JP4591975B2 - 補体成分除去用あるいは不活化用の材料 - Google Patents

補体成分除去用あるいは不活化用の材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補体成分を不活化あるいは除去する材料に関するものである。特にヒト血液中等の高濃度の蛋白質溶液中に存在する補体成分と結合することによって補体成分の活性を失わせる(不活化)薬剤として、補体成分を除去する浄化カラとして好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
生体の免疫反応の中で補体は重要な役割を果たしているが、補体系の過剰な活性化は過剰な炎症反応を引き起こし、時として生体を危険な状態に陥れることがある。例えば、グラム陰性菌によって引き起こされるエンドトキシンショックは血管内でエンドトキシンによる補体活性化が強力に起こることが機序の一つになっている。すなわち、補体系の活性化によって、不活型C3やC5の分解が起こり、大量の活性型C3aやC5aなどが生成され、これらが好中球、好塩基球、肥満細胞などの活性化と脱顆粒を引き起こす結果、平滑筋の収縮、血管透過性の増大および血管壁からの好中球や単球の遊走などが起こる。また、主に肺小血管において血管内白血球凝集反応や血管栓塞を起こし、そこに集積した白血球がエラスターゼやフリーラジカルを産生してショック肺を起こすと考えられている。自己免疫疾患、細菌性心内膜炎などにおいても、補体によって引き起こされる過剰な炎症反応が問題となっている。また、人工心肺、人工透析、血漿交換などの体外循環装置あるいはその他の人工臓器使用時にも補体活性化反応が起こり、アナフィラキシーが問題視されている。さらに、透析患者においては、活性型のままで体内循環している微量酵素である補体D因子の血中レベルが高いことが報告され、その病原性が示唆されている。
【0003】
このような状況から、活性化補体成分による障害を予防し、中和する目的で種々の抗炎症剤の開発・使用や、人工臓器の素材の改良が行われているが、必ずしも充分な効果を上げていない。また、体液中の補体を直接除去することにより、補体系を抑制する試みとして、血漿交換などの体外循環による補体の除去が行われているが、効率が悪い、高価であるなどの欠点がある。また特開昭63−272357および特公平7−38881にあるように、活性化補体成分をアニオン性の官能基を有する吸着体によって除去する試みがあるが、特公平7−38881の比較例にあるように、アニオン性の官能基とアミノ基などのカチオン性官能基を同時に導入すると、活性化補体成分の吸着能が消失するという欠点があった。
【0004】
このため、様々な官能基を同時に導入可能であり、さらに補体成分を急速に除去できる方法の開発が望まれている。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明はこれら従来技術の欠点を解消しようとするものであり、様々な官能基を同時に導入可能であり、さらに血液などの高蛋白質濃度の溶液中においても補体成分を迅速に不活化あるいは除去できる材料を提供することを目的とする。さらには、この材料を用いた補体成分除去用の体液浄化カラを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、水素結合形成可能な材料が補体成分と親和性を有することを見出し、本発明に至った。すなわち本発明の第一の要件は非イオン性の水素結合形成可能な官能基を含み、該非イオン性の水素結合形成可能な官能基が尿素結合、チオ尿素結合およびアミド結合から選ばれるむことを特徴とする補体成分を除去あるいは不活化するための材料である。また、本発明の第二の要件は上述した材料を用いた体液浄化カラである。
【0007】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明材料は補体成分と高い親和性を有するため、血液、血漿中に存在する補体成分と結合することができる。この結合により、例えば、補体成分の3次元構造などの性質を変化させること、あるいはその活性部位を遮蔽することなどによって補体成分の活性を失わせる(不活化)ことができる。すなわち、本発明材料を医薬品として用いれば、アナフィラキシーや敗血症ショック、自己免疫疾患等における過剰の炎症反応の治療や予防が可能になる。また、この材料が水不溶性であるならば、これを用いて、血液、血漿などの体液から補体成分を除去することが可能となり、アナフィラキシーや敗血症ショック、自己免疫疾患などにおける過剰の炎症反応の治療や予防が可能となる。特に、補体成分除去用の体液浄化カラとして好適である。本発明はこのような疾患の治療や予防を可能とする材料を提供するものである。
【0008】
本発明において、水素結合形成可能な官能基として、例えば、尿素結合、チオ尿素結合、アミド基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、メルカプト基などが挙げられるが、非イオン性の水素結合形成可能な官能基(以下、単に「水素結合形成可能な官能基」とする。)である尿素結合、チオ尿素結合あるいはアミド結合を少なくとも一つ有することがよいこの水素結合形成可能な官能基に続く構造としては特に限定はなく、プロパン、ヘキサン、オクタン、ドデカンなどの脂肪族化合物やシクロヘキサン、シクロペンタンのような脂環族化合物を用いることができるが、親和性の高さを考慮するとベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物がより好ましく用いられる。ブロモヘプタン、クロロシクロヘキサン、メチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジフェニルメタン、クロロナフタレン等の誘導体も好適に用いられる。また、水素結合形成可能な基を二つ以上有することがより好ましく、特に尿素結合、チオ尿素結合あるいはアミド結合に続く構造として例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等の水素結合形成可能な官能基をさらに有する構造が好ましく用いられる。例えばアミノ基を有する構造としては、アミノヘキサン、モノメチルアミノヘキサン、ジメチルアミノヘキサン、アミノオクタン、アミノドデカン、アミノジフェニルメタン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1−プロペン、アミノピリジン、アミノベンゼンスルホン酸、トリス(2−アミノエチル)アミン等や、より好ましくは、ジアミノエタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、ポリエチレンイミン、N’−メチル−2, 2’−ジアミノジエチルアミン、N−アセチルエチレンジアミン、1, 2−ビス(2−アミノエトキシエタン)等のようなアミノ基を複数有する化合物(ポリアミンと言うことがある)が用いられる。また、水酸基を有する構造としては、ヒドロキシプロパン、2−エタノールアミン、1, 3−ジアミノ- 2- ヒドロキシプロパン、ヒドロキシブタノン、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシピリジン等や、グルコース、グルコサミン、ガラクトサミン、マルトース、セルビオース、スクロース、アガロース、セルロース、キチン、キトサン等の単糖、オリゴ糖、多糖等の糖質あるいはそれらの誘導体を用いることができる。さらに、カルボキシル基を有する構造としては例えば、β−アラニン、n−カプロン酸、イソ酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸等を用いることができる。最も好ましくは、本発明材料は尿素、チオ尿素あるいはアミド基に続く構造として芳香族化合物と水素結合形成可能な化合物の両方を有することができる。
【0009】
さらに、尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合を分子構造内に複数個有するような、ポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリアミドも本発明材料として用いることができる。この場合にも、尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合に続く構造として上記構造のいずれをも用いることができるが、最も好ましくは、水酸基、アミノ基やカルボキシル基を有する化合物(糖質あるいはその誘導体を含む)のような水素結合形成可能な基と芳香族化合物の両方を用いることができる。
【0010】
また、本発明材料としては、モノマ、オリゴマ、ポリマのいずれでも良いため、上記構造あるいはその一部が重合されているものも本発明材料に含まれる。すなわち、上記構造あるいはその一部として、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレンなどの合成高分子や、セルロース、コラーゲン、キチン、キトサンおよびそれらの誘導体を含む天然高分子などが好適に用いられる。つまり、単独重合、共重合あるいはブレンドされたこれら合成高分子や天然高分子などに、水素結合形成可能な基を導入することが好適に行われる。さらに、金属、セラミックス、ガラスなどの無機材料を基材として適当な高分子で被覆したり、表面を直接修飾したものも好適に用いられる。特にポリスチレン、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等は、表面修飾が容易に行えるため、好ましく用いられる。また、ポリスチレン/ポリプロピレン海島繊維は、ポリスチレンの修飾のしやすさと、ポリプロピレンによる強度補強による扱い易さを持つためより好ましい。
【0011】
本発明材料は一般に公知の方法で合成することができる。例えば脂肪族化合物や芳香族化合物に尿素結合あるいはチオ尿素結合を導入する場合には、イソシアネート化合物あるいはイソチオシアネート化合物とアミノ化合物とを反応させる方法を用いることができる。また、脂肪族化合物や芳香族化合物にアミド基を導入する場合には、例えば酸、酸塩化物あるいは酸無水物とアミノ化合物とを反応させる方法を用いることができる。アミノ化合物とイソシアネート化合物、イソチオシアネート化合物、酸、酸塩化物あるいは酸無水物の混合比は任意に選択でき、通常、イソシアネート化合物、イソチオシアネート化合物、酸、酸塩化物あるいは酸無水物1モルに対して0.1〜10モルのアミノ化合物が好ましく用いられる。イソシアネート化合物あるいはイソチオシアネート化合物としては例えば、エチルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、n-ブチルイソシアネート、iso−ブチルイソシアネート、n-プロピルイソシアネート、メチルイソチオシアネート、エチルイソチオシアネート、n-ブチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物あるいはイソチオシアネート化合物のいずれをも用いることができるが、より好ましくはフェニルイソシアネート、クロロフェニルイソシアネート、フルオロフェニルイソシアネート、ブロモフェニルイソシアネート、ニトロフェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、メトキシフェニルイソシアネート、1-ナフチルイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3',5,5' −テトラエチル−4,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン、フェニルイソチオシアネート、クロロフェニルイソチオシアネート、フルオロフェニルイソチオシアネート、ニトロフェニルイソチオシアネート、トリルイソチオシアネート、メトキシフェニルイソチオシアネート、1-ナフチルイソチオシアネート、等の芳香族イソシアネート化合物あるいはイソチオシアネート化合物が用いられる。酸塩化物としては例えば、イソバレリルクロライド、ステアロイルクロライド、シクロヘキサンカルボニルクロライド、6−クロロニコチン酸クロライド等の脂肪族酸塩化物のいずれをも用いることができるが、より好ましくはベンゾイルクロライド、3, 4−ジクロロベンゾイルクロライド、ニトロベンゾイルクロライド、4−クロロベンゾイルクロライド、4−トルオイルクロライド、ベンゾ−[b]チオフェン−2−カルボニルクロライド等の芳香族酸塩化物を用いることができる。また、酸無水物としては例えば、無水酢酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水安息香酸等を好ましく用いることができる。また、本発明に用いるアミノ化合物のアミノ基としては1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のいずれでも良く、アミノ化合物としては例えば、アンモニア、sec−オクチルアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1−プロペン、アミノピリジン、アミノベンゼンスルホン酸、トリス(2−アミノエチル)アミン等を好ましく用いることができる。また、尿素結合、チオ尿素結合あるいはアミド結合に加えて水素結合形成可能な基を導入できるような、ポリアミノ化合物や水酸基あるいはカルボキシル基を有するアミノ化合物も好ましく用いることができる。ポリアミノ化合物としては例えば、ジアミノエタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、N’−メチル−2,2' −ジアミノジエチルアミン、ポリエチレンイミン、N−アセチルエチレンジアミン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン等のいずれをも用いることができる。水酸基を有するアミノ化合物としては、2-エタノールアミン、3-プロパノールアミン、6-ヘキサノールアミン、1,3 −ジアミノ-2- ヒドロキシプロパン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、グルカミン、N-メチル−1,3-ジアミノプロパノール等の脂肪族アミン、あるいは、4-アミノフェノール、ジアミノフェノール、アミノヒドロキシピリミジン、ジアミノヒドロキシピリミジン、ジアミノヒドロキシピラゾール等の芳香族アミン、あるいはセリン、チロシン等のアミノ酸類が用いられる。また、エピクロロヒドリンおよびアミノ化合物、あるいは1,3 −ジブロモ-2- ヒドロキシプロパンを反応させることによって水酸基のみを有する化合物あるいはアミノ基のみを有する化合物から水酸基を有するアミノ化合物を合成することも可能である。また、糖質に水素結合形成可能な基を導入する場合も上記と同様な方法を用いることができる。すなわち、キトサンやグルコサミンのようなアミノ基を有する糖質の場合には、上述したようなイソシアネート化合物、イソチオシアネート化合物、酸、酸塩化物あるいは酸無水物を反応させることができる。セルロースのようなアミノ基を有さない糖質の場合には、糖質の水酸基をエピクロルヒドリン、トレシルクロライドなどを用いて活性化させた後に、アンモニアやジアミノエタンなどと反応させてアミノ基を導入し、このアミノ基を利用して、糖質に尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合等の水素結合形成可能な基を導入することができる。カルボキシル基を有するアミノ化合物としては例えば、β−アラニン、4−アミノ−n−酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ−n−酪酸、6−アミノ−n−カプロン酸等を用いることができる。
【0012】
さらに、本発明材料がオリゴマあるいはポリマの場合には、例えば、イソシアネート基、カルボキシル基あるいはスクシンイミド基等のカルボン酸の活性エステル基を有するオリゴマあるいはポリマに、水素結合形成可能な基を有する化合物のアミノ基を反応させる方法が好ましく用いられる。また、アミノ基を有するオリゴマ、ポリマ、あるいはアンモニア、ジアミノエタン、1,3 ジアミノプロパン、1,3- ジアミノ-2- ヒドロキシプロパン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、トリス(2−アミノエチル)アミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールなどによりアミノ基を導入したオリゴマ、ポリマに上述したようなイソシアネート化合物、イソチオシアネート化合物、酸、酸塩化物あるいは酸無水物を反応させることも好ましい方法である。また、酸塩化物やイソシアネート化合物がアミノ基以外の水素結合形成可能な基に反応しないように、反応時間、反応温度あるいは混合比などを制御したり、保護基を用いることが好ましい。アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基あるいはスクシンイミド基等のカルボン酸の活性エステル基、酸塩化物基、酸無水物基などの官能基は、必要に応じてオリゴマ、ポリマに導入することができる。
【0013】
さらに本発明材料がポリ尿素あるいはポリチオ尿素の場合には、例えばポリイソシアネート化合物あるいはポリイソチオシアネート化合物とポリアミノ化合物とを反応させる方法を用いることができる。通常、試薬の量はポリイソシアネート化合物あるいはポリイソチオシアネート化合物1モルに対して、0.1〜10モルのポリアミンが好ましく用いられる。ポリイソシアネート化合物あるいはポリイソチオシアネート化合物としてはヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4'- ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3',5,5'- テトラエチル-4,4'-ジイソシアナトジフェニルメタン、キシレンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソチオシアネート)等が好適に用いられる。また、ポリアミノ化合物としてはジアミノエタン、ジアミノプロパン、1,3 ジアミノ-2- ヒドロキシプロパン、N’−メチル1,3 −ジアミノ-2- プロパノール、ジアミノフェノール、N,N’−ジアミノピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ジプロピレントリアミン、N’−メチル−2,2’−ジアミノジエチルアミンなどを好ましく用いることができる。さらに、本発明材料がポリアミドの場合には、例えばポリカルボン酸とポリアミンを重縮合させる方法を用いることができる。また、ポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリアミドのいずれにおいても、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、ポリカルボン酸などを用いずに、各々の官能基を一つずつ順次導入することによって最終的にポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリアミドを得る方法も好ましく行われる。
【0014】
上記すべての反応は標準的には、反応温度は0〜150℃、反応時間は0.1〜24時間で行われる。また、反応溶媒は必ずしも必要ではないが、一般的には溶媒の存在下に行われる。使用しうる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n- ブタノール、ヘキサン、アセトン、N,N- ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。反応終了後の反応液は、必要に応じ、ろ過、濃縮などの通常の後処理の後、カラムクロマトグラフィー、再結晶などの操作により、精製されることができる。また、水不溶性の材料の場合、ガラスフィルター等を用いて洗浄することも好ましい方法である。
【0015】
本発明材料の中で水不溶性のものは、補体成分除去カラなどとして好ましく用いられる。その形状としては特に限定はないが、カラムとして用いる場合には、ビーズ、繊維、中空繊維、糸束、ヤーン、ネット、編み地、織物等が好まい。また、本材料は単独での使用のみならず、適当な材料にさらに固定化したり、他材料と混合して一つのカラとして用いることもできる。
固定化あるいは混合などの操作は、前記形状に加工する前に行っても良いし、加工した後に行っても良い。本発明の材料を用いたカラムを体外循環用カラムとして用いる場合には、体外に導出した血液を直接カラムに通しても良いし、血漿分離膜などと組み合わせて使用しても良い。
【0016】
以下に実施例を用いて詳細に説明を加えるが、発明の内容が実施例に限定されるものではない。
【0017】
【実施例】
作製例1 キトサンビーズへの尿素基、チオ尿素基およびアミド基の導入
粒径0.1mmのキトサンビーズ(富士紡(株)製、”キトパール”AL−01)12ml(沈降時体積、乾燥重量は1.0g)を50mlのN,N- ジメチルホルムアミド(以下DMFと略す)中で撹拌し、ガラスフィルターによって、ビーズと溶液の分離を行った。この操作を1回5分間、20回繰り返し、含有水分をDMFと完全に置換させた。
【0018】
表1の試薬を100mlのDMF中に溶解させたものにこのビーズを徐々に添加し、撹拌しながら室温で1時間反応させた。その後、ガラスフィルターを用いて、ビーズと溶液とを分離し、ビーズを50mlのDMF中で5分間撹拌することによって洗浄を行った。この洗浄操作を20回繰り返し、未反応の試薬を完全に除去した。次いで、蒸留水による洗浄操作を同様に行い、DMFを蒸留水と置換することによって、尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合を有するキトサンビーズを得た。
【0019】
【表1】
Figure 0004591975
実施例 修飾キトサンビーズによる補体成分除去試験
作製例1で作製した修飾キトサンビーズおよびコントロールとしての未修飾キトサンビーズを用いて、補体成分C3a、C4aおよびC5aのヒト血清中からの除去試験を行った。まず、抗凝固剤を用いずに健常人より血液を採取し、ガラス試験管に入れ、37℃で2時間処理することにより、血液凝固させた。これを3000rpm、15分間遠心分離することによって、血清を得た後にさらにポリビニルアルコールで被覆したガラスビーズを添加し、37℃で1時間処理することによって活性化補体を含む血清を得た。血清量10mlに対して、上記のキトサンビーズ1mlを添加し、37℃において60分間振盪した。60分間反応後の血清中の補体成分濃度を放射性免疫測定法を用いて測定した結果を表2に示す。この結果が示すように、尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合のような非アニオン性の水素結合形成可能な官能基の導入により、キトサンビーズに補体成分吸着能が付与された。
【0020】
【表2】
Figure 0004591975
作製例2 修飾ポリスチレン繊維の作製
50重量比の海成分(46重量比のポリスチレンと4重量比のポリプロピレンの混合物)と50重量比の島成分(ポリプロピレン)とからなるアメリカ特許4,661,260 記載の海島型複合繊維(厚さ:2.6デニール、島の数:16)を50gのN−メチロール−α−クロロアセトアミド、400gのニトロベンゼン、400gの98%硫酸、0.85gのパラホルムアルデヒドの混合溶液と20℃で1時間反応させた。そして、繊維をニトロベンゼンで洗浄し、水中に入れて反応を停止させた。その後、繊維を温水で再び洗浄することによって、クロロアセトアミドメチル化架橋ポリスチレン繊維(以下AMPSt繊維と略す)を得た。
【0021】
表3に示す試薬中(a)、(b)、(d)〜(g)はDMF50mlに(c)はジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す)50mlに溶解した。各々の溶液に、1gのAMPSt繊維(クロロ含量2mmol相当)を攪拌しつつ加えた。反応は25℃で6時間行った。その後、DMF中で反応させたAMPSt繊維はDMF200mlを用いてガラスフィルター上で洗浄した。DMSO中で反応させたものはDMSO200mlを用いて洗浄後、さらにDMF50mlで洗浄することによって溶媒置換した。洗浄後、4−クロルフェニルイソシアネート1gを溶解したDMF50mlの溶液中に各々のAMPSt繊維を加え、25℃で1時間、反応させた。その後、ガラスフィルター上で200mlのDMFおよび200mlの蒸留水により洗浄した。
【0022】
【表3】
Figure 0004591975
実施例 修飾ポリスチレン繊維による補体成分の除去試験
作製例2で作製した修飾ポリスチレン繊維による補体成分の吸着除去試験を実施例と同様の方法で行った。コントロールとしては、クロロアセトアミドメチル基導入前の繊維を用いた。実施例の方法で得た血清にさらに補体D因子を20ng/mlになるように添加した。この血清10mlに対して、各種繊維を1g添加し、37℃で60分間振盪した。60分間反応後の血清中のC3a、C4aおよびC5a濃度を放射性免疫測定法を用いて、また、補体D因子濃度を酵素免疫学的方法を用いて測定した結果を表4に示す。この結果が示すように、尿素結合に加えて、さらにアミド基(d)、アミノ基(f)(g)(i)、水酸基(e)(f)のような水素結合形成可能な基を導入することにより、高い補体成分吸着能が付与された。
【0023】
【表4】
Figure 0004591975
実施例 修飾AMPSt繊維による補体成分除去試験−循環法
作製例2の修飾AMPSt繊維(iを用いて、補体成分の循環方法による吸着試験を行った。各繊維1gをカラムに充填し、これに実施例の方法で作製したヒト血清10mlを37℃において1ml/minで60分間循環させた時のC3a、C4a、C5a濃度を表5に示す。体外循環のような流動条件下においても、補体成分吸着能があることが示された。
【0024】
【表5】
Figure 0004591975
【0025】
【発明の効果】
本発明により、様々な官能基を同時に導入可能であり、さらに血液などの高蛋白質濃度の溶液中においても補体成分を迅速に不活化あるいは除去できる、水素結合形成可能な官能基を含む材料が提供された。本発明の材料を用いて、血液、血漿中に存在する補体成分の活性を失わせる(不活化)ことができるので、アナフィラキシー、敗血症ショック、自己免疫疾患などにおける過剰の炎症反応の治療や予防が可能になる。また、この材料の中で水不溶性であるものを用いて、血液、血漿中から補体成分を効率的に除去できるので、これにより、補体成分除去カラを構成することで、アナフィラキシー、敗血症ショック、自己免疫疾患などにおける過剰の炎症反応の治療や予防が可能になる。

Claims (11)

  1. チルメタクリレート、スチレン、エチレン、ビニルアルコールおよびテトラフルオロエチレン、の単独重合体、共重合体およびこれらの誘導体、ならびに、ポリスルホン、セルロース、コラーゲン、キチン、キトサンおよびそれらの誘導体、を単独あるいはブレンドた材料の内から選ばれる基材上に、尿素結合、チオ尿素結合アミド結合、アミド結合と尿素結合、アミド結合と尿素結合と水酸基、アミド結合と尿素結合とアミノ基、または、アミド結合と尿素結合とアミノ基と水酸基、を導入することを特徴とするC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  2. 該アミノ基が2級あるいは3級であることを特徴とする請求項記載のC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  3. 該アミノ基がポリアミンであることを特徴とする請求項1記載のC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  4. 芳香族環を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  5. チルメタクリレート、スチレン、エチレン、ビニルアルコールおよびテトラフルオロエチレン、の単独重合体、共重合体およびこれらの誘導体、ならびに、ポリスルホン、セルロース、コラーゲン、キチン、キトサンおよびそれらの誘導体、を単独あるいはブレンドた材料の内から選ばれる基材N−メチロール−α−クロロアセトアミドに加えてジアミノエタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジアミノプロパンから選ばれる化合物、さらにクロロフェニルイソシアネート、4−クロロフェニルイソシアネートから選ばれる化合物が導入されたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  6. チルメタクリレート、スチレン、エチレン、ビニルアルコールおよびテトラフルオロエチレン、の単独重合体、共重合体およびこれらの誘導体、ならびに、ポリスルホン、セルロース、コラーゲン、キチン、キトサンおよびそれらの誘導体、を単独あるいはブレンドた材料の内から選ばれる基材N−メチロール−α−クロロアセトアミドに加えて2−エタノールアミン、3−プロパノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、テトラエチレンペンタミンから選ばれる化合物、さらにクロロフェニルイソシアネート、4−クロロフェニルイソシアネートから選ばれる化合物が導入されたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  7. 該基材が繊維であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  8. 該繊維が海島型の繊維であることを特徴とする請求項記載のC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  9. 水不溶性であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  10. アナフィラキシー治療用であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のC3a、C4a、C5a、補体D因子から選ばれる補体成分の除去用あるいは不活化用の材料。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の材料を用いた体液浄化カラム。
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