JP2007067624A - 圧電薄膜振動子 - Google Patents

圧電薄膜振動子 Download PDF

Info

Publication number
JP2007067624A
JP2007067624A JP2005249072A JP2005249072A JP2007067624A JP 2007067624 A JP2007067624 A JP 2007067624A JP 2005249072 A JP2005249072 A JP 2005249072A JP 2005249072 A JP2005249072 A JP 2005249072A JP 2007067624 A JP2007067624 A JP 2007067624A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
piezoelectric
thin film
electrodes
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005249072A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007067624A5 (ja
Inventor
Makoto Furuhata
誠 古畑
Satoru Fujii
知 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2005249072A priority Critical patent/JP2007067624A/ja
Publication of JP2007067624A publication Critical patent/JP2007067624A/ja
Publication of JP2007067624A5 publication Critical patent/JP2007067624A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

【課題】 共振周波数の微調整が可能で、しかも、電極形成後であっても周波数調整を行うことが可能な圧電薄膜振動子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の圧電薄膜振動子は、一対の電極11,13間に圧電体層12が配置されてなる積層構造10を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、一方の前記電極13の形成された電極形成領域における前記圧電体の厚みと、前記一方の電極13の形成されていない電極非形成領域13aにおける前記圧電体層の厚みとが異なることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は圧電薄膜振動子に係り、特に、圧電薄膜振動子を構成する積層構造に関する。
一般に、携帯電話機などの通信機器では高周波化や小型化が進展しつつあり、このために、RF回路部の高性能化や小型化が要求されるようになってきている。この中で、通信機器の送受信部に用いられる高周波フィルタ等の高周波素子として、従来のSAW(表面弾性波)素子と同等の性能を実現することが可能で、しかも、従来よりも高周波化及び小型化の容易なBAW(Bulk Acoustic Wave)素子が注目されている。このBAW素子は、圧電体層を電極で挟んだ積層構造を有し、圧電体層に厚み方向の音響波を生じさせるものであり、高周波化が容易、耐電圧性が良好、小型化が容易などの利点を備えている(例えば、以下の特許文献1及び2参照)。
上記のBAW素子としては、シリコン基板等からなる基板上に上記の積層構造を形成し、その後、積層構造の背後の基板部分をエッチングなどによって除去することによって積層構造部分の縦振動を可能にした、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)型の素子構造を備えたもの(特許文献1の図1及び図3)と、音響インピーダンスの異なる層を交互に繰り返し積層してなる音響反射多層膜を上記の積層構造と基板との間に配置した、SMR(Solid Mounted Resonator)型の素子構造を備えたもの(特許文献1の図2)と、が知られている。
一方、上記のような振動子では、製造工程において共振周波数の調整を要する場合がしばしばある。この事情は圧電薄膜振動子についても同様である。例えば、共振周波数の調整は高周波フィルタ等を構成するための複数の振動子間において共振周波数の差を得るために行われる場合があり、この場合においては、複数の振動子間で電極の厚みに差を持たせる方法、或いは、圧電体層の厚みに差を持たせる方法などが提案されている(例えば、以下の特許文献3参照)。
特開2001−156582号公報 特開2002−344279号公報 特開2002−359534号公報
しかしながら、特許文献3に開示された方法のうち、電極の厚みに差を持たせる方法では、本来的に共振周波数を決定する圧電体層の厚みを変えるわけではないので、周波数の調整範囲が限定されるとともに、振動子特性が劣化するという問題点がある。また、通常の圧電薄膜振動子では、圧電体層の厚みに比べて電極の厚みはきわめて薄いことから、電極の厚み管理が難しいため、電極の厚みを変えることによる共振周波数の微調整、或いは、共振周波数の合わせ込みがきわめて困難であって、共振周波数の精度を充分に確保することができないという問題点もある。
また、特許文献3には製造プロセス中において複数の振動子間において圧電体層の厚みに差を持たせる方法(図6A及び図6B参照)も開示されているが、この方法では、圧電体層が電極によって覆われるので、振動子の製造終了後に共振周波数を測定し、この測定された共振周波数に応じて圧電体層の厚みを制御して周波数を調整するといったことはできないという問題点がある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、共振周波数の微調整が可能で、しかも、電極形成後であっても周波数調整を行うことが可能な圧電薄膜振動子及びその製造方法を提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の圧電薄膜振動子は、一対の電極間に圧電体層が配置されてなる積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、一方の前記電極の形成された電極形成領域における前記圧電体層の厚みと、前記一方の電極の形成されていない電極非形成領域における前記圧電体層の厚みとが異なることを特徴とする。
この発明によれば、一方の電極に関する電極形成領域における圧電体層の厚みと、電極非形成領域における圧電体層の厚みとが異なることにより、圧電体層の実質的な厚みが電極形成前の圧電体層の厚みに対して異なることとなるため、共振周波数も電極形成前と異ならしめることができるとともに、電極非形成領域の圧電体層の厚みについては、一方の電極に影響を与えなくても、電極形成後においても圧電体の除去や追加により変更することが可能になるため、共振周波数の微調整が可能になるとともに、共振周波数を測定した後に周波数調整を行うことも可能になる。したがって、一方の電極構造を何ら変えずに周波数調整を行うことにより、周波数精度の高い振動子を実現することができる。また、電極非形成領域を設けることで振動子のインピーダンスを低下させることができるので、インピーダンス特性を電極非形成領域の範囲及び位置に応じて設定することにより、インピーダンス整合のためのインピーダンス変換回路の形成を省略することが可能になる。
本発明において、一対の電極が平面的に重なる範囲の内側に前記電極非形成領域が配置されていることが好ましい。これによれば、一対の電極が平面的に重なる範囲の内側に電極非形成領域が配置されることにより、電極非形成領域における圧電体層の除去や追加による共振周波数の調整効果及び調整精度を高めることができる。
次に、本発明の別の圧電薄膜振動子は、一対の電極間に圧電体層が配置されてなる積層構造を基板上に有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、前記一対の電極が平面的に重なる範囲の内側に、少なくとも一方の前記電極の形成されていない電極非形成領域が設けられていることを特徴とする。
本発明において、前記一方の電極は前記電極非形成領域を取り囲む枠状の平面パターンを有することが好ましい。これによれば、一方の電極が枠状の平面パターンを有し、この一方の電極により電極非形成領域が取り囲まれた構造とすることにより、電極非形成領域における圧電体層の除去や追加による共振周波数の調整効果及び調整精度を高めることができるとともに、一対の電極による振動領域への電界印加効率の低下を抑制できるため振動子性能の悪化を抑制できる。
本発明において、前記積層構造を支持する基板を有することが好ましい。積層構造が基板によって支持されることで、積層構造を容易に支持することができ、しかも、容易に製造することができる。また、基板を半導体基板等とすることにより、振動子と回路構造とを一体的に構成することが可能になる。
本発明において、前記電極非形成領域は、前記積層構造と、前記基板への前記音響振動の伝播を阻害する構造とが平面的に重なる範囲に配置されていることが好ましい。基板に支持された積層構造を有する振動子では、基板と積層構造との間に空隙を設けたFBAR型の振動子構造や、基板と積層構造との間に音響反射多層膜を設けたSMR型の振動子構造があるが、積層構造と上記空隙や音響反射多層膜とが平面的に重なる範囲は実質的に積層方向の音響振動が生成される領域であるため、当該領域に電極非形成領域が配置されることで、当該電極非形成領域における圧電体層の厚み制御による共振周波数の調整効果及び調整精度を高めることができる。
本発明において、前記一方の電極は前記基板の反対側に配置された表面側の電極であることが好ましい。基板の反対側に配置された表面側の電極が電極非形成部を備えた一方の電極であることにより、基板に邪魔されずに電極非形成部を通して圧電体層に対して容易に調整作業を施すことが可能になる。
本発明において、前記一方の電極は前記基板側に配置された裏面側の電極であり、前記基板には前記電極非形成部を露出する貫通孔が設けられていることが好ましい。基板側に配置された裏面側の電極が一方の電極であり、しかも、電極非形成部を露出する貫通孔が基板に設けられていることにより、電極非形成部において、基板の貫通孔を通して圧電体層に対して容易に調整作業を行うことが可能になる。
この発明によれば、一対の電極が平面的に重なる範囲には圧電体層に対して電極間に電界が印加されるため、直接に音響振動が生成されることとなるが、この範囲の内側に少なくとも一方の電極が形成されていない電極非形成領域が設けられていることにより、電極形成後においても、当該電極非形成領域を通して圧電体の除去や追加を行うことが可能になるため、共振周波数の微調整が可能になるとともに、共振周波数を測定した後に周波数調整を行うことも可能になる。したがって、周波数精度の高い振動子を実現することができる。また、電極非形成領域を設けることで振動子のインピーダンスを低下させることができるので、振動子に接続されるインピーダンス整合のためのバッファを省略することが可能になる。
次に、本発明の圧電薄膜振動子の製造方法は、一対の電極間に圧電体が配置されてなる積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子の製造方法において、前記積層構造には一方の前記電極の形成されてない電極非形成領域が設けられ、前記一方の電極が形成された後に、前記電極非形成部において前記圧電体層の一部を除去し、或いは、新たな圧電体を追加する調整工程を有することを特徴とする。
これらの場合に、圧電体層の一部は圧電体層の表面部分であれば、エッチング法(ウエットエッチングやドライエッチングなど)によって容易に圧電体層の厚みを制御することができる。また、圧電体層の追加は既存の圧電体層の表面上に新たな圧電体を積層することによって容易に圧電体層の厚みを制御することができる。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明に係る第1実施形態の圧電薄膜振動子の縦断面図、図2は同振動子の平面図である。
この圧電薄膜振動子は基板1上に形成された積層構造10を有している。この基板1は、シリコン基板等の半導体基板、ガラス基板、サファイア基板、セラミックス基板等の各種の基板を用いることができる。特に、シリコン基板等の半導体基板を用いることによって、基板1内に各種の半導体回路を作り込むことができるため、圧電体薄膜振動子と回路とを一体化することができる。この中でも、シリコン基板を用いることが一般的な半導体製造技術を利用できる点で有利である。
基板1上には下地層2が形成されている。この下地層2は、酸化シリコン層(SiO)、窒化シリコン層(Si)等の絶縁膜であり、2層以上の複合層で構成されていてもよい。下地層2は熱酸化法、CVD法、スパッタリング法などで形成することができる。なお、下地層2は、基板1が絶縁体で構成されていたり、基板1との絶縁が不要であったりする場合には省略することができる。
基板1には裏面からのエッチング(ウエットエッチング又はドライエッチング)によって形成された開口孔1aが設けられている。この開口孔1aは上記下地層2をエッチングストップ層として用いることで容易に形成することができる。開口孔1aを設けることにより、後述する積層構造に対する機械的拘束力が低減され、積層構造が比較的自由に縦振動できるように構成される。すなわち、図示例はFBAR型の素子構造を示している。
なお、上記のように基板1を貫通する開口孔1aを設けるのではなく、基板1の表面にエッチング等によって凹部を形成し、この凹部内をSiOやPSG膜等の犠牲層が充填された構造とした上で、後述する積層構造を形成し、その後、基板1上の積層構造の形成されていない部分を通して犠牲層を除去することで、積層構造の下(基板1と積層構造の間)に空洞を形成し、この空洞によって積層構造が比較的自由に縦振動できるように構成してもよい。
下地層2の上には、下部電極層11、圧電体層12、上部電極層13が順次に積層されてなる構造を備えた積層構造10が形成されている。この積層構造10は実質的に圧電薄膜振動子を構成する部分である。
下部電極層11は、任意の電極材料を用いることができる。ただし、特に限定されるものではないが、音響インピーダンスの高い電極材料、例えば、Pt(Z=69.7[Pa・s/m])、W(Z=98.2[Pa・s/m])、Mo(Z=64.4[Pa・s/m])などを用いることが好ましい。また、音響インピーダンスの低い電極材料、例えば、Al(Z=17.0[Pa・s/m])、Si(Z=19.7[Pa・s/m])などの層の上に、上記の音響インピーダンスの高い電極材料を積層した構造としてもよい。下部電極層11の厚さは、高周波化を図るために軽いことが好ましいので、充分な導電性を示すのであれば薄い方が好ましい。
圧電体層12は、圧電性を示す素材であれば如何なるものであってもよいが、例えば、AlN、ZnO、PZT(Z=31.8[Pa・s/m])、KNbO(Z=29.3[Pa・s/m])などが挙げられる。圧電体層12の膜厚hは、共振波長をλとした場合、0.9×λ/2以上、1.1×λ/2以下であることが好ましく、特にh〜λ/2であることが望ましい。これは、上記積層構造中に定常音響波が生ずるようにするためである。ただし、高周波化を図る必要がなければ、膜厚hはλ/2のほぼ自然数倍であればよい。
上部電極層13は、任意の電極材料を用いることができる。ただし、特に限定されるものではないが、上記の下部電極層11の素材として列記した材料を用いることが好ましい。また、充分な導電率を確保しつつ、なるべく質量が小さい電極材料を用いることが高周波化には好ましい。
本実施形態においては、図1及び図2に示すように、基板1の開口孔1aの形成範囲は、積層構造10が基板1に比較的拘束されずに縦振動可能な振動領域10Xとなっている。振動領域10Xは、本実施形態の構造においては、積層構造10内においてその積層方向の音響振動が実質的に生ずる領域、すなわち、実際に圧電薄膜振動子として機能する部分であると考えることができる。ここで、一般的には、積層構造10が基板1上の一部領域にのみ部分的に形成されているのであれば、当該部分が振動領域となる場合もあり、また、下部電極層11と上部電極層12が平面的に重なる部分が振動領域となる場合もある。ただし、本実施形態では、積層構造10の形成範囲内に縦振動が基板1へ伝播することを阻害する開口孔1aが明確な領域として画成され、この開口孔1aの形成されている平面範囲が主として音響振動を生ずる領域を示すこととなるため、開口孔1aや空洞を有する構造においては、これらによって拘束度合が低減される領域を振動領域10Xと呼ぶこととする。
この振動領域10Xには、上部電極層13の形成されていない電極非形成領域13aが存在している。この電極非形成領域13aは、振動領域10Xの中央に配置され、電極非形成領域13aよりも周辺側に上部電極層13が配置されている。
また、本実施形態では、下部電極層11と上部電極層13が平面的に重なる範囲の内側に、電極非形成領域13aが配置されている。上記範囲は圧電体層12に対して正規に積層方向の電界が印加される範囲であり、積層方向の音響振動の生成はこの範囲内に限定されるわけではないが、振動子としての機能は主として当該範囲において生ずる。そして、この範囲の内側に電極非形成領域13aが形成されていることにより、電極非形成領域13aの振動子特性に対する影響を大きくすることができるため、後述する電極非形成領域13aに対する調整効果や調整精度を高めることができる。
図示例の場合、電極非形成領域13aは上部電極層13によって取り囲まれ、上部電極層13は電極非形成領域13aの周囲に枠形状の平面パターンを有している。具体的には、矩形(長方形若しくは正方形)状の電極非形成領域13aの周囲に矩形枠状の上部電極層13が形成されている。すなわち、本実施形態では、電極非形成領域13aは上部電極層13の中央に形成された電極開口部となっている。ただし、本発明において電極非形成領域13aは上部電極層13の内側に配置されていればよく、上部電極層13によって完全に取り囲まれている必要はない。
上部電極層13の少なくとも一部は上記振動領域10Xの内部に配置されている。上部電極層13が振動領域10Xの外部にのみ形成されている場合でも、上下の電極間に形成される電界によって積層構造10の積層方向の音響振動を生成させることは不可能ではないが、上記のように上部電極層13の少なくとも一部が振動領域10X内に配置されることで、振動領域10X内の上記音響振動の生成効率を向上させることができ、振動子の挿入損失を低減することができる。
図示例の場合、上部電極層13は振動領域10Xの外側にも配置され、その内縁部が振動領域10X内に配置されるように構成されている。すなわち、上部電極層13は振動領域10X外から振動領域10X内に亘って連続的に形成されている。
なお、図2に示すように、上部電極層13には振動領域10Xの外に電極パッド13eが設けられている。この電極パッド13eは外部と上部電極層13とを導電接続するための端子となる。また、図示しないが、下部電極層11にも外部との接続に用いる配線や端子が設けられる。
一方、図示例では、下部電極層11は振動領域10Xの外部にも無制限に広がるように示されているが、所定の領域内に限定して形成されていて構わない。ただし、振動子の性能を高めるためには、少なくとも振動領域10X内において上部電極13と平面的に重なる部分を有することが好ましい。特に、下部電極層11が少なくとも振動領域10Xの全体に亘って形成されていることがより望ましい。
図3は、本実施形態の圧電薄膜振動子の周波数調整作業(調整工程)を実施した後の様子を示す概略縦断面図である。図1に示す状態で、圧電体層12にエッチング処理を施すことによって、図示のように圧電体層12の一部を除去することができる。図示例の場合には、圧電体層12の表面を所定の厚みで除去した様子を示す。これによって、本実施形態の圧電薄膜振動子においては、上部電極層13の形成されている電極形成領域における圧電体層12の厚みと、上記電極非形成領域13aにおける圧電体層12の厚みとが異なるものとされる。
上記の調整工程では、上部電極層13が或る程度の耐性を有する方法(例えば、上部電極層13がエッチングされないエッチング液を用いた処理方法など、エッチング選択比が圧電体12と上部電極層13で充分大きい方法)で処理することによって、そのまま図示のように圧電体層12の表面を所定の厚みで除去することができる。また、上部電極層13を図示しないレジスト等のマスクで覆うことにより、図示のように上部電極13をそのままとし、圧電体層12のみを処理することができる。後者の方法では、ドライエッチングなどの比較的エッチング選択比を確保しにくい方法を用いることもできる。
なお、図示例の場合には、上部電極層13の内側の上記電極非形成領域13aだけでなく、上部電極層13の外側の領域についても圧電体層12を処理しているが、内側の電極非形成領域13aのみを処理してもよく、或いは、電極非形成領域13a内の一部領域のみを処理しても構わない。
上記のように圧電体層12を処理することにより、圧電体層12の少なくとも一部の厚みを低減することができるので、積層構造10中の圧電体の厚みが実質的に低減され、これによって振動子の共振周波数を高めることができる。また、この調整工程は、上部電極層13を形成した後であっても支障なく実施できるとともに、上部電極層13を何ら変えることなく、すなわち、上部電極に起因する影響を生じさせることなく実施できる。
図4は、本実施形態の圧電薄膜振動子に他の周波数調整(調整工程)を実施した後の様子を示す概略縦断面図である。この調整工程では、圧電体層12上に新たな追加圧電体層14を積層することによって、圧電体全体の厚みを実質的に増加させ、これによって共振周波数を低下させることができる。この場合にも、上部電極層13の形成された電極形成領域における圧電体層12の厚みと、上記電極非形成領域13aにおける圧電体層12の厚みとが異なることになる。ここで、追加圧電体層14は蒸着法、スパッタリング法、CVD法などの気相成長法やLPE法等の液相成長法などで成膜できる。
追加圧電体層14は上記圧電体層12と同材質であることが好ましいが、必ずしも同じ圧電体素材で構成されるものでなくても調整効果を果たすことは可能である。また、図示例の場合、追加圧電体層14は電極非形成領域13aだけでなく、上部電極層13の外側にも形成しているが、電極非形成領域13a内だけに形成してもよく、また、電極非形成領域13a内の一部領域のみに形成してもよい。
図示例の場合、追加圧電体層14は上部電極層13上にも形成されている。これは、追加圧電体層14は共振周波数の微調整に用いられることからきわめて薄く形成される場合が多いため、上部電極層13上に追加圧電体層14が形成されていても動作上の支障がほとんどなく、また、上部電極層13と外部との導電接続に際しても、ワイヤボンディング等の実装作業において容易に追加圧電体層14を破ることができるため、導電接続性にも影響をほとんど与えないからである。なお、図示例とは異なり、上部電極層13を避けて追加圧電体層14を形成しても何ら構わない。
上記の調整工程による圧電体層12の厚み低減量若しくは厚み増加量と、共振周波数の調整量とは正の相関を有する。通常、理想的な圧電体層12の実質的な厚み変化率(元の厚みに対する調整後の厚みの比)と共振周波数の変化率(元の周波数に対する調整後の周波数の比)は逆数の関係にある。例えば、圧電体層全体の厚みtがδt(δtは正)だけ増加したときに共振周波数fがf−δf(δfは正)に低下したとする。このときの厚み変化率は(t+δt)/tとなるが、共振周波数の変化率(f−δf)/fはt/(t+δt)に一致する。実際にはこのような理想的な関係は得られないが、実験的に予め圧電体層の厚み変化量と共振周波数の変化量との関係を求めておくことにより、高精度の周波数調整が可能になる。
[第2実施形態]
次に、図5を参照して本発明に係る第2実施形態の圧電薄膜振動子について説明する。この第2実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。本実施形態では、基板1上には、下部電極層21、圧電体層22及び上部電極層23を有する積層構造20が設けられている。この積層構造20においては、振動領域20X内に下部電極層21の形成されていない電極非形成領域21aが設けられ、上部電極層23は振動領域20Xの全体に形成されている。したがって、本実施形態では、積層順序に関する記述部分を除いて、上記第1実施形態における上部電極層13に関する説明(例えば平面パターン、形成位置などに関する説明)をそのまま下部電極層21に適用することができ、また、上記第1実施形態における下部電極層11に関する説明をそのまま上部電極層23に適用することが可能である。
本実施形態において、電極非形成領域21aは、基板1に設けられた開口孔1aによって露出した状態とされる。ここで、開口孔1aによって電極非形成部21aが露出されるとは、電極非形成領域21aが基板1によって覆われていない状態を言い、必ずしも圧電体層22が露出していることを意味しない。例えば、図示例では圧電体層22は下地層2には覆われているが、基板1自体には覆われていない。
なお、本実施形態では、基板1に開口孔1aを設けることによって電極非形成領域21aが基板1に覆われないように構成されているが、これとは異なり、基板1の厚み方向の一部が電極非形成領域21aに残存するように構成してもよい。この場合には、電極非形成領域21aを通して圧電体層22を処理したり、圧電体層22上に新たな圧電体を積層したりする調整工程において、上記の基板1の厚み方向の一部を除去する必要があるが、それでも、下部電極層21に影響を与えずに調整工程を実施すること自体は可能である。
[第3実施形態]
次に、図6を参照して本発明に係る第3実施形態の圧電薄膜振動子について説明する。この実施形態においても第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
本実施形態において、基板1上には、下部電極層31、圧電体層32及び上部電極層33を有する積層構造30が設けられている。この積層構造30においては、振動領域30X内に下部電極層31の形成されていない電極非形成領域31aが設けられ、また、振動領域30X内に上部電極層33の形成されていない電極非形成領域33aが設けられている。
ここで、電極非形成領域33aは下部電極層31と上部電極層33が平面的に重なる範囲の内側に配置されている点で、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様である。ここで、下部電極層31と上部電極層33は少なくとも振動領域30X内において平面的に一致するパターンで重なりあっていることが効率的に電界を圧電体層32に印加する上で好ましい。この場合には、電極非形成領域31aと33aもまた平面的に一致するパターンで重なりあっていることとなる。
この実施形態では、上下電極の双方に電極非形成領域31a,33aが設けられているため、振動子性能は或る程度悪化するが、表裏いずれからも圧電体層32に対する処理を行うことができる。なお、図示例では、下部電極層31と圧電体層32の間にエッチングストップ層34が形成されている。このエッチングストップ層はSiO、TiO等の絶縁体で構成される。このエッチングストップ層34は、基板1の開口孔1aの形成と電極非形成領域31aの形成とを同一工程で行う場合には当該工程において、或いは、基板1に開口孔1aを形成する工程とは別に下部電極31に電極非形成領域31aを形成する工程を設ける場合には当該工程において、それぞれエッチング作用を停止させ、圧電体層32に影響を与えないようにするために設けられる。ただし、製造工程上、上記のエッチングストップ層34が必要なければ、当該層34を設けなくてもよい。
最後に、図7及び図8を参照して、上記各実施形態の圧電薄膜振動子のインピーダンスZの周波数特性について説明する。振動領域が上下の電極が平面的に重なる範囲として構成される通常の圧電薄膜振動子では、図7に示すようなインピーダンス特性を示すが、通常、この種の振動子のインピーダンスは50Ωより小さい終端インピーダンスを有するため、多くの場合、当該振動子にインピーダンス変換回路等を介在させて終端インピーダンスを調整し、インピーダンス整合を図る必要がある。
これに対して、本実施形態の圧電薄膜振動子では、図8に示すように上記の電極非形成領域を設けることにより振動子特性が悪化するが、終端インピーダンスも増大するので、終端インピーダンスが適度な値になるように設定することが可能になり、上記のインピーダンスを調整するための回路が必要なくなるというメリットがある。
尚、本発明の圧電薄膜振動子は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記の各実施形態ではいずれもFBAR型の振動子構造を有するが、基板との間に音響振動を反射させるための音響反射多層膜を配置したSMR型の振動子構造を採用しても構わない。また、上記各実施形態では、いずれも電極非形成領域が周辺の電極に取り囲まれた構造を有するが、電極非形成涼気が電極に完全に取り囲まれていなくても、電極非形成領域が振動領域の内側に設けられ、電極が周辺に設けられていればよい。
第1実施形態の圧電薄膜振動子の構造を示す概略縦断面図。 第1実施形態の圧電薄膜振動子の構造を示す概略平面図。 第1実施形態に調整工程を実施した後の様子を示す概略縦断面図。 第1実施形態に別の調整工程を実施した後の様子を示す概略縦断面図。 第2実施形態の圧電薄膜振動子の構造を示す概略縦断面図。 第3実施形態の圧電薄膜振動子の構造を示す概略縦断面図。 従来の圧電薄膜振動子のインピーダンス特性を示すグラフ。 実施形態の圧電薄膜振動子のインピーダンス特性を示すグラフ。
符号の説明
1…基板、1a…開口孔、2…下地層、10、20、30…積層構造、10X,20X,30X…振動領域、11、21、31…下部電極層、12、22、23…圧電体層、13、23,33…上部電極層、13a,21a,31a,33a…電極非形成領域

Claims (9)

  1. 一対の電極間に圧電体層が配置されてなる積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、
    一方の前記電極の形成された電極形成領域における前記圧電体層の厚みと、前記一方の電極の形成されていない電極非形成領域における前記圧電体層の厚みとが異なることを特徴とする圧電薄膜振動子。
  2. 一対の電極が平面的に重なる範囲の内側に前記電極非形成領域が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電薄膜振動子。
  3. 一対の電極間に圧電体層が配置されてなる積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子において、
    前記一対の電極が平面的に重なる範囲の内側に、少なくとも一方の前記電極の形成されていない電極非形成領域が設けられていることを特徴とする圧電薄膜振動子。
  4. 前記一方の電極は前記電極非形成部を取り囲む枠状の平面パターンを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の圧電薄膜振動子。
  5. 前記積層構造を支持する基板を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の圧電薄膜振動子。
  6. 前記電極非形成領域は、前記積層構造と、前記基板への前記音響振動の伝播を阻害する構造とが平面的に重なる範囲に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の圧電薄膜振動子。
  7. 前記一方の電極は前記基板の反対側に配置された表面側の電極であることを特徴とする請求項5又は6に記載の圧電薄膜振動子。
  8. 前記一方の電極は前記基板側に配置された裏面側の電極であり、前記基板には前記電極非形成部を露出する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の圧電薄膜振動子。
  9. 一対の電極間に圧電体が配置されてなる積層構造を有し、前記一対の電極で与えられる電界により前記積層構造内に積層方向の音響振動が生成される圧電薄膜振動子の製造方法において、
    前記積層構造には一方の前記電極の形成されていない電極非形成領域が設けられ、
    前記一方の電極が形成された後に、前記電極非形成領域において前記圧電体層の一部を除去し、或いは、新たな圧電体を追加する調整工程を有することを特徴とする圧電薄膜振動子の製造方法。
JP2005249072A 2005-08-30 2005-08-30 圧電薄膜振動子 Withdrawn JP2007067624A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005249072A JP2007067624A (ja) 2005-08-30 2005-08-30 圧電薄膜振動子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005249072A JP2007067624A (ja) 2005-08-30 2005-08-30 圧電薄膜振動子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007067624A true JP2007067624A (ja) 2007-03-15
JP2007067624A5 JP2007067624A5 (ja) 2008-10-16

Family

ID=37929350

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005249072A Withdrawn JP2007067624A (ja) 2005-08-30 2005-08-30 圧電薄膜振動子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007067624A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008283689A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 Cree Inc バルク音響デバイスおよびその作製方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005033775A (ja) * 2003-06-18 2005-02-03 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電子部品及びその製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005033775A (ja) * 2003-06-18 2005-02-03 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電子部品及びその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008283689A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 Cree Inc バルク音響デバイスおよびその作製方法
JP2012199934A (ja) * 2007-05-14 2012-10-18 Cree Inc バルク音響デバイスおよびその作製方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5689080B2 (ja) 圧電薄膜共振子、通信モジュール、通信装置
JP4685832B2 (ja) 共振器およびその製造方法
JP4968900B2 (ja) ラダー型フィルタの製造方法
KR101973416B1 (ko) 음향 공진기 및 음향 공진기의 제조 방법
JP5100849B2 (ja) 弾性波デバイス、およびその製造方法
JP4428354B2 (ja) 圧電薄膜共振子
KR20160086552A (ko) 음향 공진기 및 그 제조 방법
JP7138988B2 (ja) バルク音響波共振器及びその製造方法並びにフィルタ、無線周波数通信システム
JP2007312164A (ja) 圧電薄膜共振器並びにそれを用いた高周波フィルタ及び高周波モジュール
WO2011048910A1 (ja) 圧電薄膜共振子
WO2007119556A1 (ja) 圧電共振子及び圧電フィルタ
JP2004120494A (ja) 薄膜圧電共振子、それを用いたフィルタ及びデュプレクサ並びに薄膜圧電共振子の製造方法
JP2005223479A (ja) 薄膜バルク共振子、薄膜バルク共振子フィルタ、および薄膜バルク共振子の製造方法
JP2017147719A (ja) 音響共振器及びその製造方法
JP5360432B2 (ja) 圧電デバイス
JP2006319479A (ja) 圧電薄膜共振子およびフィルタ
JP2007208728A (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびその製造方法
JP2011041136A (ja) 弾性波デバイスおよびその製造方法
CN109167585A (zh) 体声波谐振器及其制作方法、滤波器
JPWO2008088010A1 (ja) 薄膜圧電共振器および薄膜圧電フィルタ
WO2004088840A1 (ja) 圧電薄膜デバイス及びその製造方法
JP2007288504A (ja) 圧電薄膜共振子
JP5207902B2 (ja) バルク音響波共振子および電子部品
JP4707503B2 (ja) 薄膜バルク音響共振器
JP5202252B2 (ja) 音響波共振子

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080829

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080829

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101207

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20110202