JP2007203376A - 歯形成形用の型 - Google Patents

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Abstract

【課題】 寿命を長くし、歯形の品質をよくすることができる歯形成形用の型を提供する。
【解決手段】 複数の型の歯形を組み合わせて歯形部品の歯形を冷間鍛造によって成形するための型において、歯形部品を型の入口から中に入れて型の軸心方向に型の最奥位置まで移動させる間に、その歯形部品の歯形の歯底を型の歯形によって歯形の半径方向に圧縮し、それと同時に、歯形部品の歯先を歯形の半径方向に突き出し、その突き出しのときに歯形部品の歯形の歯先の頂部が型の歯形に接触しない状態を維持し、かつ、後続の型が、先行の型によって成形された歯形部品の歯形のピッチ円上の歯厚をほぼ同一に維持する歯形、又は、先行の型によって成形された歯形部品の歯形のピッチ円上の歯厚を減少させる歯形を有する。
【選択図】 図29

Description

本発明は、歯車、スプロケット歯、スプライン歯等の歯形部品の歯形を冷間鍛造により成形するための型に関する。
金属材料を使用して冷間鍛造によって歯車を製造する方法は、特許文献1に示されているように、公知である。
図1(A)(B)は、特許文献1に記載の従来の冷間鍛造による平歯車の製造方法を示している。円筒形状の金属材料10は、所望の歯車の外径に近い寸法を有する。その円筒形状の金属材料10の下端を型11の穴11Aに挿入して、矢印Xの方向から押し込んで、パンチ(図示せず)によってその金属材料10を押圧して、材料10の外周に雄の歯形を形成する。この材料10の外周に形成された雄の歯形は、型11の歯形12に対応するものである。歯形の歯元と歯先の関係は、材料10と型11では逆になる。この型11の歯形12は、正規の全歯タケHを有する。それゆえ、材料10の外周に形成された歯形も、これと同様に正規の全歯タケHを有することになる。
図1(A)(B)において、符号13はピッチ円を示している。符号14は型11の歯形12の歯先円を示しており、符号15はその歯元円を示している。
従来の冷間鍛造による歯車の製造方法において、型11の歯形12の歯形成形開始部の端面16は傾斜しているが、型11の軸心に直交する面に対する端面16の傾斜角度Bは30°以下となっている。この傾斜角度Bが小さいほど、不完全な歯形部が少なくなる。
また、材料10は一つの工程で冷間鍛造する場合もあるが、あらかじめ熱間又は温間で予備成形した後、焼なまし、表面潤滑処理などを行ってから、冷間鍛造で仕上げ形成をすることもある。
図1に示されている従来の冷間鍛造による歯車の製造方法においては、最終製品の歯車の品質の良悪は、鍛造用の型に関する要因が50ないし80%を占めると考えられる。
図1に示す方法においては、雌の型の内部で成形を行っており、これをインダイ成形と呼んでいる。この製造方法に用いる金属材料は、中実の丸棒、リング状の素材、熱間又は温間鍛造による予備加工品等である。
図1の従来法においては、一つの工程で歯車を冷間鍛造して仕上り寸法を得るものである。そのため、歯形12の歯形成形開始部の傾斜端面16にかかる荷重(圧力)は、200kgf/mmないし280kgf/mmにもなる。この荷重(圧力)は、型材として最高レベルの材質であっても型の破壊強度の70ないし90%になっている。
他方、特許文献2に示されているように、素材を得るべき平歯車の歯車形状の歯輪郭より歯先と歯厚の両方が小さく設定された歯車形状を有する一次加工歯車にすえ込み成形する第1の加工工程と、上記一次加工歯車に歯形以外の部分で材料を自由に流動させつつ二次加工歯車に圧縮成形する第2の加工工程と、上記二次加工歯車を最終製品にしごき成形する第3の加工工程とからなり、これらの各工程を冷間鍛造加工で行う平歯車の鍛造加工方法も公知である。
図2の(A)から(E)は特許文献2に記載の方法を表わしており、図2(A)は第1の加工工程、図2(B)は第2の加工工程を実施する金型を表わしている。
図2(A)において、200はダイ、201はダイ200の歯形部であり、ダイ200に嵌合するパンチ202及びパンチ202と対応して透孔203内に挿通したノックアウトピン204が設けられている。205は素材、206はダイ200で加工された一次加工歯車である。
図2(B)において、210はダイ、211はダイ210の歯形部、212は歯形部211と連通しダイ210を貫通する透孔、213はダイ210に嵌合するパンチ、214はダイ210の透孔212内に挿入したノックアウトピンである。なお、215はダイ200で加工された二次加工歯車で透孔212に向って、材料の隆起部216が形成されている。
図2(A)において、素材205からすえ込み成形された一次加工歯車206は、材料のダイへの充満は不十分であって、欠肉207が生じている。次に、図2(B)のダイへ一次加工歯車206を投入し、パンチ213による圧縮成形によって材料を歯形部211に充満させ、二次加工歯車215を成形する。
パンチ213による圧縮成形において成形された二次加工歯車215は、成形加工中に歯形以外の部分に材料を拘束しない箇所で材料を自由に流動させて隆起部216を形成していることにより、材料が歯形部211に充満し歯先部に生じる欠肉を解消している。
図2(C)〜(E)は、第1の加工工程で成形加工される一次加工歯車206と第2の加工工程で成形加工される一次加工歯車215との歯形形状を比較した図であり、第1の加工工程で成形された歯形輪郭206Aは第2の加工工程で成形された歯形輪郭215Aよりも歯先も歯厚も小さくなるように設定されている。
特開平9−300041号公報 特許第2913522号公報
特許文献1に記載の方法では、冷間鍛造時の最高荷重は、型の内面の歯形成形開始部の傾斜端面16に発生することが多い。従来は、この最高荷重を下げる工夫が足りなかったために、型11の寿命が短かった。それに起因して製品精度が悪化する欠点もあった。
とくに、ヘリカル歯車を冷間鍛造により製造する場合には、型11の歯形12を一方側のみに倒そうとする荷重が加えられるため、傾斜面16付近の破損の確率が高くなりがちであった。それが、結果的に、型11の寿命を短くしていた。
本発明者の知見によれば、ヘリカル歯車の、冷間鍛造による加工の場合には、型の歯形の一方の面(表側の面)に集中的に荷重がかかり、その裏側の面にはあまり荷重がかからない。そのため、歯形の表側と裏側で荷重の差が顕著であり、それに基因する歯形欠損が多い。
特許文献2に記載の方法は、次のような問題がある。
図2(E)に示すように、完成歯形の輪郭よりも歯先と歯厚の両方を含めて歯形全体を小さい(やせた)形状、寸法に成形するため、塑性加工率が大きくなる。
加工率が大きくなると、加工品の塑性加工硬化が進み、変形抵抗が大となり、成形が困難になる。
さらに形状係数も大となり、張り出し成形圧(成形荷重)が大きくなり、型の歪が大となる。そのため加工品の精度が低くなる。型も、加工スピードを高めると破損仕易い。
一次加工で小さく成形した歯形を図2(E)で示すように二次加工で大きくする(太らせる)方法は精度上好ましくない。たとえば、歯幅が大きくなるに従い、歯幅の中央部と端面部の太る率(成形度合い)の差が大きくなってしまう。歯形が不均一になり、円筒度が悪くなる。
とくに高精度の歯車を多量生産する方法としては特許文献2に記載の方法は不向きである。
精度を上げようとして成形荷重を大きくして行くと、被加工物の歪が大きくなり、後の熱処理時の処理歪が大きくなる。荷重が大きくなるほど、型が割れ易くなる。
そこで、本発明は、寿命を長くできるとともに、良質な歯形を冷間鍛造により成形することができる型を提供することを目的としている。
本発明の解決手段を例示すると、次に示すような歯形成形用の型である。
(1)複数の型の歯形を組み合わせて歯形部品の歯形を冷間鍛造によって成形するための型であって、歯形部品を型の入口から中に入れて型の軸心方向に型の最奥位置まで移動させる間に、その歯形部品の歯形の歯底を型の歯形によって歯形の半径方向に圧縮し、それと同時に、歯形部品の歯先を歯形の半径方向に突き出し、その突き出しのときに歯形部品の歯形の歯先の頂部が型の歯形に接触しない状態を維持し、かつ、後続の型が、先行の型によって成形された歯形部品の歯形のピッチ円上の歯厚をほぼ同一に維持する歯形、又は、先行の型によって成形された歯形部品の歯形のピッチ円上の歯厚を減少させる歯形を有することを特徴とする歯形成形用の型。
(2)先行の型の歯底の両側の丸みが後続の型の歯形の歯底の両側の丸みよりも大きいことを特徴とする、前述の歯形成形用の型。
本発明の1つの実施形態によれば、本発明の型により成形する部品の好適例が歯車である。以下に述べるような種々の型を使用して、冷間鍛造で歯車の歯形を成形する。その方法は、次のような一連の工程を含む。
(1)金属材料の素材(たとえば円柱の中実材)から冷間鍛造で初期歯形を有する初期加工品を成形する初期工程。このとき、歯底の両側の丸みが完成歯形における歯底の両側の丸みよりも大きい初期歯形とする。
(2)初期歯形の初期加工品を冷間鍛造して、初期歯形の歯厚とほぼ同一に維持するか、10%以下の範囲で歯厚を減少させると同時に、歯先を突き出し成形する中間工程。
(3)その中間工程のあと、歯形をサイジング(仕上げ絞り)加工して完成歯形を形成する工程。
中間加工の際に、歯厚を増加させない。歯厚は、中間加工のときには、ほぼ同一か、むしろ(10%以下の範囲で)減少させる。それにより、より低い荷重で鍛造を実行できる。その結果、加工圧力を低減できるだけでなく、加工スピードを高めることも可能となる。
さらに、例えば歯車やスプライン歯などの歯形部品を高精度に冷間鍛造により製造することができる。
前述のような中間工程を介在させれば、最終的な工程で加工品の歯形が型の歯形と一致しやすい。ヘリカル歯車の場合でも、歯のネジレ角が大きくなっても、製品精度に差があまり生じない。
従来の絞り加工のみによる歯車の製造法と比較して、型に高い面圧下の摩擦がなくなるため、型の命数を延長できる。例えば、従来の絞り成形法に比べて命数は3〜10倍になる。
歯幅の薄い歯車、チェーンスプロケット等を冷間鍛造により製造できる。この場合、他の鍛造法と比べて強度と生産速度を向上できる。
金属材料の周方向の外側領域を、内側領域と比較して軸方向に厚くすれば、歯形に沿ったファイバーフローとなり、切削歯切に比し、高い強度を得ることができる。従来の精密剪断で生じていたダレや二次破断が生じない。
複数の異なる型を用いて、各型に合わせて段階的に歯形を成形すれば、ファイバーフローが良好となり、亀裂を生じない。
同一の型を用いても、中間工程の「突き出し」や「張り出し」の程度を変えながら段階的に歯形を複数段で成形すれば、歯先が円弧や他の山形の丸みのある形(頂部が真中に位置する曲面)をつくりながら、型内で完成歯形の歯先の形に近づいていき、ファイバーフローが良好となり、亀裂を生じない。
複数の冷間鍛造毎に、次のようにすると、その直後は、さらにより低い荷重で鍛造を実行できる。
(1) 潤滑被膜を施す。
(2) 軟化焼なましを施す。
(3) 歯形の調整を行う。歯厚はほぼ同一。
(4) 加工硬化率の高い材質の場合は第3加工も考慮して寸法配分する。
(5) 歯形部以外の形状、寸法も荷重が低くなるよう配分する。
(6) (1)〜(5)を組合せる。
本発明の別の実施形態の型を使用する方法を説明する。
中間工程後の歯形の外径は完成歯形より少し大きく成形する。これにより、その後の工程のサイジング(仕上げ絞り加工)で精確な歯形を得る。
初期工程後の加工品の歯厚寸法は完成歯形と同一か又は10%以下の範囲内で歯厚を増加するように設定して、初期歯形の歯底の丸みを完成歯形のものより大きく設定する。この場合、初期工程と中間工程との加工率を適性に配分すると、成形加工圧(成形荷重)は10〜50%低くしても、中間加工と完成工程のサイジング(仕上加工)により所望の完成歯形を得ることが出来る。
加工圧を大きくしないために、完全閉塞状態に近づけないこと(つまり非閉塞鍛造とすること)が好ましい。たとえば、初期工程や中間工程において、冷間鍛造の後に、型の歯形の歯先の先端と加工品の歯形の歯先の先端との間に空間が残るようにする。
また、初期加工型の歯形の歯先部になる部分は完成歯形とほぼ同じ歯厚か、それより小さい歯厚に設定し、かつ、加工品の歯先全体の丸みは円弧その他の山形の曲面形(真中に頂部が位置する形)にし、かつ大きく設定する。丸みを大きくすることにより、加工型の割れに対する強度が向上する。
素材のコイル材から始めて、パーツホーマーにより3段〜7段で完成歯形の成形が可能になる。この場合、コスト面で最良の量産形態が取れる。ヘリカル歯形の場合も、ネジレ角が正確に精度良く成形出来るため、後工程の精度出し基準面にすることが出来る。
歯先の突き出し高さは完成歯形の60%以上あれば相当な効果が認められる。
本発明は、前述のように非閉塞鍛造とすることにより、より低い成形荷重とすることを可能とする。成形機械は、好ましくは鍛造プレス(とくにパーツフォーマー)とする。
次のようにすると、各冷間鍛造において、より低い荷重で加工することができる。
(1) 硫化モリブデンコーティング又はボンディングの潤滑被膜を施す。
(2) 鋼の場合600℃〜650℃で、90分〜240分間、軟化焼なましを行う。
(3) 歯形の調整をする。歯厚は初期加工と中間加工でほぼ同一とする。歯先の高さ(歯タケ)と、歯元の丸みと、歯先の丸みの取り方をうまく組合せる。
(4) 加工硬化率の高い材質の場合は中間の追加的な三次加工の設定も考慮して寸法配分する。
(5) 歯形部分以外の形状、寸法の設定、配分を行う。
(6) 初期加工用の型の口元部にガイド部分を設ける。ガイド部の長さはほぼ加工品の歯幅とする。中間加工の型と初期加工の型との寸法差のロスを解消し、歯先の高さの増加(突き出し)を有効に得る。これは多量生産において実用的に有効な方法である。
さらに、本発明のさらに別の好適な実施形態の型を使用する方法を述べると、次のとおりである。
(1) 歯成形の初期工程は円柱の素材を型内に入れた状態で素材の両端をパンチで押圧して、外向きに素材の側面を張り出す成形とする。さらに、中間工程として突き出し成形をし、そのときの成形圧力を低くする。こうすれば、精度と、型命数向上に効果が大きい。
(2) 初期工程の直後に軟化焼なましと潤滑被膜付けを行う。これの主な目的は良好な表面粗さを得ることである。
(3) 中間工程の突き出し成形では、歯外径、歯面、歯底の各面に0.02〜0.10のサイジング代(仕上げ絞り代)をつけておく。ケースバイケースで突き出し成形を3回行うこともある。
(4) 完成工程でサイジング(仕上げ絞り加工)を行い、歯形を仕上げる。サイジング用の型は型の穴口元部にガイド部を設けて、歯筋をブランクの全長に恒りブランクと型の歯面を当てる。このことによりサイジング圧力による歯筋の狂いを防止できる。このようにすると、歯形仕上に要する加工圧が低いため、内部応力は小さくなり精度が高い。
(5) 歯形部品の端面と穴は切削する。加工基準面は歯面又は歯外径とする。さらに端面角部の面取り切削を行う場合もある。
(6) 硬化熱処理指定のある歯車は焼入れを行う。
(7) 表面粗さ向上と微小なバリの除去をする。たとえば、バレル研磨や、ショットピーニングを行う。電解研磨や化学研磨を行ってもよい。
(8) 歯形部品の穴と端面を研削加工する。指定なしの場合は研削加工はしない。
(9) 歯形部品を洗浄する。
(10) 歯形部品を防錆処理(一般には防錆油塗布)する。
これらの一連の工程(1)〜(10)は代表的な例である。(1)〜(4)が重要な工程である。
本発明の更に別の実施形態の型を使用する方法を説明する。
円筒形状の外周面を有する金属材料(たとえば円柱)の素材が、所定のメス歯形を有する型の中に挿入され、その型内で金属材料がパンチにより張り出し成形されて中間の歯形が冷間鍛造で形成される。
円柱素材の直径を、型の歯先円の直径より小さくしても良いし、歯車の谷径より小さくしても良い。
円柱素材をその軸心方向に沿って加圧して、型に向けて周方向に押付けるようにしても良い。
円柱素材の軸心方向の一端に支持部材を設け、他端に押圧部材を設け、押圧部材を用いて円柱素材を支持部材に向けて押圧しても良い。更に支持部材と押圧部材を、型の歯形と対応する歯形を有するようにしても良い。円柱素材の軸心方向の両端に押圧部材を設けても良い。
円柱素材がその軸心方向に貫通した孔を有し、孔の形状を保持するためのピンを孔内に配置するようにできる。
複数の異なる型を用いて、各型に合わせて段階的に歯形を成形しても良いし、同一の型を用いて、歯先の突き出しの程度を変えて段階的に歯形を成形しても良い。
円柱素材を初期成形させた後、軟化焼なましにより内部応力を除去しても良い。
絞り加工によって初期の歯形を成形しても良い。絞り加工した初期の歯形を、型内で歯先の突き出し成形をしても良い。
本発明の更に別の実施形態の型を使用する方法を説明する。
本発明は、冷間鍛造による歯車の製造法を改良したものである。とくに、本発明は、ヘリカル歯車の製造について顕著な効果を奏する。ヘリカル歯は、冷間鍛造による製造が極めて困難なものであると認識されてきたが、本発明によれば、ヘリカル歯車またはそれに類する歯車を効率よくかつ高精度に製造できる。
各種の歯車を、本発明の方法によって製造することができる。大小二つの歯車を有する二段歯車や、フランジ付きの歯車や、喰い付き面取り歯車や、ラチェット歯付きの歯車や、セレーション付きの歯車等を冷間鍛造で成形できる。さらに、直歯傘歯車やこれに類した歯車の冷間鍛造加工も可能である。
本発明の型を使用する製造方法によれば、歯車の製品精度は、JIS規格2級ないし5級にすることができる。
本発明の型を使用する製造方法によれば、フランジ付き歯車や、二段歯車や、スプライン付きの歯車であっても、1つの金属材料を冷間鍛造のみで一体加工することができる。
本発明の型を使用する方法は、必要に応じて切削加工等を鍛造の前後や途中に付加する方法を含むものである。つまり、本発明は、冷間鍛造のみで初めから終わりまで歯車の最終製品を製造する方法に限定されるものではない。
本発明の型を使用する方法において使用する材料は、主として金属であり、丸棒、リング状の素材、熱間又は温間鍛造による予備成形品その他である。コスト面から好ましい金属材料はコイル素材である。材質は歯車の材料として通常使用されているものは原則としてすべて使用できる。
加工素材の外周を予め増肉して加工すれば、以下の点で有利である。
(1)歯形に沿ったファイバーフローになり、強度的に有利である。
(2)歯面の面粗さは、型と同一に近いため、量産時に面粗さの悪化が少ない。
(3)歯車の精度は、型(ダイ)の精度が転写される。
(4)後工程は、ファインブランキングと同一にできる。
本発明の型を使用する方法において、金属材料の「張り出し」とは、金属材料を膨らませることを含む。金属材料を膨らませることを、単に「はらし」ともいう。「突き出し」は、歯先の部分を集中して隆起させる成形であり、特殊な張り出し成形(ただし歯厚が増加しない成形)といえる。
本発明は、平歯車、ヘリカル歯車(スパイラル歯車やネジレ歯車とも呼ぶ)の他、種々の歯車にも適用できる。
本発明は、歯幅の薄いものにも、厚いものにも適用できる。
本発明の型を使用する方法においては、金属材料の張り出し加工と、絞り加工と、突き出し加工を組み合わせて用いることができる。歯車の歯幅が比較的大きくなり、張り出し成形と突き出しのみでは円筒度が得にくい場合は適度な加工率の配分を行って絞り加工すると良い効果が得られる。展延性の良くない材質の場合も絞り加工を併用すると効果的である。加工率は寸法と材質を考慮して設定する。
素材は、孔の無い場合もあるが、歯形の成形前に孔が有る場合もある。孔の有る場合は、中心部に芯金ピンを配置すると良い。この場合、材料長さは孔無し材料より孔有り材料の方を長くする。初期の張り出し加工の時、孔を塑性加工しながら両端面を加圧して歯形を成形することもできる。
本発明の型を利用したヘリカル歯車の成形法の一例を以下に示す。
(1) ヘリカル歯形の成形の初期工程は張り出し成形とする。これによりネジレ角を正確に転写できるとともに、中間の加工から成形圧力を低くできる。
(2) 初期工程の直後に軟化焼なましと潤滑皮膜付けを行う。この工程は、主に表面粗さを得るため採用される。
(3) 初期工程の型から加工品をねじれ角に沿って回転させながら抜き出す。
(4) 加工品を中間工程用の型にねじれ角に沿って回転させながら挿入して、中間工程の突き出し成形を行う。ヘリカル歯の外径、歯面、歯底の各面に0.02〜0.10mmのサイジング(仕上げ絞り加工)代をつけておく。ケースバイケースで突き出し成形を計3回行うこともある。その後、加工品をねじれ角に沿って回転させながら型から抜き出す。
(5) 厚みを0.02〜0.2mm減少させるようにサイジングを行い、ヘリカル歯形を仕上げる。サイジング用の型には、その穴口元部にガイド部を設ける。歯スジをブランク(金属材料)の全長に亘り当てる。このことによりサイジング圧力による歯スジの狂いがでない。歯形仕上げに要する加工圧が低いため、内部応力は小さく精度が高い。
(6) ヘリカル歯車の端面と穴の加工は切削による。加工基準面は歯面又は歯外径とする。
(7) 硬化熱処理指定のある歯車は焼入れを行う。
(8) 表面粗さ向上と微小なバリの除去を目的として、バレル研磨やショットピーニングを行う。電解研磨や化学研磨を行っても良い。
(9) 歯車の孔と端面を研削加工する。指定無しの場合は研削加工しない。
(10) 洗浄する。
(11) 防錆処理する。
前述のいずれの実施形態においても、張り出し成形と突き出し成形は、パンチやピンを使用して素材や加工品の端面を押圧する圧縮成形とするのが好ましい。
以下、本発明のいろいろな実施例を、図面を参照して説明する。
図3の実施例
図3は、本発明の好適な実施例の1つを示す。この実施例においては、金属材料20が加工されて平歯車が成形される。図3は、説明のために、歯形を成形する前の状態を示している。
型21は軸心26方向に貫通した孔21aを有する。この孔21aの周面には、雌の歯形27が成形されている。歯形27は正規の平歯形である。符号23はピッチ円を示す。
符号24は歯形27の歯先円を示す。符号25は歯形27の歯元円を示す。
図1に示す従来例と比較したとき、図3の金属材料20は、その直径が歯先円24の直径よりも小さい点で相違する。例えば、金属材料20の直径が35mm程度のとき、歯先円24の直径はそれより0.02〜0.2mm大きくする。
金属材料20の上方には、押圧部材として加圧ピン28が設けられている。加圧ピン28は、矢印X方向に金属材料20を押圧するものである。加圧ピン28は、金属材料20に接する先端部28aを有する。先端部28aの直径は、金属材料20の直径とほぼ同じである。
金属材料20の下方には、支持部材として支えピン29が設けられている。支えピン29は、金属材料20を支持する。支えピン29は、図示省略された支持手段により動かないようになっている。支えピン29の周囲には、雄の歯形29aが成形されている。支えピン29の雄の歯形29aは、型21の雌の歯形27に対応している。
型21その他を使用して、冷間鍛造によってヘリカル歯車を製造する方法の一例を説明する。
まず、型21内に金属材料20を挿入する。金属材料20の直下には、予め支えピン29を設置しておく。
型21内に挿入した金属材料20を、加圧ピン28で押圧する。
まず初期工程として、押圧された金属材料20は、1回目の加圧で、圧縮され、上下の端面間が縮小し、かつ側面が外向きに張り出されて型21内に隆起し、型21の正規の歯形27の途中のところに、歯形27よりも小さな歯形が成形される。
そのように1回目の押圧で歯形を成形し、さらに、中間の工程として、成形圧力と成形速度を変更して、2回目又は3回目の押圧で、正規の歯形27に対応する正規の歯形を加工品に成形する。
この中間工程では、歯厚が同一に維持されると同時に、歯先が複数回の冷間鍛造によって円弧の形をつくりながら段階的に突き出していって完成歯形の歯先に近づいていく。
また、歯幅の厚い製品や高い精度の製品の場合は、完成工程として、歯形を有するサイジングダイ内を通過させることにより、歯形、その他について高い精度を得る。この場合、サイジング量は、例えば0.01〜0.2mmが適当である。
初期工程と中間工程と完成工程の際に、型の歯形を換えることにより、同様な方法で平歯車を成形することもできる。
図4〜5の実施例
図4〜5は、本発明の別の実施例を示す。この実施例においては、金属材料30の外周に比較的低い荷重で平歯車が成形される。図4は、説明のために、歯形を成形する前の状態を示している。図5は、図4のA−A断面図である。
型31は軸心36方向に貫通した孔31aを有する。この孔31aの周面には、雌の歯形37が成形されている。歯形37は正規の平歯形である。符号34は歯形37の歯先円を示す。符号35は歯形37の歯元円を示す。符号30aは金属材料30の外径を示す。
符号31bは型31のピッチ円を示す。
金属材料30は、外周が円筒形になった薄板であり、外周の歯成形部分の両側が同じ幅にわたって増肉してある。金属材料30の両側を同等に増肉するのが好ましいが、両側のうち一方だけを増肉しても良い。
金属材料30の上方には、歯を持つパンチ38が設けられている。パンチ38は、矢印X方向に金属材料30を押圧するものである。パンチ38は、下部に雄の歯形38aを有する。雄の歯形38aは、型31の雌の歯形37に対応している。
金属材料30の下方には、支持部材として支えピン39が設けられている。支えピン39は、金属材料30を支持する。支えピン39は、図示省略された支持手段により動かないようになっている。支えピン39の周囲には、雄の歯形39aが成形されている。支えピン39の雄の歯形39aは、型31の雌の歯形37に対応している。
型31その他を使用して冷間鍛造によって平歯車を製造する方法の一例を説明する。
まず、型31内に金属材料30を挿入する。金属材料30の直下には、予め支えピン39を設置しておく。
1回目の鍛造で、型31内に挿入した金属材料30を、パンチ38で押圧する。それにより、まず、金属材料30の増肉部が押圧されて外向きに張り出され、2回以降の押圧で金属材料30は型31内に突き出し、型31と同じ精度の歯車に成形される。こうして型31に対応した正規の歯車を得ることができる。
最後に、完成工程として、加工品の歯形をサイジング加工して仕上げる。
図6の実施例
図6は、本発明の更に別の実施例を示しており、とくに、金属材料の1回の張り出しと2回の突き出しの工程に分けて行う状況を示す。図中の符号40は、本発明の歯車としてのクランクスプロケットを示す。符号40aはピッチ円を示す。
以下、各工程を説明する。
第1工程において、金属材料を所定の型(図示省略)に挿入してパンチにより張り出し成形をする。これにより、正規の歯形よりも低い歯先(歯タケ)を有する第1工程の初期歯形41を得る。第1工程の歯形部分の歯先は符号41aで示されている。この歯先41aは大きな円弧となっている。
第2工程において、第1工程で得られた初期歯形41が、第1工程で用いた型よりも数パーセント小さい歯厚を有する歯形の型によって更に冷間鍛造されて突き出し成形させる。これにより、第2工程の歯形42を得る。第2工程の歯形部分の歯先は符号42aで示されている。この歯先42aは、非円形の丸みのある曲面形状になっている。
第3工程において、第2工程で得られた歯形42を、第2工程で用いた型よりも数パーセント小さい歯厚を有する歯形の型によって突き出し成形をする。これにより、第3工程の歯形43を得る。第3工程の歯形の歯先は符号43aで示されている。この歯先43aは、非円形の丸みのある曲面形状になっている。
こうして、3種類の型を用いて、張り出しや突き出しの程度を変えて歯厚を減少させつつ段階的に歯形を成形し、各型に合わせて段階的に丸みのある歯先を有する歯形を成形する。
得られた歯形43は、正規の歯形にサイジング代を有しており、ファイバーフローが良好となり、亀裂を生じない。
この歯形43は、仕上げサイジング絞り加工を行う。
図7〜10の実施例
図7〜10は、本発明の更に別の実施例を示す。図10は、図7〜9を合わせて示す。
図中の符号50は歯車を示す。符号54はピッチ円を示す。
以下、各工程を説明する。
初期工程において、金属材料を所定の第1の型(図示省略)に挿入して張り出し成形をする。これにより、図7に示す初期工程の初期歯形51を得る。
中間工程において、初期工程で得られた丸みのある歯底形状の初期歯形51を、所定の第2の型(図示省略)に挿入して突き出し成形をする。これにより、図8に示す中間工程の丸みのある歯底形状の歯形52を得る。
この中間工程では、歯厚が同一に維持されると同時に、歯底が複数回の冷間鍛造によって丸みのある形を変化させながら段階的に突き出していって完成歯形の歯先に近づいていく。
完成工程において、中間工程で得られた歯形52を、サイジング(すなわち絞り加工)によって歯形を仕上げ成形する。これにより、図9に示す完成歯形53を得る。
得られた完成歯形53は、正規の歯形であり、ファイバーフローが良好となり、亀裂を生じない。
図11〜14の実施例
図11〜14は、本発明の更に別の実施例を示す。この実施例は、金属材料の張り出しと突き出しを2つの工程に分け、更にサイジング(仕上げ絞り加工)工程と組み合わせて行う例である。図中の符号60は歯車を示す。符号64はピッチ円を示す。
以下、各工程を説明する。
初期工程において、金属材料を所定の型(図示省略)に挿入して張り出し成形をする。
これにより、図11に示す円弧状の歯先を有する初期歯形61を得る。
中間工程において、初期工程で得られた初期歯形61を、初期工程で用いた型と別の型(図示省略)に挿入して突き出し成形をする。これにより、図12に示す円弧状の歯先を有する歯形62を得る。
完成工程において、中間工程で得られた歯形62を、サイジングする。これにより、図13に示す歯形63を得る。
図14は、図11〜13を合わせて示す。
符号65は、第2工程後のファーバーフローを概念的に示す。得られた歯形63は、ファイバーフロー65が良好となり、亀裂を生じない。
図15の実施例
図15は、本発明の更に別の実施例を示す。
この実施例は、金属材料を張り出しと突き出しで成形したヘリカル歯車の歯形(A)と歯スジ(B)を、三次元測定機により計測したデータを示す。
図15中、(A)と(B)の各上側の1、5、10、14の数字は、歯の順番号を意味する。(A)と(B)の各下側の数値は、基準値を0として測定した測定値とJIS規格の精度等級を示す。左側は左歯面の形状を示し、右側は右歯面の形状を示す。
表1は、この図15の実施例で用いたヘリカル歯車の歯数、モジュール、圧力角、ネジレ角、転位係数、及び基礎円径を示す。
Figure 2007203376
張り出しと突き出し歯車を成形しても、最高級の歯車を成形できることがわかる。
図16の実施例
図16は、本発明の更に別の実施例を示す。
この実施例は、金属材料を張り出しと突き出しで成形し、更に絞り加工して成形したヘリカル歯車の歯形(A)と歯スジ(B)を、三次元測定機により計測したデータを示す。
図16中、(A)と(B)の各上側の1、5、10、14の数字は、歯の順番号を意味する。(A)と(B)の各下側の数値は、基準値を0として測定した測定値とJIS規格の精度等級を示す。左側は左歯面の形状を示し、右側は右歯面の形状を示す。
この図16の実施例で用いたヘリカル歯車の歯数、モジュール、圧力角、ネジレ角、転位係数、及び基礎円径は、表1と同じである。
歯形はJIS規格0〜1級であるが、歯スジの左歯面と右歯面の等級で2〜5級の差がある。測定誤差はあるものの、実力値は2〜4級と判断できる。
図17の実施例
図17は、本発明の更に別の実施例を示す。この実施例は、金属材料の張り出しと突き出しを、種々の冷間鍛造加工と組み合わせて行う例である。歯車としてクランクスプロケットが製造される。
以下、一連の製造工程を説明する。
(A)は、中実円柱の金属材料をコイル素材から所定の長さ毎に切断した円柱の素材70を示している。
(B)は、前述の(A)の状態にある素材70を冷間鍛造により加工して、下側に縮径部71とくぼみ72を成形した加工品を示している。
(C)は、前述の(B)の状態にある加工品70を冷間鍛造により加工して、上側のくぼみ73と下側の穴74を成形した状態を示している。
(D)は、前述の(C)の状態にある加工品70を冷間鍛造により加工して、拡径部76と下側の深い穴75を成形した状態を示している。
(E)は、前述の(D)の状態にある加工品70を図示省略した型内で張り出し成形して、正規の歯形よりも歯厚が大きく、かつ、歯先の低い初期の歯形77を成形した状態を示している。なお、下側には新たに穴78が成形されている。
以上の諸工程の後、穴を貫通させて図18に示す完成品を得る。
図18〜19は、正規の歯形87を有する完成品のクランクスプロケット79を示す。
図19は、図18の概略正面図である。
図18及び図19に示すクランクスプロケット79は、図17の加工品70から成形されたクランクスプロケットである。
初期歯形77の歯厚とほぼ同一に維持するか、初期歯形77よりも数%小さい範囲内で歯厚を減少させると同時に、初期歯形77よりも歯先を突き出す。その結果、完成歯形87(図18〜20)を有する完成品が得られる。
図20の実施例
図20は、図18〜19に示すスプロケットを製造する一例を示す。図20は、完成歯形87を成形した後の状態を示している。
型セット81は、型81aと型81bからなる。
型81aの軸心86方向には、孔81cが通っている。この孔81cの周面に雌の歯形87が成形されている。この歯形87は、正規の歯形である。符号87aは歯形87の歯先円を示す。符号87bは歯形87の歯元円を示す。
型81bは、型81aの下側に配置されている。型81bの軸心86方向には、孔81cよりも小径の孔81dが通っている。この孔81dの周面がクランクスプロケット79の下側外周面と対応している。型81bの上面は歯形87を支持する。
クランクスプロケット79の上方には、押圧部材としてパンチ88が設けられている。
パンチ88は、矢印X方向にクランクスプロケット79を押圧するものである。
パンチ88の外周面には、雄の歯形88aが成形されている。雄の歯形88aは、型81aの雌の歯形87と対応している。パンチ88は、下方に先端部88bを有する。先端部88bは、クランクスプロケット79の上面の形状と対応する形状を有している。
クランクスプロケット79の下方には、クランクスプロケット79の下端を支持するためのノックアウトスリーブ89が設けられている。ノックアウトスリーブ89は、図示省略された支持手段により動かないようになっている。
クランクスプロケット79の内側には、パンチ芯金82が通っている。
図20の型を使用して冷間鍛造によってクランクスプロケットを成形する方法を説明する。
まず、型81内に歯成形前の金属材料(図示省略)を挿入する。金属材料の直下には、予めノックアウトスリーブ89を設置しておく。金属材料の内部には、パンチ芯金82を挿入しておく。
型81内に挿入した金属材料を、パンチ88で押圧する。
押圧された金属材料は、張り出し成形されて、型81aの歯形に対応した歯形87を有する。
こうして型81セットによってクランクスプロケット79を得ることができる。
図21の実施例
図21は、本発明の更に別の実施例を示す。この実施例においては、ヘリカル歯形ピニオンが成形される。
ヘリカル歯形ピニオン90を成形する方法の一例を説明する。
予め孔を設けた円筒形の金属材料を所定の型に設置する(図示省略)。孔の中に、その孔の形に対応する形状のピン(図示省略)を挿入した状態で、金属材料をその軸心方向に沿って押圧する。押圧された金属材料は、周方向に張り出し成形され、その後、突き出し成形によって、対応する型の歯形と同じ歯形を有するように成形される。
突き出し成形後に、ヘリカル歯形ピニオン90をねじれ角に沿って回転させながら型から抜き出す。
ヘリカル歯形ピニオン90の一例を示すと、ねじれ角(ねじれ方向)が25°(左)で、歯の精度がJIS4級又は5級のものである。
図22と図23の実施例
型と被加工物の相対的な移動距離を少なくすれば、型の精度により近い加工物が得られる。その手法の一例を以下図22〜23を参照して説明する。
図22は、被加工物の成形開始状態を示す。図23は、被加工物の成形完了状態を示す。
歯を成形する主型は型101である。解り易くするため、図22では型101は固定された状態で描かれている。実際には型101は動いても良い。
型101は軸心106方向に貫通した孔101aを有する。この孔101aの周面には、雌の歯形107が成形されている。歯形107は正規の歯形である。符号103はピッチ円を示す。符号105は歯形107の歯元円を示す。
金属材料100の上方には、押圧部材として上押出しピン108が設けられている。上押し出しピン108は、金属材料100を上から押圧するものである。
上押し出しピン108の周囲には、上側スリーブ102が設けられている。上側スリーブ102は、金属材料100と上押出しピン108を側方から支持する。
金属材料100の下方には、押圧部材として下押出しピン109が設けられている。下押出しピン109は、金属材料100を下から押圧するものである。
下押出しピン109の周囲には、下側スリーブ104が設けられている。下側スリーブ104は、固定されていて、金属材料100と下押出しピン109を側方から支持する。
図22の型101等を使用して冷間鍛造によって歯車を製造する方法の一例を説明する。
金属材料100を型101の中央部に投入する。その後、上押出しピン108と上側スリーブ102が下方に移動して、金属材料100を閉じ込める。
上側スリーブ102と下側スリーブ104を停止させた状態にする。
上押出しピン108に矢印C方向の圧力を加える。下押出しピン104に矢印D方向の圧力を加える。上側スリーブ102は、油圧又はバネ圧により型101を挟んだ状態で止まっている。こうして型101の歯形107に向けて金属材料100を張り出し、成形する。同じ型を使用して、鍛造の条件(成形の圧力や速度など)を成形毎に変更したり、種々の型を成形毎に使用する。
図23の矢印Eは、金属材料の流れる方向を模式的に示している。
成形品110を型101から取り出すには、上押出しピン108と上側スリーブ102を上方に移動させた後、下押出しピン109を上方に動かして成形品110を型101の外へ出す。
このように成形すれば、成形される歯車と型との相対的移動距離は極めて少ないため、歯車を高精度に成形できる。
図24の実施例
図24は、本発明の更に別の実施例を示す。この実施例は、中間工程の型内で金属材料を突き出させた後、仕上げ用のサイジングとして更に絞り加工によって歯形を成形する例である。
絞り加工型111は、軸心116方向に貫通した孔111aを有する。この孔111aの周面に雌の歯形114が成形されている。符号117はピッチ円を示す。
絞り加工型111は、ガイド部112と絞り部113からなる。
ガイド部112は、絞り加工型111の口元に倣(ならい)のために設けられる。ガイド部112のピッチ円117の直径は、突き出し加工された前工程品のピッチ円の直径より僅かに大きくするのが良い。例えば0.05〜0.2mm大きくするのが良い。ガイド部112の軸方向長さは歯モジュールの5倍以上が好ましい。
絞り部113は、ガイド部112の下端に設けられている。絞り部113の歯形114は、正規の歯形である。
完成歯形を成形する際、初期工程は、金属材料の張り出し工程とし、そのあと、突き出し工程とする。これにより精密な歯スジを成形する。さらに、金属材料を孔111aに挿入する。そして、突き出し加工された歯面を倣(ならい)面として、絞り部113により金属材料を0.05〜0.2mm絞り加工する。これにより歯形の誤差を極めて小さくすることができる。
前述のいずれの実施例においても、複数の冷間鍛造毎に(少なくとも張り出し突き出しの間に)加工品を型から取り出し、潤滑被膜を施したり、軟化焼なましを施して、低い荷重の鍛造を可能とするのが好ましい。
また、前述のいずれの実施形態においても、最終段を除いて、密閉鍛造をしないこと、つまり、多段(複数の冷間鍛造)の各々で、加工品の歯先が型の歯先に到達する前に成形を停止することが、成形荷重の増大を避けるためには好ましい。
図25〜28の実施例
図25〜28は、本発明の更に別の実施例を示す。この実施例は、金属材料の張り出しと突き出しを2つの工程に分け、更にサイジング(仕上げ絞り加工)工程と組み合わせて行う例である。図中の符号120は歯車を示す。符号124はピッチ円を示す。
以下、各工程を説明する。
初期工程において、金属材料を所定の型の歯形120aの内側に挿入して張り出し成形をする。これにより、図25に示す大きな円弧形状の歯先を有する。初期歯形121を得る。そのとき、符号120bで示す三ケ月形の空間が加工品の初期歯形121の歯先と型の歯形120aの歯先との間に残っている。
中間工程において、初期工程で得られた初期歯形121を、初期工程で用いた型と別の型120cに挿入して突き出し成形をする。これにより、図26に示す歯形122を得る。符号120dはサイジング代を示す。なお、加圧加減によっては、歯形122は型120cの輪郭全面に当接しない場合もある。
完成工程において、中間工程で得られた歯形122を、サイジングする。これにより、図27に示す完成歯形123を得る。
図28は、図25〜27を合わせて示す。
符号125は、第2工程後のファーバーフローを概念的に示す。得られた歯形123は、ファイバーフロー125が良好となり、亀裂を生じない。なお、図中符号120eで示した径rは、プラス側であれば幅広い公差があってもよい。
図29の実施例
図29は、本発明の更に別の実施例を示す。この実施例は、金属材料の張り出しと突き出しを2つの工程に分け、更にサイジング(仕上げ絞り加工)工程と組み合わせて行う例である。図中の符号130は歯車を示す。符号134はピッチ円を示す。
以下、各工程を説明する。
初期工程において、金属材料を所定の型(図示省略)に挿入して張り出し成形する。これにより、大きな円弧形の歯先を有する初期歯形131を得る。
中間工程において、初期工程で得られた初期歯形131を、初期工程で用いた型と別の型(図示省略)に挿入して突き出し成形をする。これにより、別の大きな円弧形の歯先を有する歯形132を得る。
完成工程において、中間工程で得られた歯形132を、サイジングする。これにより、歯形133を得る。符号130dはサイジング代を示す。
なお、符号131a、133aは、加工品の歯の形状を示す。そのとき、符号135a、135bで示す空間が型の内側に残っている。突き出しにより形成された歯形の歯先の頂部は型の歯形の歯先に接触しないようになっている。歯形133aには、小さい角Rがないので、型の耐破壊(耐割れ)強度が向上する。突き出しにより形成された歯形の歯先の頂部の形状は、円弧に限らず、突き出しを有利にするものであれば丸みのある形状や、他の自由な形状にすることができる。
なお、本発明は前述の実施例に限定されない。
図1(A)は、図1(B)の1−1線に沿った断面図で、従来の冷間鍛造による平歯車の製造方法を示す。図1(B)は、図1(A)の矢印Aの方から見た、型の歯形成形開始部分を示す。 (A)は、従来の他の別の方法における第1の加工工程で使用する金型の断面図。(B)は、第2の加工工程で使用する金型の断面図。(C)〜(E)は、前述の第1の加工工程と第2の加工工程で成形加工された歯形の比較図。 本発明の実施例の1つを示す。 本発明の別の実施例を示す。 図4のA−A断面図である。 本発明の更に別の実施例を示す。 本発明の更に別の実施例で得られた歯形51を示す。 図7の次の工程で得られた歯形52を示す。 図8の次の工程で得られた歯形53を示す。 図7〜9を合わせて示す。 本発明の更に別の実施例で得られた歯形61を示す。 図11の次の工程で得られた歯形62を示す。 図12の次の工程で得られた歯形63を示す。 図11〜14を合わせて示す。 本発明の更に別の実施例を示す。 本発明の更に別の実施例を示す。 本発明の更に別の実施例を示す。 本発明により製造された完成品のクランクスプロケットの一例を示す。 図18の概略正面図である。 本発明の更に別の実施例を示す。 本発明の更に別の実施例を示す。 本発明の更に別の実施例であり、被加工物の成形開始状態を示す。 図22の被加工物の成形完了状態を示す。 本発明の更に別の実施例を示す。 本発明の更に別の実施例で得られた歯形121を示す。 図25の次の工程で得られた歯形122を示す。 図26の次の工程で得られた歯形123を示す。 図25〜27を合わせて示す。 本発明の更に別の実施例を示す。
符号の説明
20、30、70、100 金属材料
21、31、81a、81b、101 型
23、31a、40a、54、64、103、117、124 ピッチ円
24、34、87a、104 歯先円
25、35、87b、105 歯元円
26、36、86、106、116 軸心
27、37、87、107、114 雌の歯形
28 加圧ピン
28a、88b 先端部
29、39 支えピン
29a、38a、39a、88a 雄の歯形
30a 外径
38、88 パンチ
40、79 クランクスプロケット
41、42、43、51、52、53、61、62、63、77、87、121、122、123 歯形
41a、42a、43a、65、125 ファイバーフロー
50、60、120 歯車
71 縮径部
72、73 くぼみ
74、75、78 穴
76 拡径部
82 パンチ芯金ピン
89 ノックアウトスリーブ
90 ヘリカル歯形ピニオン
102 上側スリーブ
104 下側スリーブ
108 上押出しピン
109 下押出しピン
111 絞り加工型
112 ガイド部
113 絞り部

Claims (2)

  1. 複数の型の歯形を組み合わせて歯形部品の歯形を冷間鍛造によって成形するための型であって、歯形部品を型の入口から中に入れて型の軸心方向に型の最奥位置まで移動させる間に、その歯形部品の歯形の歯底を型の歯形によって歯形の半径方向に圧縮し、それと同時に、歯形部品の歯先を歯形の半径方向に突き出し、その突き出しのときに歯形部品の歯形の歯先の頂部が型の歯形に接触しない状態を維持し、かつ、後続の型が、先行の型によって成形された歯形部品の歯形のピッチ円上の歯厚をほぼ同一に維持する歯形、又は、先行の型によって成形された歯形部品の歯形のピッチ円上の歯厚を減少させる歯形を有することを特徴とする歯形成形用の型。
  2. 先行の型の歯底の両側の丸みが後続の型の歯形の歯底の両側の丸みよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の歯形成形用の型。
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