JP2007191600A - ポリトリメチレンテレフタレート系マスターバッチ組成物およびポリエステル組成物 - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレート系マスターバッチ組成物およびポリエステル組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量が少なく、溶融紡糸時の工程調子が安定し、また、製織、製編時のオリゴマー析出量が少なく安定した繊維の生産ができ、さらに染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル組成物を提供し得るマスターバッチ、またかかるマスターバッチを用いて得られるポリエステル組成物、さらにこのポリエステル組成物を溶融紡糸したポリエステル繊維を提供する。
【解決手段】主たる繰り返し単位をトリメチレンテレフタレート単位とするポリエステルを主成分とし、亜リン酸を0.5重量%を超え、20重量%以下含有するポリトリメチレンテレフタレート系マスターバッチ組成物、このマスターバッチ組成物とポリトリメチレン系ポリエステルとを混合して得られ、亜リン酸の含有量が0.01〜0.5重量%であるポリエステル組成物、このポリエステル組成物からなるポリエステル繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、亜リン酸を含有するマスターバッチに関し、詳しくはポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル組成物の溶融成形時に発生する再生環状オリゴマーの生成量を抑制する亜リン酸を含有するマスターバッチに関する。また、かかるマスターバッチを用いて得られるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル組成物および繊維に関する。
ポリエステルは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。
中でも、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、近年、従来のポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル繊維にはなかったソフトな風合い、優れた弾性回復性、易染性といった特性から注目されている。
しかしながら、このポリトリメチレンテレフタレートは、重縮合時にオリゴマーである環状ダイマーが生成しやすいが、この環状ダイマーは紡糸工程で紡糸口金付近に異物として付着し、糸切れを引き起こしたりするほか、製織、製編時にオリゴマーが析出して加工安定性を低下させる問題を有している。このような問題を解決するために、ポリトリメチレンテレフタレートを減圧下で固相重合を行うことにより、オリゴマー含有量を1重量%以下にしたポリトリメチレンテレフタレート樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法を用いれば、確かにポリトリメチレンテレフタレートチップ中の環状ダイマー量は大幅に低減できるが、溶融成形のための再溶融時に環状ダイマーが再生してくるため、根本的な改善には至っていない。
一方、触媒の活性を低下させる方法として、リン酸系化合物を添加する方法が提案されているが(特許文献2参照)、この方法では同時に環状ダイマー除去装置が併用されている。この技術を用いれば、確かに環状ダイマーは抑制できるかも知れないが、環状ダイマー除去装置という高価な設備が必要となる。
特開平8−311177号公報 特開2004−51921号公報
本発明の目的は、溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量が少なく、溶融紡糸時の工程調子が安定し、また、製織、製編時のオリゴマー析出量が少なく安定した繊維の生産ができ、さらに染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル組成物を提供し得るマスターバッチ、またかかるマスターバッチを用いて得られるポリエステル組成物、さらにこのポリエステル組成物を溶融紡糸したポリエステル繊維を提供することにある。
本発明は、主たる繰り返し単位をトリメチレンテレフタレート単位とするポリエステルを主成分とし、亜リン酸を0.5重量%を超え、20重量%以下含有することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系マスターバッチ組成物に関する。
次に、本発明は、上記マスターバッチ組成物と、主たる繰り返し単位をトリメチレンテレフタレート単位とするポリエステル(以下「ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル」ともいう)とを混合して得られ、亜リン酸の含有量が0.01〜0.5重量%であることを特徴とするポリエステル組成物に関する。
次に、本発明は、上記ポリエステル組成物からなるポリエステル繊維に関する。
本発明によれば、溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量が少なく、溶融紡糸時の工程調子が安定し、染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリエステル組成物および繊維を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のマスターバッチ組成物に用いるポリエステルは、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルである。このポリエステルは、トリメチレンテレフタレート単位を構成する成分以外の第3成分を共重合した、共重合ポリトリメチレンテレフタレートであってもよい。上記第3成分(共重合成分)は、ジカルボン酸成分またはグリコール成分のいずれでもよい。ここで、「主たる」とは、全繰り返し単位中、90モル%以上であることを表す。
第3成分として好ましく用いられる成分としては、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸もしくはフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸もしくはデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など、また、グリコール成分として、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールもしくは2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンなどが例示され、これらは単独または二種以上を使用することができる。
本発明に用いるポリエステルの製造方法について特に限定はなく、テレフタル酸をトリメチレングリコールと直接エステル化させた後、重合させる方法、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後、重合させる方法、のいずれを採用しても良い。
本発明に用いるポリエステルの重合触媒は特に限定はないが、チタン化合物を重合触媒として用いて用いることが好ましい。ここで、触媒として用いるチタン化合物とは、ポリマーに可溶性の有機系チタン化合物であることが好ましい。上記チタン化合物の含有量としては特に制限はないが、重縮合反応性、得られるポリエステルの色相、耐熱性の観点から、全ジカルボン酸成分に対し、チタン金属元素として2〜150ミリモル%程度含有されていることが好ましい。
ここで、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後、重合させる方法を採用する場合、エステル交換反応触媒として、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物など、通常、ポリエステルのエステル交換反応触媒として用いられる触媒を併用してもよい。しかし、通常は上述のチタン化合物をエステル交換反応触媒および重合触媒の両方の役割で用いる方法が好ましく採用される。
本発明に用いられるチタン化合物は、触媒起因の異物低減の点で、ポリエステル中に可溶なチタン化合物を使用することが好ましい。チタン化合物としては、特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのアルコキシチタンなどが挙げられるほか、これらチタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物などが好ましく挙げられる。
本発明のマスターバッチ組成物は、亜リン酸を0.5重量%を超え、20重量%以下含有されている。ここで、上記亜リン酸の含有量が0.5重量%以下の場合、マスターバッチ組成物として用いる際にマスターバッチ組成物が多量に必要となり、有効に用いることが出来ない。また、マスターバッチ組成物の耐熱性が劣り溶融混練中に熱分解を起こしたり、色相悪化の原因になる。一方、20重量%を超える場合、ポリエステルへの亜リン酸の分散性が悪くなり、さらにポリエステル中へ未溶解の亜リン酸が凝集体となりポリエステル中の異物となるため好ましくない。また、ポリエステル組成物の耐熱性が低下するため好ましくない。上記マスターバッチ組成物中の亜リン酸の含有量は、0.8〜5.0重量%の範囲が好ましい。
なお、上記亜リン酸のポリエステル中の含有量は、リン元素の定量分析のほか、核磁気共鳴スペクトルによって定量することができる。
本発明のマスターバッチ組成物中に含有される亜リン酸の該組成物中への添加方法については特に限定はない。例えば、ポリエステル重合時の任意の段階で重合工程に添加する方法、製造されたポリトリメチレンテレフタレートポリマーに粉体、あるいは溶媒に溶解・分散させた亜リン酸を、二軸押出機などを用いて溶融ブレンドする方法などが挙げられる。
次に、本発明のマスターバッチ組成物とポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルより得られるポリエステル組成物は、亜リン酸が0.01〜0.5重量%含有されていることが好ましい。ここで、亜リン酸の含有量が0.01重量%未満の場合、再生環状ダイマー量が多くなり好ましくなく、一方、0.5重量%を超える場合、得られるポリエステル組成物の耐熱性が低下し、さらにポリエステルの色相が悪化(黄変)するため好ましくない。上記亜リン酸の含有量は、0.03〜0.3重量%の範囲がさらに好ましい。
ここで、「環状ダイマー」とは、下記構造で示すような線状オリゴマー(1)と環状オリゴマー(2)の混合物であることが知られているが、その約90重量%は環状オリゴマー(式(2)において、qが1に相当する構造を有する)である。環状ダイマーは、特に高い昇華性、熱水溶解性を有するので、上記に示したような問題を引き起こす主たる原因物質となる。
Figure 2007191600
〔式中、p≦10、q=1〜4である。〕
また、「再生環状ダイマー」とは、繰り返し単位によって直線状に繋がっているポリエステルの一部分のエステル結合が切断されて、熱力学的に安定な化合物として再生された環状ダイマーを意味する。
本発明の上記ポリエステル組成物は、窒素雰囲気下、260℃における再生環状ダイマー生成速度が0.010重量%/分以下であることが好ましい。さらに、好ましくは、0.005重量%/分以下である。再生環状ダイマー生成速度が0.010重量%/分を超えると、紡糸工程でポリエスエルを再溶融した際に環状ダイマー生成による影響が発現する。通常、紡糸工程における溶融ポリエステルの滞留時間は、設備規模や条件によって前後するが、一般的に1〜数分程度である。それ以上滞留時間が長いと、紡糸工程での熱分解により固有粘度の低下を招き、所望の糸を得ることができない。この滞留時間の範囲内で環状ダイマーの再生を抑制することができ、後述のようにこの後の例えば染色工程などにおいて環状ダイマー溶出が原因となる問題の発生を抑制することができる。
この再生環状ダイマー生成速度は、本発明による亜リン酸を添加することにより生成速度を抑制することができる。
また、本発明のポリエステル組成物中の環状ダイマーの含有量は、好ましくは2.2重量%以下、さらに好ましくは2.0重量%以下である。2.2重量%を超えると、紡糸工程での工程調子の悪化、染色工程での環状ダイマー溶出などによる染色液汚染などの問題が発生し、好ましくない。
環状ダイマーの含有量を上記範囲内にするには、亜リン酸を所定量添加するとともに、溶融重合段階における固有粘度を0.5〜1.0dL/gの範囲とし、溶融重合後に固相重合を施すことが効果的である。
なお、本発明のポリエステル組成物の製造方法については、特に限定はない。例えば、上記のようにして製造されたマスターバッチ組成物とポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルとを、二軸押出機、スタティックミキサーなどを用いて溶融ブレンドする方法などが挙げられる。再生環状ダイマー生成速度、環状ダイマー含有量を上記の範囲内に、かつその値を少ない側に安定化させるには、短時間で効率的に溶融ブレンドすることが好ましく、そのための溶融ブレンドの条件が適宜調整・選択される。
次に、本発明のポリエステル繊維を製造する際の製造方法としては特に限定はなく、従来公知のポリエステルを溶融紡糸する方法を用いることができる。例えば、本発明のポリエステル組成物を240℃〜280℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜5,000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られるポリエステル繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻き取りを行うこともできる。また、延伸は、ポリエステル繊維を巻き取ってから、あるいは一旦巻き取ることなく連続的に処理することができる。この処理操作によって、延伸糸を得ることができる。さらに、本発明のポリエステル繊維は、風合いを高めるために、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
なお、本発明のポリエステル繊維中に含まれる環状ダイマー含有量は、通常、0.05〜3.0重量%、好ましくは0.1〜2.5重量%の範囲にある。環状ダイマー含有量がこの範囲にあるときには、ポリエステル繊維の染色工程において、染色斑などを起こしにくくなる。上記環状ダイマー含有量は、0.15〜2.2重量%の範囲が特に好ましい。本発明のポリエステル繊維において、環状ダイマー含有量を上記範囲内にするには、ポリエステル(組成物)の溶融重合段階における固有粘度を0.5〜1.0dL/gの範囲とし、溶融重合後に固相重合を施すことが効果的であるほか、溶融紡糸におけるポリマーを溶融してから製糸するまでの滞留時間を短くする、好ましくは20分以下とすることが効果的である。
本発明のポリエステル繊維を製造する際において、紡糸時に使用する口金の形状について制限は無く、円形、異形、中実、中空などのいずれも採用することができる。
また、本発明のマスターバッチ組成物、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル、およびこれらから得られるポリエステル組成物、ならびに繊維には、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重縮合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤または艶消剤などを含んでいてもよい。特に、艶消剤としての酸化チタンは好ましく添加され、酸化チタンとしては、平均粒径が0.01〜2μmの酸化チタンを最終的に得られるポリエステル組成物中に0.01〜10重量%含有させるよう添加することが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各値は、下記記載の方法により測定した。
(1)固有粘度:
ポリエステルポリマー組成物の固有粘度は、オルトクロロフェノール溶液中、35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)ポリエステル組成物中の亜リン酸含有量の定量:
ポリマーサンプルを重水素化トリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム(重量比)=1/1混合溶媒に溶解後、日本電子(株)製JEOL A−600、超伝導FT−NMRを用いて核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定した。そのスペクトルパターンから常法に従って、亜リン酸含有量を定量した。
(3)ポリエステル中の凝集粒子(凝集異物):
ポリエステル組成物15mgを2枚のカバーグラス間に挟んで280℃で溶融プレスし、急冷した後、位相差顕微鏡を用いて観察し、画像解析装置ルーゼックス500で顕微鏡像内の最大長が5.0μm以上の粒子数をカウントした。
(4)環状ダイマー含有量:
Waters社製、486型液体クロマトグラフにWaters社製GPCカラム TSKgel G2000H8を2本接続した装置を用いた。展開溶剤としてクロロホルムを使用し、サンプル1mgをヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解してクロロホルムで10mlに希釈したサンプルを注入して、標準の環状ダイマーの検量線からポリマー中の重量百分率を求めた。
(5)ポリエステル組成物の環状ダイマー生成速度:
未延伸糸を窒素雰囲気下中、260℃で再溶融させ、20分間保持した後、再溶融前後での環状ダイマー量を分析し、生成速度を求めた。
(6)引張強度、引張伸度:
JIS L1013記載の方法に準拠して測定を行った。
(7)結晶化後のL***表色系におけるカラーb*値:
繊維の色相は、メリアス編地について、ミノルタ色彩色差計(型式:CR−200)を用いて測定した。判定はカラーb値が0.0以下を良品とした。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル 100重量部とトリメチレングリコール 70.5重量部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート 0.053重量部を、撹拌機、精留塔およびメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。反応開始後3時間で内温は210℃に達した。
次いで、得られた反応生成物を撹拌機およびグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、亜リン酸 1.0重量部を添加後、210℃から265℃に徐々に昇温すると共に、常圧から70Paの高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.65dL/gとなる時点で重合反応を打ち切った。
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。
得られたチップは、120℃で4時間予備結晶化後、タンブラー型固相重合装置に仕込み、窒素雰囲気下中、200℃に昇温させた後、70Paの高真空下で約14時間固相重合反応させて、固有粘度0.95dL/gのマスターチップ(A)を得た。
一方、亜リン酸を添加しないこと以外は、上記手法と同様の方法で、固有粘度0.95dL/gのポリエステルチップ(B)を得た。
(A)と(B)のチップをそれぞれ120℃で4時間乾燥した後、各チップを(A):(B)=1:9の重量比でチップブレンドした後、得られた混合チップを、孔径0.27mmの円形紡糸孔を36個備えた紡糸口金を有する押出紡糸機を用いて260℃で溶融し、吐出量34g/分、引取速度2,400m/分で紡糸し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を、60℃の加熱ローラーと160℃のプレートヒーターとを有する延伸処理機に供し、延伸倍率1.7倍で延伸処理し、83dtex/36フィラメントの延伸糸を得た。得られたマスターチップ、未延伸糸および延伸糸の分析結果を表1〜2に示す。
[実施例2]
実施例1において、亜リン酸を添加せずに溶融重合、および固相重合にて固有粘度0.98dL/gのポリエステルチップを得た。このポリエステルチップを二軸押出機を用いて260℃で再溶融後、サイドフィーダーから亜リン酸を含有量が1.0重量%となるように調節しながら添加し、再びストランドカッターを用いて切断して、固有粘度0.95dL/gのポリエステル組成物チップ(C)を得た。得られたポリエステル組成物(C)チップは、実施例1の混合チップと同様にして押出紡糸機を使用して、実施例1と同様の手法で繊維化した。結果を表1〜2に示す。
[比較例1]
実施例1において、亜リン酸を添加しなかったこと以外は、同様に行った。結果を表1〜2に示す。
[比較例2]
実施例1において、亜リン酸を30.0重量%となるように調節しながら添加すること以外は、実施例1と同様にマスターチップを得た。マスターチップの分析結果を表1に示す。なお、このマスターチップを使って、実施例1と同様に繊維化しようとしたところ、断糸多発のため安定して繊維化することができなかった。
Figure 2007191600








Figure 2007191600
表1〜2からも明らかなように、本発明のポリエステル組成物および繊維は、環状ダイマー生成速度、再溶融後の環状ダイマー含有量が少なく、良好なものであった。
本発明によれば、溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量が少なく、溶融紡糸時の工程調子が安定し、染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリエステル組成物および繊維を提供することができる。また、得られた繊維は、通常の機械的物性を保持しており、従来から用いられているポリトリメチレンテレフタレート繊維の用途に充分使用することができる。

Claims (5)

  1. 主たる繰り返し単位をトリメチレンテレフタレート単位とするポリエステルを主成分とし、亜リン酸を0.5重量%を超え、20重量%以下含有することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系マスターバッチ組成物。
  2. 請求項1記載のマスターバッチ組成物と、主たる繰り返し単位をトリメチレンテレフタレート単位とするポリエステルとを混合して得られ、亜リン酸の含有量が0.01〜0.5重量%であることを特徴とするポリエステル組成物。
  3. 窒素雰囲気下260℃における再生環状ダイマー生成速度が0.010重量%/分以下である、請求項2記載のポリエステル組成物。
  4. 環状ダイマーの含有量が2.2重量%以下である請求項2〜3のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項記載のポリエステル組成物からなるポリエステル繊維。

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