JP2007199300A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂とを併用し、且つ、色再現性及び透明性に優れる高品質の静電荷像現像用トナー、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、及びα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー、及びその製造方法。また、本発明の静電荷像現像用トナーは、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、及びα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体を含有するコア粒子表面に、前記非結晶性樹脂を含有するシェル層を有する態様が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられる電子写真プロセスを利用した機器に使用される静電荷像現像用トナー、及びその製造方法に関する。
電子写真法においては、一般的に、一様に帯電させた感光体上に静電潜像を形成し、その静電潜像を静電荷像現像用トナー(単にトナーと称することがある)によって現像することでトナー画像を得る。トナー画像は、最終的に紙等の被転写体に転写され、トナー像が転写された被転写体には定着部材により熱が加えられる。この熱により、トナー像を形成するトナーは溶融され、トナー像が被転写体に定着する。
近年、地球環境への負荷低減策の一つとして複写機やプリンターの消費電力を低減する検討が進められているが、これを達成するために従来よりも低い温度で定着できるトナーが求められている。トナーが溶融する温度(定着温度)を低くすることは、省電力化以外にも定着部材の昇温時間の短縮化、定着部材の長寿命化等、様々な利点がある。
そこで、従来より、低温定着を実現するためのトナーが種々提案されている。例えば、特許文献1に記載したトナーは、酸由来構成成分とアルコール由来構成成分とから合成された結晶性ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と、着色剤とを含有したトナーであり、定着前のトナーの凝集によるブロッキングや、定着後の被転写体からのトナーの剥離を防止しつつ低温定着を実現することができる。
ところで、静電荷像現像用トナーの製造方法として、従来の混練粉砕法に代わり、凝集合一法が提案されている。この凝集合一法は、樹脂粒子を水中へ細かく分散させた樹脂粒子分散液と、同様に着色剤を水中へ細かく分散させた着色剤粒子分散液と、を作製し、これらを混合した後、混合分散液中の粒子を凝集させ凝集粒子を得、その後、凝集粒子を熱融合させることで静電荷像現像用トナーを得る方法である。従来の混練粉砕法では、混練時の粘性、粉砕時の(脆性)等の制約から適用できる樹脂が限られていたが、凝集合一法では樹脂粒子を水中へ細かく分散できればよく、適用できる樹脂の範囲が広い。とりわけ、低温定着を達成するのに好ましい樹脂は、従来の混練粉砕法では適用しにくく凝集合一法により可能となる。
また、凝集合一法においては、凝集粒子を得た後にシェル樹脂粒子を追添加することにより、凝集粒子(コア粒子)の表面にシェル樹脂層を形成することが可能であり、その結果、粉体特性や帯電特性に優れたトナーを設計することが可能である。
この凝集合一法において結晶性ポリエステル樹脂を用いて作製したトナーについては、前記特許文献1に開示されている。このトナーは、低温定着性には優れるものの、マシンの開発において粉体流動性や帯電特性がいまだ不十分であるという問題を有する。
そこで、結晶性ポリエステル樹脂を用いたコア粒子に、無定形高分子樹脂をシェル層として被覆したトナーが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。このトナーによれば、結晶性ポリエステル樹脂による低温定着性を維持しつつ、無定形高分子樹脂(例えば、非晶性ポリエステル樹脂)による硬さと帯電特性を両立することが可能である。
特開2001−305796号公報 特開2005−266565号公報
ところが、この結晶性ポリエステル樹脂を用いたコア粒子に、無定形高分子樹脂をシェル層として被覆したトナーを用いて画像を形成したところ、上記の特性を有するものの、発色性が低く、特に、ハーフトーンにおける発色性が低く、色再現性が悪いという問題を有していた。また、このトナーのOHP透過性を調べたところ、透過光がくすんでおり透明性が低下していることが判明した。
これらの問題の原因を明らかにするためにトナーの断面写真から内部構造を調べたところ、ワックス(離型剤)及び結晶性ポリエステル樹脂がトナー内部で凝集し、大きなドメインに成長しており、その結果、顔料の分散性が低下していることが確認された。
そこで、本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂とを併用し、且つ、色再現性及び透明性に優れる高品質の静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、結晶性ポリエステル樹脂と、α−オレフィンと無水マレイン酸とからなる樹脂と、を併用することにより、トナー内部での結晶性ポリエステル樹脂のドメイン成長を抑制し、ひいては顔料粒子の分散性の低下を防止することができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称する場合がある。)は、少なくとも、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、及びα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体を含有することを特徴とする。
また、本発明のトナーは、更に着色剤を含むことが好ましい。
本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、及びα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体を含有するコア粒子表面に、前記非結晶性樹脂を含有するシェル層を有することが好ましい態様である。
また、前記コア粒子は、更に着色剤を含むことが好ましい。
本発明において、前記α−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体が、トナーの全質量に対し、2質量%以上20質量%以下の範囲で含有されることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、体積平均粒径が0.6μm以下の樹脂粒子を分散した第1の樹脂粒子分散液と、着色剤を含有した着色剤分散液と、を混合した混合分散液に、凝集剤を添加し、加熱することにより凝集粒子を形成する凝集工程と、該凝集粒子が形成された前記混合分散液に、非結晶性樹脂粒子を分散した第2の樹脂粒子分散液を添加して、当該凝集粒子の表面に、該非結晶性樹脂粒子を付着させて非結晶性樹脂付着凝集粒子を形成する付着工程と、該非結晶性樹脂付着凝集粒子を加熱することにより融合・合一する融合工程と、を含み、前記体積平均粒径が0.6μm以下の樹脂粒子として、結晶性ポリエステル樹脂粒子、非結晶性樹脂粒子、及びα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体からなる粒子を含有することを特徴とする。
本発明によれば、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂とを併用すると共に、色再現性及び透明性に優れる高品質の静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明について説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、及びα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体(以下、適宜、「酸無水物構造含有共重合体」と称する。)を含有することを特徴とする。
本発明のトナーは、上記の3種の成分を含んでいればよく、更に、着色剤やその他の添加剤を含むことが好ましい。
また、本発明のトナーの好ましい態様は、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、及びα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体を含有するコア粒子表面に、前記非結晶性樹脂を含有するシェル層を有するものである。
上記のように、本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂とに加え、無水マレイン酸からなる繰り返し単位を含む酸無水物構造含有共重合体を含有することを特徴とする。このように、トナー中で、結晶性ポリエステル樹脂と酸無水物構造含有共重合体とが共存することで、結晶性ポリエステル樹脂中のエステル結合と、酸無水物構造含有共重合体中の無水マレイン酸に由来する酸無水物構造と、の間に相互作用が形成され、その結果、結晶性ポリエステル樹脂の凝集が抑制されるものと推測される。このため、顔料粒子のトナー中の分散性が向上し、発色性が改善され、更には、OHP透明性が改善される。
また、酸無水物構造含有共重合体は、顔料粒子の種類によっては、顔料粒子自体の分散性を向上させる機能をも有することから、更に、発色性を向上させることが可能となる場合がある。
まず、本発明のトナーの必須成分について、順に説明する。
〔α−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体(酸無水物構造含有共重合体)〕
本発明において用いられる酸無水物構造含有共重合体は、モノマーとして、α−オレフィンと無水マレイン酸とを用い、これらを重合してなる共重合体であればよく、主鎖に酸無水物構造を含む形態を有する。
また、この共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
上記の酸無水物構造含有共重合体において、α−オレフィンとしては、炭素数2〜8までの1−アルケン、及びその置換基として芳香環を有する芳香環付加物が好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。中でも、反応の安定性の点から、エチレン、プロピレンが好ましい。
これらのα−オレフィンは、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における酸無水物構造含有共重合体の分子量は、重量平均分子量として、100〜30000の範囲であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、1000〜5000であることが更に好ましい。
重量平均分子量が100未満であると、共重合体が結着樹脂中に相溶してしまい、結晶性ポリエステル樹脂の分散効果が困難になる場合がある。また、重量平均分子量が30000より大きいと、共重合体の溶融粘度が増大してそれ自体でドメイン構造を形成して結晶性ポリエステル樹脂の分散効果が困難になる場合がある。
なお、この酸無水物構造含有共重合体は、従来公知の合成法により得られたものであってもよいし、市販のものをそのまま用いてもよい。市販の製品としては、例えば、クロバックス400−22S(日本化成社製)等がある。
この酸無水物構造含有共重合体は、トナー全量に対して、2質量%以上20質量%以下の範囲で添加されることが好ましい。より好ましい添加量の範囲としては、4質量%以上15質量%以下であり、6質量%以上12質量%以下であることが更に好ましい。
添加量が2質量%よりも少ないと結晶性ポリエステル樹脂の凝集抑制効果が弱くなる場合がある。一方、添加量が20質量%よりも大きい時は、酸無水物構造含有共重合体自体のドメイン径が大きくなり、その結果、顔料粒子の分散性を阻害して発色性を低下させる場合がある。
〔結晶性ポリエステル樹脂〕
結着樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂は、トナーを加熱昇温すると、その融点において速やかに融解し、非結晶性樹脂と相溶する結果、樹脂全体の溶融粘度が下がって、静電荷像現像用トナーの低温定着性が達成される。
ここにいう結晶性ポリエステル樹脂とは、融点を有するポリエステル樹脂であり、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において吸熱ピークを有するポリエステル樹脂を指している。結晶性ポリエステル樹脂の融点は、40℃以上が好ましく、60℃以上が特に好ましい。但し、120℃以下が好ましく、90℃以下が特に好ましい。結晶性樹脂の融点が過度に低温の場合は、トナーの保存時や使用時に、トナーがブロッキングを起こすおそれがある。また、結晶性樹脂の融点が過度に高温の場合は、低温定着性が達成されないおそれがある。
なお、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、JIS K 7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。複数の融解ピークを示す場合は、その中の最大の融解ピークを融点と見なす。
結晶性ポリエステル系樹脂としては、具体的には、ポリ−1,2−シクロプロペンジメチレンイソフタレート、ポリデカメチレンアジペート、ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオキサート、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメチレンサクシネート、ポリアイコサメチレンマロネート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ブチレート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリエチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンスベレート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンアジペート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンマロネート等が挙げられる。
中でも、結晶性直鎖脂肪族ポリエステル樹脂であることが好ましい。
このような結晶性ポリエステル樹脂は、トナー全量に対して、2質量%以上40質量%以下の範囲で添加されることが好ましい。より好ましい添加量の範囲としては、6質量%以上25質量%以下であり、8質量%以上16質量%以下であることが更に好ましい。
添加量が2質量%よりも少ないと、トナー粒子の溶融時に粘度低下が低くなり定着温度を低くすることができない場合がある。一方、添加量が40質量%よりも大きい時は、結晶性ポリエステル樹脂のドメイン径が大きくなる結果、顔料の分散性が低下して発色性が低下する場合がある。
〔非結晶性樹脂〕
本発明で用いられる非結晶性樹脂は、溶融時に、上述の結晶性ポリエステル樹脂と相溶する樹脂を用いることができ、非結晶性のポリエステル樹脂(以下、非晶性ポリエステル樹脂と称する。)を好適に用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂は、通常、ジカルボン酸成分とジオール成分との中から好適なものを選択して組合せ、例えば、エステル交換法又は重縮合法等、従来公知の方法を用いて合成することができる。
非晶性ポリエステル樹脂を得るために用いられるジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等が挙げられる。更に、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。また、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等の3価以上のカルボン酸及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルを併用することができる。尚、酸価や水酸基価の調製等の目的で、必要に応じて、酢酸、安息香酸等の1価の酸を使用することも可能である。
非晶性ポリエステル樹脂を得るために用いられるジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのトリメチレンオキシド付加物等が挙げられる。更に、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。また、微量であれば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコールを併用することができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
このような非結晶性樹脂は、トナー全量に対して、1質量%以上30質量%以下の範囲で添加されることが好ましい。より好ましい添加量の範囲としては、3質量%以上25質量%以下であり、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
トナー中に含まれる結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性樹脂の分子量は、特に限定されないが、通常、重量平均分子量として5000以上が好ましく、6000以上がより好ましい。また、100,000以下が好ましく、70,000以下がより好ましい。樹脂の分子量が過度に小さいと、定着トナー像の強度不足、現像器攪拌中の破砕等のおそれがある。また、結着樹脂の分子量が過度に大きいと、定着温度が上昇するおそれがある。
ここで、本発明における酸無水物構造含有共重合体、結晶性ポリエステル樹脂、及び非結晶性樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(東ソー社製HLC−8120、カラムSuperH3000)を用い、溶媒テトラヒドロフラン(和光純薬製:GPC用THF)、カラムオーブン温度40℃、カラム流量毎分1ml、サンプル濃度0.5%、サンプル注入量0.1mlの条件で測定した。測定結果を、予め作成した検量線に基づき、標準ポリスチレン(東ソー社製:標準ポリスチレン試料)に換算し、重量平均の分子量分布を得た。この分布は複数のピークを持つものであり、ピーク分離を行なって各ピークの重量平均分子量及びその比率を算出した。
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
本発明の静電荷像現像用トナーの製造には、凝集合一法が用いられることが好ましい。
具体的には、結晶性ポリエステル樹脂粒子、非結晶性樹脂粒子、酸無水物構造含有共重合体からなる粒子、及び着色剤のそれぞれが分散した分散液を混合し、これらの各粒子を凝集させて凝集粒子を得た後、融合・合一することによって、本発明の静電荷像現像用トナーを製造することができる。
また、下記に示す本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法を用いることも好ましい。
即ち、本発明の静電荷像現像用トナーは、体積平均粒径が0.6μm以下の樹脂粒子を分散した第1の樹脂粒子分散液と、着色剤を含有した着色剤分散液と、を混合した混合分散液に、凝集剤を添加し、加熱することにより凝集粒子を形成する凝集工程と、該凝集粒子が形成された前記混合分散液に、非結晶性樹脂粒子を分散した第2の樹脂粒子分散液を添加して、当該凝集粒子の表面に、該非結晶性樹脂粒子を付着させて非結晶性樹脂付着凝集粒子を形成する付着工程と、該非結晶性樹脂付着凝集粒子を加熱することにより融合・合一する融合工程と、を含み、前記体積平均粒径が0.6μm以下の樹脂粒子として、結晶性ポリエステル樹脂粒子、非結晶性樹脂粒子、及び酸無水物構造含有共重合体からなる粒子を含有することを特徴とする。
この方法によれば、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、及び酸無水物構造含有共重合体を含有するコア粒子表面に、前記非結晶性樹脂を含有するシェル層を有する態様の本発明のトナーを得ることができる。
このようなトナーの製造方法においては、まず、結晶性ポリエステル樹脂粒子、非結晶性樹脂粒子、及び酸無水物構造含有共重合体からなる粒子を、それぞれ分散した樹脂粒子分散液を調製することが必要である。
上記の各粒子を分散する樹脂粒子分散液を調製する際には、例えば、溶融乳化法、溶剤乳化法の他、転相乳化法、D乳化法など従来公知の方法を用いられ、樹脂粒子をサブミクロンオーダーへ分散できればよく、これらに限定されない。また、分散時に、界面活性剤等の添加剤を用いることによって樹脂粒子の表面を修飾した方が、凝集合一時の制御が可能となるため好ましい。
こうして得られた樹脂粒子分散液は、pH調整を行い凝集合一法に供される。
樹脂粒子分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子、非結晶性樹脂粒子、及び酸無水物構造含有共重合体からなる粒子の粒径は、いずれも、体積平均粒径で0.1μm以上0.6μm以下の範囲にあることが好ましい。0.1μm未満であると、凝集粒子を含有する混合分散液の粘度が上がり、攪拌が不均一となり、結果として凝集しきれない微粉と粗大粉とが生じてしまう。逆に、0.6μmより大きいと、作製されるトナー粒子において着色粒子のトナー粒子間或いは粒子内の分散性が悪化し好ましくない。
また、樹脂粒子分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子、非結晶性樹脂粒子、及び酸無水物構造含有共重合体からなる粒子の粒径のバラツキ(粒度分布)は、いずれも、幾何標準偏差(GSD)1.5以下であることが好ましい。ここにいう幾何標準偏差は、小粒径からの積算体積径で84%になった粒径D84を16%になった粒径D16で割ったものの平方根によって表される。幾何標準偏差が1.5より大きいと、凝集性が不均一となり、凝集粒子の粒度が悪化し、合一後の粒度分布が不均一となってしまう。
本発明において、着色剤としては、公知の着色剤を使用することができ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコイルブルー、メチレンブルークロライド、銅フタロシアニン、キノリンイエロー、クロームイエロー、デュポンオイルレッド、オリエントオイルレッド、ローズベンガル、マラカイトグリーンオキサレート、ニグロシン染料、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3などが挙げられる。
これらの着色剤は、極性を有する界面活性剤を用い、ホモジナイザー等の分散機によって水系に分散される。本発明において使用される着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。
このような着色剤の添加量は、樹脂成分100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは3〜15質量部の範囲が適当である。
以上の方法にて作製された樹脂粒子分散液及び着色剤分散液を常温下で撹拌混合し、混合分散液を得る。ここで、混合分散液中の粒子の含有量(総量)は、8〜18質量%の範囲であることが好ましい。
ここでの撹拌混合時に、種々の公知の添加剤の分散液を添加してもよい。公知の添加剤としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、離型剤、無機粒子、有機粒子、帯電制御剤等が挙げられる。
離型剤としては、ワックスが挙げられ、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂、ロジン類、ライスワックス、カルナバワックス等が挙げられる。これらのワックスの融点は、40℃から150℃が好ましく、60℃から110℃がより好ましい。これらのワックス類は、水中に、イオン性界面活性剤、高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱すると共に、強い剪断力をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化させることで、体積平均粒径が1μm以下の離型剤粒子分散液を作製することができる。
ワックス(離型剤)の使用量は、特に限定されないが、通常、静電荷像現像用トナー中に、1質量%以上、好ましくは5質量%以上の濃度で使用される。また、20質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。ワックスの含有量が過度に少ないと、特に、オイルレス定着において剥離不良となるおそれがある。ワックスの含有量が過度に多いと、トナーの流動性が悪化する等、画質及び画像形成の信頼性を低下させるおそれがある。
こうして得られた混合分散液に、続いて、凝集剤を添加して凝集粒子を得る。この時、凝集剤を添加した混合分散液のpHは、4.0以上10.0以下であることが好ましい。pHが4.0未満或いは10.0より大きいと、混合分散液内の凝集粒子が不安定になり、粗大粉や微粉を発生させ、好ましくない。
添加する凝集剤としては、pHが4.0以上10.0以下において凝集剤として作用できれば構わないが、上記pHにおいても安定なイオン構造を保つ4級アンモニウム塩が好適に用いられる。4級アンモニウム塩を用いることによって、樹脂や着色剤の分散粒子表面のマイナス電荷がある程度中和されることで、粒子が不安定化し、更に、4級アンモニウム塩の疎水性基における疎水性相互作用によって粒子は凝集すると考えられる。
凝集剤の例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
このような凝集剤は、混合分散液をホモジナイザー等の分散機を用い分散しながら添加され均一に混合される。凝集剤の量としては、混合分散液中の分散粒子の安定化に寄与するアニオン成分に対し凝集に必要な量が添加される。凝集剤の量が少ない時には分散粒子が充分に不安定化しないこととなり凝集剤添加分散液中の粒子が多くなって粒度分布が悪化する。逆に凝集剤が多い時には粒径制御が難しくなり粗粉が増加する。更に多い時には4級アンモニウム塩によって粒子が再安定化するため好ましくない。
凝集剤を添加した混合分散液は、その後、撹拌装置が備わった温度制御可能なリアクターへ移され、撹拌を行いながら結晶性ポリエステル樹脂の融点以下の温度へと加熱され保温される。
このような加熱操作によって系内のイオンバランスがシフトすることにより、分散液中の粒子は凝集が促進され、凝集粒子は所望の粒径に相当する大きさまで成長する。
所望の粒径まで成長した凝集粒子は、その後、アニオン界面活性剤を添加することにより安定化させて、その後、凝集粒子が形成された混合分散液の温度を、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂の融点以上にまで加熱し、凝集粒子を熱融合・合一することによりトナー粒子とすることができる。
この時、凝集粒子が形成された混合分散液の温度及び時間を調整することによりトナー粒子の形状を凹凸のある異形のものから、ポテト形、更には、球状まで制御することが可能である。
一方、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法では、前述の方法(凝集工程)で、所望の粒径まで凝集粒子を成長させた後、下記のような付着工程と融合工程を経ることにより、コア粒子表面にシェル層が設けられたトナーを得ることができる。
付着工程では、凝集粒子が形成された混合分散液に、非結晶性樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液を添加して、凝集粒子の表面に、非結晶性樹脂粒子を付着させて非結晶性樹脂付着凝集粒子を形成する。なお、凝集粒子の表面に付着させる非結晶性樹脂粒子は、凝集粒子を構成する非結晶樹脂粒子と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、凝集粒子がコア粒子となり、また、凝集粒子の表面に付着した非結晶性樹脂粒子が後述する融合工程を経ることで、本発明におけるシェル層となる。
付着工程における第2の樹脂粒子分散液の添加方法としては、特に制限はなく、例えば、徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、第2の樹脂粒子分散液を添加することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られるトナーの粒度分布をシャープにすることができる。
本発明において、この付着工程が行われる回数としては、1回であってもよいし、複数回であってもよい。
なお、付着工程においては、第2の樹脂粒子分散液の使用量は、これに含まれる非結晶性樹脂粒子の粒径に依存するが、最終的に形成されるシェル層の厚みが20〜500nm程度になるように選択されることが好ましい。
シェル層の厚みが20nmより薄くなると、良好な保存性を得ることができない場合がある。また、シェル層の厚みが500nmを超えると、超低温定着性を阻害する場合がある。
なお、固形分換算では、シェル層を形成する非結晶性樹脂粒子の使用量は、トナー全量中の1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
このようにして非結晶性樹脂付着凝集粒子が形成された後、界面活性剤を添加することにより安定化させて、その後、非結晶性樹脂付着凝集粒子を分散した混合分散液の温度を、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂の融点以上にまで加熱し、凝集粒子を熱融合・合一することによりトナー粒子とすることができる。
得られたトナー粒子は、その後、洗浄し、固液分離され、乾燥してトナーを得る。
トナーの帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄を施すことが好ましい。また、乾燥方法は、特に方法に制限はないが、トナー粒子が融着しない方法や条件が好ましく用いられる。
本発明におけるトナーの粒径は、3〜9μmが好ましく、4〜8μmがより好ましい。前記粒度が3μm未満だと帯電性が不十分になり、現像性が低下することがあり、9μmを超えると画像の解像性が低下する。
また、本発明における粒径分布指標は、小径側個数平均粒度分布指標(下GSDp)が1.40、好ましくは1.30以下である。下GSDpが1.40を超えると、平均粒径に対し小径側の粒子が増大し帯電均一性の悪化やクリーニング不良、カブリ等の画像欠陥の原因となる。
本発明のトナーの粒径、及び粒径分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用いて測定される。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数、それぞれに小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積D16%、又は数16%と定義し、累積50%となる粒径を、体積D50%、又は数D50%と定義する。更に、累積84%となる粒径を、体積D84%、又は、数D84%と定義する。
これらを用いて、小径側個数平均粒度指標(下GSDp)はD50p/D16pより算出される。
なお、この方法を用いて、本発明において用いられる各種の粒子の粒径及び粒度分布を測定することもできる。
本発明のトナーの形状係数SF1は、画像形成性の点より100≦SF1≦140にすることが好ましい。本発明の形状係数SF1は、形状係数の平均値(最大長の2乗/投影面積)×(100π/4)は、例えば、以下の如き方法にて算出される。即ち、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて計算し、平均値を求めることにより得られるものである。
こうして製造されたトナーは、更に流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様に、乾燥後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態でせん断をかけて表面へ添加し、流動性助剤やクリーニング助剤として用いることもできる。
本発明の静電潜像現像用トナーは、単独で用いて一成分系の静電潜像現像剤としてもよいし、また、キャリアと組み合わせて用いて二成分系の静電潜像現像剤としてもよい。
例えば、二成分系の静電潜像現像剤を構成するキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアが挙げられる。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆型キャリアが挙げられる。該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μm程度の範囲である。
また、上記樹脂被覆型キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロぺニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート等のビニル系フッ素含有モノマー;などの単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体が挙げられる。
更に、これら以外にも、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、或いは2種以上併用してもよい。
被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100質量部に対して0.1〜10質量部程度の範囲が好ましく、0.5〜3.0質量部の範囲がより好ましい。
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
二成分系の静電潜像現像剤における本発明の静電潜像現像用トナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例中の部又は%は、特に断らない限り総て質量基準である。
〔非晶性ポリエステル樹脂1の合成〕
加熱乾燥した三口フラスコに、テレフタル酸ジメチル30mol%、及びフマル酸70mol%の酸成分、及び、ジオール成分として、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン30mol%、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン70mol%と、触媒としてジブチルスズオキシド(酸成分に対し、0.014質量%)とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、更に窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間加熱を行った。その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い4時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量15000になったところで、減圧を停止、空冷し非晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂1のTgは63℃であった。
〔結晶性ポリエステル樹脂2の合成〕
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10−ドデカン二酸99mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム1mol%の酸成分、及び、1,9−ノナンジオール99mol%と、触媒としてジブチルスズオキシド(酸成分に対し、0.014質量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、更に窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間加熱を行った。その後、減圧下にて200℃まで徐々に昇温を行い1.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量15000になったところで、減圧を停止、空冷し結晶性ポリエステル樹脂2を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂2のTmは73℃であった。
〔樹脂分散液の調製〕
非晶性ポリエステル樹脂1及び結晶性ポリエステル樹脂2をそれぞれについて溶剤乳化法を用いて、樹脂粒子分散液1及び樹脂粒子分散液2を調製した。
即ち、それぞれの樹脂150部を酢酸エチル100部に溶解させた後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部を含む蒸留水850部中に入れユーロテック社乳化機キャビトロンCD1010を高温高圧型に改造した分散機を用いて分散乳化した後、減圧にて酢酸エチルを留去して、粒子の固形分濃度が20%の分散液とした。
得られた樹脂粒子分散液1中の非晶性ポリエステル樹脂1からなる粒子の体積平均粒径は150nmであった。
また、得られた樹脂粒子分散液2中の結晶性ポリエステル樹脂2からなる粒子の体積平均粒径は160nmであった。
〔着色剤分散液の調製〕
ここでは、シアン着色剤が分散した着剤分散液を作製した。即ち、シアン顔料(大日精化社製銅フタロシアニンC.I.Pigment Blue15:3)20部、陰イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬社製)3部、イオン交換水77部を混合して溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)により分散させ、体積平均粒径168nmの着色剤粒子が分散した着色剤分散液を得た。
〔酸無水物構造含有樹脂粒子分散液の調製〕
酸無水物構造含有樹脂粒子(クロバックス400−22S、日本化成社製)20部、陰イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬社製)3部、及びイオン交換水77部を混合し、120℃に加熱して、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径200nm、20質量%の酸無水物構造含有樹脂粒子分散液を得た。
〔離型剤分散液の調製〕
パラフィンワックスHNP−9(日本精鑞社製)20部、陰イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬社製)3部、及びイオン交換水77部を混合し、120℃に加熱して、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径170nmの20質量%の離型剤分散液を得た。
[実施例1:トナー1の製造]
・樹脂粒子分散液1 380部
・樹脂粒子分散液2 100部
・酸無水物構造含有樹脂粒子分散液 100部
・着色剤粒子分散液 50部
・離型剤粒子分散液 90部
・イオン交換水 540部
以上を丸型ステンレス製フラスコに投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて常温下で混合して、混合分散液を得た。この時のpHは6.5であった。更に混合しながらドデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化物塩(サニゾールB50:花王製)1.5部を徐々に加え十分に混合した。これを温度制御可能な加熱装置にセットし、内温を45℃まで昇温しそのままその温度を維持して凝集粒子を成長させた。分散液を採取し粒径を測定したところ、体積平均粒径にて5.2μmであった。
続いて、この凝集粒子が形成された混合分散液に、樹脂粒子分散液1を280部、徐々に添加して、樹脂粒子を凝集粒子表面に付着させて、体積平均粒径5.9μmの非結晶性樹脂付着凝集粒子を得た。ここに20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(ネオゲンRK:第一工業製薬製)を添加した後、内温を90℃まで昇温してそのまま3時間保持して、非結晶性樹脂付着凝集粒子を融合・合一させた。続いて、室温まで冷却してトナー粒子を含有する分散液を得た。この分散液を吸引ろ過により固液分離した後、イオン交換水で充分洗浄を行い、真空乾燥してトナー1を得た。
[実施例2:トナー2の製造]
・樹脂粒子分散液1 460部
・樹脂粒子分散液2 100部
・酸無水物構造含有樹脂粒子分散液 20部
・着色剤粒子分散液 50部
・離型剤粒子分散液 90部
・イオン交換水 540部
上記の各種分散液及びイオン交換水を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、トナー2を作製した。
[実施例3:トナー3の製造]
・樹脂粒子分散液1 300部
・樹脂粒子分散液2 100部
・酸無水物構造含有樹脂粒子分散液 180部
・着色剤粒子分散液 50部
・離型剤粒子分散液 90部
・イオン交換水 540部
上記の各種分散液及びイオン交換水を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、トナー3を作製した。
[実施例4:トナー4の製造]
・樹脂粒子分散液1 660部
・樹脂粒子分散液2 100部
・酸無水物構造含有樹脂粒子分散液 100部
・着色剤粒子分散液 50部
・離型剤粒子分散液 90部
・イオン交換水 540部
上記の各種分散液及びイオン交換水を用いて凝集を行い、凝集粒子が形成された混合分散液に樹脂粒子分散液1を添加しないこと以外は実施例1と同様の方法で、トナー4を作製した。
[比較例1:トナー5の製造]
・樹脂粒子分散液1 480部
・樹脂粒子分散液2 100部
・着色剤粒子分散液 50部
・離型剤粒子分散液 90部
・イオン交換水 540部
上記の各種分散液及びイオン交換水を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、トナー5を作製した。
上記の方法で得られたトナー1〜5を用いて、下記のようにして二成分系の静電潜像現像剤をそれぞれ作製し、評価を行った。
なお、各トナーの物性、及び評価結果は下記表1に併記した。
[現像剤の調整]
得られたトナー50部に対し、疎水性シリカ(TS720:キャボット製)を1.5部添加し、サンプルミルにてブレンドした。これを、アミノ基含有ビニルポリマー(ジメチルアミノメチルメタクリレート−メチルアクリレート共重合体(共重合比10:90、Mw=40000)とフッ化アルキル基含有ビニルポリマー(パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(共重合比20:80、Mw=44000)との混合体をフェライトコア(パウダーテック社製、体積平均粒径50μm)にトルエンを用いて溶液コートした樹脂被覆型キャリアに対し、トナー濃度が5%になるように秤量し、ボールミルで5分間攪拌・混合し現像剤を調整した。
[画像形成及び各種評価]
(定着評価)
調整した現像剤は、富士ゼロックス製DocuCentreColor500改造機を用いて、富士ゼロックス社製上質紙(J紙)に、トナー載り量13.5g/m2に調整して画像形成を行った。画像形成後、外部定着器を用い、Nip6.5mm下、定着速度180mm/secにて定着した。
外部定着器は、最低定着温度の評価を行うため、その定着器の定着温度が可変となるように改造してあり、定着ロールの定着温度を、120℃から+5℃おきに高め、画像を定着させた。画像が形成された用紙の、定着トナー像のソリッド部のほぼ中央に、内側に折り目を入れ、定着トナー像が破壊された部分をティッシュペーパーで拭い取り、白抜けした線幅を測定し、白抜けした線幅が0.5mm以下となる温度を最低定着温度とした。
(OHP透過性評価)
OHP透過性評価は、上記マシンにて、富士ゼロックス社製OHPシートを用いトナー載り量4.0g/m2に調整して画像形成を行い、前記外部定着器を用い160℃で定着を行った後、JIS K 7105:81に基づくヘイズ値を測定した。許容範囲は20%以下である。
(ハーフトーン評価)
ハーフトーン評価は、上記マシンにて、富士ゼロックス社製上質紙(J紙)を用いトナー載り量0.5g/m2に調整して画像形成を行い、160℃で定着を行った後、画像を目視評価した。
評価指標は下記の通りである。
◎:くすみは全くなく鮮やかなハーフトーン。
○:くすみとは認識できない程度のハーフトーン。
△:くすみを認識できる程度のハーフトーン。
×:くすみにより色調を再現できない。
Figure 2007199300
実施例1〜実施例4のトナーを用いた場合には、最低定着温度が低く、ハーフトーンの色再現性も鮮やかで、OHP透過率も高かいことが分かった。

Claims (2)

  1. 少なくとも、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、及びα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 体積平均粒径が0.6μm以下の樹脂粒子を分散した第1の樹脂粒子分散液と、着色剤を含有した着色剤分散液と、を混合した混合分散液に、凝集剤を添加し、加熱することにより凝集粒子を形成する凝集工程と、
    該凝集粒子が形成された前記混合分散液に、非結晶性樹脂粒子を分散した第2の樹脂粒子分散液を添加して、当該凝集粒子の表面に、該非結晶性樹脂粒子を付着させて非結晶性樹脂付着凝集粒子を形成する付着工程と、
    該非結晶性樹脂付着凝集粒子を加熱することにより融合・合一する融合工程と、
    を含み、
    前記体積平均粒径が0.6μm以下の樹脂粒子として、結晶性ポリエステル樹脂粒子、非結晶性樹脂粒子、及びα−オレフィンと無水マレイン酸とを重合してなる共重合体からなる粒子を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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