JP2007198261A - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】PM再生処理中にフィルタが過剰に高温になることを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】フィルタが過剰に高温となるおそれがあることを、フィルタにおける微粒子物質の堆積量及びフィルタの温度に基づいて判定し(S103)、フィルタが過剰に高温となるおそれがあると判定された場合に排気絞り弁を閉弁し(S104)、フィルタ内部の背圧を上昇させる。そのことによりフィルタ内部の熱容量を増加させて、フィルタをそれ以上昇温しづらくさせる。また、フィルタが過剰に高温となるおそれがない場合には排気絞り弁を開弁し(S105)内燃機関の運転性能が背圧によって低下することを抑制する。
【選択図】図2

Description

本発明は内燃機関の排気浄化システムに関する。
内燃機関の排気にはカーボンを主成分とする微粒子物質(PM:Particulate Matter)が含まれている。これらの微粒子物質の大気への放散を防止するために内燃機関の排気系に微粒子物質を捕集するパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」という。)を設ける技術が知られている。
かかるフィルタにおいては、捕集された微粒子物質の堆積量が増加すると、フィルタの目詰まりによって排気における背圧が上昇し機関性能が低下するので、フィルタの温度を上昇させて捕集された微粒子物質を酸化除去することとしている(以下、「PM再生処理」という。)。
ここで、フィルタのPM再生処理中に、内燃機関の運転状態が高機関負荷、高機関回転数になった場合には、前記フィルタに導入される排気の温度が高くなり、フィルタにおける微粒子物質の酸化反応が過剰に活発化するため、フィルタが過剰に高温になることがあった。また、フィルタが高温の状態で内燃機関の運転状態が低機関負荷となった場合にも、フィルタに高酸素濃度の排気ガスが供給されるために微粒子物質が急激に酸化され、フィルタが過剰に高温になることがあった。(以下、これらの状態を「フィルタが過昇温する」または「フィルタがOTする」という。)。
これに対して、フィルタの温度が劣化温度以上になる可能性がある場合には、燃焼室に供給されるEGRガス量を所定量以下とすると共に、燃焼室に供給される吸気量を減少させ、フィルタに流入する排気ガスの酸素濃度を低下させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−251170号公報 特開2004−68804号公報 特開2003−328724号公報 特開2005−98130号公報 特公平3−50095号公報
本発明の目的とするところは、PM再生処理中にフィルタが過剰に高温になることを抑制できる技術を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、フィルタの温度が過剰に高温であること、あるいはそのおそれがあることが検出された場合に、フィルタにおける熱容量を増加させて、フィルタを昇温しづらくさせることを最大の特徴とする。
より詳しくは、内燃機関の排気通路に配置され、該排気通路を通過する排気中の微粒子物質を捕集するフィルタが設けられた排気浄化装置と、
前記排気浄化装置の少なくとも前記フィルタにおける熱容量を調整する熱容量調整手段と、
前記フィルタが過剰に高温であることまたは、過剰に高温になるおそれがあることを検
出する過昇温検出手段と、
を備え、
前記過昇温検出手段によって前記フィルタが過剰に高温であることまたは、過剰に高温になるおそれがあることが検出された場合に、前記熱容量調整手段によって前記排気浄化装置の少なくとも前記フィルタにおける熱容量を増加させることを特徴とする。
これによれば、排気浄化装置のフィルタが過昇温しているまたは、そのおそれがある場合に、排気浄化装置のフィルタにおける熱容量を増加させてそれ以上のフィルタの昇温を抑制することができる。
また、本発明においては、前記熱容量調整手段は、前記フィルタにおける排気の圧力を制御する背圧制御手段を有し、該背圧制御手段によって前記フィルタにおける排気の圧力を上昇させることにより、前記排気浄化装置の少なくとも前記フィルタにおける熱容量を増加させるようにしてもよい。
すなわち、前記背圧制御手段によってフィルタにおける排気の圧力を増加させると、フィルタ内の空気密度が上昇し相対的にフィルタにおける熱容量を増加させることができる。こうすれば、簡単な制御でフィルタにおける熱容量を増加させることができる。
また、本発明においては、前記背圧制御手段は、前記排気通路における前記排気浄化装置の下流側に設けられた排気絞り弁であるようにしてもよい。そうすれば、前記排気絞り弁を閉じるという単純な動作でフィルタにおける排気の圧力を上昇させることができる。
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
本発明にあっては、PM再生処理中にフィルタが過剰に高温になることを抑制できる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。
図1は、本実施例に係る内燃機関と、その排気系及び制御系の概略構成を示す図である。なお、図1においては、内燃機関1の内部及びその吸気系は省略されている。図1において、内燃機関1には、内燃機関1から排出される排気が流通する排気管5が接続され、この排気管5は下流にて図示しないマフラーに接続されている。また、排気管5の途中には、排気中の微粒子物質を浄化するフィルタユニット10が配置されている。
本実施例におけるフィルタユニット10の内部には、多孔質の基材からなるウォールフロー型のパティキュレートフィルタに酸化触媒が担持されたフィルタ10aが設けられている。なおフィルタユニット10は本実施例における排気浄化装置である。
排気管5におけるフィルタユニット10の上流側には、フィルタ10aのPM再生処理の際に、フィルタ10aに還元剤としての燃料を供給する燃料添加弁12が配置されている。燃料添加弁12から添加された燃料は、内燃機関1からの排気とともにフィルタ10aに運ばれ酸化反応を起こす。その結果フィルタ10aの温度が上昇する。
排気管5におけるフィルタユニット10の下流側には、フィルタユニット10から排出される排気の温度を検出する排気温センサ15が配置され、そのさらに下流側にはフィル
タユニット10の下流側の排気管5を通過する排気の流量を制御する排気絞り弁17が配置されている。
以上述べたように構成された内燃機関1及びその排気系には、該内燃機関1及び排気系を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)20が併設さ
れている。このECU20は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態等を制御する他、内燃機関1のフィルタユニット10に係る制御を行うユニットである。
ECU20には、図示しないクランクポジションセンサや、アクセルポジションセンサ、吸入空気量を検出するエアフローメータなどの内燃機関1の運転状態の制御に係るセンサ類の他、上述の排気温センサ15が電気配線を介して接続され、出力信号がECU20に入力されるようになっている。一方、ECU20には、内燃機関1内の図示しない燃料噴射弁等が電気配線を介して接続される他、本実施例における燃料添加弁12及び排気絞り弁17が電気配線を介して接続され、ECU20によって制御されるようになっている。なお、上記の排気温センサ15は、本実施例における過昇温検出手段を構成する。
また、ECU20には、CPU、ROM、RAM等が備えられており、ROMには、内燃機関1の種々の制御を行うためのプログラムや、データを格納したマップが記憶されている。フィルタ10aの微粒子物質を酸化除去するためのPM再生処理を実行するPM再生ルーチン(説明は省略)や、後述の過昇温防止ルーチンも、ECU20のROMに記憶されているプログラムの一つである。
ここでPM再生処理を実行中に、内燃機関1の運転状態が高機関負荷、高機関回転数になった場合には、フィルタ10aに導入される排気の温度が高くなり、フィルタ10aにおける微粒子物質の酸化反応が過剰に活発化するため、フィルタ10aの温度が過剰に高温になるおそれがある。また、フィルタ10aが高温の状態で内燃機関1の運転状態が低機関負荷となった場合にも、フィルタ10aに高酸素濃度の排気ガスが供給されるために微粒子物質が急激に酸化され、フィルタ10aが過剰に高温になるおそれがあった。
そこで、本実施例においては、フィルタ10aから排出される排気の温度を排気温センサ15で検出し、フィルタ10aの温度が過剰に高温になるおそれがあると判断された場合には、排気絞り弁17を閉弁してフィルタ10内の背圧を一時的に上昇させることとした。そうすれば、相対的にフィルタユニット10内の熱容量を増加させることができ、フィルタ10aの温度をそれ以上上昇しづらくすることができる。
図2には、本実施例における過昇温防止ルーチンのフローチャートを示す。本ルーチンは、フィルタ10aのPM再生処理中にECU20によって所定期間毎に実行されるルーチンである。
本ルーチンが実行されるとS101においてフィルタ10aにおけるPM堆積量が取得される。これは、フィルタ10aに対するPM再生処理が開始される際のPM堆積量及び、PM再生処理の継続時間より推定してもよいし、フィルタユニット10の上流側と下流側に図示しない排気圧センサを設け、両方のセンサによって検出されるフィルタユニット10の上流側と下流側における排気圧の差圧から推定してもよい。
S102においては、フィルタ10aの温度が取得される。具体的には排気温センサ15の出力をECU20に読み込むことにより検出される。ここで、フィルタユニット10から排出された排気の温度はフィルタ10a自体の温度と略同じであることが分かっているため、フィルタユニット10から排出された排気の温度を検出することでフィルタ10
aの温度を取得することとしている。
S103においては、フィルタ10において過昇温(OT)が生じるおそれがあるかどうかが判定される。具体的には、フィルタ10aにおけるPM堆積量と、フィルタ10aの温度と、過昇温が生じるおそれがあるかどうか(既に生じているかどうか)の判定結果との関係が格納されたマップを予め実験に基づいて作成しておき、S101で取得されたPM堆積量、S102で取得されたフィルタ温度に基づいて、過昇温が生じるおそれがあるかどうか(既に生じているかどうか)の判定結果を上記マップから読み出す。例えばPM堆積量が10g以上且つフィルタ温度が600℃以上の場合に過昇温が生じるおそれがあると判定してもよい。
ここでフィルタ10aの過昇温が生じるおそれがあると判定された場合にはS104に進む。一方、過昇温が生じるおそれがないと判定された場合にはS105に進む。
S104においては、排気絞り弁17が閉弁されまたは、排気絞り弁17の閉弁状態が維持される。それによりフィルタユニット10内の空気密度が増加し、フィルタユニット10のフィルタ10における熱容量が増加する。その結果、フィルタ10aの温度がそれ以上上昇することを抑制できる。
S105においては、排気絞り弁17が開弁されまたは、排気絞り弁17の開弁状態が維持される。それにより、過昇温が生じるおそれがない場合にはフィルタユニット10内の背圧が上昇することを抑制し、背圧の上昇が内燃機関1の運転性能に悪影響を及ぼすことを抑制している。ここで排気絞り弁17は、本実施例における背圧制御手段に相当する。そして、上記のS104またはS105の処理を行うECU20及び排気絞り弁17は、本実施例における熱容量調整手段を構成する。
なお、S104の処理において、排気絞り弁17を閉弁するとは必ずしも排気絞り弁17を全閉することを意味しない。排気絞り弁17の開度を絞ることによって背圧を上昇させることを意味する。この排気絞り弁17を閉弁した際の開度については、S101において取得されたPM堆積量及び、S102において取得されたフィルタ10aの温度に応じて変更するようにしてもよい。
また、S105の処理において、排気絞り弁17を開弁するとは必ずしも排気絞り弁17を全開することを意味しない。排気絞り弁17の開度を開き側にすることによって背圧を低下させることを意味する。この排気絞り弁17を開弁した際の開度についても、S101において取得されたPM堆積量及び、S102において取得されたフィルタ10aの温度に応じて変更するようにしてもよい。
また、S104の処理において、排気絞り弁17を閉弁すると同時に、図示しないEGR装置におけるEGRガスの再循環量を減少させてもよい。また、図示しない吸気弁の開度を大きくしてもよい。それらの制御を併せて実施することにより、比較的低温の排気のフィルタ10aへの流入を促進することができ、より確実にフィルタ10aの温度上昇を抑制することができる。
また、上記の過昇温防止ルーチンにおいては、フィルタ10aにおけるPM堆積量及びフィルタ温度よりフィルタ10aが過昇温するおそれがあるかどうかを判定したが、例えばフィルタ温度のみを取得し、フィルタ10aが既に過昇温していると判定された時点で排気絞り弁17を閉弁するようにしてもよい。そのことによっても、それ以上のフィルタ10aの昇温を抑制することができる。
また、上記の実施例においては、背圧制御手段としての排気絞り弁17が排気管5におけるフィルタユニット10の下流に配置された例について説明したが、例えば排気絞り弁17がフィルタユニット10の内部におけるフィルタ10aの下流側に配置されるようにしてもよい。
さらに、本発明の熱容量調整手段としては、上記で説明したようにフィルタユニット10内の背圧を上昇させる背圧制御手段を有するものの他に、例えば、フィルタ10aが過昇温するおそれがあると判定された場合に、フィルタユニット10に二酸化炭素などの密度の高い気体を供給して、フィルタユニット10のフィルタ10aにおける熱容量を増加させるものを採用してもよい。二酸化炭素の代わりに水蒸気や水を供給するようにしてもよい。加えて、二酸化炭素などの気体をフィルタユニット10に高圧で供給するようにして背圧を上昇させるようにしてもよい。
本発明の実施例における内燃機関と、その排気系及び制御系の概略構成を示す図である。 本発明の実施例に係る過昇温防止ルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
1・・・内燃機関
5・・・排気管
10・・・フィルタユニット
10a・・・フィルタ
12・・・燃料添加弁
15・・・排気温センサ
17・・・排気絞り弁
20・・・ECU

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に配置され、該排気通路を通過する排気中の微粒子物質を捕集するフィルタが設けられた排気浄化装置と、
    前記排気浄化装置の少なくとも前記フィルタにおける熱容量を調整する熱容量調整手段と、
    前記フィルタが過剰に高温であることまたは、過剰に高温になるおそれがあることを検出する過昇温検出手段と、
    を備え、
    前記過昇温検出手段によって前記フィルタが過剰に高温であることまたは、過剰に高温になるおそれがあることが検出された場合に、前記熱容量調整手段によって前記排気浄化装置の少なくとも前記フィルタにおける熱容量を増加させることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 前記熱容量調整手段は、前記フィルタにおける排気の圧力を制御する背圧制御手段を有し、該背圧制御手段によって前記フィルタにおける排気の圧力を上昇させることにより、前記排気浄化装置の少なくとも前記フィルタにおける熱容量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  3. 前記背圧制御手段は、前記排気通路における前記排気浄化装置の下流側に設けられた排気絞り弁であることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化システム。
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