JP2007210199A - 再生プラスチックの脱臭方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃プラスチックが有する刺激臭や生ごみ臭などの臭気が除去され、且つ実用に供し得る強度が確保された再生プラスチックを製造する。
【解決手段】チップ状に破砕した廃プラスチックP1に水酸化カルシウムCを添加し、溶融して押出成形されたストランドP2を小塊にカットしてペレットP3を製造する。ペレットP3を再度溶融して射出成形することにより再生プラスチックパレットを製造する。廃プラスチックP1に1重量%〜5重量%(好ましくは1.5重量%〜3重量%)の水酸化カルシウムCを添加することにより、廃プラスチックP1が有する刺激臭や生ごみ臭などの臭気が除去され、且つ実用に供し得る強度が確保された再生プラスチック成形品を製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、再生プラスチックの脱臭方法に関し、特に廃プラスチックが発する臭気を再生プラスチックに製造する過程で除去する脱臭方法に関する。
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)では、販売する商品について容器包装を使用する事業者および容器包装を製造する事業者に、家庭などから排出される容器包装廃棄物の再商品化(リサイクル)を義務付けており、さまざまな事業者が容器包装廃棄物の再商品化に取り組んでいる。
これらプラスチック製の容器包装廃棄物は例えば一般家庭等で排出される食品トレー等のプラスチック容器や包装材等であり、ポリプロピレンやポリエチレン等を主材料としている。容器包装廃棄物は、家電、自動車等から排出される一般プラスチック廃棄物と共にリサイクルされ、例えばプラスチック製パレットやコンテナ等に再生されることになる。しかし、これら容器包装廃棄物には食品等の各種の臭いが染みついているため、リサイクル処理に先立ってこれら容器包装廃棄物が発する刺激臭や生ごみ臭などの臭気を除去するために洗浄処理を行っている。
一方、例えば特許文献1等で示すように、プラスチック製容器包装廃棄物やその他の一般プラスチック製品の廃棄物等である廃プラスチックにはポリ塩化ビニルPVCが混入している。この廃プラスチックをリサイクルプラスチック材として使用する際に、成形時に塩酸が発生して金型等を錆びさせるのを防ぐために、リサイクルプラスチック材に0.1重量%以上の受酸剤を混合するとしている。廃プラスチックをリサイクルプラスチック材やペレット化する際に、受酸剤を添加することによって成形時に塩酸の発生を抑制できるとしている。受酸剤としては、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸マグネシウム等を用いることができるとされている。
特開2005−67196号公報
ところで、家庭等から排出される食品トレーや包装フィルム等の容器包装廃棄物は、洗浄処理のみでは容器包装廃棄物に染みついた刺激臭や生ゴミ臭などを十分に除去できなかった。そのため、洗浄後の容器包装廃棄物や一般プラスチック廃棄物等からなる廃プラスチックを加熱溶融して成形し、パレットやコンテナ等の再生プラスチック成形品を製造したり、ペレット等の成形材料からなる再生プラスチックを製造したとしても、臭気が発生するという不具合があった。特に、大気温や室温等の環境温度が30℃以上になると、再生プラスチック成形品や再生プラスチック材料中に残存する臭気がより強く発生するという不具合がある。
特に再生プラスチックを食品や薬品等の搬送・保管用トレーに再生した場合には臭気のために不衛生であり不快感を与える不具合があった。
また、特許文献1に記載の廃プラスチックのリサイクル時における塩酸の抑制方法では、再生プラスチックに受酸剤を添加することで塩酸の発生を抑制できるが、食品トレーや包装等に付着して残存した臭気の除去や抑制については全く言及されていなかった。そのため、特許文献1に記載のように受酸剤を0.1重量%程度またはそれ以上添加することによって再生プラスチックに付着混入している臭気を除去できず、上述した不具合は改善されていなかった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、廃プラスチックが有する刺激臭や生ごみ臭などの臭気を除去すると共に実用に供し得る強度が確保された再生プラスチックを製造できる再生プラスチックの脱臭方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る再生プラスチックの脱臭方法は、廃プラスチックに周期律表第II族金属の水酸化物を1重量%〜5重量%添加すると共に廃プラスチックを溶融して、再生プラスチックを製造するようにしたことを特徴とする。
本発明は、溶融前の廃プラスチックまたは溶融状態の廃プラスチックに、周期律表第II族金属の水酸化物を1重量%〜5重量%の範囲で添加して混合・溶融することにより、周期律表第II族金属の水酸化物で廃プラスチックに付着した臭気を除去することができると共に生成された再生プラスチックの強度を確保することができる。ここで、周期律表第II族金属の水酸化物が1重量%未満だと、臭気の吸着除去が不十分であり再生プラスチック中に臭気が残存して臭気を発する欠点があり、逆に周期律表第II族金属の水酸化物が5重量%を超えると再生プラスチックの強度低下が大きくなり、更に添加した周期律表第II族金属の水酸化物自体の臭気が再生プラスチックに加わるおそれもある。
なお、再生プラスチックとして、廃プラスチックに1重量%〜5重量%の周期律表第II族金属の水酸化物を添加したものを溶融した後に冷却硬化させた再生プラスチック材料、例えばペレットでもよいし、更に再生プラスチック材料を再度溶融して射出成形により再生プラスチックの製品として成形したものでもよく、材料等の素材製品や再生品であるパレット等の最終製品でもよく、任意である。
本発明では、廃プラスチックに1重量%〜5重量%の周期律表第II族金属の水酸化物を添加して混合・溶融することによって再生プラスチックを製造することで、廃プラスチックに付着した刺激臭や生ごみ臭等の臭気が除去され且つ実用に供し得る強度が確保された再生プラスチックを製造することができる。
本発明に係る再生プラスチックの脱臭方法では、周期律表第II族金属の水酸化物として、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等を用いることができるが、水酸化カルシウムが脱臭効果が大きく、しかも低コストであり、使用に適している。
また、本発明では、廃プラスチックに、さらに水を添加するようにしてもよい。廃プラスチックに水を添加することにより、廃プラスチックの加熱溶融時に水蒸気が生成されるために、この水蒸気によって臭気成分を更に除去できることになり脱臭効果がより大きくなる。
なお、廃プラスチックを再使用するに際し、その前工程で廃プラスチックを洗浄処理するが、その際に添加された洗浄用の水分が十分に乾燥・除去されずに廃プラスチック中に付着している場合には、必ずしも別工程として水や水蒸気を添加する必要はない。また廃プラスチックは破砕した状態で溶融することが好ましい。
以下、本発明による再生プラスチックの脱臭方法の実施例について、商品の積載・運搬等に利用される再生プラスチック成形品の製造方法を例に採り、図面に基づいて説明する。図1は第一の工程の模式図、図2は第二の工程の模式図をそれぞれ示す。なお、以下の説明では便宜上、プラスチック材が押し出される方向を「先」、その逆方向を「後」と呼ぶことにする。
本発明による再生プラスチックの製造方法は、廃プラスチックからペレットを製造する第一の工程と、製造されたペレットを用いて再生プラスチック製品を製造する第二の工程とからなる。
先ず、第一の工程について説明する。
第一の工程では、チップ状に砕いた廃プラスチックP1に水酸化カルシウムCを添加し、溶融して押出成形された線状のストランドP2をカッタ30で略円柱状の小塊に切断してペレットP3を製造する。
第一の工程で用いられるペレット製造装置1は次の構成を備えている。即ちペレット製造装置1において、押出成形に使用する押出機10が設けられ、この押出機10は筒状の加熱シリンダ11の中心軸に沿ってスクリュー12が配された構造を有している。スクリュー12は加熱シリンダ11の後端面に設置されたモータ13により回転駆動する。また、加熱シリンダ11の外周部には、加熱シリンダ11の内部を加熱するために、図示しないヒータが巻かれている。
加熱シリンダ11の先端面は略円形板状に形成されたダイ15を有している。ダイ15には、加熱シリンダ11内で加熱・溶融した廃プラスチックP1を線状のストランドP2として押し出し成形しながら排出するための複数の孔15a…が形成されている。一方、加熱シリンダ11の後端部には、廃プラスチックP1を加熱シリンダ11内に投入するためのホッパー14が取り付けられている。
加熱シリンダ11の中間部から先端部近傍にかけて、内部に水Wを供給して廃プラスチックP1の臭気を水蒸気で脱臭するための配水管16aが配設されている。配水管16aは例えば複数に分岐されて供給孔11a、…を介して加熱シリンダ11内に供給され、加熱されて水蒸気になる。また、各供給孔11aより若干先端側(下流側)には加熱シリンダ11内の水蒸気を外部に吸引排出する排出孔11b、…と排出路18が設けられている。供給孔11aと排出孔11bは加熱シリンダ11の円周面に略対向する角度位置に配設されていることが好ましい。
また、加熱シリンダ11のダイ15の先端側には、冷却水21が貯留された冷却水槽20が設けられている。加熱シリンダ11のダイ15の各孔15aから押出された廃プラスチックP1の溶融樹脂はスクリュー12の回転によって水酸化カルシウムCがほぼ均等に樹脂中に分散され、そして線状のストランドP2として冷却水21中に浸漬される。冷却水21の水面上には各ストランド21が水面上に浮くのを防ぐ抑え部材22が所定間隔で設けられている。
冷却水槽21の前方側にはカッタ部30が設けられ、冷却された複数のストランドP2を引き上げて所定間隔で切断して略円柱状のペレットP3…を形成することになる。
また、第二の工程では、第一の工程で製造されたペレットP3を再度溶融して射出成形により再生プラスチック製の成形品P4を成形する。
射出成形に使用する射出成形機40は、先端部にノズル45が形成された筒状の加熱シリンダ41の中心軸に沿ってスクリュ42が配された構造をしている。スクリュ42は加熱シリンダ41の後端面に設置されたモーター43により回転駆動するとともに、加熱シリンダ41内を前後に移動できるようになっている。
加熱シリンダ41の外周部には、加熱シリンダ41の内部を加熱するために、図示しないヒータが巻かれ、加熱シリンダ41の後端部には、ペレットP3を加熱シリンダ41内に投入するためのホッパ44が取り付けられている。
また、加熱シリンダ41のノズル45先端側には、金型50が当接して接続配置されている。ノズル45の先端は金型50内に設けたスプルー51を介して再生プラスチック成形品P4を成形するためのキャビティ52に接続されている。
本実施例による再生プラスチックの製造装置1は上述の構成を備えており、次に再生プラスチック材であるペレットP3及び再生プラスチック製品であるパレットの製造方法とその脱臭方法について説明する。
図1において、例えば食品トレーや食品包装シート等の容器包装廃棄物(や一般プラスチック製廃棄物)等からなる廃プラスチックP1は、前工程で洗浄した後、乾燥工程を経てチップ状に砕いてホッパー14に投入する。その際、投入する廃プラスチックP1の全重量に対して1重量%〜5重量%、好ましくは1.5重量%〜3重量%の水酸化カルシウム(消石灰:Ca(OH))Cを添加する。水酸化カルシウムCは例えばパウダー状であることが混合分散を促進するために好ましい。
押出機10のスクリュ12を回転させると、廃プラスチックP1が加熱シリンダ11内で溶融され、水酸化カルシウムCと共に均一に分散混合されて先端部のダイ15方向へ移動する。この際、配水管16aを介して水槽16の水Wを注水孔11aから加熱シリンダ11内に供給し、熱によって水は水蒸気となって溶融状態にある廃プラスチックP1から臭気を吸収する。臭気を吸着・吸収した水蒸気は、加熱シリンダ11に設けられた排水孔11bを介して強制的に吸引排出される。
そして、スクリュ12の回転によってダイ15に設けた各孔15aから押し出された溶融状態にある廃プラスチックP1は線状のストランドP2として排出され、自身の重みで冷却水槽20に蓄えられた冷却水21中に浸されて固化される。そして後方から順次押し出されたストランドP2は、抑え部材22によって水面に浮上するのを抑制された状態で冷却水槽20の先端部まで押し進められ、カッタ部30で水面から引き出される。
カッタ部30ではカッタ30aで所定間隔で略円柱状の小塊にカットされてペレットP3に成形される。ペレットP3はこの状態で廃プラスチックP1に含まれていた臭気が水酸化カルシウムCと水蒸気で除去されているために、ペレットP3中の臭気は低減されている。しかも水酸化カルシウムCは廃プラスチックP1の全重量に対して1重量%〜5重量%の範囲内にコントロールされているから、ペレットP3の強度はその後の成形品として再生された際に、例えば再生プラスチックパレットとして必要十分な強度を確保されている。そのため、ペレットP3の状態で上記臭気の除去と強度を備えた再生プラスチック材としての製品を構成している。
さて、ここで水酸化カルシウムCおよび水W(水蒸気)がストランドP2に及ぼす作用について説明しておく。
図3(a)に示すストランドP2において、押出機10内で溶融プラスチック中に水酸化カルシウムCや水蒸気W1が均一に分散混合し、ダイ15の孔15aから押し出されたストランドP2の表面には一部のパウダー状の水酸化カルシウムCや水蒸気W1が混在することになる。また、容器包装廃棄物には分別や洗浄不足により若干のアルミニウム等の異物が混入している場合もある。
そうすると、ストランドP2には引張り応力が作用しているため、図3(b)に示すように、異物が存在する箇所や、異物或いは水酸化カルシウムC等の欠損部Dに応力集中が起こる等してストランドP2が破断する原因となるが、混在する水酸化カルシウムCや水蒸気W1が溶融プラスチックの粘度を下げる作用があるため、さらにストランドP2の破断を助長することになる。
そのため、水酸化カルシウムCの添加量が5重量%を越えると、ストランドP2の破断を一層助長することになるが、ストランドP2が破断するとカッター部30へは自動的に引っ張り搬送できなくなり、ペレットP3の製造効率が低下する。このような現象は、水酸化カルシウムCだけでなく、水蒸気W1の付着によっても同様に起こるが、水蒸気W1は吸引排出する排出管18を通して回収するために、水酸化カルシウムCよりはストランドP2の切断が発生する可能性は小さい。
次に第二の工程として、射出成形機40に設けたホッパ44にペレットP3を投入する。すると、ヒータで加熱制御された加熱シリンダ41内のスクリュー42を回転させることによりペレットP3が混練・可塑化され、溶融状態でスクリュー42の先端側に移動する。そして、スクリュ42の先端側に溶融したペレットP3が溶融プラスチックとして溜まるにつれて、溜った溶融プラスチックからの反力によってスクリュー42が後退させられる。
次にスクリュ42の先端側に所定量の溶融プラスチックが貯えられた時点で、スクリュ42の回転を停止させる。この後、射出開始タイミングに至った時点で、スクリュ42を急速前進させて、ノズル45から金型50内のスプルー51を介してキャビティ52内に溶融プラスチックを射出・充填し、再生プラスチック成形品P4を成形する。
〈試験例〉
最後に、水酸化カルシウムCの最適添加量を決定するために実施したペレットP3のサンプルテストについて試験例として説明する。
試験条件として、表1に示すように、廃プラスチックP1に水酸化カルシウムCを表1に示す重量%で0〜6重量%の範囲に亘って順次添加するものとして、10種類のペレットPのサンプルを製造した。押出成形時に加熱シリンダ11内に水槽16の水を注入せずにペレットP3を製造した。
得られた各ペレットP3について、曲げ弾性率(単位MPa)、Izod(衝撃強度)(単位KJ/m)について強度試験を実施した。そして、各ペレットP3が発する臭いについて官能試験を実施した。
ここで、官能試験は、鼻で臭いを嗅いで感覚的な判定を行うものであり、製造後24時間以上経過した各ペレットP3をビニール袋に入れ、23℃に温度調節した後に、臭いを嗅いだ結果を示したものである。
官能試験は、表2(a)について示すA,B二種類の臭いを検査し、臭いの強さについても「殆ど臭わない」をランク1、「激しく臭う」をランク5としてその間をランク2,3,4に段階的に区分した5段階に設定した。
表1にその試験結果を示す。
Figure 2007210199
Figure 2007210199
水酸化カルシウムCを添加したケース(0.5重量%〜6重量%)と水酸化カルシウムCを添加しないケース(0重量%)とを比較した場合、水酸化カルシウムCを添加することによる曲げ弾性率の低下は僅かであるが、Izodはかなり低下することがわかる。因みに、水酸化カルシウムCを1重量%添加した場合のIzodは水酸化カルシウムを添加しない場合のIzodの98%、3重量%の場合は94%、5重量%の場合は90%、5.5重量%の場合は85%、6重量%の場合は81%となる。
即ち、水酸化カルシウムCの添加量を5重量%以下とすれば、水酸化カルシウムCを添加しない場合の90%の強度を確保でき、更に3重量%以下とすれば94%以上の強度を確保できることがわかる。従って、水酸化カルシウムCの添加量は、多くとも5重量%以下、好ましくは3重量%以下とする必要がある。
一方、臭気についてみた場合、水酸化カルシウムCの添加量を1重量%とすると、刺激臭の程度は2、石鹸臭および生ごみ臭の程度は3であり、実用上、問題無い。更に水酸化カルシウムCの添加量を1.5重量%以上とすると、刺激臭の程度、石鹸臭及び生ごみ臭の程度はいずれも2以下であり、一層臭気の少ない好ましい結果になる。
しかしながら、水酸化カルシウムCの添加量が0.5重量%以下になると臭気の程度はA,Bいずれも4以上になり、かなり臭気を感じ不快感を与えることがわかる。
以上の結果から、廃プラスチックP1に対する水酸化カルシウムCの添加量は、少なくとも1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上とする必要がある。
本実施例による再生プラスチックの製造方法及び脱臭方法は、チップ状に破砕した廃プラスチックP1に水酸化カルシウムCを添加し、溶融して押出成形されたストランドP2を略柱状の小塊にカットしてペレットP3を製造したものであり、また、更に当該ペレットP3を再度溶融して射出成形することにより再生プラスチック成形品P4を製造するものである。そして廃プラスチックP1に1重量%〜5重量%(好ましくは1.5重量%〜3重量%)の水酸化カルシウムCを添加することにより、廃プラスチックP1が有する刺激臭や生ごみ臭などの臭気が除去され、且つ実用に供し得る強度が確保された再生プラスチック成形品P4を製造することが可能となる。
なお、廃プラスチックP1に水酸化カルシウムCを添加すれば塩素ガスも除去することができる。
また、廃プラスチックP1に対する添加物として、水酸化カルシウムC以外に水蒸気を添加してストランドP2の押出成形前の溶融状態で強制的に吸引排出することで、更に廃プラスチックP1の臭気を水蒸気と共に脱臭できるため、一層好ましい。
以上、本発明に係る再生プラスチックの脱臭方法の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施例では、周期律表第II族金属の水酸化物として水酸化カルシウムを使用しているが、水酸化マグネシウムや水酸化バリウム等、他の周期律表第II族金属の水酸化物でもよい。また、上記の実施例では、廃プラスチックの脱臭を促進するために、加熱シリンダ11内で溶融状態の廃プラスチックに対して水を注入して吸引排出しているが、水を注入しなくてもよい。前工程で廃プラスチックP1を洗浄する際に付着した水分が乾燥処理後も一部残留することがあるからである。
なお、上述の実施例では、廃プラスチックP1から再生プラスチックからなるパレット等の成形品P4を製造する方法として脱臭方法を説明したが、ペレットP3を製造した段階で本発明による脱臭方法を完結させてもよいことはいうまでもない。
また、上述の実施例では、廃プラスチックP1のチップに水酸化カルシウムCを添加して加熱溶融するようにしたが、廃プラスチックP1のチップを加熱溶融した後に水酸化カルシウムCを添加するようにしてもよい。
さらにまた、上記の実施例で示すように、廃プラスチックから再生プラスチック製のパレット等の再生品を製造する場合、再生用樹脂原料として廃プラスチックのみを用いたが、これに限定することはない。例えば、廃プラスチックから再生プラスチックを製造する場合、ペレットP3を溶融する第二工程の段階で、廃プラスチックにバージンプラスチックをある割合混入してもよい。
廃プラスチックからペレットを製造するまでの工程を示した模式図である。 ペレットから再生プラスチックを製造するまでの工程を示した模式図である。 ストランドの表面に付着した水酸化カルシウムおよび水(水蒸気)の作用を説明するための図である。
符号の説明
10 押出機
11、41 加熱シリンダ
11a 注水孔
11b 排水孔
15 ダイ
15a 孔
16 水槽
16a 配水管
20 冷却水槽
21 冷却水
30 カッタ
40 射出成形機
50 金型
P1 廃プラスチック
P2 ストランド
P3 ペレット(再生プラスチック)
P4 再生プラスチック成形品(再生プラスチック)
C 水酸化カルシウム
W 水
D 欠損部

Claims (3)

  1. 廃プラスチックに周期律表第II族金属の水酸化物を1重量%〜5重量%添加すると共に前記廃プラスチックを溶融させて、再生プラスチックを製造するようにしたことを特徴とする再生プラスチックの脱臭方法。
  2. 前記周期律表第II族金属の水酸化物が水酸化カルシウムである請求項1に記載の再生プラスチックの脱臭方法。
  3. 前記廃プラスチックに水を添加するようにした請求項1または2に記載の再生プラスチックの脱臭方法。
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