JP2007208087A - 高屈曲性フレキシブルプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
高い屈曲性を有し、かつ寸法安定性にも優れるフレキシブルプリント配線板およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】
ベースフィルムに接着剤層を介して金属配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板の金属回路が形成された面が、カバーレイフィルムによって保護されたカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板であって、前記ベースフィルムおよびカバーレイフィルムが共に弾性率が5GPa未満のポリイミドフィルムであり、かつ、残金属率50%におけるカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板のスティフネス値が12g/cm以下となるようにベースフィルム、接着剤層、金属配線、およびカバーレイが構成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【選択図】 なし
Description
残金属率50%におけるカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板のスティフネス値を制御することが、これにカバーレイフィルムを積層したフレキシブル配線板(カバーレイ付きフレキシブル配線板ともいう)全体として屈曲性を向上させるために非常に重要である。さらに、用いるベースフィルムとカバーレイフィルムの弾性率が低いことが重要である。言い換えれば、残金属率50%におけるカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板のスティフネス値を制御するようにカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板を構成するベースフィルム、カバーレイフィルム、接着剤層および金属配線を設計し、ベースフィルムとカバーレイフィルムの弾性率を制御しさえすれば、用いるベースフィルム、接着層、金属配線の種類を限定せずともよく、これらカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板を構成するベースフィルム、カバーレイフィルム、接着層および金属配線の原料、分子設計などの選択の幅が広がり、用途に応じて、耐屈曲性以外に必要な特性を満足するように各材料を設計することが可能となる。、カバーレイ付きフレキシブルプリント配線板のスティフネス値が12g/cm以下であり、ベースフィルムとカバーレイフィルムがともに5Gpa未満となっているカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板はこれまで見出されておらず、カバーレイフィルムが付いた状態でのフレキシブルプリント配線板のスティフネス値と、耐屈曲性の関係を見出したのは、本発明者らが初めてである。
本発明に用いられるベースフィルムおよびカバーレイフィルムはポリイミドフィルムが用いられる。ポリイミドフィルムはポリアミド酸を前駆体として用いて製造される。ポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
(熱可塑性ブロック成分含有量) = a/Q×100 (1)
a:熱可塑性ポリイミドブロック成分を製造する際に用いた酸二無水物成分の量(mol)
Q:全酸二無水物成分量(mol)
また上記3)の重合方法を用いた場合、熱可塑性ポリイミドブロック成分の含有量は、下記式(2)に従って計算される。
(熱可塑性ブロック成分含有量) = b/P×100 (2)
b:熱可塑性ポリイミドブロック成分を製造する際に用いたジアミン成分の量(mol)
P:全ジアミン量(mol)
またさらに熱可塑性ブロック成分の繰り返し単位nは3〜99が好ましく、4〜90がより好ましい。繰り返し単位nがこの範囲を下回ると優れた接着性が発現しにくく、且つ吸湿膨張係数が大きくなりやすい。また、繰り返し単位nがこの範囲を上回るとポリイミド前駆体溶液の貯蔵安定性が悪くなる傾向にあり、かつ重合の再現性が低下する傾向にあり好ましくない。
ジアミン主成分として好ましく用い得る例としては4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン等が挙げられ、これらを単独または複数併用することができる。これらの例は主成分として好適に用いられる例であり、副成分としていかなるジアミンを用いることもできる。これらの中で特に好ましく用い得るジアミンの例として、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンが挙げられる。
a) 有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させてポリアミック酸溶液を得る工程、
b)上記ポリアミド酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、
c)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
d)更に加熱して、残ったアミド酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、
を含むことが好ましい。
脱水剤及びイミド化触媒を低温でポリアミド酸溶液中に混合して製膜ドープを得る。引き続いてこの製膜ドープをガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上にフィルム状にキャストし、支持体上で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃の温度領域で加熱することで脱水剤及びイミド化触媒を活性化することによって部分的に硬化及び/または乾燥した後支持体から剥離してポリアミック酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
ゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有し、式(3)
(A−B)×100/B・・・・(3)
式(3)中
A,Bは以下のものを表す。
A:ゲルフィルムの重量
B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量
から算出される揮発分含量は5〜500重量%の範囲、好ましくは5〜200重量%、より好ましくは5〜150重量%の範囲にある。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、焼成過程でフィルム破断、乾燥ムラによるフィルムの色調ムラ、特性ばらつき等の不具合が起こることがある。
脱水剤の好ましい量は、ポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.5〜5モル、好ましくは1.0〜4モルである。
また、イミド化触媒の好ましい量はポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.05〜3モル、好ましくは0.2〜2モルである。
脱水剤及びイミド化触媒が上記範囲を下回ると化学的イミド化が不十分で、焼成途中で破断したり、機械的強度が低下したりすることがある。また、これらの量が上記範囲を上回ると、イミド化の進行が早くなりすぎ、フィルム状にキャストすることが困難となることがあるため好ましくない。
金属張積層板に用いる接着剤としてはアクリル系、エポキシ系、ポリイミド系等いかなるものを用いてもよい。また、カバーレイの形成に際し用いる接着剤としてもはいかなるものを用いても良く、使用目的等にあわせ適宜選択すればよい。
ここで、残金属率が50%におけるカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板のスティフネス値が12g/cm以下となるように接着層の組成や厚みを選択することが重要である。
ベースフィルムへの金属配線パターンの形成は、ロールラミネーター等により銅箔を積層して銅張り積層板を製造後、エッチングにより配線パターンを形成する方法が好ましい。
用いうる金属箔としては銅箔、ステンレス箔などが好適に用いうる。またこれら金属箔は目的に応じて表面処理、表面粗さ等種々特性を有したものを選択できる。ここで、カバーレイ付きフレキシブルプリント配線板の残金属率50%におけるスティフネス値が12g/cm以下となるように金属の種類や配線の厚みを選択することが重要である。
FCCLを20×20cmに切り出し15cm間隔で4隅にドリルで直径1mmの基準穴をあけた後、初期寸法を測定した。その後、銅箔をエッチングにより完全に除去、24時間23℃55%RH下で調湿したのち、基準穴間距離を測定した。
なお、上記寸法変化率は、MD方向及びTD方向の双方について測定した。
屈曲特性はMIT屈曲試験機(東洋精機社製MIT−D)により、R=0.38mm、張力750gf、折り曲げ角度135°、速度175回/分で、JIS C5016に従って作成した試料を測定した。
カバーレイ付きフレキシブルプリント配線板から残金属率が50%となるようにテスト片を切り出し、スティフネス値を測定した。
(1)ポリアミド樹脂(日本リルサン社製プラタボンドM1276)50重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製エピコート828)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂10重量部、トルエン/イソプロピルアルコール1/1混合溶液150重量部を混合した溶液に、ジアミノジフェニルスルホン/ジシアンジアミド4/1 20%メチルセロソルブ溶液45重量部を混合した接着剤溶液を調製し、
(2)25μm厚みのPETフィルム上に接着剤を塗布し、120℃で2分乾燥してPETフィルムつきBステージ接着剤Aを得た。
(1)下記組成を混合して接着剤溶液を得た。
ニトリルブタジエンゴム(ジェイエスアール社製PNR−1H) 40.0g
臭素化エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製エピコート5050) 25.0g
エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製エピコート1001) 35.0g
硬化剤(橋本化成社製三フッ化ホウ素モノエチルアミン) 0.50g
水酸化アルミニウム(日本軽金属工業(株)社製BF013 713) 30.0g
溶媒(トルエン/メチルエチルケトン=1/1(重量比)) 300g
(2)(1)の溶液をカバーレイ用のポリイミドフィルムに塗工し、120℃3分間乾燥し、Bステージとした。
4,4’-オキシジアニリン(ODA)、パラフェニレンジアミン(PDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)(ODA/PDA/PMDA=65/35/100(モル比))のポリイミドフィルムをカバーレイおよびベースフィルムに用いて、カバーレイ付きフレキシブルプリント配線板の残金属率50%におけるスティフネス値が12g/cm以下となるように、各構成を選択してFPCを作成した。なお、このポリイミドフィルムの弾性率、線膨張係数は表1に示すとおりである。
Claims (6)
- ベースフィルムに接着剤層を介して金属配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板の金属回路が形成された面が、カバーレイフィルムによって保護されたカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板であって、前記ベースフィルムおよびカバーレイフィルムが共に弾性率が5GPa未満のポリイミドフィルムであり、かつ、残金属率50%におけるカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板のスティフネス値が12g/cm以下となるようにベースフィルム、接着剤層、金属配線、およびカバーレイが構成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
- 前記カバーレイおよびベースフィルムが共に弾性率が4GPa未満のポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント配線板。
- 前記ベースフィルムの100〜200℃における平均線膨張係数が15〜30ppmであることを特徴とする請求項1または2記載のフレキシブルプリント配線板。
- 残金属率50%におけるカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板のスティフネス値が10g/cm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント配線板。
- 前記カバーレイフィルムの弾性率が3GPa未満であることを特徴とする請求項1〜4記載のフレキシブルプリント配線板。
- 弾性率が5GPa未満であるポリイミドフィルムをベースフィルムとして用い、接着剤層を介して金属配線パターンを形成し、次いで弾性率が5GPa未満であるポリイミドフィルムをカバーレイフィルムとして用い、前記金属配線パターンを保護するフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、残金属率50%におけるカバーレイ付きフレキシブルプリント配線板のスティフネス値が12g/cm以下となるように、ベースフィルム、接着剤層、金属配線、およびカバーレイフィルムを用いることを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
、
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