本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、手術に関する情報を管理する手術管理システムに関する。手術管理システムは、手術室等に設置されるPC、看護師に携帯されるPDA、手術管理システムにおいて使用されるデータを記録するサーバを含み、それらはLANによって接続されている。本実施例にかかる手術管理システムにおいては、複数種類の手術に関する情報を管理する。また、複数種類の手術に関する情報を互いに関連付けるために、手術管理システムは、以下のように動作する。
手術管理システムにおいて管理される情報のひとつは、「看護計画」である。特に、手術管理システムは、手術に関連した看護計画を管理する。また、手術管理システムにおいて管理される別の情報は、実施情報である。実施情報には、手術の経過や患者の観察内容が含まれており、さらに、器材の実施記録に関する情報が含まれてもよい。手術管理システムは、看護計画および実施情報を別々に受けつける。受けつけた後、看護計画および実施情報に対応した手術が関連付けられる。その結果、手術管理システムは、ひとつの手術に対して、看護計画と実施情報とを関連付けながら管理する。
図1は、本発明の実施例にかかる病院情報システム100の構成を示す。病院情報システム100は、病院などの医療施設に設置され、メインシステムである病院情報管理システム10、およびサブシステムである手術管理システム20を備えて構成される。病院情報管理システム10および手術管理システム20の間はLAN(Local Area Network)16により通信可能に接続される。図示していないが、LAN16には、医療施設内における他のサブシステム、例えば麻酔の手順を管理する麻酔支援システムや、リハビリ計画を管理するリハビリ支援システム、患者の看護を支援する看護支援システムなどが接続されていてもよい。病院情報管理システム10は、LAN16を介して接続される手術管理システム20などのサブシステムを一元的に集中管理する機能を有する。
病院情報管理システム10は、手術管理システム20などのサブシステムの動作を管理・制御する病院情報管理サーバ12と、手術管理システム20などのサブシステムにおいて取得されたデータなどを記録するマスタDB14を有する。マスタDB14には、真正のデータが記録され、外部からのデータ改竄等を防止するための高度なセキュリティ対策が講じられる。
手術管理システム20は、手術情報を総括的に管理するサーバ30、所期のデータを記録するテンポラリDB40、看護師などの医療スタッフにより携帯される携帯端末であるPDA70a〜70n(以下、代表して「PDA70」とよぶ)、PDA70との間で無線LANを構築してPDA70に対してデータを送受信するアクセスポイント50a〜50n(以下、代表して「アクセスポイント50」とよぶ)、データの入出力を行うためのパーソナルコンピュータ60a〜60n(以下、代表して「PC60」とよぶ)を備える。なお、サーバ30とテンポラリDB40とは分離した構成として図示しているが、実際にはサーバ30がテンポラリDB40を備えて構成され、テンポラリDB40はサーバ30の管理下にある。また、サーバ30は、テンポラリDB40において、手術に関する情報を管理する。
PC60は、据え置き型の端末であり、看護師等の医療スタッフは、PC60が設置された場所でデータの入力やデータの参照、確認等を行う。例えば、PC60は、手術室にて、手術に関する看護計画の参照、手術の実施情報の登録等の業務を実施する。本実施例において、サーバ30に対して、PC60およびPDA70は、クライアントとして機能する。なお、PDA70がPC60のクライアントとして動作してもよい。
「看護計画」は、患者に対する看護の方針を示し、看護の予定に相当する。看護計画は目標を阻む看護問題に対し、これを解決するための計画、解決したときの期待される効果または目標とする患者の状態、評価の4項目からなる。目標は、ひとつの看護問題に対して、期待される状態を示し、望ましい患者の状態に相当する。
計画は、観察計画(OP)、ケア計画(CP)、教育・指導計画(EP)を含み、OPはどのような経過をたどっているかを判断するための観察項目を示し、CPは看護ケア、治療、処置等を示し、EPは問題予防、軽減、解決に自ら立ち向かうために必要な知識、方法、技術等に関する教育や指導を示す。
実施情報は、経過(F)、情報(D)、行為(A)、反応(R)によって構成される(以下、これらすべて、あるいはこれらのうちのいくつかをまとめて「FDAR」という)。ここで、情報、行為、反応は、所定の経過に対応づけられる。経過は、手術での経過に相当する。例えば、「緊急手術にてOpe室入室」である。情報は、患者の情報等の客観的な情報に相当する。例えば、「自宅にて夕食後、突然、嘔気、嘔吐、四肢冷感みられ、救急車にて来院。胃穿孔と診断され、緊急手術目的にて手術室に直入する」である。行為は、医師等による具体的な処置内容、および処置に使用した器材名である。例えば、「左前腕エラスター針21KG、術衣交換、手術に対して説明、Mゾンデ挿入」である。反応は、行為に対する患者の反応である。例えば、「分かりました。とにかく痛みを取って下さい。お願いします。」である。なお、経過に対して、情報、行為、反応のうちのひとつだけが存在してもよい。前述のごとく、看護計画と実施情報は、これまで別々に管理されていた。本実施例にかかるサーバ30あるいはPC60は、これらを関連付けながら管理する。
PDA70は、通常のPDAの機能(例えばタッチパネル等によるデータの入力手段、入力されたデータに対するCPU等の処理手段、データの記憶手段、処理されたデータ等を表示する表示手段)の他に、無線LANによりアクセスポイント50と無線通信可能な無線LANカードと、患者や薬剤のボトルなどに付与された識別情報の読取手段とを内蔵している。また、PDA70は、薬液に対する耐性を有する防水構造を有し、医療現場で使い易い構造にしてある。
PDA70は、アクセスポイント50からのアクセス範囲内において、任意の場所でサーバ30にアクセスして、マスタDB14に記憶された作業予定データを取得し、その取得した作業予定データをPDA70の表示部で表示できるようにしている。また、PDA70には、実施情報が入力され、実施情報は、PC60等に送信される。
手術管理システム20のうち、アクセスポイント50やPC60は、実際の手術のなされる手術室に多く設置される。一方、各看護師がPDA70を携帯することにより、その看護師は、術前での看護行為の実施場所、具体的には入院している患者のベッドサイドにまで行き、その場所で看護行為に関する入出力を行うことができる。なお、看護行為に関する入出力には、患者の観察・測定情報の記録が含まれる。このように本実施例の病院情報システム100は、PDA70を効率的に利用することで、看護行為の状況をリアルタイムで記録または参照できる構成をとっている。また、看護行為の実施後、その実施場所でPDA70から看護行為の内容を容易に入力できるため、看護行為の記録を、正確かつ誤りの少ない状態で行うことができる。
PDA70から入力された患者の看護データは、最寄りのアクセスポイント50からサーバ30を介して病院情報管理システム10に送られる。病院情報管理システム10において、病院情報管理サーバ12は、看護データをマスタDB14に記録する。病院にもよるが、看護データの項目は多種多様であり、その数は例えば400程度に達することもある。
以上の構成において、手術管理システム20は、手術情報を管理するために以下のような処理を実行する。術前において、手術オーダがオーダリングシステムより発行される。ここでは、PC60を使用しながら手術オーダが発行されるものとする。また、PC60は、手術オーダ内に含まれる術式の種類にもとづき、予め術式の種類と対応付けられた看護計画を選択し、該当手術の看護計画として対応付ける。ここで、術式のかわりに麻酔の種類が看護計画に対応づけられていてもよい。さらに、選択された看護計画は、術前訪問の際に得た情報にもとづき、その内容が更新されてもよい。その際、例えば、PDA70が使用される。術中において、PC60には、前述の実施情報が入力される。このとき、実施情報は、当該手術に対する看護計画に関連付けられる。また、実施情報として、FDARに関連した器材の情報が入力されてもよい。ここで、器材の情報は、医療機器の情報と薬剤とを含む。さらに、器材の情報からひとつの手術で使用された手術内容が抽出される。
図2は、PC60の構成を示す。PC60は、制御部80、通信部82、入力制御部84、画面作成部86、オーダ登録部88、看護計画取得部90、実施情報取得部92、関連部78、記録部94を含む。さらに、PC60は、操作装置96、表示装置98を接続する。
表示装置98は、所定の情報を表示する。また、表示装置98は、PC60と一体的に構成されていてもよい。画面作成部86は、表示装置98に表示すべき画面を生成する。画面作成部86は、表示すべき画面を生成するための情報を制御部80から受けつける。本実施例において、画面作成部86によって生成される画面は、看護の複数の段階におけるそれぞれの内容を一覧できるように構成されている。当該画面の構成は、後述する。
操作装置96は、看護師によって操作され、所定の情報をPC60に入力する。操作装置96は、キーボードやマウス等によって構成されている。また、操作装置96も、PC60と一体的に構成されていてもよい。入力制御部84は、操作装置96によって入力された情報を受けつける。さらに、入力制御部84は、受けつけた情報を制御部80に出力する。一般的に、看護師は、表示装置98に表示された画面を確認しながら、操作装置96を使用して、所定の情報を入力する。そのため、操作装置96によって入力された情報が画面のどの部分に対応するかを認識するために、入力制御部84は、画面作成部86から、画面の構成に関する情報を受けつける。
通信部82は、図1のLAN16に接続し、LAN16を介して、サーバ30、他のPC60、PDA70と通信する。通信部82は、送信すべき情報を制御部80から受けつけ、受信した情報を制御部80に出力する。また、通信部82は、PC60とサーバ30との間のデータの同期を実現するために、PDA70と所定のタイミングにおいて通信する。制御部80は、PC60に含まれる構成要素間において、所定の情報の入出力を制御する。すなわち、制御部80は、ひとつの構成要素から情報を受けつけ、別の構成要素に情報を出力する。また、ひとつの構成要素と別の構成要素は、実現すべき機能に応じて、適宜切りかえられるものとする。そのため、制御部80は、スイッチの機能を有する。以下、説明を明瞭にするために、ひとつの構成要素と別の構成要素の動作を説明し、制御部80の動作については説明を省略する。
オーダ登録部88は、操作装置96、入力制御部84、制御部80を介して、手術のオーダを受けつけ、登録する。手術のオーダは、医師、看護師等によって入力され、登録によって、手術室、器材、薬剤等が確保される。オーダ登録部88は、手術のオーダとして、患者の氏名、医師名、手術室名、手術予定日時、術式等を受けつける。オーダ登録部88は、登録したオーダを記録部94に記憶すると共に、通信部82を介して、サーバ30等に送信する。
看護計画取得部90は、オーダ登録部88において登録した手術のオーダから、術式に関する情報を抽出する。また、記録部94において、術式と看護計画とが、対応づけられながら予め記憶されている。そのために、看護計画は、術式から特定できるように予め標準化されている。看護計画取得部90は、記録部94を参照しながら、術式から看護計画を取得する。すなわち、看護計画取得部90は、術式をもとに、看護計画を特定する。これは、看護計画取得部90は、手術に伴う看護計画を入力することに相当する。また、看護計画には、手術に関連した目標および計画が含まれている。なお、看護計画取得部90による取得は、術前においてなされる。
実施情報取得部92は、操作装置96、入力制御部84、制御部80を介して、手術の実施中に生じた実施情報を入力する。また、実施情報取得部92は、PDA70から通信部82を介して、実施情報を取得してもよい。前述のごとく、実施情報取得部92は、実施情報として、発生時刻に関連付けながら、経過、情報、行為、反応のうちの少なくともひとつを入力する。また、実施情報には、複数の経過が含まれている。これは、ひとつの手術が複数のステップによって構成されていることに相当する。また、実施情報には、手術にて使用された使用済み器材や薬剤に関する情報も含まれている。さらに、実施情報取得部92は、実施情報の入力と併せて、入力した看護計画に対する評価も入力する。例えば、「計画が実施された」との情報である。
関連部78は、看護計画取得部90において取得した看護計画と、実施情報取得部92において取得した実施情報とを関連付ける。ここで、関連部78は、手術を単位にして、看護計画と実施情報とを関連付ける。なお、看護計画と実施情報とは本来別々に管理されている情報である。そのため、関連付けを実行するために、手術のそれぞれに対して手術番号が付与され、看護計画取得部90は、看護計画に手術番号を付加し、実施情報取得部92は、実施情報に手術番号を付加する。関連部78は、手術番号を参照しながら、同一の手術番号に対応した看護計画と実施情報とを関連付ける。また、関連部78は、必要に応じて、実施情報の中から、使用済み器材の情報を抽出した後に、抽出した手術の使用済み器材のリストを生成する。
記録部94は、関連部78において関連付けられた看護計画と実施情報とを記録する。これらのうちの一方が既に記録されている場合、当該記録が更新される。また、記録部94は、経過が複数存在する場合、複数の経過のそれぞれに関連付けながら、情報、行為、反応のうちの少なくともひとつを記録する。そのため、操作装置96を介して、看護師等からの指示を受けつけてもよい。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリのロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図3は、記録部94に記録されたデータであって、かつ術式と看護計画とを関連付けたデータの構造を示す。当該データは、図2の看護計画取得部90において、手術のオーダに含まれた術式から看護計画を取得する際に利用される。データは、術式欄200、看護計画202を含んでおり、術式欄200には、「腹腔鏡下胆嚢摘出術」、「胃全摘術(単純全摘術)」等が含まれている。また、看護計画202には、術式欄200でのそれぞれの項目に対応づけられながら、看護計画が含まれている。ここでは、看護計画は、「A」、「B」のように代表されている。このようなデータの構成によって、看護計画取得部90は、手術のオーダから「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を抽出した場合、術式欄200の中から「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を検索する。さらに、看護計画取得部90は、術式欄200の「腹腔鏡下胆嚢摘出術」に対応した看護計画「A」を取得する。
図4は、記録部94に記録されたデータであって、かつひとつの手術に対応したデータの構造を示す。当該データは、関連部78において関連付けのなされたデータに相当する。すなわち、ひとつの手術に対して、看護計画と実施情報とが関連付けられたデータである。データは、項目欄204、データ欄206を含んでおり、項目欄204に含まれた項目のそれぞれに対応するように、データ欄206のそれぞれが配置されている。項目欄204の「手術番号」は、手術に対して付与された識別番号である。当該「手術番号」は、看護計画取得部90において取得された看護計画と、実施情報取得部92において取得された「実施情報」のそれぞれに付加されている。ここで、「看護計画」は「A」と代表され、「実施情報」は「X」と代表されている。
図5は、実施情報のデータの構造を示す。当該データは、図4の「X」に相当する。データは、時間欄208、手術経過欄210、情報・行為・反応欄212を含む。時間欄208は、手術における経過の発生時刻を示す。手術経過欄210は、前述の「経過」を含んでおり、情報・行為・反応欄212は、前述の「情報」、「行為」、「反応」のうちの少なくともひとつを含む。
以上の構成によるPC60の動作を説明する。図6は、PC60によるオーダを登録してから看護計画を取得するまでの手順を示すフローチャートである。この処理は、術前の処理に相当する。オーダ登録部88は、操作装置96等を介して、手術のオーダを登録する(S10)。図7は、表示装置98に表示されたオーダ登録の画面を示す。図示のごとく、オーダ登録ウインドウ220が表示される。オーダ登録ウインドウ220には、患者名、手術予定日時、診療科、術式、医師名、準備品リスト等が表示されており、オーダ登録部88は、操作装置96を介して、これらの内容を受けつける。なお、各術式と器材とを予め対応づけておき、当該対応を記録部94に登録しておくと、入力した術式に対応した準備品が表示される。最終的に、オーダ登録ウインドウ220の「登録」のボタンがクリックされることによって、オーダの登録が実行される。図6に戻る。オーダ登録部88は、登録されたオーダから術式を取得する(S12)。看護計画取得部90は、記録部94に記録された図3のデータを参照しながら、術式に対応した看護計画を取得する(S14)。なお、取得された看護計画は、当該手術に対応した手術番号と共に、記録部94に記録される。
図8は、PC60による記録手順を示すフローチャートである。この処理は、手術中の処理に相当する。看護計画取得部90は、実施すべき手術に対応した看護計画を取得する(S20)。すなわち、操作装置96を介して、手術番号が入力され、看護計画取得部90は、記録部94を参照しながら、入力された手術番号に対応した看護計画を取得する。図9は、表示装置98に表示された看護計画の画面を示す。実施入力・確認ウインドウ222の中に看護計画欄236が表示されている。看護計画欄236に表示された看護計画は、図3の「A」等に相当する。ここで、看護計画が表示されると共に、実施情報取得部92は、当該看護計画に対する評価も受けつける。なお、図中の「各プランにより目標は達成された」のチェックボックスが評価に相当する。また、実施入力・確認ウインドウ222の上段には、スタッフ、時間を入力できる。図8に戻る。
実施情報取得部92は、操作装置96を介して、実施情報と時刻とを入力する(S22)。図10は、表示装置98に表示された実施情報の入力の画面を示す。実施入力・確認ウインドウ222の中にFDAR欄224と輸血情報欄226とが表示されている。FDAR欄224には、時間、経過、情報、行為、反応が入力されると共に、出血量、尿量も入力される。輸血情報欄226には、輸血認証の結果が一覧表示される。すなわち、手術中の輸血製剤認証結果は、表示装置98にて確認される。ここで、「A」が入力される際に、実施情報取得部92は、器材の入力を促してもよい。また、実施情報取得部92は、手術終了後に「A」に対して、器材を関連付けてもよい。
図11は、表示装置98に表示された実施情報の入力の別の画面を示す。図11は、図10のFDAR欄224に対して新規の項目を追加する場合に相当する。実施入力・確認ウインドウ222に加えて、新規経過記録ウインドウ228が表示される。新規経過記録ウインドウ228には、時間欄230、フォーカス欄232、経過記録欄234が含まれる。時間欄230には、経過の発生時刻が入力される。フォーカス欄232には、経過が入力される。経過記録欄234には、情報、行為、反応が入力される。ここで、経過、情報、行為、反応は、選択肢が予め表示されており、選択肢のいずれかが操作装置96を介して選択されることによって、実施情報取得部92は、実施情報を取得する。なお、このような選択肢は、術式に応じて標準化されており、記録部94に記録されているものとする。図8に戻る。関連部78は、実施情報と看護計画とを関連付け(S24)、関連付けられた結果が記録部94に記録される(S26)。記録部94されたデータが、図4に相当する。
図12は、表示装置98に表示されたデータ出力の画面を示す。前述のごとく、手術中において、実施情報取得部92は、使用された器材および薬剤に関する情報を受けつける。PC60は、これらの情報を記録部94に記録し、さらに記録部94に記録した情報を出力できる。図12は、その際に表示される画面に相当する。「集計種別」として、「器材」、「薬剤」のいずれかが選択される。「集計期間」、「対象診療科」、「出力形式」が指定された後に、「出力」ボタンをクリックすることによって、データが出力される。その結果、制御部80は、記録部94に記録されたデータを出力する。
これまで、PC60によってなされる処理を説明した。しかしながら、以上の処理は、PC60ではなく、PDA70によってその一部がなされてもよい。例えば、実施情報等の入力である。また、入力された情報は、PDA70からサーバ30、PC60へ送信されることによって、関連付けられた情報の最終的な記録は、サーバ30、PC60によってなされればよい。図13は、PDA70の構成を示す。PDA70は、表示部110、操作部112、読取部114、処理部116、通信部118、メモリ120を含む。
表示部110は、図2の表示装置98と同様に、所定の情報を表示する。操作部112は、図2の操作装置96と同様に、所定の情報の入力を受けつける。ここで、表示部110と操作部112は、タッチパネルのように一体的に形成されてもよい。読取部114は、患者や薬剤のボトルなどに付与された識別情報を読み取る。このような読み取り機能によって、実施情報の入力のうち、使用した器材や薬剤に関する情報の入力が容易になる。
通信部118は、図2の通信部82と同様に、通信処理を実行する。すなわち、通信部118は、サーバ30やPC60から情報を受信し、サーバ30やPC60へ情報を送信する。ここで、PDA70のモビリティを確保するために、通信部118は、無線LAN等に対応する。メモリ120は、PDA70によって実行されるソフトウエアプログラムやPDA70によって処理される情報が記録される。また、処理部116は、メモリ120に記録されたソフトウエアプログラムを実行することによって、図2の制御部80、オーダ登録部88、看護計画取得部90、実施情報取得部92等の処理が実行される。また、処理部116は、表示部110、操作部112、読取部114、処理部116に対する制御も実行する。
ここでは、表示部110に表示される画面を説することによって、PDA70によって実現される処理を説明する。図14(a)−(h)は、表示部110に表示された術前訪問機能の画面を示す。看護師は、手術の対象となる患者を術前に訪問した際に、図14(a)−(h)の画面を表示部110に表示しながら、作業を実施する。図14(a)は、業務を選択するための初期画面である。図示のごとく、「術前訪問」および「手術実施記録」のボタンが表示される。操作部112によって「術前訪問」が選択されると、図14(b)以降の画面に遷移する。図14(b)は、術前訪問するオーダを選択するための画面である。ここでは、手術オーダ欄250において、「手術予定日」に実施されるべき手術オーダが一覧表示され、同時に術前訪問業務の実施完了・未完了を識別できるようにした例である。操作部112によってチェックボックスがクリックされると、図14(c)へ画面遷移し、選択した手術オーダをもとに術前訪問一覧が生成され、一覧表示される。
図14(c)は、図14(b)によって選択された術前訪問を一覧するための画面である。訪問先欄252が表示される。操作部112によって患者が選択された後に、訪問先が選択される。訪問先として、「病棟訪問」、「患者訪問」、「臨時訪問」がある。「病棟訪問」では、病棟にて情報収集がなされる。「患者訪問」では、患者から情報収集がなされる。「臨時訪問」は、一覧にない患者を臨時訪問される際に使用される。「データ送信」ボタンがクリックされることによって、メモリ120に蓄積保存された術前情報が、サーバ30やPC60に送信される。ここでは、図示しないが、サーバ30やPC60にて受信した術前情報は、表示装置98に表示され、操作装置96で編集することができる。図14(d)は、図14(c)において「病棟訪問」が選択された場合の画面である。図示のごとく、病棟情報欄254において「心理状態」等が入力される。図14(e)は、図14(d)にて情報が入力された後に、「確定」ボタンがクリックされた際の画面を示す。確認ウインドウ256が表示される。図14(e)の後、図14(c)の画面が再び表示される。
図14(f)は、図14(c)において「患者訪問」が選択された場合の画面である。図示のごとく、患者のリストバンドに貼付された識別番号を入力することが要求される。ここで、読取部114が使用されることによって識別番号が入力される。図14(g)は、図14(f)に続く画面であり、患者情報を確認するための画面である。図14(h)は、図14(g)において「確定」ボタンがクリックされた場合に表示される画面である。確認事項欄258において、「差し歯」等の選択肢が表示される。
図15(a)−(f)は、表示部110に表示された実施記録の画面を示す。図15(a)は、図14(a)における「手術実施記録」が選択されることによって表示される画面である。時間欄260において、「在室時間」、「麻酔時間」、「手術時間」が選択可能なように表示される。図15(b)では、スタッフ欄262において医師、看護師、技師が選択可能なように表示される。図15(c)では、器材薬剤欄264において使用器材および薬剤が入力可能なように表示される。ここで、器材や薬品には、識別番号が貼付されており、読取部114が使用されることによって識別番号が入力される。
図15(d)では、手技欄266において選択されるべき手技が表示される。ここでは、予め登録された項目がデフォルト表示される。「追加」ボタンをクリックすることによって、手技の追加が可能である。図15(e)では、加算欄268において加算の対象となる項目が表示される。ここでは、予め登録された項目がデフォルト表示される。「追加」ボタンをクリックすることによって、加算の追加が可能である。図15(f)では、ガス欄270において使用したガスが表示される。ここでは、予め登録された項目がデフォルト表示される。「追加」ボタンをクリックすることによって、ガスの追加が可能である。
図16は、表示部110に表示された看護記録の画面を示す。輸血欄272において、認証結果が表示される。ここで、輸血の製剤には、識別番号が貼付されており、読取部114が使用されることによって識別番号が入力される。
図17(a)−(d)は、表示部110に表示された看護記録の別の画面を示す。図17(a)では、DAR欄274において、時間、手術経過、情報、行為、反応、出血量、尿量が表示可能である。また、これらの項目を入力する際には、「入力」ボタンがクリックされる。図17(b)は、図17(a)において「入力」ボタンがクリックされたときの画面を示す。経過欄276のごとく、タブ選択によって入力の種類が選択される。また、各種の項目において、選択肢が表示され、そのうちのいずれかを選択することによって、入力がなされる。ここで、経過は単一入力であるが、情報、行為、反応は複数入力であるとする。
図17(c)では、その他欄278において出血量、尿量が表示される。数値入力が必要である場合、「数量入力」ボタンをクリックすることによって、数値入力が可能である。図17(d)では、図17(a)と同様に、DAR欄274が表示されている状態を示す。しかしながら、図17(d)では、図17(b)、図17(c)によって各種の情報が入力されている画面を示す。
図18(a)−(e)は、表示部110に表示された看護記録のさらに別の画面を示す。図18(a)では、シェーマ欄280においてシェーマ部位が表示される。所定のシェーマ部位を編集する場合、操作部112によって当該シェーマ部位が選択され、「編集」ボタンがクリックされると、シェーマ編集画面が開かれる。図18(b)では、計画欄282に看護計画の大分類が表示される。操作部112によって各項目が選択され、「計画詳細」ボタンがクリックされると、詳細な内容が表示される。また、計画欄282での一覧にチェックを付加することによって、看護計画に対する実施記録が行われる。図18(c)では、図18(b)によって詳細な内容の表示が指示された場合に相当する。看護計画欄284において、各計画の詳細な内容が表示される。図18(d)では、カウント欄286において、カウントした項目が表示される。操作部112によって、術中のカウント実施の有無に対するチェックが実行される。また、チェック項目は、「器械カウント」、「ガーゼカウント」、「針カウント」である。図18(e)では、特記欄288において、術中の特記事項が表示されている。なお、特記事項は、PC60によって入力があった場合のみ表示してもよい。
本実施例によれば、看護計画と実施情報とを関連付けながら記録するので、両者を関連付けながら管理できる。また、看護計画と実施情報とに対して手術情報を付与し、手術情報をもとにして看護計画と実施情報とを関連付けるので、容易に関連付けを実行できる。また、複数の経過が含まれている場合に、複数の経過のそれぞれに関連付けながら、情報、行為、反応のうちの少なくともひとつを記録するので、情報、行為、反応のうちの少なくともひとつと経過との対応を明確にできる。また、実施情報の入力と併せて、看護計画に対する評価も入力するので、看護計画、看護計画に対する評価、実施情報を一元的に管理できる。また、一元的に管理するので、利便性を向上できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施例によれば、実施情報取得部92は、経過を入力した後に情報等を入力している。しかしながらこれに限らず例えば、実施情報取得部92は、ひとつの経過を入力した後、別の経過の入力をユーザに促してもよい。この場合、複数の経過が存在する場合、経過を連続して入力できる。
10 病院情報管理システム、 12 病院情報管理サーバ、 14 マスタDB、 16 LAN、 20 手術管理システム、 30 サーバ、 40 テンポラリDB、 50 アクセスポイント、 60 PC、 70 PDA、 78 関連部、 80 制御部、 82 通信部、 84 入力制御部、 86 画面作成部、 88 オーダ登録部、 90 看護計画取得部、 92 実施情報取得部、 94 記録部、 96 操作装置、 98 表示装置、 100 病院情報システム。