JP4438762B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
固体高分子電解質型燃料電池では、アノード側では、水素を水素イオンと電子にする電離反応が行われ、水素イオンは電解質膜中をカソード側に移動し、カソード側では酸素と水素イオンおよび電子(隣りのMEAのアノードで生成した電子がセパレータを通してくる、またはセル積層体一端のセルのアノードで生じた電子が外部回路を通ってセル積層体他端のセルのカソードに流れてくる)から水を生成する反応が行われ、かくして発電が行われる。
アノード側:H2 →2H+ +2e-
カソード側:2H+ +2e- +(1/2)O2 →H2 O
電解質膜中を水素イオンが移動するためには電解質膜が適度に湿潤していることが必要であり、ガスを適度に加湿してセル積層体に供給したり、上記発電反応で生成した水を電解質膜の湿潤に利用している。しかし、湿潤過多になると、水だまり(フラッディング)が生じ、ガスの電極への拡散、供給が阻害されて燃料電池の出力低下が起こる。
特開2001−236975は、燃料電池スタックの奥側端部に、発電に寄与しないガスのバイパス流路を設け、このバイパス流路を通ったガスで出側のガスマニホルドに滞留する生成水を押し出して、生成水による不具合の発生を抑制することを提案している。
この問題が発生する理由は、
(i) 端部のセルには凝縮水や不純物(系の金属イオン等)が混入しやすいために、フラッディングやコンタミが起こり、セル電圧の低下を引き起こすこと、および
(ii) 端部は外部の熱の影響を受け、冷やされやすく、フラッディングを起こしていること、
等である。
特開2001−236975のように、スタックのガス出入り奥側端にガスのバイパス流路を設けても、ガス出入り側端のセルの電圧低下を解決できない。とくに、ガス中に混入した不純物による不具合発生はガス出入り側端のセルに起こりやすいが、それを解決できないし、また、ガス出入り側端のセルが冷えやすくフラッディングを生じるという問題も解決できない。
本発明の目的は、セル積層方向端部、とくにガス出入り側端セルの、フラッディングやコンタミによる電圧低下を抑制できる燃料電池を提供することにある。
(1) 燃料電池の発電部を有する発電セル積層体の、少なくともガス出入り側端部の前記発電セルの外側に、ガス供給配管を伝ってくる凝縮水を流れ込ませる第1の凝縮水流れ込み部が設けられており、ガス供給配管とガス排出配管が、共に、発電セル積層体のセル積層方向一端側に設けられており、前記第1の凝縮水流れ込み部は出側マニホルドに連通していることを特徴とする燃料電池。
(2) 前記第1の凝縮水流れ込み部は、ガス供給配管と、発電セル積層体との間に設けられていることを特徴とする(1)に記載の燃料電池。
(3) 前記発電セル積層体のうち前記第1の凝縮水流れ込み部が設けられていない側の端部において、入り側マニホルドの凝縮水を流れ込ませる第2の凝縮水流れ込み部がさらに発電セル積層体の外側に、設けられたことを特徴とする(1)または(2)記載の燃料電池。
(4) 前記第2の凝縮水流れ込み部は入り側マニホルドと出側マニホルドとを連通することを特徴とする(3)記載の燃料電池。
(5) 前記発電セルは触媒を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の燃料電池。
(6) 前記発電セルは固体高分子型燃料電池であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の燃料電池。
上記(3)の燃料電池によれば、発電に寄与しない、ガス流路を形成した層を、セル積層体の両端部に設けたので、セル積層方向両端部の、フラッディングやコンタミによる電圧低下を抑制できる。
本発明の燃料電池は、たとえば固体高分子電解質型燃料電池10である。燃料電池10は、たとえば燃料電池自動車に搭載される。ただし、自動車以外に用いられてもよい。
触媒層12、15は白金(Pt)、カーボン(C)、電解質からなる。拡散層13、16はガス透過性を有しカーボン(C)からなる。
セパレータ18は、燃料ガスと酸化ガス、燃料ガスと冷却水、酸化ガスと冷却水、の何れかを隔てるとともに、隣り合うセルのアノードからカソードに電子が流れる電気の通路を形成している。
セパレータ18は、ガス、水不透過性で、導電性を有する。セパレータ18は、通常は、カーボン(黒鉛である場合を含む)、または金属(メタル)、または導電性樹脂、の何れかからなる。
ガス流路27(燃料ガス流路27a、酸化ガス流路27b)は、複数の流路溝が並行する流路群、または溝状流路の幅内に複数の突起をもつ流路からなり、流路は、仕切壁32により、セパレータ面内方向に蛇行するように形成されており、いわゆるサーペンタイン流路を構成している。
セパレータ18には、発電部33を挟んで対向する端部に、冷却水マニホルド28(28aが入り側、28bが出側)、燃料ガスマニホルド29(29aが入り側、29bが出側)、酸化ガスマニホルド30(30aが入り側、30bが出側)が形成されている。これらのマニホルド28、29、30は異種流体が混じり合わないように、互いにシールされている。図6において、34はこれらのマニホルド28、29、30に連通する流体(水、燃料ガス、酸化ガス)の給排(出入り)のパイプである。図6に示すように、流体は、燃料電池スタック23のセル積層方向一端から給排されている。
2枚の層31a、31bのうち、ガス流路が形成された側の層31bの、ガス流路36が形成される側の面と反対側の面(ターミナル20と密着する側の面)にも、冷却水流路35が形成されることが望ましい。その理由は、外部の熱の影響を遮断できるからである。
図6(イ)に示すように、燃料電池スタック23の、セル積層方向の少なくともガス出入り側の端部の、またはセル積層方向の両端部(図6(イ)の例は両端部に設けた場合を示す)の、発電セルの外側に、発電に寄与しない、ガス流路36を形成した凝縮水流れ込み部31が設けられているので、凝縮水流れ込み部31により、ガス供給配管をつたって来る、加湿ガスの凝縮水や、ガス供給配管や補機類の金属イオンなどの不純物が、凝縮水流れ込み部31のガス流路36(36a、36b)を流れる間に、ガス流路36で捕捉(トラップ)され、セル積層体の発電セルに流れ込まない。その結果、従来、セル、とくに端部セル(とくに、ガス供給側端の端部セル)で起こっていた不純物や、凝縮水による電圧低下が抑制される。凝縮水流れ込み部31がコンタミされても、凝縮水流れ込み部31は元々発電を起こさないものであるから、燃料電池の電圧低下を起こさない。
11 電解質膜
12 触媒層
13 拡散層
14 電極(アノード、燃料極)
15 触媒層
16 拡散層
17 電極(カソード、空気極)
18、18A、18B セパレータ
19 モジュール
20 ターミナル
21 インシュレータ
22 エンドプレート
23 スタック
24 締結部材(テンションプレート)
25 ボルトまたはナット
26 冷却水流路
27 ガス流路
27a 燃料ガス流路
27b 酸化ガス流路
28 冷却水マニホルド
29 燃料ガスマニホルド
30 酸化ガスマニホルド
31 凝縮水流れ込み部(発電に寄与しない層)
31a ガス流路が形成された層
31b ガス流路が形成されていない層
32 仕切壁
33 発電部
34 パイプ
35 層31に形成された冷却水流路
36a 層31に形成された燃料ガス流路
36b 層31に形成された酸化ガス流路
Claims (6)
- 燃料電池の発電部を有する発電セル積層体の、少なくともガス出入り側端部の前記発電セルの外側に、ガス供給配管を伝ってくる凝縮水を流れ込ませる第1の凝縮水流れ込み部が設けられており、ガス供給配管とガス排出配管が、共に、発電セル積層体のセル積層方向一端側に設けられており、前記第1の凝縮水流れ込み部は出側マニホルドに連通していることを特徴とする燃料電池。
- 前記第1の凝縮水流れ込み部は、ガス供給配管と、発電セル積層体との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記発電セル積層体のうち前記第1の凝縮水流れ込み部が設けられていない側の端部において、入り側マニホルドの凝縮水を流れ込ませる第2の凝縮水流れ込み部がさらに発電セル積層体の外側に、設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃料電池。
- 前記第2の凝縮水流れ込み部は入り側マニホルドと出側マニホルドとを連通することを特徴とする請求項3記載の燃料電池。
- 前記発電セルは触媒を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項記載の燃料電池。
- 前記発電セルは固体高分子型燃料電池であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の燃料電池。
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