JP2007203604A - Ptfe樹脂成型体が接着された構造体、及び、ptfe樹脂成型体の接着方法 - Google Patents

Ptfe樹脂成型体が接着された構造体、及び、ptfe樹脂成型体の接着方法 Download PDF

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Abstract

【課題】初期の密着強度に優れるとともに、高温環境においても優れた密着強度を維持することが可能なPTFE樹脂成型体が接着された構造体、及び、PTFE樹脂成型体の接着方法を提供すること。
【解決手段】PTFE樹脂成型体と、他の部材とが接着された構造体であって、上記PTFE樹脂成型体が、少なくともPTFE樹脂と、無機酸化物とからなり、上記無機酸化物の少なくとも一部が0.5μm以下の粒径で分散されていることを特徴とする構造体。未焼成且つ多孔質のPTFE樹脂からなる成型体を、処理液に含浸させた後、上記PTFE樹脂からなる成型体を焼成することによって得られたものであり、且つ、上記処理液は、焼成後に無機酸化物が残存するものであることを特徴とするPTFE樹脂成型体と、他の部材とを接着する接着方法
【選択図】 図3

Description

本発明は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂成型体が接着された構造体、及び、PTFE樹脂成型体の接着方法に係り、特に、初期の密着強度に優れるとともに、高温環境においても優れた密着強度を維持することが可能なものに関する。
フッ素系ポリマーは、耐熱性、耐油性、耐薬品性などに優れる材料であり、シール部材(ブッシング、グロメット、パッキング、O−リング)、電線被覆、ホース、チューブ、ロール、ダイヤフラムなど種々の用途で使用されている。特に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、PTFE樹脂と記す。)は、耐熱性に優れ、より過酷な条件下においても使用可能な材料として知られている。このような用途の具体的な例として、例えば、特許文献1のように、高温下で使用されるセンサのリード線被覆材、及び、その外周に配置されるシール部材への適用が知られている。この特許文献1では、リード線被覆材としてPTFE樹脂、シール部材としてフッ素ゴムを使用し、リード線をシール部材に挿通した状態で、シール部材を外部からカシメ圧縮し、フッ素ゴムの反発弾性力によってリード線とシール部材の間の水密性を得ることが開示されている。しかしながら、この特許文献1のような場合、フッ素ゴムの圧縮永久歪により反発弾性力が得られなくなる点、圧縮により防水シールに割れが発生する点、高温での圧縮によってPTFE樹脂が加熱変形し、リード線被覆材が肉痩せしてしまう点が問題点として挙げられている。
この問題を解消する方法としては、PTFE樹脂からなるリード線被覆材とフッ素ゴムからなるシール部材を接着することにより水密性を保つことが考えられる。しかしながら、PTFE樹脂は、接着が非常に困難な材料であるため、その接着技術については、これまで種々の検討が重ねられてきた。例えば、特許文献2には、PTFE樹脂からなるリード線の被覆膜と、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(以下、PFA樹脂と記す。)やテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂のシール部材との接着に関し、上記シール部材を加熱することによって溶融させ、リード線の被覆膜とシール部材とを接着する技術が開示されている。
又、特許文献3には、PTFE樹脂からなる絶縁電線及びシール部材の接着に関し、絶縁電線又はシール部材のいずれか一方のPTFE樹脂にPFA樹脂を混合し、加熱加圧によりPFA樹脂を溶融させ、絶縁電線とシール部材を接着する技術が開示されている。
又、特許文献4には、フッ素樹脂層(PTFE樹脂を含む)とパーフルオロゴム層の間にシランカップリング剤等を主成分とした接着層を形成し、フッ素樹脂層とパーフルオロゴム層を接着して積層体を得る技術が開示されている。
又、特許文献5には、フッ素含有樹脂(PTFE樹脂を含む)からなるリード線被覆材とフッ素含有樹脂(PTFE樹脂を含む)からなるシール部材の間に金属膜を介在させることにより、リード線被覆材とシール部材を接着する技術が開示されている。
又、高温での圧縮によるPTFE樹脂の加熱変形を防止する技術として、例えば、特許文献6には、PTFE樹脂粉末にガラスビーズなどのガラス粉末、シリカ粉末、アルミナ粉末等の充填材を混合して製造したPTFE樹脂造粒粉末によるPTFE樹脂成型体が開示されている。ここで、充填材としては、粒径200〜1000μm程度のものが使用されている。
尚、本発明に関連するものとして、当該出願人から特許文献7が出願されている。
実開昭61−97720号 特開平4−285849号 特開平6−57238号 特開2000−313089号 特開2001−242121号 特開昭53−139661号 特願2005−248883号
しかしながら、上記特許文献2〜5による接着方法は、初期の密着強度こそ優れたものが得られるものの、高温環境下での長期間の使用により、徐々に密着強度が低下し、水密性が低下してしまう恐れがあるという問題がある。又、特許文献4のようにシランカップリング剤等を主成分とした接着層を形成する場合、フッ素系ポリマーは撥水性が高いため、接着層の形成自体が非常に困難という問題もある。
又、上記特許文献6によるPTFE樹脂成型体は、高温での圧縮による加熱変形の防止には一定の効果が得られるものの、十分な水密性を得るには至っていない。そのため、このPTFE樹脂成型体とフッ素系ポリマーシール部材とを接着させることも考えられるのだが、このPTFE樹脂成型体も、充填材を混合していないPTFE樹脂成型体と同様に接着が困難なものである。これは、充填材がPTFE樹脂成型体の表面に現れていないため、PTFE樹脂成型体の表面状態が充填材を混合していないものと何ら変わりないことが原因である。ここで、充填材がPTFE樹脂成型体の表面に現れるように、充填材の混合量を増加すると、充填材の粒径が粗大であるためPTFE樹脂成型体がポーラスな状態になってしまい、成型体の機械的強度が大幅に低下してしまうことになる。又、粒径が小さい充填材を混合した場合は、充填材の粒子同士が凝集してしまうため、結果的に粒径が粗大のものを使用した場合と同じ結果となってしまう。
本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、初期の密着強度に優れるとともに、高温環境においても優れた密着強度を維持することが可能なPTFE樹脂成型体が接着された構造体、及び、PTFE樹脂成型体の接着方法を提供することにある。
上記目的を達成するべく、本発明の請求項1によるPTFE樹脂成型体が接着された構造体は、PTFE樹脂成型体と、他の部材とが接着された構造体であって、上記PTFE樹脂成型体が、少なくともPTFE樹脂と、無機酸化物とからなり、上記無機酸化物の少なくとも一部が0.5μm以下の粒径で分散されていることを特徴とするものである。
又、請求項2によるPTFE樹脂成型体の接着方法は、PTFE樹脂成型体と、他の部材とを接着する接着方法であって、上記PTFE樹脂成型体は、未焼成且つ多孔質のPTFE樹脂からなる成型体を、処理液に含浸させた後、上記PTFE樹脂からなる成型体を焼成することによって得られたものであり、且つ、上記処理液は、焼成後に無機酸化物が残存するものであることを特徴とするものである。
又、請求項3によるPTFE樹脂成型体の接着方法は、上記処理液は、上記無機酸化物が、焼成後に少なくとも一部が0.5μm以下の粒径で残存するものであることを特徴とするものである。
又、請求項4によるPTFE樹脂成型体の接着方法は、上記処理液は、シリカを含有するものであることを特徴とするものである。
又、請求項5によるPTFE樹脂成型体の接着方法は、上記処理液は、有機シラン化合物を含有するものであることを特徴とするものである。
本発明においては、無機酸化物の少なくとも一部が0.5μm以下の粒径で分散されていることから、この無機酸化物は極めて大きな表面積を有することになる。そのため、例えば、PTFE樹脂成型体を他部材と接着させる際には、この他の部材に含有されるフィラー成分や金属成分などと無機酸化物の接触面積が増加するため、優れた密着強度をもって他の部材と接着させることができる。しかも、PTFE樹脂成型体の表面において、無機酸化物の一部が埋め込まれるような状態となって確実に保持されることになるため、高温下においても優れた密着強度が持続することになる。
又、本発明のような接着方法であれば、多孔質のPTFE樹脂の孔の部分に処理液が侵入し、焼成によりPTFE樹脂の孔が閉じられ無機酸化物が保持されることになる。そのため、PTFE樹脂成型体の表面において、無機酸化物の一部が埋め込まれるような状態となって確実に保持されることになる。又、焼成の際の加熱により無機酸化物をPTFE樹脂成型体に保持させることになるため、無機酸化物が凝集することなく小さい粒径を保ったままPTFE樹脂成型体に分散されることになる。
従って、本発明によれば、初期の密着強度に優れるとともに、高温環境においても優れた密着強度を維持することが可能なPTFE樹脂成型体が接着された構造体、及び、PTFE樹脂成型体の接着方法を得ることができる。
以下に、図1を参照して本発明による実施の形態1を説明する。尚、本実施の形態1は、PTFE樹脂絶縁電線とフッ素ゴムシール部材の接着に適用したものである。
まず、PTFE樹脂粉末と市販の石油系押出助剤を混合したものを所定時間熟成した後、シリンダーに充填して加圧しPTFE樹脂プリフォームを調整した。次いで、このPTFE樹脂プリフォームをペースト押出機によって、ニッケルメッキ銅被覆鋼線からなる中心導体1aの外周に押出被覆した後、200℃の加熱炉に通して押出助剤を乾燥除去し、未焼成且つ多孔質のPTFE樹脂からなる被覆1bが形成された、外径1.7mmのPTFE樹脂絶縁電線1を作製した。
次に、このPTFE樹脂絶縁電線1を、有機シラン化合物を含有する処理液としてシランカップリング剤に含浸させ、その後、500℃の加熱炉にて焼成することにより、PTFE樹脂からなる被覆1bに無機酸化物としてのシリカを分散させて保持させた。尚、このPTFE樹脂からなる被覆1bの表面を走査型電子顕微鏡にて5000倍に拡大し観察したところ、図3に示すように、粒径0.5μmを超えるような無機酸化物粒子は確認されなかった。ここで、本実施の形態1では、無機酸化物としてシリカを分散させて保持させたが、これに限定されることはない。無機酸化物としては、例えば、シリカ以外にも、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどが挙げられ、これらの内の一種又は複数種がPTFE樹脂に分散させて保持させれば良い。又、本実施の形態1では、処理液としてシランカップリング剤を使用したが、これに限定されることはない。処理液としては、焼成後に上記した無機酸化物が残存するような液状体であれば良く、例えば、アルミネート系カップリング剤やチタネート系カップリング剤のような有機金属溶液、各種無機酸化物微粒子のコロイド分散体などが挙げられる。これらの中でも、焼成後に、上記した無機酸化物が、少なくとも一部が0.5μm以下の粒径で残存するものが好ましいため、各種無機酸化物微粒子のコロイド分散体を使用する場合は、少なくとも一部が0.5μm以下の粒径である無機物微粒子を分散相としたコロイド分散体とする。尚、焼成の条件については、PTFE樹脂絶縁電線の寸法等により温度と時間を適宜に設定すれば良い。
このようにして無機酸化物を分散させて保持させたPTFE樹脂絶縁電線1の外周に、インサート成型によって、フッ素系ポリマーとしてのフッ素ゴムからなるシール部材2を形成した。シール部材2は、直径7mm、長さ50mmの円筒形状とした。上記のような成型により、PTFE樹脂絶縁電線1をフッ素系ポリマーシール部材2に挿通させた状態とした後、200℃、15MPaの熱間プレスによりPTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシール部材2を接着させた。尚、本実施の形態1では、シール部材2としてフッ素系ポリマーであるフッ素ゴムを使用したが、これに限定されることはない。フッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、変性ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体などが挙げられ、目的とする用途に応じて適宜選択すれば良い。又、成型方法も特に限定はなく、従来公知の種々の方法により成型すれば良い。
上記のようにしてPTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシール部材2を接着させたものについて、密着強度の確認として、引抜強度の測定を行った。引抜強度の測定方法は、フッ素系ポリマーシール部材2を治具にて押さえるとともに、PTFE樹脂絶縁電線1を速度50mm/分で引抜いた際の荷重を測定した。尚、引抜強度の測定は、接着直後(初期値)、280℃×72時間の加熱後、280℃×200時間の加熱後の3回測定を行った。結果を表1に示す。
比較のため、実施の形態1において、PTFE樹脂絶縁電線1をシランカップリング剤からなる処理液に含浸させず、無機酸化物がPTFE樹脂絶縁電線に分散されていないものを比較の形態1とし、実施の形態1と同様に引抜強度の測定を行った。結果を表1に併せて示す。
表1に記載のように、本実施の形態1によれば、引抜強度の初期値が優れているだけでなく、280℃の加熱後において更に引抜強度が向上する傾向にあり、高温環境下においても優れた密着強度を維持できることが確認された。これに対して、比較の形態1は、引抜強度の初期値が低く、又、280℃の加熱後における引抜強度の向上度合いも低かった。
次いで、図2を参照して本発明による実施の形態2を説明する。尚、本実施の形態2は、PTFE樹脂絶縁電線とフッ素ゴムシートの接着に適用したものである。
上記実施の形態1と同様に、中心導体1aの外周にPTFE樹脂からなる被覆1bが形成されたPTFE樹脂絶縁電線1を作製し、PTFE樹脂からなる被覆1bに、無機酸化物としてのシリカを分散させて保持させた。
このようにして無機酸化物を分散させて保持させたPTFE樹脂絶縁電線1を、フッ素系ポリマーとしてのフッ素ゴムからなるシート3の上に配置した。シート3は、縦150mm、横200mm、厚さ5mmとし、PTFE樹脂絶縁電線1が配置される部分は、PTFE樹脂絶縁電線1外周の半分が埋め込まれるように溝を形成した。これらのPTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシート3に、200℃、15MPaの熱間プレスを施し、PTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシート3を接着させた。
上記のようにして接着させたPTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシート3について、密着強度の確認として、剥離強度の測定を行った。剥離強度の測定方法は、フッ素系ポリマーシート3を固定し、PTFE樹脂絶縁電線1の端部を掴んでフッ素系ポリマーシート3の上方へ速度30mm/分で引剥がした際の荷重を測定した。尚、剥離強度の測定は、接着直後(初期値)、280℃×72時間の加熱後、280℃×200時間の加熱後の3回測定を行った。結果を表2に示す。
比較のため、実施の形態2において、PTFE樹脂絶縁電線1をシランカップリング剤からなる処理液に含浸させず、無機酸化物がPTFE樹脂絶縁電線に分散され保持されていないものを比較の形態2とし、実施の形態2と同様に引抜強度の測定を行った。結果を表2に併せて示す。
表2に記載のように、本実施の形態2によれば、剥離強度の初期値が優れているだけでなく、280℃の加熱後においても剥離強度の低下はほとんどなく、高温環境下においても優れた密着強度を維持できることが確認された。これに対して、比較の形態2は、接着されることはなく、手で触れただけで剥がれてしまったことから、剥離強度を測定することができなかった。
次いで、図4を参照して本発明による実施の形態3を説明する。尚、本実施の形態3は、PTFE樹脂絶縁電線とフッ素ゴムシール部材の接着に適用したものである。
まず、PTFE樹脂粉末と市販の石油系押出助剤を混合したものを所定時間熟成した後、シリンダーに充填して加圧しPTFE樹脂プリフォームを調整した。次いで、このPTFE樹脂プリフォームをペースト押出機によって、ニッケルメッキ銅被覆鋼線からなる中心導体1aの外周に押出被覆し、未焼成且つ多孔質のPTFE樹脂からなる被覆1bが形成された、外径1.7mmのPTFE樹脂絶縁電線1を作製した。
次にこのPTFE樹脂絶縁電線1を、粒径20nmのシリカ微粒子を分散相としたコロイド分散体からなる処理液に含浸させた。その後、150℃の乾燥炉にて押出助剤、及び、コロイド分散体の分散媒を乾燥除去し、更に500℃の加熱炉にて焼成することにより、PTFE樹脂からなる被覆1bに、無機酸化物としてのシリカを分散させて保持させた。尚、このPTFE樹脂からなる被覆の表面を走査型電子顕微鏡にて5000倍に拡大し観察したところ、図5に示すように、粒径0.5μmを超えるような無機酸化物粒子は確認されなかった。ここで、本実施の形態3では、シリカ微粒子を分散相としたコロイド分散体を使用したが、これに限定されることはない。分散相としては、例えば、チタニア微粒子、アルミナ微粒子など種々の無機酸化物が考えられる。これらの中でも、焼成後に、上記した無機酸化物が、少なくとも一部が0.5μm以下の粒径で残存するものが好ましいため、少なくとも一部が0.5μm以下の粒径である無機物微粒子を分散相したものとする。又、分散媒としては、PTFE樹脂の焼成温度以下で気化するものであれば特に限定はなく、各種有機溶剤や水など適宜に選定すればよい。尚、焼成の条件については、PTFE樹脂絶縁電線の寸法等により温度と時間を適宜に設定すれば良い。
このようにして無機酸化物を分散させて保持させたPTFE樹脂絶縁電線1の外周に、フッ素系ポリマーとしてのフッ素ゴムからなり、予め直径3mm、長さ4mmの円筒形状に成型するとともに、半加硫状態としたフッ素系ポリマーシール部材2を配置した。その後、これらを170℃で1時間加熱して、フッ素系ポリマーシール部材2を加硫するとともに、PTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシール部材2を接着させた。尚、フッ素系ポリマーシール部材2の成型方法については特に限定はなく、従来公知の種々の方法により成型すれば良い。
上記のようにしてPTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシール部材2を接着させたものについて、密着強度の確認として、引抜強度の測定を行った。引抜強度の測定方法は、フッ素系ポリマーシール部材2を治具にて押さえるとともに、PTFE樹脂絶縁電線1を速度50mm/分で引抜いた際の荷重を測定した。尚、引抜強度の測定は、接着直後(初期値)、280℃×200時間の加熱後、280℃×350時間の加熱後の3回測定を行った。結果を表3に示す。
比較のため、実施の形態3において、PTFE樹脂絶縁電線1を、シリカ微粒子を分散相としたコロイド分散体からなる処理液に含浸させず、無機酸化物がPTFE樹脂絶縁電線に分散され保持されていないものを比較の形態3とし、実施の形態3と同様に引抜強度の測定を行った。結果を表3に併せて示す。
表3に記載のように、本実施の形態3によれば、引抜強度の初期値、及び、280℃の加熱後において、充分な強度が得られることが確認された。これに対して、比較の形態3は、引抜強度の初期値が低く、280℃の加熱後においては更に引抜強度が低下しており、充分な強度が得られるとは言えなかった。尚、上記の表1に記載した実施の形態1と実施の形態3を比較した場合、実施の形態3は実施の形態1よりも引抜強度の値が小さくなっている。これは、実施の形態3は、フッ素系ポリマーシール材2の長さが短く、又、PTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシール部材2を接着させる際に加圧をしていないことによるものである。
この実施の形態3及び比較の形態3について、密着強度の更なる確認として、耐熱リーク試験を行った。試験方法としては、接着させたPTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシール部材2を金属筒中に配置して、この金属筒をかしめたものをサンプルとし、このサンプルを280℃の雰囲気中に配置した後、常温で金属筒の片端に100kPaの気圧を加えてもう一方の端から空気がリークするまでの時間を測定した。測定結果を表4に示す。
表4に記載のように、実施の形態3は、空気がリークするまでの時間が250時間であり、高温環境においてもPTFE樹脂絶縁電線1とフッ素系ポリマーシール部材2とが優れた密着強度を維持して接着していることが確認された。これに対して、比較の形態3は、空気がリークするまでの時間が150時間と短く、高温環境における密着強度の維持という点で充分なものとは言えなかった。
次いで、図6を参照して本発明による実施の形態4を説明する。尚、本実施の形態4は、PTFE樹脂絶縁電線とエポキシ樹脂の接着に適用したものである。
まず、PTFE樹脂粉末と市販の石油系押出助剤を混合したものを所定時間熟成した後、シリンダーに充填して加圧しPTFE樹脂プリフォームを調整した。次いで、このPTFE樹脂プリフォームをペースト押出機によって、ニッケルメッキ銅被覆鋼線からなる中心導体1aの外周に押出被覆し、未焼成且つ多孔質のPTFE樹脂からなる被覆1bが形成された、外径1.7mmのPTFE樹脂絶縁電線1を作製した。
次にこのPTFE樹脂絶縁電線1を、粒径20nmのシリカ微粒子を分散相としたコロイド分散体からなる処理液に含浸させた。その後、150℃の乾燥炉にて押出助剤、及び、コロイド分散体の分散媒を乾燥除去し、更に500℃の加熱炉にて焼成することにより、PTFE樹脂からなる被覆1bに、無機酸化物としてのシリカを分散させて保持させた。
このようにして無機酸化物を分散させて保持させたPTFE樹脂絶縁電線1の外周に、2液混合性エポキシ樹脂を混合したものを塗布した後、24時間常温で放置して硬化させ、エポキシ樹脂による肉盛部4を形成した。
上記のようにしてPTFE樹脂絶縁電線1に肉盛部4を形成させたものについて、密着強度の確認として、引抜強度の測定を行った。引抜強度の測定方法は、肉盛部4を治具にて押さえるとともに、PTFE樹脂絶縁電線1を速度50mm/分で引抜いた際の荷重を測定した。結果を表5に示す。
比較のため、実施の形態4において、PTFE樹脂絶縁電線1を、シリカ微粒子を分散相としたコロイド分散体からなる処理液に含浸させず、無機酸化物がPTFE樹脂絶縁電線に分散され保持されていないものを比較の形態4とし、実施の形態4と同様に引抜強度の測定を行った。結果を表5に併せて示す。
表5に記載のように、本実施の形態4によれば、充分な引抜強度が得られることが確認された。これに対して、比較の形態4は、充分な引抜強度が得られるとは言えなかった。
上記実施の形態1及び実施の形態2では、シランカップリング剤からなる処理液を使用し、上記実施の形態3及び実施の形態4では、シリカ微粒子を分散相としたコロイド分散体からなる処理液を使用したが、これらを組合せても構わない。即ち、シランカップリング剤にシリカ微粒子を分散させた処理液を使用しても良い。
上記の実施の形態では、電線被覆とシール部材の接着、電線被覆とシートの接着について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、シート同士の接着、多層ホースの内層と外層の接着、シール材と構造体の接着など、PTFE樹脂からなる成型体に関する接着であれば、全て応用が可能である。
又、上記の実施の形態4では、PTFE樹脂とエポキシ樹脂の接着について説明したが、他のポリマーとの接着に応用することも勿論可能である。更に、エポキシ樹脂などポリマーを接着剤として使用することで、更に別の部材、例えば、ポリマーのみでなく、金属、セラミック、ガラス、鉱物、木質材、などと接着させるといった展開も考えられる。即ち、本発明によれば、接着が非常に困難な材料であったPTFE樹脂が、公知の接着剤によって接着することも可能となるという優れた効果を得ることができる。
以上詳述したように、本発明は、初期の密着強度に優れるとともに、高温環境においても優れた密着強度を維持することが可能なPTFE樹脂成型体が接着された構造体、及び、PTFE樹脂成型体の接着方法に関するものである。従って、例えば、シール部材(グロメット、ブッシング、パッキング、O−リング)、電線被覆、ホース、チューブ、ロール、ダイヤフラム、ウェザーストリップ、などに使用される接着技術として有用なものである。又、これらの他に、PTFE樹脂からなるフィルタとこのフィルタを保持するグロメットとを接着する際の技術としても、応用することが可能である。
本発明の実施の形態1を示す斜視図である。 本発明の実施の形態2を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1によって得られたPTFE絶縁電線表面の走査型電子顕微鏡写真(5000倍)である。 本発明の実施の形態3を示す斜視図である。 本発明の実施の形態3によって得られたPTFE絶縁電線表面の走査型電子顕微鏡写真(5000倍)である。 本発明の実施の形態4を示す斜視図である。
符号の説明
1 PTFE樹脂絶縁電線
2 フッ素系ポリマーシール部材
3 フッ素系ポリマーシート
4 肉盛部

Claims (5)

  1. ポリテトラフルオロエチレン樹脂成型体と、他の部材とが接着された構造体であって、上記ポリテトラフルオロエチレン樹脂成型体が、少なくともポリテトラフルオロエチレン樹脂と、無機酸化物とからなり、上記無機酸化物の少なくとも一部が0.5μm以下の粒径で分散されていることを特徴とする構造体。
  2. ポリテトラフルオロエチレン樹脂成型体と、他の部材とを接着する接着方法であって、上記ポリテトラフルオロエチレン樹脂成型体は、未焼成且つ多孔質のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる成型体を、処理液に含浸させた後、上記ポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる成型体を焼成することによって得られたものであり、且つ、上記処理液は、焼成後に無機酸化物が残存するものであることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン樹脂成型体の接着方法。
  3. 上記処理液は、上記無機酸化物が、焼成後に少なくとも一部が0.5μm以下の粒径で残存するものであることを特徴とする請求項2記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂成型体の接着方法。
  4. 上記処理液は、シリカを含有するものであることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂成型体の接着方法。
  5. 上記処理液は、有機シラン化合物を含有するものであることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂成型体の接着方法。
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