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燃料電池スタック
本発明は、燃料電池スタックに関する。
燃料電池、たとえば固体高分子電解質型燃料電池は、膜−電極アッセンブリ(Membrane-Electrode Assembly 、MEA)をセパレータで挟んだものから構成される。少なくとも1つの単位燃料電池からモジュールを構成し、モジュールを複数積層して(積層方向は任意)燃料電池スタックが構成される。
燃料電池スタックの発電運転において、セル積層方向に偏った水分量分布が発生し、水分過多となるスタック部位では、フラッディングにより電圧低下が生じる。
この対策として、特開2004−179061号公報は、スタックのセル積層方向においてフラッディング(水分過多)が生じやすい箇所としてスタックのガス供給側端の反対側端を挙げ、スタックのガス供給側端の反対側端に、またはスタック両端部位に、「フラッディングが生じにくいセル」や、「フラッディングが生じた場合でも発電性能を高く維持できるセル」、「フラッディングに対して耐久性を有するセル」など、他のスタック部位のセルと性能の異なるセルを配置することを提案している。
特開2004−179061号公報
しかし、従来の構成には、つぎの問題がある。
スタックのどの部位にフラッディングが生じやすいかは分かっていなかった。特開2004−179061号公報は、スタックのセル積層方向においてフラッディング(水分過多)が生じやすい箇所としてスタックのガス供給側端の反対側端を挙げているが、スタックのガス供給側端の反対側端が水分の溜まりがちな部位とは限らず、その場合には、スタックのガス供給側端の反対側端に水はけのよいセルを配置しても、フラッディング抑制にはほとんど効果がない。
スタックのどの部位(あるいはどちらのスタック端部)が水分の溜まりがちな部位かは実験で求めなければならないが、煩雑である。
スタックの何れの端部が水分の溜まりがちな部位となっても対応できるように、スタック両端に水はけのよいセルを配置すると、水はけのよいセルのコストが高いため、コスト的に問題となる。
本発明の目的は、スタックのどの部位に(スタックのどちらの端部に)フラッディングが生じやすいかを特定でき、その部位のみに(フラッディングが生じやすい部位がスタック片端の場合は、両端ではなく、その片端のみに)フラッディングを抑制するセルを配置するようにした燃料電池スタックを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の燃料電池スタックは、燃料電池スタックのセル積層方向における燃料電池通常発電時に総マイナスとなる側のみの端部とその近傍に設けられる第1のセルと、それ以外のスタック部位に設けられる第2のセルとを有する燃料電池スタックであって、
第1のセルを第2のセルよりフラッディングを生じにくい構造とし
燃料電池スタックのセル積層方向での水分量分布の偏りがあった場合にセル積層方向の燃料電池スタックの総極性を反転させる構造とした燃料電池スタックからなる。
フラッディングを生じにくい構造の一例として、第1のセルは、第2のセルより、ガス流路の断面積が大きい
ラッディングを生じにくい構造のもう一つの例として、第1のセルは、第2のセルより、セパレータのガス流路を形成する面の排水性が高い。
フラッディングを生じにくい構造のもう一つの例として、第1のセルは、第2のセルより、接着剤層の厚さが厚い。
総極性の反転は、一定時間だけ続けられるか、あるいは、水分量分布が平坦化したと判定されるまで続けられる。
総極性の反転が、燃料電池スタックに供給される燃料ガスと酸化ガスとを入替えることによって行われるか、または、外部電源または回生電圧の印加によって行われる。
セル積層方向における、燃料電池スタックの水分の溜まりは、スタックのセル積層方向の一端部の10枚程度のセル(顕著にあらわれるのは端部の5枚程度のセル)に見られ、スタックのセル積層方向の他端部とその近傍のセルはドライとなることが本発明者により確認された。
また、スタックの2つの端部のうちどちらの端部(とその近傍セル)に水が溜まるかは、スタックへのガスの供給方向と関係があるのではなく、スタックの総プラス、総マイナクと関係があり、スタックの総マイナス側の端部に水が溜まり、総プラス側がドライになることも、本発明者により発見された。
上記確認と発見のもとに、本発明の燃料電池スタックによれば、フラッディングが生じやすい部位をスタックの総マイナス側端として特定できる。また、その特定した部位のみのセルをフラッディングを生じにくい構造としたので、フラッディングが生じるかもしれない部位すべてとその近傍のセルをフラッディングを生じにくい構造としていた従来に比べて、フラッディングを生じにくい構造をもつセルの数を低減でき、コスト的に有利となる。たとえば、従来はスタック両端とその近傍のセルをフラッディングを生じにくいセルとしていたのに比べて、本発明では、総マイナス側端とその近傍のセルのみをフラッディングを生じにくいセルとすることができ、セル数を半減でき、コスト的に有利となる。
また、スタックの総マイナス側端部とその近傍に水分の偏りが生じた場合にスタックの極性を反転させると、極性反転による水分量分布の平坦化と、フラッディングを生じにくいセルの配置による水分量分布の平坦化とによって、フラッディングが効果的に抑制される。
第1のセルが、第2のセルより、ガス流路の断面積が大きい場合は、圧損が小さくなって断面積が同じ場合に比べて多量のガスが流れようとしこの多量のガスに乗せて水分をセル内ガス流路から追い出すことができ、フラッディングを生じにくくすることができる。
第1のセルが、第2のセルより、セパレータのガス流路を形成する面の排水性が高い場合は、セル内ガス流路に溜まろうとする水分がセル内ガス流路から出ていき、フラッディングを生じにくくすることができる。排水性は、ガス流路面が親水性か、あるいは撥水性かの影響を受ける。親水性が高い場合は、水分が水玉となりにくく、その結果、水玉による流路の閉塞が起こりにくく、閉塞が起こらない分、排水性が良くなる。また、撥水性がよい場合は、水玉にはなりやすいが、水がガス流路面に付着しにくく、その結果、排水性が高くなる。親水性の割合や撥水性の割合は、ガス流路の断面積や、ガス流路の入口、出口からの距離などに応じて、調整することができる。
第1のセルが、第2のセルより、接着剤層の厚さが厚い場合は、セルのMEAを挟んで対向するアノード側セパレータとカソード側セパレータ間の電気絶縁性が向上して、接着剤層を介しての微量電気短絡が少なくなり、その分、微量短絡による生成水も少なくなり、フラッディングを生じにくくすることができる。
以下に、本発明の燃料電池スタックを、図1〜図17を参照して説明する。
本発明の燃料電池スタック23を構成する燃料電池(単セル)10は、低温型燃料電池であり、たとえば、固体高分子電解質型燃料電池10である。該燃料電池10は、たとえば燃料電池自動車に搭載される。ただし、自動車以外に用いられてもよい。
図15〜図17に示すように、固体高分子電解質型燃料電池10は、膜−電極アッセンブリ(MEA:Membrane-Electrode Assembly )とセパレータ18との積層体からなる。
膜−電極アッセンブリは、イオン交換膜からなる電解質膜11とこの電解質膜の一面に配置された触媒層からなる電極(アノード、燃料極)14および電解質膜の他面に配置された触媒層からなる電極(カソード、空気極)17とからなる。膜−電極アッセンブリとセパレータ18との間には、アノード側、カソード側にそれぞれ拡散層13、16が設けられる。
セパレータ18には、中央部に、アノード14、カソード17に燃料ガス(水素)および酸化ガス(酸素、通常は空気)を供給するための反応ガス流路27、28(燃料ガス流路27、酸化ガス流路28)と、その裏面に冷媒(通常、冷却水)を流すための冷媒流路26が形成されている。
また、セパレータ18には、外周部に、燃料ガス流路27に燃料ガスを供給、排出するための燃料ガスマニホールド30、酸化ガス流路28に酸化ガスを供給、排出するための酸化ガスマニホールド31、冷媒流路26に冷媒を供給、排出するための冷媒マニホールド29が形成されている。
膜−電極アッセンブリとセパレータ18を重ねて単位燃料電池(「単セル」ともいう)10を構成し、少なくとも1つのセル10からモジュール19(図示例は1セルで1モジュールが形成される場合を示す)を形成し、モジュール19を1つ以上積層してセル積層体とし、セル積層体のセル積層方向両端に、ターミナル20、インシュレータ21、エンドプレート22を配置し、エンドプレート22をセル積層体の外側でセル積層方向に延びる締結部材(たとえば、テンションプレート24)に、ボルト・ナット25により固定し、セル積層体をセル積層方向に締め付け、燃料電池スタック23を構成する。
流体流路26、27、28、29、30、31、34をシールするために、ガス側のシール材33および冷媒側のシール32が設けられる。図示例では、ガス側シール材33が接着剤(接着材はシール33と同じため、接着剤の符号も33とする)からなり、冷媒側シール材32がゴムガスケットからなる場合を示している。ただし、ガス側シール材33も冷媒側シール材32も、接着剤とゴムガスケットの何れから構成されてもよい。
各セル19の、アノード側14では、水素を水素イオン(プロトン)と電子に電離する電離反応が行われ、水素イオンは電解質膜11中をカソード側に移動し、カソード17側では酸素と水素イオンおよび電子(隣りのMEAのアノードで生成した電子がセパレータを通してくる、またはセル積層方向一端のセルのアノードで生成した電子が外部回路を通して他端のセルのカソードにくる)から水を生成する反応が行われ、かくして発電が行われる。
アノード側:H2 →2H+ +2e-
カソード側:2H+ +2e- +(1/2)O2 →H2
各セル19では、水生成反応が起こるカソード側で水が溜まりやすく、酸化ガス流路28の下流側で水が溜まりやすいが、一部の水が膜11を透過するためアノード側でも水が溜まる。
図1〜図4、図7〜図14に示すように、通常発電時には、時間の経過とともに、セル10を積層したスタック23では、セル積層方向に、水分量分布が不均一になり、スタック23のセル積層方向一端側の複数セル(端部セルとその近傍のセルとを含む複数セル)には、他のセルより多くの水分が溜まり、水分過剰状態(フラッディング)が生じやすい。スタック23のセル積層方向他端側の複数セルはドライになりやすい。スタックのどちら側の端部にフラッディングが生じるかは、従来、スタックへのガスの供給側か排出側かと相関があるのではないかと考えられていたが、発明者等の試験では、スタックのどちら側の端部にフラッディングが生じるかは、スタックへのガスの供給側か排出側かとは無関係であることが判明している。すなわち、スタックのどちら側の端部にフラッディングが生じるかは、従来、わかっていなかったというのが実情である。
フラッディングが生じると反応ガスの触媒層電極への供給が阻害され、電圧低下が生じ、発電が阻害される(図13)。それを解消するため、燃料電池スタック23のどの部位にフラッディングが生じやすいか、フラッディングが生じるのはスタック23のどの条件と相関関係があるのか、そしてフラッディングが生じにくくするにはスタック23とセル10をどのように構成すればよいのか、に係る開発が望まれている。
本発明者等は、スタックにおける水分量分布がスタックの総極性と相関があるという仮説を立て、その仮説が正しいか否かを試験で検討してみた。試験の結果は、その仮説は正しい、すなわち、スタックにおける水分量分布はスタックの総極性と相関があることを示した。
試験で判明したことを説明する。
まず、図11に示すように、各スタックがn個(nは50〜450の適宜の数字、たとえば、180〜220の範囲にある数字)セルを積層したスタックを2つ並列配置し、それを電気的に直列接続して、そこに各スタックの一端側から反応ガスを供給し、スタック他端でUターンさせ、反応ガス供給側と同じ側のスタック端から反応ガスを排出させて、通常発電運転を行い、その時の水分量分布(図12)とセルの電圧低下(図13)を測定した。
図12に示すように、各スタックともに、セル積層方向でマイナス側となる端部で水分量の増大が見られた。そして、図13に示すように、水分量が増大しているセルで、電圧低下の急減が見られた。
図7〜図10は単一スタック23とその通常発電運転での水分量測定結果のデータを示している。
図7において、スタック23の総マイナス側となる一端側から水素を導入し総プラス側である反対側端でUターンさせて水素導入側と同じ側から未消費水素を排出した。スタックの水素導入側と同じ側の端部からエアを導入し反対側端でUターンさせてエア導入側と同じ側から未消費エアを排出した。
スタック23はN個(Nは40〜300の適宜の数字、N<n)のセルを積層したスタックで試験した。水分量分布は図8に示す通りである。スタック23の総マイナス側端とその近傍セルで水分量が増大している。総プラス側はドライとなった。
スタック23の総極性を図7の場合と逆にして運転すると、図9に示すようになり、その時の水分量測定結果のデータを図10に示す。総極性を逆にするために、水素とエアの導入を図7の場合と逆転させた。その時の水分量分布は、図10に示すように、図9で総マイナス側となるスタック端部で水分量が増大し、総プラス側のスタック端部でドライになった。
図14は、種々の負荷状態下での、ガスの種々の状態での運転における、m個(mは10〜40の適宜の数字、m<N)のセルを含むスタックのセル積層方向含水量分布の試験結果を示している。図中、(1)は加湿ガスの場合、(2)は無加湿ガスの場合、(3A、3B)は加湿ガスの場合で、負荷取り出しなし(オープンサーキット)の場合(3Aは第1回目、3Bは第2回目)、(4)は燃料ガス流路と酸化ガス流路に窒素を流した場合、をそれぞれ示す。図14からわかることは、ガスを流してだけで負荷の取り出しがなくても水分量の不均一分布が生じること、加湿ガスの場合にのみ水分量の不均一分布が生じること、窒素を流して発電しなくても水分量の不均一分布が生じること、等である。
図7〜図14により、水分量の増大、減少は、常に、スタックのセル積層方向端部とその近傍セルとの複数セルで起こること、および、スタック端部の水分量の増大、減少はスタックの総マイナス、総プラスと相関があることが判明する。
上記から、スタックの総極性およびその反転と水分量分布との間には、図1〜図4に示す相関があることがわかる。
燃料電池スタック23の通常運転時には、図1、図2に示すように、スタック23の総マイナス側の端部セルとその近傍の複数セルの含水量が、スタックの中央セルのほぼ均一含水量に比べて多く、かつ、端部セルに近づくほど含水量が多くなる。また、スタック23の総プラス側の端部セルとその近傍の複数セルの含水量は、スタックの中央セルのほぼ均一含水量に比べて少なく(ドライとなり)、かつ、端部セルに近づくほど含水量が少なくなる。
燃料電池スタック23の極性を、セル積層方向に、図3に示すように反転する(図1の場合に対して反転する)と、その時の水分量分布は、図4に示すように、極性反転前の水分分布不均一が均一化して水分量分布がフラットになる。すなわち、図2で水分量が多いところと図4で水分量が少ないところが対応して水分量が相殺し、図2で水分量が少ないところと図4で水分量が多いところが対応して水分量が相殺し、その結果、水分量分布がセル積層方向にフラット化する(スタックのセル積層方向の中央セルとほぼ同じ水分量となる)。
燃料電池スタック23の水分量分布をセル積層に平坦化するには、燃料電池スタック23のセル積層方向での水分量分布の偏りがあった場合に、セル積層方向の燃料電池スタック23の総極性を反転させることが有効である。燃料電池スタック23の総極性の反転は、燃料電池スタック23のセル積層方向の端部のうち水分が多い側の端部(反転前に、スタック23の総マイナス側であった端部)が総プラスになるように反転させる。
燃料電池スタック23の総極性の反転処理は、「極性反転を一定時間だけ続ける処理」でもよいし、あるいは、「水分量分布が平坦化したか否かを判定し、平坦化したと判定されるまで極性反転を続ける処理」としてもよい。
単一スタックの場合も、直列複数スタックの場合も、燃料電池スタック23の総極性の反転は、アノードガス(燃料ガス)とカソードガス(酸化ガス)を入替えることにより行うか、または外部電源または回生電圧の印加により行うことができる。図1〜図4は、燃料電池スタック23の総極性の反転を、アノードガス(燃料ガス)とカソードガス(酸化ガス)を入替えて導入することにより行う場合を示している。
燃料電池スタック23のセル積層方向の水分量の平坦化には、水分の溜まりやすい燃料電池スタック23の総マイナス側のセル積層方向端部とその端部付近に、セル積層方向中央部より排水性の高いセルを配置することが望ましい。スタック23の極性反転により水分量の平坦化をはかる場合は、極性反転による水分量の平坦化とセル排水性との両方で、燃料電池スタックのセル積層方向マイナス側端部の水分量の平坦化を促進させることとなる。ただし、セル排水性だけで燃料電池スタックのセル積層方向マイナス側端部の水分量の平坦化を促進させてもよい。
また、セルの排水性をよくするために他の部位のセルと構造を変えることはコストアップを伴うので、コストアップを抑えるために、排水性をよくしたセルの設置部位は、水分の溜まりやすい燃料電池スタック23の総マイナス側のセル積層方向端部とその端部付近に限定することが望ましい。
上記より、本発明の燃料電池スタックでは、燃料電池スタック23のセル積層方向における燃料電池の通常運転の発電時に総マイナスとなる側のみの端部とその近傍(端部セルを含む複数セル)に設けられる第1のセル10aを、それ以外のスタック部位に設けられる第2のセル10bより、フラッディングを生じにくい構造とした。
スタック端部の水分量の平坦化のために、総極性を反転する場合に反転後一時的に総マイナス側となるスタック端部は、水分量がほぼ平坦化したら反転前の運転状態に戻すので、反転中に水分過剰となることはないので、反転後一時的に総マイナス側となるスタック端部には、フラッディングを生じにくい構造のセルは設ける必要はなく、フラッディングを生じにくい構造のセルを設けない。
フラッディングを生じにくい構造は、つぎの(i)、(ii)、(iii)の何れか1つの構造をとることによって得られる。図5は第1のセル10a(通常運転時のスタックの総マイナス側端部とその近傍にあるセルで、図1で符号10aを施した領域のセル)の一部の断面を示し、図6は第2のセル10b(図1で符号10aを施していない領域のセル)の一部の断面を示している。
(i)第1のセル10aは、第2のセル10bより、セパレータ18のガス流路27および/または28の流路断面積が大きい。ガス流路断面積が大になると、圧損が小になって、第1のセル10aのガス流路27および/または28を流れるガス流量が増え、そのガス流れに乗せてより多くの水分をガスマニホールドに排出できる。図5の第1のセル10aのガス流路断面積をA1とし、図6の第2のセル10bのガス流路断面積をA2とした場合、A1>A2である。
また、ガス流路が短いと、圧損が小になって、第1のセル10aのガス流路27および/または28を流れるガス流量が増え、そのガス流れに乗せてより多くの水分をガスマニホールドに排出できる。したがって、第1のセル10aのガス流路断面積を相対的に大とするとともに、第1のセル10aのガス流路長を小にしてもよいし、あるいは、第1のセル10aのガス流路断面積を相対的に大とすることに代えて、第1のセル10aのガス流路長を小にしてもよい。
(ii)第1のセル10aは、第2のセル10bより、セパレータ18のガス流路27および/または28を形成する面の排水性が高い。ガス流路27および/または28を形成する面の排水性は、ガス流路27、28のコーティングにより、ガス流路27および/または28を形成する面の親水性、撥水性を変えることにより調整できる。
たとえば、ガス流路断面積が小で、水玉ができると水玉によりガス流路27および/または28が閉塞される可能性がある場合は、ガス流路27および/または28を形成する面の親水性をよくする。たとえば、ガス流路27および/または28を形成する面に親水基をもつ化合物(たとえば、樹脂)のコーティング層を形成する。親水性の度合いは、試薬による濡れ性検査で所定値以上のものとすることが望ましい。
ガス流路断面積が大で、水玉ができても水玉によってガス流路27および/または28が閉塞される可能性が無い場合は、ガス流路27および/または28を形成する面の撥水性をよくする方がよいこともある。撥水性をよくするには、ガス流路27および/または28を形成する面に疎水基をもつ化合物(たとえば、樹脂)のコーティング層を形成する。
(iii) 第1のセル10aは、第2のセル10bより、接着剤33層の厚さが厚い。セル10のMEAを挟んで対向するアノード側セパレータとカソード側セパレータ間の電気絶縁性が増大して、短絡電流が低減し、短絡電流の低減分、短絡電流による生成水も低減する。その結果、フラッディングがそれだけ生じにくくなる。図5の第1のセル10aの接着剤33層の厚さをT1とし、図6の第2のセル10bの接着剤33層の厚さをT2とした場合、T1>T2である。
つぎに、本発明の燃料電池スタックの作用・効果を説明する。
スタック23のフラッディングが生じやすい部位にフラッディングを生じにくいセルを配置したので、スタック23の全セルにフラッディングが生じにくくなり、水分量がスタック23のセル積層方向に平坦化し、フラッディングによる電圧低下も生じにくくなる。また、スタックの総マイナス側端部とその近傍に水分の偏りが生じた場合にスタックの極性を反転させる場合は、極性反転による水分量分布の平坦化と、フラッディングを生じにくいセルの配置による水分量分布の平坦化とによって、極性反転による水分量分布の平坦化だけの場合に比べて、フラッディングがより一層抑制される。
また、スタック23のフラッディングが生じやすい部位をスタック23の総マイナス側端(端部セルを含む複数セル)として特定し、その特定した部位のみのセル(第1のセル)10aをフラッディングを生じにくい構造としたので、フラッディングが生じるかもしれない部位すべてとその近傍のセルをフラッディングを生じにくい構造としていた従来に比べて、フラッディングを生じにくい構造をもつセル(第1のセル)10aの数を低減でき、コスト的に有利となる。
たとえば、従来はスタック両端とその近傍のセルをフラッディングを生じにくいセルとしていたのに比べて、本発明では、通常の発電状態における総マイナス側となるスタック片端とその近傍のセルのみを(スタック23のセル積層方向の水分量平坦化のためにスタック23の極性反転を行う場合も、反転前の通常の発電状態における総マイナス側となるスタック片端とその近傍のセルのみを)、フラッディングを生じにくいセルとすることができ、フラッディングを生じにくい構造としたセルの数を半減でき、コスト的に有利となる。
第1のセル10aのセパレータ18のガス流路27、28の流路断面積を、第2のセル10bのセパレータ18のガス流路27、28のガス流路の流路断面積より、大きくした場合は、第1のセル10aのガス流路27、28の圧損が小さくなって断面積が同じ場合に比べて多量のガスが流れようとし、この多量のガスに乗せて水分をセル内ガス流路から追い出すことができる。その結果、第1のセル10aをフラッディングを生じにくいセルとすることができる。
第1のセル10aのセパレータのガス流路を形成する面の排水性を、第2のセル10bのセパレータのガス流路を形成する面の排水性より、高くした場合は、セル内ガス流路27、28に溜まろうとする水分がセル内ガス流路27、28から排出側ガスマニホールド30、31に出ていきやすくなり、セル内ガス流路27、28でのフラッディングを生じにくくすることができる。排水性は、ガス流路面の親水性の割合や撥水性の割合の影響を受けるので、ガス流路面の親水性、撥水性を、ガス流路の断面積や、ガス流路の入口、出口からの距離などに応じて、異ならせて適値に設定する。
第1のセル10aの接着剤33層の厚さを、第2のセル10bの接着剤33層の厚さより、厚くした場合は、セル10のMEAを挟んで対向するアノード側セパレータとカソード側セパレータ間の電気絶縁性が向上して、接着剤33層を介しての微量電気短絡が少なくなり、その分、微量短絡による生成水も少なくなり、フラッディングを生じにくくすることができる。
本発明の燃料電池スタックの通常発電時(極性反転前)の概略側面図である。 本発明の燃料電池スタックの通常発電時(極性反転前)の水分量分布図(含水量対セル番号)である。 本発明の燃料電池スタックの極性反転後の概略側面図である。 本発明の燃料電池スタックの極性反転後の水分量分布図(含水量対セル番号)である。 図1のスタックの総マイナス側の端部とその近傍のセルの一部の拡大断面図である。 図1のスタックの総マイナス側の端部とその近傍のセル以外のセルの一部の拡大断面図である。 極性と水分分布の関係を確認する試験で用いた、本発明の燃料電池スタックの通常発電時(極性反転前)の概略斜視図である。 極性と水分分布の関係を確認する試験で用いた、本発明の燃料電池スタックの通常発電時(極性反転前)の水分量分布図(含水量対セル番号)である。 極性と水分分布の関係を確認する試験で用いた、本発明の燃料電池スタックの極性反転後の概略斜視図である。 極性と水分分布の関係を確認する試験で用いた、本発明の燃料電池スタックの極性反転後の水分量分布図(含水量対セル番号)である。 極性と水分分布の関係を確認する試験で用いた、nセルスタックを2スタック並列配置して電気的に直列接続した場合の概略側面図である。 図11の2スタック装置の水分量分布図(含水量対セル番号)である。 図11の2スタック装置のセル電圧分布図(セル電圧対セル番号)である。 mセルスタックのセル積層方向の水分量分布図(含水量対セル番号)である。 本発明の燃料電池スタックの概略側面図である。 本発明の燃料電池スタックの一部の拡大断面図である。 本発明の燃料電池スタックのセルの概略正面図である。
符号の説明
10 燃料電池
10a 第1のセル
10b 第2のセル
11 電解質膜
13 拡散層
14 電極(アノード、燃料極)
16 拡散層
17 電極(カソード、空気極)
18 燃料電池セパレータ
19 モジュール
20 ターミナル
21 インシュレータ
22 エンドプレート
23 燃料電池スタック
24 締結部材(テンションプレート)
25 ボルト
26 冷媒流路
27 燃料ガス流路
28 酸化ガス流路
29 冷媒マニホールド
30 燃料ガスマニホールド
31 酸化ガスマニホールド
32 冷媒側シール材(たとえば、ガスケット)
33 ガス側シール材(たとえば、接着剤)

Claims (6)

  1. 燃料電池スタックのセル積層方向における燃料電池通常発電時に総マイナスとなる側のみの端部とその近傍に設けられる第1のセルと、それ以外のスタック部位に設けられる第2のセルとを有する燃料電池スタックであって、
    前記第1のセルを前記第2のセルよりフラッディングを生じにくい構造とし
    前記燃料電池スタックのセル積層方向での水分量分布の偏りがあった場合にセル積層方向の燃料電池スタックの総極性を反転させる構造とした燃料電池スタック。
  2. 前記第1のセルは、前記第2のセルより、ガス流路の断面積が大きい請求項1記載の燃料電池スタック。
  3. 前記第1のセルは、前記第2のセルより、セパレータのガス流路を形成する面の排水性が高い請求項1記載の燃料電池スタック。
  4. 前記第1のセルは、前記第2のセルより、接着剤層の厚さが厚い請求項1記載の燃料電池スタック。
  5. 前記総極性の反転は、一定時間だけ続けられるか、あるいは、水分量分布が平坦化したと判定されるまで続けられる請求項1記載の燃料電池スタック。
  6. 前記総極性の反転が、燃料電池スタックに供給される燃料ガスと酸化ガスとを入替えることによって行われるか、または、外部電源または回生電圧の印加によって行われる請求項1または請求項5記載の燃料電池スタック。
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