JP4507650B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
各セルの、アノード側では、水素を水素イオン(プロトン)と電子にする電離反応が行われ、水素イオンは電解質膜中をカソード側に移動し、カソード側では酸素と水素イオンおよび電子(隣りのMEAのアノードで生成した電子がセパレータを通してくる、またはセル積層方向一端のセルのアノードで生成した電子が外部回路を通して他端のセルのカソードにくる)から水を生成するつぎの反応が行われ、かくして発電が行われる。
アノード側:H2 →2H+ +2e-
カソード側:2H+ +2e- +(1/2)O2 →H2 O
長リブと短リブという大きさの異なる複数種のリブを有することによって、セパレータの拡散層、MEAとの面圧分布がセル面内で不均一となる。この場合、長リブ部の面圧が短リブ部の面圧に比べて高くなる。その結果、出力がセル面内で不均一となる。
そして、面圧の高い長リブ部に対応する部分で表面が粗な拡散層がMEAを強く押し、その部分のMEAが傷つきやすく、MEAが傷つくと燃料電池の耐久性は低下する。
本発明の目的は、ガス流路に大きさの異なる複数種のリブを有するセパレータをもつ燃料電池であって、面圧分布がセル面内で均一化でき、これによって面圧の高い部分があると生じやすいMEAの劣化も抑制できる燃料電池を提供することにある。
(1) 電解質膜の一側に配置された、直線部とコーナ部を含む燃料ガス流路に大きさの異なる複数種のリブを有するアノード側セパレータと、
電解質膜の他側に配置された、直線部とコーナ部を含む酸化ガス流路に大きさの異なる複数種のリブを有するカソード側セパレータと、
を備えた燃料電池であって、
アノード側セパレータのリブとカソード側セパレータのリブとは、セル面内方向と直交する方向に互いに重なる部分の面積分布がセル面内でほぼ均一になるように配置されている、燃料電池。
(2) アノード側セパレータのリブは長リブと短リブを含み、カソード側セパレータのリブは長リブと短リブを含み、
アノード側セパレータの短リブとカソード側セパレータの短リブとは、各短リブの全面でセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、
アノード側セパレータの長リブとカソード側セパレータの長リブとは、各長リブが一部のみでセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、かつ、各重なり部の面積が短リブの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されている、(1)記載の燃料電池。
(3) 燃料ガス流路は直線部とコーナ部を含み、燃料ガス流路の直線部に長リブが、燃料ガス流路のコーナ部に短リブが配置されており、
酸化ガス流路は直線部とコーナ部を含み、酸化ガス流路の直線部に長リブが、酸化ガス流路のコーナ部に短リブが配置されており、
アノード側セパレータの短リブとカソード側セパレータの短リブとは、各短リブの全面でセル面内方向と直交する方向に互いに重なるように配置されており、
アノード側セパレータの長リブとカソード側セパレータの長リブとは、長リブ長手方向にずらされて各長リブが一部のみでセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、かつ、各重なり部の面積が前記短リブの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されている、(1)記載の燃料電池。
(4) リブは長リブを含み、該長リブがレンガ積み状に配置されている(1)記載の燃料電池。
(5) リブは長リブを含み、該長リブが四角格子状に配置されている(1)記載の燃料電池。
上記(2)の燃料電池によれば、アノード側セパレータの長リブとカソード側セパレータの長リブとは、各長リブが一部のみでセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、かつ、各重なり部の面積が短リブの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されているので、重なり部の分布と面積が、したがって、面圧分布が、ガス流路の直線部とコーナ部とで、ほぼ同じになり、面圧分布がセル面内で均一化される。これによって面圧の高い部分があると生じやすいMEAの劣化も抑制できる。
上記(3)の燃料電池によれば、アノード側セパレータの短リブとカソード側セパレータの短リブとは、各短リブの全面でセル面内方向と直交する方向に互いに重なるように配置されており、アノード側セパレータの長リブとカソード側セパレータの長リブとは、長リブ長手方向にずらされて各長リブが一部のみでセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、かつ、各重なり部の面積が前記短リブの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されているので、重なり部の分布と面積が、したがって、面圧分布が、長リブのある直線部と短リブのあるコーナ部とで、ほぼ同じになり、面圧分布がセル面内で均一化される。これによって面圧の高い部分があると生じやすいMEAの劣化も抑制できる。
上記(4)の燃料電池によれば、リブは長リブを含み、該長リブがレンガ積み状に配置されているので、ガス配分が連続リブと同じ程度に良好に維持されたまま、連続リブに比べて、排水性が向上される。
上記(5)の燃料電池によれば、リブは長リブを含み、該長リブが四角格子状に配置されているので、連続リブに比べて、排水性が向上される。
まず、本発明の実施例1、実施例2に共通する部分を、図1、図2、図4〜図6を参照して説明する。
図4〜図6に示すように、固体高分子電解質型燃料電池10は、膜−電極アッセンブリ(MEA:Membrane-Electrode Assembly )とセパレータ18との積層体からなる。積層方向は任意である。膜−電極アッセンブリは、イオン交換膜からなる電解質膜11と、この電解質膜の一面に配置された触媒層12を有する電極(アノード、燃料極)14および電解質膜11の他面に配置された触媒層15を有する電極(カソード、空気極)17とからなる。膜−電極アッセンブリとセパレータ18との間には、アノード側、カソード側に、それぞれ、リブ下にもガスを流通させ拡散させるために拡散層13、16が設けられる。ガス拡散層13、16は、カーボンを主成分とする、ガス透過性をもつ層であり、たとえば、カーボン繊維を樹脂バンダで結合したものからなる。
膜−電極アッセンブリとセパレータ18を重ねてセル(単セル)19を構成し、少なくとも1つのセルからモジュールを構成し、モジュールを積層してセル積層体とし、セル積層体のセル積層方向両端に、ターミナル20、インシュレータ(電気絶縁体)21、エンドプレート22を配置し、セル積層体をセル積層方向に締め付け、セル積層体の外側でセル積層方向に延びる締結部材(たとえば、テンションプレート24)、ボルト・ナット25にて固定して、燃料電池スタック23を構成する。
MEAを挟む一対のセパレータ18のうち、アノード側セパレータ18Aには、MEAに対向する側に、アノード14に燃料ガス(水素)を供給するための燃料ガス流路27が形成され、カソード側セパレータ18Bには、MEAに対向する側に、カソード17に酸化ガス(酸素、通常は空気)を供給するための酸化ガス流路28が形成されている。また、セパレータ18のガス流路27、28と反対側の面には冷媒(通常、冷却水)を流すための冷媒流路26が形成される。燃料電池のうちガス流路27、28とMEAの両方が存在する領域が、セル19の発電領域を構成する。
同様に、電解質膜11の他側に配置されたカソード側セパレータ18Bは、その酸化ガス流路28に、リブ34を有し、リブ34は、大きさの異なる複数種のリブを含む。
アノード側セパレータ18Aのリブ34とカソード側セパレータ18Bのリブ34とは、セル面内方向と直交する方向に互いに重なる部分(図2、図3で斜線を施した部分)の面積分布が、(ガス流路27、28の直線部もコーナ部も含めて)セル面内でほぼ均一になるように配置されている。
アノード側セパレータ18Aの短リブ34Sとカソード側セパレータ18Bの短リブ34Sとは、各短リブ34Sの全面(各リブの頂面の全面)でセル面内方向と直交する方向に互いに重なっている。
アノード側セパレータ18Aの長リブ34Lとカソード側セパレータ18Bの長リブ34Lとは、各長リブ34が一部のみでセル面内方向と直交する方向に互いに重なり(図2、図3で重なり部に斜線を施してある)、かつ、各重なり部の面積が短リブ34Sの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されている。
同様に、酸化ガス流路28は直線部28Aとコーナ部(Uターン部)28Bを含み、酸化ガス流路28の直線部28Aに長リブ34Lが、酸化ガス流路28のコーナ部28Bに短リブ34Sが配置されている。
アノード側セパレータ18Aの燃料ガス流路27のコーナ部27Bの短リブ34Sとカソード側セパレータ18Bの酸化ガス流路28のコーナ部28Bの短リブ34Sとは、各短リブ34の全面(各リブ頂面の全面)でセル面内方向と直交する方向に互いに重なるように配置されている。
同様に、アノード側セパレータ18Aの燃料ガス流路27の直線部27Aの長リブ34Lとカソード側セパレータ18Bの酸化ガス流路28の直線部28Aの長リブ34Lとは、長リブ長手方向にずらされて各長リブ34Lが各長リブ34Lの一部のみでセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、かつ、各重なり部(図2、図3で斜線を施した部分)の面積が短リブ34Sの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されている。
本発明の燃料電池では、アノード側セパレータ18Aのリブ34とカソード側セパレータ18Bのリブ34とは、セル面内方向と直交する方向に互いに重なる部分を有し(この重なる部分でMEAおよび拡散層にリブ34からの面圧がかかる)、この重なる部分の面積分布がセル面内でほぼ均一になるように配置されているので、リブ34からMEAおよび拡散層にかかる面圧の分布がセル面内で均一化される。これによって、面圧の高い部分があると生じやすいMEAの劣化も抑制できる。すなわち、面圧の分布が不均一であると、面圧が大きい部分で、セパレータリブ部で強く押された拡散層がMEAにくい込んで膜11の傷つきや孔あきを起こしやすいが、本発明では各リブからの面圧分布が均一化されているので、MEAや膜11の損傷が起こりにくい。膜11に孔があくと、水素がエアと混合して燃焼し、膜11を益々損傷し、燃料電池の寿命が終了するが、このような現象が生じにくいため、燃料電池の寿命が延びる。
〔実施例1〕
本発明の実施例1では、図2に示すように、長リブ34Lがレンガ積み状に配置されている。燃料ガス流路27の直線部27Aの長リブ34Lも、酸化ガス流路28の直線部28Aの長リブ34Lも、それぞれ、レンガ積み状に配置されている。ただし、アノード側セパレータ18Aの長リブ34Lとカソード側セパレータ18Bの長リブ34Lとは、長リブ長手方向にずらされていて各長リブ34Lが一部のみ(各長リブ34Lの両端部のみ)でセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、かつ、各重なり部の面積が短リブ34Sの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されている。
たとえば、短リブ34Sが、一辺がdの正方形で、短リブ間流路の幅がdとなるように配置されている。また、長リブ34Lが幅がd、長さが3dの矩形リブであり、長リブ間流路の幅がdとなるように配置されている。燃料ガス流路27の直線部27Aの長リブ34Lと酸化ガス流路28の直線部28Aの長リブ34Lを、長リブ長手方向に2dずらす。その結果、長リブ34Lの重なり部(斜線を施した部分)は、各長リブ34Lの両端部の長さdの部分に現れ、各重なり部は、一辺がdの正方形で、隣り合う重なり部とdだけ離れる分布を呈す。この長リブ34Lの重なり部の分布は、短リブ34Sの重なり部の分布(短リブ34Sの重なり部は、一辺がdの正方形で、隣り合う重なり部とdだけ離れた分布となっている)と同じである。ただし、リブ配置はこの例に限るものではない。
本発明の実施例2では、図3に示すように、長リブ34Lが四角格子状に配置されている。燃料ガス流路27の直線部27Aの長リブ34Lも、酸化ガス流路28の直線部28Aの長リブ34Lも、それぞれ、四角格子状に配置されている。ただし、アノード側セパレータ18Aの長リブ34Lとカソード側セパレータ18Bの長リブ34Lとは、長リブ長手方向にずらされていて各長リブ34Lが一部のみ(各長リブ34Lの両端部のみ)でセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、かつ、各重なり部の面積が短リブ34Sの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されている。
たとえば、短リブ34Sが、一辺がdの正方形で、短リブ間流路の幅がdとなるように配置されている。また、長リブ34Lが幅がd、長さが3dの矩形リブであり、長リブ間流路の幅がdとなるように配置されている。燃料ガス流路27の直線部27Aの長リブ34Lと酸化ガス流路28の直線部28Aの長リブ34Lを、長リブ長手方向に2dずらす。その結果、長リブ34Lの重なり部(斜線を施した部分)は、各長リブ34Lの両端部の長さdの部分に現れ、各重なり部は、一辺がdの正方形で、隣り合う重なり部とdだけ離れる分布を呈す。この長リブ34Lの重なり部の分布は、短リブ34Sの重なり部の分布(短リブ34Sの重なり部は、一辺がdの正方形で、隣り合う重なり部とdだけ離れた分布となっている)と同じである。ただし、リブ配置はこの例に限るものではない。
11 電解質膜
12、15 触媒層
13、16 拡散層
14 電極(アノード、燃料極)
17 電極(カソード、空気極)
18 セパレータ
18A アノード側ガスケット
18B カソード側ガスケット
19 セル
20 ターミナル
21 インシュレータ
22 エンドプレート
23 スタック
24 締結部材(テンションプレート)
25 ボルト
26 冷媒流路(冷却水流路)
27 燃料ガス流路
27A 燃料ガス流路の直線部
27B 燃料ガス流路のコーナ部
28 酸化ガス流路
28A 酸化ガス流路の直線部
28B 酸化ガス流路のコーナ部
29 冷媒マニホールド(冷却水マニホールド)
30 燃料ガスマニホールド
31 酸化ガスマニホールド
32 ガスケット
33 接着剤(接着剤層)
34 リブ
34L 長リブ
34S 短リブ
Claims (5)
- 電解質膜の一側に配置された、直線部とコーナ部を含む燃料ガス流路に大きさの異なる複数種のリブを有するアノード側セパレータと、
電解質膜の他側に配置された、直線部とコーナ部を含む酸化ガス流路に大きさの異なる複数種のリブを有するカソード側セパレータと、
を備えた燃料電池であって、
アノード側セパレータのリブとカソード側セパレータのリブとは、セル面内方向と直交する方向に互いに重なる部分の面積分布がセル面内でほぼ均一になるように配置されている、燃料電池。 - アノード側セパレータのリブは長リブと短リブを含み、カソード側セパレータのリブは長リブと短リブを含み、
アノード側セパレータの短リブとカソード側セパレータの短リブとは、各短リブの全面でセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、
アノード側セパレータの長リブとカソード側セパレータの長リブとは、各長リブが一部のみでセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、かつ、各重なり部の面積が短リブの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されている、請求項1記載の燃料電池。 - 燃料ガス流路は直線部とコーナ部を含み、燃料ガス流路の直線部に長リブが、燃料ガス流路のコーナ部に短リブが配置されており、
酸化ガス流路は直線部とコーナ部を含み、酸化ガス流路の直線部に長リブが、酸化ガス流路のコーナ部に短リブが配置されており、
アノード側セパレータの短リブとカソード側セパレータの短リブとは、各短リブの全面でセル面内方向と直交する方向に互いに重なるように配置されており、
アノード側セパレータの長リブとカソード側セパレータの長リブとは、長リブ長手方向にずらされて各長リブが一部のみでセル面内方向と直交する方向に互いに重なり、かつ、各重なり部の面積が前記短リブの重なり部の面積とほぼ同じ面積となるように、配置されている、請求項1記載の燃料電池。 - リブは長リブを含み、該長リブがレンガ積み状に配置されている請求項1記載の燃料電池。
- リブは長リブを含み、該長リブが四角格子状に配置されている請求項1記載の燃料電池。
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