JP6874390B2 - 改質セルロース - Google Patents

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本発明は、改質セルロースに関する。
これまで、セルロースに酸性官能基及び/又は塩基性官能基を導入した改質セルロースが多数報告されている。例えば、フラットフィルム、チューブラフィルム又は中空フィラメントの形状を有する血液透析のための透析膜において、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基及び/又は炭素原子3〜25個を有する複素環式化合物を、エーテル結合若しくはエステル結合を介して共有結合した改質セルロースが、補体活性の低減に有効であることが報告されている(特許文献1)。同様に、セルロース性の平坦膜に対して、置換又は非置換のアルキル基及び/又はアルケニル基及び/又はアリール基及び/又はアリールアルキル基を、エーテル及び/又はエステル及び/又はカルバメートで結合することで生体適合性を改善する方法が報告されている(特許文献2)。上記特許文献2のアリール基及びアリールアルキル基の炭素鎖は、1〜36個のC原子を含有し、O、S、Nのようなヘテロ原子により中断されていてもよく、かつ−NR’、−COOR’、−SOR’のような塩基性及び/又は酸性基若しくはその塩を含有した構造が開示されている。また、アルキレン基及び/又はシクロアルキレン基及び/又はアリーレン基にエステル結合を介してアミノ基及び/又はスルホン酸基を共有結合したベンジルセルロースエーテル誘導体が報告されている(特許文献3)。
非特許文献1には、アルキルセルロースの一種であるメチルセルロースエーテル及びエチルセルロースエーテルが17モル%以上のモル置換率で水溶性を発現することが開示されている。
また、β2−ミクログロブリンの吸着性能を向上させた改質セルロースとして、セルロースのヒドロキシ基にアミノ基やスルホン酸基等の異なる二種類以上の官能基が導入された改質セルロースが報告されている(特許文献4)。
一方、炎症性疾患の治療方法として、サイトカインと親和性の高い材料を充填したカラムを用いた血液体外循環療法が報告されている(特許文献5、非特許文献2及び非特許文献3)。
炎症性疾患に罹った患者は、サイトカインの血液中濃度が顕著に上昇することが知られている(非特許文献4及び非特許文献5)。ここで、サイトカインとは、感染や外傷等の刺激により、免疫担当細胞を始めとする各種の細胞から産生され細胞外に放出されて作用する一群のタンパク質であり、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−1〜インターロイキン−15、腫瘍壊死因子−α、腫瘍壊死因子−β、エリスロポエチン、単球走化因子等、数多く知られている。
サイトカインは、本来は生体が生体防御のために産生する物質と考えられるが、腫瘍壊死因子−β、インターロイキン−6、インターロイキン−8、単球走化活性化因子等の一群のタンパク質は、その過剰な産生が、各種炎症性疾患における組織障害や病態に関与することが明らかになっている。例えば、腫瘍壊死因子−βを動物に投与した場合、敗血症性のショックを誘起することから、腫瘍壊死因子−βの作用を阻害することが病態改善に有用であることが報告されている。これらサイトカインの血液中濃度は、病態や予後と相関することが認められている(非特許文献3及び非特許文献6)。また、リウマチ性関節炎等の自己免疫疾患やアレルギー性疾患等でもサイトカインの過剰産生と病態との関連が指摘されていることから、自己免疫疾患やアレルギー性疾患は炎症性疾患の一種としてとらえられる。
血液体外循環療法は、サイトカインと親和性の高い材料を充填したカラムと血液を接触させることで、炎症性疾患を発症した患者の血液からサイトカインを除去、炎症を鎮静化する治療法である。炎症性疾患治療用のカラムとしては、ポリスチレン繊維を充填したカラム(非特許文献2)やポリメチルメタクリレートの中空糸を充填したカラム(非特許文献5)が挙げられる。
特許第03329885号公報 特開平05−329341号公報 独特許第3524596号公報 特許第02818183号公報 特許第4591974号公報
Thomasら、 Macromol. Chem. Phys., 199, 2341−2364(1998) Hirasawaら、Blood Purif.,25,446−453(2007) Hirasawaら、日本腹部救急医学学会雑誌,29,739−745(2009) Hackら、INFECT.IMMUN.,60,2835−2842(1992) Hirasawaら、MOL.MED.,14,257−263,(2008) Aikawa、日本救急医学会雑誌,5,641−654(1994)
しかしながら、従来の酸性官能基及び/又は塩基性官能基を含む改質セルロースは、種々の溶媒に対する溶解性が高く、取り扱い性、特に耐薬品性が非常に悪いことが課題であった。そのため、酸性官能基及び/又は塩基性の官能基を含む改質セルロースの耐薬品性を確保するためには、導入する官能基に適したモル置換率を規定する必要がある。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されている改質セルロースは、そのセルロースのモル置換率に対する耐薬品性について記載されていない。特許文献3には、アリーレン基にエステル結合を介してアミノ基及び/又はスルホン酸基が共有結合したベンジルセルロース誘導体が開示されている。しかし、一般に、エステル結合は、酸、塩基によって加水分解を受けやすいため、耐薬品性が低いと考えられる。特許文献4には、β2−ミクログロブリンとの親和性を有する改質セルロースとして、芳香環にアミド基とアルキル基を介してアミノ基やスルホン酸基を共有結合したベンジルセルロース類縁体が開示されている。しかし、そのセルロースのモル置換率に対する耐薬品性について記載しておらず、さらに二種類以上の官能基を導入した改質セルロースに限定されている。特許文献5には、サイトカイン除去用又は不活化用の材料として、アミド結合とアミノ基とヒドロキシ基を導入した改質セルロースが開示されているが、官能基のモル置換率は記載されておらず、耐薬品性についても記載されていない。
酸性官能基及び/又は塩基性官能基を含む改質セルロースは、生体成分中に含まれる酸性官能基及び/又は塩基性構造と相互作用するため生体成分の処理に好ましいと考えられる。しかし、改質セルロースに耐薬品性がない場合、処理においては改質セルロースが溶解してしまうリスクがあり、透析においては分離孔の変化するリスクがあり、吸着除去においては吸着した生体成分の溶出が起こるリスクがある。したがって、耐薬品性を有していない改質セルロースは、特にサイトカイン吸着等を含む生体成分の処理等に用いる上で課題となる。
さらには、生体成分の処理等に利用するためには、比表面積を向上させ、吸着表面積を向上させた繊維形状が好ましいが、特許文献4及び5には、形状に関する記載はなく、特許文献1及び特許文献2では、平膜、中空糸に限定されている。
ここで、従来炎症性疾患用のカラムに用いられてきた材料は、耐薬品性がなく、炎症性疾患治療中、血液中に材料が溶出してしまうリスクがあった。例えば、非特許文献2で用いられているポリスチレンは、一般的に種々の有機物に対して溶解することが知られている。血液には乳酸、尿素、タンパク質など種々の有機物が含まれており、ポリスチレンはそれら有機物を取り込んで膨潤し、血液中に溶出するリスクがある。非特許文献5で用いられているポリメチルメタクリレートは、酸又は塩基によって容易に加水分解されるエステル基を含んでいるため、弱アルカリ性である血液との接触による材料溶出リスクがある。したがって、どちらの材料も治療中の材料溶出リスクが課題であった。
そこで本発明は、耐薬品性を有し、生体成分の吸着除去に適した酸性官能基及び/又は塩基性官能基を含む改質セルロースを得ることを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、以下の(1)〜(9)の発明を見出した。
(1)
以下の一般式(I)で示され、全ての置換基Aに対する一般式(II)で示される置換基のモル置換率が2〜100モル%である改質セルロース。
Figure 0006874390
[式中、Aは、ヒドロキシ基又は一般式(II)を表し、nは、セルロース中に含まれる一般式(I)構造のユニット数を表す。
Figure 0006874390
(式中、Rは、酸性官能基及び/又は塩基性官能基を含む炭化水素基を表し、Arは、炭素数6〜35の芳香環を表し、波線は、炭素原子との結合位置を表す。)]
(2)
Arは、ベンゼン環である、(1)記載の改質セルロース。
(3)
上記酸性官能基は、スルホン酸基であり、上記塩基性官能基は、アミノ基である、(1)又は(2)記載の改質セルロース。
(4)
生体成分の吸着除去用の吸着担体である、(1)〜(3)のいずれか一項記載の改質セルロース。
(5)
上記生体成分は、サイトカインである、(4)記載の改質セルロース。
(6)
上記サイトカインは、インターロイキン−6、インターロイキン−8又はハイモビリティーグループボックス−1である、(5)記載の改質セルロース。
(7)
単糸径が3〜200μmの繊維形状である、(1)〜(6)のいずれか一項記載の改質セルロース。
(8)
(1)〜(7)のいずれか一項記載の改質セルロースを吸着担体として備える、生体成分吸着除去用カラム。
(9)
炎症性疾患治療用である、(8)記載の生体成分吸着除去用カラム。
本発明の改質セルロースは、耐薬品性が高く、かつ生体成分の吸着除去能を有するため、高い安全性を確保しながら効率よく生体成分を吸着除去することができる。
本発明の改質セルロースは、以下の一般式(I)で示され、全ての置換基Aに対する一般式(II)で示される置換基のモル置換率が2〜100モル%であることを特徴とする。
Figure 0006874390
[式中、Aは、ヒドロキシ基又は一般式(II)を表し、nは、セルロース中に含まれる一般式(I)構造のユニット数を表す。
Figure 0006874390
(式中、Rは、酸性官能基及び/又は塩基性官能基を含む炭化水素基を表し、Arは、炭素数6〜35の芳香環を表し、波線は、炭素原子との結合位置を表す。)]
セルロース中に含まれる一般式(I)構造のユニット数であるnは、特に制限はないが、材料としての取り扱い性及び入手性の観点で、100〜10000の整数が好ましく、500〜2000の整数がより好ましい。
「酸性官能基及び/又は塩基性官能基を含む炭化水素基」とは、酸性官能基としてカルボン酸基及び/又はスルホン酸基を含み、塩基性官能基としてアミノ基を含む炭化水素基、酸性官能基としてカルボン酸基及び/又はスルホン酸基を含む炭化水素基、又は、塩基性官能基としてアミノ基を含む炭化水素基を意味する。カルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基は少なくともいずれか一種類が含まれている必要があり、複数種類の官能基が含まれていてもよい。さらに、炭化水素基に含まれる炭素―炭素結合及び/又は水素原子は、それぞれ、ヘテロ結合及び/又はヘテロ置換基により中断又は置換されていてもよい。カルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基のいずれもが好適に用いられるが、酸性官能基としてスルホン酸基を含み、塩基性官能基としてアミノ基を含む炭化水素基、酸性官能基としてスルホン酸基を含む炭化水素基、又は、塩基性官能基としてアミノ基を含む炭化水素基が好ましく、アミノ基を含む炭化水素基がより好ましい。
「炭素数6〜35の芳香環」とは、芳香族性を有する環状の不飽和炭化水素であり、かつ環に含まれる炭素数が6〜35である化学構造を意味する。例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン又はビフェニルが挙げられるが、ベンゼン、ナフタレン又はアントラセンが好ましく、ベンゼンがより好ましい。芳香環の炭素原子にはメチレン基とアミド基がそれぞれ、どの置換位置で共有結合されていてもよく、例えば、ベンゼン環に置換する場合、オルト位、メタ位、パラ位のどの組み合わせでもよいが、パラ位が好ましい。さらに、芳香環には、メチル基、イソプロピル基若しくはヘキシル基等のアルキル基、メチルエーテル基、イソプロピルエーテル基若しくはヘキシルエーテル基等のエーテル基又はカルボン酸基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、スルホン酸基若しくはヒドロキシ基等の極性官能基が置換されていてもよいが、無置換であることが好ましい。
「アミノ基」とは、アミンを部分構造として一つ以上含む化学構造を指し、その際、アミンの級数は第1級、第2級、第3級のいずれのアミンでもよく、4級アンモニウム塩でもよい。また、アミンは、無機酸又は有機酸との塩であってもよい。アミンには飽和若しくは不飽和の直鎖、分岐、環状構造を有する炭化水素構造が共有結合していてもよい。なお、上記アミノ基は、炭化水素基より改質セルロースの側鎖末端側に含まれるアミンを部分構造として一つ以上含む化学構造を指し、上記炭化水素基に含まれるアミンは上記アミノ基に含まない。アミノ基に共有結合している炭化水素構造の炭素数に限定はないが、アミン一つに対する炭化水素構造の炭素数は、20以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。ここで、アミン一つに対する炭化水素構造の炭素数とは、上記一般式(II)で表される置換基Rに含まれる炭化水素を構成する炭素原子の数をアミンの数で除した値を表す。例えば、上記一般式(II)において、Rが、−CHCHN(CHCHの場合は、6であり、Rが、−CHCH[NH(CHCH)]NHの場合は、2である。
アミノ基に含まれるアミンの数に制限はない。当該アミノ基が複数のアミンを有する炭化水素構造の場合は、アミノ基と炭化水素基の共有結合の位置に特に制限はなく、アミノ基に含まれる炭化水素構造と炭化水素基が結合していてもよく、アミノ基の窒素原子と炭化水素基が結合していてもよい。アミンを一つ含むアミノ基の例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムクロリド、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン、フェニルアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール又は3−アミノ−1−プロペンが挙げられる。また、アミンを複数含む例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラミン、テトラエチレンペンタアミン又はポリエチレンイミンが挙げられる。生体成分の吸着除去の観点からは、酸性官能基及び/又は塩基性官能基を含む炭化水素基中には、アミノ基としてアミンを三つ以上含んでいるジエチレントリアミン、トリエチルテトラミン、テトラエチレンペンタアミン、ポリエチレンイミンが好ましく、数平均分子量6.0×10〜1.0×107のポリエチレンイミンがより好ましい。
「スルホン酸基」とは、スルホン酸を部分構造として一つ以上含む化学構造を指し、その際、スルホン酸は、無機塩基又は有機塩基との塩であってもよい。スルホン酸には直鎖、分岐、環状構造を含む飽和若しくは不飽和の炭化水素構造が共有結合していてもよい。なお、上記スルホン酸基は、炭化水素基より改質セルロースの側鎖末端側に含まれるスルホン酸を部分構造として一つ以上含む化学構造を指し、上記炭化水素基に含まれるスルホン酸は上記スルホン酸基に含まない。スルホン酸基に共有結合している炭化水素構造の炭素数に限定はないが、スルホン酸一つに対する炭化水素構造の炭素数は、20以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。ここで、スルホン酸一つに対する炭化水素構造の炭素数とは、上記一般式(II)で表される置換基Rに含まれる炭化水素を構成する炭素原子の数をスルホン酸の数で除した値を表す。例えば、上記一般式(II)において、Rが、−CHCHSOHの場合は、2である。
スルホン酸基に含まれるスルホン酸の数に制限はない。当該スルホン酸基が複数のスルホン酸を有する炭化水素構造の場合は、スルホン酸基と炭化水素基の共有結合の位置に特に制限はなく、スルホン酸基に含まれる炭化水素構造と炭化水素基が結合していてもよく、スルホン酸基の硫黄原子と炭化水素基が結合していてもよい。スルホン酸を一つ含むスルホン酸基の例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トシル酸若しくはスチレンスルホン酸又はその塩であるメタンスルホン酸ナトリウム、エタンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、トシル酸ナトリウム若しくはスチレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。また、スルホン酸を複数含む例としては、ポリスチレンスルホン酸又はポリスチレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。生体成分の吸着除去の観点からは、酸性官能基及び/又は塩基性官能基を含む炭化水素基中には、スルホン酸基としてスルホン酸を一つ以上含んでいることが好ましく、数平均分子量1.0×10〜1.0×10のポリスチレンスルホン酸構造がより好ましい。
酸性官能基としてスルホン酸基を含み、塩基性官能基としてアミノ基を含む炭化水素基、酸性官能基としてスルホン酸基を含む炭化水素基、又は、塩基性官能基としてアミノ基を含む炭化水素基の好ましい具体例を、表1−1及び1−2に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006874390
Figure 0006874390
表中、波線は、上記一般式(II)との結合位置を表す。
「カルボン酸基」とは、カルボン酸を部分構造として一つ以上含む化学構造を指し、その際、カルボン酸は、無機塩基又は有機塩基との塩であってもよい。カルボン酸には直鎖、分岐、環状構造を含む飽和若しくは不飽和の炭化水素構造が共有結合していてもよい。なお、上記カルボン酸基は、炭化水素基より改質セルロースの側鎖末端側に含まれるカルボン酸を部分構造として一つ以上含む化学構造を指し、上記炭化水素基に含まれるカルボン酸は上記カルボン酸基に含まない。カルボン酸基に共有結合している炭化水素構造の炭素数に限定はないが、カルボン酸一つに対する炭化水素構造の炭素数は、20以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。ここで、カルボン酸一つに対する炭化水素構造の炭素数とは、上記一般式(II)で表される置換基Rに含まれる炭化水素を構成する炭素原子の数をカルボン酸の数で除した値を表す。例えば、上記一般式(II)において、Rが、−CHCHCOHの場合は、2である。
当該カルボン酸基が複数のカルボン酸を有する炭化水素構造の場合は、カルボン酸基と炭化水素基の共有結合の位置に特に制限はなく、カルボン酸を一つ含む例としては、酢酸、酪酸、安息香酸、p−メチル安息香酸、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はその塩である酢酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−メチル安息香酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム若しくはメタクリル酸ナトリウムが挙げられる。また、カルボン酸を複数含む例としては、ポリアクリル酸若しくはポリメタクリル酸又はその塩であるポリアクリル酸ナトリウム若しくはポリメタクリル酸ナトリウムが挙げられる。
なお、上記一般式(II)で示される置換基Rにアミノ基及びスルホン酸基及び/又はカルボン酸基が含まれる場合は、炭化水素を構成する炭素原子の数を、アミン、スルホン酸、及びカルボン酸の合計数で除した値が、20以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。例えば、上記一般式(II)において、Rが、−CHCH[NH(CHCH)]NHC(=O)CHCHNHC(=NH)C(CH[CHCH(PhSONa)]n(n=500)の場合は、炭化水素を構成する炭素原子の数が4013であり、アミン、スルホン酸、カルボン酸の合計数が505であるので、7.9となる。
「炭化水素基」とは水素原子と炭素原子から構成される化学構造を表す。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基若しくはヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基若しくはイソプロペニル基等のアルケニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基若しくはシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基若しくは2−ナフチル基等のアリール基、トリル基、ベンジル基若しくはトリチル基等のアリールアルキル基、スチリル基若しくはベンジリデン基等のアリールアルキニル基、アセチレン基、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基若しくはヘキシレン基等のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアリールアルキレン基が挙げられる。さらにポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンのように上記構造を組み合わせたポリマー構造を有していてもよい。これらの構造に制限はないが、生体成分の吸着除去の観点からは、運動性がよいことが好ましいため、ポリエチレン構造又はポリスチレン構造が好ましい。さらに、炭化水素基に含まれる炭素―炭素結合及び/又は水素原子は、それぞれ、ヘテロ結合及び/又はヘテロ置換基により中断又は置換されていてもよい。
「ヘテロ結合」とは、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から構成される化学結合を表し、例えば、アミド結合、エーテル結合、尿素結合又はアセタール結合が挙げられる。上記ヘテロ結合に制限はないが、アミド結合又はエーテル結合が好ましい。
「ヘテロ置換基」とは、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、塩素原子及び臭素原子からなる群から構成される置換基を表し、例えば、カルボニル基、ヒドロキシ基、アルデヒド基、メルカプト基、クロロ基又はブロモ基が挙げられる。上記ヘテロ置換基に制限はないが、クロロ基又はブロモ基が好ましい。
「改質セルロース」とは、セルロースのヒドロキシ基に対して共有結合で置換基が導入されたセルロースを表す。本発明の改質セルロースの分子量に制限はないが、数平均分子量で1.0×10〜1.0×10であることが好ましく、1.0×10〜1.0×10がより好ましい。
「モル置換率」とは、改質前のセルロースに含まれるヒドロキシ基のうち、官能基で置換された割合を意味する。例えば、改質前のセルロールに含まれるヒドロキシ基が、上記一般式(II)で表される構造を有する官能基で50モル%置換された場合、全ての置換基Aに対する上記一般式(II)で示される置換基のモル置換率は50モル%となる。この場合、残りの50モル%は置換されずにヒドロキシ基として残存していることとなる。生体成分の吸着除去の観点から、モル置換率は、2〜100モル%であり、好ましくは5〜100モル%であり、より好ましくは21〜100モル%であり、さらに好ましくは21〜95モル%である。モル置換率の下限値は2モル%であり、好ましくは5モル%であり、より好ましくは21モル%である。モル置換率の上限値は100モル%であり、好ましくは95モル%であり、より好ましくは90モル%である。いずれの好ましい下限値もいずれの好ましい上限値と組み合わせることができる。
「耐薬品性」とは、イオン交換水、1M水酸化ナトリウム水溶液、1M塩酸、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジクロロメタン、トルエン又はヘキサン中、15〜50℃の温度範囲で耐薬品性を評価する材料を20時間含浸した場合の耐久性を意味する。耐薬品性の評価方法としては、例えば、含浸前後の乾燥重量変化を評価する方法が挙げられる。
本発明の改質セルロースは、生体成分の吸着除去用途として好適に用いることができる。その形状に特に制限はないが、生体成分を吸着除去する場合は、繊維が好ましく、さらに、その繊維を加工した糸束、ヤーン、ネット、編地又は織物等が好ましい。表面積や流路抵抗を考慮すると、糸束、編地又は織物がより好ましい。また、本改質セルロースは、単独での使用のみならず、適当な基材に対してさらに固定化する、又は他材料と混合して用いることもできる。固定化又は混合等の操作は、改質セルロースを前記形状に加工する前に行ってもよいし、加工した後に行ってもよい。
「単糸径」とは、繊維の小片サンプル10個をランダムに採取して、走査型電子顕微鏡を用いて1000〜3000倍の写真をそれぞれ撮影し、各写真辺り10カ所(計100箇所)の繊維の直径を測定した値の平均値を意味する。
上記単糸径は、いずれの太さであってもよいが、接触面積向上と担体強度の観点から3〜200μmが好ましく、3〜50μmがより好ましく、3〜20μmがさらに好ましい。上記単糸径の下限値の好ましい値は3μmである。また、上記単糸径の上限値の好ましい値は200μmであり、より好ましくは50μmであり、さらに好ましくは20μmである。いずれの好ましい下限値もいずれの好ましい上限値と組み合わせることができる。
「生体成分」とは、血液、唾液、汗、尿又は涙等の生体由来の液体に含まれる成分を指す。例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄若しくはコバルト等の金属及びそのイオン、リン及びそのイオン、尿素、β2−ミクログロブリン、サイトカイン類、IgE若しくはIgG等のタンパク質、赤血球、リンパ球、顆粒球、単球若しくは血小板等の細胞、リポポリサッカライド等の多糖類、インフルエンザウイルス若しくはHIVウイルス等のウイルス又は黄色ブドウ球菌等の細菌が挙げられる。
「サイトカイン」とは、特定の細胞に情報を伝達する、細胞から分泌されるタンパク質を意味する。例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α、トランスフォーミング増殖因子−β、インターフェロン−γ、血管新生増殖因子、免疫抑制酸性蛋白又はハイモビリティーグループボックス−1が挙げられる。
「インターロイキン」とは、白血球が分泌し、免疫系の調節に機能するサイトカインのことをいい、例えば、インターロイキン−1、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−10又はインターロイキン−17が挙げられる。
吸着除去対象としては、一般に酸性官能基及び/又は塩基性官能基と相互作用する構造を有する金属及びそのイオン、リン及びそのイオン、尿素、タンパク質並びに多糖類が吸着除去対象として好ましく、炎症性疾患の治療を目的とする場合は過剰に産生したサイトカインが病態の進展に関与することから、サイトカインが吸着除去対象として好ましい。炎症性疾患の治療を目的とする場合、サイトカインの中でも除去することで病態が改善することが知られているインターロイキン−6、インターロイキン−8又はハイモビリティーグループボックス−1が吸着除去対象としてより好ましい。
「吸着」とは、生体成分が改質セルロースに付着し、容易に剥離しない状態を意味する。例えば、静電相互作用、疎水性相互作用、水素結合又はファンデルワールス力等の分子間力によって生体成分が改質セルロースに付着した状態を指すが、吸着の様式はこれらに制限されない。
「生体成分の吸着除去」とは、少なくとも1つの生体成分が改質セルロースを用いて吸着により分離除去された状態を意味する。サイトカインの吸着除去においては、改質セルロースの酸性官能基及び/又は塩基性官能基により吸着除去されることが好ましい。
「吸着担体」とは、生体成分を吸着除去可能な材料を意味する。
本発明の改質セルロースは、生体成分吸着除去用カラムに充填する吸着担体として好適に用いることができる。その形状に特に制限はないが、カラムに充填する吸着担体として用いる場合には、繊維を加工した糸束、ヤーン、ネット、編地又は織物等が好ましい。表面積や流路抵抗を考慮すると、糸束、編地又は織物がより好ましい。また、本改質セルロースは単独での使用のみならず、適当な基材に対してさらに固定化する、又は他材料と混合して用いることもできる。固定化又は混合等の操作は、本改質セルロースを前記形状に加工する前に行ってもよいし、加工した後に行ってもよい。
本発明の改質セルロースを用いたカラムを体外循環用カラムとして用いる場合には、体外に導出した血液を直接カラムに通してもよいし、血漿分離膜等と組み合わせて使用してもよい。
上記生体成分吸着除去用カラムの容器形状としては、血液の入口と出口を有する容器であれば特に制限はないが、例えば、円柱状容器又は三角柱状、四角柱状、六角柱状若しくは八角柱状等の角柱状容器が挙げられ、生体成分の吸着除去用の吸着担体を積層状に充填できる容器、生体成分の吸着除去用の吸着担体を円筒状に巻いたものを充填できる容器又は血液が円筒の外周より入り内側へと流れて容器外に出る容器が好ましい。
上記生体成分吸着除去用カラムは、特に炎症性疾患治療用に当該カラムを用いることが好ましく、血液体外循環療法による血液中からのサイトカイン除去を介した炎症性疾患治療用に上記生体成分吸着除去用カラムを用いることがより好ましい。
「炎症性疾患」とは、体内で炎症反応が惹起される疾患全体を表し、例えば、全身性エリテマトーデス、悪性関節リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、薬剤性肝炎、アルコール性肝炎、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎若しくはE型肝炎、敗血症(グラム陰性菌由来の敗血症、グラム陽性菌由来の敗血症、培養陰性敗血症、真菌性敗血症)、インフルエンザ、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺傷害(ALI)膵炎、特発性間質性肺炎(IPF)、炎症性腸炎(潰瘍性大腸炎、クローン病)、血液製剤の輸血、臓器移植、臓器移植後の再灌流障害、胆嚢炎、胆管炎又は新生児血液型不適合等が挙げられる。炎症性疾患の中でも、血液中に原因物質が放出され、血液浄化による治療効果が特に期待できる疾患である、薬剤性肝炎、アルコール性肝炎、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎若しくはE型肝炎、敗血症(グラム陰性菌由来の敗血症、グラム陽性菌由来の敗血症、培養陰性敗血症、真菌性敗血症)、インフルエンザ、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺傷害(ALI)、膵炎、特発性間質性肺炎(IPF)、が対象として好ましい。
上記改質セルロース(I)は、例えば、スキーム1に示すようにセルロース(III)とアミンとの縮合反応によって得ることができる。
Figure 0006874390
[式中、Yは、セルロースの繰り返し構造1ユニット中に含まれる3つのヒドロキシ基のうち、官能基により置換されたヒドロキシ基の個数の平均値であり、0〜3の値で表される。Ar、R及びnは、上記定義に同じである。]
縮合反応に用いるアミンの量は、セルロース(III)に対して、3〜30当量が好ましく、5〜15当量がより好ましい。
縮合反応に用いるCondensing agentとしては、例えば、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドn−水和物、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩又はジシクロヘキシルカルボジイミドが挙げられるが、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドn−水和物が好ましい。
縮合反応に用いるCondensing agentの量は、セルロース(III)に対して、3〜10当量が好ましく、5〜7当量がより好ましい。
縮合反応に用いる反応溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド又はこれらの混合溶媒等が挙げられるが、水が好ましい。
縮合反応の反応温度は、20〜50℃が好ましい。
縮合反応の反応時間は、4〜24時間が好ましい。
縮合反応に用いるCondensing agent及びアミンは、購入することができるが、公知の方法で製造することもできる。
セルロース(III)は、例えば、スキーム2に示すように、アルカリセルロース(IV)とハロゲン化メチル芳香族カルボン酸誘導体(V)とのエーテル化反応より得ることができる。
Figure 0006874390
[式中、Aは、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを表し、Xは、ハロゲン原子を表し、Ar及びYは、上記定義に同じである。]
エーテル化反応に用いるハロゲン化メチル芳香族カルボン酸誘導体(V)としては、例えば、o−クロロメチル安息香酸、o−ブロモメチル安息香酸、m−クロロメチル安息香酸、m−ブロモメチル安息香酸、p−クロロメチル安息香酸又はp−ブロモメチル安息香酸が挙げられるが、p−ブロモメチル安息香酸が好ましい。
エーテル化反応に用いるハロゲン化メチル芳香族カルボン酸誘導体(V)の量は、アルカリセルロース(IV)に対して1〜10当量が好ましく、3〜5当量がより好ましい。
エーテル化反応に用いる反応溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド又はこれらの混合溶媒等が挙げられるが、エタノールが好ましい。
エーテル化反応の反応温度は、0〜90℃が好ましく、25〜50℃がより好ましい。
エーテル化反応の反応時間は、4〜120時間が好ましく、8〜24時間がより好ましい。
エーテル化反応に用いるハロゲン化メチル芳香族カルボン酸誘導体(V)は、購入することができるが、公知の方法で製造することもできる。
アルカリセルロース(IV)は、例えば、スキーム3に示すように、セルロース(VI)のアルカリ化反応により得ることができる。
Figure 0006874390
[式中、Bは、水酸化物イオン又はアルコキシドイオンを表し、Aは、上記定義に同じである。]
セルロース(VI)は、購入することができる。
セルロース(VI)の形状としては、例えば、フィルム、粉末、繊維、編地、不織布又は織物等が挙げられるが、繊維、編地、不織布又は織物が好ましく、編地がより好ましい。
アルカリ化反応に用いるBaseとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム若しくは水酸化カルシウム等の無機塩基又はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カルシウムメトキシド若しくはカルシウムエトキシド等の金属アルコキシドが挙げられるが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。
アルカリ化反応溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド又はこれらの混合溶媒等が挙げられるが、水が好ましい。
アルカリ化反応に用いるBaseの反応開始時の濃度は、5〜30wt%が好ましく、20〜30wt%がより好ましい。
アルカリ化反応の反応温度は、0〜90℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。
アルカリ化反応の反応時間は、1〜120時間が好ましく、2〜12時間がより好ましい。
反応後の遠心分離操作は、150〜300rpmで3〜60分間行うことが好ましく、5〜20分間行うことがより好ましい。
上記改質セルロース(I)の生体成分の吸着除去性能の評価方法としては、例えば、改質セルロースに対する、p−(2−ヒドロキシ−1−ナフチルアゾ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下、アシッドオレンジ7)やサイトカインである、インターロイキン−6、インターロイキン−8、ハイモビリティーグループボックス−1の吸着量を評価する方法が挙げられる。アシッドオレンジ7、インターロイキン−6、インターロイキン−8、ハイモビリティーグループボックス−1は、静電相互作用、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス力によって材料に吸着するため、生体成分の吸着除去性能のモデル評価用化合物として好適であり、これら物質の吸着量が多いほど生体成分の吸着除去性能が高いと判断できる。生体成分の中でも金属及びそのイオン、リン及びそのイオン、尿素、タンパク質、多糖類は吸着除去対象として好ましく、さらに炎症性疾患の治療を目的とする場合はサイトカインが吸着除去対象としてより好ましい。
以下、本発明の改質セルロースについて、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、実施例中、wt%は、重量%の意味である。また、Mは、mol/L、rpmは、revolution per minuteを意味する。全反射赤外吸収スペクトルは、Thermo Scientific社製のNicolet iS5 FT−IR(iD5 ダイヤモンドATRアクセサリ付属)を用いて測定した。また、赤外分光測定の前にブランク測定を行い、バックグラウンドのピークは差し引いた。pH測定は、HORIBA社製卓上型pHメーターF―74BW(スタンダード ToupH 電極 9615S−10D付属)の電極を25℃の溶液に浸すことで行った。また、測定前には、中性リン酸塩標準液(リン酸一カリウム水溶液(3.40g/L)、和光純薬工業(株)社製)及びフタル酸塩標準液(フタル酸水素カリウム水溶液(10.21g/L)、和光純薬工業(株)社製)を用いて校正を行った。吸光度は、(株)島津製作所製紫外可視分光光度計(UV−1280)を用いて、室温下で測定した。吸光度測定の前にブランク測定を行い、バックグラウンドのピークは差し引いた。
(セルロースの編地作製)
編み立て機により、単糸径20μmのセルロースの繊維からなる筒編み編地を作成した。(以下、セルロースA)。同様に、単糸径3μmのセルロースの繊維からなる筒編み編地を作製した(以下、セルロースB)。なお、どちらの編地も、編地面積当たりの重量は0.13g/cmで編地の厚みは0.25mmであった。原料のセルロースは、全て数平均分子量1.7×10(GPC測定、ポリスチレンスタンダード基準)を用いた。
(p−安息香酸メチレン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−ブロモメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で8時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。さらに不溶成分をろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌を行った。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着している溶液を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分をp−安息香酸メチレン結合セルロースエーテル(以下、改質セルロースA’)とした。
(p−安息香酸メチレン基の導入確認)
改質セルロースA’へのp−安息香酸メチレン基の導入は、全反射赤外吸収スペクトルでカルボン酸由来のピーク(1738cm−1)の出現により確認した。測定はあらかじめ乾燥機により60℃で4時間静置することで乾燥させた改質セルロースA’を、赤外分光装置のプリズムに押しつけることで測定した。
(p−安息香酸メチレン基のモル置換率の測定)
p−安息香酸メチレン基のモル置換率については、改質セルロースA’に含まれるカルボン酸基の滴定により決定した。ポリプロピレン製容器に対し、乾燥機にて60℃で4時間静置することで乾燥した改質セルロースA’1.0gをイオン交換水20mLに対して添加した。次に、得られた溶液に対して0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を0.1mL滴下した。滴下後10分間攪拌し、溶液のpHを測定した。0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液の滴下と、滴下後10分間の攪拌、pHの測定を同様に100回繰り返した。溶液のpHが8.5を越えた際の水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を1.0g当たりの滴定量として、滴下した水酸化ナトリウム水溶液のモル量を改質セルロースA’1.0gに含まれるp−安息香酸メチレン基のモル置換率として以下の式1から算出した。改質セルロースA’のモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
p−安息香酸メチレン基のモル置換率(%)=100×セルロースの分子量(162g/mol)×1.0gあたりの滴定量(L)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)/[3×測定に用いた改質セルロース重量(1.0g)−3×{p−安息香酸メチレン基分子量(144g/mol)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)×1.0gあたりの滴定量(L)}]・・・式1
(1,2−エチレンジアミン結合セルロースの作製)
1,2−エチレンジアミン(以下、EDA)2.0g、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド n−水和物(以下、DMT−MM)4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分をEDA結合セルロース(以下、改質セルロースA)とした。改質セルロースAのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が、反応後に1%未満になっていることから100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースAのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(N,N−ジエチルエチレンジアミン結合セルロースの作製)
N,N−ジエチルエチレンジアミン(以下、DEDA)2.0g、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド n−水和物(以下、DMT−MM)4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、DEDA結合セルロース(以下、改質セルロースB)とした。改質セルロースBのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が、反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースBのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(モル置換率21%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−ブロモメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着している溶液を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分をp−安息香酸メチレンセルロースエーテルとした。この際、p−安息香酸メチレン基のモル置換率の測定と同様の測定方法によりモル置換率が21%であることを確認した。続いて、テトラエチレンペンタミン(以下、TEPA)2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースC)とした。改質セルロースCのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が、反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースCのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(モル置換率2%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化カリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−クロロメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で1時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着している溶液を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分をp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。この際、改質セルロースA’と同様の測定方法によりモル置換率が2%であることを確認した。続いてTEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて、溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸、及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースD)とした。改質セルロースDのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースDのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(モル置換率5%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化カリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−クロロメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で4時間含浸した。続いて編地を取り出し、イオン交換水で洗浄し、p−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。この際、改質セルロースA’と同様の測定方法によりモル置換率が5%であることを確認した。続いて、TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースE)とした。改質セルロースEのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースEのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(モル置換率50%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースA1.7gを、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−ブロモメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で72時間含浸した。続いて編地を取り出し、イオン交換水で洗浄し、p−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。この際、改質セルロースA’と同様の測定方法によりモル置換率が50%であることを確認した。続いて、TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースF)とした。改質セルロースFのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースFのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(単糸径3μmのテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースB1.7gを、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液100mLに25℃で2時間含浸した。さらに、p−ブロモメチル安息香酸1.7gを溶解させたエタノール100mLに対して該セルロースをすみやかに添加し、25℃で8時間含浸した。続いて編地を取り出し、イオン交換水で洗浄し、p−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。この際、改質セルロースA’と同様の測定方法によりモル置換率が21%であることを確認した。続いて、TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、該セルロース1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、TEPA結合セルロース(以下、改質セルロースG)とした。改質セルロースGのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースGのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(数平均分子量6.0×10のポリエチレンイミン結合セルロースの作製)
数平均分子量6.0×10のポリエチレンイミン(以下、PEI600)2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、PEI600結合セルロース(以下、改質セルロースH)とした。改質セルロースHのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースHのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(数平均分子量7.5×10のポリエチレンイミン結合セルロースの作製)
数平均分子量7.5×10のポリエチレンイミン(以下、PEI750k)2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、PEI750k結合セルロース(以下、改質セルロースI)とした。改質セルロースIのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースIのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(タウリン結合セルロースの作製)
タウリン2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、タウリン結合セルロース(以下、改質セルロースJ)とした。改質セルロースJのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースJのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(数平均分子量1.0×10のポリスチレンスルホン酸ナトリウム結合セルロースの作製)
開始末端にアミノ基を有する数平均分子量1.0×10のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(以下、PSSS100k)2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、改質セルロースA’1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、PSSS100k結合セルロース(以下、改質セルロースK)とした。改質セルロースKのモル置換率は、反応前の滴定により測定したp−安息香酸メチレン基のモル置換率が反応後に1%未満になっていることから反応が100%進行したとみなし、p−安息香酸メチレン基のモル置換率と同じとした。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースKのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(p−ジメチルアミノ安息香酸セルロースエステルの作製)
p−ジメチルアミノ安息香酸2.0g、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.0gを溶解させたジメチルスルホキシド(以下、DMSO)100mLに対し、セルロースA1.7gを浸して25℃で6時間含浸した。続いて溶液中の不溶成分を濾紙でろ別し、イオン交換水100mLに含浸し、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5であることを確認した後、不溶成分を濾紙でろ別し、付着しているイオン交換水を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の固体成分を、p−ジエチルアミノ安息香酸セルロースエステル(以下、改質セルロースL)とした。生成物の構造は全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1650cm−1)の出現により確認した。p−ジメチルアミノ安息香酸基のモル置換率については、改質セルロースLに含まれるアミノ基の滴定により決定した。まず、改質セルロースL1gを6M水酸化ナトリウム水溶液50mLに添加して30分攪拌し、濾紙を用いて改質セルロースLをろ別した。次にイオン交換水50mLに改質セルロースLを添加して30分間攪拌し、濾紙を用いてろ別した。改質セルロースLを添加したイオン交換水のpHが7になるまでイオン交換水に添加、ろ別を繰り返した。イオン交換水が中性であることを確認した後、改質セルロースLをろ別した。得られた改質セルロースLを、80℃常圧条件で6時間静置した後に重量を測定した。さらに80℃常圧条件で改質セルロースLを2時間静置した後に重量を測定し、2時間静置前後の重量変化が5%以内に収まるまで同条件で3回静置を繰り返して乾燥させた。次に、乾燥した改質セルロースL1.0gを、0.1M塩酸30mLに添加し、10分間攪拌した。攪拌後、溶液のみを5mL抜き取って、ポリプロピレン製容器に移した。次に、得られた溶液に対して、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を0.1mL滴下した。滴下後10分間攪拌し、溶液のpHを測定した。0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液の滴下と、滴下後10分間の攪拌、pHの測定を同様に100回繰り返した。溶液のpHが8.5を越えた際の水酸化ナトリウム水溶液滴下量を1.0gあたりの滴定量とした。1.0gあたりの滴定量と以下の式2を用いて改質セルロースL1.0gに含まれるp−ジメチルアミノ安息香酸基のモル置換率を算出した。改質セルロースLの官能基のモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
p−ジメチルアミノ安息香酸のモル置換率(%)=100×[添加した0.1M塩酸の液量(0.03L)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)×{抜き取った0.1M塩酸の液量(0.005L)−1.0gあたりの滴定量(L)}/抜き取った0.1M塩酸の液量(0.005L)]/[セルロース中の水酸基数(3)×測定に用いた改質セルロース重量(1.0g)−セルロース中の水酸基数(3)×p−ジメチルアミノ安息香酸基分子量(147g/mol)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)×添加した0.1M塩酸の液量(0.03L)×{抜き取った0.1M塩酸の液量(0.005L)−1.0gあたりの滴定量(L)}/抜き取った0.1M塩酸の液量(0.005L)]・・・式2
(カルボキシメチルセルロースの作製)
クロロ酢酸2.0gをDMSO100mLに溶解し、セルロースA1.7gを浸して25℃で24時間反応させ、カルボキシメチルセルロース(以下、改質セルロースM)とした。カルボキシメチル基のモル置換率については、改質セルロースMに含まれるカルボキシ基の滴定から算出した。まず、改質セルロースM5.0gを1.0M塩酸30mLに添加し、30分間攪拌した。攪拌後、濾紙を用いて改質セルロースMのみをろ別した。ろ別した改質セルロースMを80℃常圧条件で6時間静置した後に重量を測定した。さらに80℃常圧条件で改質セルロースMを2時間静置した後に重量を測定し、2時間静置前後の重量変化が5%以内に収まるまで同条件で5回静置を繰り返して乾燥させた乾燥した改質セルロースM1.0gをイオン交換水20mLに対して添加した。得られた溶液に対して0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を0.1mL滴下した。滴下後10分間攪拌し、溶液のpHを測定した。0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液の滴下と、滴下後10分間の攪拌、pHの測定を同様に100回繰り返した。溶液のpH8.5を越えた際の水酸化ナトリウム滴下量を1.0gあたりの滴定量とした。1.0gあたりの滴定量と以下の式3を用いて改質セルロースM1.0gに含まれるカルボキシメチル基のモル置換率を算出した。改質セルロースMのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
カルボキシメチル基のモル置換率(%)=100×セルロースの分子量(162g/mol)×1.0gあたりの滴定量(L)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)/[3×測定に用いた改質セルロース重量(1.0g)−3×{カルボキシメチル基分子量(65g/mol)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1M)×1.0gあたりの滴定量(L)}]・・・式3
(モル置換率62%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースAの代わりに改質セルロースA’を用いた以外はp−安息香酸メチレン結合セルロースの作製と同様の操作を行うことで、モル置換率62%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、モル置換率62%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテル1.7gを25℃で6時間含浸、反応した。続いて不溶成分をろ別してイオン交換水で洗浄を行った。イオン交換水を150rpmで15分間遠心分離にかけることで除去し、モル置換率62%のTEPA結合セルロース(以下、改質セルロースN)を得た。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースNのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(モル置換率75%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースAの代わりにモル置換率62%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを用いた以外はp−安息香酸メチレン結合セルロースの作製と同様の操作を行うことで、モル置換率75%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、モル置換率75%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテル1.7gを25℃で6時間含浸、反応した。続いて不溶成分をろ別してイオン交換水で洗浄を行った。イオン交換水を150rpmで15分間遠心分離にかけることで除去し、モル置換率75%のTEPA結合セルロース(以下、改質セルロースO)を得た。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースOのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
(モル置換率88%のテトラエチレンペンタミン結合セルロースの作製)
セルロースAの代わりにモル置換率75%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを用いた以外はp−安息香酸メチレン結合セルロースの作製と同様の操作を行うことで、モル置換率88%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテルを得た。TEPA2.0g、DMT−MM4.0gをイオン交換水100mLに溶解させ、モル置換率88%のp−安息香酸メチレンセルロースエーテル1.7gを25℃で6時間含浸、反応した。続いて不溶成分をろ別してイオン交換水で洗浄を行った。イオン交換水を150rpmで15分間遠心分離にかけることで除去し、モル置換率88%のTEPA結合セルロース(以下、改質セルロースP)を得た。生成物の構造は、全反射赤外吸収スペクトルでアミド結合由来のピーク(1620cm−1)の出現により確認した。改質セルロースPのモル置換率と導入された官能基の構造式を、表2に示す。
Figure 0006874390
表2中、PEIはポリエチレンイミンを表す。
(実施例1)
(1)インターロイキン−6の吸着量測定:
インターロイキン−6(以下IL−6)の吸着量測定を行い、改質セルロースA一枚当たりのインターロイキン−6吸着量を評価した。以下に測定方法を示す。改質セルロースAを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、サイトカインの一種であるIL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製した牛胎児血清(Fetal Bovine Serum、以下、FBS)を1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、以下の式4により改質セルロースA一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。結果を表3に示す。
改質セルロースA一枚当たりのIL−6吸着量(pg/枚)={転倒混和前のIL−6濃度(pg/mL)−転倒混和後のIL−6濃度(pg/mL)}×液量(mL)÷(添加した改質セルロースAの枚数)・・・式4
(2)インターロイキン−8の吸着量測定:
IL−6をインターロイキン−8(以下IL−8)に変更する以外、IL−6の吸着量測定と同様の操作を行い、式5を用いて改質セルロースA一枚当たりのIL−8吸着量を評価した。結果を表3に示す。
改質セルロースA一枚当たりのIL−8吸着量(pg/枚)={転倒混和前のIL−8濃度(pg/mL)−転倒混和後のIL−8濃度(pg/mL)}×液量(mL)÷(添加した改質セルロースAの枚数)・・・式5
(3)ハイモビリティーグループボックス−1の吸着量測定:
IL−6をハイモビリティーグループボックス−1(以下HMGB−1)に変更する点と、FBS中のHMGB−1濃度を100ng/mLになるよう調製した点以外、IL−6の吸着量測定と同様の操作を行い、式6を用いて改質セルロースA一枚当たりのHMGB−1吸着量を評価した。結果を表3に示す。
改質セルロースA一枚当たりのHMGB−1吸着量(pg/枚)={転倒混和前のHMGB−1濃度(pg/mL)−転倒混和後のHMGB−1濃度(pg/mL)}×液量(mL)÷(添加した改質セルロースAの枚数)・・・式6
(4)耐薬品性:
また、改質セルロースAの耐薬品性を確認するため、イオン交換水、1M水酸化ナトリウム水溶液、1M塩酸、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジクロロメタン、トルエン及びヘキサン(以下、指定の溶媒)に改質セルロースAをそれぞれ含浸し、含浸前後の乾燥重量変化を測定した。以下に測定方法を示す。
改質セルロースAを、80℃常圧条件で6時間静置した後に重量を測定した。さらに80℃常圧条件で改質セルロースAを2時間静置した後に重量を測定し、2時間静置前後の重量変化が5%以内に収まるまで同条件で静置を3回繰り返して乾燥させた。乾燥させた改質セルロースA1.0gを指定の溶媒50mLに添加し、40℃で20時間静置した。濾紙によって改質セルロースAをろ別した。ろ別した改質セルロースAはさらに1M塩酸50mLに添加して30分攪拌し、濾紙を用いてろ別した。次に、6M水酸化ナトリウム水溶液50mLに改質セルロースAを添加して30分攪拌し、濾紙を用いて同じくろ別した。得られた改質セルロースAをイオン交換水50mLに含浸、30分間攪拌した。不溶成分のろ別、イオン交換水への含浸及び攪拌を10回繰り返し、攪拌後の溶液のpHが6.5〜7.5の範囲であることを確認した後、濾紙を用いたろ別により得られた改質セルロースAを前記と同様の方法で乾燥させた。その後、重量を測定し、含浸後重量とした。上記指定の溶媒8つ全てに対して重量を測定し、1つでも重量0.90g未満、又は1.1gを超える場合は、改質セルロースAに耐薬品性なしと、全ての溶媒に対して0.90g以上1.1g以下であった場合は耐薬品性ありとした。結果を表3に示す。
(5)アシッドオレンジ7の吸着量測定:
粉末のアシッドオレンジ7を0.0875g、酢酸ナトリウム三水和物0.41g、酢酸0.96mL、イオン交換水24mLを混合し、さらにその溶液をイオン交換水で100倍に希釈することで、アシッドオレンジ7濃度が1.0×10−4Mのアシッドオレンジ7緩衝溶液を調製した。次に、酢酸1.14mLとイオン交換水200mLを混合した溶液170mLと、酢酸ナトリウム三水和物1.36gと水100mLを混合した溶液30.6mLを混合した酢酸緩衝溶液を調製した。上記アシッドオレンジ7緩衝溶液をイオン交換水で2倍、4倍、8倍、16倍に希釈した溶液をそれぞれ調製し、紫外可視分光光度計を用いて、測定波長450nm、参照波長600nmとして溶液の吸光度を測定した。得られた吸光度と溶液中のアシッドオレンジ7濃度から、検量線を作成した。次に、直径6mmの円板状に切り抜いた改質セルロースA一枚を1.5mLの酢酸緩衝溶液に含浸し、20分間転倒混和した。混和後、溶液中の固体を濾紙でろ別し、付着している酢酸緩衝溶液を150rpmで15分間遠心分離することで除去した。遠心分離後の改質セルロースAを、1.0mLアシッドオレンジ7緩衝溶液を添加したポリプロピレン製容器に添加し、2時間転倒混和した。混和後、ピンセットで改質セルロースAのみを取り出した。改質セルロースA添加前後のアシッドオレンジ7緩衝溶液の吸光度を同様に測定し、検量線を用いてアシッドオレンジ7濃度を算出した。添加前後のアシッドオレンジ7濃度と添加した改質セルロースAから、改質セルロースA一枚当たりのアシッドオレンジ7吸着量を、以下の式7を用いて算出した。結果を表3に示す。
改質セルロースA一枚あたりのアシッドオレンジ7吸着量(μmol/枚)={改質セルロースA添加前アシッドオレンジ7緩衝溶液中のアシッドオレンジ7濃度(M)−改質セルロースA添加後アシッドオレンジ7緩衝溶液中のアシッドオレンジ7濃度(M)}×ポリプロピレン製容器に添加したアシッドオレンジ7緩衝溶液量(1.0mL)×1000・・・式7
(実施例2)
改質セルロースBを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースB一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースB一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースB一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースBの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例3)
改質セルロースCを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースC一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースC一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースC一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースCの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例4)
改質セルロースDを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースD一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースD一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースD一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースDの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例5)
改質セルロースEを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースE一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースE一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースE一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースEの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例6)
改質セルロースFを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースF一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースF一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースF一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースFの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例7)
改質セルロースGを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースG一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースG一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースG一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースGの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例8)
改質セルロースHを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースH一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースH一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースH一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースHの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例9)
改質セルロースIを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースI一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースI一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースI一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースIの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例10)
改質セルロースJを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースJ一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースJ一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースJ一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースJの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例11)
改質セルロースKを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースK一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースK一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースK一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースKの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例12)
改質セルロースNを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースN一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースN一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースN一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースNの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例13)
改質セルロースOを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースO一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースO一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースO一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースOの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例14)
改質セルロースPを直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースP一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースP一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースP一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースPの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(比較例1)
改質セルロースA’を直径6mmの円板状に切り抜いた後、これを15枚ずつポリプロピレン製の容器に入れた。この容器に、IL−6の濃度が2000pg/mLなるように調製したFBSを1.1mL添加し、37℃のインキュベータ内で2時間転倒混和した後、ELISA法にてIL−6の濃度をそれぞれ測定し、実施例1と同様の方法で、改質セルロースA’一枚当たりのIL−6吸着量を算出した。加えて、実施例1と同様の方法で、改質セルロースA’一枚当たりのIL−8吸着量及び改質セルロースA’一枚当たりのHMGB−1吸着量についても算出した。また、改質セルロースA’の耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。さらに、アシッドオレンジ7吸着量についても実施例1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
(比較例2)
改質セルロースLの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。なお、改質セルロースLは耐薬品性がないため、IL−6、IL−8及びHMGB−1吸着量並びにアシッドオレンジ7吸着量を測定することはできなかった。結果を表3に示す。
(比較例3)
改質セルロースMの耐薬品性を実施例1と同様の方法で判断した。なお、改質セルロースMは耐薬品性がないため、IL−6、IL−8及びHMGB−1吸着量並びにアシッドオレンジ7吸着量を測定することはできなかった。結果を表3に示す。
Figure 0006874390
表3中、「−」は耐薬品性がないため、測定が出来なかったことを意味する。
表3に示すとおり、本発明の改質セルロースは、耐薬品性を有し、生体成分の吸着除去に適していることが明らかとなった。
本発明の改質セルロースは、医療分野において、生体成分、特に、サイトカインの吸着除去用の吸着担体として利用できる。

Claims (7)

  1. 以下の一般式(I)で示され、全ての置換基Aに対する一般式(II)で示される置換基のモル置換率が2〜100モル%である、改質セルロース。
    Figure 0006874390
    [式中、Aは、ヒドロキシ基又は一般式(II)を表し、nは、セルロース中に含まれる一般式(I)構造のユニット数を表す。
    Figure 0006874390
    (式中、Rは、スルホン酸基及び/又はアミノ基で置換された炭化水素基を表し、前記スルホン酸基は、硫酸、ベンゼンスルホン酸、トシル酸、スチレンスルホン酸若しくは数平均分子量1.0×10 〜1.0×10 のポリスチレンスルホン酸又はその塩であり、前記アミノ基は、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラミン、テトラエチレンペンタアミン又は数平均分子量6.0×10 〜1.0×10 のポリエチレンイミンであり、前記炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基又はヘキシル基であり、Arは、炭素数6の芳香環を表し、波線は、炭素原子との結合位置を表す。)]
  2. 生体成分の吸着除去用の吸着担体である、請求項1記載の改質セルロース。
  3. 前記生体成分は、サイトカインである、請求項記載の改質セルロース。
  4. 前記サイトカインは、インターロイキン−6、インターロイキン−8又はハイモビリティーグループボックス−1である、請求項記載の改質セルロース。
  5. 単糸径が3〜200μmの繊維形状である、請求項1〜のいずれか一項記載の改質セルロース。
  6. 請求項1〜のいずれか一項記載の改質セルロースを吸着担体として備える、生体成分吸着除去用カラム。
  7. 炎症性疾患治療用である、請求項記載の生体成分吸着除去用カラム。

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