JP2007210496A - ワイパ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スイッチ板と接触子との摺動性を損なうことなく導電部と接触子との間の導通不良を改善して、性能の安定化を図ることができるワイパ装置の提供。
【解決手段】リレープレート36のコンタクトプレート34側に、コンタクトプレート34と接触する突出部37をコンタクトプレート34との摺接方向に沿って形成し、突出部37の摺接方向と直交する幅寸法を、コンタクトプレート34の摺接方向と直交する幅寸法以下に設定した。よって、リレープレート36とコンタクトプレート34との間の余分なグリースや両部材の摺動部における磨耗粉を、突出部37とコンタクトプレート34との間から排出して止まらせることを抑制でき、リレープレート36とコンタクトプレート34との摺動性を損なうことなく導通不良を改善し、位置検出時のチャタリング現象の発生を抑えてワイパ装置の性能を安定化することができる。
【選択図】図8
【解決手段】リレープレート36のコンタクトプレート34側に、コンタクトプレート34と接触する突出部37をコンタクトプレート34との摺接方向に沿って形成し、突出部37の摺接方向と直交する幅寸法を、コンタクトプレート34の摺接方向と直交する幅寸法以下に設定した。よって、リレープレート36とコンタクトプレート34との間の余分なグリースや両部材の摺動部における磨耗粉を、突出部37とコンタクトプレート34との間から排出して止まらせることを抑制でき、リレープレート36とコンタクトプレート34との摺動性を損なうことなく導通不良を改善し、位置検出時のチャタリング現象の発生を抑えてワイパ装置の性能を安定化することができる。
【選択図】図8
Description
本発明は、車両に揺動自在に装着されるワイパアームとワイパアームを揺動駆動する電動モータとを備えたワイパ装置に関する。
自動車等の車両には、ウインドガラスに付着した雨、霧、雪、前車の飛沫などの付着物を払拭して運転者の視界を確保するために、ワイパ装置が設けられている。ワイパ装置は、車両に揺動自在に装着されるワイパアームを有しており、ワイパアームはリンク機構を介して電動モータに連結され、電動モータにより揺動駆動される。ワイパアームの先端にはウインドガラスに接触するワイパブレードが装着され、ワイパアームが電動モータにより揺動駆動されると、ワイパブレードがウインドガラス上を揺動運動してウインドガラスが払拭される。
通常、このようなワイパ装置には、例えば特許文献1に示されるように、ワイパ休止時における運転者の視界を確保して車両の安全性を高めるために自動定位置停止装置が組み込まれており、運転者がワイパスイッチを無作為に休止操作した場合であっても、ワイパブレードは常に休止位置つまりウインドガラスの下端部にある下反転位置に停止するようになっている。自動定位置停止装置は、電動モータにより回転駆動されるスイッチ板とスイッチ板に摺接する複数の接触子とを有しており、スイッチ板は樹脂材料等の不導体により形成される回転体(非導電部)と銅板等の導体により形成されるリレープレート(導電部)とを備え、回転体にリレープレートが固定されてスイッチ板の表面には周方向に並べて導電部と非導電部とが形成されている。ワイパブレードが休止位置以外の位置にあるときには、接触子はスイッチ板の導電部に接触して電動モータを通電状態とする電気回路を構成し、これにより、ワイパスイッチが無作為に休止操作されても、電動モータの回転は維持される。また、この状態からワイパブレードが休止位置まで移動すると、接触子はスイッチ板の導電部から非導電部に移行し、これにより電気回路が遮断されて電動モータが停止し、ワイパブレードは休止位置で停止することになる。
また、最近では、電動モータの作動を制御するマイクロコンピュータ等の制御装置を備え、ワイパスイッチが休止操作されたときに、制御装置によってワイパアームを自動的に休止位置に停止させるようにしたワイパ装置が知られている。このようなワイパ装置では、スイッチ板に摺接する接触子は制御装置に接続され、ワイパアームが休止位置になったときにスイッチ板の導電部に接触するようになっており、接触子が導電部に接触したときに接触子は導電部を介して接地され、これにより接触子と導電部との間に微小電流が流れて、制御装置によって位置検出信号としてLOW信号が検出される。そして、ワイパ装置を停止させる場合や間欠動作(INT)させる場合など、ワイパアームを下反転位置で停止させる場合には、制御装置はLOW信号を所定時間間隔で所定回数(例えば5ms間隔で3回)検出したときにワイパアームが休止位置になったことを認識して電動モータを停止させ、これによりワイパアームを下反転位置で停止させることができる。
特開2004−26036号公報
このようなワイパ装置では、スイッチ板と接触子の磨耗およびスイッチ板と接触子との摩擦抵抗や摺接音を低減させるために、スイッチ板の表面に潤滑油としてのグリースが塗布されている。一般的に、グリースは導電性が低いので、スイッチ板の表面に油膜が形成されると、その油膜によりスイッチ板の導電部と接触子との間の導電性が低下する。特に、低温時には、グリースの粘度が高くなるので導電部と接触子との間の導電性を確保することが困難になる。
そのため、導電部と接触子との間に流れる微小電流を位置検出信号としてワイパアームの位置検出を行うようにしたワイパ装置では、導電部と接触子とが油膜により絶縁されると、位置検出を検出できなくなるおそれがある。つまり、導電部と接触子との間に導通不良が生じると、接触子が導電部上にありながら位置検出信号がLOWとならず、制御装置はHIGH信号を検出し、ワイパアームが休止位置となったことを検出することができなくなる。特に、所定間隔で複数回、LOW信号を検出したときに位置検出を行うようにすると、これら複数回の検出信号のいずれか1回の検出時に導通不良が生じると、ワイパアームの位置検出がされないことになる。このような場合、ワイパアームが休止位置である下反転位置に達しても電動モータは停止されず、ワイパアームの払拭動作が継続されてしまうという問題がある。
また、ワイパアームを間欠動作させる場合にあっては、導電部と接触子との間の導通不良により位置検出が行えなくなると、ワイパアームを下反転位置で休止させることができなくなるので、ワイパスイッチが間欠位置(INT)に操作されても、ワイパアームは間欠動作をせずに連続して払拭動作するおそれがあり、その改善が求められていた。
このような導通不良を改善すべく、スイッチ板に対する接触子の接触圧を高めることによって各部材間から排出されるグリースの量を増やし、導電部と接触子との間の導電性を確保することが考えられる。しかし、むやみに接触圧を高めると、スイッチ板と接触子との摺動性が悪化して各部材の摺動部における摩耗が増大し、結局は磨耗が進むにつれて導電部と接触子との間の接触圧が低下することになり、上記のような導通不良を改善することができない。
また、スイッチ板に粘度の低いグリースを塗布することが考えられるが、この場合、スイッチ板に対する接触子の接触圧を高める場合と同様に、導電部と接触子との間の導電性を確保することができる反面、やはりスイッチ板と接触子との摺動部の摩耗が増大することになるので、上記のような導通不良を改善することができない。
さらに、導電部の表面に、ショットブラスト加工等を施すことによってグリースを収容する微細な溝等を形成することが考えられるが、この場合、導電部の表面加工を均一の表面粗さとなるように管理するのが困難、つまり、製品毎のバラツキを招くこととなり、ひいては、ワイパ装置の性能が不安定になるといった問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スイッチ板と接触子との摺動性を損なうことなく導電部と接触子との間の導通不良を改善して、性能の安定化を図ることができるワイパ装置を提供することにある。
本発明のワイパ装置は、車両に揺動自在に装着されるワイパアームと前記ワイパアームに連結され前記ワイパアームを揺動駆動するワイパモータとを備えたワイパ装置であって、前記ワイパモータは、電動モータと前記電動モータにより駆動される減速機とを有し、前記減速機には、導電部と非導電部とが設けられて前記ワイパモータに回転駆動されるスイッチ板と、前記スイッチ板に摺接し前記ワイパアームが休止位置となったときに前記導電部に接触する接触子とが配設され、ワイパスイッチが休止操作された状態のもとで前記接触子が前記導電部に接触したときに位置検出信号を検出して前記電動モータを停止させる制御手段を有し、前記導電部の前記接触子側に、前記接触子と接触する突出部を前記接触子との摺接方向に沿って形成したことを特徴とする。
本発明のワイパ装置は、前記突出部の前記摺接方向と直交する幅寸法を、前記接触子の前記摺接方向と直交する幅寸法以下に設定したことを特徴とする。
本発明のワイパ装置は、前記突出部の前記接触子との対向位置に、前記接触子の前記摺接方向に沿う溝部を形成したことを特徴とする。
本発明のワイパ装置は、前記導電部に形成される前記突出部を、前記制御手段が前記位置検出信号を検出する信号検出位置に形成したことを特徴とする。
本発明のワイパ装置は、前記スイッチ板の基準面と前記突出部との間に、前記基準面から前記突出部の前記接触子との対向位置に向かって傾斜する傾斜面を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、導電部の接触子側に、接触子と接触する突出部を接触子との摺接方向に沿って形成したので、導電部と接触子との間の導通不良を引き起こす余分なグリースや両部材の摺動部における磨耗粉を、突出部と接触子との間から排出してこれらの間に止まらせることを抑制することができ、ワイパ装置の性能を安定化することができる。
本発明によれば、突出部の摺接方向と直交する幅寸法を、接触子の摺接方向と直交する幅寸法以下に設定したので、導電部と接触子との間の導通不良を引き起こす余分なグリースや両部材の摺動部における磨耗粉を、突出部と接触子との間から排出して止まらせることを抑制することができ、したがって、導電部と接触子との摺動性を損なうことなく導通不良を改善して、ワイパ装置の性能を安定化することができる。
本発明によれば、突出部の接触子との対向位置に接触子の摺接方向に沿う溝部を形成したので、この溝部によって、導電部と接触子との間の導電不良を引き起こす余分なグリースを溜めたり、両部材の接触面積を小さくして両部材の摺動部における磨耗量を低減したりでき、したがって、ワイパ装置の使用に伴う導電部に対する接触子の接触圧の低下を抑制することができる。
本発明によれば、導電部に形成される突出部を、制御手段が位置検出信号を検出する信号検出位置に形成したので、信号検出位置における導通不良を改善して、位置検出信号を確実に検出することができる。
本発明によれば、スイッチ板の基準面と突出部との間に、基準面から突出部の接触子との対向位置に向かって傾斜する傾斜面を形成したので、この傾斜面によって、基準面から突出部または突出部から基準面に向かって、接触子を略抵抗無くスムーズに摺接させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態であるワイパ装置が設けられた車両の一部を示す正面図であり、この車両11にはウインドガラス12に付着した雨や前車の飛沫等を拭き取って運転者の視界を確保するためにワイパ装置13が設けられている。ワイパ装置13は運転席側と助手席側の2本のワイパアーム14を有しており、これらのワイパアーム14はそれぞれ車両11に設けられたワイパ軸15に装着され、ワイパ軸15を中心として揺動自在となっている。
ワイパアーム14を揺動駆動するために、ワイパ装置13にはワイパモータ16が設けられており、このワイパモータ16は車両11に固定され、その出力軸17はリンク機構18を介してワイパ軸15に連結されている。ワイパモータ16が作動すると出力軸17の回転運動はリンク機構18により揺動運動に変換されてワイパ軸15に伝達され、これによりワイパアーム14は所定の角度範囲(図中2点鎖線の範囲)で揺動する。ワイパアーム14の先端にはワイパブレード19が取り付けられ、これらのワイパブレード19はウインドガラス12に弾圧的に接触しており、ワイパモータ16によりワイパアーム14が揺動駆動されると、ワイパブレード19がウインドガラス12上を揺動してウインドガラス12が払拭される。
図2は図1に示すワイパモータの詳細を示す一部切り欠き断面図であり、図3は図2に示すウォームギヤ機構の詳細を示す正面図である。
図2に示すように、ワイパモータ16は電動モータ21と、電動モータ21の回転を減速する減速機22とが連結されており、図示する場合では、電動モータ21はブラシ付きモータとなっており、車両11に搭載される電源つまりバッテリ(図示せず)から供給される駆動電流により作動する。電動モータ21の回転軸21aは減速機22のギヤケース23の内部に突出しており、この回転軸21aの外周面には一対のウォーム24a,24bが一体に形成され、これらのウォーム24a,24bに噛み合う一対のウォームホイル25a,25bがギヤケース23の内部に回転自在に組み込まれている。また、各ウォームホイル25a,25bにはそれぞれピニオンギヤ26a,26bが同軸に固定されており、これらのピニオンギヤ26a,26bに噛み合う出力ギヤ27が出力軸17に固定されている。したがって、電動モータ21が作動すると、その回転軸21aの回転はウォーム24a,24bからウォームホイル25a,25b、ピニオンギヤ26a,26bから出力ギヤ27へと2段階に減速されて出力軸17からリンク機構18に伝達される。
図4は図2に示すワイパモータに設けられる自動定位置停止装置の詳細を示す正面図、図5は図4に示す自動定位置停止装置の分解斜視図、図6は図5に示すスイッチプレート単体の正面図、図7は図6に示すスイッチプレートのA−A線に沿う断面図、図8は図7に示す破線円C部分の拡大断面図、図9は図6に示す破線楕円部分をB方向から見た拡大断面図である。
図1に示した本発明におけるワイパ装置13には、自動定位置停止装置32が設けられており、この自動定位置停止装置32は減速機22のギヤケース23の内部に組み込まれている。自動定位置停止装置32は、図4および図5に示すように、スイッチ板としてのスイッチディスク33と接触子としての3つのコンタクトプレート34a,34b,34cとを有している。
スイッチディスク33は回転体としてのディスク本体35とディスク本体35に固定される導電部としてのリレープレート36とを有しており、ボス部33aにおいてギヤケース23に設けられる突起部23aに回転自在に支持されている。また、スイッチディスク33はディスク本体35に形成された係合凸部35aが出力ギヤ27の端面に設けられた係合凸部27aに係合している。そして、電動モータ21が作動するとスイッチディスク33は出力ギヤ27とともに回転する。つまり、スイッチディスク33は電動モータ21により駆動されて回転するようになっている。ディスク本体35は不導体であるプラスチック等の樹脂材料により円板状に形成され、リレープレート36は、青銅や黄銅等を基本材料とした銅系の金属板をプレス加工等の加工手段によって環状に形成されている。そして、リレープレート36は、リレープレート36と同一形状に形成されたディスク本体35の嵌め合い部分に、軽圧入することによって固定されている。
図5および図6に示すように、リレープレート36は、外周側から径方向内側に向けて配置される3つの接触領域36a,36b,36cを備えており、接触領域36aはO形に形成された接触領域36bの外側に部分的に突出して形成され、接触領域36cは所定の角度範囲のC形に形成されて接触領域36bの内側に連ねて形成されている。また、スイッチディスク33の表面のリレープレート36の接触領域36a,36b,36c以外の領域はディスク本体35が露出しており、接触領域36aに対して周方向に並ぶ部分は非導電部35bとなっており、接触領域36cに対して周方向に並ぶ部分は非導電部35cとなっている。つまり、スイッチディスク33の表面には、導電部としてのリレープレート36による接触領域36a,36b,36cと、ディスク本体35による非導電部35b,35cとが設けられている。
リレープレート36の接触領域36a,36bには、図7ないし図9に示すように、スイッチディスク33の表面(スイッチ板の基準面)から図中上方側、つまり、コンタクトプレート34a,34b側に、このコンタクトプレート34a,34bと接触する突出部37a,37bが突出して形成されている。この突出部37a,37bは、スイッチディスク33の表面から、例えば、0.1〜0.5mmの高さ寸法で突出しており、リレープレート36における接触領域36a,36bに対して、その周方向全域に亘って形成されている。また、突出部37a,37bのコンタクトプレート34a,34bの摺接方向と直交する幅寸法は、コンタクトプレート34a,34bの直径寸法以下に設定され、突出部37a,37b上を、コンタクトプレート34a,34bがそれぞれ踏み外すことなく摺接するようになっている。
図7および図8に示すように、突出部37a,37bの幅方向中央部、つまり、コンタクトプレート34a,34bとの対向位置には、コンタクトプレート34a,34bとの摺接方向に沿うようにして溝部38a,38bが一体的に形成されている。この溝部38a,38bは、断面が略V字状に形成されており、溝部38a,38bの一番深い部分の深さは、例えば、0.1〜0.3mmに設定されている。
リレープレート36の接触領域36aに形成した突出部37aの周方向両端部には、図9に示すように突出部37aの上面、つまり、コンタクトプレート34aとの対向面とスイッチディスク33の表面との間を接続する一対の傾斜面39が一体的に形成されており、各々の傾斜面39は、図中上方に膨らむ円弧形状となっている。このように傾斜面39を設けることにより、スイッチディスク33の表面と突出部37aの上面とが、段差変化無く滑らかに接続されることとなる。この傾斜面39によって、コンタクトプレート34aが図中矢印に示すようにディスク本体35の非導電部35bから突出部37aの上面へ、または、突出部37aの上面からディスク本体35の非導電部35bへ、略抵抗無く摺接可能となっている。なお、リレープレート36は、1回のプレス加工を金属板に施すことによって、突出部37a,37b、溝部38a,38bおよび傾斜面39を形成すると同時に、金属板から環状に切り離すことによって形成される。
図10は図4に示す自動定位置停止装置の回路構成を示す回路図である。
自動定位置停止装置32は、操作者によってワイパスイッチ(図示せず)が無作為に休止操作された場合、つまり、ワイパスイッチが低速作動位置(以下LOW位置とする)または高速作動位置(以下HIGH位置とする)から無作為に停止位置(以下OFF位置とする)に切り替えられた場合、ワイパアーム14を常に休止位置である下反転位置に停止させる機能を有している。
自動定位置停止装置32を構成する3つのコンタクトプレート34a,34b,34cは、それぞれギヤケース23に固定されており、図10に示すように、コンタクトプレート34aは接地されるとともに、サーキットブレーカ40を介して電動モータ21の一方のブラシ21bに接続され、コンタクトプレート34bは車両11に搭載される制御手段としての制御装置41に接続されている。また、本実施の形態においてはコンタクトプレート34cを使用していないが、このコンタクトプレート34cは、制御装置を用いずにリレープレート36とコンタクトプレート34a,34b,34cとの接触により電動モータ21を通電状態に維持するタイプの自動定位置停止装置に対して共用するために設けられたものである。ここで、コンタクトプレート34cを使用する場合には、これに対応させて、リレープレート36の接触領域36cに、接触領域36aと同様に突出部,溝部および傾斜面を形成するようにすれば良い。
コンタクトプレート34a,34b,34cは、それぞれスイッチディスク33に対して所定の接触圧で接触しており、スイッチディスク33が回転すると、その回転に応じて、スイッチディスク33上をコンタクトプレート34a,34b,34cが摺接するようになっている。コンタクトプレート34aは、接触領域36aの突出部37a(図10中一点鎖線部分)と非導電部35bとに摺接し、ワイパアーム14が休止位置つまり下反転位置となったときには接触領域36aの突出部37aに接触するようになっている。また、スイッチディスク33の回転に応じて、コンタクトプレート34bは接触領域36bの突出部37bに対して常時摺接し、コンタクトプレート34cは接触領域36cと非導電部35cとに摺接するようになっている。
制御装置41は、図示しないCPU(中央演算処理装置)や図示しないメモリ等を備えたマイクロコンピュータ41aと、電動モータ21の低速用ブラシ21cと高速用ブラシ21dとをキースイッチ42を介してバッテリ43に接続させる一対のリレースイッチ41b,41cとを有しており、ワイパスイッチがLOW位置に切り替えられると、リレースイッチ41b,41cはマイクロコンピュータ41aによりバッテリ43と低速用ブラシ21cとを接続する状態に切り替えられ、これにより電動モータ21に駆動電流が供給されて電動モータ21は低速運転モードで作動する。一方、ワイパスイッチがHIGH位置に切り替えられるとリレースイッチ41b,41cはマイクロコンピュータ41aによりバッテリ43を高速用ブラシ21dに接続する状態に切り替えられ、これにより電動モータ21に駆動電流が供給されて電動モータ21は低速運転モードよりも高速となる高速運転モードで作動する。電動モータ21が作動すると、これに駆動されてスイッチディスク33が回転し、スイッチディスク33に対する各コンタクトプレート34a,34b,34cの接触位置が変化する。なお、電動モータ21を停止させるときには、各リレースイッチ41b,41cはマイクロコンピュータ41aにより高速用ブラシ21dを接地させる状態に切り替えられ、これにより電動モータ21は短絡ブレーキが作用して確実に停止される。
また、マイクロコンピュータ41aは、コンタクトプレート34aが接触領域36aの突出部37aに接触したときには、各コンタクトプレート34a,34bとリレープレート36とを介して接地されて位置検出信号としてLOW信号を検出し、コンタクトプレート34aが非導電部35bにあるときには位置検出信号としてHIGH信号を検出するようになっている。そして、マイクロコンピュータ41aは、ワイパスイッチが休止操作された状態のもと、つまりワイパスイッチがOFFとされた状態のもとで、所定時間毎に複数回(5ms毎の3回)連続してLOW信号を検出したときに、ワイパアーム14が休止位置つまり下反転位置となったことを認識し、電動モータ21を停止させるようになっている。
図11(a),(b)はスイッチディスクに対するコンタクトプレートの接触状態の変化を概略で示す説明図であり、以下図11に基づいて本発明におけるワイパ装置13の作動について説明する。
まず、キースイッチ42を閉じた状態でワイパスイッチをOFF位置からLOW位置に切り替えると、電動モータ21の低速用ブラシ21cにバッテリ43から駆動電流が供給され、電動モータ21は低速運転モードで作動を開始する。電動モータ21が作動すると、その出力が減速機22とリンク機構18とを介してワイパ軸15に揺動運動として伝達され、ワイパ軸15に取り付けられたワイパアーム14が揺動してワイパブレード19によるウインドガラス12の払拭動作が行われる。また、ワイパスイッチをHIGH位置に切り替えると、バッテリ43の駆動電流が高速用ブラシ21dに供給され、電動モータ21は低速運転モードよりも高速で作動し、ワイパブレード19は高速運転モードでウインドガラス12を払拭する。
一方、ワイパ装置13の作動中に、ワイパスイッチがLOW位置またはHIGH位置から無作為にOFF位置に切り替えられたときには、自動定位置停止装置32により、電動モータ21はワイパブレード19が休止位置つまり下反転位置となったときに自動的に停止することになる。たとえば、ワイパブレード19が休止位置以外の作動位置にあるときにはスイッチディスク33は、図11(a)に示す回転位置にあり、この状態からワイパスイッチがLOW位置またはHIGH位置から無作為にOFF位置に切り替えられても、制御装置41により各リレースイッチ41b,41cは電動モータ21への通電を維持するように制御され、電動モータ21は作動を継続する。
電動モータ21が回転を続けてワイパブレード19が下反転位置つまり休止位置にまで移動すると、スイッチディスク33が図11(b)に示す位置まで回転し、コンタクトプレート34aは、接触領域36aの傾斜面39を介して突出部37a上に乗り上げて接触する。コンタクトプレート34aが突出部37aに接触すると、コンタクトプレート34bはリレープレート36とコンタクトプレート34aとを介して接地され、コンタクトプレート34a,34bとリレープレート36との間に微小電流(例えば5〜70mA)が流れ、これによりマイクロコンピュータ41aに位置検出信号としてLOW信号が入力される。そして、このLOW信号を所定時間毎に複数回(5ms毎の3回)連続して検出したとき(LOW−LOW−LOW)に、マイクロコンピュータ41aはワイパアーム14が休止位置つまり下反転位置となったことを認識し、各リレースイッチ41b,41cを制御して電動モータ21の高速用ブラシ21dを接地させ、これにより短絡ブレーキを作用させた状態で電動モータ21を停止させる。
このように、ワイパアーム14が休止位置以外の作動位置にあるときにワイパスイッチが無作為に休止操作されても、制御装置41によりワイパアーム14が休止位置になったことが検出されるまでは電動モータ21は通電状態に維持され、ワイパアーム14が休止位置に達したときに電動モータ21の作動が停止されるので、ワイパアーム14を自動的に休止位置に停止させることができる。
ここで、コンタクトプレート34a,34bが、接触領域36a,36bの突出部37a,37b上を摺接することにより、ワイパモータ16の製造時(組立時)に突出部37a,37b上に塗布されたグリース(図示せず)を突出部37a,37b上に均一に行き渡らせ、スイッチディスク33に対するコンタクトプレート34a,34bの摺動抵抗を低く維持するようになっている。
そして、リレープレート36とコンタクトプレート34a,34bとの間の導通不良を引き起こす余分なグリースや、リレープレート36およびコンタクトプレート34a,34bの磨耗粉が、コンタクトプレート34a,34bの突出部37a,37bへの接触圧によって、溝部38a,38b内、あるいは、突出部37a,37bの内周側や外周側に流れる。これにより、溝部38a,38bはグリース溜りとして機能し、リレープレート36とコンタクトプレート34a,34bとの摺動抵抗を所定の低い値に維持するとともに、両部材の高い導電性を確保するようになっている。
以上詳述したように、本実施の形態におけるワイパ装置13によれば、リレープレート36のコンタクトプレート34側に、コンタクトプレート34と接触する突出部37をコンタクトプレート34との摺接方向に沿って形成し、突出部37の摺接方向と直交する幅寸法を、コンタクトプレート34の摺接方向と直交する幅寸法以下に設定したので、リレープレート36とコンタクトプレート34との間の導通不良を引き起こす余分なグリースや両部材の摺動部における磨耗粉を、突出部37とコンタクトプレート34との間から排出してこれらの間に止まらせることを抑制することができる。したがって、リレープレート36とコンタクトプレート34との摺動性を損なうことなく導通不良を改善して、位置検出時のチャタリング現象の発生を抑えることができる。また、リレープレート36は、1回のプレス加工を金属板に施すことによって形成することができるので、従来技術で述べたような表面加工を施したりする必要が無く、製品毎のバラツキを抑えて、ワイパ装置13の性能の安定化を図ることができる。
また、本実施の形態におけるワイパ装置13によれば、突出部37のコンタクトプレート34との対向位置にコンタクトプレート34の摺接方向に沿う溝部38を形成したので、この溝部38によって、リレープレート36とコンタクトプレート34との間の導電不良を引き起こす余分なグリースを溜めたり、両部材の接触面積を小さくして両部材の摺動部における磨耗量を低減したりできる。したがって、ワイパ装置13の使用(経年変化)に伴うリレープレート36に対するコンタクトプレート34の接触圧の低下を抑制することができる。
さらに、本実施の形態におけるワイパ装置13によれば、スイッチディスク33の表面と突出部37との間に、表面から突出部37のコンタクトプレート34との対向位置に向かって傾斜する傾斜面39を形成したので、この傾斜面39によって、スイッチディスク33の表面から突出部37または突出部37からスイッチディスク33の表面に向かって、コンタクトプレート34を略抵抗無くスムーズに摺接させることができる。
次に、本発明における他の実施の形態(第2実施の形態)について、図11(b)に基づいて説明する。
他の実施の形態では、上述した実施の形態に比して、リレープレート36の接触領域36bにおけるLOW信号を検出する位置、つまり、位置検出信号を検出する信号検出位置にのみ突出部37b1(図11(b)中の破線楕円部分)を形成した点のみが異なっている。この突出部37b1は、コンタクトプレート34aが接触領域36aの突出部37a上にあるときに、コンタクトプレート34bが接触領域36bに位置するところに設けられ、その周方向寸法は突出部37aの周方向寸法と略同一となっている。また、突出部37b1の周方向両端部には、突出部37aと同様の傾斜面(図示せず)が形成されている。
以上のように構成した本発明における他の実施の形態においても、上述した実施の形態と同様の作用および効果を奏することができる。また、他の実施の形態におけるワイパ装置13によれば、それに加え、信号検出位置における導通不良を改善して、位置検出信号を確実に検出することができるとともに、リレープレート36に形成される突出部37を、制御装置41が位置検出信号を検出する信号検出位置に形成したので、リレープレート36をプレス加工する時に使用する型の形状を簡素化することができる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、上記実施の形態においては、溝部38の断面形状を略V字形状としたものを示したが、本発明はこれに限らず、溝部の断面形状を半円形状や四角形形状にしても良いものである。
また、上記実施の形態においては、突出部37のコンタクトプレート34の摺接方向に沿う溝部38を形成したものを示したが、本発明はこれに限らず、溝部を廃止しても構わない。この場合、上記実施の形態に対し、突出部の幅寸法をコンタクトプレートの幅寸法に対して溝部の幅寸法分だけさらに小さく設定することにより、リレープレートとコンタクトプレートとの摺動部の磨耗量を同等に保持することができる。
さらに、上記実施の形態においては、傾斜面39を突出部37aの周方向両端部に一体的に形成したものを示したが、本発明はこれに限らず、突出部37aには傾斜面を形成せず、接触領域36aの周方向に隣接する非導電部35bに傾斜面を一体的に形成するようにしても良い。また、傾斜面の形状は、コンタクトプレート34側に向かって膨らむ円弧形状でなくとも、逆円弧形状(反対側に膨らむ円弧形状)や直線で接続するテーパ形状等であっても良く、要は、コンタクトプレート34をスムーズに摺接させることができる形状であれば良いものである。
さらに、上記実施の形態においては、本発明におけるワイパ装置を、車両におけるフロントのウインドガラスを払拭するものを示したが、本発明はこれに限らず、車両におけるリヤのウインドガラスを払拭するためのワイパ装置にも適用することができる。
11 車両
12 ウインドガラス
13 ワイパ装置
14 ワイパアーム
15 ワイパ軸
16 ワイパモータ
17 出力軸
18 リンク機構
19 ワイパブレード
21 電動モータ
21a 回転軸
21b ブラシ
21c 低速用ブラシ
21d 高速用ブラシ
22 減速機
23 ギヤケース
23a 突起部
24a ウォーム
25a ウォームホイル
26a ピニオンギヤ
27 出力ギヤ
27a 係合凸部
32 自動定位置停止装置
33 スイッチディスク(スイッチ板)
33a ボス部
34 コンタクトプレート(接触子)
34a コンタクトプレート(接触子)
34b コンタクトプレート(接触子)
34c コンタクトプレート(接触子)
35 ディスク本体
35a 係合凸部
35b 非導電部
35c 非導電部
36 リレープレート(導電部)
36a 接触領域(導電部)
36b 接触領域(導電部)
36c 接触領域(導電部)
37 突出部
37a 突出部
37b 突出部
37b1 突出部
38 溝部
38a 溝部
38b 溝部
39 傾斜面
40 サーキットブレーカ
41 制御装置(制御手段)
41a マイクロコンピュータ
41b リレースイッチ
41c リレースイッチ
42 キースイッチ
43 バッテリ
12 ウインドガラス
13 ワイパ装置
14 ワイパアーム
15 ワイパ軸
16 ワイパモータ
17 出力軸
18 リンク機構
19 ワイパブレード
21 電動モータ
21a 回転軸
21b ブラシ
21c 低速用ブラシ
21d 高速用ブラシ
22 減速機
23 ギヤケース
23a 突起部
24a ウォーム
25a ウォームホイル
26a ピニオンギヤ
27 出力ギヤ
27a 係合凸部
32 自動定位置停止装置
33 スイッチディスク(スイッチ板)
33a ボス部
34 コンタクトプレート(接触子)
34a コンタクトプレート(接触子)
34b コンタクトプレート(接触子)
34c コンタクトプレート(接触子)
35 ディスク本体
35a 係合凸部
35b 非導電部
35c 非導電部
36 リレープレート(導電部)
36a 接触領域(導電部)
36b 接触領域(導電部)
36c 接触領域(導電部)
37 突出部
37a 突出部
37b 突出部
37b1 突出部
38 溝部
38a 溝部
38b 溝部
39 傾斜面
40 サーキットブレーカ
41 制御装置(制御手段)
41a マイクロコンピュータ
41b リレースイッチ
41c リレースイッチ
42 キースイッチ
43 バッテリ
Claims (5)
- 車両に揺動自在に装着されるワイパアームと前記ワイパアームに連結され前記ワイパアームを揺動駆動するワイパモータとを備えたワイパ装置であって、
前記ワイパモータは、電動モータと前記電動モータにより駆動される減速機とを有し、
前記減速機には、導電部と非導電部とが設けられて前記ワイパモータに回転駆動されるスイッチ板と、前記スイッチ板に摺接し前記ワイパアームが休止位置となったときに前記導電部に接触する接触子とが配設され、
ワイパスイッチが休止操作された状態のもとで前記接触子が前記導電部に接触したときに位置検出信号を検出して前記電動モータを停止させる制御手段を有し、
前記導電部の前記接触子側に、前記接触子と接触する突出部を前記接触子との摺接方向に沿って形成したことを特徴とするワイパ装置。 - 請求項1記載のワイパ装置において、前記突出部の前記摺接方向と直交する幅寸法を、前記接触子の前記摺接方向と直交する幅寸法以下に設定したことを特徴とするワイパ装置。
- 請求項1または2記載のワイパ装置において、前記突出部の前記接触子との対向位置に、前記接触子の前記摺接方向に沿う溝部を形成したことを特徴とするワイパ装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパ装置において、前記導電部に形成される前記突出部を、前記制御手段が前記位置検出信号を検出する信号検出位置に形成したことを特徴とするワイパ装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のワイパ装置において、前記スイッチ板の基準面と前記突出部との間に、前記基準面から前記突出部の前記接触子との対向位置に向かって傾斜する傾斜面を形成したことを特徴とするワイパ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006033491A JP2007210496A (ja) | 2006-02-10 | 2006-02-10 | ワイパ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006033491A JP2007210496A (ja) | 2006-02-10 | 2006-02-10 | ワイパ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007210496A true JP2007210496A (ja) | 2007-08-23 |
Family
ID=38489298
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006033491A Pending JP2007210496A (ja) | 2006-02-10 | 2006-02-10 | ワイパ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007210496A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021040426A (ja) * | 2019-09-04 | 2021-03-11 | 株式会社ミツバ | ワイパモータ |
-
2006
- 2006-02-10 JP JP2006033491A patent/JP2007210496A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021040426A (ja) * | 2019-09-04 | 2021-03-11 | 株式会社ミツバ | ワイパモータ |
JP7323390B2 (ja) | 2019-09-04 | 2023-08-08 | 株式会社ミツバ | ワイパモータ |
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