以下、本発明の複数の半導体装置を備えた半導体ウェハの実施形態について図を参照して説明する。
図1(A) に示すように、半導体ウェハ(以下、[発明を実施するための最良の形態]の欄において「ウェハ」という)20aは、シリコンからなる薄板円盤形状のシリコン基板21で外周の一部に結晶方位を示すオリエンテーションフラットが形成されている。このウェハ20aの表面21bには、拡散工程等を経て形成された複数のチップDevが碁盤の目のように整列配置されているが、これらのチップDevは、ダイシング工程により割断線DLに沿ってそれぞれ分離された後、マウント工程、ボンディング工程、封入工程等といった各工程を経ることによってパッケージされたICやLSIとして完成する。なお、本実施形態では、ウェハ20aは、チップDevの支持基板となるシリコン層を形成し得るものである。
図1(B) に示すように、このようなウェハは、[発明が解決しようとする課題]の欄で述べたように、外周縁部Mの欠けを防止するために、通常、外周に面取加工が施された表面側面取部maや裏面側面取部mbを有するが、本実施形態に係るウェハ20aでは、少なくともダイシング工程のレーザ光が照射される側の表面(以下「照射面」という)の外周縁部Mにおいては表面側面取部maを有することなく平坦部21aが形成されている。
即ち、図2に示すように、本実施形態に係るウェハ20aでは、レーザダイシングにおいて、レーザ光Lの照射面(表面21b)にウェハ20aの外周まで延びて形成される平坦部21aを有する。このため、裏面21cには裏面側面取部mbを有するものの、レーザ光Lが入射する部位(割断線DL上)には平坦部21aが形成されているため、ウェハ20aに照射されるレーザ光Lを、ウェハ20aの外周縁部Mにおいても表面21b(平坦部21a)に垂直(θ=90°)に入射させることができる。
これにより、たとえウェハ20aの外周よりも外側からレーザ光Lが走査されても、ウェハ20aの外周縁部Mの表面21b(平坦部21a)で焦点が合うことがないため、ウェハ20aの内部に改質層Kを形成可能にレーザ光Lの焦点Pが設定されることで、ウェハ20a内に多光子吸収による改質層Kを適正に形成することができるとともに、外周縁部Mにおけるアブレーションを防ぐことができる。したがって、当該アブレーションによるパーティクルの発生を防止できるので、レーザダイシングにより分離されたチップDevや分離前のチップDevに付着するパーティクルを減少させ、製品の歩留まりや品質を向上することができる。
なお、「多光子吸収」とは、物質が複数個の同種もしくは異種の光子を吸収することをいう。この多光子吸収により、焦点(集光点)Pおよびその近傍では光学的損傷という現象が発生するので、これにより熱歪みが誘起され、その部分においてクラックが生じる。このクラックが集合した範囲を改質層という。
また、図2に示す符号CVは、レーザ光Lを集光するために設けられた集光レンズで、符号Hは、レーザ光Lの光軸を示す。また符号θは、ウェハ20aの表面21bに対するレーザ光Lの入射角を示す。なお、図1および図2に示す例は、特許請求の範囲の請求項1および請求項2に対応し得るもので、チップDevは、同請求項に記載の「半導体装置」に相当し得るものである。
次に、図3〜図8を参照して、前述したウェハ20aの変更例として各種バリエーションを説明する。前述のウェハ20aには、シリコンのみで構成された、いわゆるバルクシリコンを用いたが、本発明の適用はこれに限られることはなく、例えば、図3(A) に示すように、酸化シリコンからなる酸化膜22をシリコン基板21の表側に形成したものについて適用することも可能である。
即ち、図3(A) に示すように、ウェハ20bは、シリコン基板21とその表側に形成される酸化膜22とからなり、この酸化膜22の表面22bには、ウェハ20bの外周まで延びる平坦部22aが形成されている。なお、シリコン基板21の裏面21cには、ウェハ20aと同様に、裏面側面取部mbが形成されている。
これにより、このような酸化膜22が形成されたウェハ20bにおいても、レーザ光Lが入射する部位(割断線DL上)には平坦部22aが形成されているため、ウェハ20bに照射されるレーザ光Lを、ウェハ20bの外周縁部Mにおいても表面22b(平坦部22a)に垂直に入射させることができる。なお、これによる作用および効果は、前述のウェハ20aと同様である。
また、図3(B) 〜図3(D) に示すように、いわゆるSOI(Silicon On Insulator)のウェハ20c〜20eも例示できる。例えば、図3(B) に示すウェハ20cは、図3(A) に示したウェハ20bの酸化膜22上の一部にSOI層23を形成するものである。このウェハ20cでは、外周縁部Mにおいて平坦部22aを形成するとともに、当該SOI層23の外周端による段部Nにおいても面取加工を施すことなく平坦部23aを形成する。
これにより、平坦部22aが形成されている外周縁部Mに加え、SOI層23の平坦部23aが形成されている段部Nにおいても、ウェハ20cに照射されるレーザ光Lを表面23b(平坦部23a)に垂直に入射させることができる。したがって、このような段部Nにおいても、アブレーションを防ぐことができる。このため、かかる段部NのあるSOI基板においても、前述と同様の作用および効果を得ることができる。
また、図3(C) に示すウェハ20dでは、シリコン基板21の表側に形成される酸化膜24がシリコン基板21上の一部に形成されているため、図3(B) と同様に、段部Nが存在する。このウェハ20dの場合も、図3(B) に示すウェハ30bと同様に、SOI層23の外周端による段部Nにおいても面取加工を施すことなく平坦部23aを形成する。
これにより、SOI層23の平坦部23aが形成されている段部Nにおいても、ウェハ20dに照射されるレーザ光Lを表面23b(平坦部23a)に垂直に入射させることができる。したがって、このような段部Nにおいても、アブレーションを防ぐことができる。このため、かかる段部NのあるSOI基板においても、前述と同様の作用および効果を得ることができる。
さらに、図3(D) に示すウェハ20eでは、図3(A) に示したウェハ20bの酸化膜22上の全部にSOI層25を形成する。これにより、ウェハ20bやウェハ20cに存在するような段部Nを形成しないSOI基板を得ることができる。これにより、図3(A) に示すウェハ20bと同様に、レーザ光Lが入射する部位(割断線DL上)には平坦部25aが形成されているため、ウェハ20eに照射されるレーザ光Lを、ウェハ20eの外周縁部Mにおいても表面25b(平坦部25a)に垂直に入射させることができる。そして、前述と同様の作用および効果を得ることができる。
続いて、外周縁に面取加工が施されているウェハWを切削加工してウェハ20aと同様のウェハ20a’を得る工程を図4を参照して説明する。
図4(A) に示すように、加工前のウェハWの外周には、外周縁の表裏において、表面側面取部maおよび裏面側面取部mbが形成されている。そこで、例えば、図4(B) に示すように、当該ウェハWの表側をポリッシュ加工により研磨(切削)することにより当該表側半分を除去部Rとして取り除く(研磨工程または切削工程)。これにより、図4(C) に示すように、除去部Rが除かれたその表側には、ウェハ20a’の中心部の表面21b’と同様に、ウェハ20a’の外周まで延びて形成される平坦部21a’が形成される。そして、このように平坦化された表面21b’にチップDevを形成する。
したがって、このようなウェハ20a’において、前述のウェハ20aと同様に、拡散工程等を経て複数のチップDevを形成し、これらのチップDevをレーザダイシングする際には、ウェハ20aと同様の作用および効果を得ることができる。なお、図4に示す例は、特許請求の範囲の請求項6に対応し得るもので、ウェハWは、同請求項に記載の「面取加工済み半導体ウェハ」に相当し得るものである。また、除去部Rは、同請求項に記載の「他端面側」に相当し得るものである。
なお、これとは逆に、加工前のウェハWの表側にチップDevを形成した後、当該ウェハWの裏側をポリッシュ加工により研磨(切削)することにより当該裏側半分を除去部Rとして取り除いても良い(研磨工程または切削工程)。また、加工前のウェハWの裏側をポリッシュ加工により研磨(切削)することにより当該裏側半分を除去部Rとして取り除いた後(研磨工程または切削工程)、ポリッシュ加工されていないウェハWの表側にチップDevを形成しても良い。これらの場合には、ポリッシュ加工により平坦化されたウェハWの裏側からレーザ光Lを照射することにより、ウェハ20aと同様の作用および効果を得ることができる。
これまでに説明した各ウェハ20a、20b、20c、20d、20eでは、ウェハの照射面側の外周縁部Mに表面側面取部maを有することなく平坦部21a、22a、25a等を形成するように構成した。しかし、ウェハの裏側についてもレーザ光Lを照射し得る場合には、図5に示すように、ウェハの表裏両側に平坦部を形成するバリエーションが例示できる。
即ち、図5(A) に示すように、ウェハ30aでは、いわゆるバルクシリコンのシリコン基板31において、シリコン基板31の表面31bに当該ウェハ30aの外周まで延びる表側平坦部31aを形成し、さらに当該シリコン基板31の裏面31dにも当該ウェハ30aの外周まで延びる裏側平坦部31cを形成する。これにより、表面31bの表側平坦部31aに加えて、裏面31dでも裏側平坦部31cが形成されているため、ウェハ30aに照射されるレーザ光を、ウェハ30aの外周縁部Mの両面(表側平坦部31a、裏側平坦部31c)に垂直に入射させることができる。
これにより、たとえウェハ30aの外周よりも外側からレーザ光が走査されても、ウェハ30aの外周縁部Mの表面31b(表側平坦部31a)および裏面31d(裏側平坦部31c)で焦点が合うことがない。このため、ウェハ30aの内部に改質層を形成可能にレーザ光の焦点が設定されることで、ウェハ30a内に多光子吸収による改質層を適正に形成することができるとともに、外周縁部Mにおけるアブレーションを防ぐことができる。したがって、ウェハ30aの両面において、当該アブレーションによるパーティクルの発生を防止できるので、レーザダイシングにより分離されたチップや分離前のチップに付着するパーティクルを減少させ、製品の歩留まりや品質を向上することができる。
なお、図5(A) に示す例は、特許請求の範囲の請求項3に対応し得るもので、シリコン基板31は、同請求項に記載の「シリコン層」に相当し得るものである。また、表面31bは、同請求項に記載の「シリコン層の表面」に相当し得るもので、さらに裏面31dは、同請求項に記載の「シリコン層の裏面」に相当し得るものである。また、裏側平坦部31cは、同請求項に記載の「裏側の平坦部」に相当し得るものである。
図5(B) には、図5(A) に示すシリコン基板31の表面31bに表側酸化膜32を形成したウェハ30bが例示されている。このようなウェハ30bにおいても、表側酸化膜32の表面32bに当該ウェハ30bの外周まで延びる表側平坦部32aを形成し、当該シリコン基板31の裏面31dにも当該ウェハ30bの外周まで延びる裏側平坦部31cを形成する。これにより、表面32bの表側平坦部32aに加えて、裏面31dでも裏側平坦部31cが形成されているため、ウェハ30bに照射されるレーザ光を、ウェハ30bの外周縁部Mの両面(表側平坦部32a、裏側平坦部31c)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ30bにおいても、図5(A) に示すウェハ30aと同様の作用および効果を得ることができる。
また、図5(C) には、図5(A) に示すシリコン基板31の裏面31dに裏側酸化膜33を形成したウェハ30cが例示されている。このようなウェハ30cにおいても、当該シリコン基板31の表面31bに当該ウェハ30cの外周まで延びる表側平坦部31aを形成し、裏側酸化膜33の裏面33bにも当該ウェハ30cの外周まで延びる裏側平坦部33aを形成する。これにより、表面31bの表側平坦部31aに加えて、裏面33bでも裏側平坦部33aが形成されているため、ウェハ30cに照射されるレーザ光を、ウェハ30cの外周縁部Mの両面(表側平坦部31a、裏側平坦部33a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ30cにおいても、図5(A) に示すウェハ30aと同様の作用および効果を得ることができる。
さらに、図5(D) には、図5(A) に示すシリコン基板31の表面31bおよび裏面31dの両側にそれぞれ表側酸化膜32と裏側酸化膜33とを形成したウェハ30dが例示されている。このようなウェハ30dにおいても、表側酸化膜32の表面32bに当該ウェハ30dの外周まで延びる表側平坦部32aを形成し、裏側酸化膜33の裏面33bにも当該ウェハ30dの外周まで延びる裏側平坦部33aを形成する。これにより、表面32bの表側平坦部32aに加えて、裏面33bでも裏側平坦部33aが形成されているため、ウェハ30dに照射されるレーザ光を、ウェハ30dの外周縁部Mの両面(表側平坦部32a、裏側平坦部33a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ30dにおいても、図5(A) に示すウェハ30aと同様の作用および効果を得ることができる。
同様に、図3(B) を参照して説明したSOIのウェハ20cにおいても、図6に示すように、ウェハの表裏両側に平坦部を形成するバリエーションが例示できる。
即ち、図6(A) に示すように、ウェハ40aでは、シリコン基板41上の全部に形成される酸化膜42を介してSOI層43を接合したSOI基板において、SOI層43の表面43bに当該SOI層43の外周端まで延びる表側平坦部43aを形成するとともに、酸化膜42についてはウェハ40aの外周まで延びる表側平坦部42aを形成する。そして、シリコン基板41の裏面41bにも当該ウェハ40aの外周まで延びる裏側平坦部41aを形成する。
これにより、表側平坦部42aおよび裏側平坦部41aが形成されている外周縁部Mに加え、SOI層43の表側平坦部43aが形成されている段部Nにおいても、ウェハ40aに照射されるレーザ光を表面43b(表側平坦部43a)に垂直に入射させることができるので、外周縁部Mに加えてこのような段部Nにおいても、アブレーションを防ぐことができる。したがって、ウェハ40aの両面、さらにはSOI層43の外周端において、当該アブレーションによるパーティクルの発生を防止できるので、レーザダイシングにより分離されたチップや分離前のチップに付着するパーティクルを減少させ、製品の歩留まりや品質を向上することができる。
なお、図6(A) に示す例は、特許請求の範囲の請求項4、5に対応し得るもので、シリコン基板41は、請求項4に記載の「シリコン層」に相当し、また酸化膜42は、請求項4に記載の「絶縁膜」に相当し得るものである。また、表面43bは、請求項4、5に記載の「SOI層の表面」に相当し得るもので、さらに裏面41bは、請求項5に記載の「シリコン層の裏面」に相当し得るものである。また、裏側平坦部41aは、請求項5に記載の「裏側の平坦部」に相当し得るものである。
図6(B) には、図6(A) に示すSOI基板(41,42,43)の表面43bに表側酸化膜44を形成したウェハ40bが例示されている。このようなウェハ40bにおいても、表側酸化膜44の表面44bに当該SOI層43の外周端まで延びる表側平坦部44aを形成するとともに、酸化膜42についてはウェハ40bの外周まで延びる表側平坦部42aを形成する。そして、シリコン基板41の裏面41bにも当該ウェハ40bの外周まで延びる裏側平坦部41aを形成する。これにより、表側平坦部42aおよび裏側平坦部41aが形成されている外周縁部Mに加え、表側平坦部44aが形成されている段部Nにおいても、ウェハ40bに照射されるレーザ光を表面44b(表側平坦部44a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ40bにおいても、図6(A) に示すウェハ40aと同様の作用および効果を得ることができる。
また、図6(C) には、図6(A) に示すSOI基板(41,42,43)の裏面41bに裏側酸化膜45を形成したウェハ40cが例示されている。このようなウェハ40cにおいても、SOI層43の表面43bに当該SOI層43の外周端まで延びる表側平坦部43aを形成するとともに、酸化膜42についてはウェハ40cの外周まで延びる表側平坦部42aを形成する。そして、裏側酸化膜45の裏面45bにも当該ウェハ40cの外周まで延びる裏側平坦部45aを形成する。これにより、表側平坦部42aおよび裏側平坦部45aが形成されている外周縁部Mに加え、表側平坦部43aが形成されている段部Nにおいても、ウェハ40cに照射されるレーザ光を表面43b(表側平坦部43a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ40cにおいても、図6(A) に示すウェハ40aと同様の作用および効果を得ることができる。
さらに、図6(D) には、図6(A) に示すSOI基板(41,42,43)の表面43bおよび裏面41bの両側にそれぞれ表側酸化膜44と裏側酸化膜45とを形成したウェハ40dが例示されている。このようなウェハ40dにおいても、表側酸化膜44の表面44bに当該SOI層43の外周端まで延びる表側平坦部44aを形成するとともに、酸化膜42についてはウェハ40dの外周まで延びる表側平坦部42aを形成する。そして、裏側酸化膜45の裏面45bにも当該ウェハ40dの外周まで延びる裏側平坦部45aを形成する。これにより、表面44bの表側平坦部44aに加えて、裏面45bでも裏側平坦部45aが形成されているため、ウェハ40dに照射されるレーザ光をウェハ40dの外周縁部Mの両面(表側平坦部44a、裏側平坦部45a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ40dにおいても、図6(A) に示すウェハ40aと同様の作用および効果を得ることができる。
また同様に、図3(C) を参照して説明したSOIのウェハ20dにおいても、図7に示すように、ウェハの表裏両側に平坦部を形成するバリエーションが例示できる。
即ち、図7(A) に示すように、ウェハ50aでは、シリコン基板51上の一部に形成される酸化膜52を介してSOI層53を接合したSOI基板において、SOI層53の表面53bに当該SOI層53の外周端まで延びる表側平坦部53aを形成するとともに、シリコン基板51についてはウェハ50aの外周まで延びる表側平坦部51aを形成する。そして、シリコン基板51の裏面51dにも当該ウェハ50aの外周まで延びる裏側平坦部51cを形成する。
これにより、表側平坦部51aおよび裏側平坦部51cが形成されている外周縁部Mに加え、SOI層53の表側平坦部53aが形成されている段部Nにおいても、ウェハ50aに照射されるレーザ光を表面53b(表側平坦部53a)に垂直に入射させることができるので、外周縁部Mに加えてこのような段部Nにおいても、アブレーションを防ぐことができる。したがって、ウェハ50aの両面、さらにはSOI層53の外周端において、当該アブレーションによるパーティクルの発生を防止できるので、レーザダイシングにより分離されたチップや分離前のチップに付着するパーティクルを減少させ、製品の歩留まりや品質を向上することができる。
なお、図7(A) に示す例は、特許請求の範囲の請求項4、5に対応し得るもので、シリコン基板51は、請求項4に記載の「シリコン層」に相当し、また酸化膜52は、請求項4に記載の「絶縁膜」に相当し得るものである。また、表面53bは、請求項4、5に記載の「SOI層の表面」に相当し得るもので、さらに裏面51dは、請求項5に記載の「シリコン層の裏面」に相当し得るものである。また、裏側平坦部51cは、請求項5に記載の「裏側の平坦部」に相当し得るものである。
図7(B) には、図7(A) に示すSOI基板(51,52,53)の表面53bに表側酸化膜54を形成したウェハ50bが例示されている。このようなウェハ50bにおいても、表側酸化膜54の表面54bに当該SOI層53の外周端まで延びる表側平坦部54aを形成するとともに、シリコン基板51についてはウェハ50bの外周まで延びる表側平坦部51aを形成する。そして、シリコン基板51の裏面51dにも当該ウェハ50bの外周まで延びる裏側平坦部51cを形成する。これにより、表側平坦部51aおよび裏側平坦部51cが形成されている外周縁部Mに加え、表側平坦部54aが形成されている段部Nにおいても、ウェハ50bに照射されるレーザ光を表面54b(表側平坦部54a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ50bにおいても、図7(A) に示すウェハ50aと同様の作用および効果を得ることができる。
また、図7(C) には、図7(A) に示すSOI基板(51,52,53)の裏面51dに裏側酸化膜55を形成したウェハ50cが例示されている。このようなウェハ50cにおいても、SOI層53の表面53bに当該SOI層53の外周端まで延びる表側平坦部53aを形成するとともに、シリコン基板51についてはウェハ50bの外周まで延びる表側平坦部51aを形成する。そして、裏側酸化膜55の裏面55dにも当該ウェハ50cの外周まで延びる裏側平坦部55cを形成する。これにより、表側平坦部51aおよび裏側平坦部55cが形成されている外周縁部Mに加え、表側平坦部53aが形成されている段部Nにおいても、ウェハ50cに照射されるレーザ光を表面53b(表側平坦部53a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ50cにおいても、図7(A) に示すウェハ50aと同様の作用および効果を得ることができる。
さらに、図7(D) には、図7(A) に示すSOI基板(51,52,53)の表面53bおよび裏面51dの両側にそれぞれ表側酸化膜54と裏側酸化膜55とを形成したウェハ50dが例示されている。このようなウェハ50dにおいても、表側酸化膜54の表面54bに当該SOI層53の外周端まで延びる表側平坦部54aを形成するとともに、シリコン基板51についてはウェハ50bの外周まで延びる表側平坦部51aを形成する。そして、裏側酸化膜55の裏面55bにも当該ウェハ50dの外周まで延びる裏側平坦部55aを形成する。これにより、表面54bの表側平坦部54aに加えて、裏面55bでも裏側平坦部55aが形成されているため、ウェハ50dに照射されるレーザ光をウェハ50dの外周縁部Mの両面(表側平坦部54a、裏側平坦部55a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ50dにおいても、図7(A) に示すウェハ50aと同様の作用および効果を得ることができる。
さらに同様に、図3(D) を参照して説明したSOIのウェハ20eにおいても、図8に示すように、ウェハの表裏両側に平坦部を形成するバリエーションが例示できる。
即ち、図8(A) に示すように、ウェハ60aでは、いわゆるバルクシリコンのシリコン基板61上の全部に形成される酸化膜62を介してSOI層63を接合したSOI基板において、SOI層63の表面63bに当該ウェハ60aの外周まで延びる表側平坦部63aを形成し、さらに当該シリコン基板61の裏面61bにも当該ウェハ60aの外周まで延びる裏側平坦部61aを形成する。これにより、表面63bの表側平坦部63aに加えて、裏面61bでも裏側平坦部61aが形成されているため、ウェハ60aに照射されるレーザ光を、ウェハ60aの外周縁部Mの両面(表側平坦部63a、裏側平坦部61a)に垂直に入射させることができる。
これにより、たとえウェハ60aの外周よりも外側からレーザ光が走査されても、ウェハ60aの外周縁部Mの表面63b(表側平坦部63a)および裏面61a(裏側平坦部61a)で焦点が合うことがない。このため、ウェハ60aの内部に改質層を形成可能にレーザ光の焦点が設定されることで、ウェハ60a内に多光子吸収による改質層を適正に形成することができるとともに、外周縁部Mにおけるアブレーションを防ぐことができる。したがって、ウェハ60aの両面において、当該アブレーションによるパーティクルの発生を防止できるので、レーザダイシングにより分離されたチップや分離前のチップに付着するパーティクルを減少させ、製品の歩留まりや品質を向上することができる。
なお、図7(A) に示す例は、特許請求の範囲の請求項4、5に対応し得るもので、シリコン基板61は、請求項4に記載の「シリコン層」に相当し、また酸化膜62は、請求項4に記載の「絶縁膜」に相当し得るものである。また、表面63bは、請求項4、5に記載の「SOI層の表面」に相当し得るもので、さらに裏面61aは、請求項5に記載の「シリコン層の裏面」に相当し得るものである。また、裏側平坦部61aは、請求項5に記載の「裏側の平坦部」に相当し得るものである。
図8(B) には、図8(A) に示すSOI基板(61,62,63)の表面63bに表側酸化膜64を形成したウェハ60bが例示されている。このようなウェハ60bにおいても、表側酸化膜64の表面64bに当該ウェハ60bの外周まで延びる表側平坦部64aを形成し、当該シリコン基板61の裏面61bにも当該ウェハ60bの外周まで延びる裏側平坦部61aを形成する。これにより、表面64bの表側平坦部64aに加えて、裏面61bでも裏側平坦部61aが形成されているため、ウェハ60bに照射されるレーザ光を、ウェハ60bの外周縁部Mの両面(表側平坦部64a、裏側平坦部61a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ60bにおいても、図8(A) に示すウェハ60aと同様の作用および効果を得ることができる。
また、図8(C) には、図8(A) に示すSOI基板(61,62,63)の裏面61bに裏側酸化膜65を形成したウェハ60cが例示されている。このようなウェハ60cにおいても、SOI層63の表面63bに当該ウェハ60aの外周まで延びる表側平坦部63aを形成し、裏側酸化膜65の裏面65bにも当該ウェハ60cの外周まで延びる裏側平坦部65aを形成する。これにより、表面63bの表側平坦部63aに加えて、裏面65bでも裏側平坦部65aが形成されているため、ウェハ60cに照射されるレーザ光を、ウェハ60cの外周縁部Mの両面(表側平坦部63a、裏側平坦部65a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ60cにおいても、図8(A) に示すウェハ60aと同様の作用および効果を得ることができる。
さらに、図8(D) には、図8(A) に示すSOI基板(61,62,63)の表面63bおよび裏面61bの両側にそれぞれ表側酸化膜64と裏側酸化膜65とを形成したウェハ60dが例示されている。このようなウェハ60dにおいても、表側酸化膜64の表面64bに当該ウェハ60dの外周まで延びる表側平坦部64aを形成し、裏側酸化膜65の裏面65bにも当該ウェハ60dの外周まで延びる裏側平坦部65aを形成する。これにより、表面64bの表側平坦部64aに加えて、裏面65bでも裏側平坦部65aが形成されているため、ウェハ60dに照射されるレーザ光を、ウェハ60dの外周縁部Mの両面(表側平坦部64a、裏側平坦部65a)に垂直に入射させることができる。したがって、ウェハ60dにおいても、図8(A) に示すウェハ60aと同様の作用および効果を得ることができる。
上述した各実施形態では、各ウェハ20a等の基材をシリコンとしたものを例に説明したが、本発明の適用はこれに限られるものではなく、半導体材料であれば、例えば、ガリウム砒素等でも上述と同様の作用および効果を得ることができる。
20a、20a’、20b、20c、20d、20e、30a、30b、30c、30d、40a、40b、40c、40d、50a、50b、50c、50d、60a、60b、60c、60d…ウェハ(半導体ウェハ)
21、31、41、51、61…シリコン基板(シリコン層)
21a、22a、23a、25a…平坦部
21b、22b、23b、25b、31b、32b、43b、44b、53b、54b、63b、64b…表面
22、24、42、52、62…酸化膜(絶縁膜)
23、25、43、53、63…SOI層
31a、32a、43a、44a、51a、53a、54a、63a、64a、…表側平坦部(平坦部)
31c、33a、41a、45a、51c、55a、61a、65a…裏側平坦部(裏側の平坦部)
31d、33b、41b、51d、45b、55b、61b、65b…裏面
32、44、54、64…表側酸化膜
33、45、55、65…裏側酸化膜
CV…集光レンズ(レーザ装置)
Dev…チップ(半導体装置)
DL…割断線
H…光軸
K…改質層
L…レーザ光
M…外周縁部
ma…表面側面取部
mb…裏面側面取部
N…段部
P…焦点
R…除去部(他端面側)
W…ウェハ(面取加工済み半導体ウェハ)
Wa…外周平面
Wb…外周曲面
θ…入射角