JP2007195499A - 玉網 - Google Patents
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Abstract
【構成】 魚を内部に保持可能な袋状の網部(10)と、その網部(10)の上端周縁の一部から突出し、網部(10)の直径よりも短く形成された柄(20)と、を備えた玉網(1)である。この玉網(1)の重心(G)は、柄(20)の前端(22a)から後端(23a)までに位置するとともに、柄(20)の前端(22a)から重心(G)までの長さが6.3%から23.8%の範囲に位置するよう形成されている。このため、飛んでくる魚を受け止める際に、網部を上方に立ち上げて構える操作を容易に行うことができ、操作性の向上に寄与する。
【選択図】 図1
Description
なかでも鮎の友釣りでは、玉網における網部の中で仕掛けの準備作業をすることが多く、その場合、ベルトに玉網の柄を差し込んで挟み持つこととなる。そして、網部は、その枠部側を上にして開口を開いた状態で体の前方側に保持する。
また、野鮎が掛かった時は、釣り竿を立ち上げて宙を飛ばすように引き寄せ、玉網を用いて宙を飛んでくる魚を網部で受け止めて(キャッチして)釣り上げる。この時、おとり鮎と針に掛かった野鮎との両方を、玉網の網部を用いて受け止めることとなる。
また、釣り上げて飛んでくる魚の方向に対して網部を正確に向けたりすることも困難であった。この結果、飛んでくる魚の方向から網部の開口がずれてしまい、魚を受け止め損ねてしまう原因のひとつとなることがあった。
請求項1から請求項5に記載の発明の目的は、釣り上げて飛んでくる魚を釣り人が受け止める際に、網部を立ち上げて構える操作を行いやすい玉網を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、所定の対象物を内部に保持可能な袋状の網部(10)と、その網部(10)の上端周縁の一部から突出し、網部(10)の直径よりも短く形成された柄(20)と、を備えた玉網(1)であって、前記玉網(1)の重心(G)が前記柄(20)において網部(10)を立ち上げやすい箇所となるように形成されていることを特徴とする。
なお、「所定の対象物」とは、釣り人が釣り上げる魚であり、鮎などの川魚が主である。
また、重心(G)の位置となる「網部(10)を立ち上げやすい箇所」とは、網部(10)からはやや遠い箇所である。重心が網部側にある場合には、立ち上げ操作が遅れることが判明しているからである。
玉網(1)の重心(G)が前記柄(20)において網部(10)を立ち上げやすい箇所となるように形成されているので、釣り人が玉網(1)をベルトから引き抜いて、網部(10)を立ち上げるという一連の操作において、玉網(1)全体のバランスが良く、立ち上げ操作がしやすくなる。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の玉網をより具体的に限定したものである。
すなわち、前記玉網(1)の重心(G)は、前記柄(20)の前端(22a)から後端(23a)までに位置するとともに、前記柄(20)の前端(22a)から重心(G)までの長さが6.3%から23.8%の範囲に位置するよう形成されていることを特徴とする。
玉網(1)の重心(G)を、柄(20)の前端(22a)から重心(G)までの長さが6.3%から23.8%の範囲になるように、玉網(1)の全体を形成する。このようにすれば、玉網における網部(10)を立ち上げる操作性が向上する。これにより、釣り人が飛んでくる魚を受け止める際に、網部(10)を立ち上げて構える操作を円滑な動きとすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の玉網を限定したものである。
すなわち、前記玉網(1)の重心(G)は、前記柄(20)の前端(22a)から後端(23a) までに位置するとともに、前記柄(20)の前端(22a)から重心(G)までの長さが15.9%から19.0%の範囲に位置するよう形成されていることを特徴とする。
玉網(1)の重心(G)を、柄(20)の前端(22a)から重心(G)までの長さが15.9%から19.0%の範囲になるよう設定する。15.9%から19.0%としたのは、複数の釣り人による玉網の操作性サンプルデータから抽出したものであり、請求項2で限定した重心(G)までの長さの範囲よりも、汎用的な範囲であるからである。このようにすれば、釣り人が飛んでくる魚を受け止める際に、網部(10)を立ち上げて構える操作を円滑な動きとすることができる。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の玉網を限定したものであり、
前記柄(20)の後端(23a)付近には、柄(20)の比重よりも大きな比重の重り(23)を取り付けたことを特徴とする。
「重り」の材質は、柄(20)の材質よりも比重が大きい、例えば、真鍮などの合金である。
なお、柄(20)は、木材、合成樹脂などが一般に選択される。高級品では黒檀など、木材の中では比重が大きなものが採用される場合もある。
柄(20)の後端(23a)付近に、重り(23)を取り付ければ、網部と柄とのバランスを容易に保つことができる。
また、柄(20)の形状に関して、柄(20)の後端側に偏るような形状に設計しなければならないという制限が小さくなり、設計自由度が向上する。
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の玉網を限定したものであり、 前記重り(23)は、前記柄(20)に対して着脱自在に形成されていることを特徴とする。
「着脱自在」とする構造としては、例えばネジ止めである。重りおよびそれを締結するネジなどは、さびにくい材質であることが望ましい。
重り(23)が柄(20)に対して着脱自在となっているので、質量の異なる重りを付けることができる。このため、玉網の操作性に関して、釣り人の個人的な好みへの適正化(いわゆるカスタマイズ)に対応可能となる。
すなわち、玉網の操作性に関する適正さは、個々の釣り人によって微差がある。立ち上げ操作が早めを好む人もいれば、遅めを好む人もいる。本請求項に記載の玉網によれば、このような個々の嗜好に応じて容易に変更可能となる。
本発明では鮎の友釣りを例として説明していく。
網部10は、袋状に形成された網状体12と、この網状体12が広がった状態で網状体12を保持可能な枠体16を備えている。網状体12は、網状体12の下方にあたる略円形の底部12aと、その底部12aの円周から立設された側部12bと、その側部12bから上方に向かって円形の網部開口部50とを有し、全体として袋状に形成されている。
網部開口部50は、底部12aに対向配置された略円形の枠体16に沿って取り付けられる。そして、網部10内に掬った魚を収納できるようになっている。網状体12は、例えば、ナイロン等の合成樹脂やゴムや木綿等の天然材料で形成され、枠体16は金属や合成樹脂や天然の木材等で形成されている。
重り23は、図1の部分拡大図に示すように、柄本体部21の後端23aに、重り23が予め固定された螺子杆23bを接続させている。この重り23は、柄本体部21に螺子杆23bによって接続されるので、比重や質量が異なる他の重さの重りと着脱自在に交換できる。このため、玉網1の重心Gを自由に変えることができる。これにより、釣り人の嗜好に応じた最適な重りを付けることができるので、玉網1のカスタマイズに寄与する。玉網の操作性は、釣り人個々に異なるからであり、玉網1の立ち上げ操作が早めを好む人もいれば、遅めを好む人もいるからである。
ここで、玉網1の使い方について図3から図5を参照して説明する。
釣り人は、魚が掛かかったら、釣竿を立てて魚を水面に浮かせ、次に魚を水面から引き上げる。そして、自分の手元にぶら下がる魚を引き寄せる。この動作をしながら、図3のように柄20の前端22a側を柄20の下側から握持し、玉網1をベルト60から引き抜く。ただし、玉網1は網部10が前方に突出するようにベルト60に狭持されているため、玉網1を取り出す時は、柄20の前端22a側を握持する。つまり、図3に示すように、柄20の下側に手の平を当て握持するのである。そして、枠体16の網部開口部50を自分の前方(飛んでくる魚の方向)に向けて網体側を立ち上げて構える。
まず、一般的な鮎釣り用玉網(重量210g、全長70.5cm、網部長さ39.0cm、柄の長さ31.5cm)の柄の後端に、重量の異なる複数の重りを取り付けて重心位置を変化させた。
『玉網A』は、玉網の重心位置が前方3.2%となって柄に配されている。この場合、「立ち上がりが遅い」と3人が評価し、「やや立ち上がりが遅い」と7人が評価した。
『玉網B』は、玉網の重心位置が前方6.3%となって柄に配されている。この場合、「やや立ち上がりが遅い」と3人が評価し、「立ち上げ操作がしやすい」と7人が評価した。
『玉網C』は、玉網の重心位置が前方11.1%となって柄に配されている。この場合、「やや立ち上がりが遅い」と2人が評価し、「立ち上げ操作がしやすい」と8人が評価した。
『玉網D』は、玉網の重心位置が前方15.9%となって柄に配されている。この場合、「立ち上げ操作がしやすい」と10人が評価した。
『玉網E』は、玉網の重心位置が前方19.0%となって柄に配されている。この場合、「立ち上げ操作がしやすい」と10人が評価した。
『玉網F』は、玉網の重心位置が前方22.2%となって柄に配されている。この場合、「立ち上げ操作がしやすい」と7人が評価し、「やや立ち上がりが早い」と3人が評価した。
『玉網G』は、玉網の重心位置が前方23.8%となって柄に配されている。この場合、「立ち上げ操作がしやすい」と6人が評価し、「やや立ち上がりが早い」と4人が評価した。
『玉網H』は、玉網の重心位置が前方27.0%となって柄に配されている。この場合、「やや立ち上がりが早い」と8人が評価し、「立ち上がりが早い」と2人が評価した。
『玉網I』は、玉網の重心位置が前方31.2%となって柄に配されている。この場合、「立ち上がりが早い」と10人が評価した。
1.『玉網A』と『玉網H』は、立ち上がりについて不満はあるが、一応の効果が上がっている。
2.『玉網B』、『玉網C』、『玉網D』、『玉網E』、『玉網F』、『玉網G』は、立ち上げ操作がしやすいとする人が多く、明確に効果が出た範囲である。その中で、10人全員が「立ち上げ操作がしやすい」と評価された『玉網D』及び『玉網E』は最適である。
これらの玉網の重心位置は、釣り人の多くが握持する領域とほぼ一致し、重心Gが握持した手の人差し指または中指の付け根に位置すると最もバランスが良く、立ち上げ操作がしやすくなるからである(この状態が『玉網D』及び『玉網E』である)。
3.『玉網I』は、立ち上がりの早さでは効果がある。しかし、早すぎて操作性が良好とはいえない。また、玉網重量が345gとなって重いことも操作性に影響していることが分かった。
12 網状体 12a 底部
12b 側部
16 枠体
20 柄 21 柄本体
22 取り付け部
23 重り 23b 湾曲部
24 螺子杆
50 網部開口部
60 ベルト 70 釣竿
80 おとり鮎 81 野鮎
G 重心 K 仮想線
Claims (5)
- 所定の対象物を内部に保持可能な袋状の網部と、
その網部の上端周縁の一部から突出し、網部の直径よりも短く形成された柄と、を備えた玉網であって、
前記玉網の重心が前記柄において網部を立ち上げやすい箇所となるように形成されていることを特徴とする玉網。 - 前記玉網の重心は、前記柄の前端から後端までに位置するとともに、前記柄の前端から重心までの長さが6.3%から23.8%の範囲に位置するよう形成されていることを特徴とする請求項1記載の玉網。
- 前記玉網の重心は、前記柄の前端から後端までに位置するとともに、前記柄の前端から重心までの長さが15.9%から19.0%の範囲に位置するよう形成されていることを特徴とする請求項1記載の玉網。
- 前記柄の後端付近には、柄の比重よりも大きな比重の重りを取り付けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の玉網。
- 前記重りは、前記柄に対して着脱自在に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の玉網。
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