型変位素子。
  2. 前記複数の個別変位部のうちのある個別変位部から前記基体に対して機械的に連続するルートのうち、当該ルートに含まれる個別変位部の数が最も少なくなるルートにおいて、当該個別変位部が前記基体の側から数えてN番目の個別変位部である場合に、当該個別変位部を第N段の個別変位部であると定義したとき、
    第1段の個別変位部の数が2つであるとともに最終段の個別変位部の数が1つ又は2つであり、
    前記2つの第1段の個別変位部のうちの一方から前記2つの最終段の個別変位部のうちの一方又は前記1つの最終段の個別変位部にかけての構造と、前記2つの第1段の個別変位部のうちの他方から前記2つの最終段の個別変位部のうちの他方又は前記1つの最終段の個別変位部にかけての構造とが、対称的であることを特徴とする請求項記載の熱型変位素子。
  3. 前記複数の個別変位部のうちのある個別変位部から前記基体に対して機械的に連続するルートのうち、当該ルートに含まれる個別変位部の数が最も少なくなるルートにおいて、当該個別変位部が前記基体の側から数えてN番目の個別変位部である場合に、当該個別変位部を第N段の個別変位部であると定義したとき、
    第1段の個別変位部の数が1つであるとともに最終段の個別変位部の数が2つであり、
    前記第1段の個別変位部から前記2つの最終段の個別変位部のうちの一方にかけての構造と、前記第1段の個別変位部から前記2つの最終段の個別変位部のうちの他方にかけての構造とが、対称的であることを特徴とする請求項記載の熱型変位素子。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の熱型変位素子と、前記最終段の個別変位部に対して固定された変位読み出し部材であって、前記最終段の個別変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材とを備え、前記複数の個別変位部が放射を受けて熱を発生することを特徴とする放射検出装置。
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