JP2007207673A - 電子顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子顕微鏡1は、電子ビーム鏡筒10を移動させる電子ビーム鏡筒移動部60、61、70、71と、試料Sa、Sbをそれぞれ収納する複数の試料室20a、20bと、複数の試料室の内部を個別に真空状態にする真空ポンプ32、33と、を備えて構成する。電子ビーム鏡筒10を移動させて、複数の試料室20a、20b内のいずれかを大気状態にしている間に真空状態にされた他の試料室内に収納された試料を観察する。
【選択図】図3
Description
走査型電子顕微鏡1は、試料S上で照射位置が走査するように電子ビームEBを照射する電子ビーム鏡筒10と、試料Sからの2次電子又は反射電子を検出するための電子検出器EDと、を備え、試料S上で走査される電子ビームEBの各時点の照射位置と、それぞれの時点において電子線検出器EDにて検出した電子量とを同期させて2次元の顕微鏡像を得る。
試料室20を真空状態に保ったまま試料Sを搬入するために、図1に示す走査型電子顕微鏡1にはロードロック室50が設けられる場合もある。試料Sを試料室20に搬入する際には、まずロードロック室50と試料室20とを遮断した後にロードロック室50を大気状態に開放にして試料Sを搬入する。そしてロードロック室50と外部とを遮断してから内部を真空引きし、真空状態となった後にロードロック室50と試料室20との間を開放して、試料室20へ試料Sを搬入する。
例えば、上述の走査型電子顕微鏡1において試料Sの全面を観察範囲内に収めるためには、ステージ22は試料Sをその直径寸法と同程度に移動する必要があるが、このことは、真空試料室20の寸法が試料Sの直径の2倍以上になることを意味する。例えば、最近用いられるようになった直径300mmを扱う場合には、600mm以上の寸法を有する大きな真空試料室20を設ける必要がある。
例えば下記特許文献3に開示される例を図2に示すと、電子線露光装置2は、電子ビーム鏡筒10を試料Sの観察面と平行な水平面(XY面)で移動させるためのX方向直動機構60a、60b)及びY方向直動機構70を備える。
電子線露光装置2によれば、試料Sを保持するステージ22を移動させることなく電子ビーム鏡筒10を試料S上の所望の観察位置へ位置付けることが可能となり、上述のステージ22を移動させる方式と比べて、フットプリントを1/4程度に低減することが可能となる。
しかしながらロードロック室を省くと、真空試料室内に試料を搬入出する都度必要となる真空試料室内の真空引き作業によって、電子線装置による作業のスループットが低減する。すなわちロードロック室が設けられている場合には、真空試料室内に搬入されている試料に対する作業と、ロードロック室から他の試料の搬出及び搬入、並びに必要な真空引き作業を平行して行うことができるが、ロードロック室を省くと、これらの作業を平行して行うことができなくなるためである。
電子ビーム鏡筒には、試料室内を大気状態にするときに電子ビーム出射口を閉じるためのシャッター部を設けてもよい。
また、電子ビーム鏡筒を移動させて、複数の試料室に搬入されたどの試料に対しても共通の電子ビーム鏡筒を用いて観察するので、電子ビーム鏡筒を複数設ける必要が省かれる。
また、電子ビーム鏡筒の電子ビーム出射口をシャッターで閉じることにより、試料の搬入出の際に試料室内を大気状態に開放しても、電子ビーム鏡筒内を真空に保ち内部の電子銃を保護することが可能となる。
走査型電子顕微鏡1は、試料上で照射位置が走査するように電子ビームEBを照射する電子ビーム鏡筒10を備える。電子ビーム鏡筒10には試料からの電子を検出するための電子検出器EDが設けられており(図5を参照して後述する)、試料上で走査される電子ビームEBの各時点の照射位置と、それぞれの時点において電子線検出器EDにて検出した電子量とを同期させることにより2次元の顕微鏡像を得る。
走査型電子顕微鏡1の筐体21内部の空間は、電子ビーム鏡筒10が収容される電子ビーム鏡筒収容部28と、2つの真空試料室20a及び20bとに分割され、電子ビーム鏡筒収容部28と真空試料室20aとは上壁80a及び側壁81aにより区分けされ、電子ビーム鏡筒収容部28と真空試料室20bとは上壁80b及び側壁81bにより区分けされており、さらに2つの試料室20aと20bとの間もまた隔壁82によって遮断されている。これら区分けされた電子ビーム鏡筒収容部28、2つの真空試料室20a及び20bは、それぞれ真空ポンプ31、32及び33によってそれぞれ個別に真空引きされ、高真空状態に維持することが可能である。
各真空試料室20a及び20bには、試料を保持するための試料保持台22a及び22bが設けられる。これら保持台22a及び22bには、試料の観察面と電子ビーム鏡筒10との間隔を調節するための上下方向(Z方向)の昇降手段を有する。
各窓部83a及び83bには、試料の搬入出の際に各窓部83a及び83bを閉じることによって、電子ビーム鏡筒収容部28を真空状態に維持するためのシャッター機構84a及び84bがそれぞれ設けられている。
また真空試料室20aに搬入した試料Saを観察する際には、搬入出口85aを閉じてから真空試料室20a内を真空状態にしてから、シャッター機構84aを開けて窓部83aを開放する。真空試料室20bに試料Sbを搬入出する際も同様である。
この移動機構は、試料Sの観察面を成す第1方向であるX方向と第2方向であるY方向のうち、X方向に沿って電子ビーム鏡筒10を移動させるためのX方向ガイド60と、Y方向に沿って電子ビーム鏡筒10を移動させるための可動Y方向ガイド70と、可動Y方向ガイド70を支持したままX方向に延在するX方向ガイド60に沿って移動するX方向移動部61と、電子ビーム鏡筒10を支持したままY方向に延在する可動Y方向ガイド70に沿って移動するY方向移動部71と、を備えて構成される。
例えば、X方向ガイド60に回転可能なボールネジ(図示せず)をX方向に沿って設け、X方向各移動部61aにナット(図示せず)を設けてボールネジと螺合させる。そしてX方向ガイド60を固定した状態で、図示しないモータによってボールネジを回転させることによって、X方向各移動部61に対してX方向の駆動力を加えることとしてよい。
また可動Y方向ガイド70に、回転可能なボールネジ(図示せず)をY方向に沿って設け、Y方向各移動部71にナット(図示せず)を設けてボールネジと螺合させる。そしてY方向について可動Y方向ガイドを固定した状態で、図示しないモータによってボールネジを回転させることによって、Y方向各移動部71に対してY方向の駆動力を加えることとしてよい。
なお直線駆動機構としてベルト駆動機構を使用してもよい。
走査型電子顕微鏡1は、これら直線駆動機構の駆動量を制御することによって、電子ビーム鏡筒10を、試料Sの観察面上の所望の観察位置に位置付ける電子ビーム鏡筒位置制御部65を備える。電子ビーム鏡筒位置制御部65は、コンピュータ等のデータ処理装置で実現され、所望の移動量だけ直線駆動機構を駆動する駆動信号を出力することによって、電子ビーム鏡筒10を所望の位置に移動させる。
また電子ビーム鏡筒10には電子検出器EDが設けられ、電子検出器EDによって電子ビーム鏡筒10の開口部17から電子を発射した際の試料Sからの電子を検出する。
実際には、電子ビーム鏡筒10に対物アパーチャ、偏向電極や非点補正コイル等が設けられる。
また、電子ビーム鏡筒10には、電子ビームEBを出射する開口部17を開閉するシャッター部18が設けられており、試料室20内を大気状態に開放しても、シャッター部18により開口部17を閉じて真空ポンプ11で真空引きすることによって電子ビーム鏡筒10内の空間13を真空状態に維持する。
複数の真空試料室のうちのひとつの真空試料室20aに試料Saを搬入出する際には、試料Saを搬入出して真空試料室20aを真空引きする間、シャッター機構84aにより試料室20aと電子ビーム鏡筒収容部28とを遮断して電子ビーム鏡筒収容部28を真空状態に保ったまま、電子ビーム鏡筒位置制御部65が、他方の真空試料室20bの窓部83bの位置に電子ビーム鏡筒10を移動させて、真空試料室20bに搬入された試料Sbを観察する。
反対に真空試料室20bに試料Sbを搬入出する際には、試料Sbを搬入出して真空試料室20bを真空引きする間、シャッター機構84bにより試料室20bと電子ビーム鏡筒収容部28とを遮断して電子ビーム鏡筒収容部28を真空状態に保ったまま、電子ビーム鏡筒位置制御部65が、真空試料室20aの窓部83aの位置に電子ビーム鏡筒10を移動させて、真空試料室20aに搬入された試料Saを観察する。
本実施例では、電子ビーム鏡筒10は、試料保持台22と同じ真空試料室20内に収容される。そして、走査型電子顕微鏡1はその床面積を縮小するためにロードロック室を省略しており、走査型電子顕微鏡1の筐体21の前面には、真空試料室20内へ試料Sを搬入出するための搬入出口24が設けられる。
真空試料室20外へ試料Sを搬出する際には、電子ビーム鏡筒10からの電子ビームEBの放射を停止してから真空試料室20を大気状態にする。その後、搬入出口24を開放して試料Sを真空試料室20内へ搬入する。
そこで、本実施例では試料室20全体の真空度を低く設定することにより、試料室20内に直接試料Sを搬入出の際に行う試料室20全体の真空引きに要する時間を低減する。
このように、本実施例の走査型電子顕微鏡1では電子ビーム鏡筒10側を移動させることにより、上述のステージ22を移動させる方式と比べて床面積を1/4程度に低減し、かつそれに加えて、ロードロック室の設置スペースを省くことにより、床面積の大幅な低減を実現する。
例えば、X方向ガイドの一方の60aに回転可能なボールネジ(図示せず)をX方向に沿って設け、X方向各移動部61aにナット(図示せず)を設けてボールネジと螺合させる。そしてX方向ガイド60aを固定した状態で、図示しないモータによってボールネジを回転させることによって、X方向各移動部61aに対してX方向の駆動力を加えることとしてよい。
また可動Y方向ガイド70に、回転可能なボールネジ(図示せず)をY方向に沿って設け、Y方向各移動部71にナット(図示せず)を設けてボールネジと螺合させる。そしてY方向について可動Y方向ガイドを固定した状態で、図示しないモータによってボールネジを回転させることによって、Y方向各移動部71に対してY方向の駆動力を加えることとしてよい。
なお直線駆動機構としてベルト駆動機構を使用してもよい。
電子ビーム鏡筒位置制御部65は、これら直線駆動機構の駆動量を制御することによって、電子ビーム鏡筒10を、試料Sの観察面上の所望の観察位置に位置付ける。すなわち電子ビーム鏡筒位置制御部65は、電子ビーム鏡筒10を支持するY方向移動部71を可動Y方向ガイド70に沿って駆動し、この可動Y方向ガイド70を支持するX方向移動部61a及び61bをX方向ガイド60a及び60bにそれぞれ沿って駆動することにより、電子ビーム鏡筒10を試料Sの観察面に平行なXY平面内で駆動する。
図示するように、試料Sの直上に位置する電子ビーム鏡筒10をΔyだけY方向に移動させる場合を想定する。その場合、電子ビーム鏡筒位置制御部65は、可動Y方向ガイド70が試料Sの直上に位置したまま電子ビーム鏡筒10をY方向に移動することを避けて、X方向移動部61a及び61bを駆動して、可動Y方向ガイド70を退避領域Rに一旦退避させる(矢印91)。
このようにY方向移動部71が移動する間、可動Y方向ガイド70を退避領域Rに退避させることによって、Y方向移動部71と可動Y方向ガイド70の摺動面から発生しる異物やパーティクルが試料Sの表面上に直接落ちることが防止される。
10 電子ビーム鏡筒
11、31、32、33 真空ポンプ
20 真空試料室
21 筐体
22 試料保持台
30 定盤
60、60a、60b X方向ガイド
61、61a、61b X方向移動部
70 移動Y方向ガイド
71 Y方向移動部
Claims (3)
- 電子ビーム鏡筒を移動させる電子ビーム鏡筒移動部を備え、該電子ビーム鏡筒移動部によって試料の観察面上の各箇所を観察する位置に前記電子ビーム鏡筒を位置付ける電子顕微鏡であって、
前記試料をそれぞれ収納する複数の試料室と、
前記複数の試料室の内部を個別に真空状態にする真空ポンプと、
を備え、
前記電子ビーム鏡筒移動部によって前記電子ビーム鏡筒を移動させることにより、前記複数の試料室内のいずれかを大気状態にしている間、真空状態にされた他の前記試料室内に収納された試料を観察する位置に、前記電子ビーム鏡筒を位置付けることを特徴とする電子顕微鏡。 - 電子ビーム鏡筒を移動させる電子ビーム鏡筒移動部を備え、該電子ビーム鏡筒移動部によって試料の観察面上の各箇所を観察する位置に前記電子ビーム鏡筒を位置付ける電子顕微鏡であって、
該電子ビーム鏡筒は、該鏡筒内を真空引きする真空ポンプを備えることを特徴とする電子顕微鏡。 - 前記電子ビーム鏡筒は、前記試料室内を大気状態にするときに電子ビーム出射口を閉じるシャッター部を有することを特徴とする請求項2に記載の電子顕微鏡。
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