JP2007205075A - コンクリート構築物の壁構造及びスリット構造部の固定装置 - Google Patents

コンクリート構築物の壁構造及びスリット構造部の固定装置 Download PDF

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【課題】本発明は、スリット構造部のスリット部材が確実に所定の位置に固定された壁構造とその壁構造におけるスリット構造部の固定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】コンクリート構築物の柱11と腰壁等の壁部12との間にスリット部材14を有するスリット構造部Sを縦に設けるに際して、前記スリット構造部Sの下端部を固定装置Kで支持する。この固定装置は、既に形成されている梁面18aに取り付けられる取付片1と、該取付片1から立ち上がっていて少なくとも前記スリット部材14の下端部14aを挟持保持する対向的な支持片2とからなり、前記取付片1を前記梁面18aに固定すると共に前記支持片2で前記スリット部材14を挟持保持することにより、コンクリート打設時のスリット部材14の位置ずれや破損を防止するようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、コンクリート構築物の壁構造とその壁構造におけるスリット構造部の固定装置に関するものである。
コンクリート構築物においては、柱と腰壁や袖壁等の壁部を一体化した場合には地震等の振動の際に壁部が柱の変形性を阻害することとなって却って柱の剛性が弱くなることが知られており、前記のような欠点を防止する手段として、従来より、コンクリート打設時に柱と壁部との間に低強度接合部(破壊予定部)を形成しておいて強度の振動の際に該低強度接合部が破壊されるのを予定するように構築した構築物が知られている。
前記のような低強度接合部乃至は破壊予定部の形成に際しては、図4に示すように、現場打ちされる柱11と腰壁、袖壁等の壁部12との接合部や接合部の近傍に発泡樹脂製等の柔軟材からなる長板状のスリット部材14を目地部材13,13で保持した形態で縦に配置してスリット構造部Sを設けるのが一般的である。
従来より、前記スリット構造部Sの構成部材や各部材の位置決め固定、或いはコンクリート打設時にスリット部材14を横方向から支承しておくための支承部材15等に関しては種々のものが提案され使用されており、我々も先にいくつかの部材等を提案した。
実公昭63−20784号公報 実公平1−42601号公報 実公平2−34366号公報 実用新案登録第2514088号公報
従来の前記のようなスリット構造部Sやその構成部材についての工夫は、例えば、特許文献2や特許文献3に示すように、スリット部材14を横方向から支持したりするものであるが、スリット構造部Sの下端部、特にスリット部材14の下端部を横方向から支持させようとする場合においては、鉄筋や枠板間に配置されるセパレータの位置関係又は他の障害物の存在等により、支承部材15をスリット構造部Sの最下端部に確実に配置できない場合が多く、支承位置が高い位置になってしまい、前記スリット部材14の下端部を確実に支持することができなかった。
腰壁や袖壁等の壁部12は柱11に比べて厚みが小さく、高さもさほど高くないが、柱分は太く、高所から通しでコンクリート打ちされるものである。一方、実際の施工に際しては、工程的には、柱分が先に打設されるから、高所から柱の型枠内に多量のコンクリートを流し込むと前記スリット部材14の側面に多大の側圧がかかり、特にスリット部材14の下端部に荷重が集中することから、前記スリット部材14が押しやられて位置ずれしたり、スリット部材14が比較的脆弱な柔軟材であることもあって該スリット部材14が破壊されてしまう事態が発生していた。
本発明は、前記のような従来の欠点を解消し、スリット構造部のスリット部材が確実に所定の位置に固定された壁構造とその壁構造におけるスリット構造部の固定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の壁構造は、コンクリート構築物の柱と腰壁等の壁部との間に柔軟材からなるスリット部材を有するスリット構造部を縦に設けたコンクリート構築物の壁構造において、前記スリット構造部の下端部には該スリット構造部の下端部を固定する固定装置が配置されており、該固定装置は、梁面に取り付けられた取付片と、該取付片から立ち上がっていて少なくとも前記スリット部材の下端部を挟持保持する対向的な支持片とを備えていて、前記スリット部材が所定の位置に確保されていることを特徴とする。
また、本発明のスリット構造部の固定装置は、コンクリート構築物の柱と腰壁等の壁部との間にスリット部材を有するスリット構造部を縦に設けるに際して、前記スリット構造部の下端部を支持固定する固定装置であって、既に形成されている梁面に取り付けられる取付片と、該取付片から立ち上がっていて少なくとも前記スリット部材の下端部を挟持保持する対向的な支持片とからなり、前記取付片を前記梁面に固定すると共に前記支持片で前記スリット部材を挟持保持することにより、コンクリート打設時のスリット部材の破損を防止するようにしたことを特徴とする。
この場合、前記支持片はスリット部材を保持する両端の目地部材の下端部をも挟持保持するようにすることもできるが、少なくとも前記スリット部材の下端部を挟持保持する構成とする。また、前記取付片と支持片を金属板材で構成し、平板状の取付片と略U字状に形成された支持片とを加締め止めするようにすれば制作が容易で低コストの固定装置を提供することができる。
本発明のコンクリート構築物の壁構造によれば、スリット構造部の下端部には該スリット構造部の下端部、特にスリット部材の下端部を固定する固定装置が配置されており、該固定装置は、梁面に取り付けられた取付片と、該取付片から立ち上がっていて少なくとも前記スリット部材の下端部を挟持保持する対向的な支持片とを備えていて、前記スリット部材が確実に所定位置に位置決めされており、スリット部材が位置ずれしたり破損したりすることなく、確実なスリット構造部を備えた壁構造となっている。
本発明のスリット構造部の固定装置によれば、既に形成されている梁面に取付片をコンクリート釘等により取り付けて固定し、両側を目地部材で保持させたスリット部材を降ろして該スリット部材の下端部を支持片で挟持保持させて固定すれば、柱の枠体内に上方からコンクリートを流し込んでも前記スリット部材の下端部が外方に押しやられたり荷重を受けて損壊したりすることはない。これにより、腰壁や袖壁等の壁部にスリット構造部を確実に形成することができる。
固定装置は、厚手のブリキ板等の金属板材により、スリット構造部の少なくともスリット部材の横幅に対応する長さで適宜な幅の取付片を成形すると共に該取付片の上面から立ち上がらせるような断面略U字状の支持片を前記金属板材から深絞り等により形成し、この支持片を前記取付片に加締め止めして作製する。
壁部にスリット構造部を形成するに際しては、通常、対向する壁部形成用の枠板のそれぞれの内側面に角柱状のガイド枠材が縦に取り付けられ、スリット部材の両端の目地部材に形成されている嵌合溝を前記ガイド枠材に嵌合し、この状態で前記目地部材及びスリット部材を降ろして位置決めするが、これに先立って、前記スリット部材の下方に前記固定装置を配置する。この固定装置の配置に際しては既に形成されている梁の上面に前記取付片をコンクリート釘等により打ち付けて固定し、この状態で前記目地部材及びスリット部材を降ろして前記スリット部材の下端部を支持片間に挿入して保持させる。前記スリット部材における柱と反対側の面は従来から提案され使用されている前述したような支承部材で支持される。
コンクリート施工に際し、柱の枠体内に上方からコンクリート打ちされてコンクリートの荷重がスリット部材の下端部にかかっても、本来的に不安定なスリット部材の下端部が固定装置で固定されているため該スリット部材が外方向に押しやられたり損壊したりするおそれはない。
このようにして形成された壁部のスリット構造部はスリット部材が所定の位置に確実に位置決めされており、正規のスリット構造部を備えた壁部となる。
図1は腰壁や袖壁等の壁部に形成されるスリット構造部の構成部材と該スリット構造部の下端部に配置される固定装置とを示す斜視図であり、図2はスリット部材が固定装置で固定されている状態を示す壁部の縦断面図、図3はスリット構造部Sの施工過程においてスリット部材及び目地部材を枠板に固定する例を示す横断面平面図である。
図4に基づいて既に説明したスリット構造部Sは、図1に示すような発泡樹脂等からなる長板状のスリット部材14をその両側部の目地部材13で保持させた形態で壁部に縦に配置して形成するものである。前記目地部材13は一般に合成樹脂材で押出成形され、左右対称となるように同一形状をなしていて、内側部には前記スリット部材14の端縁部を挟持保持する挟持片13aを対向的に設けて断面略コ字状に形成し、該挟持片13aの側面には雨水の浸入を阻止する水返し片13bが突成されている。
前記目地部材13の外側部の形状は種々のものがあり、断面M字形に形成して弾性をもたせたものや翼片を設けて該翼片を壁部形成用枠板16に直接打ち付けるように形成したもの等がある。図に示す実施例では前記挟持片13aと略平行な突条片13cを突成することにより溝部13dを形成してあり、図3に示すように、壁部形成用の枠板16に縦設したガイド枠材17に前記溝部13dを嵌合して位置決め固定するようにした。
前記スリット構造部Sの下端部を固定する固定装置Kは、既に形成されている梁(図2)18の上面18aに取り付けられる取付片1と、該取付片1から立ち上がっていて少なくとも前記スリット部材14の下端部14aを挟持保持する対向的な支持片2とで構成され、前記取付片1を前記梁面18aに固定すると共に前記支持片2で前記スリット部材14を挟持保持するようにしたものである。
前記支持片2はスリット部材14を保持する両側部の目地部材13の下端部をも挟持保持するようにすることもできるが、少なくとも前記スリット部材14の下端部14aを挟持保持する構成とする。また、厚手の金属板材で平板状の前記取付片1と略U字状に形成された支持片2を形成して両者をスポット熔接したり、両者を加締め止めするようにすれば制作が容易で低コストの固定装置を提供することができる。
実施例では、厚手のブリキ板から前記スリット部材14の横幅に対応する長さの取付片1を成形すると共に前記ブリキ板から断面略U字状の支持片2を深絞りにより形成し、この支持片2の底面2aの所定箇所に適宜間隔をおいて複数の挿通孔5を形成すると共に該挿通孔5に前記取付片1に形成した切り起こし爪3を挿通して加締め止めした。このように加締め止めした場合には製作コストをより低廉にすることができる。
前記取付片1の梁面18aへの取り付けは、可能であれば接着剤による接着固定でもよいが、実施例では取付片1の両サイドに適宜数の釘孔4を形成しておいてコンクリート釘6で釘打ちするようにした。また、前記支持片2の先端部2bは外方に反らせてスペース部材14の挿入を容易にしている。
図2は柱11寄りの壁部12aにだけコンクリートが流れ込んでいる状態を示しており、図2及び図3に示すように、柱11にコンクリートが充填されると柱寄りの壁部12aの枠板16,16間に流れ込む。このとき、スリット部材14はその下端部14aが固定装置Kで固定されているため、前記スリット部材14が柱11と反対側の壁部12b方向(図の右方向)に位置ずれしたり損壊することはない。
本発明は、スペース部材が配置されるスリット構造部であれば、他の構成部材、例えば目地部材の形態やスリット部材の側面を支承する支承構造等がどのような形態であっても適用することができる。
壁部に形成されるスリット構造部の構成部材と該スリット構造部の下端部に配置される固定装置とを示す斜視図である。 スリット部材が固定装置で固定されている状態を示す壁部の縦断面図である。 スリット構造部の施工過程においてスリット部材及び目地部材を枠板に固定する例を示す断面平面図である。 一般的なスリット構造部を示す横断面平面図である。
符号の説明
S スリット構造
K 固定装置
1 取付片
2 支持片
3 切り起こし爪
4 釘孔
5 挿通孔
6 コンクリート釘
11 柱
12 壁部
13 目地部材
14 スリット部材
15 釘孔
16 コンクリート釘

Claims (3)

  1. コンクリート構築物の柱と腰壁等の壁部との間に柔軟材からなるスリット部材を有するスリット構造部を縦に設けたコンクリート構築物の壁構造において、前記スリット構造部の下端部には該スリット構造部の下端部を固定する固定装置が配置されており、該固定装置は、梁面に取り付けられた取付片と、該取付片から立ち上がっていて少なくとも前記スリット部材の下端部を挟持保持する対向的な支持片とを備えていて、前記スリット部材が所定の位置に確保されていることを特徴とする壁構造。
  2. コンクリート構築物の柱と腰壁等の壁部との間にスリット部材を有するスリット構造部を縦に設けるに際して、前記スリット構造部の下端部を支持固定する固定装置であって、既に形成されている梁面に取り付けられる取付片と、該取付片から立ち上がっていて少なくとも前記スリット部材の下端部を挟持保持する対向的な支持片とからなり、前記取付片を前記梁面に固定すると共に前記支持片で前記スリット部材を挟持保持することにより、コンクリート打設時のスリット部材の位置ずれや破損を防止するようにしたことを特徴とするスリット構造部の固定装置。
  3. 取付片と支持片は金属板材からなり、平板状の取付片と略U字状に形成された支持片とが加締め止めされていることを特徴とする請求項2に記載のスリット構造部の固定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014167204A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Kajima Corp 目地材保持用治具、コンクリート打設方法

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