以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の通話装置10aを用いるシステム構成は、図13に示すように建物内の適所において埋め込み配設している1乃至複数のスイッチボックス2を設け、各スイッチボックス2間に壁面内に先行配線した電力線L1と、情報線L2とを送り配線するとともに、始端のスイッチボックス2に対しては、配線盤1内の主幹ブレーカMBと分岐ブレーカBBとを介して屋内に引き込まれた電力線L1を導入し、また外部のインターネット網NTにゲートウェイGW(ルータ、ハブ内蔵)を介して接続されている情報線L2を導入してある。ここでスイッチボックス2には室内の天井面のようなハイポジションHPに設けられるものと、壁スイッチ等で推奨される高さ位置(ミドルポジションMP)に設けられるものと、足元付近(ローポジションLP)に設けられるものとに区分される。
これらのスイッチボックス2は、例えばJISで規格化された大角形の1個モジュール寸法の埋め込み型の配線器具が3個取り付けることができる1連の取付枠4(図14参照)に対応して規格化されたスイッチボックスからなり、図2に示すように上部から配線盤1または他のスイッチボックス2から送り配線されてくる電力線L1及び情報線L2を導入するとともに、下部からは他のスイッチボックス2へ送り配線するための電力線L1及び情報線L2を導出している。そして各スイッチボックス2には基本機能モジュール8を接続するゲート装置3のボディを夫々取付枠4により取り付けてある。
この取付枠4は図14に示すように中央に器具取り付け用の窓孔4aを設けてあって、この窓孔4aに取り付け対象の器具本体の前部を背方から嵌め、左右両側の枠片に設けた係止手段に器具本体の両側に設けた被係止部を係止させて器具本体を固定するようになっている。そして上下枠片に設けた取付孔4bに挿通する取り付けねじ(図示せず)をスイッチボックス2のねじ孔(図示せず)に締結することで、器具本体ごとスイッチボックス2に取り付けられる。またスイッチボックス2を用いず、埋め込み孔を開口した壁パネルに取り付ける場合には所謂挟み金具で壁パネルを挟持させて取り付けたり、木ねじを用いて取り付けることもできるようになっている。
ゲート装置3は図15に示すようにボディ背面部に速結端子構造の接続端子部5a,5b及び送り配線用の接続端子部5a’、5b’を設け、夫々に対応する電力線L1、情報線L2を接続するようになっている。またボディ前面部には、送られてきた電力線L1と電気的に接続されている接触部を備えた電力路接続口6Aと、送られてきた情報線L2と電気的に接続されている情報路接続口6Bとを有しモジュール化した接続口6を図14に示すように備えている。
これら接続口6A,6Bは両者間の間隔及び内部の接触部の配列、開口部の形状等がシステムとして規格化されており、このゲート装置3のボディ前面部を覆うようにスイッチボックス2の前面開口側に取り付ける図16に示す基本機能モジュール8の背面部に設けたコネクタ7の被接続部7A、7Bが各接続口6A,6Bに着脱自在に結合されるようになっている。
基本機能モジュール8は、後述する拡張機能モジュール10とで機能装置を構成するもので、図16,図17(a)に示す合成樹脂製(ABS等の非結晶性汎用プラスチック)で扁平なモジュール本体8A内に図19に示す回路を内蔵しているもので、背面部のコネクタ7の被接続部7A,7Bをゲート装置3の接続口6A,6Bに結合させることで、スイッチボックス2の前面開口を覆うとともに、周部のフランジをスイッチボックス2の前面開口周辺の壁面に重ねた状態となり、その状態で上、下部の中央に穿孔している取付孔80に取り付けねじ(図示せず)を前面部側から挿通させて取付枠4の上下枠に設けたねじ孔4cに螺入締結することでスイッチボックス2に取付枠4を介して取り付けられる。
またモジュール本体8Aの前面部には、上、下の取付孔80の開口位置より上または下側位置において、図17(a)に示すようにモジュール本体8Aの幅方向に幅広溝81aと幅狭溝81bとからなる連結用溝部81を中央の仕切壁82で左右に二分されるように形成している。
この仕切壁82の左側または右側の連結用溝部81には図17(b)に示す合成樹脂製の連結体100の片側半分を仕切壁82に当たる位置まで嵌め込み、この連結体100の残り半分を図18に示すように拡張機能モジュール10側に同様に設けてある連結用溝部81に嵌め込むことで、基本機能モジュール8と拡張機能モジュール10とを機械的に結合できるようになっている。連結体100は背面に幅広溝81a,幅狭溝81bを仕切る仕切壁81cが嵌る溝100aを設け、両溝81a、81bに跨るように挿入される。そして基本機能モジュール8では前面部側から化粧カバー8Bを着脱自在に被着することで、また拡張機能モジュール10では蓋部83を閉じることで、両者の連結用溝部81に跨るように嵌め込んである連結体100が脱落しないように保持して連結状態を維持するようになっている。而して連結体100と連結用溝部81とが基本機能モジュール8と拡張機能モジュール10との連結手段を構成する。
本実施形態の配線システムでは、機能によって複数の種類の基本機能モジュール8が準備されており、基本機能モジュール8は、図19に示すように、被接続部7Aを介して供給される商用電源ACを、安定した直流電圧からなる内部回路の動作電源+Vに変換するAC/DCコンバータ21と、被接続部7Bを介して接続される情報線L2を通じて双方向に伝送される情報信号を送受信する通信伝送部22と、被接続部7Aを介して商用電源ACに接続される電源用コネクタ9A,9A’と、通信伝送部22、被接続部7Bを介して情報線L2に接続される情報用コネクタ9B,9B’と、通信伝送部22で受信される情報信号からデータを取り込んで処理を行うとともに、当該基本機能モジュール8から他の基本機能モジュール8あるいは拡張機能モジュール10宛、、あるいは情報線L2を介してデータを送る場合のデータ生成処理を行う演算処理部23と、I/Oインターフェース24を介して演算処理部23との間でデータの授受を行って動作する機能部25とから構成され、これら各部は動作電源+Vを前記のAC/DCコンバータ21から供給されるのである。この機能部25の構成が基本機能モジュール8によって異なるのである。
基本機能モジュール8のモジュール本体8Aの両側側面の一方側は雄型の電源用コネクタ9A、情報用コネクタ9Bを、他方側には雌型の電源用コネクタ9A’、情報用コネクタ9B’を設けている。そして、これら電源用コネクタ9A,9A’の接触片に被接続部7Aの接触片を内部で接続することで、左右何れの方向に拡張機能モジュール10が連結されても商用電源ACを供給することができるようにしている。さらに、情報用コネクタ9B,9B’の接触片に通信伝送部22の入出力を接続することで、左右何れの方向に拡張機能モジュール10が連結されても情報信号の授受を行えるようにしている。なお、上記電源用コネクタ9A,9A’は、モジュール本体8Aの両側側面において一端側に偏倚して配置され、上記情報用コネクタ9B,9B’は、モジュール本体8Aの両側側面において他端側に偏倚して配置される。
これら電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’は、内部の接触部の配列、開口部の形状等がシステムとして規格化され、さらには同一面に配置された電源用コネクタと情報用コネクタとの間隔もシステムとして規格化されており、拡張機能モジュール10の後述する電源用コネクタ11A,11A’、情報用コネクタ11B,11B’が着脱自在に結合されるようになっている。
次に、本実施形態の配線システムでは、電力供給を受けて動作する機能によって複数の種類の拡張機能モジュール10が準備されており、拡張機能モジュール10は図20に示すように、電源用コネクタ11A,11A’と、情報用コネクタ11B,11B’と、電源用コネクタ11A,11A’いずれか一方を介して供給される商用電源ACを、安定した直流電圧からなる内部回路の動作電源+Vに変換するAC/DCコンバータ31と、情報用コネクタ11B,11B’を介して双方向に伝送される情報信号を送受信する通信伝送部32と、通信伝送部32で受信される情報信号からデータを取り込んで処理を行うとともに、当該拡張機能モジュール10から基本機能モジュール8あるいは他の拡張機能モジュール10宛、あるいは情報線L2を介してデータを送る場合のデータ生成処理を行う演算処理部33と、I/Oインターフェース34を介して演算処理部33との間でデータの授受を行って動作する機能部35とから構成され、これら各部は動作電源+Vを前記のAC/DCコンバータ31から供給されるのである。この機能部35の構成が拡張機能モジュール10によって異なるのである。
そして、拡張機能モジュール10は、基本的には図21(a)に示すようにモジュール本体10Aの高さ寸法を基本機能モジュール8と同じ高さ寸法に規格化され、また横幅寸法も規格化された単位モジュール寸法の整数倍に規格化されている。
また、合成樹脂製(ABS等の非結晶性汎用プラスチック)で扁平なモジュール本体10Aの両側側面の一方側は雄型の電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bを、他方側には雌型の電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’を設けている。上記電源用コネクタ11A,11A’は、モジュール本体10Aの両側側面において一端側に偏倚して配置され、上記情報用コネクタ11B,11B’は、モジュール本体10Aの両側側面において他端側に偏倚して配置される。これら電源用コネクタ11A,11A’、情報用コネクタ11B,11B’は、基本機能モジュール8の電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’と同様に、内部の接触部の配列、開口部の形状等がシステムとして規格化され、さらには同一面に配置された電源用コネクタと情報用コネクタとの間隔もシステムとして規格化されており、基本機能モジュール8の電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’、あるいは他の拡張機能モジュール10の電源用コネクタ11A,11A’、情報用コネクタ11B,11B’が着脱自在に結合されるようになっている。
具体的には、雄型の電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bは、基本機能モジュール8の雌型の電源用コネクタ9A’、情報用コネクタ9B’、あるいは他の拡張機能モジュール10の雌型の電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’に接続し、雌型の電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’は、基本機能モジュール8の雄型の電源用コネクタ9A、情報用コネクタ9B、あるいは他の拡張機能モジュール10の雄型の電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bに接続する。
そして、モジュール本体10A内ではこれら電源用コネクタ11A,11A’の接触片を互いに接続しており、片側の電源用コネクタが隣接する基本機能モジュール8または拡張機能モジュール10の電源用コネクタに嵌合して電力を受け取る側(受電口)となると、他方の電源用コネクタが電力供給側(給電口)となる。
さらに、情報用コネクタ(情報授受口)11B,11B’の接触片に通信伝送部32の入出力を接続することで、左右何れの方向に基本機能モジュール8や、他の拡張機能モジュール10が連結されても情報信号の授受を行えるようにしており、両側に隣接する基本機能モジュール8または拡張機能モジュール10との間で情報信号を授受できるようになっている。
また、拡張機能モジュール10のモジュール本体10Aの形状は、背面を図21(b)、(c)に示すように平坦な面に形成して壁面に沿わせることができるようにしている。そして上下位置には上述の連結体100を基本機能モジュール8と同様に挿入するための幅広溝81a、幅狭溝81bからなる連結用溝部81を設けるとともに、この連結用溝部81を開閉する蓋部83を設け、連結体100を装着する際や外す場合にはこの蓋部83を開き、連結体100の装着状態を保持する際には上述したように閉じるようになっている(図21(c)参照)。
次に、拡張機能モジュール10の1つの形態である本実施形態の通話装置10aについて、以下説明する。図3に示すように、通話装置10aは、拡張機能モジュール10と同様に、AC/DCコンバータ31、通信伝送部32、演算処理部33、I/Oインターフェース34、機能部35がモジュール本体10A内に収納され、モジュール本体10Aの両側側面の一方側は雄型の電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bを、他方側には雌型の電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’を設けている。
モジュール本体10A内には図4に示すように、機能部35として、スピーカSP、マイクロホンM1,M2、通話スイッチSW1、警報解除スイッチSW2、増幅部35a、信号処理部35h、エコーキャンセル部35c,35dを備える。他の部屋等から情報線L2を介して送信された音声信号は、エコーキャンセル部35dを介して増幅部35aで増幅された後、スピーカSPから出力される。また、通話スイッチSW1を操作することで通話可能状態となり、マイクロホンM1,M2から入力された各音声信号は信号処理部35hで後述する信号処理を施された後、エコーキャンセル部35cを通過し、情報線L2を介して他の部屋等へ送信される。すなわち、部屋間で双方向の通話が可能なインターホンとして機能するものである。
また、当該通話装置10aが配置された部屋内に設置されているセンサ機能を有する基本機能モジュール8あるいは拡張機能モジュール10、あるいは他の部屋から情報線L2を介して警報信号が送信された場合、スピーカSPから警報音を発するが、警報解除スイッチSW2を操作することで警報音出力を解除することができる。
以下、スピーカSPの構成について説明する。図5(a)はスピーカSPの一部破断した背面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A’断面図である。スピーカSPは、ネオジウムで形成された円筒形の永久磁石70(例えば、残留磁束密度1.39T〜1.43T)と、永久磁石70の一端面上に同心に配置される冷間圧延鋼板(SPCC,SPCEN)、電磁軟鉄(SUY)等の厚み0.8mm程度の鉄系材料で形成された円形の磁性体71とを具備し、磁性体71は永久磁石70の内周面に対向するリブ71aを形成している。永久磁石70の内周面とリブ71aとの間にはクラフト紙の紙管にポリウレタン銅線(例えば、φ0.05mm)を巻回することによって形成されたボイスコイル72が配置される。
永久磁石70,磁性体71はアセタール樹脂等の合成樹脂からなる円筒状のケース73内に収納され、永久磁石70の外周面はケース73の内周面に当接し、磁性体71の外周面は、ケース73の内周面の一端に設けた切り欠き部73aに嵌合する。ケース73を合成樹脂等の非磁性体材料で形成することで、磁性体材料で形成したケースに比べて、永久磁石70,磁性体71の外周面からの漏れ磁束を低減できる。
ケース73の内周面の他端には切り欠き部73bが設けられ、切り欠き部73bの端面にはドーム型の振動板74の外周側の縁部が固定されている。
振動板74は、PET(PolyEthyleneTerephthalate)またはPEI(Polyetherimide)等の熱可塑性プラスチック(例えば、厚み12μm〜35μm)で形成される。振動板74の背面には筒状のボビン75が固定されており、このボビン75の後端にはボイスコイル72が設けられている。ボビン75およびボイスコイル72は、ボイスコイル72がリブ71aの端部に位置するように設けられており、リブ71aの端部近傍を前後方向に自在に移動する。なお、振動板74の背面には、剛性向上のためにタンデンシャル形状のリブ74aが形成されている。
ボイスコイル72のポリウレタン銅線に音声信号を入力すると、この音声信号の電流と永久磁石70の磁界とにより、ボイスコイル72に電磁力が発生するため、ボビン75が振動板74を伴なって前後方向に振動させられる。このとき、振動板74から音声信号に応じた音が発せられる。すなわち、動電型のスピーカSPが構成される(例えば、直径20〜25mm,厚さ4.5mm程度)。
ここで、振動板74に強い加振力を与えるためには、支点である振動板74の外縁部からできるだけ遠い位置(振動板74の中心寄り)にボビン75を接続すればよい。本スピーカSPでは、ボイスコイル72が永久磁石70の内面側に配置されるので、ボビン75は振動板74の中心寄りに接続しており、振動板74に加振力を効率よく与えることができる。
また、スピーカSPは、円形の磁性体71のリブ71aの内周側に軸方向に挿通する排気孔76を形成しており、振動板74の背面を外部に連通させている。この排気孔76は、円形の磁性体71の中心の周囲に円環状に複数形成される。この排気孔76を介して、振動板74の振動時にスピーカSP内の排気を行うことで、振動時の気圧変化によるスピーカSPのストレスを低減させることができる。
また、円形の磁性体71の中心には振動板74に向かって突出する凸部71bが形成され、凸部71bには軸方向に凹部71cが設けられている。この凹部71cは、マイクロホンM1を振動板74の背面に対向して収納するマイクロホン収納部を構成する。
上記スピーカSPは、モジュール本体10Aの前面内側にねじによる締結等によって取り付けられる(図1(a)(b)参照)。
次に、マイクロホンM1,M2の構成について説明する。マイクロホンM1,M2はコンデンサ型のシリコンマイクロホンからなり、その音響信号−電気信号変換部は図6(a)(b)に示す構成を備える。基板57上に形成されたシリコン基板からなる下部電極51と、振動部分53cと、振動部分53cの外周の4箇所に延設された支持部分53bとからなり、ポリシリコン膜によって形成される上部電極53と、下部電極51と上部電極53との間に形成された空洞54aと、下部電極51と上部電極53との間に配置されたSiN膜からなる絶縁層52とから構成されている。なお、絶縁層52は、上部電極53の振動部分53cのほぼ直下と、下部電極51に端子を接続するための領域とに開口を有する以外は、下部電極51のほぼ全面を被覆している。また、振動部分53cにおいて複数個の小孔53aが形成されている。また、周辺部に下部電極51と接続されたAu/TiW膜からなる端子55と、支持部分53b上に上部電極53と接続されたAu/TiW膜からなる端子55が形成されている。上記のように構成されたマイクロホンM1,M2は、パッケージを用いずに直接ICチップを基板57上に実装したベアチップ構造を有しており、マイクロホンM1,M2の薄型化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、図6(b)に示すように、振動部分53cの略中央に対向する下部電極51、基板57に挿通孔56を設けて、空洞54aを外部に連通させて、振動部分53cの振動時の排気孔として用いる。
そして、外部から音響に対応する振動が加わると、振動膜である上部電極53が振動し、下部電極51との距離が変化する。これにより、両電極51、53の静電容量が変化し、電荷量が変化して、この電荷量の変化に伴って両電極51、53から電流が流れる。
両電極51、53から流れる電流は、チャージポンプ回路、例えば図7に示す回路によって電圧に変換されて音声信号として信号処理部35hに出力される。なお、図7中ではマイクロホンM1,M2の上記音響信号−電気信号変換部を各々Cm1,Cm2で示す。マイクロホンM2は、AC/DCコンバータ31(図4参照)が出力する動作電源+V(例えば5V)を定電圧Vr(例えば12V)に変換するチップICからなる定電圧回路K1を備えており、マイクロホンM1内においては、抵抗R11と音響信号−電気信号変換部Cm1との直列回路に定電圧Vrが印加され、抵抗R11と音響信号−電気信号変換部Cm1との接続中点はコンデンサC11を介してジャンクション型のJ−FET素子S11のゲート端子に接続される。J−FET素子S11のドレイン端子は動作電源+Vに接続され、ソース端子は抵抗R12を介してグランドに接続される。ここで、J−FET素子S11は電気インピーダンスの変換用であり、このJ−FET素子S11のソース端子の電圧が音声信号として信号処理部35hに出力される。
マイクロホンM2内においても同様に、抵抗R21と音響信号−電気信号変換部Cm2との直列回路に定電圧Vrが印加され、抵抗R21と音響信号−電気信号変換部Cm2との接続中点はコンデンサC21を介してジャンクション型のJ−FET素子S21のゲート端子に接続される。J−FET素子S21のドレイン端子は動作電源+Vに接続され、ソース端子は抵抗R22を介してグランドに接続される。ここで、J−FET素子S21は電気インピーダンスの変換用であり、このJ−FET素子S21のソース端子の電圧が音声信号として信号処理部35hに出力される。
上記のように構成されたマイクロホンM1は、図5に示すように、スピーカSP内において、振動板74の背面に対向する磁性体71の中心の凹部71cに収納される。ここで、凹部71cは、ドーム型の振動板74のセンターキャップ74aの背面に対向して形成されており、マイクロホンM1は上記振動部分53c(集音部)が振動板74のセンターキャップ74aの背面に対向した状態に位置決めされており、マイクロホンM1によってスピーカSPの発する音声を確実に集音でき、且つスピーカSPが発する音の位相を正しく集音できる。
このように、マイクロホンM1を、スピーカSPの振動板74の背面に対向してスピーカSP内に配置することで、通話装置10aの構造を小型化、薄型化でき、配線システムに機能装置の一形態として用いても、システムとしての統一感を得ることができる。
また、図5(a)(b)に示すように、マイクロホンM1は、背面に上記端子55を介して下部電極51あるいは上部電極53に接続されるパッドPを備えており、凹部71cの底面には軸方向に通線孔77を形成して、マイクロホンM1のパッドPを通線孔77を介して外部に露出しており、マイクロホンM1への配線は通線孔77を介して接続される。
また、マイクロホンM2は、モジュール本体10Aの前面内側において、スピーカSPの振動板74に対向しないスピーカSPの側方に設けた函体16内に配置され、上記振動部分53c(集音部)がモジュール本体10Aの前面内側に対向する状態に矩形枠状のリブ16aによって位置決めされる。また、函体16の内側面から仕切板16bがマイクロホンM2の後方にまで形成されており、延設面17の背面には断面L字のリブ16cが形成されており、信号処理部35hが内蔵されたICパッケージ35iの前面がリブ16a上に載置され、ICパッケージ35iの背面は函体16の内面に当接して位置決めされる。したがって、マイクロホンM1に信号処理用のICパッケージを設ける必要がなく、マイクロホンM1とスピーカSPとを組み合わせた構造をさらに小型化、薄型化できる。
そして、スピーカSP、マイクロホンM2に対向するモジュール本体10Aの前面には複数の音孔10Bや、通話スイッチSW1,警報解除スイッチSW2を前面に露出させる挿通孔10C,10Cが穿設されている。
ここで、本実施形態では、スピーカSPの音声出力をマイクロホンM1,M2が拾うことで発生するハウリングを防止するために、以下の構成を備えている。まず、マイクロホンM1は振動板74の背面において振動板74の中心に対向して配置され、マイクロホンM2はスピーカSPの振動板74に対向しないスピーカSPの側方で前方に向かって配置されている。
そして、ICパッケージ35iに収納されている信号処理部35h(図4参照)は、図8に示すように、マイクロホンM1の出力を非反転で増幅する増幅部350と、増幅部350の出力から音声帯域(300〜4000Hz)以外の周波数のノイズを除去するバンドパスフィルター351と、バンドパスフィルター351の出力を遅延させる遅延回路352と、マイクロホンM2の出力を非反転で増幅する増幅部353と、増幅部353の出力から音声帯域以外の周波数のノイズを除去するバンドパスフィルター354と、遅延回路352とバンドパスフィルター354の各出力を加算する加算回路355と、加算回路355の出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換回路356とを備える。
図9〜図12は、信号処理部35hの各部の音声信号波形を示す。まず、スピーカSPの中心から各マイクロホンM1,M2の中心までの距離をそれぞれX1,X2とすると、X1<X2となる。したがって、スピーカSPからの音声をマイクロホンM1,M2で拾った場合、マイクロホンM2の出力Y21のほうがマイクロホンM1の出力Y11よりも振幅が小さい。ここで、マイクロホンM1はスピーカSPの振動板74の背面に対向してスピーカSP内に配置され、マイクロホンM2はスピーカSPの振動板74の前面側に配置されるので、マイクロホンM1の出力Y11とマイクロホンM2の出力Y21とは逆位相になるとともに、両マイクロホンM1,M2とスピーカSPとの距離の差(X2−X1)に相当する音波の遅延時間[Td=(X2−X1)/Vs](Vsは音速)だけマイクロホンM2の出力Y21の位相が遅れている(図9(a)(b)参照)。
そして、増幅部350が出力Y11を非反転増幅した出力Y12を生成し、増幅部353が出力Y21を非反転増幅した出力Y22を生成する。このとき、両マイクロホンM1,M2とスピーカSPとの距離の差(X2−X1)に相当するレベル調整を行ない、スピーカSPからの音声に対する両マイクロホンM1,M2の出力レベルを一致させる(図10(a)(b)参照)。なお、本実施形態では、増幅部350の増幅率は略1としており、増幅部350は省略してもよい。
そして、バンドパスフィルター351,354は、出力Y12,Y22から音声帯域以外の周波数のノイズを除去した出力Y13,Y23を生成する(図11(a)(b)参照)。
次に、遅延回路352は、時間遅延素子またはCR位相遅延回路で構成されており、上記遅延時間TdだけスピーカSPに近いほうのマイクロホンM1の出力を遅延させることで、遅延回路352の出力Y14とバンドパスフィルター354の出力Y23との位相を一致させる。そして、加算回路355において出力Y14とY23とを加算することで、スピーカSPからの音声に対応する音声信号が打ち消された出力Yaが生成される(図12(a)〜(c)参照)。
一方、マイクロホンM1,M2の前方から発生する音声(通話音声)に対するマイクロホンM1,M2での音圧は、上記振動部分53c(集音部)が音孔10Bを介して前方に向かって配置されたマイクロホンM2の方が、振動部分53c(集音部)がスピーカSPに向かって配置されたマイクロホンM1よりも大きくなり、マイクロホンM2の出力Y21のレベルは、マイクロホンM1の出力Y11のレベルより大きくなる。さらに、増幅部353の増幅率は増幅部350の増幅率より大きいので、増幅部353の出力Y22は増幅部350の出力Y12よりさらに大きくなって、加算回路355の出力Yaには音声に応じた出力が得られる。
以上のようにして加算回路355の出力YaにはスピーカSPからの音声成分は含まれず、通話装置10aの前方からマイクロホンM1,M2に向って発した音声成分のみが抽出されるのである。マイクロホンM1,M2の前方からの音声と、スピーカSPからの音声とが同時に発生している場合でも、スピーカSPからの音声成分のみが除去されるのである。
したがって、スピーカSPの音声出力をマイクロホンM1,M2が拾うことで発生するハウリングを防止することができる。また、スピーカSPとマイクロホンM1,M2との距離を大きく取る必要もないため、通話装置10aの小型化を図ることができ、他の基本機能モジュール8,拡張機能モジュール10と同様の大きさに形成でき、配線システムに機能装置の一形態として用いても、システムとしての統一感を得ることができる。
そして、A/D変換回路356で、加算回路355の出力Yaをアナログ信号からデジタル信号に変換して、エコーキャンセル部35cに出力する。エコーキャンセル部35c,35dでは、A/D変換回路356からのデジタル信号をメモリにストアして、CPUまたはDSPでデジタル信号処理することで、以下の処理を行う。
まず、エコーキャンセル部35c(図4参照)は、エコーキャンセル部35dの出力を参照信号として取り込み、信号処理部35hの出力に対して演算を施すことにより、スピーカSPからマイクロホンM1,M2に回り込んだ音声信号をキャンセリングする。さらにエコーキャンセル部35dは、エコーキャンセル部35cの出力を参照信号として取り込み、I/Oインターフェース34の出力に対して演算を施すことにより、通話先の相手側でのスピーカからマイクロホンへの音声信号の回り込みをもキャンセリングするものである。
具体的には、エコーキャンセル部35c,35dは、スピーカSP−マイクロホンM1,M2−信号処理部35h−エコーキャンセル部35c−I/Oインターフェース34−エコーキャンセル部35d−増幅部35a−スピーカSPで構成されるループ回路内に設けた可変損失手段(図示無し)での損失量を調節することにより、ループゲインが1以下となるようにしてハウリングを防止するのである。
また、図8では、信号処理部35hの出力段にA/D変換回路356を備えて、アナログ信号をデジタル信号に変換して音声信号を出力しているが、バンドパスフィルター351,354の後段にA/D変換回路(図示無し)を各々設けて、以降の処理をデジタル信号で行えば、遅延回路352での遅延処理を容易に行なうことができる。
ここで、上記マイクロホンM1とICパッケージ35iとの間は、モジュール本体10Aの前面内側に形成した導電パターンPTを介して電気的に接続されており(図1(a)(b)参照)、導電パターンPTの生成方法について以下説明する。
本実施形態ではMID(Molded Interconnection Device)成形基板技術を用いて導電パターンPTを形成しており、合成樹脂製のモジュール本体10Aの前面内側において、導体パターンPTを形成する部位を含む領域に導体薄膜からなるメッキ下地電極を形成する。このメッキ下地電極は導体パターンPTと一致している必要はなく、導体パターンPTを形成する部位の全体を含んでいればよい。
メッキ下地電極はレーザ照射によってパターニングされ、導体パターンPTとなる部位と他の部位との間が分離される。つまり、導体パターンPTとなる部位の輪郭線に沿ってメッキ下地電極の一部が除去される。次に、導体パターンPTとなる部位に電気メッキによる厚み付けを行って導体パターンPTを形成し、その後、導体パターンPT以外の部位の導体薄膜をエッチングにより除去する。この手順で、導体パターンPTの形状をレーザ照射によるパターニングで決定することができ、導体パターンPTの微細な加工が可能になる。つまり、導体パターンPTを精密に形成することができる。また、別体の給電線、信号線が不要となり、構造の簡易化を図ることができる。
なお、マイクロホンの数は2つに限定されるものではなく、状況に応じた複数のマイクロホンを配置して上記同様の処理を行えばよい。
そして、例えば図2に示すように、照明器具のオン/オフする壁スイッチを構成する基本機能モジュール8bをゲート装置3に接続し、基本機能モジュール8bの右側部には時計機能を有する拡張機能モジュール10bを接続し、拡張機能モジュール10bの右側部には上記通話装置10aを接続することで、壁スイッチ機能、時計機能等の様々な機能装置にインターホン機能を追加することができる。あるいは、予め設置している通話装置10aに新たな拡張機能モジュール10bを接続することができる。
この場合、拡張機能モジュール10bの電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’が、屋内の天井面、壁面、床面に設置されて電力及び情報信号を伝送する少なくとも1系統の配線に電気的に接続された第1の接続部に相当し、通話装置10aの電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bが、第1の接続部から電力供給を受け、第1の接続部との間で情報信号を授受するための第2の接続部に相当する。さらに通話装置10aの右側部に所定機能を有する拡張機能モジュール(図示無し)を接続すれば、通話装置10aの電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’が、拡張機能モジュールに電力を供給し、拡張機能モジュールとの間で情報信号を授受するための第3の接続部に相当する。
したがって、通話装置10aは、予め同一に配線されている電力線L1、情報線L2にゲート装置3、基本機能モジュール8、他の拡張機能モジュール10を介して接続することで、電力路と情報路とを同時に確保でき、新たに配線工事を行う必要がなく、施工性に優れている。また、基本機能モジュール8、他の拡張機能モジュール10と同一の情報線L2を用いることで、通話装置10aと基本機能モジュール8、他の拡張機能モジュール10との間の連動制御を容易に行なうことができ、拡張性に優れたものとなる。
照明器具をオン/オフする壁スイッチを構成する基本機能モジュール8bの機能部25は、図22に示すように操作スイッチSW3と、操作スイッチSW3の操作データを生成して演算処理部23にI/Oインターフェース24を介して送るデータ生成機能を有するCPU部25aとで構成され、化粧カバー8Bの前面には図2に示すように操作スイッチSW3の操作部を露出させている。
また、時計機能を有する拡張機能モジュール10bの機能部35は、図23に示すようにタイマー部35fと、タイマー部35fの時刻データを生成して演算処理部33にI/Oインターフェース34を介して送るデータ生成機能を有するCPU部35eと、時刻データに基づいて時刻を表示する時刻表示部35gとで構成され、モジュール本体10Aの前面には図2に示すように時刻表示部35gを露出させている。
基本機能モジュール8としては上記以外に、コンセント機能を有するものや、モニタ機能を有するものや、スピーカ機能のみを有するもの等がある。
拡張機能モジュール10としては上記以外に、空調機器の運転操作器や、空調機器の温度設定器や、電力供給を利用した電気カミソリ、電動歯ブラシ、携帯オーディオプレーヤ等の充電器、照明器具や空調機器等のリモコン赤外線を有するもの等がある。また音声情報だけでなく、監視カメラ等で撮像した映像の伝送機能や、映像のモニタ機能を有するインターホンの親機,子機もある。
なお、本発明の機能装置を用いる配線システムの情報信号の伝送方式としては、ベースバンド伝送またはブロードバンド伝送の何れを採用しても良く、またプロトコルも何れでも良いが、音声、映像などを用いるインターホンの親機、子機との間にはJT−H232パケットを基づいて音声・映像を相互に送るようし、また制御系においては操作側からの操作データにより1乃至複数を操作できるような1対1または1対Nの対応が可能なユニキャスト、ブロードキャストに対応する経路制御プロトコルを採用すれば良く、特に限定されるものではないので、説明は省略する。またゲート装置3間の使用プロトコルと、ゲート装置3に連なる機能モジュール8,10での使用プロトコルを異ならせ、例えばゲート装置3でプロトコル変換を行うようにしても良い。
而して機能装置を構成する基本機能モジュール8を使用するに当たっては、まず、ゲート装置3を予め建物の適所の壁面に埋設してあるスイッチボックス2に取付枠4を介して取り付け、先行配線されている電力線L1,情報線L2の接続を行う。その後、ゲート装置3の前面部に設けられた電線路接続口6A,6Bに対して基本機能モジュール8のコネクタ7の対応する被接続部7A,7Bを接続するとともに、基本機能モジュール8をゲート装置3の前面部を覆うように取付枠4に取り付ける。この基本機能モジュール8はこの取り付けた状態において壁面よりも前面部が突出し、両側面が室内側に露出することになる。
そして、拡張機能モジュール10は基本機能モジュール8の露出した両側側面の一方に片側の側面を面接させてコネクタ接続し、この状態で連結体100を用いて拡張機能モジュール10と基本機能モジュール8とを機械的に連結する。これによって基本機能モジュール8と拡張機能モジュール10とで機能装置が構成されることになる。このとき拡張機能モジュール10の背面はスイッチボックス2の側方の壁面に沿うことになり、例えば壁面にクロス貼り等が施されている場合、拡張機能モジュール10の背面の位置が多少のずれていてもそれを吸収して背面を壁部に密接させた状態に配設することができ、拡張機能モジュール10の前面部から操作力等が加わっても連結部位に加わる荷重を軽減することができる。
さらに先に連結した拡張機能モジュール10に別の拡張機能モジュール10を連結する場合には、対向側面を面接させてコネクタ接続した状態で連結体100により互いに機械的に連結する。このようにして図2に示すように順次拡張機能モジュール10(10a,10b...)を側方に連結することができる。
なお、基本機能モジュール8は両側に拡張機能モジュール10を連結することができるため、基本機能モジュール8の両側方向に拡張機能モジュール10を連結しても良い。このようにして拡張機能モジュール10を連結した後、両端に位置する拡張機能モジュール10または基本機能モジュール8の連結部位の側部に着脱自在にエンドカバー101を被着することで、拡張機能モジュール10の連結施工が完了することになる。なお、基本機能モジュール8に拡張機能モジュール9を連結しない状態、つまり未使用のまま置いておく場合にはエンドカバー101を基本機能モジュール8の両側部に被着する。
そして、基本機能モジュール8の化粧カバー8Bの上辺,下辺、拡張機能モジュール10(通話装置10a含む)の上辺,下辺に設けた蓋部83、エンドカバー101で構成される枠体は、JISで規格化されたワイドハンドル形スイッチプレート(JIS8316)と略同様の形状を有するもので、既に設置されているワイドハンドル形スイッチ等との見た目の統一感が得られる。なお、この枠体の形状は上記ワイドハンドル形スイッチプレートの形状に限定されるものではなく、JISで規格化された大角形連用配線器具に用いるプレートと略同様の形状であれば、既設のコンセント等の埋込形配線器具との見た目の統一感を得ることができる。
また、基本機能モジュール8,拡張機能モジュール10の横幅方向、高さ方向の寸法は、両側部にエンドカバー101を被着した状態で、JISで規格化された大角形連用配線器具に用いるプレートと同一寸法となるように形成されており、さらに基本機能モジュール8,拡張機能モジュール10の厚さ寸法は同一寸法で各々形成されているので、施工後に別の基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10に容易に交換できる。
また、基本機能モジュール8に連結できる拡張機能モジュール10の数は連結部位に加わる荷重の大きさにより制限があり、また基本機能モジュール8の電力供給能力によっても制限される。
ここで例えば図13に示すように建物内の適所において埋め込み配設している1乃至複数のスイッチボックス2の内、室内の天井面のようなハイポジションHPに設けられたスイッチボックス2のゲート装置3には引掛栓刃接続部60を備えた基本機能モジュール8が接続され、この基本機能モジュール8には人感センサ61等が設けられた拡張機能モジュール10などが連結され、あるいは、ゲート装置3にスピーカSPのみを備えてBGM用の機能等を有する基本機能モジュール8cが接続される。
壁スイッチ等で推奨される室内の壁面のような高さ位置(ミドルポジションMP)に設けられたスイッチボックス2のゲート装置3には照明器具をオン/オフする壁スイッチを構成する基本機能モジュール8bに、時計機能を有する拡張機能モジュール10bや、通話装置10aが連結される。あるいはミドルポジションMPのスイッチボックス2のゲート装置3にはモニタ装置64を備えた基本機能モジュール8を接続している。
さらに床面を含む足元付近(ローポジションLP)に設けられたスイッチボックス2のゲート装置3には電源コンセント部62を備えた基本機能モジュール8が接続され、更に足元灯63を構成する拡張機能モジュール10が連結され、あるいは、ゲート装置3にスピーカSPのみを備えてBGM用の機能等を有する基本機能モジュール8cが接続されている。
以上のようにして配設施工が終了し、システムが完成した後は、対応する基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10間で情報信号の授受を行い、通話装置10aであれば他の部屋の通話装置10aとの間でインターホンシステムを構成し、両者間での通話を可能とするとともに、警報報知等を行う。
また、本実施形態では拡張機能モジュール10や基本機能モジュール8の追加や削除に特別な施工が不要となり、そのため一般ユーザーの好みに合わせて拡張機能モジュール10を基本機能モジュール8に連結するだけで、拡張性が確保される。
なお、本実施形態に用いるゲート装置3は取付枠4でスイッチボックス2に取り付けているが、スイッチボックス2の奥壁に直接取り付け、基本機能モジュール8をスイッチボックス2に取り付ける構成としても勿論良い。
(実施形態2)
本実施形態は、基本機能モジュール8の機能部25として、図24に示すように、スピーカSP、マイクロホンM1,M2、通話スイッチSW1、警報解除スイッチSW2、増幅部35a,信号処理部35h、エコーキャンセル部35c,35dを備え、実施形態1の通話装置10aと同様の機能を有する通話装置8aを構成する。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
通話装置8aは、モジュール本体8A内には基本機能モジュール8と同様に、AC/DCコンバータ21、通信伝送部22、演算処理部23、I/Oインターフェース24、機能部25が収納されており、その外観を図25に示す。
そして、本実施形態の通話装置8aにおいても、図26(a)(b)に示すように、マイクロホンM1は、スピーカSP内において、振動板74の背面に対向する磁性体71の中心の凹部71cに収納される。ここで、凹部71cは、ドーム型の振動板74のセンターキャップ74aの背面に対向して形成されており、マイクロホンM1は上記振動部分53c(集音部)が振動板74のセンターキャップ74aに対向した状態に位置決めされており、マイクロホンM1によってスピーカSPの発する音声を確実に集音でき、且つスピーカSPが発する音の位相を正しく集音できる。
このように、マイクロホンM1を、スピーカSPの振動板74の背面に対向してスピーカSP内に配置することで、通話装置8aの構造を小型化、薄型化でき、配線システムに機能装置の一形態として用いても、システムとしての統一感を得ることができる。
また、実施形態1と同様に、マイクロホンM1は、背面に上記端子55を介して下部電極51あるいは上部電極53に接続されるパッドPを備えており、凹部71cの底面には軸方向に通線孔77を形成して、マイクロホンM1のパッドPを通線孔77を介して外部に露出しており、マイクロホンM1への配線は通線孔77を介して接続される。
さらに、スピーカSP、マイクロホンM2に対向するモジュール本体8Aの前面には複数の音孔8Cや、通話スイッチSW1,警報解除スイッチSW2を前面に露出させる挿通孔8D,8Dが穿設されている。
また、マイクロホンM1は振動板74の背面において振動板74の中心に対向して配置され、マイクロホンM2はスピーカSPの振動板74に対向しないスピーカSPの側方で前方に向かって配置されており、実施形態1と同様に信号処理部35hでの信号処理によって、スピーカSPの音声出力をマイクロホンM1,M2が拾うことで発生するハウリングを防止することができる。また、スピーカSPとマイクロホンM1,M2との距離を大きく取る必要もないため、通話装置8aの小型化を図ることができる。
このように、基本機能モジュールとして通話装置8a単体で用いることができ、さらには必要に応じて、電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’を介して側部に拡張機能モジュール10を連結すればよい。この場合、ゲート装置3の電力路接続口6A、情報路接続口6Bからなる接続口6が、屋内の天井面、壁面、床面に設置されて電力及び情報信号を伝送する少なくとも1系統の配線に電気的に接続された第1の接続部に相当し、通話装置8aの被接続部7A、被接続部7Bからなるコネクタ7が、第1の接続部から電力供給を受け、第1の接続部との間で情報信号を授受するための第2の接続部に相当する。さらに通話装置8aの右側部あるいは左側部に所定機能を有する拡張機能モジュール(図示無し)を接続すれば、通話装置8aの電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’が、拡張機能モジュールに電力を供給し、拡張機能モジュールとの間で情報信号を授受するための第3の接続部に相当する。
したがって、通話装置8aは、予め同一に配線されている電力線L1、情報線L2にゲート装置3を介して接続することで、電力路と情報路とを同時に確保でき、新たに配線工事を行う必要がなく、施工性に優れている。また、他の基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10と同一の情報線L2を用いることで、通話装置8aと他の基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10との間の連動制御を容易に行なうことができ、拡張性に優れたものとなる。
(実施形態3)
本実施形態は、図27に示すように筐体59を用いてマイクロホンM1,M2を構成した点が実施形態1,2と異なる。
マイクロホンM(マイクロホンM1およびM2)は、音響信号−電気信号変換部Cm(音響信号−電気信号変換部Cm1およびCm2)と、半導体集積回路K2とを筐体59内に収納して構成される。
半導体集積回路K2は、マイクロホンM1においては、抵抗R11,R12、コンデンサC11,J−FET素子S11を構成し、マイクロホンM2においては、定電圧回路K1,抵抗R21,R22、コンデンサC21,J−FET素子S21を構成する。
筐体59は、一面を開口したケース59aと、ケース59aの開口に覆設するカバー59bとで構成される函状に形成され、音響信号−電気信号変換部Cmの振動部分53c(集音部)に対向する筐体59の一面には音孔59cが形成されている。
上記筐体59は電磁シールド機能を備えるものであり、例えば、金属筐体、または表面にシールドパターンを施したセラミック筐体等で形成される。さらに筐体59を接地する構成でもよい。電磁シールド機能を備える筐体59内に音響信号−電気信号変換部Cmと、半導体集積回路K2とを収めることで、ノイズを抑制した音声信号を出力することができる。また、他の構成は実施形態1,2と同様であり、説明は省略する。
(実施形態4)
本実施形態は、図28に示す回路部品内蔵モジュールでマイクロホンM1,M2を構成した点が実施形態1,2と異なる。
マイクロホンM(マイクロホンM1およびM2)は、回路収容層90と、この回路収容層90を上下で一組とした外側配線パターン形成基板91,91で加圧接合した構造体に構成されている。
ここに、回路収容層90は、実施形態3と同様の半導体集積回路K2と、Cu(銅)の直方体柱で成る複数のビア(インナービア)92とを、例えばPETフィルムをベースにフィラー高充填エポキシ樹脂層を形成した有機グリーンシート(OGS)93に埋め込み収容している。また、半導体集積回路K2は、それらの表、裏面に電極部を設けて、電極部を露出させている。また、ビア92を用いれば、有機グリーンシート93に貫通配線を形成する工程が省略できる。また、外側配線パターン形成基板91の各々は、厚さが100μmのFR−4コア材による絶縁基板の表裏の両面に、Cu(銅)による配線パターンが形成されており、半導体集積回路K2の表、裏面に設けた電極部に電気的に接続している。
さらに、一方の外側配線パターン形成基板91の回路収容層90に接していない面にも、有機グリーンシート93を接合しており、この有機グリーンシート93の表面にはグランド層94が形成されている。また、この有機グリーンシート93には凹部95が形成されており、凹部95内に音響信号−電気信号変換部Cm(音響信号−電気信号変換部Cm1およびCm2)が配置される。
このように、マイクロホンMを上記回路部品内蔵モジュールで構成することで、マイクロホンMの薄型化を図ることができる。また、他の構成は実施形態1,2と同様であり、説明は省略する。
(実施形態5)
本実施形態は、図29(a)に示すスピーカSPを用いる点が実施形態1,2と異なる。
本実施形態のスピーカSPは、円筒形磁石151と、円筒形磁石151と同心に円筒形磁石151の一端面側に配置した鉄等の円筒形磁性体152aおよび円筒形磁性体152bと、円筒形磁石151と同心に円筒形磁石151の他端面側に配置した鉄等の円筒形磁性体153と、ボイスコイル154と、ボビン155と、ドーム形の振動板156と、一端を開放した有底円筒状のケース157とから構成される。
円筒形磁石151は、中心部151aと外周部151bとで極性が異なるように軸方向(前後方向)に着磁しており、図29(a)に示すように中心部151aの一端面側はS極、中心部151aの他端面側はN極、外周部151bの一端面側はN極、外周部151bの他端面側はS極に着磁されている。なお、中心部151aと外周部151bとの境目付近を、磁石の極性が変化する極性変化部151cとする。
そして、円筒形磁石151の中心部151aの一端面側には円筒形磁性体152aが配置され、円筒形磁石151の外周部151bの一端面側には円筒形磁性体2bが配置される。円筒形磁性体152aの外周面と円筒形磁性体152bの内周面との間には、円筒形磁石151と同心にギャップ158が形成されて、ギャップ158は円筒形磁石151の極性変化部151cに対向しており、ギャップ158を介して円筒形磁石151の極性変化部151c近傍が露出している。
ギャップ158内にはボイスコイル154が配置され、ギャップ158内を前後方向に自在に移動する。ボイスコイル154は、円環状のボビン155を介して振動板156の背面に接続しており、ボイスコイル154に音声信号を入力すると、このボイスコイル154に流れる電流と円筒形磁石151の磁界とにより、ボイスコイル154に電磁力が発生するため、ボビン155が振動板156を伴なって前後方向に振動させられる。このとき、振動板156から音声信号に応じた音が発せられる。すなわち、動電型のスピーカSPが構成される。
ここで、円筒形磁石151,円筒形磁性体152a,円筒形磁性体153の各筒内部からケース157の底面に至る本スピーカSPの径方向の中心に排気孔159を形成している。
振動板156の背面は排気穴159を介して外部へ連通しており、振動板156の振動による空気の流れを排気孔159を介して外部へ排気でき、振動時の気圧変化による振動板156のストレスを低減させている。
そして、この排気孔159内にマイクロホン収納部160を設け、マイクロホン収納部160には、マイクロホンM1が振動板156の背面において振動板154の中心に集音部を対向して配置されている。ここで、マイクロホン収納部160に複数の孔(図示なし)を設けることによって、排気孔159としての機能を維持できる。
上記円筒形磁石151、円筒形磁性体152aおよび円筒形磁性体152b、円筒形磁性体153、ボイスコイル154、ボビン155、振動板156は、アセタール樹脂等の合成樹脂からなるケース157内に収納され、円筒形磁石151、円筒形磁性体152b、円筒形磁性体153の各外周面はケース157の内側面に当接する。ケース157は合成樹脂等の非磁性体材料で形成することで、磁性体材料で形成したケースに比べて、円筒形磁石151、円筒形磁性体152b、円筒形磁性体153の外周面からの漏れ磁束を低減できる。
また、ケース157の一端側の開口周縁157aには、振動板156の外縁部が支持されており、振動板156の径をケース157に対して最大限に設定することができる。
本スピーカSPは、ボイスコイル154の内周側の磁石と外周側の磁石とを一体に形成した円筒形磁石151を用いるので、ボイスコイル154の外周側のみに磁石を配置した場合に比べて磁石の体積が大きくなって磁気エネルギーも増加し、ボイスコイル154と鎖交する磁束数が増加する。したがって、ボイスコイル154に作用する電磁吸引力が増加するので、出力効率が向上し、同一出力であれば小型化することができる。
なお、円柱形磁石1は、図29(b)に示すように中心部1aの一端面側はN極、中心部1aの他端面側はS極、外周部1bの一端面側はS極、外周部1bの他端面側はN極に着磁してもよい。(すなわち、図29(b)の円柱形磁石1の着磁方向は、図29(a)とは反対方向になる。)
また、他の構成は実施形態1,2と同様であり、説明は省略する。
(実施形態6)
本実施形態は、図30(a)に示すスピーカSPを用いる点が実施形態1,2と異なる。
本実施形態のスピーカSPは、実施形態5のスピーカSP(図29参照)の円筒形磁石151の代わりに、円筒形磁石151Aと、円筒形磁石151Aと同心に配置されて内周面が円筒形磁石151Aの外周面に当接した円筒形磁石151Bと、円筒形磁石151Aと同心に配置されて内周面が円筒形磁石151Bの外周面に当接した円筒形磁石151Cとを備える。
円筒形磁石151Aは軸方向(前後方向)に着磁しており、一端面側はS極、他端面側はN極に着磁されている。
円筒形磁石151Bは軸方向と直交する径方向に着磁しており、内周側はS極、外周側はN極に着磁されている。
円筒形磁石151Cは軸方向に着磁しており、他端面側はS極、一端面側はN極に着磁されている。
そして、排気孔159内にマイクロホン収納部160を設け、マイクロホン収納部160には、マイクロホンM1が振動板156の背面において振動板154の中心に集音部を対向して配置されている。ここで、マイクロホン収納部160に複数の孔(図示なし)を設けることによって、排気孔159としての機能を維持できる。
本スピーカSPは、ボイスコイル154の内周側と外周側とに磁石を配置するので、ボイスコイル154の外周側のみに磁石を配置した場合に比べて磁石の体積が大きくなって磁気エネルギーも増加し、ボイスコイル154と鎖交する磁束数が増加する。したがって、ボイスコイル154に作用する電磁吸引力が増加するので、出力効率が向上し、同一出力であれば小型化することができる。
また、径方向に着磁した円筒形磁石151Bによって、磁束の経路はボイスコイル154の周囲を大回りするように形成されるので、ボイスコイル154に鎖交しない磁束が実施形態5のスピーカSPに比べて減少し、ボイスコイル154の鎖交磁束数が増加する。したがって、ボイスコイル154に作用する電磁吸引力が増加して、出力効率のさらなる向上を実現している。
なお、図30(b)に示すように、円柱形磁石1は一端面側をN極、他端面側をS極に着磁し、第1の円筒形磁石1Bは内周側をN極、外周側はS極に着磁し、第2の円筒形磁石1Cは他端面側をN極、一端面側をS極に着磁してもよい。(すなわち、図30(b)の各磁石の着磁方向は、図30(a)とは反対方向になる。)
また、他の構成は実施形態1,2と同様であり、説明は省略する。
(実施形態7)
本実施形態は、図31(a)に示すスピーカSPを用いる点が実施形態1,2と異なる。
本実施形態のスピーカSPは、円筒形磁石171A,171B,171Cと、円筒形磁石172A,172B,172Cと、連結用の円筒形磁石173と、ボイスコイル174と、ボビン175と、ドーム形の振動板176と、一端を開放した有底円筒状のケース177とから構成される。
円筒形磁石171Bは、円筒形磁石171Aの一端面上に円筒形磁石171Aと同心に配置され、円筒形磁石171Cは、円筒形磁石171Bの一端面上に円筒形磁石171Aと同心に配置される。
連結用の円筒形磁石173は、円筒形磁石171Aと同心に配置されて内周面が円筒形磁石171Aの外周面に当接する。
円筒形磁石172Aは、円筒形磁石171Aと同心に配置されて内周面が連結用の円筒形磁石173の外周面に当接する。円筒形磁石172Bは、円筒形磁石172Aの一端面上に円筒形磁石171Aと同心に配置され、円筒形磁石172Cは、円筒形磁石172Bの一端面上に円筒形磁石171Aと同心に配置される。
そして、上記円筒形磁石171B,171Cの外周面と、円筒形磁石172B,172Cの内周面との間には、ボイスコイル174が前後方向(軸方向)に移動自在に配置されており、ボイスコイル174は、円環状のボビン175を介して振動板6の背面に接続している。
すなわち、磁石171A,171B,171C、172A,172B,172C,173で磁石体170を構成し、ボビン175近傍を除くボイスコイル174の周囲を磁石体170で囲んでいる。ここで、円筒形磁石171B,171Cがボイスコイル174の全内周側に対抗する円環状の第1の壁部に相当し、円筒形磁石172B,172Cがボイスコイル174の全外周側に対抗する円環状の第2の壁部に相当し、円筒形磁石171A,連結用の円筒形磁石173,円筒形磁石172Aが上記第1,第2の壁部を連続させる円環状の連結部に相当する。
次に、各磁石の着磁方向について説明する。図31(a)(b)中の矢印は着磁方向を示しており、矢印の始端側がN極、終端側がS極となる。
まず、円筒形磁石171Aは外周面から一端面へ向かって着磁され、円筒形磁石171Bは前方向(軸方向の一方向)に着磁され、円筒形磁石171Cは外側へ向かう径方向(径方向の一方向)に着磁される。
円筒形磁石172Cは外側へ向かう径方向に着磁され、円筒形磁石172Bは後方向(軸方向の他方向)に着磁され、円筒形磁石172Aは一端面から内周面へ向かって着磁され、連結用の筒形磁石173は内側へ向かう径方向(径方向の他方向)に着磁される。
そして、ボイスコイル174に音声信号を入力すると、このボイスコイル174に流れる電流と磁石171A,171B,171C、172A,172B,172C,173の磁界とにより、ボイスコイル174に電磁力が発生するため、ボビン175が振動板176を伴なって前後方向に振動させられる。このとき、振動板176から音声信号に応じた音が発せられる。すなわち、動電型のスピーカSPが構成される
ここで、円筒形磁石171A,171B,171Cの各筒内部からケース177の底面に至る本スピーカSPの径方向の中心に排気孔179を形成している。
振動板176の背面は排気穴179を介して外部へ連通しており、振動板176の振動による空気の流れを排気孔179を介して外部へ排気でき、振動時の気圧変化による振動板176のストレスを低減させている。
そして、この排気孔179内にマイクロホン収納部160を設け、マイクロホン収納部160には、マイクロホンM1が振動板176の背面において振動板174の中心に集音部を対向して配置されている。ここで、マイクロホン収納部160に複数の孔(図示なし)を設けることによって、排気孔179としての機能を維持できる。
上記磁石171A,171B,171C、172A,172B,172C,173、ボイスコイル174、ボビン175、振動板176は、アセタール樹脂等の合成樹脂からなるケース177内に収納され、円筒形磁石172A,172B,172Cの各外周面はケース177の内側面に当接する。ケース177は合成樹脂等の非磁性体材料で形成することで、磁性体材料で形成したケースに比べて、円筒形磁石172A,172B,172Cの外周面からの漏れ磁束を低減できる。
また、ケース177の一端側の開口周縁177aには、振動板176の外縁部が支持されており、振動板176の径をケース177に対して最大限に設定することができる。
本スピーカSPは、ボイスコイル174の周囲を磁石171A,171B,171C、172A,172B,172C,173で構成される磁石体170で囲むことでボビン175近傍以外の磁路を磁石で構成し磁石の体積が大きくなって磁気エネルギーも増加し、ボイスコイル174と鎖交する磁束数が増加する。したがって、ボイスコイル174に作用する電磁吸引力が増加するので、出力効率が向上し、同一出力であれば従来に比べて小型化を図ることができる。
さらに、磁石体内を通過する磁束がボイスコイル174に鎖交するように各磁石171A,171B,171C、172A,172B,172C,173を着磁させるので、磁束が効率よくボイスコイル174に鎖交する。したがって、ボイスコイル174に作用する電磁吸引力が増加して、出力効率のさらなる向上を実現している。
なお、図31(b)に示すように、円柱形磁石1Aを一端面から外周面へ向かって着磁し、第2の円柱形磁石1Bを後方向(軸方向の他方向)に着磁し、第3の円柱形磁石1Cを内側へ向かう径方向(径方向の他方向)に着磁し、第3の円筒形磁石2Cを内側へ向かう径方向に着磁し、第2の円筒形磁石2Bを前方向(軸方向の一方向)に着磁し、第1の円筒形磁石2Aを内周面から一端面へ向かって着磁し、連結用の筒形磁石3は外側へ向かう径方向(径方向の一方向)に着磁してもよい。(すなわち、図31(b)の各磁石の着磁方向は、図31(a)とは反対方向になる。)
また、他の構成は実施形態1,2と同様であり、説明は省略する。
(実施形態8)
上記実施形態1乃至7では、ゲート装置3、基本機能モジュール8(通話装置8aを含む)、拡張機能モジュール10(通話装置10aを含む)の間では、コネクタ接続による電力路、情報路が構築されている。
しかし、本実施形態では、コネクタ接続の代わりに磁気結合による非接触で電力を供給して電力路を構成する。具体的には、ゲート装置3、基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10がコネクタの代わりにコアにコイルを巻回した構成を各々備え、互いのコアが磁気結合することで相手側のコイルに低圧交流電源電圧を誘起させて電源供給を行う。ここで商用周波数よりも周波数が高い交流電源をコイルに印加することで、電磁結合部によるトランス構成の小型化を図ることができる。
さらに、ゲート装置3、基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10において、情報信号をE/O変換を経て送り出し、情報信号をO/E変換を経て取り込むことで、光信号からなる情報信号を発光素子、受光素子を用いて非接触で双方向に伝送することができる情報路が構築されることになる。
(実施形態9)
上記実施形態1乃至8では電力(電源)の送りと、情報信号の受け渡しは別系統で行っているが、本実施形態では、システム全体の情報信号の伝送方式を電力線搬送に行うことで、電力路と情報路との共通化を図ったものである。
つまり各スイッチボックス2での先行配線は電力線L1のみとし、これに対応してゲート装置3の接続口は図14に示す接続口の電力路接続口6Aのみとなり、これに対応する基本機能モジュール8(通話装置8aを含む)のコネクタ7も電力路接続口6Aに対応する被接続口7Aのみとなり、情報用コネクタ9B,9B’も省略される。さらに、拡張機能モジュール10(通話装置10aを含む)も、情報用コネクタ11B,11B’が省略される。
そして、図32に示すように通話装置10a内では、電力線搬送による情報信号を受信し、また情報信号を送信するためのPLCモデム部36と、このPLCモデム部36を介して受信された情報信号のデータ処理を行うとともにPLCモデム部36を介して電力線搬送によって送信する情報信号のデータ生成を行う演算処理部33と、機能部35と、機能部35と演算処理部33との間に設けられるI/Oインターフェース34とを設けている。この演算処理部33、I/Oインターフェース34、機能部35は実施形態1におけるものと同じ機能を持つものである。
さらに、上記PLCモデム部36と同様の構成をゲート装置3、基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10にも設けておく。
なお、本実施形態で採用する電力線搬送の変調方式としては広帯域スペクトラム拡散方式、マルチキャリア方式、OFDM方式等各種方式の何れでも良いので、ここでは特に説明はしない。
而して本実施形態では、電力路と情報路とが共通であるため、ゲート装置3での接続口が電力路接続口6Aのみとなり、基本機能モジュール8のコネクタ7も一つの被接続部7Aのみとなり、拡張機能モジュール10のコネクタ11も一つの被接続部11Aのみとなるため接続周りの構成のスペースが小さくなる。また基本機能モジュール8や拡張機能モジュール10の内部回路に通信伝送部や、情報用コネクタの構成が不要となり、そのため薄型のモジュール本体8A,10A内の配置スペースにゆとりができる。
また照明器具や空調機器にPLCモデム部を内蔵することで、直接情報信号を照明器具、空調機器に送ることができるため、遠隔制御のための赤外線リモコン信号発信機能を備えた機能モジュールを設ける必要がなくなる。