JP4385497B2 - 急性炎症性疾患治療用カラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンドトキシンなどの白血球活性化物質とそれに反応する炎症性白血球を同時に除去することによって炎症性疾患を治療するためのカラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
潰瘍性大腸炎、クローン病、感染症などの炎症性疾患では血液中にエンドトキシン、ロイコトリエン、ヌクレオチド、サイトカイン類等の白血球活性化物質や顆粒球や単球などの炎症性白血球が増えてくることは以前から知られている。白血球活性化物質は外来性のものだけでなく、炎症性白血球自身から放出されるものもある。そして、これら白血球活性化物質と炎症性白血球は互いに強め合う性質があるので、一方を残すと、他方が直ぐに増えてしまう。従って、双方を同時に除いた方が良いと考えられる。
【0003】
白血球を吸着する吸着材としては、酢酸セルロースビーズ(特許番号2501500)やポリエステル不織布が知られているが、これらは、白血球、とりわけ、顆粒球を良く吸着するものの、エンドトキシンなどの顆粒球活性化物質を吸着しない。むしろ、逆に、白血球を活性化する性質があり、炎症性のサイトカインであるTNFを誘導する(特開平6ー209992号公報)。顆粒球の血中半減期は5時間であるので、これらの材料で顆粒球を除去しても、骨髄プールから直ぐに補充される。従って、補充された顆粒球は、残っていたエンドトキシンや材料の刺激で生成したTNF等の白血球活性化物質によって、再び、活性化されるので、これらの吸着材では、満足な効果が得られない。
【0004】
一方、エンドトキシン等の白血球活性化物質を吸着する性質のある吸着材としては、ポリミキシン固定化ポリスチレン繊維が知られている(特公平3−3594号公報)が、これは顆粒球を吸着する性質は低い。両者を組み合わせて使うことも当然考えられるが、カラム全体のサイズが大きくなり、患者の血液を沢山体外に出さねばいけなくなり、好ましくない。そこで、我々は、白血球活性化物質を吸着する可能性があり、且つ、活性化白血球も吸着する吸着材として、ポリミキシン固定化ポリスルホン(特開平11−244693号公報)を提唱しているが、顆粒球は、感染防御の役割を持っている一面もあるので、際限なく除去してはいけないと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、過剰に出現した活性化白血球、および、白血球を活性化する物質を同時に除去できる急性の炎症性疾患の治療に有効な炎症性疾患治療用カラムを提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炎症性疾患治療用カラムは、血液中の白血球活性化物質と炎症性白血球の双方を同時に吸着する吸着材が、被治療動物の体重1kg当たり、表面積が400〜4000cm2 の量で充填されていることを特徴するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり過剰に出現した活性化白血球、および、白血球を活性化する物質を同時に除去できる急性の炎症性疾患の治療に有効な炎症性疾患治療用カラムについて、鋭意検討した結果、ポリミキシンB結合アセトアミドメチル化ポリスルホン吸着材の使用量に依存して、病態モデルラットの生死が分かれること、即ち、用いる吸着材の表面積とラットの体重との比で生死が分かれることを見出し、血液中の白血球活性化物質と炎症性白血球の双方を同時に吸着する吸着材が、被治療動物の体重1kg当たり、表面積が特定量となる量充填してみたところ、意外にも、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0008】
本発明でいう炎症性白血球とは、顆粒球、単球、活性化リンパ球を意味する。
【0009】
本発明でいう白血球活性化物質とは、エンドトキシン、菌体細胞壁成分、ペプチドグリカン、スーパー抗原、ロイコトリエン、ヌクレオチド、サイトカイン類等の白血球の顆粒の放出を促進したり、走化性を増大させる物質を意味する。
【0010】
本発明のカラムに充填される吸着材は、白血球活性化物質と炎症性白血球の双方を吸着するものであればよく、特に制限はない。吸着材の充填量は、少なすぎては治療効果が出ず、多すぎては体外に出す血液量が多くなりすぎて、治療効果が出にくくなるので、400〜4000cm2 の範囲の表面積となるように充填されていることが重要である。かかる吸着材としては、好ましくは200〜800cm2 /gの比表面積を有するものが、作りやすくてよい。
【0011】
本発明で用いる吸着材は、炎症性白血球材料と白血球活性化物質の双方を吸着できるポリマーを使用することが重要であり、その具体例としては、分子量500以上のアミノ基をもつ環状ペプチド化合物を固定化したポリマーを表面に有する成型品が好ましく使用される。
【0012】
かかるアミノ基をもつ環状ペプチド化合物としては、好ましくは2〜50個、より好ましくは4〜16個のアミノ酸からなる環状ペプチドであって、そのアミノ酸の側鎖に1個以上のアミノ基をもつものが使用される。その具体例としてはポリミキシンB、ポリミキシンE、コリスチン、グラミシジンSあるいはこれらのアルキルあるいはアシル誘導体などを採用することができる。ここでのアミノ基の一部は、担体ポリマーとの結合に利用されると共に、吸着の特異性を発揮するために利用される。
【0013】
環状ペプチド化合物が幹となる重合体(水不溶性担体)との結合した部分の残基を化学式で表すと、下記一般式(1)で示される。
【0014】
−(CH2 )n −A−(CH2 )m −Y (1)
(式中、nとmは、0以上20以下の整数を表し、nとmは、同一でも異なっていてもよい。Aは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、尿素基、アミド基またはメチレン基を示し、Yは、分子量500以上のアミノ基含有環状ペプチド殘基を示す。)
本発明の吸着材の重合体中における環状ペプチド化合物の適正な結合量、即ち、固定化密度は、繰り返し単位当たり、好ましくは0.0001〜1個、より好ましくは0.001〜0.2個が好ましい。かかる固定化密度は、不溶性担体の化学構造および用途によって異なるが、少なすぎるとその機能が発現されるし、一方、環状ペプチド残基の結合量が多すぎると、幹ポリマーの優れた機械的性質が失われ、単独では、強靭な膜になりにくくなる傾向があり、このような重合体を他の成型品にコーティングしても、被膜が粉化する恐れがあり好ましくない。また、それを補うために、未置換の重合体と混合して用いる場合にしても、そのポリマーとの相溶性が悪くなり、うまく成膜できなくなる。
【0015】
本発明でいう不溶性担体とは、水に不溶で、かつ、分子量500以上のアミノ化合物を共有結合で固定化できるものであれば、特に制限することなく使用することができる。その具体例としては、たとえばポリスチレンで代表される芳香族ポリビニル化合物、ポリ(p−フェニレンエーテルスルホン):−{(p−C6 4 )−SO2 −(p−C6 4 )−O−}n−や、ユーデル・ポリスルホン:−{(p−C6 4 )−SO2 −(p−C6 4 )−O−(p−C6 4 )−C(CH3 2 −(p−C6 4 )−O}n−のほか、−{(p−C6 4 )−SO2 −(p−C6 4 )−O−(p−C6 4 )−O}n−、−{(p−C6 4 )−SO2 −(p−C6 4 )−S−(p−C6 4 )−O}n−、−{(p−C6 4 )−SO2 −(p−C6 4 )−O−(p−C6 4 )−C(CF3 2 −(p−C6 4 )−O}n−などで代表されるポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレンなどで、かつ、アミノ化合物を共有結合で固定化できる反応性官能基をもつものが使用される。
【0016】
反応性官能基としては、ハロメチル基、ハロアセチル基、ハロアセトアミドメチル基、ハロゲン化アルキル基などの活性ハロゲン基、エポキサイド基、カルボキシル基、イソシアン酸基、チオイソシアン酸基および酸無水物基などを使用することができるが、とりわけ、活性ハロゲン基は、製造が容易な上に、反応性が高く、固定化反応を温和な条件で遂行できると共に、この際生じる共有結合が化学的に安定なので、好ましく用いられる。
【0017】
さらに反応性官能基をもつ水不溶性担体の具体的な例としては、たとえばクロルアセトアミドメチルポリスチレン、クロルアセトアミドメチル化したユーデル・ポリスルホン、クロルアセトアミドメチル化したポリエーテルイミドなどが使用される。さらに、これらの重合体は有機溶媒に対し可溶性であると成形しやすので、特に好ましく使用される。
【0018】
本発明の吸着材の重合体は、可溶性重合体であっても、架橋された不溶性の重合体であってもよいが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に可溶であると、種々の形に成形したり、既存の成型品の上にコーティングすることができるので、特に好ましく使用される。さらに、可溶性であることは、該環状ペプチドで架橋が起きてないことを意味し、さらに、該環状ペプチド残基の自由度が高いことを意味するが、それによって細胞に対する作用が強くなることに繋がるので、とりわけ好ましい。
【0019】
本発明の吸着材は、環状ペプチドの溶液を水不溶性重合体の溶液と混合するか、水不溶性重合体の成形品と接触させるかのいずれかの方法で製造することができる。
【0020】
本発明の吸着材は、これを直接、繊維状や膜状等に成形して用いることができる。また、本発明の吸着材を、ナイロン、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリプロピレン繊維などの成形品の表面にコーティング等によって塗布すると、簡単に表面積の大きな高次の成形品が得られるので、実用上好ましい実施態様である。かかるコーティングは、本発明の吸着材を、塩化メチレンやテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの低沸点溶媒に溶かした溶液等に、ナイロン繊維等からなる編地や織物を浸した後、溶媒を蒸発させることにより、容易に実施することができる。また、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒に溶かしたものを水などの貧溶媒に入れる湿式コーティング法も利用することができる。
【0021】
かくして提供される本発明の炎症性疾患治療用カラムは、SIRSやARDSおよび敗血症などの急性炎症症候群や疎血再環流障害の治療具として好適に供される。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0023】
なお、本実施例中の血球の評価方法は、以下に従った。
1.試験管評価サンプルの前処理
編み地100mg(表面積約42cm2 )を秤量し、生理食塩水中で、120℃、20分間、蒸気滅菌した後、0.2mg/mL濃度のヘパリンナトリウム・PBS(ー)30mL中、37℃、1時間処理し、次いで、生理食塩水で洗浄して用いた。なお、蒸気滅菌できない試料は、70%エタノールに一夜浸せきしてから、上記のようにヘパリン処理して用いた。
2.血算の測定
白血球、赤血球、血小板の数の測定は、日本光電社製の全自動血球計数器MEK−6208を用いて行った。
3.エンドトキシン濃度の測定
和光純薬製のリムラスESテストワコー試薬とトキシノメーターを用いて測定した。
[吸着材の製造]
ニトロベンゼン21mLと硫酸42mLの混合溶液を0℃に冷却後、5.7gのN−メチロール−α−クロルアセトアミドを加えて溶解し、これに500mLの冷ニトロベンゼンを加えた後、これに、204gのユーデルポリスルホンP3500(ポリマーの分子量は3万ダルトン)を2Lのニトロベンゼンに溶かした溶液を、よく撹拌しながら加えた。そして、これをさらに室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿物をメタノールでよく洗った後、乾燥して、置換率0.1のα−クロルアセトアミドメチル化ポリスルホン207gを得た。さらに、これを2Lのジメチルホルムアミドに溶解し、大過剰のメタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させて精製した(重合体−A)。
【0024】
ポリミキシンB結合ポリスルホン系吸着材の製造:
次に、ポリミキシンB硫酸塩8gを280mLのジメチルスルホキシドと200mLのジメチルアセトアミドの混合溶媒に溶かし、5N−水酸化ナトリウム5mLを加えた溶液に、上記で得た重合体−Aの16gを200mLのジメチルアセトアミドと200mLのジメチルスルホキシドからなる混合溶媒に溶かしたものを加え、室温で48時間撹拌した。反応混合物を大過剰の希塩酸中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿物を水でよく洗った後、乾燥して、17.5gの重合体を得た。これを200mLのジメチルホルムアミドに溶解し、水1.5Lの水で再沈殿させ、精製して、重合体−1を得た。
【0025】
このポリマーをアミノ酸分析した結果、ポリミキシンB結合量はポリマー1gあたり24mgであった。
【0026】
上記の重合体ー1の5gを含むDMF250mlの溶液に、70デニール・98フィラメントの筒編み20gを浸漬し、20時間後にその編み地を取り出し、絞液後に真空乾燥し、コーティング編み地(吸着材1)を得た。
【0027】
コリスチン結合ポリスルホン系吸着材の製造:
次に、コリスチン・メタンスルホン酸塩8gを280mLのジメチルスルホキシドと200mLのジメチルアセトアミドの混合溶媒に溶かし、8N−水酸化ナトリウム4mLを加えた溶液に、上記で得た重合体−Aの16gを200mLのジメチルアセトアミドと200mLのジメチルスルホキシドからなる混合溶媒に溶かしたものを加え、室温で72時間撹拌した。反応混合物を大過剰の希塩酸中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿物を水でよく洗った後、乾燥した。これを200mLのジメチルホルムアミドに溶解し、水1.5Lの水で再沈殿させ、精製して、15.4gの本発明の重合体−2を得た。
【0028】
このポリマーをアミノ酸分析した結果、コリスチン結合量はポリマー1gあたり20mgであった。
【0029】
上記の重合体ー2の5gを含むDMF250mlの溶液に、70デニール・98フィラメントのナイロン6筒編み20gを浸漬し、20時間後にその編み地を取り出し、絞液後に真空乾燥し、コーティング編み地(吸着材2)を得た。
【0030】
グラミシジンS結合ポリスルホン系吸着材の製造:
次に、グラミシジンS2gを100mLのジメチルアセトアミドの混合溶媒に溶かし、5N−水酸化ナトリウム2mLを加えた溶液に、上記で得た重合体−Aの8gを100mLのジメチルアセトアミドに溶かしたものを加え、室温で48時間撹拌した。反応混合物を20ミリモルの塩酸を含む1Lの水中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿物を水でよく洗った後、乾燥して、9.0gの本発明の重合体−3を得た。このポリマーをDMFに溶かし水で再沈殿させて精製した。
【0031】
このポリマーをアミノ酸分析した結果、ポリミキシンB結合量はポリマー1gあたり21mgであった。
【0032】
上記の重合体ー3の5gを含むDMF250mlの溶液に、70デニール・98フィラメントの筒編み20gを浸漬し、20時間後にその編み地を取り出し、絞液後に真空乾燥し、コーティング編み地(吸着材3)を得た。
【0033】
吸着材1および吸着材2の基本的性能を調べた結果、表1および表2のようになった。
【0034】
但し、表1は、顆粒球増多症モデルウサギ(体重3.5kgのニュージランド・ホワイト種ウサギに100μg/mL濃度のE.coliO111:B4ーLPS・生理食塩水溶液を、体重1kgあたり5μg、耳静脈から投与し、3週間後に再度LPSの同量を投与して作成;2度目のLPS投与から24時間後に耳動脈から採血)の血液2mLに100mgの各試料を加えて吸着評価(37℃、1時間)を行ったものである。また、表中の参考試料1はコーティングする前のナイロン編み地であり、参考試料2は重合体Aをこの編み地にコーティングしたものである。また、表2は、各試料の0.5g(表面積約210cm2 )を、エンドトキシンの牛胎児血清溶液(E.coliO111:B4を10ng/mL濃度に溶かしたもの)15mL中に入れ、1時間振盪した後、溶液中のエンドトキシンを測定した結果である。
【0035】
【表1】
Figure 0004385497
【0036】
【表2】
Figure 0004385497
【0037】
実施例1
吸着材1を0.3g(表面積約126cm2 )採取して、内容積2mlの円筒状カラムに充填した。これに、生理食塩水500mlを流して洗浄した後、オートクレーブで120℃、25分間の滅菌をした。カラムに生理食塩水200mlを流し、次に、ヘパリンナトリウム0.5mg/mlPBS(−)溶液100mlを流し、さらに生理食塩水50mlを流して、体外循環の準備をした。
【0038】
雄性ウィスターラット(体重200-250g)12匹をペントバルビタール痲酔下に開腹し、左肝動脈・門脈を1時間クランプした後、クランプを外して再環流する肝臓虚血再環流モデルを作製した。再環流開始後、6匹について左総頸動脈から脱血し、ペリスタポンプとカラムを通した後、外頸静脈に返血する体外循環を施行した。抗凝固剤として回路にヘパリンを体外循環開始時に50単位、持続的に1単位/分投与しながら、1mL/分の速度で、45分間体外循環した。再環流後、24時間経過時に採血し、血液中のGOT、GPTおよびIL−6を測定し、表3の結果を得た。
【0039】
但し、表中の比較例1は、手術後、体外循環治療しなかったものである。
【0040】
【表3】
Figure 0004385497
【0041】
表3から、実施例1のカラムで治療すると、比較例1に比し、肝機能の損傷を示すGOT、GPT値が低く抑えられ、且つ、炎症の大きさ反映するIL−6も低く抑えられているので、本発明カラムによる治療の効果が出ていることが分かる。
実施例2〜3
吸着材1を0.3〜0.4g採取して、内容積2mlの円筒状カラムに充填し、生理食塩水500mlを流して洗浄した後、オートクレーブで120℃、25分間の滅菌をした。カラムに生理食塩水200mlを流し、次に、ヘパリンナトリウム0.5mg/mlPBS(−)溶液100mlを流し、さらに生理食塩水50mlを流して、体外循環の準備をした。
【0042】
雄性ウィスターラット(体重200-250g)をペントバルビタール痲酔下に開腹し、左肝動脈・門脈を1時間クランプした後、クランプを外して再環流する肝臓虚血再環流モデルを作製した。再環流開始後、6匹について左総頸動脈から脱血し、ペリスタポンプとカラムを通した後、外頸静脈に返血する体外循環を施行した。抗凝固剤として回路にヘパリンを体外循環開始時に50単位、持続的に1単位/分投与しながら、1mL/分の速度で、45分間体外循環した。再環流後、24時間経過時に採血し、血液中のGOT、GPTおよびIL−6を測定し、表4の結果を得た。表中の比較例2および3は、吸着材1を0.1gまたは0.2g充填したカラムを用いて同様に評価したものである。
【0043】
但し、表中のラット体重当たりの表面積とは、カラム内に充填した吸着材の総表面積を、用いたラットの体重で除したものである。
【0044】
【表4】
Figure 0004385497
【0045】
表4から、ラット体重当たりの吸着材の量(表面積)が低いと生存率が低いことが分かる。
実施例4
吸着材1を0.3g採取して、内容積2mlの円筒状カラムに充填し、生理食塩水500mlを流して洗浄した後、オートクレーブで120℃、25分間の滅菌をした。このカラムに生理食塩水200mlを流し、次に、ヘパリンナトリウム0.5mg/mlPBS(−)溶液100mlを流し、さらに生理食塩水50mlを流して、体外循環の準備をした。
【0046】
一晩絶食させた雄性ウィスターラット(体重200-250g)12匹をペントバルビタール痲酔下に腹部正中切開を行い、盲腸結紮後、19ゲージ針にて穿刺する盲腸結紮穿孔法を行った。結紮3時間に後、実施例3と同様にして1mL/分の速度で、45分間体外循環を施行した。6匹には吸着材1カラムを、残りの6匹には比較試料2カラムを使用した。結紮開始後、12時間経過時に採血し、血液中のTNFαおよびIL−6を測定し、表5の結果を得た。但し、比較例4は、重合体Aをコーティングしたナイロン編み地を0.3g充填したカラムを75%エタノールを満たし、24時間静置して滅菌した後、実施例4と同様に処理したものである。
【0047】
【表5】
Figure 0004385497
【0048】
表5から、比較例4に比べ、実施例4のカラムは、炎症の大きさを反映するTNFαおよびIL−6が低く抑えられおり、治療の効果が出ていることが分かる。
実施例5
吸着材1を0.4g採取して、内容積2mlの円筒状カラムに充填し、生理食塩水500mlを流して洗浄した後、オートクレーブで120℃、25分間の滅菌をした。カラムに生理食塩水200mlを流し、次に、ヘパリンナトリウム0.5mg/mlPBS(−)溶液100mlを流し、さらに生理食塩水50mlを流して、体外循環の準備をした。
【0049】
一晩絶食させた雄性ウィスターラット(体重200-250g)12匹をペントバルビタール痲酔下に腹部正中切開を行い、盲腸結紮後、19ゲージ針にて穿刺する盲腸結紮穿孔法を行った。結紮3時間に後、実施例3と同様にして1mL/分の速度で、45分間体外循環を施行した。比較例5として、重合体Aをコーティングしたナイロン6編み地を0.4g充填したカラムを75%エタノールを満たし、24時間静置して滅菌した後、実施例5と同様に処理したカラムを用いた。実施例5、比較例5とも6匹ずつで試験した。
【0050】
結紮開始後、12時間経過時に採血し、血液中のTNFαおよびIL−6を測定し、表6の結果を得た。
【0051】
【表6】
Figure 0004385497
【0052】
表6から、吸着材1のカラムを用いた実施例5の方が、比較例5より生存率が高く、治療効果が高いことが分かる。
実施例6〜7
吸着材2を0.3〜0.4g採取して、内容積2mlの円筒状カラムに充填し、生理食塩水500mlを流して洗浄した後、オートクレーブで120℃、25分間の滅菌をした。カラムに生理食塩水200mlを流し、次に、ヘパリンナトリウム0.5mg/mlPBS(−)溶液100mlを流し、さらに生理食塩水50mlを流して、体外循環の準備をした。
【0053】
一晩絶食させた雄性ウィスターラット(体重200-250g)をペントバルビタール痲酔下に腹部正中切開を行い、盲腸結紮後、19ゲージ針にて穿刺する盲腸結紮穿孔法を行った。結紮3時間に後、実施例4と同様にして1mL/分の速度で、45分間体外循環を施行し、表7の結果を得た。表中の比較例6は0.2gの吸着材1を充填したカラムを用いて同様に評価したものであり、また、比較例7は0.4gのナイロン編み地を充填したカラムを用いて同様に評価したものである。
【0054】
【表7】
Figure 0004385497
【0055】
表7から、ラット体重当たりの吸着材の量(表面積)が少なかったり、比較例7のように、ただのナイロンの編み地のようなものでは、十分な表面積のものを充填しても、治療効果が出ないことがわかる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、SIRSやARDSおよび敗血症などの急性炎症症候群や疎血再環流障害の治療具として好適な炎症性疾患治療用カラム、特に体外循環用カラムを提供することができる。

Claims (8)

  1. 血液中の白血球活性化物質と炎症性白血球の双方を同時に吸着する吸着材が、被治療動物の体重1kg当たり、表面積が40〜840cm2の量で充填され、
    前記吸着材は、水不溶性担体にアミノ基を有する環状ペプチド残基を固定化したものである、虚血再還流障害治療用カラム。
  2. 該白血球活性化物質が、細菌毒素である請求項1記載の虚血再還流障害治療用カラム。
  3. 該細菌毒素が、エンドトキシンである請求項2記載の虚血再還流障害治療用カラム。
  4. 該炎症性白血球が顆粒球である請求項1〜3のいずれか一項記載の虚血再還流障害治療用カラム。
  5. 該環状ペプチド残基が、ポリミキシン、コリスチン、または、グラミシジンSまたはそれらの誘導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の虚血再還流障害治療用カラム。
  6. 該水不溶性担体が、アミン結合性基を有するポリ(ビニル芳香族化合物)である請求項1〜5のいずれか一項記載の虚血再還流障害治療用カラム。
  7. 該水不溶性担体が、ポリイミド系重合体である請求項1〜5のいずれか一項記載の虚血再還流障害治療用カラム。
  8. 該吸着材の形状が、膜、繊維、中空糸、粒状物またはこれらを用いた組み立て品であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の虚血再還流障害治療用カラム。
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