JP2007210158A - 筒状フィルム製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】筒状のフィルムを安定した品質で製造することのできる筒状フィルム製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】金型部20で筒状に形成された多層フィルムは、折り畳み部40において、ガイド部材41、41間を通り、ローラ42、42へと至る過程で、円筒状断面から平面状断面へと向けて折り畳まれていく。このとき、多層フィルムの円筒状断面が維持されていた網体35の下端部から、完全に平面断面に折り畳まれるローラ42、42までの距離Hを、折り畳んだ状態の多層フィルムの折り畳み幅Wに対し、H/W≧1.8となるようにすることで、多層フィルムを折り畳むときにシワが生じるのを防ぐようにした。
【選択図】図3
Description
このような多層フィルムの製造法として、多層フィルムブロー成形法がある。多層フィルムブロー成形法に用いられる成形装置は、外筒の内部に形成された円柱状の凹部に、すり鉢状の金型部材が複数段に積層された構成の金型を備えている。そしてこのような金型で、各段において互いに上下に位置する金型部材の隙間から外周側の外筒との間の隙間に溶融状態の樹脂を押し出しつつ、これら各段から押し出された樹脂が順次重ね合わされることで、筒状の多層フィルムを形成する(例えば、特許文献1、2参照)。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、筒状のフィルムを安定した品質で製造することのできる筒状フィルム製造装置を提供することを目的とする。
円筒状態のフィルム1の位置C1から位置Aまでの距離Xは、円筒状態のフィルム1の半径をR、折り畳んだ状態のフィルム1の幅をW、フィルム1が円筒状態から折り畳まれる位置までの鉛直方向の距離をHとすると、
X=(H2+(W/2−R)2)0.5
となり、
W=πR
であるので、
X=(H2+(πR/2−R)2)0.5
となる。一方、円筒状態のフィルム1の位置C2から位置Bまでの距離Yは、
Y=(H2+R2)0.5
となる。
したがって、X<Yであり、図6(c)に示すように、その差(比)は、フィルム1の半径Rが大きくなるほど、フィルム1を折り畳むための距離Hが短くなるほど、顕著なものとなり、これによって折り畳んだ状態でフィルム1の中央部にシワが寄るのである。
連続体生成部から送り出された筒状の連続体は、冷却部にて冷却されて固化する。固化した連続体は、折り畳み部において、断面平面形状に折り畳まれるわけであるが、本発明においては、この折り畳み部を、連続体を折り畳んだ状態での幅Wに対し、連続体を折り畳むための経路長Hが、H/W≧1.8を満たすように設定する。このようにして、連続体を折り畳んだ状態での幅Wに対し、連続体を折り畳むための経路長Hを十分に大きく確保することで、前記の距離X、Yの差を小さくし、連続体(フィルム)にシワが寄るのを防ぐ。このとき、距離X、Yの差が0(ゼロ)になることは無いが、連続体は、一般に樹脂系材料から形成されるフィルムによって形成されるので、その伸びにより、距離X、Yの差は吸収できる。なお、連続体を折り畳んだ状態での幅Wが大きくなればなるほど、折り畳み時における条件は厳しくなるため、そのような場合、好ましくはH/W≧2、より好ましくはH/W≧3.5とすることで、シワの発生を抑えることができる。
このような折り畳み部は、いかなる構成であっても良いが、冷却部から漸次間隔が狭まるように設けられた一対のガイド部材と、ガイド部材の間隔が狭い側に設けられ、連続体を挟み込んで引き込む引き込み部と、を備える構成とするのが良い。その場合、上記H/W≧4を十分に満足するように、一対のガイド部材を、その相対角度が10〜20°をなすように設けるのが好ましい。このとき、一対のガイド部材の相対角度を変更可能な構造としておけば、製造する連続体の材質、幅寸法、送り速度等に応じ、ガイド部材の相対角度を適宜調整することができる。
その冷却効果を確実なものとするために、冷却部は、寸法規制部材からL3≧Wの経路にわたって連続体を冷却するようにするのが好ましい。
また、冷却部は、寸法規制部材の下方に、液体が伝わり落ち、連続体の外周面が接触する筒状の網体を備えるようにするのも好ましい。これによっても、連続体が寸法規制部材を通過して落下しながら冷却される過程で、連続体を安定した挙動とすることができる。また、網体によって、液体を連続体の全面に均一に接触させることが可能となる。
このため、網体を保持するために、網体の外周側に網体保持部材を設けるのも好ましい。これによって網体が安定し、連続体の安定保持を、より確実に行うことができる。
また、リング状の寸法規制部材に連続体を通し、さらに液体によってこれを冷却することで、連続体の挙動を安定させるとともに冷却効率を高めることができ、これによっても筒状のフィルムの安定した品質での製造に寄与することができる。
さらに、冷却部の経路長を十分に確保したり、網体に沿って液体を伝わり落とすようにすることでも、連続体の冷却効率を高めることができ、これも筒状のフィルムの安定した品質での製造に寄与する。
図1は、本実施の形態における多層フィルム製造装置(筒状フィルム製造装置)10の全体構成を示す図である。
この図1に示すように、多層フィルム製造装置10は、溶融樹脂を多層に積層して円筒状の連続体100を形成する金型部(連続体生成部)20と、金型部20から排出される円筒状の連続体100を冷却して固化させる冷却部30と、冷却部30で冷却された連続体100を平らに折り畳む折り畳み部40と、折り畳み部40で折り畳まれて帯状とされた連続体100をロール状に巻き取る巻取り部(図示無し)とを備えて構成されている。
この状態において、円筒状の連続体100を構成する樹脂は、まだ溶融状態もしくは半溶融状態とされている。
なお、これら金型部20の構成については、本発明において何ら限定する意図はなく、いわゆる多層フィルムブロー成形法に用いることのできる構成を適用することができる。
このため、冷却部30は、金型部20の鉛直下方に間隔を隔てて設けられた寸法規制リング33を備えている。寸法規制リング33は、その内径が、固化後の連続体100の径が製造すべき包装容器の寸法となるよう、固化時の収縮等を考慮して設定された寸法とされている。水槽31は、リング状の底板32の内周部と外周部に、上方に立ち上がる周壁部34と寸法規制リング33を備えている。
このうち、外周部の周壁部34は、内周部の寸法規制リング33よりも高く形成され、これら寸法規制リング33、周壁部34間には、連続体100を冷却するための冷媒となる水等の液体が所定の流量で供給され、いわゆる水槽を構成するようになっている。供給された液体は、外周部よりも低く形成された内周部の寸法規制リング33の上縁部を乗り越え、水槽31の内方に流れ落ちるようになっている。この流れ落ちる液体は、金型部20から落下してくる円筒状の連続体100と水槽31の寸法規制リング33の間に介在することになり、円筒状の連続体100は、水槽31およびその内周側に介在する液体により、その外径が規制されるようになっている。
この水は、流れ落ちる連続体100と寸法規制リング33との間に介在することで、いわゆる潤滑機能を発揮し、連続体100が寸法規制リング33に付着してしまうのを防止するようにもなっている。
これにより、連続体100は、その外周側が、網体35に沿って流れ落ちる液体によって冷却され、固化するようになっている。このとき、液体は、網体35によって連続体100の外周面全体に均一に接触し、これによって連続体100を均一に冷却することができる。
このように、液体で連続体100を冷却する、冷却過程の長さL3は、連続体100の送り速度にも多少左右されるものの、連続体100を折り畳む前に十分に冷却・固化するためには、概ねL3/W≧1.0となるように確保するのが好ましい。
各ガイド部材41は、フレーム43に、断面円形のガイドパイプ44が多数本取り付けられた構成を有している。各ガイドパイプ44は、連続体100の送り方向に直交する方向、つまり水平方向に延在するように設けるのが好ましい。ガイドパイプ44の断面形状を円形としたのは、連続体100に対する接触抵抗をなるべく小さくし、連続体100の引っかかり等を防ぐためである。このため、ガイドパイプ44をその軸線周りに回転自在に支持する構成としたり、ガイドパイプ44の表面の摩擦係数を低減するための各種表面処理を施す構成等を追加するのも有効である。
これらガイド部材41は、連続体100の送り方向上流側から下流側に向けて、つまり上方から下方に向けてその間隔が漸次小さくなるよう、全体として略V字状に配置されている。
このとき、連続体100の円筒状断面が維持されていた網体35の下端部から、完全に平面断面に折り畳まれるローラ42、42までの距離Hは、折り畳んだ状態の連続体100の折り畳み幅Wに対し、
H/W≧1.8
となるようにするのが好ましい。これは、連続体100を急激に折り畳むと、シワが発生しやすいからである。さらに好ましいのは、H/W≧2、条件に関わらず安定的に折り畳みを行えるのはH/W≧3.5である。H/Wの上限値は、特に限定する意図は無く、その比が大きいほど、連続体100を折り畳むときにシワが生じにくくなる。しかしながら、H/Wが大きくなり、ガイド部材41、41と連続体100の接触する距離が長くなると、その摩擦によってシワが生じることもある。このような点から言うと、H/W≦5とするのが好ましい。また、図1に示したように、多層フィルム製造装置10は、金型部20、冷却部30、折り畳み部40等を上下方向に配置しているため、多層フィルム製造装置10を設置する工場等の建屋の高さによってその上限が実質的に決まる。
このような相対角度θは、前述したように基本的にはなるべく小さくするのが好ましいが、建屋の高さ等の事情により、理想的な相対角度θを確保できない場合には、連続体100の送り速度を低下させれば、より大きな相対角度θであっても連続体100を確実に折り畳むことが可能となる。したがって、相対角度θは、上記範囲に限らず、諸々の事情に応じて適宜設定すればよい。
H’/W≧4
を満足するように、相対角度θを調整すればよい。
このため、ガイド部材41、41は、相対角度θを調整するための調整機構を有する。この調整機構は、ガイド部材41、41の上部、下部のそれぞれに設けられ、ガイド部材41、41を互いに接近・離間する方向に移動可能に支持する支持バー45と、支持バー45に沿って移動し、支持バー45上の任意の位置でガイド部材41を固定する固定部材46とから構成される。このような調整機構は、例えば、支持バー45をネジ棒とし、固定部材46をナットとすることで構成できる。
このような調整機構によれば、上下の支持バー45のそれぞれにおいて、固定部材46の位置を調整することで、ガイド部材41、41の相対角度θを調整できるのである。
水槽31内における液位L2、すなわち寸法規制リング33の高さを、例えば40mm以上とすることで、寸法規制リング33を乗り越える液体の流れを均一なものとすることができ、これも安定した連続体100の挙動の実現に寄与する。
そして、寸法規制リング33の下方には網体35を設けたので、筒状の連続体100の全面に液体を確実に沿わせることができ、これによっても連続体100の冷却を確実に行うことができ、安定した連続体100の製造が可能となる。しかも、網体35は、サポート部材37によって筒状状態を維持できるよう保持されており、上記効果をより確実なものとすることができる。
図1に示すような構成の多層フィルム製造装置10を用い、直径400mm、折り畳んだ状態での幅300mmの多層フィルムを製造した。このとき、多層フィルムの層構成は、内周側から順に、PE樹脂(日本ポリエチレン(株)「ノバテックLL UF421」)、接着樹脂(三菱化学(株)「モディックAP M132C」)、Ny樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)「ノバミッド 1022」)、接着樹脂(三菱化学(株)「モディックAP M512VF」)、PBT樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)「ノバディラン 5020S」)となるようにした。
このような多層フィルムを形成するために、金型部20から筒状の連続体100を送り速度39m/minで送り出しながら、内径200mmの寸法規制リング33を通過させた。寸法規制リング33からは20L/minの流量で、水を溢れさせて流下させた。
これにより、寸法規制リング33における液位L2は40mm以上とするのが好ましいことが確認された。
すると、表1に示すように、網体35の長さが117、536、895mmの場合には、その後に折り畳み部40で連続体100を折り畳むと、図4に示すような弛みが生じた。特に、網体35の長さが短いほど、弛みの程度は悪化した。これに対し、網体35の長さを1313、1672mmとした場合には、図5に示すように、折り畳み部40で連続体100を折り畳んでも弛みは生じなかった。これにより、網体35の長さ、つまり連続体100を円筒形状に保持する長さはL3≧Wとするのが好ましいことが確認された。
Claims (8)
- 筒状のフィルムの製造装置であって、
溶融状態のフィルム原料を筒状に成形して連続的に下方に送り出し、連続体を生成する連続体生成部と、
送り出された前記連続体を冷却して固化させる冷却部と、
前記冷却部で冷却された前記連続体を断面平面形状に折り畳む折り畳み部と、を備え、
前記折り畳み部は、
前記連続体を折り畳んだ状態での幅Wに対し、前記連続体を折り畳むための経路長Hが、H/W≧1.8を満たすように設定されていることを特徴とする筒状フィルム製造装置。 - 前記折り畳み部は、前記冷却部から漸次間隔が狭まるように設けられた一対のガイド部材と、
前記ガイド部材の間隔が狭い側に設けられ、前記連続体を挟み込んで引き込む引き込み部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の筒状フィルム製造装置。 - 一対の前記ガイド部材は、その相対角度が10〜20°をなすように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の筒状フィルム製造装置。
- 一対の前記ガイド部材は、その相対角度が変更可能であることを特徴とする請求項2または3に記載の筒状フィルム製造装置。
- 前記冷却部は、前記連続体の径を、形成すべき前記連続体の径に対応した寸法に規制するため、リング状で、前記連続体を冷却するための液体を前記連続体の外周面に沿わせて流下させる寸法規制部材を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の筒状フィルム製造装置。
- 前記冷却部は、前記寸法規制部材からL3≧Wの経路にわたって前記連続体を冷却することを特徴とする請求項5に記載の筒状フィルム製造装置。
- 前記冷却部は、前記寸法規制部材の下方に、前記液体が伝わり落ち、前記連続体の外周面が接触する筒状の網体を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の筒状フィルム製造装置。
- 前記網体を保持するため、前記網体の外周側に網体保持部材が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の筒状フィルム製造装置。
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