本発明の実施形態について説明する前に、各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成について、図1〜図4を参照しつつ説明する。
図1は、上記光ディスク記録再生装置の要部構成を示している。また、図2は、光ディスク記録再生装置30における光ピックアップ7の要部構造を示している。光ディスク記録再生装置30は、光ディスク1に対して情報の記録および再生を行う装置である。なお、光ディスク1は光学ディスクであればよく、例えば光磁気ディスクなど、その種類は限定されるものではない。
図1に示されるように、光ディスク記録再生装置30は、光ピックアップ7、各種のモータ8・11・22、各種のドライバ10・12・13・14・23・25、RF(高周波)処理回路9、各種の制御回路15・16・18、信号処理回路17、および各種の外部I/F(インターフェース)19を備えている。光ディスク記録再生装置30は、ホストインターフェース19を介してホストコンピュータ20と接続している。また、光ディスク記録再生装置30は、表示装置21と接続している。
まず、光ディスク記録再生装置30の駆動部分について説明する。スピンドルモータ11は、光ディスク1を回転駆動するものである。スピンドルモータ11には、モータの回転に伴ってパルス信号を発生する回路が内蔵されており、このパルス信号がサーボ用DSP(Digital Signal Processor)16に送信される。
光ピックアップ7は、光ディスク1に光ビームを照射して光ディスク1に対して情報の記録・再生を行うものである。スレッドモータ8は、光ピックアップ7を光ディスク1に対してラジアル方向に駆動させるものである。また、チルトモータ22は、光ディスク1に対する光ピックアップ7の傾きを調整するものである。
光ピックアップ7は、図1および図2に示されるように、対物レンズ(OL、集光光学系)2、アクチュエータ3、半導体レーザ(LD、光源)4、光検出器(PD)5・6、チルトセンサ24、コリメートレンズ(CL、集光光学系)26、コリメートレンズ駆動機構27、ビームスプリッタ28、およびミラー(集光光学系)32を備えている。
半導体レーザ4は、光ディスク1に光ビームを照射するための光源であり、光ビームを出射する。なお、半導体レーザ4から出射される光ビームの波長は、DVD(Digital Versatile Disk)などの規格によって規定される。
ビームスプリッタ28は、半導体レーザ4から出射された光ビームの一部を反射して光検出器5に導くと共に、残りの大部分を透過するものである。また、ビームスプリッタ28は、光ディスク1からの反射光を反射して、光検出器6に導くものである。なお、ビームスプリッタ28の代わりにホログラムを利用することもできる。
光検出器5・6は、受光素子を有し、受光素子に入射した光を電気信号に変換するものである。光検出器5は、半導体レーザ4から出射される光ビームのパワーを検知するため、半導体レーザ4からの直接光の一部を検出するものであり、検出した信号を自動出力制御回路15に送信する。一方、光検出器6は、光ディスク1からの反射光を検出するためのものであり、検出したサーボエラー信号、RF信号、ウォブル信号などの各種信号をRF処理回路9に送信する。
ここで、RF信号およびウォブル信号は、光ディスク1に記録されている信号(再生信号)である。RF信号は光ディスク1に記録されたデータを示すものであり、ウォブル信号は光ディスク1上のアドレスを示すものである。なお、通常、光検出器5は1個の受光素子を有し、光検出器6は複数個の受光素子を有する。
コリメートレンズ26は、半導体レーザ4から出射され、ビームスプリッタ28を通過した光ビームを、集光して略平行光に変換するものである。本実施形態では、コリメートレンズ26は、光ディスク1に照射される光ビームの球面収差を補正するため、コリメートレンズ駆動機構27によって光軸方向に移動可能となっている。
コリメートレンズ駆動機構27は、図2に示されるように、回転力を発生するステッピングモータ33と、ステッピングモータ33の回転軸から歯車などを介して回転力が伝達される送りネジ34と、送りネジ34に螺合すると共にコリメートレンズ26を保持するホルダ35とを備えている。
ステッピングモータ33は、所定のパルス電流が流れることにより回転軸を所定の角度回転させるモータである。送りネジ34は、その軸方向がコリメートレンズ26の光軸方向と平行となるように設けられている。これにより、送りネジ34における回転運動が、ホルダ35にてコリメートレンズ26の光軸方向への直線運動に変換され、その結果、コリメートレンズ26を光軸方向に移動させることができる。
ミラー32は、図2に示されるように、コリメートレンズ26と対物レンズ2との間に配置されており、コリメートレンズ26からの光ビームを屈曲させて対物レンズ2に導くと共に、対物レンズ2からの光ビームを屈曲させてコリメートレンズ26に導くためのものである。
対物レンズ2は、半導体レーザ4からの光ビームを光ディスク1に集光し、光ディスク1からの反射光を光検出器6へ導くためのものである。この対物レンズ2は、アクチュエータ3によって駆動される。
アクチュエータ3は、対物レンズ2を駆動するものである。アクチュエータ3は、アクチュエータドライバ(焦点位置変更手段)13によって駆動制御される。
具体的には、アクチュエータ3は、対物レンズ2の光軸方向であるフォーカス方向と、光ディスク1の径方向であるラジアル方向とに対物レンズ2を駆動するものである。アクチュエータ3は、対物レンズ2の駆動機構として、対物レンズ2をフォーカス方向に駆動するボイスコイルであるフォーカスコイル52(図3参照)と、対物レンズ2をラジアル方向に駆動するボイスコイルであるトラッキングコイル56(図4参照)とを備えている。なお、アクチュエータ3の駆動機構としては、ボイスコイル以外にも公知の駆動機構を利用できる。
チルトセンサ24は、光ピックアップ7と光ディスク1との間のチルト角を検出するためのセンサである。ここで、チルト角とは、光ディスク1の記録面の法線方向と、対物レンズ2の光軸方向とがなす角度をいう。チルト角が大きいと記録および/または再生の品質が低下することになる。そこで、チルトセンサ24にてチルト角(チルトエラー)を検出し、チルト角に基づいてチルトモータ22が光ピックアップ7の傾きを調整している。これにより、最適な記録および/または再生の品質を維持することができる。
次に、光ディスク記録再生装置30の回路部分について説明する。スレッドドライバ10、スピンドルモータドライバ12、アクチュエータドライバ13、チルトドライバ23、およびコリメートレンズ駆動モータドライバ25は、それぞれ、スレッドモータ8、スピンドルモータ11、アクチュエータ3、チルトモータ22、およびステッピングモータ33を駆動制御するものである。
また、レーザドライバ14は、半導体レーザ4を駆動制御するものである。また、自動出力制御回路(APC)15は、光検出器5が検出したレーザ光の検出レベルと、基準となる基準レベルとを比較し、比較結果に基づいてレーザドライバ14を制御して、レーザ光の出力が一定となるようにする。具体的には、APC回路15は、検出レベルが基準レベルよりも大きいときにレーザ光の出力を下げ、検出レベルが基準レベルよりも小さいときにレーザ光の出力を上げるようにレーザドライバ14を制御する。
また、レーザドライバ14は、光ディスク1にデータを記録する場合、信号処理回路17から受信した記録用信号に基づいて半導体レーザ4を駆動制御する。この記録時の半導体レーザ4は、パルス発光しているが、記録のためのパワーで発光しているため、再生時に比べると光検出器6で検出される光ディスク1からの反射信号のレベルが大きくなってしまう。このため、光検出器6は、再生時と記録時とでゲイン切り替えを行う機能を有している。これにより、記録時にRF処理回路9に送られるサーボエラー信号のレベルが増大することを防止している。なお、記録時には、APC回路15は、記録に適したパワーで半導体レーザ4が発光するようにAPC動作がなされる。
また、レーザドライバ14は、光ディスク1にデータを記録する場合、ライトストラテジ処理を行う。ライトストラテジ処理とは、記録用信号を実際に光ディスク1に記録するとき、光ディスク1の微妙な違いに合わせて記録方法を変更する処理をいう。ライトストラテジ処理は、光ディスク1への記録が熱記録であることを利用している。ライトストラテジ処理により、記録性能を向上させることができる。
RF処理回路9は、光検出器6から送られる信号に対し、電流信号から電圧信号へのIV変換を行うものである。RF処理回路9は、変換した電圧信号を、信号処理回路17へ出力し、A/D変換器(図3および図4を参照)を介してサーボ用DSP16へ出力する。
より詳細には、RF処理回路9は、光検出器6からの上記再生信号に対し、IV変換を行い、波形の整形処理を行った後、信号処理回路17に送信する。また、RF処理回路9は、光検出器6からの上記サーボエラー信号に対し、IV変換を行い、波形の整形処理を行った後、上記A/D変換器を介してサーボ用DSP16に送信する。
サーボ用DSP16は、光検出器6からRF処理回路9を介して受信したサーボエラー信号に基づき各種の演算処理を行って、対物レンズに対するフォーカスサーボ、トラッキングサーボ、収差サーボ等の各種サーボ用のエラー信号を生成する。各エラー信号の生成には公知の手法を用いることができる。例えば、フォーカスサーボ用のエラー信号であるフォーカスエラー信号は、非点収差法やナイフエッジ法により生成できる。また、トラッキングサーボ用のエラー信号であるトラッキングエラー信号は、差動プッシュプル法により生成できる。また、収差サーボ用のエラー信号である収差エラー信号は、光ビームの中心部と周辺部とにおけるフォーカスエラー信号の差動により生成できる。
また、サーボ用DSP16は、生成したフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号に基づいて、アクチュエータ3を駆動するための駆動指示信号を生成し、アクチュエータドライバ13に送信する。アクチュエータドライバ13は、上記駆動指示信号に基づいて、アクチュエータ3を駆動制御する。これにより、アクチュエータ3に対するフォーカスサーボおよびトラッキングサーボの制御が行われる。なお、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボの詳細については後述する。
また、サーボ用DSP16は、光ディスク1の或るトラックにジャンプするよう指示するジャンプ指示信号をシステムコントローラ18から受信すると、受信したジャンプ指示信号に基づいて、スレッドモータ8を駆動するためのスレッド駆動指示信号を生成し、スレッドドライバ10に送信する。スレッドドライバ10は、受信したスレッド駆動指示信号に基づいて、スレッドモータ8を駆動制御する。なお、サーボ用DSP16は、トラッキングサーボのエラー信号に基づいて、スレッドモータ8を駆動するためのスレッド駆動指示信号を生成し、スレッドドライバ10に送信してもよい。この場合、光ピックアップ7に対するトラッキングサーボが行われる。
また、サーボ用DSP16は、スピンドルモータ11から受信したパルス信号に基づいて、スピンドルモータ11を適当な回転速度で駆動するための駆動指示信号を生成してスピンドルモータドライバ12に送信する。スピンドルモータドライバ12は、受信した駆動指示信号に基づいて、スピンドルモータ11を駆動制御する。
また、サーボ用DSP16は、チルトセンサ24からRF処理回路9を介して受信したチルトエラー信号に基づいて、光ピックアップ7を適当な傾きに駆動するためのチルト駆動指示信号を生成してチルトドライバ23に送信する。チルトドライバ23は、受信したチルト駆動指示信号に基づいて、チルトモータ22を駆動制御する。
また、サーボ用DSP16は、生成した収差エラー信号に基づき、コリメートレンズ26を駆動するための駆動指示信号を生成し、コリメートレンズ駆動モータドライバ25に送信する。コリメートレンズ駆動モータドライバ25は、上記駆動指示信号に基づいて、コリメートレンズ駆動機構27(ステッピングモータ33)を駆動制御する。これにより、コリメートレンズ26に対するサーボ制御、すなわち球面収差サーボが行われる。なお、球面収差サーボの詳細については後述する。
一方、信号処理回路17は、再生信号の中のRF信号に対し、復調、波形整形などの処理を行い、さらにエラー訂正処理を行って、元のデータを再生する。再生したデータは、信号処理回路17からホストインターフェース19を介してホストコンピュータ20に送信される。
同様に、信号処理回路17は、再生信号の中のウォブル信号に対し、復調、波形整形、エラー訂正などの処理を行って、アドレス信号を再生する。再生したアドレス信号は、信号処理回路17からシステムコントローラ18に送信され、システムコントローラ18にてアドレス情報として利用される。
また、信号処理回路17は、RF信号およびウォブル信号のそれぞれからクロック信号を生成する。このクロック信号から同期信号が生成される。例えば、上記クロック信号は、サーボ用DSP16に送信され、RF信号に同期してスピンドルモータ11の回転を制御するために利用される。
また、信号処理回路17は、光ディスク1にデータを記録する場合、ホストコンピュータ20からのデータを、ホストインターフェース19を介して受信する。信号処理回路17は、受信したデータに対し、エラー訂正のためのフラグを追加し、さらに変調処理を行った後、レーザドライバ14に記録用信号として送信する。
システムコントローラ18は、光ディスク記録再生装置30における各種構成を統括制御するためのものである。システムコントローラ18の機能は、例えばRAMやフラッシュメモリなどの記憶装置に記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実現される。
次に、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、および球面収差サーボの詳細について図3および図4を参照しつつ説明する。図3は、光ディスク記録再生装置30におけるフォーカスサーボおよび球面収差サーボに関する構成を示している。図4は、光ディスク記録再生装置30におけるトラッキングサーボに関する構成を示している。
図3および図4に示されるように、サーボ用DSP16は、サーボコントローラ40、エラー信号生成回路(球面収差検出手段、フォーカスエラー検出手段)41、フォーカスサーボ各種補償回路(フォーカス追従手段、フォーカスジャンプ駆動手段)42、ランプ回路43、収差サーボ各種補償回路44、ジャンプ制御回路45、ステッピングモータ制御回路46、トラッキングサーボ各種補償回路47、トラックジャンプ制御回路48、および各種スイッチSW1〜SW6を備える構成である。
サーボコントローラ40は、サーボ用DSP16における各種構成を統括制御するものである。具体的には、サーボコントローラ40は、システムコントローラ18からの指示信号や、エラー信号生成回路41からの各種のエラー信号に基づいて、フォーカスサーボ各種補償回路42およびトラッキングサーボ各種補償回路47を制御したり、スイッチSW1〜SW6の入切または切替を制御したりするものである。なお、サーボコントローラ40の詳細については各実施形態において説明する。
エラー信号生成回路41は、光検出器6からRF処理回路9(図1参照)およびA/D変換器36を介して受信したエラー信号に基づき各種の演算処理を行い、演算結果に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、および収差エラー信号(球面収差信号)を生成するものである。エラー信号生成回路41は、フォーカスエラー信号をフォーカスサーボ各種補償回路42に、トラッキングエラー信号をトラッキングサーボ各種補償回路47に、収差エラー信号を収差サーボ各種補償回路44にそれぞれ送信する。また、エラー信号生成回路41は、生成したフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、および収差エラー信号をサーボコントローラ40に送信する。
フォーカスサーボ各種補償回路42は、フォーカスエラー信号に基づいて、アクチュエータ3のフォーカスコイル52を駆動するための駆動指示信号を生成する。このとき、フォーカスサーボ各種補償回路42は、フォーカスコイル52を最適に駆動するために各種の補償を行う。この補償の例としては、位相補償などが挙げられる。
ランプ回路43は、動作前の初期位置からフォーカスサーボを行う位置に対物レンズ2を移動させるための駆動指示信号を生成するものである。
スイッチSW2は、フォーカスサーボ各種補償回路42からの駆動指示信号と、ランプ回路43からの駆動指示信号とを、サーボコントローラ40からの指示に基づき切り替えるものである。また、スイッチSW1は、フォーカスサーボ各種補償回路42またはランプ回路43からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信するか否かを、サーボコントローラ40からの指示に基づき選択するものである。スイッチSW1によりフォーカスサーボのオン/オフが行われる。
フォーカスサーボ各種補償回路42またはランプ回路43から、スイッチSW2およびスイッチSW1を介しての駆動指示信号は、D/A変換器50にてアナログ信号に変換された後、アクチュエータドライバ13のフォーカス用ドライバ51に入力される。フォーカス用ドライバ51は、上記駆動指示信号を適当な信号レベルに変換して、フォーカスコイル52に入力することにより、フォーカスコイル52を駆動制御する。これにより、対物レンズ2を光軸方向の所望位置に移動できる。
一方、収差サーボ各種補償回路44は、収差エラー信号に基づく位置にコリメートレンズ26を移動するための移動指示信号を生成する。このとき、収差サーボ各種補償回路44は、コリメートレンズ駆動モータ33を最適に駆動するために各種の補償を行う。
ジャンプ制御回路45は、動作前の初期位置から収差サーボを行う位置にコリメートレンズ26を移動させるための移動指示信号を生成するものである。
スイッチSW4は、収差サーボ各種補償回路44からの移動指示信号と、ジャンプ制御回路45からの移動指示信号とを、サーボコントローラ40からの指示に基づき切り替えるものである。また、スイッチSW3は、収差サーボ各種補償回路44またはジャンプ制御回路45からの移動指示信号をステッピングモータ制御回路46に送信するか否かを、サーボコントローラ40からの指示に基づき選択するものである。スイッチSW3により収差サーボのオン/オフが行われる。
ステッピングモータ制御回路46は、収差サーボ各種補償回路44またはジャンプ制御回路45からの移動指示信号に基づき、ステッピングモータであるコリメートレンズ駆動モータ33を駆動するための駆動指示信号を生成する。
ステッピングモータ制御回路46が生成した駆動指示信号は、D/A変換器53にてアナログ信号に変換された後、コリメートレンズ駆動モータドライバ25に入力される。コリメートレンズ駆動モータドライバ25は、上記駆動指示信号を適当な信号レベルに変換して、コリメートレンズ駆動モータ33に入力することにより、コリメートレンズ駆動モータ33を駆動制御する。これにより、コリメートレンズ26が光軸方向に移動する。
コリメートレンズ26が光軸方向に移動可能である場合、半導体レーザ4からコリメートレンズ26を透過した光ビームを、平行な光ビームからやや発散した光ビームとしたり、平行な光ビームからやや集束した光ビームとしたりすることができる。これにより、光ディスク1に集光する光ビームの球面収差を補正することができる。
一方、図4に示されるように、トラッキングサーボ各種補償回路47は、トラッキングエラー信号に基づいて、アクチュエータ3のトラッキングコイル56を駆動するための駆動指示信号を生成する。このとき、トラッキングサーボ各種補償回路47は、トラッキングコイル56を最適に駆動するために各種の補償を行う。この補償の例としては、位相補償、利得調整などが挙げられる。
トラックジャンプ制御回路48は、動作前の初期位置からトラッキングサーボを行う位置に対物レンズ2を移動させるための駆動指示信号を生成するものである。
スイッチSW6は、トラッキングサーボ各種補償回路47からの駆動指示信号と、トラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号とを、サーボコントローラ40からの指示に基づき切り替えるものである。また、スイッチSW5は、トラッキングサーボ各種補償回路47またはトラックジャンプ制御回路48からの駆動指示信号をアクチュエータドライバ13に送信するか否かを、サーボコントローラ40からの指示に基づき選択するものである。スイッチSW5によりトラッキングサーボのオン/オフが行われる。
トラッキングサーボ各種補償回路47またはトラックジャンプ制御回路48から、スイッチSW6およびスイッチSW5を介しての駆動指示信号は、D/A変換器54にてアナログ信号に変換された後、アクチュエータドライバ13のトラッキング用ドライバ55に入力される。トラッキング用ドライバ55は、上記駆動指示信号を適当な信号レベルに変換して、トラッキングコイル56に入力することにより、トラッキングコイル56を駆動制御する。これにより、対物レンズ2をラジアル方向の所望位置に移動できる。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態について図5ないし図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前述した各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成と同じである。また、説明の便宜上、各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成の説明に用いた図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
まず、図5を用いてサーボコントローラ(作動制御手段)40の構成を説明する。
サーボコントローラ40は、図5に示すように記憶部401および演算部402を備えている。
記憶部401は、フォーカスサーボを引き込む(フォーカスサーボ各種補償回路42を安定に動作する)のに必要な収差エラー信号の値(閾値)が予め格納してあるものである。上記閾値とは、フォーカスサーボを引き込むのに必要なゲイン比率としてのフォーカスサーボゲインの値に応じた収差エラー信号の値であり、詳細は後述する。
演算部402は、エラー信号生成回路41から送信されてくる収差エラー信号の値と記憶部401に格納されている上記閾値とを参照し、所定の手順に従って演算するものである。そして、上記演算の結果に従って、フォーカスサーボ各種補償回路42に対してアクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせるように指示を行うものである。
演算部402は、例えば、収差エラー信号の値と上記閾値との比較を行う。そして、収差エラー信号の値が上記閾値に達していた場合には、フォーカスサーボ各種補償回路42に対して、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせるように指示を行う。その結果、フォーカスジャンプが行われる。
また、演算部402は、例えば、収差エラー信号の値と上記閾値との比較を行う。そして、収差エラー信号の値が上記閾値に達していなかった場合には、フォーカスサーボ各種補償回路42に対して、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせないように指示を行う。
上記記憶部401、および演算部402は、CPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される機能ブロックである。
なお、本実施の形態においては上記閾値の情報は記憶部401に格納されているが、必ずしもこれに限定されず、例えば、上記閾値の情報を演算部402で実行するプログラムに組み込むことによって記憶部401を備えない構成とすることも可能である。
また、記録または再生する光ディスク1を切り替えるごとに、光ディスク1ごとに検出される収差エラー信号に対応した上記閾値を光ディスク1ごとに設定する構成としても構わない。
次に、複数の記録層を有する光ディスク1での層間ジャンプを行う場合のフォーカスジャンプのタイミングについて図6〜図8を用いて説明する。
ここで言うところの層間ジャンプとは、光ディスク上の記録または再生を行う記録層を移動する動作を示している。また、フォーカスジャンプとは、層間ジャンプの過程中の動作であって、集光光学系から照射される光の焦点の位置を一方の記録層から他方の記録層へと移動させる動作を示している。
図6を用いて、光ディスク1の一方の記録層(L0層)から他方の記録層(L1層)にフォーカスジャンプを行う場合の収差エラー信号の変化を模式的に示す。図6では、フォーカスがL0層に合っているときのコリメートレンズ(CL)26の位置をL0として表し、フォーカスがL1層に合っているときのCL26の位置をL1として表している。L0からL1までの距離は、例としておよそ25μmとしている。また、フォーカスがL0層またはL1層に合っているときにCL26を半導体レーザ(LD)4側から対物レンズ(OL)2側に駆動したときの収差エラー信号の変化は破線で表している。
L0層からL1層へフォーカスジャンプを行う場合を例にして説明する。図6では、CL26がL0とL1との間の中間点に位置したときにフォーカスジャンプを行うものとしている。つまり、フォーカスがL0層に合っているCL26が、L0とL1との間の中間点である12.5μmの位置に位置するときの収差エラー信号に相当する電圧を上記閾値としている。
まず、L0層にフォーカスが合っており、L0層に対する収差の補正も完了している状態では、図6に示すようにL0の時点で収差エラー信号は0になる。続いて、CL26がL0の位置からOL2側へと駆動していくにつれて、収差サーボをかけなければ収差エラー信号の絶対値が増えていく。そして、フォーカスジャンプを開始する上記閾値に達した時点でフォーカスジャンプが行われ、L1層にフォーカスが移動する。L1層にフォーカスが移動した直後には、フォーカスがL1層に完全には合っていないので、図6に示すように、収差エラー信号の絶対値が0よりも大きい状態になる。その後、フォーカスサーボおよび球面収差サーボをかけることによってL1に示すように収差エラー信号が0の状態の、L1層にフォーカスが合っていると共にL1層に対する収差の補正も完了している状態になる。
フォーカスジャンプを行ったときに実際に計測したフォーカスエラー信号、収差エラー信号、およびRF信号の変化を図7(a)〜図7(c)に示す。
図7(a)および図7(b)は、L0層からL1層へフォーカスジャンプを行ったときの図であって、図7(b)は図7(a)の一部を横に拡大したものである。図7(c)は、L1層からL0層へフォーカスジャンプを行ったときの図である。
図7(a)〜図7(c)に示すように、図6の太線で表されるフォーカスジャンプに伴う収差エラー信号の変化と同様の変化が実際に認められる。また、フォーカスジャンプは、フォーカスエラー信号において上下に1回振動した時点で終了する。その後、フォーカスサーボにより、フォーカスエラー信号が0レベルに収束する。したがって、図7(a)〜図7(c)中で1回のフォーカスジャンプに対してフォーカスエラー信号の振動が1度しか検出されていないということは、フォーカスジャンプ後にフォーカスエラー信号が素早く収束していることを意味する。
次に、サーボコントローラ40でフォーカスサーボ各種補償回路42の作動制御を行ってフォーカスジャンプを行うタイミングを決めるための上記閾値について図8を用いて詳細な説明を行う。
前述した通り、上記閾値はフォーカスサーボを引き込むのに必要な収差エラー信号の値である。また、フォーカスサーボの引き込みには、ある値以上のフォーカスサーボゲインの値が必要であることが一般的に知られている。つまり、フォーカスサーボを引き込むのに必要な収差エラー信号の値とは、フォーカスサーボの引き込みに必要なフォーカスサーボゲインの値を示す時点での収差エラー信号の値を表している。
上記閾値としてフォーカスエラー信号の値を用いていない理由は、図7(a)〜図7(c)で示したように、フォーカスエラー信号はフォーカスジャンプが行われるときにのみ生じるので、サーボコントローラ40等によってフォーカスエラー信号の経時的な変化を監視しながらフォーカスジャンプを行うタイミングを決定することができないためである。よって、本発明では、上記閾値としてフォーカスサーボの引き込みに必要なフォーカスサーボゲインの値を示す時点での収差エラー信号の値を用いている。
続いて、フォーカスサーボの引き込みに必要なフォーカスサーボゲインの値に対応する収差エラー信号の値を実際に求める方法を説明する。
まず、CL26をステッピングモータ33によって所定パルス駆動させた後に、フォーカスジャンプを行ってフォーカスエラー信号を計測する。例えば、10パルスずつ駆動させる距離を変えながらフォーカスエラー信号を計測し、パルス数とフォーカスエラー信号の値との相関関係をグラフにする。
図8では、実際に2層の光ディスクに対してCL26を0パルスから170パルスまで駆動させた場合のパルス数とフォーカスエラー信号の値の比率(ゲイン比率、フォーカスサーボゲイン)との相関関係を、上述の方法によってグラフに示している。図8では、各パルス数でのゲイン比率を順番にプロットすることによって、折れ線グラフを作成している。また、図8は、CL最適位置でのフォーカスゲインに対する、L0層にフォーカスが合っている場合のゲイン比率の変化をグラフに示したものである。また、CL最適位置でのフォーカスゲインに対する、L1層にフォーカスが合っている場合のゲイン比率の変化も同時にグラフに示している。
図8の縦軸は、CL最適位置でのフォーカスゲインに対する対数であるので、縦軸のゲイン比率が0dBを示す時点がCL最適位置になる。そして、CL最適位置はL0層とL1層とのそれぞれにフォーカスが合っているときのCL26の位置である、よって、ゲイン比率が0dBを示す位置が、L0層とL1層とのそれぞれにフォーカスが合っているときのCL26の位置となる。図8では、パルス数が約50にある点が、L0層に対するCL最適位置となっており、パルス数が約120にある点が、L1層に対するCL最適位置となっている。
L0層からL1層へのフォーカスサーボの引き込みを行うことが可能なゲイン比率の値は、L1層に対するゲイン比率とL0層に対するゲイン比率との差が約−10dB以上の場合の値である。よって、図8の場合では、パルス数が約65から約105の間の範囲にあるときにフォーカスサーボの引き込みを行うことが可能であるので、パルス数が約65から約105の間の範囲にあるときの収差エラー信号の値を、フォーカスサーボの引き込みを行うことが可能な収差エラー信号の値とすることができる。従って、収差エラー信号の値によってフォーカスサーボの引き込みを行うことのできるタイミングを決定することが可能になる。また、フォーカスジャンプをより安定に行うためにはL0層に対するゲイン比率とL1層に対するゲイン比率とが等しい点(中間点)でフォーカスサーボの引き込みを行うことが好ましい。図8の場合では、パルス数が約80にある点が中間点となっている。
図6で示した例では、L0層に対するCL最適位置とL1層に対するCL最適位置との中間の位置にある時点での収差エラー信号の値を上記閾値として、フォーカスジャンプを行っている。よって、図6で示した例では、図8の場合のパルス数が約85の位置でフォーカスジャンプを行っていることになる。図8の場合では、パルス数が約65から約105の間の範囲にあるときにフォーカスサーボの引き込みを行うことが可能であるので、パルス数が約85の位置にある図6のフォーカスジャンプでは、フォーカスサーボの引き込みを行うことができている。
また、L0層に対するCL最適位置とL1層に対するCL最適位置との中間の位置にある時点でのパルス数約85と、フォーカスジャンプをより安定に行うことができるL0層に対するゲイン比率とL1層に対するゲイン比率とが等しい点(中間点)でのパルス数約80とは非常に近似しているので、L0層に対するCL最適位置とL1層に対するCL最適位置との中間の位置にある時点での収差エラー信号の値を、フォーカスジャンプをより安定に行うことができる上記閾値としてもよい。
図8で示すように、L0層からL1層へのフォーカスジャンプが行われる場合には、L1層に対する収差の補正が完了する位置でもあるL1層に対するCL最適位置にCL26が達するよりもおよそ55パルス前の時点から、フォーカスサーボの引き込みを行うことが可能になっている。
本発明では、L1層に対するCL最適位置にCL26が達するよりもおよそ55パルス前の時点を上記閾値に含むことになるので、本発明によれば、補正が完了するよりもおよそ55パルス前の時点でフォーカスジャンプを行うことが実際に可能になっている。つまり、補正を完了してからフォーカスジャンプを行っていた従来に比べておよそ55パルス前の時点でフォーカスジャンプを行うことが実際に可能になっている。
続いて、本実施の形態の光ディスク記録再生装置30における動作フローを図9および図10に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、層間ジャンプ時にフォーカスジャンプを行う記録層間の距離に該当するパルス数だけCL26を駆動する場合の、光ディスク記録再生装置30における動作フローを図9に示す。
最初に、光ディスク記録再生装置30での層間ジャンプを開始する。上記層間ジャンプが開始するとステップS401では、スレッドサーボ、トラッキングサーボおよび収差サーボがOFFされる。
続いて、ステップS402では、サーボ用DSP16によってフォーカスジャンプをL0層からL1層に向かって行うのか、L1層からL0層に向かって行うのかが決定される。そして、フォーカスジャンプをL0層からL1層に向かって行うことが決定された場合(ステップS402でL0→L1)には、ステップS403に移り、L0層からL1層までの距離に該当するパルス数だけの、OL2側へのCL26の駆動が開始される。そして、その後ステップS404に移る。
また、フォーカスジャンプをL1層からL0層に向かって行うことが決定された場合(ステップS402でL1→L0)には、ステップS411に移り、L1層からL0層までの距離に該当するパルス数だけの、LD4側へのCL26の駆動が開始される。そして、その後ステップS412に移る。
続いて、ステップS404では、サーボコントローラ40内の演算部402によって収差エラー信号の値がフォーカスジャンプ開始閾値電圧(閾値)に達したかどうかを判定する。そして、収差エラー信号の値が閾値に達していた場合(ステップS404でYES)には、ステップS405に移る。一方、収差エラー信号の値が閾値に達していなかった場合(ステップS404でNO)には、ステップS404のフローを再度行う。
また、ステップS412でも、サーボコントローラ40内の演算部402によって収差エラー信号の値がフォーカスジャンプ開始閾値電圧(閾値)に達したかどうかを判定する。そして、収差エラー信号の値が閾値に達していた場合(ステップS412でYES)にはステップS405に移る。一方、収差エラー信号の値が閾値に達していなかった場合(ステップS412でNO)には、ステップS412のフローを再度行う。
ステップS405では、目的の記録層へフォーカスジャンプが行われる。
続いて、ステップS406では、サーボ用DSP16によってフォーカスジャンプが完了したかどうかの確認が行われる。そして、フォーカスジャンプが終了していた場合(ステップS406でYES)には、ステップS407に移る。一方、フォーカスジャンプが終了していなっかった場合(ステップS406でNO)には、ステップS406のフローを再度行う。
ステップS407では、サーボ用DSP16によってCL26がL0からL1までの距離に該当するパルス数(指定パルス)だけの駆動を終了したかどうかの確認が行われる。そして、指定パルスの駆動が終了していた場合(ステップS407でYES)には、ステップS408に移る。一方、指定パルスの駆動が終了していなかった場合(ステップS407でNO)には、ステップS407のフローを再度行う。
ステップS408では、収差サーボがONにされ、ステップS409に移る。
ステップS409では、サーボ用DSP16によって、収差エラー信号の値が0に達した(収差エラーがゼロクロスした)かどうかの確認が行われる。そして、収差エラー信号の値が0に達していた場合(ステップS409でYES)には、ステップS410に移る。一方、収差エラー信号の値が0に達していなかった場合(ステップS409でNO)には、ステップS409のフローを再度行う。
ステップS410では、トラッキングサーボおよびスレッドサーボがONされる。そして、光ディスク記録再生装置30での層間ジャンプが終了する。
上記の構成によれば、パルス数によってCL26の駆動する距離の調整を行うことができるので、CL26をフォーカスジャンプ後に収差がおおまかに合うような位置まで予め駆動することによって、フォーカスジャンプ後の収差サーボにかかる時間等を短縮することが可能になる。
次に、層間ジャンプ時に、予め駆動する距離を設定せずにCL26を駆動する場合の、光ディスク記録再生装置30における動作フローを図10に示す。
最初に、光ディスク記録再生装置30での層間移動を開始する。上記層間ジャンプが開始するとステップS421では、スレッドサーボ、トラッキングサーボおよび収差サーボがOFFされる。
続いて、ステップS422では、サーボ用DSP16によってフォーカスジャンプをL0層からL1層に向かって行うのか、L1層からL0層に向かって行うのかが決定される。そして、フォーカスジャンプをL0層からL1層に向かって行うことが決定された場合(ステップS422でL0→L1)には、ステップS423に移り、OL2側へのCL26の駆動が開始される。そして、その後ステップS424に移る。
また、フォーカスジャンプをL1層からL0層に向かって行うことが決定された場合(ステップS422でL1→L0)には、ステップS431に移り、LD4側へのCL26の駆動が開始される。そして、その後ステップS432に移る。
続いて、ステップS424では、サーボコントローラ40内の演算部402によって収差エラー信号の値がフォーカスジャンプ開始閾値電圧(閾値)に達したかどうかを判定する。そして、収差エラー信号の値が閾値に達していた場合(ステップS424でYES)には、ステップS425に移る。一方、収差エラー信号の値が閾値に達していなかった場合(ステップS424でNO)には、ステップS424のフローを再度行う。
また、ステップS432でも、サーボコントローラ40内の演算部402によって収差エラー信号の値がフォーカスジャンプ開始閾値電圧(閾値)に達したかどうかを判定する。そして、収差エラー信号の値が閾値に達していた場合(ステップS432でYES)にはステップS425に移る。一方、収差エラー信号の値が閾値に達していなかった場合(ステップS432でNO)には、ステップS432のフローを再度行う。
ステップS425では、CL26の駆動が停止される。そして、ステップS426で目的の記録層へフォーカスジャンプが行われる。
続いて、ステップS427では、サーボ用DSP16によってフォーカスジャンプが完了したかどうかの確認が行われる。そして、フォーカスジャンプが終了していた場合(ステップS427でYES)には、ステップS428に移る。一方、フォーカスジャンプが終了していなっかった場合(ステップS427でNO)には、ステップS427のフローを再度行う。
ステップS428では、収差サーボがONにされ、ステップS429に移る。
ステップS429では、サーボ用DSP16によって、収差エラー信号の値が0に達した(収差エラーがゼロクロスした)かどうかの確認が行われる。そして、収差エラー信号の値が0に達していた場合(ステップS429でYES)には、ステップS430に移る。一方、収差エラー信号の値が0に達していなかった場合(ステップS429でNO)には、ステップS429のフローを再度行う。
ステップS430では、トラッキングサーボおよびスレッドサーボがONされる。そして、光ディスク記録再生装置30での層間ジャンプが終了する。
上記の構成によれば、DCモーターなどといった、パルス数で位置検出を行うことのない駆動手段を光ディスク記録再生装置30に用いることが可能になる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、収差サーボをONにした後に、収差エラー信号の値が0に達したかどうかの確認を行う構成になっているが、特にこれに限定するものではない。例えば、収差エラー信号が0に達していなくても、収差エラー信号の値がトラッキングサーボおよびスレッドサーボの引き込みを可能な許容誤差範囲に達したかどうかの確認を行う構成としてもよい。
また、本実施の形態では、収差サーボをOFFしてからフォーカスジャンプを行い、フォーカスジャンプ終了後に収差サーボをONにする構成になっているが、特にこれに限定するものではなく、収差サーボをONにしたままフォーカスジャンプを行うことも可能である。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前述した各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置の構成、または前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、各実施形態に共通する光ディスク記録再生装置、または前記の実施の形態1の構成の説明に用いた図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図11はサーボコントローラ440の機能ブロック図である。まず、サーボコントローラ440の構成を説明する。サーボコントローラ440は、図11に示すように記憶部401、演算部412、トータル信号取得部(補正信号取得手段)413を備えている。
演算部(球面収差補正手段、閾値補正手段)412は、エラー信号生成回路41から送信されてくる収差エラー信号、記憶部401に格納されている前記閾値の情報、およびトータル信号取得部413から送信されてくるトータル信号を参照し、所定の手順に従って演算するものである。そして、上記演算の結果に従ってフォーカスサーボ各種補償回路42に対してアクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせるように指示を行うものである。
トータル信号取得部413は、光ディスク1からの反射光の総量を示すトータル信号を信号処理回路17から取得し、演算部412に送信するものである。
次に、光ディスク1を切り替えながら光ディスク記録再生装置30で記録再生を行う場合の演算部412での処理について説明する。また、光ディスク1a、光ディスク1bの順番でそれぞれ複数の記録層の記録再生を行うものとする。
光ディスク1aの記録再生を行う場合には、演算部412はトータル信号取得部413で取得した光ディスク1aのトータル信号に従って収差エラー信号の値の補正を行う。そして、補正された収差エラー信号と上記閾値との比較を行う。続いて、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していた場合には、フォーカスサーボ各種補償回路42に対して、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせるように指示を行う。その結果、フォーカスジャンプが行われる。
また、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していなかった場合には、フォーカスサーボ各種補償回路42に対して、アクチュエータドライバ13を駆動させず、フォーカスジャンプを行わせないように指示を行う。
光ディスク1aの記録再生に続いて光ディスク1bの記録再生を行う場合には、演算部412はトータル信号取得部413で取得した光ディスク1bのトータル信号に従って収差エラー信号の値の補正を行う。そして、補正された収差エラー信号と上記閾値との比較を行う。続いて、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していた場合には、フォーカスサーボ各種補償回路42に対して、アクチュエータドライバ13を駆動させてフォーカスジャンプを行わせるように指示を行う。その結果、フォーカスジャンプが行われる。
また、補正された収差エラー信号の値が上記閾値に達していなかった場合には、フォーカスサーボ各種補償回路42に対して、アクチュエータドライバ13を駆動させず、フォーカスジャンプを行わせないように指示を行う。このように、記録再生する光ディスク1を切り替えるごとに、トータル信号取得部413で取得したトータル信号に基づいて収差エラー信号を補正する。
上記記憶部401、演算部412およびトータル信号取得部413は、CPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される機能ブロックである。
なお、本実施の形態においては上記閾値の情報は記憶部401に格納されているが、必ずしもこれに限定されず、例えば、演算部412で実行するプログラムに組み込むことによって上記閾値の情報を記憶部401に格納しない構成とすることも可能である。
また、本実施の形態においてはトータル信号取得部413で取得したトータル信号に基づいて演算部412で収差エラー信号を補正する構成になっていたが、必ずしもこれに限定されず、例えばトータル信号取得部413で取得したトータル信号に基づいて演算部412で上記閾値を補正する構成であっても構わない。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、球面収差を調整する調整機構としてコリメートレンズ26を利用しているが、ソリッドイマージョンレンズ、液晶素子、ビームエキスパンダレンズなどの任意の調整機構を利用することができる。
最後に、サーボ用DSP16の各ブロック、特に記憶部401、演算部402、演算部412およびトータル信号取得部413は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、サーボ用DSP16は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるサーボ用DSP16の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記サーボ用DSP16に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、サーボ用DSP16を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。