JP2007190779A - インクジェット描画方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクジェットヘッド14によって光硬化型インクをインク液滴として像様に画像記録媒体上に吐出して直接描画し、インクジェットヘッド14による描画位置から画像記録媒体の副走査搬送下流側に所定距離離間した後方位置において、静止した点状または略点状の活性光光源からの活性光を主走査方向に走査移動する走査ミラーによって画像記録媒体上に照射し、画像記録媒体上に像様に吐出された光硬化型インクを硬化させて、画像を形成する。
【選択図】図1
Description
一方、特許文献2に開示の装置では、UV照射手段として、UVLEDやUVLEDアレイを用いることにより、高圧水銀灯やメタルハライドランプなどの大型で大量の電力を消費する、すなわち高熱を発生するUVランプの欠点を解消し、UV照射手段の消費エネルギを抑え、UV照射手段の小型化を達成している。そして、特許文献2には、インクジェットヘッドとUV照射手段とを一体化して移動する構成例と、別体として移動する構成例が開示されている。
また、印刷原版の画像形成位置のずれは、複数の印刷版で画像を形成する多色刷り印刷の場合に、色ずれが起こるため、特に問題になる。
また、活性光線に紫外(UV)光を用い、かつ光硬化型インクに紫外線硬化型インク(UVインク)を用いるのが好ましい。
また、前記ミラー移動機構は、前記画像記録媒体の前記主走査方向の両外側に配置される2つの搬送ローラと、これらの2つの搬送ローラに張架され、前記走査ミラーが所定角度傾斜させて取り付けられる無端ベルトと、この無端ベルトの前記画像記録媒体側のベルト部において、前記走査ミラーの取り付け位置に隣接して形成され、前記走査ミラーによって反射された照射光を透過させる照射窓とを有するのが好ましい。
また、前記無端ベルトは、前記2つのベルト部の互いに対向する内側部分が鏡面であるステンレスベルトであるのが好ましい。
また、前記搬送機構は、前記画像記録媒体を前記副走査方向に搬送する機構であるのが好ましい。
また、前記搬送機構は、前記インクジェットヘッド、前記ヘッド移動機構および前記走査型活性光照射部を載置して、一体として副走査方向に移動させる機構であるのが好ましい。
また、前記画像が記録された前記画像記録媒体は、平版印刷版であるのが好ましい。
また、前記画像記録媒体は、平版印刷原版であり、さらに、前記インクジェットヘッドによって描画された前記印刷原版上に版面保護液を吐出する版面保護液吐出ヘッドを有するのが好ましい。
また、前記所定距離は、前記インクジェットヘッドによる描画速度と、前記インクジェットヘッドおよび前記活性光光源の種類または構造と、前記画像記録媒体の前記インクジェットヘッドに対する相対的な副走査方向の搬送速度、前記画像記録媒体の材料または材質と、前記活性光光源から照射される活性光線の光量との少なくとも1つに応じて決定されるのが好ましい。
また、前記制御部は、前記走査ミラーの前記移動速度を多段階に変速させることが好ましい。
また、前記照射部移動機構は、前記画像記録媒体と前記インクジェットヘッドとの相対的移動速度と異なる速度で、前記活性光光源または前記走査型活性光照射部を移動させることが好ましい。
また、インクジェットヘッドに対して、活性光光源または走査型活性光照射部を副走査方向に移動させるものでは、副走査方向における、インクジェットヘッドによる描画位置と走査ミラーによる活性光の走査照射位置との所定距離を調整することができるので、印刷原版等の画像記録媒体への活性光(光線)の照射時間を調整することができ、印刷原版上の光硬化型インクを好適に硬化させることができる。
以下においては、画像記録媒体として平版印刷原版、光硬化型インクとして紫外光線硬化型インク(以下、UVインクという)、活性光として紫外光(線)(以下、UV光という)、点状または略点状の活性光源として紫外線ランプ(以下、UVランプという)を用いて印刷版を作製する製版装置を代表例として説明するが、本発明は、これに限定されるものではないことは言うまでもない。
ここで、インクジェットヘッド14による描画中に、印刷原版Pを支持台12の表面に吸着させる場合には、送りローラ30と抑えローラ32とは回転を停止し、インクジェットヘッド14による非描画中に、送りローラ30が図示しない駆動源によって回転駆動され、抑えローラ32との間に挟持している印刷原版Pを副走査(X)方向に搬送するように構成するのが好ましい。すなわち、搬送機構20は、印刷原版Pを間欠的に副走査搬送
するものであるのが好ましい。なお、送りローラ30および抑えローラ32は、共に、図示しない製版装置筐体に回転可能に支持される。
本発明に用いられる搬送機構20は、印刷原版Pを副走査方向に搬送できるものであれば、どのようなものでも良く、公知の全ての副走査搬送機構を適用可能である。
インクジェットヘッド14は、支持台12上に載置された印刷原版Pの記録面上に像様にUVインクをインク液滴として吐出する、すなわち、記録されるべき画像の画像データに基づく吐出信号に応じてUVインクを吐出し、印刷原版P上に画像を記録し、親インキ性の画像部を形成するものである。ここで、吐出信号とは、記録されるべき画像の画像データ信号に基づいて、画像部となる部分に選択的にインクを塗布するように液滴を吐出させる吐出信号である。なお、印刷原版Pの記録面は、撥インキ性(親水性)を呈し、UVインクの吐出によって形成された画像部のみが親インキ性(疎水性)を呈する。
ドライブスクリュー34およびガイドレール35は、共に、印刷原版Pの搬送方向(図1中X方向)と直交する主走査方向(図1中Y方向)と平行に、また、使用可能な最大の印刷原版Pをその左端から右端まで跨ぐように配置されている。
ドライブスクリュー34は、インクジェットヘッド14に形成された雌ねじ部(図示せず)と螺合する雄ねじ部を持つボールねじ(図示せず)等からなり、回転することによりインクジェットヘッド14を移動させる。ガイドレール35は、インクジェットヘッド14に形成された貫通孔に挿通され、ドライブスクリュー34の回転により移動するインクジェットヘッド14の姿勢が変わらないように案内するガイドである。
また、駆動支持部36aは、ドライブスクリュー34およびガイドレール35の一方の端部に、支持部36bは、それらの他方の端部に設けられ、ドライブスクリュー34を正逆回転可能な状態で支持し、ガイドレール35を移動しないように支持している。駆動支持部36aは、ドライブスクリュー34を駆動するモータ等の駆動源(図示せず)を備える。なお、駆動支持部36aおよび支持部36bは、共に、上述した図示しない製版装置筐体に支持される。
ここで、インクジェットヘッド14の移動機構としては、上記のヘッド移動機構18に限定されず、種々の公知の移動機構を用いることができる。例えば、ドライブスクリューをガイドレールなどの棒状部材とし、インクジェットヘッドのY方向の端部の両側にそれぞれガイドワイヤをつけた構成として、移動方向のガイドワイヤを巻き取り、ガイドレールに沿って移動させる構成も用いることができる。また、ラックアンドピニオン機構を用いても良い。また、自走式としても良い。さらに、リニアモータを用いてもよい。
走査型UV照射部16は、図3(a)および(b)に示すように、印刷原版Pの搬送経路の外部に静置され、UV光を射出するUVランプ40と、UVランプ40から射出されたUV光を、支持台12上に支持された印刷原版Pの記録面に平行な平行光とするリフレクタ42と、リフレクタ42によって生成された平行UV光を印刷原版P側に反射させ、主走査方向に移動可能な走査ミラー44と、走査ミラー44を主走査(Y)方向に往復移動(走査)させるミラー移動機構46と有する。
UVランプ40を内蔵するリフレクタ42は、無端ベルト50の対向するベルト部50aおよび50bの間であって、搬送ローラ48aの近傍に、その射出口42aを搬送ローラ48b側に向けて配置される。こうして、リフレクタ42の射出口42aから射出された断面矩形状の平行UV光は、搬送ローラ48aおよび48b間において、無端ベルト50の対向する内面が鏡面であるベルト部50aおよび50bの間および互いに対向する内面が鏡面である2つの鏡面板56aおよび56bの間に形成される略直方体形状の空間によって構成される矩形断面状の導波路58を進行する。
走査ミラー44は、UVランプ40から射出され、リフレクタ42の射出口42aから射出され、4内周面が鏡面で構成された導波路58を進行する断面矩形状の平行UV光を無端ベルト50のベルト部50aに形成された照明窓54に向けて反射する。走査ミラー44で反射された断面矩形状のUV光は、照明窓54を透過して、支持台12上に載置されている印刷原版P上に照射される。このとき、走査ミラー44は、ミラー移動機構46によって矢印Y方向(主走査方向)に往復動される無端ベルト50と共に、同様に往復動されるので、走査ミラー44で反射された断面矩形状のUV光は、印刷原版Pの記録面を照射しながら往復走査する。
この走査ミラー44は、断面矩形状の平行UV光を反射できればどのような反射ミラーでも良いが、全ての光を反射できる全反射ミラーであるのが好ましい。なお、照明窓54は、無端ベルト50のベルト部50aに形成された矩形状の開口であっても良いし、矩形状の透明樹脂フィルムや透明部材によって無端ベルト50のベルト部50aに形成されていても良い。
このような無端ベルト50を張架する搬送ローラ48aおよび48bは、UVランプ40を内蔵するリフレクタ42の高さよりも大きい直径を持ち、リフレクタ42の長手方向の長さより長い無端ベルト50のベルト幅より少し長い長さを持つのが良い。なお、搬送ローラ48aおよび48bは、共に、上述した図示しない製版装置筐体に、例えば軸受け等を介して回転可能に支持される。
駆動源52は、搬送ローラ48aを正方向および逆方向に回転させることができるものであればなんでも良く、例えば、電動モータなどを用いることができ、搬送ローラ48aの回転軸に直結されていても良いし、ベルトおよびプーリを用いるベルト伝導や、歯車伝導などの伝導装置を介して接続されていても良い。なお、駆動源52も、上述した図示しない製版装置筐体に支持される。
なお、制御部22は、この他、製版装置10全体、もしくは、図示しない全ての構成要素を制御するものであるのが好ましい。
図1〜図3に示す製版装置10において、図示しない自動給版装置から支持台12に印刷原版Pが供給される。
支持台12に供給された印刷原版Pは、搬送機構20により副走査方向(図1中X方向)に所定速度で搬送される。
ここで、搬送機構20による印刷原版Pの副走査方向の搬送と、ヘッド移動機構18によるインクジェットヘッド14の主走査方向(図1中Y方向)の往復移動により、インクジェットヘッド14は、印刷原版Pの全面を走査し、印刷原版Pの全面における所要の位置にUVインクによる画像部を形成する。
ここで、印刷原版Pの表面(記録面)に画像部として形成されたUVインクは、UVランプ40から射出され、走査ミラー44で反射された断面矩形状のUV光が照射されることで、硬化される。
UVランプ16から射出されたUV光で画像部が硬化された印刷原版Pは、さらに副走査方向(図1中X方向)に搬送され、次工程に搬送される、または、完成した印刷版として製版装置10から排出される。
こうすることにより、本発明が適用される印刷装置においては、画像記録位置精度の高い、高画質かつ高精度な画像部が形成された印刷版を作製することができ、複数枚の印刷版を使用し、多色印刷を行なった場合も色ずれのない高精度かつ高品質な印刷を行うことができる。
距離Lを、0.5×dt以上とすることで、より画像記録位置精度が高く、高画質、かつ高精度な画像を形成することができ、さらに、1.0×dt以上とすることで、上記効果をより好適に得ることができる。
なお、これらの効果を得る上では、特に上限値を定める必要はないが、距離Lが大きくなると、印刷原版P上のインクのにじみ幅の拡大を生じる問題があるし、装置が大型化してしまうので、距離Lを、2.5×dt以下とすることが好ましく、このようにすることにより、印刷原版P上のインクのにじみ幅の拡大を防止でき、装置を小型化することができる。
これにより、インクジェットヘッド14によって形成された画像部のUVインクに照射するUV光の照射量(照射エネルギ)を調整することができ、例えば、常に一定にすることができ、画像部のUVインクの硬化を適正に行うことができる。
また、UVランプ40から射出されるUV光の光量を調節することなく、印刷原版Pの各位置の照射されるUV光の照射量(照射エネルギ=単位時間当たりの光量×照射時間)を調節することができる。
さらに、UVランプ40の使用に伴って光量が経時変化した場合でも、UVランプ40の射出光量に応じて走査ミラー44の移動速度、すなわち、走査UV光の走査速度を調節することで、印刷原版Pに一定照射光量のUV光を照射することができる。
また、UVランプ40の光量が経時により変化する場合も、UV光の走査速度を変速させることで、一定の照射光量でインクを硬化させることができる。具体的には、UVランプ40の照射光量が経時により1/2に減少した場合には、UV光の走査速度を1/2にすることにより、使用開始時と同じ照射光量で印刷原版上のUVインクを硬化させることができる。
例えば、上記実施形態では、装置コストを低くできる等の効果があるため、インクジェットヘッドを主走査方向に移動させるシリアルヘッドとしたが、本発明はこれに限定されず、印刷原版の主走査方向の幅よりも長い形状のインクジェットヘッド、つまり、インクジェットヘッドをラインヘッドとしてもよい。
本発明が適用される製版装置は、基本的に以上のように構成される。
図4は、本発明に係るインクジェット描画装置を適用する製版装置の他の実施形態の概略構成を示す模式的上面図である。図5は、図4に示す製版装置の走査型UV(紫外線)照射部および照射部移動機構の模式的な正面図である。
図4に示す製版装置60は、支持台12と、インクジェットヘッド14と、走査型UV照射部16と、ヘッド移動機構18と、搬送機構20と、制御部22と、走査型UV照射部16をインクジェットヘッド14に対して副走査方向(X方向)に往復移動させる照射部移動機構24と、インクジェットヘッド14によってUVインクで像様に描画され、走査型UV照射部16による走査UV光によって硬化させて画像部が形成された印刷原版P上にガム液を吐出するガム液吐出ヘッド26と、このガム液吐出ヘッドを主走査方向(Y方向)に移動させるヘッド移動機構28とを有する。
なお、図4に示す製版装置60において、制御部22は、インクジェットヘッド14、走査型UV照射部16、ヘッド移動機構18および搬送機構20の動作に加え、照射部移動機構24、ガム液吐出ヘッド26およびヘッド移動機構28の動作も制御する。
照射部移動機構24は、走査型UV照射部16を副走査方向(X方向)に往復移動(走査)させる、すなわち、支持台12の表面から一定距離離間した平面上を移動させるもので、ドライブスクリュー66a,66bと、ガイドレール67a,67bと、駆動支持部68a、70aと、支持部68b,70bとを有する。
また、ドライブスクリュー66aおよび66bは、それぞれ、支持部材64aおよび64bに形成された雌ねじ部(図示せず)と螺合する雄ねじ部を持つボールねじ(図示せず)等からなり、回転することにより支持部材64aおよび64bを移動させる。ガイドレール67aおよび67bは、それぞれ、支持部材64aおよび64bに形成された貫通孔に挿通され、それぞれ、ドライブスクリュー66aおよび66bの回転により移動する支持部材64aおよび64bの姿勢が変わらないように案内するガイドである。
ここで、駆動支持部68aおよび70aは、それぞれ、ドライブスクリュー66aおよび66bを駆動するモータ等の駆動源(図示せず)を備える。なお、駆動支持部68a、70aおよび支持部68b,70bは、共に、上述した図示しない製版装置筐体に支持される。
このとき、駆動支持部68aおよび70aは、それぞれ、支持部材64aおよび64bの副走査方向における位置が同一となるように、すなわち、走査型UV照射部16が副走査方向に傾くことがないように、支持部材64aおよび64bを同期して移動する。
ここで、走査型UV照射部16の移動機構としては、上記の照射部移動機構24に限定されず、種々の公知の移動機構を用いることができる。例えば、ドライブスクリュー66aおよび66bのいずれか一方をガイドレールとし、その駆動支持部を支持部として、1本のドライブスクリューのみで支持部材64aおよび64bを移動するようにしても良いし、支持部材64aおよび64bを連結して一体化された支持部材とし、走査型UV照射部16の走査ミラー44によるUV光の走査領域に開口を設け、印刷原版P上を副走査方向に移動させるようにしても良い。
また、走査型UV照射部16の搬送ローラ48aおよび48bを円筒部材として外筒とすると共に、この外筒を回転可能に支持する内筒の中心にドライブスクリューの雄ねじと螺合する雌ねじを設け、ドライブスクリューを回転させることにより、内筒と共に外筒を副走査方向に同期して移動させる一方、外筒を駆動源52によって内筒に対して回転させることにより、搬送ローラ48aおよび48bを回転させ、無端ベルト50を回転させるようにしても良い。
こうして、本実施形態では、UVランプ40から射出されたUV光を主走査方向および副走査方向の両方向に移動させることができる。このように、走査型UV照射部16および照射部移動機構24によって、UVランプ40から射出されたUV光を主走査方向に加え、副走査方向にも移動させることで、副走査方向における印刷原版Pと走査型UV照射部16(UVランプ40から射出されたUV光)との相対速度、上述したインクジェットヘッド14による描画速度、インクジェットヘッド14およびUVランプ40の種類または構造、印刷原版Pの副走査搬送速度、印刷原版Pの材料または材質、UVランプ40から印刷原版Pに照射されるUV光の光量等に応じて、距離Lを調整することができる。これにより、制御部22によって、種々の条件下で、インクジェットヘッドと走査型UV照射部16(走査UV光)との距離Lを好適範囲に調整することができる。
これにより、インクジェットヘッド14による描画(記録)速度と、走査UV光(UVランプ40)の最適な移動速度とが異なる場合も、主走査方向に移動させつつ副走査方向にも移動させることで印刷原版の各位置での照射時間を調整することもできる。つまり、印刷原版Pに対するインクジェットヘッド14による描画速度と、印刷原版Pに対する走査UV光の移動速度を異なる速度とすることができる。これにより、インクジェットヘッド14による描画(画像の記録)と走査UV光によるUVインクの硬化を好適に行うことができる。また、UVランプ40から照射されるUV光の光量を調節することなく、印刷原版Pの各位置の走査UV光の光量を調節することができる。さらに、UVランプ40は使用と共に光量が経時変化した場合でも、UVランプ40の光量に応じて移動速度を調節することで、印刷原版Pに一定光量を照射することもできる。
走査UV光の移動速度を多段階または連続的に変化させることで、印刷原版Pの各位置の光量を調節することができる。画像部の面積率または画像濃度に応じた走査UV光の移動速度、すなわちUV光の走査速度の調整や、調整割合(変速割合)や、これらの調整による印刷原版PのUVインクの硬化の適正化および効率化については、上述した走査UV光の主走査方向の移動(走査)速度場合と同様に行なえば良い。
ガム液吐出ヘッド26は、インクジェットヘッド14により画像部が形成され、UVランプ40によりUVインクが硬化された印刷原版Pの版表面に、ガム液を吐出し、印刷原版Pの版表面に、好ましくはガム液を所定のガム液吐出信号に応じて吐出し、印刷原版Pの非画像部にガム液膜を形成する。
ガム液吐出ヘッド26としては、インクジェットヘッド14と同様に種々の方式のインクジェットヘッドを用いることができる。ガム液吐出ヘッド26としては、特に、オンデマンド型のピエゾ方式またはサーマル方式を用いるインクジェットヘッドを用いることが好ましい。ここで、ガム液吐出ヘッド26は、インクジェットヘッド14よりも解像度の低いインクジェットヘッドも用いることができる。
ドライブスクリュー72およびガイドレール73は、共に、印刷原版Pの搬送方向(図1中X方向)と直交する主走査方向(図1中Y方向)と平行に、また、使用可能な最大の印刷原版Pをその左端から右端まで跨ぐように配置されている。
ドライブスクリュー72は、ガム液吐出ヘッド26に形成された雌ねじ部(図示せず)と螺合する雄ねじ部を持つボールねじ(図示せず)等からなり、回転することによりガム液吐出ヘッド26を主走査方向に移動させる。ガイドレール73は、ガム液吐出ヘッド26に形成された貫通孔に挿通され、ドライブスクリュー72の回転により移動するガム液吐出ヘッド26の姿勢が変わらないように案内するガイドである。
また、駆動支持部74aは、ドライブスクリュー72およびガイドレール73の一方の端部に、支持部74bは、それらの他方の端部に設けられ、ドライブスクリュー72を正逆回転可能な状態で支持し、ガイドレール73を移動しないように支持している。駆動支持部74aは、ドライブスクリュー72を駆動するモータ等の駆動源(図示せず)を備える。なお、駆動支持部74aおよび支持部74bは、共に、上述した図示しない製版装置筐体に支持される。
ここで、ガム液吐出ヘッド26の移動機構としては、上記のヘッド移動機構28に限定されず、ヘッド移動機構18と同様に、種々の公知の移動機構を用いることができる。例えば、ドライブスクリューをガイドレールなどの棒状部材とし、ガム液吐出ヘッドのY方向の端部の両側にそれぞれガイドワイヤをつけた構成として、移動方向のガイドワイヤを巻き取り、ガイドレールに沿って移動させる構成も用いることができる。また、ラックアンドピニオン機構を用いても良い。また、自走式としても良い。さらに、リニアモータを用いてもよい。
また、上述したように効率よくガム液を使用できる等の点で、本実施形態のようにガム液吐出ヘッドを用いることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、ロールコーター方式やスプレー方式のガム液塗布機構により、印刷原版の全面にガム液を塗布してもよい。
また、印刷原版の副走査方向において、ガム液吐出ヘッドの下流側に印刷原版に塗布されたガム液膜を乾燥させる加熱装置を設けてもよい。また、UV光が照射されたによる余熱によりガム液膜を乾燥させてもよい。
図6(a)は、本発明のインクジェット描画装置を適用する製版装置の他の実施形態の概略構成を示す模式的上面図であり、図6(b)は、図6(a)に示す製版装置の概略構成を示す模式的断面図である。
図6に示す製版装置80は、印刷原版Pを副走査搬送する搬送機構20の代わりに、インクジェットヘッド14および走査型UV照射部16を載置する走査台82およびその搬送機構84を除いて、図1〜図3に示す製版装置10と同様の構成を有するものであるので、同一の構成要素には同一の番号を付し、その詳細な説明は省略し、主に、走査台82および搬送機構84について説明する。
なお、図6に示す製版装置80において、制御部22は、インクジェットヘッド14、走査型UV照射部16、ヘッド移動機構18および搬送機構84の動作を制御する。
ヘッド移動機構18の駆動支持部36aおよび支持部36bは、走査台82上に取り付られる。また、走査型UV照射部16の搬送ローラ48aおよび48bの回転軸がそれぞれその両側から走査台82上に設けられた支持脚62a,62bおよび63a,63bに回転可能に支持される。なお、支持脚62a,62bおよび63a,63bは、図4に示す製版装置60において用いたものと同様なものを用いることができる。
このため、走査台82は、インクジェットヘッド14の主走査方向の移動(走査)領域には、開口82aが穿たれ、走査型UV照射部16の走査ミラー44の主走査方向の移動(走査)領域、すなわち、UV光の主走査領域には、開口82bが穿たれている。
なお、ガイドレール88a、88bおよびドライブスクリュー90は、使用される印刷原版Pの副走査方向の最大長さ以上の長さを持つのが良い。ドライブスクリュー90は、その両端が図示しない2つの支持脚によって回転可能に支持され、図示しない駆動源(モータ)によって回転駆動される。これらの支持脚は、ベース86aまたは図示しない製版装置本体に固定される。また、支持脚92aおよび車輪94aの組と、支持脚92bおよび車輪94bの組とは、走査台82の裏面側に副走査方向に沿ってそれぞれ2組以上設けられるのが好ましい。
こうして、製版装置80では、支持台12上に固定されている印刷原版Pに対して、インクジェットヘッド14および走査型UV照射部16が載置された走査台82を副走査方向(X方向)に移動させつつ、インクジェットヘッド14および走査型UV照射部16の走査ミラー44(UV光)を主走査方向(Y方向)に移動させることで、印刷原版Pの全域に画像部を形成し、さらに、印刷原版P上に形成された画像部にUV光を照射して、UVインクを硬化させることができる。
このように、インクジェットヘッドおよび走査型UV照射部16を一体として副走査方向に移動させつつ、描画およびインク硬化を行うことで印刷版を作製することができる。
このようにすれば、走査台82上に載置されている走査型UV照射部16を照射部移動機構24によりインクジェットヘッド14に対して副走査方向に移動させることでインクジェットヘッド14と走査型UV照射部16との間の距離Lを調整することができる。
さらに、インクジェットヘッド14および走査型UV照射部16に加え、ガム液吐出ヘッド26およびヘッド移動機構28をも一体化することにより、印刷原版P上に画像部を適正に形成するのみならず、画像部が適正に形成された印刷原版または印刷版上、特に好ましくは、非画像部に選択的に、版面保護のためのガム液を塗布し、ガム液膜を形成することができる。
図7は、インクジェットヘッド14の外観の概略構成を示す斜視図であり、図8は、インク吐出ヘッド14の1つのノズル14aの周辺部の概略構成を示す断面図である。
ノズル14aは、絶縁性材料からなり、先端部分に200μm以下の径の開口部を備える円柱形状を有する。また、ノズル14a内には、UVインクが充填されている。ノズル14aに充填されたインクは、その一部は開口部から突出し、半球状あるいはコーン状のメニスカスを形成している。なお、本実施形態では、ノズルを円柱形状としたが、本発明はこれに限定されず、直方体形状としてもよい。
ここで、ノズル14aの開口部は、表面エネルギーの高い材料、例えばテフロン(登録商標)等で形成することが好ましい。ノズル14aの開口部を表面エネルギーの高い材料で形成することで、開口部からインクが濡れ広がることを防止できる。インクの濡れ広がりを防止することで、メニスカス形状が不安定になることや、電源OFF時に汚れとして残存し、後の記録に悪影響を与えること等を防止できる。
さらに、UVインク室には、加熱手段を設けUVインクの温度を所定温度に維持することが好ましい。
記録電極14bに制御部から第1吐出信号に応じた所定電圧を印加することで、ノズル14aの先端部分の開口部から液滴が吐出される。
また、記録電極14bのノズル14a先端からの距離は、特に制限はない。例えば、本実施形態では、印加電圧を変化させずに、記録電極14bの位置をノズル14a先端から離していった場合に、ノズル14a先端から10cm以上離れた位置に記録電極を配置した場合でも、好適に液滴を吐出することができる。
圧電素子14cは、ノズル14aの記録電極よりもインク流れ上流側の外壁面に配置されている。圧電素子14cは、ピエゾ素子等を用いるものであり、記録電極14bへの電圧印加と同期してノズル内に充填されたUVインクを加圧する。このように圧電素子14cを用いて加圧することで、より安定した記録を行うことができる。
ノズル14aは、インク室からUVインクが加圧供給され、ノズル14aの先端の開口部には、UVインクのメニスカスが形成される。
このようにして、第1吐出信号に応じて、記録電極14bに印加する電圧を制御し、印刷原版P上にUVインクのドットを形成して画像部を形成する。
インクジェットヘッドには、ヒーター等でヘッド全体を調温加熱してインクの粘度を低減させて吐出しやすくする方法も用いられる。
本発明が適用される製版装置に好適に用いることができる印刷原版は、適切な支持体(基材)に特定のインク受容層を形成することで得られるが、この作製に使用される支持体(基材)としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように、本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための、例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
アルミニウム板は、陽極酸化処理などの表面処置が施された後、さらに、親水化処理が
施される。親水化処理には、シリケート処理、ゾルゲル処理等がある。
本発明の製版装置に好適に用いることができる印刷原版の第1の態様としては、塗布量が2.0〜25mg/m2のシリケート層を有することを特徴とする。このシリケート層は、シリケート処理により形成される。
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,181,461号明細書に記載されている方法および手順に従って行うことができる。アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
X線管球 :Rh
測定スペクトル :Si−Kα
管電圧 :50kV
管電流 :50mA
スリット :COARSE
分光結晶 :RX4
検出器 :F−PC
分析面積 :30mmφ
ピーク位置(2θ) :144.75deg.
バックグランド(2θ) :140.70deg.,146.85deg.
積算時間 :80秒/sample
また、前記シリケート層からなる親水性層に換えて、インク受容層形成に先立ち、ゾルゲル構造を含有する親水性層表面を設けることも好ましい。
つまり、支持体(基材)上に、インク受容層を形成するのに先立って、ゾルゲル親水性層を設けて印刷原版を作製してもよい。支持体基材としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
<親水性バインダー>
本発明においてゾルゲル親水性層は、親水性バインダーを含む。親水性バインダーは、金属水酸化物と金属酸化物との系からなるゾルゲル変換性材料であることが好ましく、その中でもポリシロキサンのゲル組織を形成する性質を有するゾルゲル変換系が最も好ましい。
結着剤は親水性層の構成成分の分散媒として作用し、層の物理的強度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上など、種々の目的に適う構成となっている。
親水性バインダーは、親水性層の全固形分に対して、30質量%以上であることが好ましく、さらには35質量%以上であることが好ましい。30質量%以下では親水性層が十分な耐水性および耐磨耗性を得ることができない。
すなわち、多価元素から出ている結合基が酸素原子を介して網目状構造を形成し、同時に多価金属は未結合の水酸基やアルコキシ基も有していてこれらが混在した樹脂状構造となっている高分子体であって、塗布前のアルコキシ基や水酸基が多い段階ではゾル状態であり、塗布後、エステル結合化が進行するのに伴って網目状の樹脂状構造が強固となり、ゲル状態になる。また、樹脂組織の親水性度が変化する性質に加えて、水酸基の一部が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持っている。ゾルゲル変換を行う水酸基やアルコキシ基を有する化合物の多価結合元素は、アルミニウム、珪素、チタンおよびジルコニウムなどであり、これらはいずれも本発明に用いることができるが、以下はもっとも好ましく用いることのできるシロキサン結合によるゾルゲル変換系について説明する。アルミニウム、チタンおよびジルコニウムを用いるゾルゲル変換は、下記の説明の珪素をそれぞれの元素に置き換えて実施することができる。
一般式(II)中、R0は、水酸基、炭化水素基またはヘテロ環基を表わす。Y1は、水素原子、ハロゲン原子、−OR11、−OCOR12、または、−N(R13)(R14)を表す(R11、R12は、各々炭化水素基を表し、R13、R14は同じでも異なってもよく、水素原子または炭化水素基を表す)。nは、0、1、2または3を表わす。
ルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、n−へキシルトリエトキシシラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−へキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
さらに、ゾルゲル構造を含有する親水性層には、画像部の硬化皮膜強度向上および非画像部の機上現像性向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、親水性層中に安定に分散して、膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、親水性層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
前記ゾルゲル親水性層は、必要な上記各成分を溶剤に分散、または溶かして塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明に係るゾルゲル親水性層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
本発明の製版装置に好適に用いることのできる印刷原版として、上述したように、前記シリケート層或いはゾルゲル親水性層から選択される親水性層の表面に、インク受容層を設けることが好ましい。インク受容層は、1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物を1.0〜50.0mg/m2含む層であるか、又は、1分子当たり5個以上のフッ素原子を有する有機フッ素化合物を1.0〜50mg/m2と、親水性樹脂を1.0〜50.0mg/m2と、を含む層である。
これらのインク受容層は、支持体上に予め設けられた、シリケート層からなる親水性層又はゾルゲル構造を含有する親水性層表面に設けられる。
〔フッ素原子を5個以上有する有機フッ素化合物〕
インク受容層成分としては、有機フッ素化合物はフッ素原子数が1分子当たりあるいは高分子化合物の場合には1構成単位当たり5個以上とすることが好ましい。5個以上とすることで、インク滲み抑制効果が好適に得ることができる。有機フッ素化合物は水溶性であることが好ましく、また界面活性作用がある化合物が好ましい。
本発明に係る好ましいフッ素系化合物は、一般式 RF−Rpol で表される。式中、RFは炭素原子3個以上の直鎖または分枝鎖のペルフルオロアルキル基を表し、Rpolはカルボン酸あるいはその塩、スルホン酸あるいはその塩、燐酸あるいはその塩、ホスホン酸あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、4級アンモニウム塩、ポリエチレンオキシ骨格、ポリプロピレンオキシ骨格、スルホンアミド基、エーテル基、ベタイン構造などの極性基を表す。これらの中でスルホキシル基あるいはその塩の構造を有するものがシリケートと相互作用しにくく機上現像されることより好ましい。また、RFはCnF2n+1CmH2mCOO−骨格を有するものがインク滲みを抑制する観点より特に好ましく、1分子中に2つ以上のCnF2n+1CmH2mCOO−骨格を有するものがさらに好ましい。ここでnは2以上の整数、mは1以上の整数である。
以下に、本発明に好ましく用いられるフッ素系化合物の具体例〔(F−1)〜(F−19)〕を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
高分子フッ素系界面活性剤の具体例としては、フルオロ脂肪族基を有するアクリレートまたはフルオロ脂肪族基を有するメタクリレートと、ポリ(オキシアルキレン)アクリレートまたはポリ(オキシアルキレン)メタクリレートとの共重合体が挙げられる。該共重合体において、フルオロ脂肪族基を有するアクリレートまたはメタクリレートのモノマー単位が共重合体の質量に基づいて7〜60質量%であることが好ましく、また、該共重合体の分子量は3000〜100000が適当である。
販売されている製品としては、旭硝子(株)製サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S―131、S−141、S−145、S−381、S−382、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−110、F120、F−142D、F−150、F−171、F177、F781、住友3M(株)製フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC135、FX−161、FC170C、FC−171、FC176、バイエルジャパン(株)製FT−248、FT−448、FT−548、FT−624、FT−718、FT−738等が挙げられる。
これらの有機フッ素化合物と親水性樹脂をブレンドし、インク受容層とすることができる。親水性樹脂と併用することにより、汚れにくさとインク滲み抑制をさらに改良することができる。この場合の有機フッ素化合物は1.0〜50mg/m2、好ましくは2.0
〜10mg/m2の範囲であり、親水性樹脂は1.0〜50mg/m2、好ましくは2.0〜20.0mg/m2の範囲である。親水性樹脂を併用することにより非画像部領域の撥インク性が一層向上する。
親水性樹脂としては、水溶性樹脂であれば問題ないが、特にカルボン酸あるいはその塩を有する水溶性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、アクリルあるいはメタクリルポリマーあるいはその共重合体、スルホン酸基あるいはその塩を有するアクリル、メタクリル、ビニル、スチレン系親水性樹脂、ポリアクリルアミドあるいはポリビニルピロリドンなどアミド基含有する親水性樹脂、アミノ基を有する親水性樹脂、リン酸あるいはその塩を有する親水性樹脂、例えば、特開昭62−097892号公報に記載されているリン酸変性デンプンも挙げられる。
また特開2005−125749公報記載のエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体も好ましい。
これらの中で、特にスルホン酸塩骨格を有するポリマーが特にインク滲みを抑制し、かつ汚れ難くする点で好ましい。
印刷時の汚れ抑制の観点から、基板への水の接触角(空気中で基板に水を0.8μlゆっくりと滴下し、10秒後の接触角を測定する)が8°以下になると印刷時の汚れが抑制される。
また、インク滲み抑制の観点から印刷原版とUVインクとの組合せは、印刷原版へのUVインクの接触角(空気中で基板にインクを0.8μlゆっくりと滴下し、10秒後の接触角を測定する)が30°以上となる組み合わせにすることが好ましい。これにより、インク滲みが抑制される。
12 支持台
14 インクジェットヘッド
16 走査型紫外線(UV)照射部
18,28 ヘッド移動機構
20,84 搬送機構
22 制御部
24 照射部移動機構
26 ガム液吐出ヘッド
30 送りローラ
32 抑えローラ
34,66a,66b,72,90 ドライブスクリュー
35,67a,67b,73,88a,88b ガイドレール
36a,68a、70a,74a 駆動支持部
36b,68b,70b,74b 支持部
40 紫外線(UV)ランプ
42 リフレクタ
44 走査ミラー
46 ミラー移動機構
48a,48b 搬送ローラ
50 無端ベルト
50a,50b ベルト部
52 駆動源(モータ)
54 照明窓
56a,56b 鏡面板
62a,62b,63a,63b,92a,92b 支持脚
64a,64b 支持部材64b
82 走査台
82a,82b 開口
86a,86b ベース
94a,94b 車輪
96 トラベリングナット
Claims (14)
- シート状画像記録媒体にインクジェット記録方法により画像を記録するインクジェット描画装置であって、
前記画像記録媒体を支持する支持台と、
前記支持台に対向して配置され、前記支持台上に載置された前記画像記録媒体上に像様に光硬化型インクをインク液滴として吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドを主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、
前記支持台に対向して、前記インクジェットヘッドに対して所定距離離間するように前記画像記録媒体の搬送下流側に配置され、前記画像記録媒体に活性光線を前記主走査方向に走査して照射し、前記画像記録媒体上に吐出された前記光硬化型インクを硬化させる走査型活性光照射部と、
前記画像記録媒体を前記主走査方向と略直交する副走査方向に前記インクジェットヘッドに対して相対的に搬送する搬送機構とを有し、
前記走査型活性光照射部は、
前記活性光を射出する点状または略点状の活性光光源と、
該活性光光源から射出された前記活性光を前記支持台に支持された前記画像記録媒体の記録面に平行な平行光として生成する平行光生成手段と、
該平行光生成手段によって生成された前記平行光を前記画像記録媒体側に反射させるとともに、前記主走査方向に移動可能な走査ミラーと、
該走査ミラーを前記主走査方向に移動させるミラー移動機構と有するものであることを特徴とするインクジェット描画装置。 - 前記ミラー移動機構は、
前記画像記録媒体の前記主走査方向の両外側に配置される2つの搬送ローラと、
これらの2つの搬送ローラに張架され、前記走査ミラーが所定角度傾斜させて取り付けられる無端ベルトと、
この無端ベルトの前記画像記録媒体側のベルト部において、前記走査ミラーの取り付け位置に隣接して形成され、前記走査ミラーによって反射された照射光を透過させる照射窓とを有する請求項1に記載のインクジェット描画装置。 - 前記走査型活性光照射部は、さらに、前記無端ベルトの前記副走査方向の両側に配置される、互いに対向する内側部分が鏡面をなす2つの鏡面板を有し、
前記平行光生成手段は、該活性光光源から射出された前記活性光を矩形断面形状の前記平行光として射出する前記矩形断面形状の射出口を持つリフレクタを有し、
前記活性光光源および前記リフレクタは、前記無端ベルトの平行な2つのベルト部間、かつ前記画像記録媒体の前記主走査方向の外側に配置され、
前記無端ベルトの平行な2つのベルト部の互いに対向する内側部分は鏡面をなし、
前記走査ミラーは、前記2つのベルト部の内の前記支持体側のベルト部の内側に前記所定角度傾斜させて取り付けられ、
前記照射窓は、前記支持体側のベルト部の、前記走査ミラーによって反射された照射光を透過させる位置に形成され、
前記無端ベルトの平行な2つのベルト部間および前記2つの鏡面板間によって、前記リフレクタの前記射出口から射出される前記矩形断面形状の平行光を導波する矩形断面形状の導波路が形成される請求項2に記載のインクジェット描画装置。 - 前記無端ベルトは、前記2つのベルト部の互いに対向する内側部分が鏡面であるステンレスベルトである請求項3に記載のインクジェット描画装置。
- さらに、前記走査型活性光照射部を前記インクジェットヘッドに対して前記副走査方向に相対的に移動させる照射部移動機構と、
前記走査型活性光照射部と前記インクジェットヘッドとを前記所定距離以上離間するように、前記照射部移動機構、または前記ヘッド移動機構および前記照射部移動機構を制御する制御部とを有する請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット描画装置。 - 前記搬送機構は、前記画像記録媒体を前記副走査方向に搬送する機構である請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット描画装置。
- 前記搬送機構は、前記インクジェットヘッド、前記ヘッド移動機構および前記走査型活性光照射部を載置して、一体として副走査方向に移動させる機構である請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット描画装置。
- 前記所定距離は、前記活性光光源による熱の影響が前記インクジェットヘッドによる描画に影響を及ぼさない距離である請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット描画装置。
- 前記所定距離は、前記インクジェットヘッドによる描画速度と、前記インクジェットヘッドおよび前記活性光光源の種類または構造と、前記画像記録媒体の前記インクジェットヘッドに対する相対的な副走査方向の搬送速度、前記画像記録媒体の材料または材質と、前記活性光光源から照射される活性光の光量との少なくとも1つに応じて決定される請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット描画装置。
- 前記画像記録媒体は、平版印刷版である請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット描画装置。
- 前記画像記録媒体は、平版印刷原版であり、
さらに、前記インクジェットヘッドによって描画された前記印刷原版上に版面保護液を吐出する版面保護液吐出ヘッドを有する請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェット描画装置。 - 主走査方向に移動するシリアルタイプのインクジェットヘッドによって光硬化型インクを用いて、前記主走査方向と直交する副走査方向に相対的に搬送されるシート状画像記録媒体に直接画像を形成するインクジェット記録方法であって、
前記インクジェットヘッドによって前記光硬化型インクをインク液滴として像様に吐出して直接描画し、
前記インクジェットヘッドによる描画位置から前記画像記録媒体の副走査搬送下流側に所定距離離間した後方位置において、静止した点状または略点状の活性光光源からの活性光を、前記主走査方向に走査移動する走査ミラーによって前記画像記録媒体上に照射し、
前記画像記録媒体上に像様に吐出された前記光硬化型インクを硬化させて、前記画像を形成することを特徴とするインクジェット描画方法。 - 前記所定距離は、前記活性光光源による熱の影響が前記インクジェットトヘッドによる描画に影響を及ぼさない距離である請求項12に記載のインクジェット描画方法。
- 前記所定距離は、前記インクジェットヘッドによる描画速度と、前記インクジェットヘッドおよび前記活性光光源の種類または構造と、前記画像記録媒体の前記インクジェットヘッドに対する相対的な副走査方向の搬送速度、前記画像記録媒体の材料または材質と、前記活性光光源から照射される活性光の光量との少なくとも1つに応じて決定される請求項12または13に記載のインクジェット描画方法。
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