JP4051830B2 - 放射検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱型赤外線検出装置などの放射検出装置に関し、特に、赤外線等の入射放射を放射吸収部にて吸収して熱に変換しその熱を変位に変換して放射を検出する放射検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、このような放射検出装置として、例えば、静電容量型の放射検出装置(米国特許第5,844,238号公報等)や光読み出し型の放射検出装置(特開平10−253447号公報等)が提案されている。静電容量型の放射検出装置は、入射放射に応じて生じた変位を静電容量の変化として読み出すものであり、光読み出し型の放射検出装置は、入射放射に応じて生じた変位を別途照射した読み出し光の変化として読み出すものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような放射検出装置では、検出感度を高めるため、放射吸収部の放射吸収率が高いことが要請される。また、検出の応答性を高めるため、放射吸収部の熱容量が小さいことが要請される。さらに、検出感度を高めるため、放射吸収部で発生した熱が変位部の変位発生部分へ効率良く伝導されることが要請される。
【0004】
しかしながら、前述したような放射検出装置において、放射吸収部として例えば吸収効率が比較的高い金黒(Gold Black)の膜を用いても、当該膜に赤外線等の放射が単に入射するように構成するだけでは、検出感度及び検出応答性の両方を高めることができない。
【0005】
すなわち、金黒の吸収係数は、例えば8〜12μmの波長域の赤外線に対して、約960cm−1である(論文「G.Zaeschmar and A.Nedoluha, "Theory of the Optical Properties of Gold Blacks", JOURNAL OF THE OPTICAL SOCIETY OF AMERICA, VOLUME 62, NUMBER 3, March 1972, pp.348-352」)。この吸収係数から膜厚1μmの金黒の赤外線吸収率を求めると、約9%にすぎないことがわかる。したがって、金黒の膜で構成した放射吸収部の赤外線吸収率を十分に大きくするためには、金黒の膜厚をかなり厚くせざるを得ない。このように、金黒の膜で構成した放射吸収部に赤外線等の放射が単に入射するように構成するだけでは、その膜の厚さを薄くしつつ赤外線吸収率を高めることができず、したがって、検出感度及び検出応答性の両方を高めることは困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、検出感度及び検出応答性の両方を高めることができる放射検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による放射検出装置は、基体と、該基体に支持された変位部であって、放射を吸収する放射吸収部を有し該放射吸収部にて発生した熱に応じて前記基体に対して変位する変位部とを備えた放射検出装置であって、前記放射吸収部が入射した放射の一部を反射する特性を有し、nを奇数、前記放射の所望の波長域の中心波長をλ0として、前記放射吸収部から実質的にnλ0/4の間隔をあけて配置され前記放射を略々全反射する放射反射部を備えたものである。
【0008】
前記放射は、赤外線のみならず、X線、紫外線等の不可視光や他の種々の放射であってもよい。
【0009】
また、前記第1の態様による放射検出装置は、例えば、変位部に生じた変位を別途照射した読み出し光の変化として読み出す光読み出し型の放射検出装置として構成してもよいし、変位部に生じた変位を静電容量の変化として読み出す静電容量型の放射検出装置として構成してもよい。光読み出し型の放射検出装置として構成する場合には、例えば、変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材として、受光した読み出し光を反射する読み出し光反射部を変位部に設ければよい。また、光読み出し型の放射検出装置として構成する場合には、例えば、変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材として読み出し光ハーフミラー部を変位部に設け、この読み出し光ハーフミラー部と対向するように読み出し光反射部を基体に設けてもよい。さらに、静電容量型の放射検出装置として構成する場合には、例えば、変位部に生じた変位に応じた所定の変化を得るために用いられる変位読み出し部材として可動電極部を変位部に設け、この可動電極部と対向するように固定電極部を基体に設ければよい。
【0010】
前記第1の態様によれば、放射吸収部に放射反射部と反対側から放射が入射すると、入射した放射は放射吸収部で一部吸収され、残りは放射反射部で反射され放射吸収部で反射し再度放射反射部に入射する。このため、放射吸収部と放射反射部との間で干渉現象が起こり、両者の間隔が入射放射の所望の波長域の中心波長の1/4の略奇数倍とされているので、放射吸収部での放射吸収がほぼ最大となり、放射吸収部における放射の吸収率が高まる。したがって、放射吸収部の厚みを薄くしてその熱容量を小さくしても、放射の吸収率を高めることができる。その結果、検出感度及び検出応答性の両方を高めることができる。
【0011】
なお、前記放射吸収部の反射率を約33%(約1/3)にすると、放射吸収部における放射の吸収率が一層高まるので、好ましい。
【0012】
ところで、前述した干渉現象によって放射反射部によっても放射が吸収され、放射反射部からも熱を発生する。しかし、放射反射部による放射吸収量より放射吸収部による放射吸収量の方が大きい。したがって、前記第1の態様によれば、変位部が放射吸収部を有している(すなわち、放射吸収部が変位部に設けられている)ので、例えば前記放射吸収部を基体に設けるとともに前記放射反射部を変位部に設ける場合に比べて、放射の入射量が同一であるときに変位部に大きい変位が生じ、検出感度が高くなる。
【0013】
また、前記放射吸収部を変位部に設けずに断熱部を介して基板に対して固定して、この放射吸収部で発生した熱を変位部に伝導させる場合には、当該断熱部を設けても完全な断熱を達成することは困難であることから、放射吸収部で発生した熱が、当該断熱部を介して基体へ逃げてしまう。このため、変位部における変位発生部分へ効率良く伝導されなくなるため、検出感度が低下してしまう。これに対し、前記第1の態様では、放射吸収部が変位部に設けられているため、放射吸収部で発生した熱が変位部における変位発生部分へ効率良く伝導され、この点からも検出感度が高まることになる。
【0014】
本発明の第2の態様による放射検出装置は、前記第1の態様による放射検出装置において、前記変位部の変位にかかわらずに前記放射反射部と前記放射吸収部との相対的な位置関係が実質的に一定に保たれるように、前記放射反射部が前記変位部に設けられたものである。
【0015】
前記第1の態様では、放射反射部は必ずしも変位部に設ける必要はない。しかしながら、前記第2の態様のように、変位部の変位にかかわらずに放射反射部と放射吸収部との相対的な位置関係が実質的に一定に保たれるように、放射反射部を変位部に設けると、変位部が変位しても安定した分光感度特性を得ることができる。すなわち、前記第2の態様によれば、変位部の変位にかかわらずに、放射反射部と放射吸収部との間の間隔が実質的に一定に保たれるので、放射吸収部による放射の吸収が前述した干渉の原理に従って行われることから、放射吸収部に吸収される放射の波長域が変化することなく一定に保たれるのである。
【0016】
本発明の第3の態様による放射検出装置は、前記第2の態様による放射検出装置において、前記変位部に設けられ受光した読み出し光を反射する読み出し光反射部を備え、前記放射反射部は、前記読み出し光反射部と兼用されるかあるいは前記読み出し光反射部に形成されたものである。
【0017】
この第3の態様は、光読み出し型の放射検出装置として構成した例である。この第3の態様のように放射反射部を読み出し光反射部と兼用するかあるいは読み出し光反射部に形成すると、構造が簡単となって安価に提供することができる。もっとも、前記第2の態様ではこのような兼用を行わなくてもよい。
【0018】
本発明の第4の態様による放射検出装置は、前記第2の態様による放射検出装置において、前記基体に設けられた固定電極部と、前記変位部に設けられ前記固定電極部と対向する可動電極部とを備え、前記放射反射部は、前記可動電極部と兼用されるかあるいは前記可動電極部に形成されたものである。
【0019】
この第4の態様は、静電容量型の放射検出装置として構成した例である。この第4の態様のように放射反射部を可動電極部と兼用すると、構造が簡単となって安価に提供することができる。もっとも、前記第2の態様ではこのような兼用を行わなくてもよい。
【0020】
本発明の第5の態様による放射検出装置は、前記第1の態様による放射検出装置において、前記基体に設けられた固定電極部と、前記変位部に設けられ前記固定電極部と対向する可動電極部とを備え、前記放射反射部は前記固定電極部と兼用されたものである。
【0021】
この第5の態様も、静電容量型の放射検出装置として構成した例である。この第5の態様のように放射反射部を固定電極部と兼用すると、構造が簡単となって安価に提供することができる。もっとも、前記第1の態様ではこのような兼用を行わなくてもよい。
【0022】
本発明の第6の態様による放射検出装置は、前記第1又は第5の態様による放射検出装置において、前記基体に設けられた固定電極部と、前記変位部に設けられ前記固定電極部と対向する可動電極部とを備え、前記放射吸収部は前記可動電極部と兼用されたものである。
【0023】
この第6の態様も、静電容量型の放射検出装置として構成した例である。この第6の態様のように放射吸収部を可動電極部と兼用すると、構造が簡単となって安価に提供することができる。もっとも、前記第1及び第5の態様ではこのような兼用を行わなくてもよい。
【0024】
なお、前記第1乃至第6の態様において、前記放射吸収部及び前記放射反射部のうち、前記変位部に設けられた少なくとも一方について、1層又は複数層の膜からなる平面部を有し該平面部が空中に位置するように支持された薄膜部材で構成する場合には、前記平面部の周辺部分の少なくとも一部に渡って、前記平面部から立ち上がるかあるいは立ち下がる立ち上がり部又は立ち下がり部を形成することが好ましい。あるいは、前記放射吸収部及び前記放射反射部のうち、前記変位部に設けられた少なくとも一方について、複数層の膜からなる平面部を有し該平面部が空中に位置するように支持された薄膜部材で構成する場合には、前記平面部の周辺部分の少なくとも一部に渡って、前記複数層の膜のうち少なくとも1層の膜を、前記複数層の膜のうちの他の少なくとも1層の膜の縁部分を覆うように形成することが好ましい。
【0025】
これらの場合には、変位部に設けられた放射吸収部及び放射反射部の両方又は一方の前記平面部が、立ち上がり部又は立ち下がり部によって、あるいは、少なくとも1層の膜が他の少なくとも1層の膜の縁部分を覆っている部分によって、補強される。したがって、平面部の所望の強度を確保しつつ、平面部の膜厚を薄くすることができる。このため、変位部に設けられた放射吸収部及び放射反射部の両方又は一方について、強度不足による変形を防止しつつ、熱容量を小さくすることができる。その結果、前記変形により生ずる放射吸収部と放射反射部との間の間隔の変化を防止して一層安定した分光感度特性を得ることができると同時に、検出の応答性を一層高めることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下の説明では、放射を赤外線とし読み出し光を可視光とした例について説明するが、本発明では、放射を赤外線以外のX線や紫外線やその他の種々の放射としてもよいし、また、読み出し光を可視光以外の他の光としてもよい。
【0027】
[第1の実施の形態]
【0028】
図1は本発明の第1の実施の形態による光読み出し型の放射検出装置100の単位画素(単位素子)を示す図であり、図1(a)はその概略平面図、図1(b)は図1(a)中のA−A’線に沿った概略断面図である。
【0029】
この放射検出装置100は、基体としての赤外線iを透過させるSi基板等の基板1と、基板1から立ち上がった2つの脚部2,3と、脚部2,3を介して基板1に支持された変位部4であって、赤外線iを吸収する赤外線吸収部5を有し赤外線吸収部5にて発生した熱に応じて基板1に対して変位する変位部4と、を備えている。
【0030】
本実施の形態では、基板1の両面にそれぞれ赤外線反射防止膜6,7がコーティングされている。もっとも、これらの膜6,7は必ずしも形成しておく必要はない。
【0031】
図1中、2a,3aは、脚部2,3における基板1上の膜6へのコンタクト部をそれぞれ示している。脚部2,3の平面部2b,3bは、それぞれL字状に構成されている。脚部2,3は、断熱性の高い材料として、例えば、SiO膜で構成される。
【0032】
変位部4は、互いに重なった2つの膜8,9からそれぞれなる2つの変位発生部分10,11を有している。変位発生部分10,11は、それらの一方端部が脚部2,3の平面部2b,3bの先端部分にそれぞれ接続されて支持されることにより、それぞれカンチレバーを構成しており、基板1上に浮いた状態に支持されている。膜8及び膜9は、互いに異なる膨張係数を有する異なる物質で構成されており、変位発生部分10,11は、いわゆる熱バイモルフ構造(bi-material elementともいう。)を構成している。したがって、変位発生部分10,11は、受けた熱に応じて、下側の膜8の膨張係数が上側の膜9の膨張係数より大きい場合には上方に、逆の場合には下方に湾曲して傾斜する。本実施の形態では、膜8は厚さ3000オングストロームのSiN膜で構成され、膜9は厚さ1000オングストロームのAl膜で構成されている。
【0033】
赤外線吸収部5は、入射した赤外線iの一部を反射する特性を有している。赤外線吸収部5の赤外線反射率は、約33%であることが好ましい。赤外線吸収部5は、変位発生部分10,11の先端部分に接続されている。本実施の形態では、赤外線吸収部5は、厚さ3000オングストロームのSiN膜8が変位発生部分10,11からそのまま延びることによって平板状に構成されている。
【0034】
変位部4には、厚さ2000オングストロームのAl膜からなる平板状の部材12が設けられている。部材12は、その4箇所の部分が接続部13を介して赤外線吸収部5に固定されることにより、赤外線吸収部5の上方に間隔L1をあけて赤外線吸収部5と実質的に平行に配置され、赤外線吸収部5の全体をカバーするのみならず赤外線吸収部5よりかなり広い範囲をカバーするように配置されている。本実施の形態では、このようにして部材12が赤外線吸収部5に固定されることによって、部材12は、変位部4の変位にかかわらずに部材12と赤外線吸収部5との相対的な位置関係が実質的に一定に保たれるように、変位部4に設けられている。なお、接続部13は、部材12を構成するAl膜がそのまま延びることにより形成されている。なお、本実施の形態では、前述したように複数箇所(本例では、4箇所)の接続部13によって部材12が赤外線吸収部5に固定されているので、部材12と赤外線吸収部5との平行度が増し、好ましい。もっとも、接続部13の数は1個以上であればよい。
【0035】
この部材12は、nを奇数、入射赤外線iの所望の波長域の中心波長をλ0として、前記間隔L1が実質的にnλ0/4の間隔をあけて配置されている。本実施の形態では、具体的には、λ0を10μm、nを1として、間隔L1は約2.5μmに設定されているが、これに限定されるものではない。この部材12は、前述したように厚さ2000オングストロームのAl膜からなり、赤外線iを略々全反射する赤外線反射部となっている。また、部材12は、変位読み出し部材としての、受光した読み出し光jを反射する読み出し光反射部となっている。すなわち、本実施の形態では、赤外線反射部は読み出し光反射部として兼用されている。なお、部材12における放射吸収部5との対向面に赤外線反射部としての反射膜を形成し、部材12を読み出し光反射部のみとして用いることもできる。
【0036】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、変位部4は、変位発生部分10,11、赤外線吸収部5、並びに、赤外線反射部及び読み出し光反射部を兼用する部材12で構成されている。
【0037】
図面には示していないが、本実施の形態による放射検出装置100では、変位部4、脚部2,3を単位素子(画素)として、この画素が基板1上に1次元状又は2次元状に配置されている。
【0038】
本実施の形態による放射検出装置100は、膜の形成及びパターニング、犠牲層の形成及び除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができ、例えば、次のような方法で製造することができる。
【0039】
図面には示していないが、まず、Si基板1の両面に赤外線反射防止膜6,7をコーティングし、膜6上に犠牲層としてのレジストを塗布する。このレジストに、脚部2,3のコンタクト部2a,3aに応じた開口をフォトリソグラフィーにより形成する。次に、SiO膜をP−CVD法等によりデポした後、フォトリソエッチング法によりパターニングし、脚部2の形状とする。その後、SiN膜をP−CVD法等によりデポした後、フォトリソエッチング法によりパターニングし、膜8の形状とする。次いで、Al膜を蒸着法等によりデポした後、フォトリソエッチング法によりパターニングし、膜9の形状とする。この状態の基板上の全面に犠牲層としてのレジストを再び塗布する。次に、このレジストに、接続部13に応じた開口をフォトリソグラフィーにより形成する。その後、部材12及び接続部13となるべきAl膜を蒸着法等によりデポした後、フォトリソエッチング法によりパターニングし、部材12の形状とする。最後に、ダイシングなどによりチップ毎に分割し、犠牲層としてのレジストをアッシング法などにより除去する。これにより、図1に示す放射検出装置100が完成する。
【0040】
本実施の形態による放射検出装置100では、下方から赤外線iが入射すると、入射した赤外線iは赤外線吸収部5で一部吸収され、残りは赤外線反射部としての部材12で反射され赤外線吸収部5で反射し再度部材12に入射する。このため、赤外線吸収部5と部材12との間で干渉現象が起こり、両者の間隔L1が入射赤外線iの所望の波長域の中心波長の1/4の略奇数倍とされているので、赤外線吸収部5での赤外線吸収がほぼ最大となり、赤外線吸収部5における赤外線の吸収率が高まる。したがって、赤外線吸収部5の厚みを薄くしてその熱容量を小さくしても、赤外線の吸収率を高めることができる。その結果、検出感度及び検出応答性の両方を高めることができる。
【0041】
そして、赤外線吸収部5で発生した熱が変位発生部分10,11に伝わり、この熱に応じてカンチレバーを構成している変位発生部分10,11が下方に湾曲して傾斜する。このため、部材12が、放射吸収部5との相対的な位置関係(すなわち、間隔L1)を保ったまま、入射した赤外線iの量に応じた量だけ基板1の面に対して傾くこととなる。したがって、上方から部材12に入射した読み出し光jは、入射した赤外線iの量に応じた方向に反射されることとなる。
【0042】
本実施の形態によれば、赤外線反射部に比べて赤外線吸収量の大きい赤外線吸収部5が変位部4に設けられているので、例えば赤外線吸収部5を基板1に設けるとともに赤外線反射部を変位部4に設ける場合に比べて、赤外線の入射量が同一であるときに変位部4に大きい変位が生じ、検出感度が高くなる。
【0043】
また、本実施の形態では、赤外線吸収部5が変位部4に設けられているため、赤外線吸収部5で発生した熱が変位部4における変位発生部分10,11へ効率良く伝導され、この点からも検出感度が高まることになる。
【0044】
さらに、本実施の形態によれば、変位部4の変位にかかわらずに、赤外線反射部としての部材12と赤外線吸収部5との間の間隔L1が実質的に一定に保たれるので、安定した分光感度特性を得ることができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、部材12が赤外線反射部及び読み出し光反射部として兼用されているので、構造が簡単となって安価に提供することができる。
【0046】
ここで、本実施の形態による放射検出装置100を用いた映像化装置の一例について、図2を参照して説明する。図2は、この映像化装置を示す概略構成図である。
【0047】
この映像化装置は、前述した放射検出装置100の他に、読み出し光学系と、撮像手段としての2次元CCD20と、観察対象としての熱源21からの赤外線iを集光して放射検出装置100の赤外線吸収部としての変位部4が分布している面上に熱源21の赤外線画像を結像させる赤外線用の結像レンズ22とから構成されている。
【0048】
この映像化装置では、前記読み出し光学系は、読み出し光を供給するための読み出し光供給手段としてのLD(レーザーダイオード)23と、LD23からの読み出し光を放射検出装置100の全ての画素の読み出し光反射部としての部材12へ導く第1レンズ系24と、第1レンズ系24を通過した後に全ての画素の部材12にて反射された読み出し光の光線束のうち所望の光線束のみを選択的に通過させる光線束制限部25と、第1レンズ系24と協働して各画素の反射板12と共役な位置を形成し且つ該共役な位置に光線束制限部25を通過した光線束を導く第2レンズ系26とから構成されている。前記共役な位置にはCCD20の受光面が配置されており、レンズ系24,26によって全ての画素の部材12とCCD20の複数の受光素子とが光学的に共役な関係となっている。
【0049】
LD23は、第1レンズ系24の光軸Oに関して一方の側(図2中の右側)に配置されており、当該一方の側の領域を読み出し光が通過するように読み出し光を供給する。本例では、LD23が第1レンズ系24の第2レンズ系26側の焦点面付近に配置されて、第1レンズ系24を通過した読み出し光が略平行光束となって全ての画素の部材12を照射するようになっている。CCD20上の光学像のコントラストを高めるため、LD23の前部に読み出し光絞りを設けてもよい。本例では、放射検出装置100は、その基板1の面(本例では、基板1の面は、目標物体(熱源21)からの赤外線が入射しない場合の部材12の面と平行である。)が光軸Oと直交するように配置されている。もっとも、このような配置に限定されるものではない。
【0050】
光線束制限部25は、前記所望の光線束のみを選択的に通過させる部位が第1レンズ系24の光軸Oに関して他方の側(図2中の左側)の領域に配置されるように構成されている。本例では、光線束制限部25は、開口25aを有する遮光板からなり、開口絞りとして構成されている。本例では、いずれの画素の赤外線吸収部5にも目標物体からの赤外線が入射していなくて全ての画素の部材12の面が基板1の面と平行である場合に、全ての画素の部材12で反射した光線束(各部材12で反射した個別光線束の束)が第1レンズ系24によって集光する集光点の位置と開口25aの位置とがほぼ一致するように、光線束制限部25が配置されている。また、開口25aの大きさは、この光線束の前記集光点での断面の大きさとほぼ一致するように定められている。もっとも、このような配置や大きさに限定されるものではない。
【0051】
図2に示す映像化装置によれば、LD23から出射した読み出し光の光線束31は、第1レンズ系24に入射し、略平行化された光線束32となる。次にこの略平行化された光線束32は、放射検出装置100の全ての画素の部材12に、基板1の法線に対してある角度をもって入射する。
【0052】
一方、結像レンズ22によって、熱源21からの赤外線が集光され、放射検出装置100の変位部4が分布している面上に、熱源21の赤外線画像が結像される。これにより、放射検出装置100の各画素の赤外線吸収部5に赤外線が入射する。このため、前述した動作により、各画素の部材12は、対応する赤外線吸収部5に入射した赤外線の量に応じた量だけ基板1の面に対して傾くこととなる。
【0053】
今、全ての画素の赤外線吸収部5には目標物体からの赤外線が入射しておらず、全ての画素の部材12が基板1と平行であるものとする。全ての画素の部材12に入射した光線束32はこれらの部材12にて反射されて光線束33となり、再び第1レンズ系24に今度はLD23の側とは反対の側から入射して集光光束34となり、この集光光束34の集光点の位置に配置された光線束制限部25の開口25aの部位に集光する。その結果、集光光束34は開口25aを透過して発散光束35となって第2レンズ系26に入射する。第2レンズ系26に入射した発散光束35は、第2レンズ系26により例えば略平行光束36となってCCD20の受光面に入射する。ここで、各画素の部材12とCCD20の受光面とはレンズ系24,26によって共役な関係にあるので、CCD20の受光面上の対応する各部位にそれぞれ各部材12の像が形成され、全体として、全ての画素の部材12の分布像である光学像が形成される。
【0054】
今、ある画素の赤外線吸収部5にある量の赤外線が入射して、その入射量に応じた量だけ当該画素の部材12が基板1の面に対して傾いたものとする。光線束32のうち当該部材12に入射する個別光線束は、当該部材12によってその傾き量だけ異なる方向に反射されるので、第1レンズ系24を通過した後、その傾き量に応じた量だけ前記集光点(すなわち、開口25a)の位置からずれた位置に集光し、その傾き量に応じた量だけ光線束制限部25により遮られることになる。したがって、CCD20上に形成された全体としての光学像のうち当該部材12の像の光量は、当該部材12の傾き量に応じた量だけ低下することになる。
【0055】
したがって、CCD20の受光面上に形成された読み出し光による光学像は、放射検出装置100に入射した赤外線像を反映したものとなる。この光学像は、CCD20により撮像される。なお、CCD20を用いずに、接眼レンズ等を用いて前記光学像を肉眼で観察してもよい。
【0056】
なお、読み出し光学系の構成が前述した構成に限定されるものではないことは、言うまでもない。
【0057】
以上は映像化装置の例であったが、図2において、放射検出装置100として、単一の画素(素子)のみを有する放射検出装置を用い、2次元CCD20に代えて、単一の受光部のみを有する光検出器を用いれば、赤外線のいわゆるポイントセンサとしての検出装置を構成することができる。この点は、後述する各実施の形態についても同様である。
【0058】
[第2の実施の形態]
【0059】
図3は、本発明の第2の実施の形態による光読み出し型の放射検出装置101の単位画素(単位素子)を示す概略平面図である。図4は、図3中のB−B’線に沿った概略断面図である。図5は、図3中のC−C’線に沿った概略断面図である。図3乃至図5において、図1中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0060】
この放射検出装置101が図1に示す前記放射検出装置100と基本的に異なる所は、以下の点のみである。
【0061】
この放射検出装置101では、部材12は、基板1と平行な平面部12aの周辺部分の全体(一部でもよい)に渡って平面部12aから立ち下がるように形成された立ち下がり部(立ち上がり部でもよい)12bと、立ち下がり部12bの下部から側方に外側にわずかに延びた水平部12cと、を有している。水平部12cは取り除いておいてもよい。平面部12aが立ち下がり部12bによって補強されるので、平面部12aの所望の強度を確保しつつ、平面部12aの膜厚を薄くすることができる。このため、部材12の強度不足による変形を防止しつつ、部材12の熱容量を小さくすることができる。その結果、前記変形により生ずる間隔L1の変化を防止して一層安定した分光感度特性を得ることができると同時に、検出の応答性を一層高めることができる。
【0062】
また、放射検出装置101では、赤外線吸収部5は、変位発生部分10,11の下側膜であるSiN膜8とは別に形成されたSiN膜で構成されている。そして、赤外線吸収部5は、部材12と同様に、平面部5aの周辺部分の全体(一部でもよい)に渡って平面部5aから立ち下がるように形成された立ち下がり部(立ち上がり部でもよい)5bと、立ち下がり部5bの下部から側方に外側にわずかに延びた水平部5cと、を有している。水平部5cは取り除いておいてもよい。平面部5aが立ち下がり部5bによって補強されるので、平面部5aの所望の強度を確保しつつ、平面部5aの膜厚を薄くすることができる。このため、赤外線吸収部5の強度不足による変形を防止しつつ、赤外線吸収部5の熱容量を小さくすることができる。その結果、前記変形により生ずる間隔L1の変化を防止して一層安定した分光感度特性を得ることができると同時に、検出の応答性を一層高めることができる。
【0063】
さらに、この放射検出装置101では、脚部2は、基板1と平行な平面部2bの周辺部分の全体(一部でもよい)に渡って平面部2bから立ち下がるように形成された立ち下がり部2cと、立ち下がり部2cの下部から側方に外側にわずかに延びた水平部2dと、を有している。水平部2dは取り除いておいてもよい。平面部2bが立ち下がり部2cによって補強されるので、平面部2bの所望の強度を確保しつつ、平面部2bの膜厚を薄くすることができる。このため、脚部2の断熱性を高めることができる。
【0064】
本実施の形態によれば、以上説明した利点以外にも、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0065】
なお、本実施の形態による放射検出装置101も、膜の形成及びパターニング、犠牲層の形成及び除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。また、放射検出装置101は、図2において、放射検出装置100の代わりに用いることができる。
【0066】
[第3の実施の形態]
【0067】
図6は、本発明の第3の実施の形態による光読み出し型の放射検出装置102の単位画素(単位素子)を示す概略断面図であり、図5に対応している。図6において、図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0068】
この放射検出装置102が図3乃至図5に示す前記放射検出装置101と異なる所は、以下の点のみである。
【0069】
この放射検出装置102では、部材12において、平面部12aが2層の膜14,15(上側膜14は読み出し光jを反射し、下側膜15は赤外線iを反射する。)で構成され、平面部12aの周辺部分の少なくとも一部に渡って、上側膜14が下側膜15の縁部分(厚さ方向に沿った面)を覆うように形成され、上側膜14は下側膜15の縁部分に沿って立ち下がり更に側方に外側にわずかに延びている。上側膜14が下側膜15の縁部分を覆っている部分によって平面部12aが補強されるので、平面部12aの所望の機械的強度を確保しつつ、平面部12aの膜厚を薄くすることができる。このため、前記第2の実施の形態と同様に、部材12の強度不足による変形を防止しつつ、部材12の熱容量を小さくすることができる。その結果、前記変形により生ずる間隔L1の変化を防止して一層安定した分光感度特性を得ることができると同時に、検出の応答性を一層高めることができる。
【0070】
本実施の形態によっても、前記第2の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0071】
なお、赤外線吸収部5及び脚部2についても、前述した立ち下がり部に代えて、本実施の形態における部材12と同様の縁部分を覆う構造を採用してもよい。
【0072】
[第4の実施の形態]
【0073】
図7は、本発明の第4の実施の形態による光読み出し型の放射検出装置103の単位画素(単位素子)を示す概略断面図であり、前述した図1(b)に対応している。図7において、図1中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0074】
この放射検出装置103が図1に示す前記放射検出装置100と異なる所は、以下の点のみである。
【0075】
この放射検出装置103では、図1中の部材12が取り除かれ、代わりに、読み出し光jをマスクするマスク(遮光体)40と、前述した間隔L1をあけて赤外線吸収部5と対向するようにマスク40に形成された赤外線反射部41と、赤外線吸収部5の先端部に設けられた読み出し光ハーフミラー部42と、読み出し光ハーフミラー部42と対向するように膜6上に形成された読み出し光反射部43とが、追加されている。
【0076】
マスク40は、読み出し光ハーフミラー部42に対応する領域に開口40aを有し、照射される読み出し光jのうちのハーフミラー部42から出射する干渉光以外の光をマスクする。このマスク40は、例えば、金黒、白金黒などの膜で構成される。
【0077】
赤外線反射部41は、Al膜で構成されている。読み出し光ハーフミラー部42は、SiO膜(可視光に対して透明である。)と、所望の反射率を得るように非常に薄くこのSiO膜上にスパッタ法等により被着させたチタンなどの金属層とから構成されている。
【0078】
読み出し光jがハーフミラー部42に入射すると、当該読み出し光jの一部がハーフミラー部42で反射されて反射光となり、ハーフミラー部42に入射した読み出し光jの残りはハーフミラー部42を透過して全反射ミラー43で反射されて再度ハーフミラー部42に下面から入射する。下面からハーフミラー部42に再度入射した読み出し光のうちの一部がハーフミラー部42を透過し透過光となる。この透過光と前記反射光との間には、ハーフミラー部42と全反射ミラー43との間の間隔dの2倍に対応する光路長差がある。よって、前記反射光と前記透過光との間でこの光路長差に応じた干渉が起こり、前記反射光及び前記透過光がこの光路長差に応じた(したがって、変位部4の変位に応じた)干渉強度を有する干渉光となってハーフミラー部42から出射されることになる。
【0079】
本実施の形態では、放射反射部41がマスク40を介して基板1に対して固定されているので、変位部4が変位すると間隔L1が変化することから、分光感度特性の安定性の点では前記第1の実施の形態より劣るが、他の点に関しては前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0080】
なお、本実施の形態による放射反射部41と共に用い得る読み出し光学系自体は、特開平10−253447号公報の図16に開示されているように、公知である。
【0081】
[第5の実施の形態]
【0082】
図8は、本発明の第5の実施の形態による静電容量型の放射検出装置104の単位画素(単位素子)を示す図であり、図8(a)はその概略平面図、図8(b)は図8(a)中のD−D’線に沿った概略断面図である。図8において、図1中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0083】
この放射検出装置104が図1に示す前記放射検出装置100と異なる所は、以下の点のみである。
【0084】
この放射検出装置104では、Si基板1の両面には、赤外線反射防止膜6,7がコーティングされていない。
【0085】
また、放射検出装置104では、図1中の赤外線吸収部5に代えて、平板状の部材50が変位発生部分10,11の先端部分に接続されている。この部材50は、Al膜9が変位発生部分10,11からそのまま延びることによって構成されている。この部材50は、変位部4に生じた変位に応じた静電容量の変化を得るために用いられる変位読み出し部材としての可動電極部となっている。また、部材50は、赤外線iを略々全反射する赤外線反射部となっている。すなわち、本実施の形態では、赤外線反射部は可動電極部として兼用されている。なお、部材50における後述する赤外線吸収部51との対向面に赤外線反射部としての反射膜を形成し、部材50を可動電極部のみとして用いることもできる。
【0086】
そして、放射検出装置104では、厚さ3000オングストロームのSiN膜からなる平板状の赤外線吸収部51が、その4箇所(1箇所以上であればよい。)の部分が接続部52を介して部材50に固定されることにより、部材50の上方に前述した間隔L1をあけて部材50と実質的に平行に配置されている。これにより、赤外線吸収部51は変位部4に設けられている。本実施の形態では、このようにして赤外線吸収部51が部材50に固定されることによって、部材50は、変位部4の変位にかかわらずに部材50と赤外線吸収部51との相対的な位置関係が実質的に一定に保たれるように、変位部4に設けられている。
【0087】
基板1には、可動電極部としての部材50と対向するように、金属膜からなる固定電極部53が設けられている。固定電極部53の上面は、必要に応じて誘電体膜で覆ってもよい。また、基板1には、この固定電極部53の下側にこの電極53と電気的に接続された拡散層54が形成されるとともに、脚部2,3のコンタクト部2a,3a付近の下側に拡散層55が形成されている。脚部2,3上にはそれぞれ、Al膜9と拡散層55との間(ひいては、可動電極部としての部材50と拡散層55との間)を電気的に接続する配線層56が形成されている。コンタクト部2a,3aにはそれぞれ開口が形成され、これらの開口を介して配線層56が拡散層55と電気的に接続されるようになっている。
【0088】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、変位部4は、変位発生部分10,11、赤外線吸収部51、並びに、赤外線反射部及び可動電極部を兼用する部材50で構成されている。
【0089】
この放射検出装置104によれば、上方から赤外線iが入射すると、前記第1の実施の形態による放射検出装置100と同様の干渉現象によって赤外線吸収部51が赤外線iを吸収して熱を発生する。この熱が変位発生部分10,11に伝わり、この熱に応じてカンチレバーを構成している変位発生部分10,11が下方に湾曲して傾斜する。このため、部材50が、放射吸収部51との相対的な位置関係(すなわち、間隔L1)を保ったまま、入射した赤外線iの量に応じた量だけ基板1の面に対して傾き、可動電極部としての部材50と固定電極部53との間の距離が変化する。これにより、部材50と固定電極部53との間の静電容量の値が変化し、入射赤外線量を拡散層54,55間から静電容量の変化として検出することができる。なお、図面には示していないが、拡散層54,55はその静電容量を読み出す読み出し回路に接続されている。
【0090】
なお、変位部4、脚部2,3及び固定電極部53を単位素子(画素)として、この画素が基板1上に1次元状又は2次元状に配置されており、前記読み出し回路から赤外線画像信号が得られる。
【0091】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0092】
なお、本実施の形態による放射検出装置104も、膜の形成及びパターニング、犠牲層の形成及び除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。
【0093】
[第6の実施の形態]
【0094】
図9は、本発明の第6の実施の形態による静電容量型の放射検出装置105の単位画素(単位素子)を示す概略断面図であり、前述した図8(b)に対応している。図9において、図8中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0095】
この放射検出装置105が図8に示す前記放射検出装置104と異なる所は、以下の点のみである。
【0096】
この放射検出装置105では、図8中の赤外線吸収部51が取り除かれている。また、放射検出装置105では、図8中の部材50の代わりに、入射した赤外線iの一部を反射する赤外線吸収部及び可動電極部として兼用される平板状の部材60が、変位発生部分10,11の先端部分に接続されている。さらに、放射検出装置105では、固定電極部53が、赤外線iを略々全反射する赤外線反射部として兼用されている。部材60と固定電極部53との間の間隔は前述した間隔L1となっている。部材60は、例えば、ITO膜等の金属酸化物膜などで構成される。
【0097】
本実施の形態では、赤外線反射部として兼用されている固定電極部53が基板1に対して固定されているので、変位部4が変位すると間隔L1が変化することから、分光感度特性の安定性の点では前記第5の実施の形態より劣るが、他の点に関しては前記第5の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0098】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。例えば、膜の材料や寸法等は前述したものに限定されない。
【0099】
また、前記第1の実施の形態を変形して第2の実施の形態又は第3の実施の形態を得たのと同様の変形を、前記第4乃至第6の実施の形態に適用してもよい。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、検出感度及び検出応答性の両方を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による放射検出装置の単位画素を示す図であり、図1(a)はその概略平面図、図1(b)は図1(a)中のA−A’線に沿った概略断面図である。
【図2】図1に示す放射検出装置を用いた映像化装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による放射検出装置の単位画素を示す概略平面図である。
【図4】図3中のB−B’線に沿った概略断面図である。
【図5】図3中のC−C’線に沿った概略断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態による放射検出装置の単位画素を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態による放射検出装置の単位画素を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態による放射検出装置の単位画素を示す図であり、図8(a)はその概略平面図、図8(b)は図8(a)中のD−D’線に沿った概略断面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態による放射検出装置の単位画素(単位素子)を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2,3 脚部
4 変位部
5,51 赤外線吸収部
10,11 変位発生部分
12 読み出し光反射部及び赤外線反射部を兼用する部材
41 赤外線反射部
42 読み出し光ハーフミラー部
43 読み出し光反射部
51 可動電極及び赤外線吸収部を兼用する部材
53 固定電極
60 赤外線吸収部及び可動電極部を兼用する部材
100〜105 放射検出装置
Claims (3)
- 基体と、該基体に支持された変位部であって、放射を吸収する放射吸収部を有し該放射吸収部にて発生した熱に応じて前記基体に対して変位する変位部とを備えた放射検出装置であって、
前記放射吸収部が入射した放射の一部を反射する特性を有し、
nを奇数、前記放射の所望の波長域の中心波長をλ0として、前記放射吸収部から空隙によるnλ0/4の間隔をあけて配置された放射反射部を備え、
前記変位部の変位にかかわらずに前記放射反射部と前記放射吸収部との相対的な位置関係が一定に保たれるように、前記放射反射部が前記変位部に設けられたことを特徴とする放射検出装置。 - 前記変位部に設けられ受光した読み出し光を反射する読み出し光反射部を備え、前記放射反射部は、前記読み出し光反射部と兼用されるかあるいは前記読み出し光反射部に形成されたことを特徴とする請求項1記載の放射検出装置。
- 前記基体に設けられた固定電極部と、前記変位部に設けられ前記固定電極部と対向する可動電極部とを備え、前記放射反射部は、前記可動電極部と兼用されるかあるいは前記可動電極部に形成されたことを特徴とする請求項1記載の放射検出装置。
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