JP2007202635A - 医療用基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、医療用基材に官能基を均一に導入することで、血液のような多量の共存タンパクを含む溶液中においても過剰のサイトカインおよび/またはスーパー抗原を高効率に除去あるいは不活化することができる医療用基材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】
医療用基材に官能基を導入する際、装置単位面積あたりの反応液量を3.0ml/cm以下で行うことを特徴とする医療用基材の製造方法による。
【選択図】なし

Description

本発明は、医療用基材の製造方法に関するものであり、特に、ヒト血液中等の高濃度のタンパク質溶液中に存在するサイトカインおよび/またはスーパー抗原と結合することによって、炎症性サイトカインおよび/またはスーパー抗原を除去あるいは不活化する用途に好適に用いられる医療用基材の製造方法に関するものである。
医療用基材は、医療器具において種々の治療に用いられている。その中でも繊維形状等を有する基材に官能基を導入して製造して得られた基材は吸着剤等の用途等に用いられている。これら官能基を導入した基材を吸着剤として充填等したカラムに血液等を流して基材と接触させることにより、サイトカイン、スーパー抗原等の人体に有害となり得る物質が吸着除去されるものである。
サイトカインは、感染や外傷などの刺激により、免疫担当細胞を始めとする各種の細胞から産生され細胞外に放出されて作用する一群のタンパク質であり、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−1〜インターロイキンー−15、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死β、エリスロポエチン、および単球走化因子名など、数多くのものが知られている。
サイトカインは、本来は生体が生体防御のために産生する物質と考えられるが、炎症性サイトカインとして分類される腫瘍壊死因子、インターロイキン−6(以下、IL−6という。)、インターロイキン−8(以下、IL−8という。)、および単球走化活性化因子(以下、MCAF/MCP−1という。)などの一群のタンパクは、その過剰な産生が各種炎症性疾患における組織障害や病態に関与することが明らかになっている。例えば、腫瘍壊死因子の動物への投与は敗血症性のショックを誘起し、このサイトカインの作用を阻害することが病態改善に有用であることが報告されている。これらサイトカインが高濃度で血中に遊離している病態である高サイトカイン血症、例えば、ヒトの敗血症などにおいては、インターロイキン−6、インターロイキン−8、およびMCAF/MCP−1などの血液中濃度が顕著な上昇を示し、これらの濃度は、病態や予後と相関することが認められている。また、リウマチ性関節炎などの自己免疫疾患やアレルギー性疾患などにおいて、その過剰産生と病態との関連が指摘されている。
従来、炎症性サイトカインの作用を抑えることにより上記のような炎症性の疾患を治療する試みとして、抗体や可溶性受容体に代表されるような特異的に標的サイトカインと結合してその作用を阻害するタンパク質、あるいは、受容体アンタゴニストのようにサイトカインと競合的にその受容体に結合するタンパク質を、生体内に投与することが行われてきた。しかしながら、生体投与のための多量のタンパク質の調製には多大な費用がかかること、また投与するタンパクが生体にとって異物である場合には、患者にとって不都合な免疫反応を誘起する場合があり、これらにより投与可能な量と回数が制限される場合が多かった。
また、スーパー抗原が関与している疾患としては、スーパー抗原(TSST−1)に起因する毒素性ショック症候群(toxic shock syndrom;以下、TSSと略す。)、新生児TSS様発疹症(Neonatal TSS−like exanthematous disease;以下、NTEDと略す。)、およびYPMが原因の全身エルシニア菌感染症などがある。
さらに、猩紅熱、劇症型A群連鎖球菌感染症、および急性全身性血管炎である川崎病にも、スーパー抗原の関与が示唆されている。
従来より、スーパー抗原が関与している疾患に対する治療としては抗菌薬の投与が行われているが、感染が薬物耐性菌によるものであった場合には抗菌薬の効果はなく、病態が改善しない場合がある上、近年、抗菌薬の安易な投与による薬物耐性菌の出現が問題になっている。また、スーパー抗原の作用を抑えるという目的で、可溶性受容体やγグロブリン製剤などの抗体に代表されるような標的のスーパー抗原と特異的に結合してその作用を阻害するタンパク質、あるいは、受容体アンタゴニストのようにスーパー抗原と競合的にその受容体に結合するタンパク質を生体内に投与することが試みられてきたが、生体投与のための多量のタンパク質の調製には多大な費用がかかる。また、投与するγグロブリン製剤に含まれる抗体が標的のスーパー抗原に特異的でないために、病態が改善しない場合がある。さらに、投与するタンパク質が生体にとって異物である場合には、患者にとって不都合な免疫反応を惹起する場合がある。
体液中に存在するTSST−1を除去する材料に関しては、疎水結合の高い化合物を固定した材料によってTSST−1を吸着する材料が開示されている(特許文献1参照。)。
また、尿素、チオ尿素または分子構造内に複数個有するような、ポリ尿素やポリチオ尿素を結合した材料により、炎症性サイトカインを除去する試みもなされている(特許文献2参照。)。
上記のような吸着材料を製造するとき、一般的には反応単位を大きくすることにより生産効率が良くなる。しかしながら反応単位を大きくすることは、反応時のムラを生じさせる可能性があり、除去あるいは不活化する官能基を均一に導入することが困難であるというデメリットがある。かかる問題を解決するためには、反応単位を小さくすることが有効であるが、至適な大きさの反応単位について、従来検討がなされていなかったことが現状である。
特開平10−290833号公報 特開平10−147518号公報
本発明は、医療用基材に官能基を均一に導入することで、血液のような多量の共存タンパクを含む溶液中においても過剰のサイトカインおよび/またはスーパー抗原を高効率に除去あるいは不活化することができる医療用基材の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために下記の構成を有する。
(1)官能基導入反応時の装置単位面積あたりの反応液量を3.0ml/cm以下で行う医療用基材の製造方法。
(2)前記の医療用基材として、水不溶性基材であること。
(3)前記の水不溶性基材が芳香族環を有すること。
(4)前記の芳香族環を有する水不溶性基材がポリスチレン、ポリスルホンまたはそれらの誘導体からなること。
(5)前記の水不溶性基材が繊維であること。
(6)前記の繊維が海島型複合繊維であること。
(7)前記の導入する官能基が水素結合形成可能な官能基であること。
(8)前記の水素結合形成可能な官能基が尿素結合、チオ尿素結合およびアミド結合から選ばれること。
(9)前記の医療用基材がサイトカインを除去あるいは不活化すること。
(10)前記のサイトカインが炎症性サイトカインであること。
(11)前記の炎症性サイトカインが、インターロイキン−6もしくはインターロイキン−8のいずれか、またはインターロイキン−6およびインターロイキン−8両方であること。
(12)前記の医療用基材がスーパー抗原を除去あるいは不活化すること。
本発明によれば、医療用基材に官能基を均一に導入することが可能となるため、血液のような多量の共存タンパクを含む溶液中においても過剰のサイトカインおよび/またはスーパー抗原を高効率で迅速に除去あるいは不活化することができる医療用基材の製造方法を実現することができる。
本発明における製造方法は、基材に様々な特徴を与える官能基を導入するため、官能基を有する化合物を含む反応液を基材と反応させる際、装置単位面積あたりの反応液量を3.0ml/cm以下で行うことを特徴とするものである。
ここで、本発明における装置単位面積とは、反応装置において温冷媒等により熱交換をする場合、反応装置中に入れられた反応液と温冷媒等との両方が接触して熱交換を行う部分(反応面積ともいう。)の単位面積である。また、反応液量とは、バッチ式反応操作においては反応単位の大きさを示すものであり、1回の官能基導入反応において反応装置を介して温冷媒等と熱交換を行う反応液の量のことである。また、連続式反応操作においては単位時間当たりの反応単位の大きさを示すものであり、反応液が全反応面積に接触して熱交換を行っている状態において、反応面積と接触して熱交換を行っている液量の単位時間当たりの液量のことである。
装置単位面積あたりの反応液量が3.0ml/cmを超えるものとして官能基導入反応を行った場合、反応液の温度が不均一となる。反応液の温度が不均一な状態で医療用基材と接触すると、医療用基材への官能基の導入が不均一となる。それに対し、装置単位面積あたりの反応液量が3.0ml/cm以下の場合、反応液温度は均一となる。特に2.5ml/cm以下の場合、反応液温度を均一とする効果がより確実に得られるため、好ましい。その状態で医療用基材と接触させることにより官能基の導入も均一となる。
本発明において、導入する官能基としては特に制限はなく、例えば塩基性窒素原子を有する官能基として、第1級アミノ基、モノメチルアミノアルキル基、モノエチルアミノアルキル基、モノブチルアミノアルキル基、ジエチルアミノアルキル基、ジプロピルアミノアルキル基、ジブチルアミノアルキル基等で代表される第3級アミノ基およびトリメチルアンモニウムアルキル基、トリプロピルアンモニウムアルキル基、トリブチルアンモニウムアルキル基等で代表される第4級アンモニウム基などがあり、またα−ハロゲン化アシル基、ハロゲン化アルキル基、イソシアン酸基、カルボキシル基またはカルボン酸エステル基等の官能基が挙げられるがこれに限ったものではない。
また、これらの官能基を有する化合物として、ポリアミンが好適に用いられるが、かかるポリアミンとしては、ジアミノエタン、ジプロピレントリアミン、ポリエチレンイミン、N−メチル−2,2’−ジアミノジエチルアミン、N−アセチルエチレンジアミン、および1,2−ビス(2−アミノエトキシエタン)等に代表されるアルキルアミン類、中でもポリエチレンイミンに代表されるエチレンイミン類が好ましく用いられる。
また、官能基としては水素結合形成可能な官能基であることが好ましい。水素結合形成可能官能基として、その中でも生体に対して親和性が良いとされる尿素結合、チオ尿素結合、アミド基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、メルカプト基を導入する反応などが挙げられるが、その中でも生体に対して親和性が良いとされる尿素結合、チオ尿素結合またはアミド結合がより好ましく用いられる。尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合が一つの化合物において複数種存在してもよい。
本発明における医療用基材は、水不溶性基材であることが好ましい。ここでいう水不溶性基材は、水に不溶であれば良く、例えば、プロパン、ヘキサン、オクタンおよびドデカンなどの脂肪族化合物、およびシクロヘキサンやシクロペンタンのような脂環族化合物からなるものを挙げることができるが、生体成分との親和性の高さを考慮すると、ベンゼン、ナフタレンおよびアントラセン等の芳香族化合物がより好ましく用いられる。
本発明における水不溶性基材とは、実質上、あるいはその大部分が水に溶けない性質の材料を意味し、水中に入れた場合の重量変化が認められない材料を指す。
また、基材の材質として、ブロモヘプタン、クロロシクロヘキサン、メチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジフェニルメタン、およびクロロナフタレン等の誘導体も好適に用いられる。あるいは水酸基やカルボキシル基等の官能基を有する構造のものが好ましく用いられる。
水酸基を有する構造のものとしては、ヒドロキシプロパン、2−エタノールアミン、1, 3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、ヒドロキシブタノン、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシピリジン等や、グルコース、グルコサミン、ガラクトサミン、マルトース、セルビオース、スクロース、アガロース、セルロース、キチン、キトサン等の単糖、オリゴ糖、および多糖等の糖質あるいはそれらの誘導体を用いることができる。最も好ましくは、ポリアミンを有しさらに芳香族環を有する水不溶性基材が用いられる。
さらに、芳香族環を有する化合物としては、例えば、芳香族ポリビニル化合物、ポリスチレン系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリフェニレンサルファイドなどであり、さらに好ましくは、ポリアミンを共有結合により固定化可能な反応性官能基を持つ化合物を水不溶性基材として使用することができる。かかる反応性官能基としては、ハロメチル基、ハロアセチル基、ハロアセトアミドメチル基、ハロゲン化アルキル基などの活性ハロゲン基、エポキサイド基、カルボキシル基、イソシアン酸基、チオイソシアン酸基、酸無水物基などを使用することができるが、とりわけ、活性ハロゲン基の場合は、製造が容易な上に、反応性が高く好ましい。かかる反応性官能基を有する水不溶性基材の具体的な例としては、クロルアセトアミドメチル化ポリスチレン、クロルアセトアミドメチル化ポリスルホン等が好ましく使用されるものである。さらに、これらの水不溶性基材の中でも、有機溶媒に対し可溶であるものが、成型しやすいことから、特に好ましく使用される。また、ポリスチレン/ポリプロピレン海島繊維は、ポリスチレン部分に活性ハロゲン基を導入しやすく、ポリプロピレンによる強度補強による扱い易さを持つためより好ましい。
官能基を基材に反応させる場合、反応溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ヘキサン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。特に、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド等の極性溶媒が好ましく用いられる。
上記化合物等を使用して医療用基材として吸着材を製造する場合、不均一系反応が用いられることがあるが、かかる不均一系反応による吸着材の製造方法の一例としては、クロルアセトアミドメチル化ポリスルホンの繊維または中空糸などの成型品を、反応溶媒中に浸し、0〜100℃の温度で反応させることにより、容易に製造される。
上記の条件から適宜選択して製造された材料は、サイトカインまたはスーパー抗原除去カラムなどとして好ましく用いられる。その形状としては特に限定はないが、ビーズ、繊維、中空繊維、糸束、ヤーン、ネット、編み地、織物等が用いられる。中でも、表面積が大きく、流路抵抗の小ささを考慮すると、繊維、編み地、織物や中空糸が好ましく用いられる。
特に、繊維の中でも、海島型複合繊維を用いることにより、官能基の導入を容易に行うことができ、さらに強度の強い性質を併せ持つ基材が得られる。具体的に述べると、海成分がポリスチレン、島成分がポリプロピレンの海島型複合繊維は、ポリスチレン部分に活性ハロゲン基を導入しやすく、ポリプロピレンによる強度補強による扱い易さを持つためより好ましく用いられる。島成分の個数に特に限定はないが、製造上の問題から1〜100個が好ましい。海成分については、ポリ(芳香族ビニル化合物)以外に、ポリプロピレンのような補強用ポリマとのブレンド体であってもよい。この場合、補強用ポリマのブレンド比が大きくなればなるほど耐剥離性に優れた繊維が得られるが、逆に炎症性サイトカイン、黄色ブドウ球菌外毒素などのスーパー抗原の吸着性が低下するため、ブレンド比は50%未満、特に5〜30%程度が好ましい。繊維の直径は通常1〜100μm程度であるが、細すぎると糸強力が小さくなり、取り扱いが難しい欠点を生じ、太すぎると炎症性サイトカイン、黄色ブドウ球菌外毒素などのスーパー抗原の吸着性が低下するため、特に1〜50μmが望ましい。
本発明における医療用基材は、単独での使用のみならず、適当な基材にさらに固定化したり、他材料と混合して一つのカラムとして用いることもできる。本発明において製造された材料を用いたカラムを体外循環用カラムとして用いる場合には、体外に導出した血液を直接カラムに通しても良いし、血漿分離膜などと組み合わせて使用しても良い。
本発明において製造された材料は、炎症性サイトカインまたはスーパー抗原を吸着できる材料を選択した場合、高効率にこれらを除去あるいは不活化することが可能であるが、かかる炎症性サイトカインとしては、特に限定されるものではなく、一般に分類される腫瘍壊死因子(TNF)、IL−6もしくはIL−8、またはIL−6とIL−8の両方、単球走化活性化因子(MCAF/MCP−1)などの一群のタンパクなどを好適に除去あるいは不活化する。中でも、高サイトカイン血症治療用に本発明における材料を好適に用いることができる。また、スーパー抗原が原因である疾患を治療するために、高効率でスーパー抗原を除去あるいは不活化する用途に有用である。
以下、実施例を用いて詳細に説明を加えるが、発明の内容が実施例に限定されるものではない。
実施例1
50重量比の海成分(ポリスチレン)と50重量比の島成分(ポリプロピレン)とからなる海島型複合繊維(強度:0.76g/d、伸度:69%、太さ:9.07デニール、島の数:16)30gを、60gのN−メチロール−α−クロロアセトアミド、850gのニトロベンゼン、850gの98重量%硫酸、0.86gのパラホルムアルデヒドの混合溶液に20℃で1時間浸漬し反応させた。反応に用いた容器は、高さ22cm、直径9cmの円柱状の容器であり、反応面積は691cmであった。反応時の反応液容量は約1.7Lとなった。その時の装置単位面積は約2.5ml/cmであった。その後、繊維をニトロベンゼンで洗浄し、その後メタノールにより反応を停止させた後、さらにメタノールで洗浄することによりα−クロロアセトアミドメチル化架橋ポリスチレン繊維(以下AMPSt繊維と略す。)を得た。
次に、AMPSt繊維にテトラエチレンペンタミン8.5gを添加し、30℃で3時間浸漬し反応を行った。その後、ガラスフィルター上でDMSO:2Lを用いて洗浄した。さらにその繊維を4gの4−クロロフェニルイソシアネートを溶解したDMSO1.7Lの溶液に添加し、30℃で1時間浸漬し反応を行った。その後、ガラスフィルター上でDMSO2Lを用いて洗浄し、さらに蒸留水2Lを用いて洗浄し、尿素結合を導入したAMPSt繊維(UAMP繊維と略す)を得た。
ここで、作製したUAMP繊維を用いて、ヒト由来のサイトカインであるIL−6(h−IL−6とする。)(ペプロテック社製)、およびヒト由来のサイトカインであるIL−8(h−IL−8とする。)(ペプロテック社製)、TSST−1(トキシンテクノロジー社製)の吸着試験を行った。
h−IL−6、h−IL−8、TSST−1がそれぞれ1ng/mlの濃度になるように牛胎児血清(シグマ社製)中に溶解させ被吸着溶液とした。UAMP繊維2cmをそれぞれこの被吸着溶液1.4ml中に添加し、37℃で2時間旋回攪拌しつつ吸着反応を行った。吸着前後の反応液におけるh−IL−6、h−IL−8、TSST−1濃度をELISA法により測定した。なお、吸着前の反応液からは1点、吸着後の反応液からは5点をランダムに採り、定量を行った。
比較例1
50重量比の海成分(ポリスチレン)と50重量比の島成分(ポリプロピレン)とからなる海島型複合繊維(強度:0.76g/d、伸度:69%、太さ:9.07デニール、島の数:16)900gを、2400gのN−メチロール−α−クロロアセトアミド、15000gのニトロベンゼン、15000gの98重量%硫酸、104gのパラホルムアルデヒドの混合溶液に20℃で1時間浸漬し反応させた。反応に用いた容器は、高さ18cm、直径42cmの円柱状の容器であり、反応面積は2308cmであった。反応時の反応液容量は約24Lとなった。その時の装置単位面積は約10.4ml/cmであった。その後、繊維をニトロベンゼンで洗浄し、その後メタノールにより反応を停止させた後、さらにメタノールで洗浄することによりAMPSt繊維を得た。
次に、テトラエチレンペンタミン150gを添加し、30℃で3時間浸漬し反応を行った。その後、ガラスフィルター上でDMSO30Lを用いて洗浄した。さらにその繊維を68gの4−クロロフェニルイソシアネートを溶解したDMSO30Lの溶液に添加し、30℃で1時間浸漬し反応を行った。その後、ガラスフィルター上でDMSO30Lを用いて洗浄し、さらに蒸留水30Lを用いて洗浄し、実施例1と全く同様の吸着試験を行い、吸着前後の反応液におけるh−IL−6、h−IL−8、TSST−1濃度をELISA法により実施例1と同様にして測定した。
比較例2
50重量比の海成分(ポリスチレン)と50重量比の島成分(ポリプロピレン)とからなる海島型複合繊維(強度:0.76g/d、伸度:69%、太さ:9.07デニール、島の数:16)300gを、525gのN−メチロール−α−クロロアセトアミド、300gのニトロベンゼン、3600gの98重量%硫酸、7.5gのパラホルムアルデヒドの混合溶液に20℃で1時間浸漬し反応をさせた。反応に用いた容器は、高さ16cm、直径20cmの円柱状の容器であり、反応面積は1005cmであった。反応時の反応液容量は約5Lとなった。その時の装置単位面積は約5.0ml/cmであった。その後、繊維をニトロベンゼンで洗浄し、その後メタノールにより反応を停止させた後、さらにメタノールで洗浄することによりAMPSt繊維を得た。
次に、テトラエチレンペンタミン58gを添加し、30℃で3時間浸漬し反応を行った。その後、ガラスフィルター上でDMSO5Lを用いて洗浄した。さらにその繊維を23gの4−クロロフェニルイソシアネートを溶解したDMSO5Lの溶液に添加し、30℃で1時間浸漬し反応を行った。その後、ガラスフィルター上でDMSO5Lを用いて洗浄し、さらに蒸留水5Lを用いて洗浄し、実施例1と全く同様の吸着試験を行い、吸着前後の反応液におけるh−IL−6、h−IL−8、TSST−1濃度をELISA法により実施例1と同様にして測定した。
Figure 2007202635
このように、本実施例で用いた製造方法による材料においては、官能基の導入量を均一に導入することができ、その結果、h−IL−6、h−IL−8、TSST−1の吸着率が安定であること確認された。それに対し、本比較例では官能基の導入量が均一でないために、h−IL−6、h−IL−8、TSST−1の吸着率が安定しなかった。

Claims (12)

  1. 官能基導入反応時の装置単位面積あたりの反応液量を3.0ml/cm以下で行うことを特徴とする医療用基材の製造方法。
  2. 前記医療用基材が水不溶性基材であることを特徴とする請求項1記載の医療用基材の製造方法。
  3. 前記水不溶性基材が芳香族環を有することを特徴とする請求項2記載の医療用基材の製造方法。
  4. 前記水不溶性基材がポリスチレン、ポリスルホンまたはそれらの誘導体からなることを特徴とする請求項3記載の医療用基材の製造方法。
  5. 前記水不溶性基材が繊維形状を有することを特徴とする請求項3または4に記載の医療用基材の製造方法。
  6. 前記繊維が海島型複合繊維であることを特徴とする請求項5記載の医療用基材の製造方法。
  7. 導入する官能基が水素結合形成可能な官能基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の医療用基材の製造方法。
  8. 前記水素結合形成可能な官能基が尿素結合、チオ尿素結合およびアミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項7記載の医療用基材の製造方法。
  9. 前記医療用基材がサイトカインを除去あるいは不活化する基材であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の医療用基材の製造方法。
  10. 前記サイトカインが炎症性サイトカインであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の医療用基材の製造方法。
  11. 前記炎症性サイトカインがインターロイキン−6もしくはインターロイキン−8のいずれか、またはインターロイキン−6およびインターロイキン−8の両方であることを特徴とする請求項11のいずれかに記載の医療用基材の製造方法。
  12. 前記医療用基材がスーパー抗原を除去あるいは不活化する基材であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の医療用基材の製造方法。
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