JP2007211087A - 絶縁性熱伝導樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電気ノイズの発生を抑制することができ、加工性、放熱性、柔軟性を向上させることのできる効率的で安価な絶縁性熱伝導樹脂及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 高分子マトリクス中に絶縁性充填剤を分散させた絶縁性熱伝導樹脂であって、高分子マトリクスを第一、第二の樹脂として第一の樹脂の溶融温度よりも第二の樹脂の溶融温度を50〜150℃高くし、第一、第二の樹脂を同時に混合した後に絶縁性充填剤と混合して成形する。溶融温度差のある粉状の第一、第二の樹脂を所定の割合で混合するので、効率的であり、誘電率を低くして電気ノイズの発生を低減することができ、しかも、割れにくく容易に損傷しない絶縁性熱伝導樹脂を得ることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 高分子マトリクス中に絶縁性充填剤を分散させた絶縁性熱伝導樹脂であって、高分子マトリクスを第一、第二の樹脂として第一の樹脂の溶融温度よりも第二の樹脂の溶融温度を50〜150℃高くし、第一、第二の樹脂を同時に混合した後に絶縁性充填剤と混合して成形する。溶融温度差のある粉状の第一、第二の樹脂を所定の割合で混合するので、効率的であり、誘電率を低くして電気ノイズの発生を低減することができ、しかも、割れにくく容易に損傷しない絶縁性熱伝導樹脂を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電気・電子機器の動作時に発生する熱を効率的に放熱したり、昨今問題になっている電気ノイズの発生を防ぐことのできる絶縁性熱伝導樹脂及びその製造方法に関するものである。
近年、コンピュータ等の電子装置の内部で発生する熱の放熱が益々問題化しているが、この熱の放熱には、従来、熱伝導シートの使用、金属系酸化物からなるセラミックス型放熱シートの使用、高温でも使用可能なエンジニアリングプラスチックに熱伝導材料を混合して熱伝導性物質を製造する方法等が提案されている(特許文献1、2、3、4、5、6参照)。
特開2005‐167102号公報
特開2000‐204259号公報
特開2005‐235968号公報
特開2005‐340698号公報
特開2002‐197706号公報
特開平9‐17923号公報
しかしながら、熱伝導シートを採用する場合には、金属板に熱伝導材料を含有した接着剤を接着しなければならないので、非効率的であり、しかも、導体、誘電体である金属を使用するので、電気ノイズの発生に十分留意しなければならないという大きな問題がある。また、セラミックス型放熱シートを採用する場合には、加工に高熱を利用する焼結工程が必要になるので、加工性が低く、コストの増大を招くこととなる。
また、シリコーンゴム等に金属系酸化物を充填した放熱シートも提案されているが、放熱効果が1〜3W/mKと低いので、使用しにくいという問題がある。さらに、エンジニアリングプラスチックに熱伝導材料を混合した熱伝導性物質を採用する場合には、十分な熱伝導性を持たせようとすると、大量の熱伝導材料を添加する必要があるので、プラスチックの特性である加工性や柔軟性が失われるおそれが少なくない。
本発明は上記に鑑みなされたもので、電気ノイズの発生を抑制することができ、加工性、放熱性、柔軟性を向上させることのできる効率的で安価な絶縁性熱伝導樹脂及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、高分子マトリクス中に絶縁性充填剤を分散させたものであって、
高分子マトリクスを第一、第二の樹脂として第一の樹脂の溶融温度よりも第二の樹脂の溶融温度を50〜150℃高くし、第一、第二の樹脂を同時に混合した後に絶縁性充填剤と混合して成形するようにしたことを特徴としている。
高分子マトリクスを第一、第二の樹脂として第一の樹脂の溶融温度よりも第二の樹脂の溶融温度を50〜150℃高くし、第一、第二の樹脂を同時に混合した後に絶縁性充填剤と混合して成形するようにしたことを特徴としている。
なお、高分子マトリクスに絶縁性充填剤を50〜98vol%配合することが好ましい。
また、高分子マトリクスを、軟化点あるいは液晶化点が160℃以上の温度を有する2種類以上の液晶ポリマー、ポリフェニルサルファイド、又はポリカーボネートにすることが好ましい。
また、高分子マトリクスを、軟化点あるいは液晶化点が160℃以上の温度を有する2種類以上の液晶ポリマー、ポリフェニルサルファイド、又はポリカーボネートにすることが好ましい。
また、絶縁性充填剤を、金属分子を含む酸化物あるいは窒化物である絶縁性の熱伝導材料とすることが好ましい。
また、高分子マトリクスの第二の樹脂を、第一の樹脂に対して10〜30%配合することが好ましい。
また、高分子マトリクスの第二の樹脂を、第一の樹脂に対して10〜30%配合することが好ましい。
また、本発明においては上記課題を解決するため、高分子マトリクス中に絶縁性充填剤を分散させた絶縁性熱伝導樹脂の製造方法であって、
高分子マトリクスを第一、第二の樹脂として第一の樹脂の溶融温度よりも第二の樹脂の溶融温度を50〜150℃高くし、第一、第二の樹脂を同時に混合した後に絶縁性充填剤と混合して成形することを特徴としている。
高分子マトリクスを第一、第二の樹脂として第一の樹脂の溶融温度よりも第二の樹脂の溶融温度を50〜150℃高くし、第一、第二の樹脂を同時に混合した後に絶縁性充填剤と混合して成形することを特徴としている。
なお、高分子マトリクスに絶縁性充填剤を50〜98vol%配合すると良い。
また、高分子マトリクスを、軟化点あるいは液晶化点が160℃以上の温度を有する2種類以上の液晶ポリマー、ポリフェニルサルファイド、又はポリカーボネートとすると良い。
また、高分子マトリクスを、軟化点あるいは液晶化点が160℃以上の温度を有する2種類以上の液晶ポリマー、ポリフェニルサルファイド、又はポリカーボネートとすると良い。
また、絶縁性充填剤を、金属分子を含む酸化物あるいは窒化物である絶縁性の熱伝導材料にすると良い。
さらに、高分子マトリクスの第二の樹脂を、第一の樹脂に対して10〜30%配合すると良い。
さらに、高分子マトリクスの第二の樹脂を、第一の樹脂に対して10〜30%配合すると良い。
本発明によれば、電気ノイズの発生を抑制することができ、加工性、放熱性、柔軟性等を向上させることができるという効果がある。また、効率的で安価な絶縁性熱伝導樹脂を提供することができる。
また、高分子マトリクスの第二の樹脂を、第一の樹脂に対して10〜30%配合すれば、絶縁性熱伝導樹脂の曲げ強度と可撓性、柔軟性とを適切に両立させることができる。
また、高分子マトリクスの第二の樹脂を、第一の樹脂に対して10〜30%配合すれば、絶縁性熱伝導樹脂の曲げ強度と可撓性、柔軟性とを適切に両立させることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における絶縁性熱伝導樹脂は、高分子マトリクス中に絶縁性充填剤が分散した樹脂であり、高分子マトリクスを第一、第二の樹脂として第一の樹脂の溶融温度よりも第二の樹脂の溶融温度、換言すれば、流動開始温度が50〜150℃、好ましくは50〜100℃高く設定され、第一、第二の樹脂を同時に混合した後に絶縁性充填剤と混合して柔軟な板状やシート状等に射出成形されたり、プレス成形等される。
絶縁性熱伝導樹脂は、高分子マトリクスに絶縁性充填剤が絶縁性を十分確保する観点から50〜98vol%配合される。高分子マトリクスとしては、スーパーエンジニアリングプラスチック、すなわち軟化点あるいは液晶化点が160℃以上の温度を有する2種類以上の液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、又はポリカーボネート(PC)等が使用される。
絶縁性充填剤としては、放熱性に優れるアルミニウム、マグネシウム、ニッケル、金、銀、銅、鉄等からなる金属分子を含む酸化物あるいは窒化物である絶縁性の熱伝導材料が使用される。さらに、高分子マトリクスの第二の樹脂は、第一の樹脂に対して10〜30%、好ましくは20〜29%配合される。
上記において、絶縁性熱伝導樹脂を製造する場合には、先ず、高分子マトリクスとしてペレット状の第一、第二の樹脂を用意し、これら溶融温度の異なる第一、第二の樹脂をジェットミル等の粉砕機により15〜150meshの粒度に調整して第一の樹脂に対して第二の樹脂を10〜30%の割合で配合する。
こうして第一、第二の樹脂を配合したら、これらに粉状に粉砕した絶縁性充填剤を50〜98vol%配合してミキサーにより混合攪拌し、これを所定の温度を有する加圧ニーダーで混練して混練物を製造する。そして、製造した混練物を加熱プレス成形機により加熱加圧し、その後、シーティングして所定の大きさにカットすれば、絶縁性熱伝導樹脂を製造することができる。
このように製造された絶縁性熱伝導樹脂は、例えばコンピュータの熱源であるCPU等に貼着され、CPUから発生する熱を効率的に放熱する。
このように製造された絶縁性熱伝導樹脂は、例えばコンピュータの熱源であるCPU等に貼着され、CPUから発生する熱を効率的に放熱する。
上記によれば、導体、誘電体である大きな金属板に熱伝導材料を含有した接着剤を接着するのではなく、溶融温度差のある粉状の第一、第二の樹脂を所定の割合で混合するので、非常に効率的であり、誘電率を低くして電気ノイズの発生を著しく低減することができしかも、割れにくく容易に損傷しない絶縁性熱伝導樹脂を得ることができる。また、セラミックス型の放熱シートではないので、焼結作業を省略することができ、加工性を向上させてコスト削減を図ることができる。
さらに、粉砕した第一、第二の樹脂に絶縁性充填剤を混合するので、放熱効果が5〜6W/mKと高くなり、利便性を大幅に向上させることができ、しかも、絶縁性と熱伝導性とを両立させることができるので、プラスチックの特性である加工性や柔軟性の喪失を招くおそれがない。
なお、上記実施形態では絶縁性熱伝導樹脂を単にシートに成形したが、何らこれに限定されるものではなく、絶縁性熱伝導樹脂を放熱フィン状に形成したり、長く形成してその一部を電気・電子機器の外部に露出させ、放熱効果を向上させるようにしても良い。
以下、本発明に係る絶縁性熱伝導樹脂及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
先ず、絶縁性熱伝導樹脂製のシートを実施例1、2、3、4、5、6、比較例1、2として製造した。具体的には、表1に示す高分子マトリクスの原料を支給の形態であるペレットからジェットミルにより15〜150meshの粒度に調整した。
先ず、絶縁性熱伝導樹脂製のシートを実施例1、2、3、4、5、6、比較例1、2として製造した。具体的には、表1に示す高分子マトリクスの原料を支給の形態であるペレットからジェットミルにより15〜150meshの粒度に調整した。
原料を15〜150meshの粒度に調整したら、表2に示す樹脂配合中に、表3で示した添加量の絶縁性充填剤をスーパーミキサー(カワタ製)により混合撹拌し、350℃に温度調整された加圧ニーダーで混練して混練物を製造した。そして、製造した混練物を加熱プレス成形機にて加熱(350℃)、加圧(10kgf/cm2)し、シーティングして絶縁性熱伝導樹脂を厚さ2.0mmのシートとした。
このようにして実施例と比較例のシートを製造したら、得られたシートの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定するとともに、JISに規定の曲げ試験(JIS K 7171-1994)を実施し、表4、5にまとめた。表4は各配合からなる熱伝導率の比較であり、表5は各樹脂の曲げ試験の結果である。
表から明らかなように、例え比較例1、2のように熱伝導材料を実施例と同量に添加しても、第一、第二の樹脂の比率が適正でない場合には、良好な曲げ強度が得られないことが判明した。
また、抵抗測定器(三菱化学社製:商品名ハイレスタUPMCP-HT450)を使用するとともに、1015Ω/1000Vまで測定可能なリングプローブ(商品名MCP−HTP16)を用い、シートの抵抗値を測定した。
測定の結果、実施例、比較例共にシートの抵抗値が∞で測定不能となり、絶縁性物質であることを確認した。
測定の結果、実施例、比較例共にシートの抵抗値が∞で測定不能となり、絶縁性物質であることを確認した。
Claims (10)
- 高分子マトリクス中に絶縁性充填剤を分散させた絶縁性熱伝導樹脂であって、高分子マトリクスを第一、第二の樹脂として第一の樹脂の溶融温度よりも第二の樹脂の溶融温度を50〜150℃高くし、第一、第二の樹脂を同時に混合した後に絶縁性充填剤と混合して成形するようにしたことを特徴とする絶縁性熱伝導樹脂。
- 高分子マトリクスに絶縁性充填剤を50〜98vol%配合した請求項1記載の絶縁性熱伝導樹脂。
- 高分子マトリクスを、軟化点あるいは液晶化点が160℃以上の温度を有する2種類以上の液晶ポリマー、ポリフェニルサルファイド、又はポリカーボネートとした請求項1又は2記載の絶縁性熱伝導樹脂。
- 絶縁性充填剤を、金属分子を含む酸化物あるいは窒化物である絶縁性の熱伝導材料とした請求項1、2、又は3に記載の絶縁性熱伝導樹脂。
- 高分子マトリクスの第二の樹脂を、第一の樹脂に対して10〜30%配合した請求項1ないし4いずれかに記載の絶縁性熱伝導樹脂。
- 高分子マトリクス中に絶縁性充填剤を分散させた絶縁性熱伝導樹脂の製造方法であって、
高分子マトリクスを第一、第二の樹脂として第一の樹脂の溶融温度よりも第二の樹脂の溶融温度を50〜150℃高くし、第一、第二の樹脂を同時に混合した後に絶縁性充填剤と混合して成形することを特徴とする絶縁性熱伝導樹脂の製造方法。 - 高分子マトリクスに絶縁性充填剤を50〜98vol%配合する請求項6記載の絶縁性熱伝導樹脂の製造方法。
- 高分子マトリクスを、軟化点あるいは液晶化点が160℃以上の温度を有する2種類以上の液晶ポリマー、ポリフェニルサルファイド、又はポリカーボネートとする請求項6又は7記載の絶縁性熱伝導樹脂の製造方法。
- 絶縁性充填剤を、金属分子を含む酸化物あるいは窒化物である絶縁性の熱伝導材料とする請求項6、7、又は8に記載の絶縁性熱伝導樹脂の製造方法。
- 高分子マトリクスの第二の樹脂を、第一の樹脂に対して10〜30%配合する請求項6ないし9いずれかに記載の絶縁性熱伝導樹脂の製造方法。
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2006
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