JP2007201257A - 太陽光発電システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蓄電池モジュールと太陽電池モジュールを並列接続し、前記蓄電池モジュールと太陽電池モジュールの間にスイッチを備える太陽電池ストリングを、DC/AC変換装置を介して系統に接続した太陽光発電システムである。そして前記スイッチにより、前記太陽電池モジュールと蓄電池モジュールの合成出力または前記太陽電池モジュールの出力を切り替え取り出すことにより、太陽光発電出力を平滑化し、タイムシフトを可能にする。
【選択図】図2
Description
また特許文献2に開示された発明は、太陽電池の出力が低下したとき、蓄電池から出力することを前提としているため、蓄電池の出力電圧は最大電力点電圧よりかなり低いところに設定されており、発電量が十分にあるときに蓄電池の電力を足すと、太陽電池が非常に効率の悪いところで動作することになる。
また従来の蓄電池を併設したシステムは、非常時のために蓄電池を併設したものが多く、蓄電池に太陽電池から充電される頻度が少なく、その効率はあまり重要視されていない。しかし、出力変動が大きい太陽光発電の出力を常に平滑化するためには、蓄電池システムの頻繁な充放電が必要になる。そのため、高効率な充放電が必要となる。一般的に、電圧変換装置を用いた充放電装置では、充電時と放電時に電圧が2回変換されることになる。このため、高効率の変換装置であってもその合計の変換効率は、変換効率の2乗となってしまう。例えば、充電時または放電時の変換効率が97%の変換装置は、充電と放電を行うことにより、その合計変換効率は、0.97×0.97=0.94%となってしまう。
また上記変換装置を含め、一般的に電気回路はベース電流が必要となるが、電気回路は定格容量に近いところで運転すると効率がよく、微小な電力変換は効率が悪くなる。従って、太陽光発電の出力を蓄電池に充電する場合、夜明けや日没前のように日射の弱い場合は、太陽光発電の出力が小さく、そのため、変換装置を作動させるためだけに消費されてしまい、効率が悪くなる。
本発明は、以上のような課題に鑑みて、太陽光発電出力を平滑化し、タイムシフトを可能にする太陽光発電システムを提供するものである。
P×0.3時間<Wであることが好ましい。これにより太陽電池モジュールと蓄電池モジュールの容量バランスをとることができ、その結果、太陽電池モジュールが本来備えている電流制限機能を活かしつつ充電または放電することができる。
前記太陽電池素子は、温度特性の優れている太陽電池素子よりなることが好ましい。これにより、太陽電池モジュールの動作電圧範囲を蓄電池モジュールの電圧で固定した場合に、最大電力に近い適切な電圧範囲に設定することができる。
なお、前記太陽電池モジュールは、薄膜太陽電池素子よりなるとよい。薄膜太陽電池素子は温度特性の優れ、適切な電圧範囲に設定することができる。また前記蓄電池モジュールは、充電不足によるサイクル劣化、メモリー効果のない電池であるとよい。これにより、電圧範囲を狭く設定することが可能である。特にリチウムイオン電池は充放電曲線が平坦であり、部分充放電におけるサイクル劣化やメモリー効果がなく、好ましい。
前記太陽電池モジュールは、逆流防止素子を介して蓄電池モジュールに直接接続するとよい。これにより、電圧変換装置を介することなく直接太陽電池モジュールの発電出力によって蓄電池モジュールを充電するので、電圧変換装置による変換ロスがなくなる。そのため高効率な出力の平滑が可能になる。また蓄電池モジュールと太陽電池モジュールは直接接続され、朝方または夕方あるいは曇りや雨のときのように日射量が少ないときは、小さい充電電流値で充電するので、CV充電の効果を得ることができる。
前記所定の条件は、少なくとも検出電圧が所定値以上になると出力開始(スイッチON)、または出力停止(スイッチOFF)、所定時刻になると出力開始(スイッチON)、または出力停止(スイッチOFF)、あるいはそれらの組み合わせによって制御されるとよい。このため太陽光発電出力を平滑化する電圧値、タイムシフトの時間を任意に設定することができる。
前記スイッチが開列されている際に、前記太陽電池モジュールの出力を取り出す場合、前記太陽電池モジュールを最大電力点追尾方式で運転することが望ましい。これにより、蓄電池モジュールに制限されることなく、太陽電池モジュールから最大電力を取り出すことができる。
前記太陽電池ストリングが複数DC/AC変換装置に並列に接続し、各太陽電池ストリングに逆流防止素子を備えることが望ましい。このため簡単な回路構成により複数の太陽電池ストリングを接続することができ、非常に大型の太陽光発電システムを得ることができる。
また本発明によれば、複数の太陽電池ストリングを接続する場合、ひとつのパワコンで平準化制御が可能である。そして、通常大きな太陽光発電システムでは、蓄電池モジュールと太陽電池モジュールをパラレルでつないだ場合は、それぞれが補い合い、まとめて出力する制御部が必要になるが、本発明は1つのDC/AC変換器によって行うことができ、通常のようにまとめて出力するように制御する制御部を必要としない。
ちなみに電流はDC/AC変換器2の入り口では太陽電池モジュール12と蓄電池モジュール13の電流の合成となっているため、太陽電池ストリング1が単数の場合でも、電流検出部は電池の出口のところで必要になる。
信号線18は、蓄電池モジュール12に内蔵する電圧検出部19の電圧情報や、容量カウンターによる充電状態の情報、その他異常が起こったときのエラー信号などのやり取りを行うために使用される。通信プロトコルは、RS-232CやRS-485など通常のものが使用可能である。
《太陽電池モジュール》
本発明に用いられる太陽電池モジュールは、結晶系の太陽電池セルを複数枚接続いて作製された結晶系太陽電池モジュールや、ガラス基板上にCVD等の方法により形成されたシリコン系半導体や化合物系半導体よりなる薄膜状の太陽電池を直列接続となるように加工したセルを用いた太陽電池モジュール、結晶系のシリコンとアモルファスシリコンを積層したタンデム構造の太陽電池を用いた太陽電池モジュールなどが挙げられる。
図3は、太陽電池モジュールの出力電力Pと出力電圧Vの関係を示し、太陽電池モジュールのP−V曲線Aは図に示す通りである。このP−V曲線Aにおいて、蓄電池モジュール12の動作電圧範囲はSOC20%〜SOC80%の範囲とする。SOC(state of charge)は、蓄電池モジュールの充電状態を示し、SOC100%が満充電であり、SOC0%が放電終了の状態である。
このSOC20%〜SOC80%の範囲の最大電力点電圧(Pmax)に対する比率は、右側の縦軸目盛と、効率を示す曲線Bから効率は、92%〜100%の範囲にある。
一方、蓄電池モジュールの動作電圧は温度の影響をさほど受けない。したがって、本発明における太陽電池モジュールは温度によって出力電圧の変化を受け難い温度特性の優れた太陽光電池を選択することが望ましい。上記のように太陽電池モジュールの温度係数は、−0.42%/℃以下、さらに好ましくは−0.3%/℃以下の太陽電池モジュールを選択することが望ましい。これにより、高いシステム効率を得ることが可能となる。これは接続される蓄電池デバイスの種類にもよるが、蓄電池デバイスの動作電圧の温度変化による変動幅は、約20〜30%程度であり、一方太陽電池モジュールの使用温度幅が約60℃であることから考慮し算出される。
特に、リチウムイオン電池は、温度による充電電圧の変化は非常に小さく、蓄電池モジュールの蓄電池デバイスとして、リチウムイオン電池を選択する場合は、特に温度係数が優れた太陽電池を組み合わせることが好ましい。
本発明において、電圧範囲とは、蓄電池モジュールを充放電する場合の電圧範囲を指し、充電の上限電圧値は充電終止電圧であり、放電の下限値は放電終止電圧である。図4は、充電容量と充放電電圧の関係を示し、充電曲線Cで示すように充電され、放電曲線Dで示すように放電する。この電圧範囲は任意に設定することが可能であるが、この説明では、SOC20%〜SOC80%の範囲で蓄電池モジュールを使用する場合について説明すると、充電終止電圧はSOC80%の電圧であり、放電終止電圧はSOC20%の電圧である。結局、電池使用領域はSOCの中心60%である。
リチウムイオン電池は満充電状態に近い状態で放置すると使用していなくても劣化するため、蓄電デバイスとしてリチウムイオン電池を用いる場合には、電池の中心部の電力を活用することは、電池のサイクル特性上、好ましい。
例えば、上記電圧範囲の下限値は、日射量が1000mW/m2、温度が25℃のときの太陽電池モジュールの最大電力点電圧(Vpm)の発電電力に対して、同日射量、温度条件下で、60%以上の電力が得られる動作点電圧以上とすることができる。好ましくは65%以上の電力が得られる動作点電圧以上であり、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは75%以上である。ここでは25℃の場合について説明したが、実際の設置場所の情報などをベースに最頻値の日射量や温度をベースに設定してもよい。
使用するSOCを選択することについて、蓄電池デバイスとしてリチウムイオン電池を使用する場合を例にとって説明する。正極にコバルト酸化物を用いたリチウムイオン電池は、単セル当り3.0〜4.2Vの電圧領域にその容量を有する。したがってSOC0%〜100%を利用する場合、上記電圧範囲の下限値は3.0V×直列数である。また下限値を高電圧側にシフトしたい場合には、例えばSOC50%〜100%を利用すれば、上記電圧範囲の上限値は、3.7V×直列数とすることができる。
太陽電池が十分に発電する日射量がある場合には、太陽電池モジュールの温度が高くなっている場合が多く、上記設定とすることによって種々の日射量、太陽電池モジュール温度にて高い効率で太陽光発電が可能となる。
上記電圧範囲は固定でもかまわないし、日射量や気候条件、蓄電池デバイスの劣化状況などによって、設定値を順次変えていくことも可能である。
日射条件や気候条件によって変更する場合は、過去の日射データや気温データをもとに適切な期間に区切り、電圧範囲を設定すればよい。例えば、気温が低い冬季には太陽電池モジュールの温度が低くなるため、電圧範囲を高く設定する。また気温が高くなる夏季には電圧範囲を低く設定する。更に春季や秋季には冬季と夏季の中間の電圧範囲に設定する。このように日射条件を考慮して設定する場合、日射が安定した地域などにおいては下限値を80%以上とすることも可能である。
また、蓄電池は劣化が進むと、内部抵抗が増加するため、段階的に上記範囲内で充電終止電圧を上げていき、放電終止電圧では下げていくように予め設定しておくことも可能である。そのために、スイッチを備えたり、制御ソフト中に設定された設定値を、通信手段などを利用してアップデートが可能なようにしておくとよい。
スイッチは、メカニカルに入り切りを制御するスイッチやMOSFETやIGBTのような電界効果型の半導体スイッチを用いることが可能である。このスイッチは、所定の動作電圧範囲で作動するように制御される。
本発明において使用される蓄電池モジュールは、1つ以上の蓄電池デバイスと、必要に応じて保護回路を接続したものである。蓄電池デバイスとしては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池などの化学反応を利用した二次電池や、電気二重層キャパシタなどが使用可能である。上述したように、狭い電圧範囲でなるべくたくさん容量が取れる電池が好ましく、化学反応を利用した二次電池が好ましい。中でも、充放電反応に基本的に副反応を伴わない電池系が充放電による電力効率が高くより好ましい。その代表的な例としてリチウムイオン電池があげられる。
さらには、これまで蓄電池デバイスとして使用されていた鉛蓄電池は、充電不足が続くと容量劣化が起こったり、ニッケル水素電池などは決まった範囲で充放電を繰り返すと、容量が十分に得られなくなるメモリー効果などが見られたりするが、リチウムイオン電池は充電不足によるサイクル劣化やメモリー効果などがなく、充電終止電圧の温度依存性がないため、本発明の蓄電池モジュールを構成するための電池としては好適に使用することができる。
リチウムイオン電池の材料には正極材料、負極材料ともに種々なものが提案されており、それらすべてが使用可能である。中でもLiFePO4を正極に用いたリチウムイオン電池はその充放電曲線が平坦であり、特に好ましい。
上記保護回路としては、例えば、過充電防止回路、過放電防止回路、過電流防止回路、直列に接続された蓄電池デバイスの各セルの電圧監視回路、各セルの電圧を調整するバランス回路などがある。
本発明において、太陽電池モジュールと蓄電池モジュールが並列接続されたものを太陽電池ストリングと言う。更に詳細には、図1、図2に示すように、スイッチ13、電流センサー14、逆流防止ダイオード15を含む。この場合、太陽電池モジュールは、屋根や屋上のような日当りのよい場所に設置する。蓄電池モジュールは、太陽電池モジュールによって日陰になる太陽電池用架台の一部や配線をまとめる接続箱の一部、または屋内のような雨風の当らない場所に設置可能である。そして、蓄電池モジュールと、蓄電池モジュールの電圧範囲が前記電圧範囲となるように接続された複数の太陽電池モジュールを、それぞれペアなるように電気配線により接続する。
本発明では、DC/AC変換装置からの出力を制御することによって、DC/AC変換装置からの出力を平滑化するとともに、蓄電池モジュールの充電を制御することが可能である。つまり、太陽電池モジュールにより発電された太陽光発電電力からDC/AC変換装置の出力を引き算したものが充電電力となるからである。このように出力制御することにより、太陽電池モジュールの発電出力を平滑化するとともに、充電制御を行うことができる。
DC/AC変換装置からの出力制御は、太陽電池モジュールからの出力変動を吸収するために一定の出力としてもかまわないし、または、充電電流が一定になるようにDC/AC変換装置の出力を制御してもかまわない。
通常は、充電制御装置によって電池の満充電が近くなってくると、充電電力を絞るような制御が行われるが、本発明の太陽光発電システムでは満充電の近くで充電電力を絞るような制御は必要なく、DC/AC変換装置の出力制御のみで同時に充電制御が達成できる。
太陽電池モジュールの出力をP1(W)、蓄電池モジュールの蓄電容量W1(Wh)とした場合には、そのバランスは、P1×0.3時間<W1とすることが好ましい。この程度の蓄電池容量を持っていれば、細かい時間間隔での出力の平準化は可能である。通常の蓄電池の充電制御においては、蓄電池に大電流が流れ込まないように電流制限が設けられている。しかし、太陽電池モジュールは、そのデバイスに流すことが可能な最大電流が、太陽電池セルの枚数、内部抵抗や配線抵抗などによって決まっており、本来電流制限機能を有する電源であるため、太陽電池モジュールの出力と蓄電池モジュールの蓄電容量バランスを調整することによって、通常必要であった充電時の電流制限回路が不要になる。従って、この容量バランスは非常に重要である。このような観点からも充電電流の最小値は上記下限値が好ましいが、更に好ましくは、P1×0.5時間、さらに好ましくはP1×1時間とすることが好ましい。通常の蓄電池デバイスは、3C(蓄電池容量を3時間で充電する電流)程度の電流の流れ込みであれば、非安全にならないように設計されており、安全性の観点からP1×0.3時間<W1の関係が導き出される。さらには、蓄電デバイスは1C(蓄電池容量を1時間で充電する電流)程度の充電電流は特性に悪影響を与えない充電電流として許容しているため、最小値をP1×1時間とすると、蓄電池デバイスの特性を損なうことなく使用することができて好ましい。
充電電流の最大値は、大きくても本発明を実施する場合に問題はないが、設備サイズ、コスト、設備の稼働率等の観点から、P1×10時間、さらに好ましくはP1×5時間程度とすることが好ましい。十分な蓄電容量があれば、細かい時間間隔での出力の平滑化と電力をタイムシフトする大きな時間での電力シフト(平準化)の両立が可能となり、好ましい。
一般的な太陽光発電システムは、所定の日射量でもつ太陽光電池の最大電力点を追従しながら、出せる電力をすべて出すように制御される。
また自立型では、DC/AC変換装置に接続される機器の負荷容量にあわせて出力容量する制御する。この場合の出力は機器の負荷容量に規定されるので、太陽光発電電力は有効に使えない場合がある。
本発明ではそのような従来の制御は行わず、ある時間幅の間は一定の出力を保つように、図8に示すような制御を行う。または大きな日射変動の流れに沿って平滑化して出力するように、図7に示すような制御を行う。ここで、太陽電池モジュールと蓄電池モジュールが直接接続されているとは、太陽光発電の電力が直接蓄電池に充電および放電が可能なように接続されていることである。図7、図8において、(a)は蓄電池モジュールの充電状態を示す。(b)は日射量を示す。(c)は太陽電池ストリングの出力を示す。
図3の曲線Bは、太陽電池モジュールのモジュール温度60℃、日射強度90mW/m2の場合の動作を示す。この場合は、設定されている電圧範囲では、最大電力点に対して、92%の電力が得られる電圧から100%の電力が得られる電圧の範囲で充放電が行われる。従って、初期には先ず充電を行い、満充電に近い領域で出力の平滑化を行うことによって、よりシステム効率を上げることが可能となる。
上記の一定出力の出力量と時間の幅は電池の充電状態によって決定する方法や、気象情報や別途測定している日射量を参考にあらかじめ設定されたパターンを選択する方法などが考えられる。
本発明は、太陽電池ストリングに接続された蓄電池モジュール12の電圧を検出してスイッチ13を接続したり開列したり切り替えるので、たとえば満充電後しばらくの間、電池を切り離し、太陽電池の発電電力のみを最大電力点追尾方式で活用し、その後所定の時間になった際に、再度蓄電池モジュールを接続し、太陽電池モジュールと蓄電池モジュールの合成された電力を一定時間活用することが可能となる。
また、本発明により、太陽電池ストリングからの電流を検出してスイッチを切り替える。そのため、たとえば、図2に示すように複数の太陽電池ストリングを並列で一台のDC/AC変換装置に接続し、一定電力制御している時に、一部の太陽電池ストリングの日射量が低下したり、日陰になったりして、一部の太陽電池ストリングの出力が低下した場合、極端には発電不能になった場合に、ある太陽電池ストリングのみに出力要求が集中することを回避することが可能となる。
通常の通信手段で外部より信号を送ることによってスイッチを太陽電池と蓄電システムを開列するように切り替えることができるようにすれば、DC/AC変換装置からの信号により太陽電池の出力のみとなるようにスイッチを切り替え、必要に応じて最大電力点追尾で動作させるようなことが可能となる。
《システム構成》
図1は、本発明の太陽光発電システムの構成の一例を示す図である。太陽電池モジュール11は、最大電力点電圧がVpm=51V、Isc=2A、85Wの薄膜結晶太陽電池パネルを4直3並列の12枚から構成される。蓄電池モジュール12は、5.7Ahのリチウムイオン電池を48直列として構成し、保護回路および電力カウンターを有する回路部を伴って構成される。この構成の太陽電池ストリング1は、蓄電池モジュール12の電力が太陽電池モジュール11に逆流しないように設けられた、逆流防止素子15を介して並列接続を行う。ここで、保護回路は、市販の電圧監視IC、FETおよび制御用CPUなどから構成され、電圧異常などを検出したら回路を開列し電池を保護するなどの機能を有するものである。電力カウンターは電力監視用のIC等が搭載され、蓄電デバイスの充放電電力を監視し、電池の充電状態を外部に出力することが可能な回路である。また逆流防止素子15は、ダイオードよりなる。
また、太陽電池モジュールと蓄電池モジュールの接続をオン・オフするスイッチ13が蓄電池モジュール12と接続点16の間に接続される。更に接続点16は、太陽電池ストリングの電流を測定する電流センサー14を介してDC/AC変換装置2に接続される。ここでスイッチ13としては、電界効果型トランジスタ(MOS TFT)を使用する。電流センサー14は、例えばシャント抵抗を接続し、その両端の電圧を測定したり、ホールセンサーなどを利用したりすることができる。スイッチ5は、制御回路(図示しない)によって、太陽電池モジュールに接続されたり、太陽電池モジュールから開列するように制御される。
このようにして構成された太陽電池ストリング1をDC/AC変換装置2に接続し、DC/AC変換装置2の出力によって、系統電力3と連係させる。
また蓄電池モジュール12から信号線18によって、蓄電池の状態を検出できるようになっている。この信号線18は、蓄電池の電圧やSOC(充電状態)等の信号をDC/AC変換装置2に供給し、DC/AC変換装置2からの出力を決定するために使用される。
前記蓄電池モジュール2を構成するリチウムイオン電池の全電力を充放電する場合の電圧領域は、202V〜144Vであるが、この実施例1では上下20%をカットしたSOC20%〜SOC80%の範囲で、全容量の60%を使用することとした。この場合の放電時の下限電圧は174V、充電時の上限電圧は199Vである。
上記太陽電池モジュールの1000mW/m2、25℃における最大電力電点圧(Vpm)は、204Vであり、その際の発電電力は85Wである。また同条件下PV曲線での、電池の下限電圧174V、上限電圧199Vでの出力電力はそれぞれ78.2W(92%)、83.7W(92%)である。
この実施例1では出力制御は下記の条件で行った。下記説明でのSOC(C)は、数値を解りやすくするために、上記で規定した実際に使用する容量(蓄電デバイスの60%容量)を100として、比率で示している。即ち、SOC20%=SOC(C)0%、SOC80%=SOC(C)100%である。
(1)SOC(C)70%以下では出力停止
(2)SOC(C)70%より受電が進んだら100W出力開始
(3)SOC(C)が10%増加するごとに出力を100W増加する。
(4)SOC(C)が10%減少するごとに出力を100W減少させる。
(5)SOC(C)10%の変動が15分以内に起こった場合には、増加あるいは減少 させる出力は200Wとする。
(6)16:18になったら(70%充電状態の電力が600W(約1C放電)によっ て、10:00に完了する時間)、600W出力を行う。
図7にこの実施例1のシステムの一日の動作データを示す。日射変動が激しく太陽電池の出力は大きく変動しているが、DC/AC変換装置からの出力は平滑化されていることがわかる。即ち、図7の日射量が6時45分頃から8時まで増加しているが、蓄電池の充電状態はSOC(C)70%未満である。そのため上記条件(1)により、この実施例1の太陽電池ストリング出力は、図7にaで示すように0Wである。しかし8時を過ぎたとき、蓄電池のSOC(C)は70%を越える。このため太陽電池ストリング出力は上記(2)の条件により、図7にbで示すように100W出力する。日射量は更に増加して蓄電池のSOC(C)は10%増加し、SOC(C)80%になる。しかもこの10%増加は15分以内であったので、上記(5)の条件により、図7にcで示すように太陽電池ストリングからの出力を200W増加させる。さらにその後も充電が続けられ、SOC(C)が90%となる。このときの10%増加が15分以内であったので、上記(5)の条件により、図7にdで示すように,更に太陽電池ストリングからの出力を200W増加させる。
そして、上記条件(6)により、16:18以降の間帯に起動時から、実際に出力を開始した時間までの発電電力(aの時間帯)および日射時間中の発電電力をタイムシフトする。
以上のように上記条件に従って制御することにより、出力の平滑化が可能となり、かつ16:18以降の間帯に発電電力をタイムシフトできることがわかる。
今回得られた最大電力量ですべて制御した場合の想定発電電力に対して、実際に得られた電力量は97%(蓄電池の充放電ロス除く)であった。これは回路を介して出力の平滑化を行う場合、回路での昇降圧の効率が98.5%(往復で0.985×0.985=0.97)と同等であり、非常に高い効率であることがわかる。
したがって、本発明により、高効率で出力の平滑化および電力のタイムシフトが可能となることがわかる。
実施例1と同様のシステムによって制御方法のみを変更し、運転を行った。
運転条件は下記の通りである。
(1)満充電になるまで充電。
(2)満充電になったら蓄電池デバイスを切り離し、制御方法を最大電力点追尾変更して出力。
(3)12:00〜14:00になったら300W出力を行う。(1時間)
また、本実施例で実際に得られた電力量(充放電されている期間のみ)は、最大電力量ですべて制御した場合の想定発電電力に対して、96.3%(蓄電池の充放電ロス除く)であった。これは回路を介して出力の平滑化を行う場合、回路での昇降圧の効率が98%(往復で0.98×0.98=0.96)と同等であり、非常に高い効率でタイムシフトが実現できていることがわかる。
2 DC/AC変換装置
3 系統
11 太陽電池モジュール
12 蓄電池モジュール
13 スイッチ
14 電流センサー
15 逆流防止素子
16 接続点
17 アースライン
18 信号線
19 電圧検出部
20 逆流防止素子
Claims (10)
- 蓄電池モジュールと太陽電池モジュールを並列接続し、前記蓄電池モジュールと太陽電池モジュールの間にスイッチを備える太陽電池ストリングを、DC/AC変換装置を介して系統に接続する太陽光発電システムであって、前記スイッチにより、前記太陽電池モジュールと蓄電池モジュールの合成出力または前記太陽電池モジュールの出力を切り替え取り出すことを特徴とする太陽光発電システム。
- 前記太陽電池モジュールの出力Pと、蓄電池モジュールの充電容量Wは、
P×0.3時間<Wであることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。 - 前記太陽電池モジュールは、温度特性の優れている薄膜太陽電池素子よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電システム。
- 前記蓄電池モジュールの電圧範囲は、所定の日射量および温度のときの最大電力電圧点(Vpmax)に対して、前記所定の日射量および温度における60%以上100%以下の電力を取り出すことが可能な電圧範囲に設定することを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
- 前記太陽電池モジュールは、逆流防止素子を介して蓄電池モジュールに直接接続することを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
- 前記太陽電池ストリングは、少なくとも時間監視部、電圧検出部または電流検出部を更に備え、前記スイッチは、時間監視部、前記電圧検出部または電流検出部の出力が所定の条件を満たした際に切り替えられることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
- 前記所定の条件は、少なくとも検出電圧が所定値以上になると出力開始(スイッチON)、または出力停止(スイッチOFF)、所定時刻になると出力開始(スイッチON)、または出力停止(スイッチOFF)、あるいはそれらの組み合わせによって制御されることを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電システム。
- 前記太陽電池ストリングは、前記DC/AC変換装置により所定の電力を出力するように制御されることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
- 前記スイッチが開列されている際に前記太陽電池モジュールの出力を取り出す場合、前記太陽電池モジュールを最大電力点追尾方式で運転することを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
- 前記太陽電池ストリングを複数DC/AC変換装置に並列に接続し、各太陽電池ストリングに逆流防止素子を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
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