JP2007204004A - 車両の減速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関への燃料供給の停止が禁止された場合に、制動力の低下を抑制する。
【解決手段】HV_ECUは、回生制御が制限され(S108にてYES)フューエルカットを許可しない場合(S116にNO)にフューエルカットを禁止するステップ(S120)と、フューエルカットを実行する場合のエンジンブレーキEB(1)とフューエルカットを禁止する場合のエンジンブレーキEB(2)とをエンジン回転数NEにより算出するステップ(S124)と、エンジンブレーキEB(1)からエンジンブレーキEB(2)を減算した値を油圧ブレーキBとして算出するステップ(S126)と、制限された回生ブレーキRB(2)とエンジンブレーキEB(2)と油圧ブレーキBとで制動するステップ(S128)とを含むプログラムを実行する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の減速制御装置に関し、特に、動力源として内燃機関と電動機とを備える車両の減速制御装置に関する。
エンジンと電動機とを動力源とするハイブリッド車両には、発電機の機能を兼ね備えた電動機(モータジェネレータ)を用いたものがある。このようなハイブリッド車両では、減速時や制動時に駆動輪によってモータジェネレータが回転される。このとき、モータジェネレータが発電機として作動させられ、車両の運動エネルギの一部が電気エネルギに変換されてバッテリに回収(回生)される。この回生に伴い駆動輪に制動力が作用し、車両が減速される。
ところで、エンジンの出力を必要としない車両の減速時等に、そのエンジンへの燃料供給を停止(フューエルカット)することにより、不要な燃料消費を抑制して車両の走行燃費を改善する技術がある。このような燃料供給の停止が、所定の条件が満たされた場合に禁止される場合がある。たとえば、排気系に設けられた排気ガス浄化用の三元触媒の温度が高い状態において、燃料供給の停止が行なわれて触媒周辺が酸素過剰の雰囲気(リーン雰囲気)になると、触媒が早期に劣化することが知られている。そのため、三元触媒の温度が高い場合、燃料供給の停止が禁止される。一方、燃料供給の停止が禁止された場合、燃焼が継続されるため、燃料の供給が停止される場合と比べてエンジンのフリクショントルク(エンジンの回転に伴う摩擦抵抗)による制動力が低下する。このように低下する制動力を他の制動力で補って、車両の減速性能を向上させる必要がある。
特開2004−278317号公報(特許文献1)は、触媒劣化を抑制して排気エミッションを低減しつつ減速性能向上を図ることができる車両の減速制御技術を開示する。
特許文献1に開示された減速制御装置は、車両に搭載され、排気浄化触媒により排気を浄化するようにしたエンジンと、車両の車軸に対して回生制動可能に連結された回生制動部と、車両の減速を検出する減速検出部と、減速検出部による減速の検出に応じエンジンへの燃料供給を停止する燃料供給停止部とを備える車両の減速制御装置において、減速検出部による減速の検出に応じ、燃料供給停止部による燃料供給停止に先立ち回生制動部にて車両を減速させる減速制御部をさらに備えている。
この公報に開示された減速制御装置によると、車両の減速が検出された場合であっても、車両の減速の検出から所定の期間は燃料が供給され続けて燃焼が行なわれる。燃焼が継続される期間はエンジンの出力軸が回転されるため、エンジンのみによって車両を減速させて所望の減速度を得ることが困難である。そこで、燃料が供給され続ける期間において、回生制動部が車軸の回転によって駆動される。このとき、回生制動部が発電機として作動させられ、車両の運動エネルギの一部が電気エネルギに変換されて回収される。この発電に伴い発生する回生制動力によって、減速度の不足分が補われる。その結果、車両を所望の減速度で減速させることが可能となる。そして、上記の期間が経過すると、エンジンへの燃料供給が停止され、燃料消費が節減され燃料消費率が向上する。この燃料供給の停止に伴いエンジンの出力軸が車軸によって回転され、エンジンのフリクショントルクによる制動力(エンジンブレーキ)が発生するため、車両が減速状態となる。なお、燃料の供給が再開される場合には、排気浄化触媒に貯蔵された酸素の量が減速前よりも少なくなっているため、減速の検出直後から燃料供給を停止する場合に比べ、窒素酸化物が良好に還元されて浄化される。このように、排気エミッションの低減および減速性能向上の両立を図ることができる。
特開2004−278317号公報
しかしながら、特許文献1に開示された減速制御装置において、たとえば、回生制動部で発生する回生電力を蓄電するバッテリの充電量が予め定められた許容値を超えた場合、バッテリに蓄電される回生電力を制限する必要がある。そのため、燃料の供給を継続することによるエンジンのフリクショントルクに基づく制動力の低下を、回生制動力によって補なうことができない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関への燃料供給の停止が禁止された場合に、制動力の低下を抑制することができる車両の減速制御装置を提供することである。
第1の発明に係る車両の減速制御装置は、燃料により駆動される内燃機関と蓄電機構により駆動される電動機とを備えた車両の減速制御装置であって、車両の加速が要求されているか否かを検知するための検知手段と、検知手段により車両の加速が要求されていないと検知された場合に、燃料の供給を停止するための停止手段と、内燃機関による機関制動力を発生させるための第1の発生手段と、停止手段による燃料の供給の停止を禁止するための禁止手段と、禁止手段により燃料の供給の停止が禁止された場合に、車両の車輪に作用する摩擦制動力を発生させるための第2の発生手段とを含む。
第1の発明によると、車両の加速が要求されていないと検知された場合(たとえばアクセルペダルの踏込量が予め定められた値より小さい場合)、燃料の供給が停止され、燃費の向上が図られる。燃料の供給が停止されると、内燃機関による機関制動力(エンジンブレーキ)が発生する。ここで、たとえば、内燃機関からの排気ガスの浄化に三元触媒が用いられる場合、触媒温度が高い状態であって、燃料供給の停止によりリーン雰囲気となると、三元触媒は早期に劣化する。そこで、たとえば、三元触媒の温度が高い状態である場合に、燃料の供給の停止が禁止される。これにより、内燃機関の燃焼が継続され、機関制動力が燃料供給が停止された場合と比べて低下する。そこで、燃料の供給の停止が禁止された場合に、第2の発生手段が、車両の車輪に作用する摩擦制動力を発生させる。そのため、燃料の供給の停止が禁止された場合に低下した機関制動力を、摩擦制動力で補なうことができる。その結果、内燃機関への燃料供給の停止が禁止された場合に、制動力の低下を抑制することができる車両の減速制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る車両の減速制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、第2の発生手段は、内燃機関の回転数に応じた摩擦制動力を発生させるための手段を含む。
第2の発明によると、燃料供給の停止が禁止された場合に低下した機関制動力が、内燃機関の回転数に応じた摩擦制動力で補われる。低下した機関制動力は、燃料の供給が停止された場合の機関制動力と燃料の供給の停止が禁止された場合の機関制動力との差である。変速機の変速比が同じである場合、機関制動力は、内燃機関の回転数に応じた値であるため、低下した機関制動力も内燃機関の回転数に応じた値と言える。そのため、内燃機関の回転数に応じた摩擦制動力を発生させることで、低下した機関制動力を、低下した機関制動力と同じ大きさの摩擦制動力で補なうことができる。
第3の発明に係る車両の減速制御装置においては、第1または第2の発明の構成に加えて、第2の発生手段は、燃料の供給が停止された場合の機関制動力と燃料の供給の停止が禁止された場合の機関制動力との差に応じた摩擦制動力を発生させるための手段を含む。
第3の発明によると、摩擦制動力が、燃料の供給が停止された場合の機関制動力と燃料の供給の停止が禁止された場合の機関制動力との差に応じた値となる。これにより、燃料の供給の停止が禁止された場合に低下する機関制動力と同じ大きさの摩擦制動力が発生するため、燃料供給の停止が禁止されたか否かに関わらず、同じ大きさの制動力を得ることができる。
第4の発明に係る車両の減速制御装置においては、第1〜第3のいずれかの発明の構成に加えて、車両は、内燃機関からの排気を浄化する触媒をさらに備え、禁止手段は、触媒の温度に基づいて、停止手段による燃料の供給の停止を禁止するための手段を含む。
第4の発明によると、車両は、内燃機関からの排気を浄化する触媒(たとえば三元触媒)をさらに備える。触媒は、高温状態において、燃料の供給を停止して酸素過剰の雰囲気(リーン雰囲気)になると劣化する場合がある。たとえば、三元触媒は、高温状態において、燃料の供給を停止して酸素過剰の雰囲気になると、触媒内の白金が酸化反応を起こして劣化する。そこで、触媒の温度に基づいて(たとえば、触媒の温度が予め定められた温度より高い場合)、燃料の供給の停止が禁止される。これにより、触媒の劣化を抑制することができる。燃料の供給の停止が禁止されたことにより低下した機関制動力が、摩擦制動力で補われる。そのため、燃料供給の停止を禁止することにより、触媒の劣化を抑制しつつ、制動力の低下を抑制することができる。
第5の発明に係る車両の減速制御装置においては、第1〜第4のいずれかの発明の構成に加えて、車両は、車両を駆動し、回生制動時に発電する電動機と、発電された電力を蓄電する蓄電機構とをさらに備える。減速制御装置は、検知手段により燃料の供給が要求されていないと検知された場合に、電動機による回生制動力を発生させる手段と、蓄電機構の状態に基づいて、回生制動力の発生を制限するための制限手段とをさらに含み、第1の発生手段は、制限手段により回生制動力の発生が制限された場合に、機関制動力を発生させるための手段を含み、第2の発生手段は、制限手段により回生制動力の発生が制限された場合であって、かつ禁止手段により燃料の供給の停止が禁止された場合に、摩擦制動力を発生させるための手段を含む。
第5の発明によると、検知手段により車両の加速が要求されていないと検知された場合に、電動機による回生制動力が発生する。回生制動時に電動機により発電された電力(回生電力)は蓄電機構に蓄電される。ここで、たとえば、回生電力を蓄電する蓄電機構の充電量が予め定められた許容値を超えた場合、蓄電機構に蓄電される回生電力を制限する必要がある。そこで、蓄電機構の状態に基づいて(たとえば、蓄電機構の充電量が予め定められた許容値を超えた場合)、回生制動力の発生が制限される。回生制動力の発生が制限されると、機関制動力が発生する。これにより、制動力の低下を抑制することができる。このような場合において、燃料の供給の停止が禁止されると、機関制動力が低下する一方、摩擦制動力が発生する。そのため、回生制動力の発生が制限された場合において、燃料の供給の停止が禁止された場合に低下した機関制動力を、摩擦制動力で補なうことができる。
第6の発明に係る車両の減速制御装置においては、第1〜第4のいずれかの発明の構成に加えて、車両は、内燃機関の出力を出力部材と第1の電動機とに分配する分配機構と、出力部材と車両の駆動輪との間に駆動力を加える、回生制動時に発電する第2の電動機と、発電された電力を蓄電する蓄電機構とを備えたハイブリッド車両である。減速制御装置は、検知手段により燃料の供給が要求されていないと検知された場合に、第2の電動機による回生制動力を発生させる手段と、蓄電機構の状態に基づいて、回生制動力の発生を制限するための制限手段とをさらに含み、第1の発生手段は、制限手段により回生制動力の発生が制限された場合に、機関制動力を発生させるための手段を含み、第2の発生手段は、制限手段により回生制動力の発生が制限された場合であって、かつ禁止手段により燃料の供給の停止が禁止された場合に、摩擦制動力を発生させるための手段を含む。
第6の発明によると、車両は、内燃機関の出力を出力部材と第1の電動機とに分配する分配機構と、出力部材と車両の駆動輪との間に駆動力を加える、回生制動時に発電する第2の電動機と、発電された電力を蓄電する蓄電機構とを備えたハイブリッド車両である。このようなハイブリッド車両において、検知手段により車両の加速が要求されていないと検知された場合に、第2の電動機によるによる回生制動力が発生する。回生制動時に第2の電動機により発電された電力(回生電力)は蓄電機構に蓄電される。ここで、たとえば、回生電力を蓄電する蓄電機構の充電量が予め定められた許容値を超えた場合、蓄電機構に蓄電される回生電力を制限する必要がある。そこで、蓄電機構の状態に基づいて(たとえば、蓄電機構の充電量が予め定められた許容値を超えた場合)、回生制動力の発生が制限される。回生制動力の発生が制限されると、機関制動力が発生する。これにより、制動力の低下を抑制することができる。このような場合において、燃料の供給の停止が禁止されると、機関制動力が低下する一方、摩擦制動力が発生する。そのため、回生制動力の発生が制限された場合において、燃料の供給の停止が禁止された場合に低下した機関制動力を、摩擦制動力で補なうことができる。
第7の発明に係る車両の減速制御装置においては、第6の発明の構成に加えて、第1の発生手段は、第1の電動機を制御して、機関制動力を発生させるための手段を含む。
第7の発明によると、たとえば、第1の電動機をモータとして機能させるように制御することにより、分配機構(たとえば、遊星歯車)で連結される内燃機関を被駆動状態とすることができる。そのため、第1の電動機を制御して、内燃機関による機関制動力を発生させることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の制御ブロック図を説明する。なお、本発明が適用できる車両は、ハイブリッド車両に限定されない。また、図1に示すハイブリッド車両に限定されず、他の態様を有するハイブリッド車両であってもよい。また、二次電池ではなくキャパシタ等の蓄電機構であってもよい。また、二次電池である場合には、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などであって、その種類は特に限定されるものではない。
ハイブリッド車両は、駆動源としての、たとえばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、単にエンジンという)120と、モータジェネレータ(MG)140を含む。なお、図1においては、説明の便宜上、モータジェネレータ140を、モータ140Aとジェネレータ140B(あるいはモータジェネレータ140B)と表現するが、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、モータ140Aがジェネレータとして機能したり、ジェネレータ140Bがモータとして機能したりする。このモータジェネレータがジェネレータとして機能する場合に回生制動が行なわれる。モータジェネレータがジェネレータとして機能するときには、車両の運動エネルギが電気エネルギに変換されて、回生制動力(回生ブレーキ)が発生し、車両が減速される。
ハイブリッド車両には、この他に、エンジン120やモータジェネレータ140で発生した動力を駆動輪160に伝達したり、駆動輪160の駆動をエンジン120やモータジェネレータ140に伝達する減速機180と、エンジン120が発生する動力を駆動輪160とジェネレータ140Bとの2経路に分配する動力分割機構(たとえば、遊星歯車機構)200と、モータジェネレータ140を駆動するための電力を充電する走行用バッテリ220と、走行用バッテリ220の直流とモータ140Aおよびジェネレータ140Bの交流とを変換しながら電流制御を行なうインバータ240と、エンジン120の動作状態を制御するエンジンECU280と、ハイブリッド車両の状態に応じてモータジェネレータ140、インバータ240および走行用バッテリ220の充放電状態等を制御するMG_ECU300と、エンジンECU280およびMG_ECU300等を相互に管理制御して、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御するHV_ECU310等を含む。
本実施の形態においては、走行用バッテリ220とインバータ240との間には昇圧コンバータ242が設けられている。走行用バッテリ220の定格電圧が、モータ140Aやモータジェネレータ140Bの定格電圧よりも低いので、走行用バッテリ220からモータ140Aやモータジェネレータ140Bに電力を供給するときには、昇圧コンバータ242で電力を昇圧する。
エンジン120には、燃料と空気の混合気を吸気する吸気通路260および混合気の燃焼により生じた排気ガスの排出通路である排気通路262が接続される。排気通路262には、排気ガスを浄化する触媒コンバータ264が接続されている。
触媒コンバータ264には、排気中の一酸化炭素COおよび炭化水素HCの酸化と、窒素酸化物NOxの還元とを同時に行ない、それらを二酸化炭素、水蒸気および窒素に清浄化する三元触媒が用いられる。三元触媒は、高温状態において、酸素過剰の雰囲気(リーン雰囲気)となると、触媒内の小粒の白金が酸化反応を起こして、排気ガスの浄化性能が低下する。
ハイブリッド車両には、さらに、駆動輪160に接続されるドライブシャフト400に設けられるブレーキディスク402と、ブレーキ機構404と、油圧コントローラ406とを含む。ブレーキ機構404は、油圧コントローラ406からブレーキ油圧を受け、その受けたブレーキ油圧に応じてブレーキディスク402を挟み込んで摩擦制動力を発生して、車両を減速させる。油圧コントローラ406は、HV_ECU310からのブレーキ制御信号を受信し、ブレーキ制御信号に示される摩擦制動力(油圧ブレーキ)を発生させるためのブレーキ油圧を演算し、演算したブレーキ油圧をブレーキ機構404に出力する。
なお、図1においては、各ECUを別構成しているが、2個以上のECUを統合したECUとして構成してもよい(たとえば、図1に、点線で示すように、MG_ECU300とHV_ECU310とを統合したECUとすることがその一例である)。
動力分割機構200は、エンジン120の動力を、出力部材202を介して駆動輪160とモータジェネレータ140Bとの両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリーギヤ)が使用される。プラネタリーキャリア(C)がエンジン120に、サンギヤ(S)がジェネレータ140Bに、リングギヤ(R)が出力部材202を介してモータ140Aに連結される。これにより、エンジン120、ジェネレータ140Bおよびモータ140Aのうちのいずれか2つの回転方向および回転数が決まると、残りの回転方向および回転数も決まる。モータジェネレータ140Bの回転数を制御することにより、動力分割機構200は無段変速機としても機能する。エンジン120の回転力はプラネタリーキャリア(C)に入力され、それがサンギヤ(S)によってモータジェネレータ140Bに、リングギヤ(R)によってモータおよび出力軸(駆動輪160側)に伝えられる。回転中のエンジン120を停止させる時には、エンジン120が回転しているので、この回転の運動エネルギをモータジェネレータ140Bで電気エネルギに変換して、エンジン120の回転数を低下させる。
図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車両においては、発進時や低速走行時等であってエンジン120の効率が悪い場合には、モータジェネレータ140のモータ140Aのみによりハイブリッド車両の走行を行ない、通常走行時には、たとえば動力分割機構200によりエンジン120の動力を2経路に分け、一方で駆動輪160の直接駆動を行ない、他方でジェネレータ140Bを駆動して発電を行なう。この時、発生する電力でモータ140Aを駆動し、その駆動力を出力部材202と駆動輪160との間に出力して駆動輪160の駆動補助を行なう。また、高速走行時には、さらに走行用バッテリ220からの電力をモータ140Aに供給してモータ140Aの出力を増大させて駆動輪160に対して駆動力の追加を行なう。一方、減速時には、駆動輪160により従動するモータ140Aがジェネレータとして機能して回生発電を行ない、回収した電力を走行用バッテリ220に蓄える。なお、走行用バッテリ220の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン120の出力を増加してジェネレータ140Bによる発電量を増やして走行用バッテリ220に対する充電量を増加する。もちろん、低速走行時でも必要に応じてエンジン120の駆動量を増加する制御を行なう。たとえば、上述のように走行用バッテリ220の充電が必要な場合や、エアコン等の補機を駆動する場合や、エンジン120の冷却水の温度を所定温度まで上げる場合等である。
このような車両を減速させるための制動には、上述した回生制動および摩擦制動に加えて、機関制動(エンジンブレーキ)がある。機関制動は、ジェネレータ140Bをモータとして駆動するように制御することによりエンジンを被駆動状態として、エンジンフリクションやポンピングロス等により制動力を発生して、車両を減速させる。機関制動はエンジン120への燃料噴射量を少なくすることにより発生し、(エンジンストールしない範囲で)燃料噴射を停止することでより大きな制動力が発生する。機関制動力は、動力分割機構200の動力分配が変化しない場合、エンジン120のエンジン回転数NEが高いほど大きくなる。
図2を参照して、本実施の形態に係る減速制御装置であるHV_ECU310が、車両を減速させるために実行するプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、HV_ECU310は、加速が要求されているかを判断する。HV_ECU310は、たとえば、アクセルペダルの踏込量が予め定められた値より大きい場合に加速が要求されていると判断する。加速が要求されていると判断される場合(S100にてYES)、処理はS100に戻される。そうでない場合(S100にてNO)、処理はS102に移される。
S102にて、HV_ECU310は、車速Vを検知する。S104にて、HV_ECU310は、回生ブレーキRB(1)を算出する。HV_ECU310は、図3に示すようなマップを予め記憶しておき、このマップから車速Vに対応する回生ブレーキRB(1)を算出する。なお、回生ブレーキRB(1)の算出方法はこれに限定されない。
S106にて、HV_ECU310は、走行用バッテリ220の充電状態を検知する。S108にて、HV_ECU310は、回生制御を制限するか否かを判断する。HV_ECU310は、走行用バッテリ220の充電量が予め定められた許容量より多い場合に、回生制御を制限すると判断する。回生制御を制限すると判断される場合(S108にてYES)、処理はS112へ移される。そうでない場合(S108にてNO)、処理はS110に移される。
S110にて、HV_ECU310は、回生ブレーキRB(1)で車両を制動する。S112にて、HV_ECU310は、制限された回生ブレーキRB(2)を算出する。HV_ECU310は、図4に示すようなマップを予め記憶しておき、このマップから車速Vに対応する回生ブレーキRB(2)(<RB(1))を算出する。なお、回生ブレーキRB(2)の算出方法はこれに限定されない。
S114にて、HV_ECU310は、エンジン回転数NEおよび吸入空気率KLを検知する。
S116にて、HV_ECU310は、フューエルカットを許可するか否かを判断する。HV_ECU310は、図5に示すようなマップを予め記憶しておき、エンジン回転数NEと吸入空気率KLとに基づいて算出される触媒コンバータ264の温度が耐久温度T(0)より低い場合(耐久温度T(0)を示す線より紙面右側に存在する場合)、フューエルカットを許可すると判断する。なお、フューエルカットを許可するか否かの判断方法はこれに限定されない。たとえば、触媒コンバータ264内に設けられた温度センサから直接触媒コンバータ264の温度を検知し、検知された温度が耐久温度T(0)より低い場合に、フューエルカットを許可すると判断してもよい。フューエルカットを許可すると判断される場合(S116にてYES)、処理はS118へ移される。そうでない場合(S116にてNO)、処理はS122に移される。
S118にて、HV_ECU310は、フューエルカットを実行する。S120にて、HV_ECU310は、制限された回生ブレーキRB(2)とフューエルカットが実行された場合のエンジンブレーキEB(1)とで車両を制動する。
S122にて、HV_ECU310は、フューエルカットを禁止する。S124にて、HV_ECU310は、フューエルカットが実行された場合のエンジンブレーキEB(1)と、フューエルカットが禁止された場合のエンジンブレーキEB(2)とを算出する。HV_ECU310は、図6に示すようなエンジン回転数NEをパラメータとしたマップを予め記憶しておき、そのマップからエンジン回転数NEに対応するエンジンブレーキEB(1)とエンジンブレーキEB(2)とを算出する。なお、エンジンブレーキEB(1)とエンジンブレーキEB(2)との算出方法はこれに限定されない。
S126にて、HV_ECU310は、油圧ブレーキBを算出する。HV_ECU310は、エンジンブレーキEB(1)からエンジンブレーキEB(2)を減算した値を油圧ブレーキBとして算出する。
S128にて、HV_ECU310は、制限された回生ブレーキRB(2)と、エンジンブレーキEB(2)と、油圧ブレーキBとで車両を制動する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る減速制御装置であるHV_ECU310が、車両を減速させる場合の動作について説明する。
ハイブリッド車両の走行中に、図7に示すように、運転者のアクセルペダル操作によってアクセルペダルの踏込量が予め定められた値より小さくなり、加速が要求されていないと判断されると(S100にてYES)、車速Vが検知され(S102)、車速Vに対応する回生ブレーキRB(1)が算出される(S104)。
走行用バッテリ220の充電状態が検知され(S106)、走行用バッテリ220の充電量が予め定められた許容量より少ない場合は、回生制御を制限せず(S108にてYES)、駆動輪160により従動するモータ140Aがジェネレータとして機能して回生発電を行ない、回収した電力を走行用バッテリ220に蓄える。このとき発生する回生ブレーキRB(1)により車両が減速する。
一方、走行用バッテリ220の充電量が予め定められた許容量より多い場合、回生電力を走行用バッテリ220に蓄えることができないため、回生制御が制限され(S108にてYES)、車速Vに対応する、制限された回生ブレーキRB(2)(<RB(1))が算出される(S112)。
このように、回生制御が制限されて低下した回生ブレーキによる制動力を他の制動力で補う必要がある。また、加速が要求されていないため、エンジン120への燃料の供給を停止し、不要な燃料消費を抑制して車両の走行燃費を改善する必要もある。
そこで、触媒コンバータ264の温度が耐久温度T(0)より低い場合、すなわち、フューエルカットによる三元触媒の劣化が生じない場合、フューエルカットが許可され(S116にてYES)、フューエルカットが実行される(S118)。制限された回生ブレーキRB(2)に加えて、フューエルカットが実行された場合のエンジンブレーキEB(1)を発生させて、車両を減速させる。これにより、低下した回生ブレーキ力を、エンジンブレーキEB(1)で補うとともに、フューエルカットによる燃費向上を図ることができる。
一方、触媒コンバータ264の温度が耐久温度T(0)より高い場合、すなわち、フューエルカットにより三元触媒が劣化される場合、フューエルカットが許可されず(S116にてNO)、フューエルカットが禁止される(S122)。フューエルカットが禁止された場合、エンジン120への燃料の供給が継続されるため、図7に示すようにエンジン回転数NEが、フューエルカット実行時と比べて、緩やかに減少し、エンジンブレーキが低下(斜線部)する。
そこで、フューエルカットが実行された場合のエンジンブレーキEB(1)と、フューエルカットが禁止された場合のエンジンブレーキEB(2)とが、エンジン回転数NEに基づいて算出される。エンジンブレーキEB(1)からエンジンブレーキEB(2)を減算した値が油圧ブレーキBとして算出され(S126)、制限された回生ブレーキRB(2)と、エンジンブレーキEB(2)とに加え、図7に示すように、油圧ブレーキBが発生する。このように、フューエルカットが禁止されたことにより低下するエンジンブレーキを、油圧ブレーキBで補うことができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る減速制御装置であるHV_ECUによる制御を実行することにより、車両の加速が要求されていないと検知され、走行用バッテリの充電量が許容値を超えない場合は、車速に応じた回生ブレーキが発生する。走行用バッテリの充電量が許容値を超えた場合は、回生電力を走行用バッテリに蓄えることができないため、回生ブレーキが制限される。触媒コンバータの温度が耐久温度より高い場合、フューエルカットが禁止される。フューエルカットが禁止されたことにより低下するエンジンブレーキを、油圧ブレーキで補うことができる。そのため、フューエルカットが禁止された場合に、制動力の低下を抑制することができる。
なお、従来、車両の加速が要求されていないと検知されると、三元触媒の温度に関わらず、フューエルカットを実行する場合があった。この場合、アクセルペダルが踏込まれて通常走行をしている間、燃料を多めに噴射するように制御していた。このようにすると、排気ガスの温度が低下し、三元触媒の温度を耐久温度より所定値だけ低く維持することができる。そのため、三元触媒が高温状態でリーン雰囲気とならないようにすることができる。
本実施の形態に係る減速制御装置であるHV_ECUによる制御を実行することにより、触媒温度が耐久温度になるとフューエルカットが禁止されて三元触媒の劣化が抑制される。これにより、フューエルカットが禁止されることにより燃料消費量が増加される一方、触媒温度を耐久温度より所定値だけ低く維持する必要がなくなるため、通常走行時の燃料消費量を低減できる。この通常走行時の燃料消費量の低減量が、フューエルカットが禁止されることによる燃料消費量の増加量より上回ると、トータルとして燃費の向上を図ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施に係る減速制御装置が搭載された車両の構成を示す図である。 本実施の形態に係る減速制御装置であるECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。 回生ブレーキと車速との関係を示す図(その1)である。 回生ブレーキと車速との関係を示す図(その2)である。 エンジン回転数、吸入空気率および触媒温度との関係を示す図である。 エンジンブレーキと車速との関係を示す図である。 本実施の形態に係る減速制御装置であるECUが減速を行なう場合のタイミングチャートである。
符号の説明
120 エンジン、140 モータジェネレータ、140A モータ、140B ジェネレータ、160 駆動輪、180 減速機、200 動力分割機構、202 出力部材、220 走行用バッテリ、240 インバータ、242 昇圧コンバータ、260 吸気通路、262 排気通路、264 触媒コンバータ、280 エンジンECU、300 MG_ECU、310 HV_ECU、400 ドライブシャフト、402 ブレーキディスク、404 ブレーキ機構、406 油圧コントローラ。

Claims (7)

  1. 燃料により駆動される内燃機関を備えた車両の減速制御装置であって、
    前記車両の加速が要求されているか否かを検知するための検知手段と、
    前記検知手段により前記車両の加速が要求されていないと検知された場合に、前記燃料の供給を停止するための停止手段と、
    前記内燃機関による機関制動力を発生させるための第1の発生手段と、
    前記停止手段による前記燃料の供給の停止を禁止するための禁止手段と、
    前記禁止手段により前記燃料の供給の停止が禁止された場合に、前記車両の車輪に作用する摩擦制動力を発生させるための第2の発生手段とを含む、車両の減速制御装置。
  2. 前記第2の発生手段は、前記内燃機関の回転数に応じた前記摩擦制動力を発生させるための手段を含む、請求項1に記載の車両の減速制御装置。
  3. 前記第2の発生手段は、前記燃料の供給が停止された場合の前記機関制動力と前記燃料の供給の停止が禁止された場合の前記機関制動力との差に応じた前記摩擦制動力を発生させるための手段を含む、請求項1または2に記載の車両の減速制御装置。
  4. 前記車両は、前記内燃機関からの排気を浄化する触媒をさらに備え、
    前記禁止手段は、前記触媒の温度に基づいて、前記停止手段による前記燃料の供給の停止を禁止するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の減速制御装置。
  5. 前記車両は、
    前記車両を駆動し、回生制動時に発電する電動機と、
    前記発電された電力を蓄電する蓄電機構とをさらに備え、
    前記減速制御装置は、
    前記検知手段により前記燃料の供給が要求されていないと検知された場合に、前記電動機による回生制動力を発生させる手段と、
    前記蓄電機構の状態に基づいて、前記回生制動力の発生を制限するための制限手段とをさらに含み、
    前記第1の発生手段は、前記制限手段により前記回生制動力の発生が制限された場合に、前記機関制動力を発生させるための手段を含み、
    前記第2の発生手段は、前記制限手段により前記回生制動力の発生が制限された場合であって、かつ前記禁止手段により前記燃料の供給の停止が禁止された場合に、前記摩擦制動力を発生させるための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の車両の減速制御装置。
  6. 前記車両は、
    前記内燃機関の出力を出力部材と第1の電動機とに分配する分配機構と、
    前記出力部材と前記車両の駆動輪との間に駆動力を加える、回生制動時に発電する第2の電動機と、
    前記発電された電力を蓄電する蓄電機構とを備えたハイブリッド車両であって、
    前記減速制御装置は、
    前記検知手段により前記燃料の供給が要求されていないと検知された場合に、前記第2の電動機による回生制動力を発生させる手段と、
    前記蓄電機構の状態に基づいて、前記回生制動力の発生を制限するための制限手段とをさらに含み、
    前記第1の発生手段は、前記制限手段により前記回生制動力の発生が制限された場合に、前記機関制動力を発生させるための手段を含み、
    前記第2の発生手段は、前記制限手段により前記回生制動力の発生が制限された場合であって、かつ前記禁止手段により前記燃料の供給の停止が禁止された場合に、前記摩擦制動力を発生させるための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の車両の減速制御装置。
  7. 前記第1の発生手段は、前記第1の電動機を制御して、前記機関制動力を発生させるための手段を含む、請求項6に記載の車両の減速制御装置。
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