JP2007208728A - 圧電薄膜共振器、フィルタおよびその製造方法 - Google Patents

圧電薄膜共振器、フィルタおよびその製造方法 Download PDF

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Motoaki Hara
基揚 原
Tokihiro Nishihara
時弘 西原
Shinji Taniguchi
眞司 谷口
Takeshi Yokoyama
剛 横山
Takeshi Sakashita
武 坂下
Jun Tsutsumi
潤 堤
Kiyouiku Iwaki
匡郁 岩城
Masanori Ueda
政則 上田
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Abstract

【課題】犠牲層をエッチングする際、下部電極が基板に付着することを抑制することが可能な圧電薄膜共振器、フィルタおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、基板(41)上に、空隙(46)が形成されるように設けられた下部電極(43)と、下部電極(43)上に設けられた圧電膜(44)と、圧電膜(44)上に設けられた上部電極(45)と、を有し、下部電極(43)、圧電膜(44)および上部電極(45)は、空隙(46)の中心を含み、空隙(46)に接続する貫通孔(47)を有することを特徴とする圧電薄膜共振器およびフィルタ並びにその製造方法である。
【選択図】図4

Description

本発明は、圧電薄膜共振器、フィルタおよびその製造方法に関し、特に、下部電極、圧電膜および上部電極に空隙に接続する貫通孔を有する圧電薄膜共振器、フィルタおよびその製造方法に関する。
携帯電話に代表される無線機器の急速な普及により、小型で軽量な共振器およびこれを組み合わせて構成したフィルタの需要が増大している。これまでは主として誘電体と表面弾性波(SAW)フィルタが使用されてきたが、最近では、特に高周波での特性が良好で、かつ小型化とモノリシック化が可能な素子である圧電薄膜共振器およびこれを用いて構成されたフィルタが注目されつつある。
このような圧電薄膜共振器の一つとして、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)タイプの共振器が知られている。FBARは、基板上に、上部電極と圧電膜と下部電極の積層構造体(複合膜)を有し、上部電極と下部電極が対向する部分の下部電極下には振動エネルギーの基板への散逸を防ぐためバイアホールあるいはキャビティ(空隙)を必要とする。なお、下部電極下に誘電体膜を介し空隙が形成されることもある。バイアホールは素子基板として用いられる例えばSi基板を裏面からエッチングすることで形成され、キャビティは基板表面の犠牲層パターン上に複合膜等の共振子を形成し、最後に犠牲層を除去することにより形成される。空隙としてバイアホールおよびキャビティを有する圧電薄膜共振器を以下ではそれぞれバイアホールタイプおよびキャビティタイプと呼ぶ。
上部電極と下部電極との間に高周波の電気信号を印加すると、上部電極と下部電極に挟まれた圧電膜内部に、逆圧電効果によって励振される弾性波や圧電効果に起因する歪によって生じる弾性波が発生する。そして、これらの弾性波が電気信号に変換される。このような弾性波は、上部電極(膜)と下部電極(膜)がそれぞれ空気に接している面で全反射されるため、厚み方向に主変位をもつ厚み縦振動波となる。この素子構造では、空隙上に形成された上部電極、圧電膜および下部電極からなる積層構造体の合計膜厚Hが、弾性波の1/2波長の整数倍(n倍)になる周波数において共振が起こる。弾性波の伝搬速度Vは材料によって決まり、共振周波数FはF=nV/2Hで与えられる。このような共振現象を利用すると膜厚をパラメータとして共振周波数を制御することが可能であり、所望の周波数特性を有する共振器やフィルタを作製することができる。
上部電極および下部電極としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、チタン(Ti)などの金属材料あるいはこれらの金属を組み合わせた積層材料を用いることができる。また、圧電膜としては、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO)などを用いることができる。特に、成膜時に(002)方向に配向軸をもつ窒化アルミニウム(AlN)および酸化亜鉛(ZnO)は圧電膜に好ましい。基板としては、Si、ガラス、GaAsなどを用いることができる。
図1は、非特許文献1に開示されているバイアホールタイプの圧電薄膜共振器(従来例1)を説明するための断面図である。図1を参照に、熱酸化膜(SiO)12を有する(100)Si基板11上に、下部電極13としてAu−Cr膜、圧電膜14としてZnO膜および上部電極15としてAl膜が積層構造体を形成している。そして、積層構造体の下方には空隙(バイアホール)16が形成されている。空隙16は、(100)Si基板11の裏面側から、KOH水溶液あるいはEDP水溶液(エチレンジアミンとピロカテコールと水の混合液)を用いた異方性エッチングを用い形成さてれている。
しかしながら、従来例1には、以下のような課題がある。まず、前述の異方性エッチングは、Si基板の(100)面のエッチングレートが(111)面のエッチングレートに比較してある程度の高い値をもつという特性を利用しているため、Si基板のカット面が(100)面である場合に限って有効な手法である。よって、その他の基板を用いることができない。また、空隙16は、(100)面と(111)面とが交差する角度である54.7°の傾斜をもつ側壁形状をとらざるを得ない。このため、空隙16が大きくなり、圧電薄膜共振器の面積が大きくなる。よって、圧電薄膜共振器を複数個近接して配置させてフィルタを構成する場合、フィルタの面積が大きくなってしまう。さらに、Si基板11に空隙16を形成しているため、インダクタンスやキャパシタンス等を同一基板11上に製造することが難しく、集積化が困難である。さらに、Si基板11裏面の一部領域を大きくエッチングして形成される空隙16により機械的強度が低下してしまう。このため、Si基板11をダイシングしてチップに分割する工程やパッケージへの実装工程において、強度の弱いチップの破損を回避するための特別な配慮を必要とする。このように、バイアホールタイプの圧電薄膜共振器においては、集積化が難しい、チップの機械的強度が弱いという課題がある。
これに対してキャビティタイプの圧電薄膜共振器は、基板にバイアホールを形成しないため、上記バイアホールタイプの圧電薄膜共振器の集積化が難しい、チップの機械的強度が弱いという課題を克服することができる。
図2は、特許文献1に開示されているキャビティタイプの圧電薄膜共振器(従来例2)を説明するための断面図である。図2を参照に、熱酸化膜(SiO)22を有する基板21上に、下部電極23、圧電膜24およびと上部電極25が形成される積層構造体が設けられている。積層構造体の下方には空隙(キャビティ)26が形成されている。空隙26は、基板21上に、予めアイランド(島)状のZnOの犠牲層パターンを形成しておき、犠牲層パターン上に積層構造体を形成し、積層構造体の下方にある犠牲層を例えば酸等のエッチング液で除去することにより形成される。
図3は、特許文献2に開示されている別のキャビティタイプの圧電薄膜共振器(従来例3)を説明するための断面図である。図3を参照に、窒化アルミニウムからなる支持層32上に、上部電極35/圧電膜34/下部電極33の積層構造体が形成されている。積層構造体の下には空隙(キャビティ)36が形成されている。積層構造体には、キャビティを形成するための犠牲層をエッチングする際に、エッチング液を導入する貫通孔37が形成されている。
特開昭60−189307号公報 特開2004−200843号公報 Electron. Lett., 1981年、17巻、507−509頁
圧電薄膜共振器において、良好な共振特性を得るためには、良好な配向性を有する圧電膜を用いることが求められる。圧電膜の配向性は下地層(下部電極、下部下の層)の平坦性に強く依存する。このため、圧電膜の下地層の平坦性を向上させることが求められる。キャビティタイプの圧電薄膜共振器においては、キャビティを形成するための犠牲層が厚くなると犠牲層の表面の平坦性が悪化する。よって、犠牲層の膜厚は薄いことが好ましい。しかしながら、犠牲層が薄くなると、下部電極と基板との間の空隙が狭くなる。このため、犠牲層をエッチングする際、下部電極が基板に付着しやすくなるという課題が発生する。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、犠牲層をエッチングする際、下部電極が基板に付着することを抑制することが可能な圧電薄膜共振器、フィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基板上に、前記基板空隙が形成されるように設けられた下部電極と、該下部電極上に設けられた圧電膜と、該圧電膜上に設けられた上部電極と、を具備し、前記下部電極、前記圧電膜および前記上部電極は、前記空隙に接続し前記空隙の中心を含む貫通孔を有することを特徴とする圧電薄膜共振器である。本発明によれば、犠牲層除去後のリンスの工程において、リンス液(液体)を乾燥除去する際の表面張力により下部電極が基板に付着することを抑制することができる。
本発明は、基板上に、前記基板との間に空隙が形成されるように設けられた下部電極と、該下部電極上に設けられた圧電膜と、該圧電膜上に設けられた上部電極と、を具備し、前記圧電膜を挟む前記下部電極と前記上部電極との重なり領域であるメンブレン領域は、リング形状を有することを特徴とする圧電薄膜共振器である。本発明によれば、犠牲層をエッチングする際、液体が乾燥する際の表面張力により下部電極が基板に付着することを抑制することができる。
上記構成において、前記下部電極は、前記基板との間にドーム状の膨らみを有する空隙が形成されるように設けられた構成とすることができる。この構成によれば、空隙の厚さが薄く下部電極が基板に付着しやすいドーム状の空隙を有する圧電薄膜共振器において、下部電極が基板に付着することを抑制することができる。
上記構成において、前記空隙は平坦な前記基板上に設けられている構成とすることができる。この構成によれば、空隙の厚さが薄く下部電極が基板に付着しやすい平坦な基板を有する圧電薄膜共振器において、下部電極が基板に付着することを抑制することができる。
上記構成において、前記メンブレン領域と前記空隙とは相似形である構成とすることができる。
上記構成において、前記圧電膜は、(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウムおよび酸化亜鉛のいずれかである構成とすることができる。この構成によれば、良好な共振特性を有する圧電薄膜共振器を提供することができる。
本発明は、上記圧電薄膜共振器のいずれかを複数組み合わせて構成されていることを特徴とするフィルタである。本発明によれば、犠牲層をエッチングする際、下部電極が基板に付着することを抑制することが可能なフィルタを提供することができる。
本発明は、基板上に空隙を形成するための犠牲層を形成する工程と、前記犠牲層および前記基板上に下部電極、圧電膜および上部電極を形成する工程と、前記下部電極、前記圧電薄膜および前記上部電極を貫通し、前記空隙の中心を含む貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔よりエッチング液を導入し前記犠牲層を除去する工程と、を有する圧電薄膜共振器の製造方法である。本発明によれば、犠牲層をエッチングする際、液体が乾燥する際の表面張力により下部電極が基板に付着することを抑制することができる。
本発明は、上記圧電薄膜共振器の製造方法を含むことを特徴とするフィルタの製造方法である。本発明によれば、犠牲層をエッチングする際、下部電極が基板に付着することを抑制することができる。
本発明によれば、犠牲層をエッチングする際、下部電極が基板に付着することを抑制することが可能な、圧電薄膜共振器、フィルタおよびその製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照に本発明に係る実施例について説明する。
図4(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図、図4(c)は図4(a)のB−B断面図である。図4(a)から図4(c)を参照に、平坦なシリコン基板41上に、基板41との間に下部電極43側にドーム状の膨らみを有する空隙46(キャビティ)が形成されるように下部電極43が設けられている。ドーム状の膨らみとは、例えば空隙46の周辺では空隙の高さが小さく、空隙の内部ほど空隙の高さが高くなるような形状の膨らみである。下部電極43上に圧電膜44、圧電膜44上に上部電極45がそれぞれ設けられている。下部電極43、圧電膜44および上部電極45は積層構造体(複合膜)を構成している。複合膜としては、下部電極43および上部電極45はRu、圧電膜44は(002)方向を主軸とするAlNを用いている。圧電膜44を挟む下部電極43と上部電極45との重なり領域がメンブレン領域である。実施例1ではメンブレン領域は楕円形を有している。下部電極43、圧電膜44および上部電極45には、空隙46の中心を含む貫通孔47が空隙46につながるように設けられている。空隙46と貫通孔47との関係、メンブレン領域の形状、空隙46とメンブレン領域との形状については後述する。圧電膜44には下部電極43と電気的に接続するための開口部が設けられている。
図5(a)から図5(d)は、実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造工程を示す断面図であり、図4(a)のA−A断面に相当する断面である。図5(a)を参照に、シリコン基板41上に、空隙を形成するための犠牲層48を形成する。犠牲層48として、例えば膜厚が20nmのMgO膜を例えばスパッタリング法または蒸着法を用い形成する。基板41は前述のようにシリコン基板以外にも石英基板、ガラス基板、GaAs基板等を用いることができる。特に、空隙46を形成する際、従来例1および3のように基板41をエッチングしないため、エッチングの難しい基板も用いることができる。犠牲層48としては、ZnO、Ge、Tiなど、エッチング液により、容易に溶解できる材料が好ましい。露光技術とエッチング技術を用い、犠牲層48を所定の形状とする。実施例1においては、犠牲層48を形成した領域とメンブレン領域になるべき領域は等しくなるように形成しているが、これに限られるものではない。
図5(b)を参照に、Ruからなり膜厚が約100nmの下部電極43を0.6〜1.2PaのArガス雰囲気中のスパッタリングで形成する。下部電極43としては、前述した金属を用いることができる。露光技術とイオンミリング技術を用い、下部電極43を所定の形状とする。下部電極43および基板41上に、(002)方向を主軸とするAlN膜からなり膜厚が約400nmの圧電膜44を、約0.3Paの圧力のAr/N2混合ガス雰囲気中のスパッタリングで形成する。圧電膜44上に、Ruからなり膜厚が約100nmの上部電極43を0.6〜1.2PaのArガス雰囲気中のスパッタリングで形成する。圧電膜44としては、前述のようにZnO等の圧電材料を用いることもできる。上部電極45は下部電極43と同様の金属を用いることができる。露光技術とエッチング技術を用い上部電極45および圧電膜44を所定の形状とする。このとき、上部電極45および圧電膜44を貫通する貫通孔47が同時に形成される。また、下部電極43上には、下部電極43を電気的に接続するための圧電膜44の開口部が設けられる。このようにして、犠牲層48および基板41上に下部電極43、圧電膜44および上部電極45を形成することができる。
図5(c)を参照に、露光技術とエッチング技術を用い貫通孔47下の下部電極43をエッチングする。これにより、上部電極45、圧電膜44および下部電極43に犠牲層48に通じ、空隙46の中心を含む貫通孔47が形成される。図5(d)を参照に、犠牲層48をエッチングするためのエッチング液を貫通孔47を通し導入し、犠牲層48を除去する。ここで、下部電極43、圧電膜44および上部電極45からなる複合膜の応力は圧縮応力となるように設定されている。このため、犠牲層48のエッチングが完了した時点で、複合膜は膨れ上がり、下部電極43と基板41の間に複合膜側にドーム状形状を有する空隙46が形成される。なお、実施例1では複合膜の圧縮応力は300MPaとなるように設定されている。
実施例1に係る圧電薄膜共振器と比較するため比較例を作製した。図6(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図6(b)は図6(a)のA−A断面図、図6(c)は図6(a)のB−B断面図である。実施例1と比較し、下部電極43、圧電膜44および上部電極45を貫通する貫通孔が形成されていない。図6(a)より下部電極43にはB−Bの方向に犠牲層をエッチングするための導入路49が形成されている。導入路49の先端付近は圧電膜44で覆われておらず、下部電極43は導入路49の先端に穴部47aを有する。その他の構成は実施例1と同じであり同じ部材は同じ符号を付し説明を省略する。比較例においては、実施例1の図5(d)に相当する犠牲層48の除去を、穴部47aから導入路49を通じエッチング液を導入することにより行っている。
図7(a)から図7(d)は実施例1および比較例に係る圧電薄膜共振器のクォリティファクタQを示す図である。図7(a)は負荷共振Q、図7(b)は負荷反共振Q、図7(c)は無負荷共振Q、図7(d)は無負荷反共振Qを示している。実施例1によれば、Qのばらつきが小さくなり良品率を向上させることができる。
比較例において、Qのばらつきが大きくなる原因は、犠牲層48を除去する際に、下部電極43が基板41に付着するためである。これは、犠牲層48を除去後のリンス工程(例えば水を用いた洗浄工程)において、リンス液(例えば水分)が乾燥される過程でリンス液の表面張力に起因し、下部電極43と基板41とが互いに引き付けられ付着するものである。以下、水を用いた洗浄工程を例に説明する。水分が乾燥する際、空隙46の中心の水分が最後に乾燥するため、水分の表面張力による下部電極43と基板41とを引き付ける力は空隙46の中心で最も大きい。このため、例えば従来例3の図3のように貫通孔37が空隙36の周辺部に設けられた場合、比較例と同様に、下部電極43が基板41に付着してしまう。
実施例1においては、図8(a)のように下部電極43の下面に設けられた貫通孔47を基板41に投影した領域(この領域を単に貫通孔47ともいう)が空隙46を基板41に投影した領域(この領域を単に空隙46ともいう)の楕円の中心Cを含んでいる。犠牲層48除去後の洗浄工程において、水分が最後に乾燥する空隙46の中心C上に複合膜の貫通孔47が設けられている。このため、空隙46内の水分は空隙46の中心Cから周辺部に向かって乾燥する。よって、水分の表面張力に起因した下部電極43と基板41とを引き付ける力は空隙46の周辺部で大きくなる。しかし、空隙46の周辺部は複合膜の機械的強度が強いため、下部電極43が基板41に付着することを抑制することができる。
図8(b)から図8(d)は、空隙46の形状が楕円形以外の場合の例である。図8(b)は、空隙46aは円形をしており、貫通孔47は空隙46aの円の中心Cを含んでいる。図8(c)は、空隙46bは長方形をしており、貫通孔47は長方形の中心Cを含んでいる。図8(d)は、空隙46cが多角形をしており、貫通孔47は多角形の外接円52の中心Cを含んでいる。このように、貫通孔47は空隙46の外接円52の中心Cを含んでいれば良い。水分を乾燥させる際、空隙46の外接円52の中心Cから水分が乾燥した場合が、最も均等に水分を乾燥させることができるためである。よって、貫通孔47の中心が空隙46の中心となるように設けられた場合、均等に水分を乾燥させることができる。また、犠牲層48の除去工程において、エッチング液が空隙46内に浸透し易くなるため、空隙46内に残渣が残存すること抑制することもできる。さらに、図8(e)のように、貫通孔47が空隙46の中心よりずれて設けられていても良い。さらに、空隙46の中心Cを含む貫通孔47以外に貫通孔が設けられていても良い。
図9(a)から図9(e)はそれぞれ図8(a)から図8(e)のメンブレン領域それぞれ50、50a、50b、50cおよび50dの形状を示している。貫通孔47が空隙46の中心Cを含むように設けられたことにより、メンブレン領域50から50dはリング状に形成されている。このように、メンブレン領域50をリング形状とすることもできる。
実施例1はメンブレン領域50の基板41に投影した領域(単にメンブレン領域50ともいう)と空隙46とが重なる例であった。本発明は、これに限られるものではない。例えば、図10(a)のように、メンブレン領域50aが空隙46を含むように設けられていても良い。また、図10(b)のように、空隙46がメンブレン領域50bを含むように設けられていてもよい。さらに、メンブレン領域50aまたは50bと空隙46とが相似形であってもよい。また、下部電極43の断線を防止するため犠牲層膜厚/下部電極膜厚は小さいことが好ましく、例えば0.5以下であることが好ましい。
空隙46はドーム状に限られない。例えば、従来例3のように、下部電極33の下に支持層32を設けることもできる。しかし、実施例1のように、空隙46をドーム状とすることが好ましい。空隙46をドーム状とすることにより、空隙46を形成するための犠牲層48の厚さを薄くすることができる。このため、良好な圧電膜44の配向性を確保することができる。そして、犠牲層48の厚さが薄く、空隙46の厚さが薄い場合も、下部電極43が基板41に付着することを抑制することができる。
さらに、空隙46は平坦な基板41上に設けられている。基板41が平坦な状態で空隙46を設けることにより、基板41をエッチングする必要がない。よって、製造工程が簡略化できる。さらに、シリコン基板以外のエッチングが難しい基板も使用することができる。さらに、犠牲層48の厚さを薄くすることができ、良好な圧電膜44の配向性を確保することができる。そして、犠牲層48の厚さが薄く、空隙46の厚さが薄い場合も、下部電極43が基板41に付着することを抑制することができる。
さらに、下部電極43、圧電膜44および上部電極45からなる複合膜の応力を圧縮応力とすることにより、ドーム状の膨らみを有する空隙46が潰れることなく形成することができる。
さらに、圧電膜44として、(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウム、または酸化亜鉛を用いることにより、良好な共振特性を有する圧電薄膜共振器を提供することができる。
実施例2は、実施例1に係る圧電薄膜共振器を複数組み合わせて構成されているフィルタの例である。図11(a)は実施例2に係るフィルタの上面図、図11(b)は図11(a)のA´−A´断面図である。基本的な構成は実施例1と同様であり、実施例1と同じ部材は同じ符号を付し説明を省略する。このフィルタは、直列腕共振器4個と並列腕共振器3個で構成されるラダー型フィルタである。S1からS4は直列腕共振器のメンブレン領域、P1からP3は並列腕共振器のメンブレン領域を示している。各共振器とも、空隙46はドーム状の膨らみを有しておりメンブレン領域と重なっておる。下部電極43、圧電膜44および上部電極45には、貫通孔47が設けられており、貫通孔47は空隙46の中心を含んでいる。図示していないが、並列腕共振器P1からP3の上部電極45上には、Tiからなる付加膜が形成されている。これは、並列共振器の共振周波数を低下させバンドバスフィルタの特性を得るためである。フィルタは、図5(a)から図5(d)の圧電薄膜共振器の製造方法を用い製造されている。
このように、実施例1に係る圧電薄膜共振器を複数組み合わせてフィルタを構成することにより、犠牲層48を除去する際に、下部電極43が基板41に付着することを抑制し、特性のばらつきの小さいフィルタを有するフィルタを得ることができる。なお、実施例2はラダー型フィルタの例であったが、その他のフィルタにおいても同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
図1は従来例1に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図2は従来例2に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図3は従来例3に係る圧電薄膜共振器の断面図である。 図4(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図、図4(c)は図4(a)のB−B断面図である。 図5(a)から図5(d)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の製造工程を示す断面図である。 図6(a)は実施例1に係る圧電薄膜共振器の平面図、図6(b)は図6(a)のA−A断面図、図6(c)は図6(a)のB−B断面図である。 図7(a)から図7(d)は実施例1および比較例に係る圧電薄膜共振器のQを示した図である。 図8(a)から図8(e)は空隙と貫通孔の関係を示した図である。 図9(a)から図9(e)はメンブレン領域の形状を示した図である。 図10(a)および図10(b)は空隙とメンブレン領域の関係を示した図である。 図11(a)は実施例2に係るフィルタの平面図であり、図11(b)は図11(a)のA´−A´断面図である。
符号の説明
11、21、31、41 基板
13、23、33、43 下部電極
14、24,34、44 圧電薄膜
15、25、35、45 下部電極
16、26、36、46 空隙
47 貫通孔
48 犠牲層
50 メンブレン領域
C 空隙の中心

Claims (9)

  1. 基板上に、前記基板空隙が形成されるように設けられた下部電極と、
    該下部電極上に設けられた圧電膜と、
    該圧電膜上に設けられた上部電極と、を具備し、
    前記下部電極、前記圧電膜および前記上部電極は、前記空隙に接続し前記空隙の中心を含む貫通孔を有することを特徴とする圧電薄膜共振器。
  2. 基板上に、前記基板との間に空隙が形成されるように設けられた下部電極と、
    該下部電極上に設けられた圧電膜と、
    該圧電膜上に設けられた上部電極と、を具備し、
    前記圧電膜を挟む前記下部電極と前記上部電極との重なり領域であるメンブレン領域は、リング形状を有することを特徴とする圧電薄膜共振器。
  3. 前記下部電極は、前記基板との間にドーム状の膨らみを有する空隙が形成されるように設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の圧電薄膜共振器。
  4. 前記空隙は平坦な前記基板上に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
  5. 前記メンブレン領域と前記空隙とは相似形であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
  6. 前記圧電膜は、(002)方向を主軸とする配向性を示す窒化アルミニウムおよび酸化亜鉛のいずれかであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の圧電薄膜共振器。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の圧電薄膜共振器を複数組み合わせて構成されていることを特徴とするフィルタ。
  8. 基板上に空隙を形成するための犠牲層を形成する工程と、
    前記犠牲層および前記基板上に下部電極、圧電膜および上部電極を形成する工程と、
    前記下部電極、前記圧電薄膜および前記上部電極を貫通し、前記空隙の中心を含む貫通孔を形成する工程と、
    前記貫通孔よりエッチング液を導入し前記犠牲層を除去する工程と、を有する圧電薄膜共振器の製造方法。
  9. 請求項8記載の圧電薄膜共振器の製造方法を含むことを特徴とするフィルタの製造方法。
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