JP2024009758A - 延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024009758000001
【課題】
本発明は、砂塵等が空気の流れにのってキャストドラムへ落下し、フィルムへ混入することを抑制できる、延伸フィルムの製造方法を提供することをその課題とする。
【解決手段】
口金から吐出されるシート状の溶融ポリマーをキャストドラムで冷却固化してキャストフィルムとする工程を有する延伸フィルムの製造方法であって、前記キャストドラムを配置したブースのフィルム搬送口からブース内への吹込み風量が、前記フィルム搬送口の幅1mあたり0.227m/s以下である、延伸フィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、延伸フィルムの製造方法に関する。
延伸フィルムは、優れた機械的特性、熱的特性、及び電気的特性を有することから、産業用途に広く使用されているが、近年フィルム特性や品質、生産性に対する要求がますます厳しくなっている。その中でも特に、フィルム表面の付着物による表面欠点、フィルムをロール状に巻き取った際の巻き込み異物の低減が大きな課題となっている。
延伸フィルムを製造する際には、押出機で溶融した熱可塑性樹脂又はその混合物を口金からシート状に吐出し、これをキャストドラム等の冷却媒体に密着させて固化することにより、シート状のキャストフィルムを製造する(以降、この工程をキャスト工程ということがある。)。
このとき、溶融状態の熱可塑性樹脂又はその混合物からオリゴマー等の低分子量体を含む気体が発生する。当該気体が口金や搬送ロール等、その表面温度が比較的低い部分で冷却されるとオリゴマー等の低分子量体が析出し、これらが空気の流れや自重によりキャストドラムへ落下する。また、製膜機の経年劣化による錆や、周囲に存在する微小な砂塵、製造工程に入った作業者に付着した異物等も、空気の流れや自重によって同様にキャストドラムへ落下することがある。このようなキャストドラムへの落下物が、キャストフィルムの表面に付着すると表面欠点が発生し、最終製品の品質低下の原因となる。
このようなオリゴマー等の低分子量体の付着・堆積による表面欠点の発生を防止する方法としては、口金、キャストドラム周辺に新鮮な空気を供給し、併せて排気を行うことで空気中に含まれるオリゴマー濃度を下げる方法がある(特許文献1)。
特開2005-125509号公報
しかしながら特許文献1の方法では、キャストドラムを配置しているブース内の陰圧化が進むと、ブース内への空気の吹込みが増大して空気の流れが変化するため、砂塵等の異物のコンタミが増加する。そこで本発明は、上述した問題点を解消し、オリゴマーや砂塵等が空気の流れに乗ってキャストドラムへ落下し、フィルムへ混入することを防止することにより、高品質の延伸フィルムを製造する方法を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成よりなる。すなわち、口金から吐出されるシート状の溶融ポリマーをキャストドラムで冷却固化してキャストフィルムとする工程を有する延伸フィルムの製造方法であって、前記キャストドラムを配置したブースのフィルム搬送口からブース内への吹込み風量が、前記フィルム搬送口の幅1mあたり0.227m/s以下である、延伸フィルムの製造方法である。
また、本発明のフィルムの製造方法は以下の態様とすることもできる。
(1) 口金から吐出されるシート状の溶融ポリマーをキャストドラムで冷却固化してキャストフィルムとする工程を有する延伸フィルムの製造方法であって、前記キャストドラムを配置したブースのフィルム搬送口からブース内への吹込み風量が、前記フィルム搬送口の幅1mあたり0.227m/s以下である、延伸フィルムの製造方法。
(2) 前記フィルム搬送口の上端部と搬送フィルムの間隙Xが15mm≦X<20mmであり、前記フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙Yが150mm≦Y<300mmである、(1)に記載の延伸フィルムの製造方法。
(3) 前記口金の溶融ポリマー吐出口と前記フィルム搬出口の水平距離が2.0m以上である、(1)または(2)に記載の延伸フィルムの製造方法。
(4) 前記ブース内の清浄度クラスがISO14644-1:2015におけるClass5以下である、(1)~(3)のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
(5) 前記延伸フィルムの厚みが1μm以上10μm以下である、(1)~(4)のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
本発明により、オリゴマーや砂塵等が空気の流れにのってキャストドラムへ落下し、フィルムへ混入することを防止することにより、高品質の延伸フィルムを製造することが可能な延伸フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明のフィルムの製造方法におけるブース内の一例(実施例で用いた態様)を表す模式図である。
以下、本発明の延伸フィルムの製造方法について、より具体的に説明する。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、口金から吐出されるシート状の溶融ポリマーをキャストドラムで冷却固化してキャストフィルムとする工程を有する延伸フィルムの製造方法であって、前記キャストドラムを配置したブースのフィルム搬送口からブース内への吹込み風量が、前記フィルム搬送口の幅1mあたり0.227m/s以下である。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、口金から吐出されるシート状の溶融ポリマーをキャストドラムで冷却固化してキャストフィルムとする工程を有する。このような工程を有することは、溶融ポリマーをシート状に成形して冷却固化する溶融製膜法であることを意味する。
ここで口金とは、溶融ポリマーをシート状に成形するための装置をいい、口金は溶融ポリマーの入口とスリット状の出口を有する。キャストドラムとは、口金よりシート状に押し出された溶融ポリマーを、その表面で冷却固化して未延伸フィルムとする装置をという。溶融ポリマーとは、加熱により溶融した熱可塑性樹脂、若しくはこれを主成分とする混合物をいい、主成分とは全体を100質量%としたときに50質量%を超えて100質量%含まれる成分をいう(以下、特に断りがなければ同様に解釈することができる。)。キャストフィルムとは、口金からシート状に吐出された溶融ポリマーをキャストドラムにて冷却固化して得られるフィルム、すなわち未延伸フィルムをいう。
溶融ポリマーは加熱により溶融し、シート状に成形可能なポリマーであればその種類は特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン等を用いることができる。なお、これらのポリマーは単独で用いても複数種を混合して用いてもよく、また、必要に応じて粒子や添加剤を含んでもよい。
本発明の延伸フィルムの製造方法におけるキャストドラムの表面温度は、溶融ポリマーの種類にもよるが、溶融ポリマーがポリエステルを含む場合、未延伸フィルムの温度が高すぎると、キャストドラムから引き離せないことがある。反対に未延伸フィルムの温度が低すぎると、搬送された延伸フィルムをテンター装置等の公知の装置により、長手方向、幅方向に延伸する際に延伸状態に変化が生ずることがある。これらの観点から、溶融ポリマーがポリエステルを含む場合、キャストドラムの表面温度は20℃~30℃であることが好ましい。
キャストドラムの表面温度が20℃以上であることにより、未延伸フィルムが過冷却されず予熱状態を作ることが可能となり、30℃以下であることにより、引き離されるキャストフィルムの粘着が軽減される。キャストドラムの表面温度の調節は、例えば、その中を通る水等の冷却媒体の温度を調節することにより行うことができる。
本発明の延伸フィルムの製造方法において、延伸フィルムの異物を減らす観点から、キャストドラムを配置したブースのフィルム搬送口からブース内への吹込み風量が、フィルム搬送口の幅1mあたり0.227m/s以下であることが重要である。ここでキャストドラムを配置したブース(以下、単にブースということもある。)とは、口金、キャストドラム、ならびにシート状のフィルムを搬送するロールを、清浄度を維持するために間仕切りで覆った区画をいう。フィルム搬送口とはキャストフィルムが下流工程に向かって進行する際に当該ブースの外に出るためにブースの壁面に設けられた開口部をいう。
フィルム搬送口からブース内への吹込み風量を、フィルム搬送口の幅1mあたり0.227m/s以下とすることにより、ブース内への空気の流入が抑えられ、それに伴いブース内で砂塵や気化したオリゴマーを含む気体がキャストドラム上に舞い上がるのを軽減することができる。その結果、得られるフィルムにおいて、キャストドラムに砂塵や析出したオリゴマーが落下することによる異物の発生が抑えられる。上記観点から、フィルム搬送口からブース内への吹込み風量を、フィルム搬送口の幅1mあたり0.170m/s以下とすることが好ましい。フィルム搬送口からブース内への吹込み風量の下限は、ブース内の気流変化を軽減する観点から0.100m/sとなる。
フィルム搬送口からブース内への吹込み風量を、フィルム搬送口の幅1mあたり0.227m/s以下または上記の好ましい範囲とする方法としては、例えばブース内の給排気バランスを調整して吹込み風量を抑制することや、フィルム搬送口の開口部を狭めることなどが挙げられる。
本発明の延伸フィルムの製造方法においては、フィルム搬送口の上端部と搬送フィルムの間隙Xが15mm≦X<20mmであり、フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙Yが150mm≦Y<300mmであることが好ましい。ここで搬送フィルムとは、フィルム搬出口を通過する未延伸フィルムをいう。フィルム搬送口と搬送フィルムの間隙を上記範囲とすることにより、フィルム搬送口と未延伸フィルムとの接触を回避し、かつ気流の変化を抑制することができる。
本発明の延伸フィルムの製造方法においては、溶融ポリマー吐出口とフィルム搬送口の水平距離が2.0m以上であることが好ましい。溶融ポリマー吐出口とフィルム搬送口の水平距離とは、口金のスリットの中心部とフィルム搬送口の中心部との、水平方向の距離をいう。溶融ポリマー吐出口とフィルム搬送口の水平距離が2.0m以上であることにより、フィルム搬送口からの吹込みによる気流がキャストドラムに到達し難くなり、吹込みによって舞い上がった砂塵等がキャストドラムに落下する可能性が軽減される。本発明の検討におけるキャストドラムとフィルム搬送口の水平距離の上限は、装置ブースの過度な大型化を避ける観点から5.0mが好ましい。
本発明の延伸フィルムの製造方法においては、周囲に存在する砂塵や、機器の経年劣化による錆や摩耗した金属粉等の異物のコンタミによる延伸フィルムの品質低下を抑制する観点から、ブース内の清浄度を高めることが好ましい。より具体的には、ブース内の清浄度クラスがISO14644-1:2015におけるClass5以下であることが好ましい。ブース内の清浄度クラスは、製膜機の定期的なメンテナンスや清掃、製膜機が設置されているブース内の清掃を施すことで高めることができる。
本発明の延伸フィルムの製造方法においては、延伸フィルムの厚みは特に限定されないが、特に1μm以上10μm以下の延伸フィルムにおいては、オリゴマーや砂塵等が空気の流れに乗ってキャストドラムへ落下し、延伸フィルムへ混入して品質低下の要因となりやすいため、延伸フィルムの厚みが1μm以上10μm以下であることが好ましい。延伸フィルムの厚みは、口金からの溶融ポリマーの吐出量、口金のスリット幅、キャストドラムの回転速度、延伸倍率等により調整することができる。より具体的には、口金からの溶融ポリマーの吐出量を少なく、口金のスリット幅を小さく、キャストドラムの回転速度を大きく、延伸倍率を大きくすることにより延伸フィルムの厚みを小さくすることができる。なお、これらの調整は適宜組み合わせてもよい。
以下、本発明の延伸フィルムの製造方法について、溶融製膜による二軸配向ポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある。)フィルムを例に挙げて具体的に説明する。但し、本発明は以下に記載の態様に限定されない。
先ず、PETチップを270℃~280℃に調整した溶融押出機に投入して溶融する。その後、ギヤポンプ等で押出量を均一化して加熱溶融されたPETを押し出し、フィルターで異物やゲル化物を取り除く。このとき、押出機は1台であっても複数台であってもよく、複数台の押出機を用いる場合は、フィルターを通過したPETを積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができ、これらを任意に組み合わせてもよい。
このようにして得られたPETの溶融体を、口金からシート状に押し出し、キャスティングドラム等の冷却体上で冷却固化させて未延伸フィルムを得る。このときの口金は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、連続的に製膜される走行フィルムの厚みのデータからダイリップ温度や間隙の調整ができるものが好ましい。このような態様とすることで、延伸フィルムの厚みムラを軽減できる。
シート状の溶融PETから未延伸フィルムを得る具体的な方法としては、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、シート状溶融物を静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。他には、スリット状、スポット状又は面状の装置からエアを吹き出して、シート状溶融物をキャスティングドラム等の冷却体に密着させて急冷固化させる方法や、ニップロールにてシート状溶融物をキャスティングドラム等の冷却体に密着させて急冷固化させる方法も好ましい。
本発明のフィルムの製造方法においては、キャストドラムはブース内に配置されている。また、キャスティングドラムから引き離された未延伸フィルムを搬送ロールによって下流工程へ搬送するためにブースの外へ出る開口部(フィルム搬送口)が設けられており、この開口部からブース内部へ吹き込まれる気流が、ブース内の清浄度を悪化させる要因となる。このような清浄度の悪化を軽減する観点から、キャストドラムを配置したブースのフィルム搬送口からブース内への吹込み風量を、フィルム搬送口の幅1mあたり0.227m/s以下であることが好ましい。当該吹込み風量は、例えばブース内の給排気バランスを調整することや、フィルム搬送口の開口部を狭めること等により調整することができる。
次に、このようにして得た未延伸フィルムを、長手方向に延伸(縦延伸)して一軸配向シートを得る。縦延伸は、一本又は周速の等しい複数本の延伸ロールを使用して1段階で行うことも、周速の異なる複数本の延伸ロールを使用して多段階に行うことも可能であり、その温度は65℃~80℃が、倍率は2.5倍~3.5倍がそれぞれ好ましい。
また、縦延伸後、得られた一軸配向シートの両面若しくは片面に、易接着層等の機能層を形成させるための塗剤を塗布する工程を設けることも可能である。塗剤を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
その後、一軸配向シートの幅方向両端部を複数のクリップで把持してテンター装置に導き、予熱を行い(塗剤を塗布した場合は塗剤の乾燥も行う。)、クリップの幅方向の距離を広げることで幅方向に延伸(横延伸)して二軸配向フィルムを得る。このときの温度は110℃~140℃が、倍率は3.0倍~4.5倍がそれぞれ好ましい。また、本発明の効果を損なわない限り、テンター装置内で延伸後の二軸配向フィルムに180℃~230℃での熱処理を施し、その後冷却して寸法安定性を付与することもできる。こうして得られた二軸配向フィルムは、その後の搬送工程で冷却されロール状に巻き取られて延伸フィルムの中間製品となる。
次いで、延伸フィルムの中間製品よりフィルムを巻き出し、スリットしながらロール状に巻き取って延伸フィルムの最終製品を得る。このとき幅方向両端部をスリッターで除去することにより、最終製品とならない部分を切断除去することができる。さらに、このときフィルムを必要に応じて所望の幅に裁断してもよい。こうして不要部分が除去された二軸配向フィルムとなった延伸フィルムをコアに巻き取ることで、本発明の延伸フィルムを得ることができる。
以下、実施例により本発明の延伸フィルムの製造方法について、より具体的に説明するが、本発明は以下に示す態様に限定されるものではない。なお、実施例において使用した測定方法を以下に記載する。
(1)搬送口からの吹込み風量
吹込み風量はシート状のフィルムがない状態で測定を行った。フィルム搬送口の水平方向および垂直方向に中央の位置にて、テストー社製ベーン式風速計(型番05604170)を用いて風速を測定し、搬送口の幅1mあたりの数値に換算した。
(2)フィルム搬送口の上端部と搬送フィルムの間隙、フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙
搬送口と搬送フィルムとの間隙について、図1を参照しながら説明する。ブース1内最下流側に位置する搬送ロールの円周上頂点2と、フィルム搬送口の上端部3、及び下端部4との垂直方向の距離を、ムラテックKDS社製コンベックス(型番KF13-20)を用いて測定した。すなわち、図1の符号5、6がそれぞれフィルム搬送口の上端部と搬送フィルムの間隙、フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙となる。
(3)口金の溶融ポリマー吐出口とフィルム搬出口の水平距離
口金7の溶融ポリマー吐出口とフィルム搬送口の距離は、吐出口の中心から床面に垂直に引いた直線とブースの床面との交点8と、フィルム搬送口の中心から床面に垂直に引いた直線と床面との交点9の水平距離(なお「フィルム搬送口の中心から床面に垂直に引いた直線」については、図中ブース1を表す直線と重ならないようにずらして記載した。)、を計測した。すなわち、図1の符号10が口金の溶融ポリマー吐出口とフィルム搬出口の水平距離となる。
(4)ブース内の清浄度
キャストドラム11を配置したブース内の清浄度は、キャストドラム11上流側の上部に設置されている塵埃測定器12(MET ONE社製塵埃測定器(型番227B))にて測定した。
(5)フィルム厚み
フィルム厚みは、搬送された未延伸フィルムをテンター装置等の公知の装置により長手方向、幅方向に延伸した後、テンター装置と延伸フィルム巻取り装置の間に設置されている赤外干渉式厚さ測定器を用いて測定した。
(6)表面欠点発生率
テンター装置と延伸フィルム巻取り装置の間に設置した透過方式の欠点検出器により、欠点の検出、及び各欠点についての規格に沿った合否判定を行った。その後、不合格の欠点が検出されたロールよりフィルムを巻き出し、不合格の欠点を目視により観察し、その形状から表面欠点と内部欠点とに分別して表面欠点の個数を特定した。その後、下記式により表面欠点発生率を算出し、下記基準で評価した(◎、〇、△が合格)。
表面欠点発生率=表面欠点個数/欠点検出器によって検出された不合格欠点個数
◎:欠点発生率0~15%で合格
○:欠点発生率16~30%で合格
△:欠点発生率31~70%で合格
×:欠点発生率が71~100%で不合格
(実施例1)
PET樹脂を押出機にて290℃で溶融、幅1100mmの口金からシート状に押し出し、表面温度が25℃のキャストドラムでシート状に冷却固化した後、引き離された未延伸フィルムは搬送口を通り、延伸機へと搬送した。なお、キャスト工程において、口金の溶融ポリマー吐出口とフィルム搬出口の水平距離は2.0m、フィルム搬送口の上端部と搬送フィルムの間隙は15mm、フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙は280mmとした。このときの搬送口からの吹込み風量は、フィルム搬送口の幅あたり0.227m/sであった。その後、搬送口から出た未延伸フィルムを温度95℃、倍率4.0倍の条件でロール式延伸機により長手方向に延伸し、さらに温度95℃で、幅方向倍率4.6倍の条件でテンター装置により幅方向に延伸した。さらに、温度220℃で熱固定を行い、テンター装置より排出されたフィルムを巻き取った。こうして厚み5μmフィルムを得た。搬送口からの吹込み風量、ブース内の清浄度、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2~4)
口金の溶融ポリマー吐出口とフィルム搬出口の水平距離、フィルム搬送口の上端部と搬送フィルムの間隙、フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙、フィルム厚みを下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にフィルムを製造した。搬送口からの吹込み風量、ブース内の清浄度、フィルムの評価結果を表1に示す。なお、口金の溶融ポリマー吐出口とフィルム搬出口の水平距離、フィルム搬送口の上端部と搬送フィルムの間隙、フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙については、口金や搬送ロール等の位置の調整により行い、フィルム厚みの調整は押出機の条件を調整し、口金から吐出する溶融ポリマーの吐出量を変更することにより調整した。
(実施例5)
搬送口からの吹込み風量、フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にフィルムを製造した。ブース内の清浄度、フィルムの評価結果を表1に示す。搬送口からの吹込み風量、フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙は、フィルム搬送口の下端部の位置の調整によって行った。
(比較例1)
ブース内の圧力調整により、搬送口からの吹込み風量を、フィルム搬送口の幅あたり0.250m/sに変更した以外は、実施例1と同様にして厚み5μmの最終製品を得た。ブース内の清浄度、得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2024009758000002
なお、ブース内の清浄度クラスは、ブース1.0mあたりの粒子径0.5μmを超える粒子の個数が3520個を超える場合をいう。
本発明により、オリゴマーや砂塵等が空気の流れに乗ってキャストドラムへ落下し、フィルムへ混入することを防止することにより、高品質の延伸フィルムを製造することが可能な延伸フィルムの製造方法を提供することができる。本発明のフィルムの製造方法により得られたフィルムは欠点の少ない高品質なものであり、産業用途で広く使用することができる。
1 ブース
2 ブース内最下流側に位置する搬送ロールの円周上頂点
3 フィルム搬送口の上端部
4 フィルム搬送口の下端部
5 フィルム搬送口の上端部と搬送フィルムの間隙X
6 フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙Y
7 口金
8 吐出口の中心から床面に垂直に引いた直線とブースの床面との交点
9 フィルム搬送口の中心から床面に垂直に引いた直線と床面との交点
10 口金の溶融ポリマー吐出口とフィルム搬出口の水平距離
11 キャストドラム
12 塵埃測定器

Claims (5)

  1. 口金から吐出されるシート状の溶融ポリマーをキャストドラムで冷却固化してキャストフィルムとする工程を有する延伸フィルムの製造方法であって、前記キャストドラムを配置したブースのフィルム搬送口からブース内への吹込み風量が、前記フィルム搬送口の幅1mあたり0.227m/s以下である、延伸フィルムの製造方法。
  2. 前記フィルム搬送口の上端部と搬送フィルムの間隙Xが15mm≦X<20mmであり、前記フィルム搬送口の下端部と搬送フィルムの間隙Yが150mm≦Y<300mmである、請求項1に記載の延伸フィルムの製造方法。
  3. 前記口金の溶融ポリマー吐出口と前記フィルム搬出口の水平距離が2.0m以上である、請求項1または2に記載の延伸フィルムの製造方法。
  4. 前記ブース内の清浄度クラスがISO14644-1:2015におけるClass5以下である、請求項1または2に記載の延伸フィルムの製造方法。
  5. 前記延伸フィルムの厚みが1μm以上10μm以下である、請求項1または2に記載の延伸フィルムの製造方法。
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