JP2007209101A - ブスバーユニット、電動モータおよびブスバーユニットの製造方法 - Google Patents

ブスバーユニット、電動モータおよびブスバーユニットの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 電動モータに利用されるブスバーユニットにおいて、回路基板がブスバーに取り付けられた後に、回路基板とブスバーとの間の封止を容易かつ適切に行う。
【解決手段】電動モータの電機子に取り付けられるブスバーユニット50は、電機子へ駆動電流を供給する端子を有するブスバー51、それぞれが略J字形状の金属である複数の接続ピン513、および、ブスバー51上に配置されるとともに封止剤517の注入口55とエア抜き穴56とが形成された回路基板52を備える。ブスバーユニット50では、回路基板52がブスバー51に取り付けられた後に、注入口55からブスバー51に形成された収容部515内へと封止剤517の充填が行われ、エア抜き穴56にて封止剤517が確認された時点で注入が停止される。これにより、回路基板52とブスバー51との間における接続ピン513の封止を容易かつ適切に行うことができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、ブスバーユニット、および、ブスバーユニットが利用される電動モータの技術に関する。
近年、パワーステアリングやスロットルバルブ等の自動車の様々な機構の動力源として電動モータが利用されており、このようなモータでは、高精度な制御を実現するため、様々な種類の電子部品が回路基板に実装されている。自動車は、様々な環境下において長期間、正確に動作することが求められることから、その機構部品の1つであるモータにも高い信頼性が求められる。
例えば、特許文献1では、モータ部と回路基板とが隔壁により分離され、隔壁を貫通する接続端子によってモータ部のコイルと回路基板とを電気的に接続し、接続端子の隔壁貫通部分をシール部材にてシールすることにより、モータ部から回路基板への水分や金属粉等の侵入を防止することができるスロットルバルブ用のブラシレスモータが開示されている。
また、特許文献2では、ケーシング側に形成された位置決めピンを回路基板側の位置決め穴に合わせ、回路基板がケーシングに嵌め込まれてネジまたは位置決めピンの熱かしめによりケーシングに固定されることにより、回路基板に実装された電子部品がケーシングに形成された凹部に収納されるブラシレスモータが開示されている。
特開2002−252958号公報 特開2004−48904号公報
近年、モータを利用する電動式のパワーステアリング(以下、「EPS(Electric Power Steering)」という。)は、エンジン出力をオイルに直接伝達する油圧式のパワーステアリングに比べてエンジンのパワーロスが少ない効率的なシステムとして注目されている。このようなEPSに利用されるモータとして、モータの内部がオイルで満たされた状態でオイルを送出するポンプの動力源として利用されるものがある。モータの内部がオイルで満たされる場合、何らかの原因によりオイルに金属粉が紛れ込むと短絡等の電気関係のトラブルを引き起こしてしまう恐れがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ブスバーユニット、特に、ブスバー上に回路基板が配置されるブスバーユニットを備える電動モータの信頼性を向上することを主たる目的としている。
請求項1に記載の発明は、電動油圧式パワーステアリングに搭載され、油に浸漬されない回転制御部と油に浸漬される駆動部とが隔離された電動モータの前記駆動部に配置されたブスバーユニットであって、電機子へ駆動電流を供給する端子を有する配線または配線板を挿入して成形された非導電性の樹脂材料であるブスバーと、前記ブスバー上に固定された回路基板と、前記ブスバーと前記回路基板との間に注入されて硬化した封止剤と、前記ブスバーの成形時に内部に挿入され、一部が前記ブスバーの前記回路基板と対向する面から露出するとともに前記回路基板に電気的に接続された接続ピンとを備え、前記ブスバーの前記回路基板と対向する前記面は、前記接続ピンの一部を収容する収容部を備え、前記回路基板は前記収容部を覆うように前記ブスバーに当接し、前記封止剤の少なくとも一部が前記収容部に充填されている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブスバーユニットであって、前記回路基板もしくは前記ブスバーまたは前記回路基板と前記ブスバーとの間に前記封止剤の注入口が設けられる。
請求項3に記載の発明は、電動油圧式パワーステアリングに搭載され、油に浸漬されない回転制御部と油に浸漬される駆動部とが隔離された電動モータの前記駆動部に配置されたブスバーユニットであって、電機子へ駆動電流を供給する端子を有する配線または配線板を挿入して成形された非導電性の樹脂材料であるブスバーと、前記ブスバー上に固定された回路基板と、前記回路基板に電気的に接続される端子を有し、前記電動モータのロータ部の外側面に対向して前記ロータ部の磁極位置を検出するセンサと、前記ブスバーおよび前記回路基板の少なくとも一方に固定され、前記ロータ部の外側面に向かって開口して前記センサを保持する凹部を有するセンサホルダと、前記ブスバーと前記回路基板との間および前記センサと前記回路基板との間の空間に注入されて硬化した封止剤と、前記ブスバーの成形時に内部に挿入され、一部が前記ブスバーの前記回路基板と対向する面から露出するとともに前記回路基板に電気的に接続された接続ピンとを備え、前記ブスバーの前記回路基板と対向する前記面は、前記接続ピンの一部を収容する収容部を備え、前記回路基板は前記収容部を覆うように前記ブスバーに当接し、前記回路基板もしくは前記ブスバーまたは前記回路基板と前記ブスバーとの間に設けられた注入口から前記封止剤の一部が前記収容部に充填されている。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のブスバーユニットであって、前記注入口が、前記回路基板に形成された貫通穴または切り欠きである。
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載のブスバーユニットであって、前記回路基板もしくは前記ブスバーまたは前記回路基板と前記ブスバーとの間に、前記注入口とは別の開口が設けられる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のブスバーユニットであって、前記開口が、前記回路基板に形成された貫通穴または切り欠きである。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のブスバーユニットであって、前記回路基板の前記ブスバーに対向する面に電子部品が実装されており、前記収容部は前記電子部品をさらに収容する。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のブスバーユニットであって、前記ブスバーが、前記回転制御部に向かって突出して嵌合される突起を備え、前記突起の先端から前記接続ピンの前記回路基板と接続される側とは反対側の端部が突出し、前記端部が前記回転制御部と電気的に接続される。
請求項9に記載の発明は、電動油圧式パワーステアリングに搭載され、油に浸漬されない回転制御部と油に浸漬される駆動部とが隔離された電動モータであって、電機子を有するステータ部と、前記電機子との間で所定の中心軸を中心とするトルクを発生する界磁用磁石を有するロータ部と、前記中心軸を中心に前記ロータ部を前記ステータ部に対して回転可能に支持する軸受機構と、前記ステータ部および前記ロータ部を収納するハウジングと、請求項1ないし8のいずれかに記載のブスバーユニットとを備える。
請求項10に記載の発明は、電動油圧式パワーステアリングに搭載され、油に浸漬されない回転制御部と油に浸漬される駆動部とが隔離された電動モータの前記駆動部に配置されたブスバーユニットの製造方法であって、a)電機子へ駆動電流を供給する端子を有するブスバー上に回路基板を固定する工程と、b)前記回路基板と前記ブスバーとの間に硬化性を有する封止剤を注入する工程とを備える。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のブスバーユニットの製造方法であって、前記b)工程において、前記回路基板もしくは前記ブスバーまたは前記回路基板と前記ブスバーとの間に設けられた注入口から前記封止剤が注入される。
請求項1の発明では、接続ピンの一部を収容する収容部に封止剤を充填することにより、接続ピンの回路基板とブスバーとの間の部位を容易に封止することができ、電動モータの信頼性を向上することができる。請求項2および3の発明では、収容部に容易に封止剤を充填することができ、請求項3の発明では、センサの端子も封止することにより、電動モータの信頼性をさらに向上することができる。
請求項5の発明では、封止剤を効率よく充填することができ、適切に封止を行うことができる。請求項7の発明では、電子部品も容易に封止することができる。請求項8の発明では、電動モータを容易に組み立てることができる。
請求項10の発明ではブスバー上に回路基板が配置されるブスバーユニットを備える電動モータの信頼性を向上することができ、請求項11の発明では、封止剤を容易に充填することができる。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る電動モータ1(以下、単に「モータ」という。)の縦断面図である。モータ1はいわゆるブラシレスモータとなっており、例えば、自動車の操舵を補助する電動油圧式パワーステアリングに駆動源として搭載される。なお、断面の細部における平行斜線の図示を一部省略している。モータ1は、回転組立体であるロータ部2、固定組立体であるステータ部3、ロータ部2およびステータ部3を収納する略有底円筒状のハウジング11、および、軸受機構4を備える。
モータ1が実際に使用される際には、ハウジング11の図1における上側の開口が別途蓋部材により塞がれ、その上にモータ1の回転制御部である制御回路ユニット(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」という。)71が取り付けられる。また、ハウジング11の底部の外側にはポンプが取り付けられ、ポンプの内部およびハウジング11の内部はパワーステアリング用の流体である油で満たされる。すなわち、モータ1では油に浸漬されないECU71と油に浸漬されるロータ部2やステータ部3等の駆動部とが隔離されている。以下の説明では、便宜上、中心軸J1に沿ってハウジング11の開口側を上側、ハウジング11の底部側を下側として説明するが、中心軸J1は、必ずしも重力方向に一致する必要はない。なお、駆動部とは別体のECU71はモータ1の一部と捉えられても捉えられなくてもよい。
ハウジング11は、アルミダイカストにて1つの部材として形成され、中心軸J1を中心とする略円筒状の筒状部111、筒状部111の下端を覆うとともに中央に開口1121が形成された底部112、開口1121から中心軸J1に沿って筒状部111の上端に向かって突出する略円筒状の軸受保持部113を備える。
ロータ部2は、中心軸J1を中心として一端(上端)が軸受保持部113の先端から突出するシャフト21、中心軸J1を中心とする円筒部を有するとともにシャフト21の上端にてシャフト21に取り付けられるロータコア22、ロータコア22の側面に取り付けられた界磁用磁石23、中心軸J1を中心とする環状でありロータコア22の上端の外周面に取り付けられたセンサ用磁石24、および、界磁用磁石23とセンサ用磁石24とを覆うロータカバー25を備える。
ロータコア22は、金属粉末の加圧成形および焼結を含む工程により軸受保持部113の先端を覆う有蓋円筒状に形成された磁性体であり、上部の蓋部221がシャフト21の上端に接続されて下側が自由端とされる。このように、ロータコア22を、いわゆる片持ち構造にて支持することにより、軸受機構4をロータコア22内に位置させてモータ1の高さ(軸方向の長さ)を低減することが実現される。なお、軸受機構4の全体がロータコア22の内部に位置する必要はなく、軸受機構4の少なくとも一部が、ロータコア22内に位置するのみであってもよい。
界磁用磁石23は、それぞれが中心軸J1方向に長い複数の界磁用磁石要素(いわゆるセグメントマグネット)の集合体であり、周方向に沿ってロータコア22の外周面上に配列される。界磁用磁石23としては、例えば、ネオジウムを含む焼結体が利用される。
ハウジング11の筒状部111の内周面には電機子30が界磁用磁石23に対向して取り付けられ、電機子30の中心軸はシャフト21の中心軸J1と一致する。電機子30は、磁性体からなるコア31の環状部(いわゆるコアバック)の内周面から、先端を中心軸J1に向けて中心軸J1を中心に放射状に配置される(すなわち、ハウジング11の内周面からシャフト21および界磁用磁石23に向かって伸びる)複数のティース(図2の符号311参照)、複数のティースを覆うインシュレータ32、および、複数のティースにインシュレータ32上から多層に導線を巻回することにより設けられたコイル35を備える。コイル35は、ティースおよびインシュレータ32の外周に上下方向(中心軸J1方向)に向かって導線が巻かれて形成されている。
電機子30の上側には、ブスバーユニット50が配置され、ブスバーユニット50は、電機子30のコイル35へ駆動電流を供給する端子を有するブスバー51、および、ブスバー51上に固定されるとともに後述するホール素子等が実装される回路基板52を備える。ブスバー51はECU71にも接続される。
モータ1では、電機子30およびブスバーユニット50を主要部としてハウジング11内に固定されたステータ部3が構成され、ハウジング11の軸受保持部113の内側には軸受機構4が保持される。軸受機構4は、中心軸J1に沿って配列された1対の軸受41,42であり、ロータ部2のシャフト21が軸受保持部113内にて1対の軸受41,42に支持されることにより、ロータ部2がステータ部3に対して中心軸J1を中心に相対的に回転可能に支持される。そして、ブスバー51を介して電機子30に駆動電流が供給されることにより、界磁用磁石23と電機子30との間で中心軸J1を中心とするトルクが発生し、ロータ部2が回転する。
回路基板52のブスバー51側には、種々の電子部品と共にロータコア22の向き(すなわち、回転位置)を検出するセンサである3つのホール素子53が下方に向かって突出するように実装されており、ホール素子53は後述するセンサホルダ54に保持される。ホール素子53は、ロータ部2の外側面に対向するように中心軸J1に対してセンサ用磁石24の外側に配置され、センサ用磁石24はホール素子53と対向する。センサ用磁石24は界磁用磁石23と同様に多極着磁されており、ホール素子53がセンサ用磁石24の磁極位置を検出することにより、界磁用磁石23の回転位置が間接的に検出される。そして、検出結果に基づいて電機子30への駆動電流が制御される。
図2は、ステータ部3の主要な構成要素を分解して示す斜視図である。図2では電機子30についてはコア31のみを示しているが、実際には、電機子30にブスバーユニット50が取り付けられる際には、コア31のティース311がインシュレータ32で覆われ、さらにインシュレータ32の上から導線が巻回されてコイル35が形成された電機子30が準備される(図1参照)。
ブスバー51は、環状の樹脂本体511、樹脂本体511内で中心軸J1の向く方向に間隔を開けて積層される複数(本実施の形態では4つ)の円弧状の配線板512(図1参照)、および、それぞれが剛性を有する略線状の金属である複数の接続ピン513を備える。ブスバー51は、配線板512(線状の配線であってもよい。)を挿入して非導電性の樹脂材料を射出成形することにより形成され、接続ピン513もブスバー51の成形時に内部に挿入される。各接続ピン513はJ字状となっており、両端部513a,513bが樹脂本体511の上面から上方へと露出する。配線板512は、電機子30との結線用の複数の端子5121、および、外部の電流供給部との結線用の平端子5122を有し、端子5121および平端子5122の間を接続する部位、および、接続ピン513の両端部間の一部が、射出成形時のインサート成形により樹脂本体511内に位置するように樹脂モールドされる。このように、ブスバー51の樹脂本体511内には大きく分けて2種類の金属部材が配置され、複数の配線板512の一部および複数の接続ピン513の一部が樹脂本体511に覆われることにより互いに電気的に絶縁されつつ固定されている。
ステータ部3では、コイル35(図1参照)からの導線がカシメにより外周の端子5121に接続されることによりブスバーユニット50が電機子30と電気的に接続される。このとき、樹脂本体511の外周に設けられた複数の脚部514がコア31の上面に当接し、さらに、脚部514の先端に形成された突起部がコア31の外周面の縦溝に係合することにより、コア31に対するブスバーユニット50の位置が決定される。
図3は、ブスバーユニット50のホール素子53の位置での部分断面を拡大して示す縦断面図である。ブスバーユニット50は、図3に示すように、ブスバー51と回路基板52との間に注入されて硬化した封止剤517をさらに備え、ブスバー51の回路基板52と対向する面には、図2および図3に示すように、封止剤517が充填された収容部515が形成されている。なお、封止剤517は収容部515からはみ出していてもよく、充填された封止剤517の一部が収容部515に収容されるのみでもよい。また、ブスバー51の内周面には、樹脂製で円弧状のセンサホルダ54が収容される円弧状の凹部516が形成されている。センサホルダ54には、ロータ部2の外側面に向かって開口してホール素子53を保持する凹部541が形成され、ホール素子53の両側面が隙間なく嵌り込む形状となっている。ホール素子53は、センサ面をセンサホルダ54の中心軸J1側を向く面にほぼ一致させつつセンサホルダ54により移動不可能な状態で保持される。
ブスバーユニット50では、図3に示すように、ブスバー51からの各接続ピン513の両端部のうちの一の端部(以下、「基板側端部」という。)513aが、樹脂本体511の回路基板52と対向する表面のうち、収容部515の底面から垂直に突出して露出し、収容部515を覆うようにブスバー51に当接する回路基板52に半田付けにて電気的に接続される。これにより、接続ピン513の回路基板52とブスバー51との間の部位が収容部515に収容され、封止剤517で覆われる。これにより、回路基板52とブスバー51との間においても接続ピン513がモータ1内部の油から隔離され、万一、油に金属粉などが混入しても電気関係のトラブルを防ぐことができる。なお、後述するように、ブスバー51や回路基板52の他の部分も適宜封止剤の塗布が行われている。特に、図3に示すように、ホール素子53と回路基板52との間の空間にも封止剤517aが充填されている。
また、回路基板52のブスバー51に対向する面には電子部品519が実装されており、収容部515は電子部品519も収容する。これにより、電子部品519も容易に封止することができる。
一方、各接続ピン513の回路基板52とは反対側の端部(以下、「コネクタ側端部」という。)513bは、樹脂本体511に上方に突出するように設けられた突出部518の先端からさらに上方に突出する。詳細には、突出部518の先端には複数のコネクタ側端部513bの周囲にて上方に、すなわち、ECU71に向かって突出するコネクタ用突起518aが設けられ、コネクタ用突起518aの先端から複数のコネクタ側端部513bが突出する。そして、コネクタ用突起518aおよびコネクタ側端部513bを含むコネクタ510が、ECU71(図1参照)のコネクタ711に嵌合されることにより、コネクタ側端部513bとECU71とが電気的に接続される。すなわち、ブスバー51では樹脂本体511のコネクタ側端部513bの周囲の部位が、コネクタ711と嵌合されるコネクタ510の一部となっている。ECU71に出力される信号は、ホール素子53からの信号に基づいて回路基板52上に実装された電子部品により生成される。ECU71がブスバー51に直接接続されることにより、モータ1の組み立てを容易に行うことができる。
次に、モータ1に利用されるブスバーユニット50の製造方法について説明する。図4は、ブスバーユニット50の製造の流れを示す図であり、図5ないし図9は、ブスバーユニット50の製造途上の様子を示す図である。ブスバーユニット50が製造される際には、図5に示すように、まず、ホール素子53(すなわち、センサ)がセンサホルダ54の各凹部541に挿入されて保持され、回路基板52上のランドに形成された孔にホール素子53の端子が挿入された上で、センサホルダ54が回路基板52の樹脂本体511側の面(図2参照)に取り付けられる。センサホルダ54の回路基板52への固定は、図5および図6に示すように、センサホルダ54の突起部542を回路基板52の孔521に挿入して突起部542を加熱溶融して押し潰す熱溶着により行われる(ステップS11)。その後、ホール素子53の端子が半田付けにより回路基板52に接合される(ステップS12)。なお、センサホルダ54はブスバー51に固定されてもよく、回路基板52とブスバー51の双方に固定されてもよい。
次に、図6に示すように、センサホルダ54が凹部516内に嵌め込まれ、樹脂本体511の上面に設けられた2つの樹脂製の突起部5111が回路基板52の孔522に挿入されるとともに複数の接続ピン513の基板側端部513aが回路基板52に設けられた孔523に挿入されて回路基板52がブスバー51に取り付けられる。そして、図9に示すように、突起部5111を加熱溶融して押し潰す熱溶着により、ブスバー51上に回路基板52が強固に固定される(ステップS13)。さらに、基板側端部513aが半田付けにより回路基板52に接合される(ステップS14)。
モータ1は、既述のように、流体である油を送出するポンプの動力源として利用され、ハウジング11内が油で満たされる。そこで、次に、ブスバー51の各端子5121(図2参照)に、あるいは、ホール素子53や他の電子部品等の端子と回路基板52との接合部等に適宜、封止処理が施される。
封止処理では、まず、回路基板52とブスバー51との間の封止が行われる。回路基板52には、図6に示すように、封止剤517の注入口55となる貫通穴、および、注入口55とは別の開口であり、エア抜き穴56となる切り欠きが形成されている。注入口55およびエア抜き穴56は、ブスバー51の上面に設けられた収容部515と対向する位置に設けられる。なお、正確には、収容部515の一部と切り欠き525とが組み合わされることにより、収容部515に対するエア抜き穴56が形成される。エア抜き穴56は主として収容部515からエアを排出するために利用されるが、付随的に封止剤517の充填範囲を確認するためにも利用される。
図7および図8は、流動体である封止剤517が収容部515に注入される様子を示す図である。封止剤517が注入される際には、ノズル81が注入口55に押し当てられてノズル81から封止剤517が吐出されることにより、回路基板52とブスバー51との間の収容部515内に封止剤517が注入される(ステップS15)。その結果、もう一つの開口であるエア抜き穴56から収容部515内のエアが容易に抜けるため、封止剤517を効率よく充填して適切に封止を行うことができる。また、封止剤517の注入は、図8に示すように、エア抜き穴56までの封止剤517の充填が確認された時点で停止される。これにより、封止剤517を適切な量にて適切な範囲に充填することができる。封止剤517は硬化性を有し、適当な時間放置されることにより収容部515内で硬化する。これにより、接続ピン513の回路基板52とブスバー51との間の部位(および、回路基板52のブスバー51側における、回路基板52と基板側端部513aとの接合部)が、後工程でモータ1内に注入される油に対して電気的に確実に絶縁される。
回路基板52とブスバー51との間の封止処理が完了すると、図9に示すように、回路基板52のブスバー51とは反対側の表面に封止剤517が塗布され、回路基板52と基板側端部513aとの接合部および回路基板52とホール素子53の端子との接合部が封止(すなわち、コーティング)される。さらに、ホール素子53の端子の回路基板52よりも下側の部分にも封止剤517が塗布され、ブスバー51の端子5121等の他の部位にも封止剤が適宜塗布される。その後、封止剤が硬化することによりブスバーユニット50の製造が完了する(ステップS16)。図9では、ステップS16にて塗布される封止剤の図示を省略しており、塗布される領域に平行斜線および符号517を付している。
なお、回路基板52とブスバー51との間の領域のうち、回路基板52をブスバー51に取り付ける前に封止剤517の塗布が可能な領域(例えば、表面実装された電子部品の電極部)に対しては、回路基板52がブスバー51に取り付けられる前に予め封止剤517が塗布されてもよい。
以上に説明したように、モータ1では、回路基板52に設けられた注入口55から封止剤517が注入されることにより、回路基板52をブスバー51に固定した後であっても回路基板52とブスバー51との間(特に、接続ピン513のこの間隙内の部位)を封止剤517で容易に封止することができ、接続ピン513と回路基板52との接合部の周囲の油に万一、金属粉が混入しても短絡等の電気関係のトラブルが確実に防止され、モータ1の信頼性を向上することができる。
また、樹脂本体511の回路基板52と対向する面に封止剤517が充填される収容部515が形成されることにより、封止剤を所望の領域に容易に充填することができる。さらに、回路基板52にエア抜き穴56を設けることにより、封止剤517を容易に充填することができるとともに封止剤517の充填範囲を確認することができ、作業性を向上して適切に封止を行うことができる。
次に、ブスバーユニット50の他の好ましい例について説明する。図10は、他の例に係るブスバーユニット50aの一部を拡大して示す平面図である。図6に示すブスバーユニット50では、注入口55が回路基板52に形成された貫通穴とされ、エア抜き穴56が回路基板52に形成された切り欠きとされるが、注入口55およびエア抜き穴56の形状はこれらに限定されるものではなく、図10に示すブスバーユニット50aでは、注入口55が回路基板52に形成された切り欠きとされ、収容部515に通じるエア抜き穴56が回路基板52に形成された貫通穴とされる。
図11は、さらに他の例に係るブスバーユニット50bの一部を拡大して示す平面図であり、図12は、図11に示すブスバーユニット50bの縦断面図である。ブスバーユニット50bでは、ブスバー51の樹脂本体511に収容部515に通じる注入口55が設けられ、図7に示すブスバーユニット50の製造方法と同様にして、エア抜き穴56から封止剤517の充填が確認されるまで注入口55からノズル81にて封止剤517が注入されることにより、回路基板52とブスバー51との間を封止剤517にて封止することができる。
図13は、さらに他の例に係るブスバーユニット50cを示す縦断面図である。ブスバーユニット50cでは、ブスバー51の樹脂本体511の側面に収容部515に通じる貫通穴が注入口55として設けられ、ノズル81にて注入口55から収容部515に封止剤517が充填されることにより回路基板52とブスバー51との間が封止される。
なお、ブスバー51の樹脂本体511に収容部515は必ずしも形成される必要はなく、この場合、ブスバー51と回路基板52との間の隙間の開口部が注入口およびエア抜き穴として利用されてよい(すなわち、注入口およびエア抜き穴が意図的に明瞭に設けられる必要はなく、注入口およびエア抜き穴として機能する部位があればよい)。もちろん、封止剤517を適切に充填するという観点からは、樹脂本体511に収容部515による略密閉空間が形成されることが好ましい。
以上のように、注入口55は、回路基板52もしくはブスバー51、または、回路基板52とブスバー51との間に様々な手法にて設けられてよく、エア抜き穴56も同様に、回路基板52もしくはブスバー51、または、回路基板52とブスバー51との間に様々な手法にて設けられてよい。また、注入口55およびエア抜き穴56の形状は様々に変更されてよく、ブスバー51に載置される回路基板52の形状、回路基板52に実装される電子部品の種類や数、および、回路基板52に形成されるパターンの形状等に基づいて注入口55およびエア抜き穴56の形状や位置が決定される。いずれの場合においても回路基板52のブスバー51側の面を封止剤517にて封止することができ、モータ1およびポンプの信頼性を向上することができる。なお、注入口55およびエア抜き穴56を容易に設けるという観点からは、これらの開口は回路基板52の貫通穴または切り欠きとして設けられることが好ましい。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、ブスバー51から他の端子(例えば、中性点の端子)が突出して回路基板52に接続される場合においても、端子の封止に上記の封止剤517の注入方法が利用されることが好ましい。
軸受機構4は、1対の軸受41,42以外の軸受を有していてもよく、例えば、含油スリーブによりシャフト21が支持されてもよい。また、シャフト21は片持ち構造にて支持される必要はなく、両持ち構造にて支持されてもよい。すなわち、ハウジング11に対してシャフト21を回転可能に支持する軸受機構は、ロータコア22に対して上下に分離されてもよい。
モータ1は、高い信頼性が確保されるため、自動車の電動パワーステアリング以外に、電動ブレーキシステムや電磁サスペンション、トランスミッションシステムに利用されてもよく、また、自動車以外の車両の運転操作を補助する様々なシステムに利用されてよい。なお、モータ1は、油以外の流体のポンプに利用することも可能である。さらに、、ポンプとして利用されない場合であっても上記封止を行うことにより、モータの信頼性を向上することが実現される。
本発明の一の実施の形態に係る電動モータの縦断面図である。 ステータ部の主要な構成要素を分解して示す斜視図である。 ブスバーの一部を拡大して示す縦断面図である。 ブスバーユニットの製造の流れを示す図である。 ブスバーユニットの製造途上の様子を示す図である。 ブスバーユニットの製造途上の様子を示す図である。 ブスバーユニットの製造途上の様子を示す図である。 ブスバーユニットの製造途上の様子を示す図である。 ブスバーユニットの製造途上の様子を示す図である。 ブスバーユニットの一部を拡大して示す平面図である。 ブスバーユニットの一部を拡大して示す平面図である。 ブスバーユニットの一部を拡大して示す縦断面図である。 ブスバーユニットの一部を拡大して示す縦断面図である。
符号の説明
1 モータ
2 ロータ部
3 ステータ部
4 軸受機構
11 ハウジング
23 界磁用磁石
30 電機子
50,50a,50b,50c ブスバーユニット
51 ブスバー
52 回路基板
53 ホール素子
54 センサホルダ
55 注入口
56 エア抜き穴
513 接続ピン
515 収容部
517,517a 封止剤
518a コネクタ用突起
519 電子部品
5121 端子
5122 平端子
71 ECU(回転制御部)
J1 中心軸
S11〜S16 ステップ

Claims (11)

  1. 電動油圧式パワーステアリングに搭載され、油に浸漬されない回転制御部と油に浸漬される駆動部とが隔離された電動モータの前記駆動部に配置されたブスバーユニットであって、
    電機子へ駆動電流を供給する端子を有する配線または配線板を挿入して成形された非導電性の樹脂材料であるブスバーと、
    前記ブスバー上に固定された回路基板と、
    前記ブスバーと前記回路基板との間に注入されて硬化した封止剤と、
    前記ブスバーの成形時に内部に挿入され、一部が前記ブスバーの前記回路基板と対向する面から露出するとともに前記回路基板に電気的に接続された接続ピンと、
    を備え、
    前記ブスバーの前記回路基板と対向する前記面は、前記接続ピンの一部を収容する収容部を備え、
    前記回路基板は前記収容部を覆うように前記ブスバーに当接し、前記封止剤の少なくとも一部が前記収容部に充填されていることを特徴とするブスバーユニット。
  2. 請求項1に記載のブスバーユニットであって、
    前記回路基板もしくは前記ブスバーまたは前記回路基板と前記ブスバーとの間に前記封止剤の注入口が設けられることを特徴とするブスバーユニット。
  3. 電動油圧式パワーステアリングに搭載され、油に浸漬されない回転制御部と油に浸漬される駆動部とが隔離された電動モータの前記駆動部に配置されたブスバーユニットであって、
    電機子へ駆動電流を供給する端子を有する配線または配線板を挿入して成形された非導電性の樹脂材料であるブスバーと、
    前記ブスバー上に固定された回路基板と、
    前記回路基板に電気的に接続される端子を有し、前記電動モータのロータ部の外側面に対向して前記ロータ部の磁極位置を検出するセンサと、
    前記ブスバーおよび前記回路基板の少なくとも一方に固定され、前記ロータ部の外側面に向かって開口して前記センサを保持する凹部を有するセンサホルダと、
    前記ブスバーと前記回路基板との間および前記センサと前記回路基板との間の空間に注入されて硬化した封止剤と、
    前記ブスバーの成形時に内部に挿入され、一部が前記ブスバーの前記回路基板と対向する面から露出するとともに前記回路基板に電気的に接続された接続ピンと、
    を備え、
    前記ブスバーの前記回路基板と対向する前記面は、前記接続ピンの一部を収容する収容部を備え、
    前記回路基板は前記収容部を覆うように前記ブスバーに当接し、前記回路基板もしくは前記ブスバーまたは前記回路基板と前記ブスバーとの間に設けられた注入口から前記封止剤の一部が前記収容部に充填されていることを特徴とするブスバーユニット。
  4. 請求項2または3に記載のブスバーユニットであって、
    前記注入口が、前記回路基板に形成された貫通穴または切り欠きであることを特徴とするブスバーユニット。
  5. 請求項2ないし4のいずれかに記載のブスバーユニットであって、
    前記回路基板もしくは前記ブスバーまたは前記回路基板と前記ブスバーとの間に、前記注入口とは別の開口が設けられることを特徴とするブスバーユニット。
  6. 請求項5に記載のブスバーユニットであって、
    前記開口が、前記回路基板に形成された貫通穴または切り欠きであることを特徴とするブスバーユニット。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のブスバーユニットであって、
    前記回路基板の前記ブスバーに対向する面に電子部品が実装されており、
    前記収容部は前記電子部品をさらに収容することを特徴とするブスバーユニット。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載のブスバーユニットであって、
    前記ブスバーが、前記回転制御部に向かって突出して嵌合される突起を備え、
    前記突起の先端から前記接続ピンの前記回路基板と接続される側とは反対側の端部が突出し、前記端部が前記回転制御部と電気的に接続されることを特徴とするブスバーユニット。
  9. 電動油圧式パワーステアリングに搭載され、油に浸漬されない回転制御部と油に浸漬される駆動部とが隔離された電動モータであって、
    電機子を有するステータ部と、
    前記電機子との間で所定の中心軸を中心とするトルクを発生する界磁用磁石を有するロータ部と、
    前記中心軸を中心に前記ロータ部を前記ステータ部に対して回転可能に支持する軸受機構と、
    前記ステータ部および前記ロータ部を収納するハウジングと、
    請求項1ないし8のいずれかに記載のブスバーユニットと、
    を備えることを特徴とする電動モータ。
  10. 電動油圧式パワーステアリングに搭載され、油に浸漬されない回転制御部と油に浸漬される駆動部とが隔離された電動モータの前記駆動部に配置されたブスバーユニットの製造方法であって、
    a)電機子へ駆動電流を供給する端子を有するブスバー上に回路基板を固定する工程と、
    b)前記回路基板と前記ブスバーとの間に硬化性を有する封止剤を注入する工程と、
    を備えることを特徴とするブスバーユニットの製造方法。
  11. 請求項10に記載のブスバーユニットの製造方法であって、
    前記b)工程において、前記回路基板もしくは前記ブスバーまたは前記回路基板と前記ブスバーとの間に設けられた注入口から前記封止剤が注入されることを特徴とするブスバーユニットの製造方法。
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