以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の通話装置Aは図1〜図3に示され、筐体(本体)A1内に、スピーカSP、マイクロホンM1(第1のマイクロホン)、マイクロホンM2(第2のマイクロホン)、通話スイッチSW1、通信部35a、エコーキャンセル部35b,35c、増幅部35d、信号処理部35eを備える。他の部屋等に設置されている通話装置Aから情報線L2を介して送信された音声信号は、通信部35aで受信され、エコーキャンセル部35bを介して増幅部35dで増幅された後、スピーカSPから出力される。また、通話スイッチSW1を操作することで通話可能状態となり、マイクロホンM1,M2から入力された各音声信号は信号処理部35eで後述する信号処理を施された後、エコーキャンセル部35cを通過し、通信部35aから情報線L2を介して他の部屋等に設置されている通話装置Aへ送信される。すなわち、部屋間で双方向の通話が可能なインターホンとして機能するものである。なお、通話装置Aの電源は、設置場所の近傍に設けたコンセントから供給されるか、あるいは情報線L2を介して供給されてもよい。
以下、スピーカSPの構成について説明する。スピーカSPは、図1(a)(b)に示すように、冷間圧延鋼板(SPCC,SPCEN)、電磁軟鉄(SUY)等の厚み0.8mm程度の鉄系材料で形成されて一端を開口した円筒状のヨーク70を具備し、ヨーク70の開口端から外側に向かって円形の支持体72が延設され、支持体72の外縁部には筒状に形成された支持部72aが形成されている。
ヨーク70の筒内にはネオジウムで形成された円柱型永久磁石71(例えば、残留磁束密度1.39T〜1.43T)を配置し、支持部72aの端面にはドーム型の振動板73が設けられている。すなわち、振動板73の外周側の縁部が支持部72aの端面に固定されている。
振動板73は、PET(PolyEthyleneTerephthalate)またはPEI(Polyetherimide)等の熱可塑性プラスチック(例えば、厚み12μm〜35μm)で形成される。振動板73の背面には筒状のボビン74が固定されており、このボビン74の後端にはクラフト紙の紙管にポリウレタン銅線(例えば、φ0.05mm)を巻回することによって形成されたボイスコイル75が設けられている。ボビン74およびボイスコイル75は、ボイスコイル75がヨーク70の開口端に位置するように設けられており、ヨーク70の開口端近傍を前後方向に自在に移動する。
ボイスコイル75のポリウレタン銅線に音声信号を入力すると、この音声信号の電流と永久磁石71の磁界とにより、ボイスコイル75に電磁力が発生するため、ボビン74が振動板73を伴なって前後方向に振動させられる。このとき、振動板73から音声信号に応じた音が発せられる。すなわち、動電型のスピーカSPが構成される(例えば、直径20〜25mm,厚さ4.5mm程度)。
そして、スピーカSPの振動板73が対向する筐体A1の前面内側には、断面L字のリブ14が環状に形成されており、スピーカSPの円形の支持体72の外周端部から前面側に突出した凸部72bの端面がリブ14の載置部14aに当接し、凸部72bの外側面がリブ14の突出部14bの内面に嵌合して、振動板73が筐体A1の前面に内側から対向する状態でスピーカSPが位置決めされる。また、支持体72の外縁部を円形形状とし、リブ14を環状とすることで、筐体A1へのスピーカSPの実装がしやすい構造となっている。
リブ14によって位置決めされたスピーカSPは、取り付けねじ(図示せず)を筐体A1の前面内側のねじ孔(図示せず)に締結することで、スピーカSPが筐体A1の前面内側に取り付けられる。
次に、マイクロホンM1,M2は、一方向の感度が他方向の感度よりも高い指向性を有するもので、該指向性を有するマイクロホンM1,M2の構成例を以下に示す。
マイクロホンM1,M2はコンデンサ型のシリコンマイクロホンからなり、その音響信号−電気信号変換部は図4(a)(b)に示す構成を備える。基板57上に形成されたシリコン基板からなる下部電極51と、振動部分53c(集音面)と、振動部分53cの外周の4箇所に延設された支持部分53bとからなり、ポリシリコン膜によって形成される上部電極53と、下部電極51と上部電極53との間に形成された空洞54aと、下部電極51と上部電極53との間に配置されたSiN膜からなる絶縁層52とから構成されている。なお、絶縁層52は、上部電極53の振動部分53cのほぼ直下と、下部電極51に端子を接続するための領域とに開口を有する以外は、下部電極51のほぼ全面を被覆している。また、振動部分53cにおいて複数個の小孔53aが形成されている。また、周辺部に下部電極51と接続されたAu/TiW膜からなる端子55と、支持部分53b上に上部電極53と接続されたAu/TiW膜からなる端子55が形成されている。
そして、外部から音響に対応する振動が加わると、振動膜である上部電極53が振動し、下部電極51との距離が変化する。これにより、両電極51、53の静電容量が変化し、電荷量が変化して、この電荷量の変化に伴って両電極51、53から電流が流れる。
両電極51、53から流れる電流は、図5に示す回路によって電圧に変換されて音声信号として信号処理部35eに出力される。なお、図5中ではマイクロホンM1,M2の上記音響信号−電気信号変換部を各々Cm1,Cm2で示す。マイクロホンM2は、動作電源+V(例えば5V)を定電圧Vr(例えば12V)に変換するチップICからなる定電圧回路K1を備えており、マイクロホンM1内においては、抵抗R11と音響信号−電気信号変換部Cm1との直列回路に定電圧Vrが印加され、抵抗R11と音響信号−電気信号変換部Cm1との接続中点はコンデンサC11を介してジャンクション型のJ−FET素子S11のゲート端子に接続される。J−FET素子S11のドレイン端子は動作電源+Vに接続され、ソース端子は抵抗R12を介してグランドに接続される。ここで、J−FET素子S11は電気インピーダンスの変換用であり、このJ−FET素子S11のソース端子の電圧が音声信号として信号処理部35eに出力される。
マイクロホンM2内においても同様に、抵抗R21と音響信号−電気信号変換部Cm2との直列回路に定電圧Vrが印加され、抵抗R21と音響信号−電気信号変換部Cm2との接続中点はコンデンサC21を介してジャンクション型のJ−FET素子S21のゲート端子に接続される。J−FET素子S21のドレイン端子は動作電源+Vに接続され、ソース端子は抵抗R22を介してグランドに接続される。ここで、J−FET素子S21は電気インピーダンスの変換用であり、このJ−FET素子S21のソース端子の電圧が音声信号として信号処理部35eに出力される。
そして、図4(b)に示すように、振動部分53cの略中央に対向する下部電極51、基板57に挿通孔56を設けて、空洞54aを外部に連通させており、後方(下部電極51側)から前方(上部電極53側)に回り込んで振動部分53cの前面に達する音響信号(間接音)は、後方から挿通孔56を介して振動部分53cの後面に達する音響信号(直接音)によって打ち消され、前方に限定した単一指向性を得ることができる。このとき、挿通孔56には障害物を形成して直接音の速度を遅らせて間接音と同時に到達するようにしておく。
あるいは、側面にスリットを刻んだ長めの筒をマイクロホンユニットの先端に取り付けて、音響的に指向性を狭くする干渉管型や、正相と逆相の2つの単一指向性マイクロホンユニットを持ち、電気的に指向性を狭くする二次音圧傾度型等を用いてもよい。
コンデンサ型のシリコンマイクロホンを上記のように構成することで、マイクロホンM1,M2は、一方向(振動部分53c側)の感度が他方向の感度よりも高い指向性を有する。
そして、マイクロホンM1は、図1(a)(b)に示すように、筐体A1の前面内側において、スピーカSPの振動板73に対向しないスピーカSPの近傍下方に設けた矩形枠状のリブ15によって、振動部分53cが上方を向くように位置決めされ、振動部分53cがスピーカSPの側部に対向する。
また、マイクロホンM2は、筐体A1の前面内側において、マイクロホンM1の下方に設けた函体16内に、振動部分53cが筐体A1の前面内側に対向する状態に矩形枠状のリブ16aによって位置決めされる。すなわち、マイクロホンM2の感度が高い方向(振動部分53c側)がスピーカSPの出力方向と同方向に配置されており、マイクロホンM1の振動部分53cが面する方向(上方向)と、マイクロホンM2の振動部分53cが面する方向(前方向)とは、互いに略90°異なる。
さらに、スピーカSPの中心から各マイクロホンM1,M2の中心までの距離をそれぞれX1,X2とすると、X1<X2となる。
そして、函体16の内側面から仕切板16bがマイクロホンM2の後方にまで形成されており、仕切板16bの背面には断面L字のリブ16cが形成されており、信号処理部35eが内蔵されたICパッケージ35iの前面がリブ16a上に載置され、ICパッケージ35iの背面は函体16の内面に当接して位置決めされる。
また、スピーカSP、マイクロホンM1,M2に対向する筐体A1の前面には複数の音孔Bが穿設されている。
そして、本実施形態では、スピーカSPの音声出力をマイクロホンM1,M2が拾うことで発生するハウリングを防止するために、以下の構成を備えている。
まず、ICパッケージ35iに収納されている信号処理部35eは、図6に示すように、マイクロホンM1のアナログ出力をデジタル信号に変換するA/D変換部350と、A/D変換部350の出力から音声帯域(300〜4000Hz)以外の周波数のノイズを除去するバンドパスフィルター351と、バンドパスフィルター351の出力を減衰させる減衰部352と、減衰部352の出力を遅延させる遅延回路353と、マイクロホンM2のアナログ出力をデジタル信号に変換するA/D変換部354と、A/D変換部354の出力から音声帯域以外の周波数のノイズを除去するバンドパスフィルター355と、バンドパスフィルター355の出力を反転させて遅延回路353の出力に加算する加算回路356と、加算回路356の出力をデジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換回路357とを備える。
図7〜図11は、信号処理部35eの各部の音声信号波形を示す。なお、A/D変換部350,354、バンドパスフィルター351,355、減衰部352、遅延回路353、加算回路356の各出力はデジタル信号であるが、説明のため図8〜図11の各波形はアナログ波形で示している。
まず、マイクロホンM1は、振動部分53cがスピーカSPに向かって実装されており、通話装置Aの前方に位置する話者H(図6参照)が発する音声(送話音声)よりも、スピーカSPが発する音声を感度よく集音する。一方、マイクロホンM2は、振動部分53cが前方に向かって配置されており、スピーカSPが発する音声よりも、通話装置Aの前方に位置する話者Hが発する音声を感度よく集音する。
すなわち、マイクロホンM1の出力Y11は、スピーカSPが発する音声に対しては感度が高く振幅が大きくなるが、話者Hが発する音声に対しては感度が低く振幅が小さくなる。また、マイクロホンM2の出力Y21は、話者Hが発する音声に対しては感度が高く振幅が大きくなるが、スピーカSPが発する音声に対しては感度が低く振幅が小さくなる(図12参照)。
さらに、送話時には、話者Hが発する音声とスピーカSPが発する音声との両方がマイクロホンM1,M2にて集音されるが、スピーカSPの中心から各マイクロホンM1,M2の中心までの距離X1,X2はX1<X2であるので、スピーカSPからの音声に対しては、両マイクロホンM1,M2とスピーカSPとの距離の差(X2−X1)に相当する音波の遅延時間[Td=(X2−X1)/Vs](Vsは音速)だけ、マイクロホンM1の出力Y11に比べてマイクロホンM2の出力Y21の位相が遅れている(図7(a)(b)参照)。
一方、マイクロホンM1,M2と話者Hとの各距離は等しいとみなせるので、話者Hが発する音声に対しては、両マイクロホンM1,M2の各出力Y11,Y21は、略同一位相となる。
上記のようにマイクロホンM1,M2で集音された音声信号は、A/D変換部350,354でデジタル変換された後、バンドパスフィルター351,355でノイズを除去した出力Y12,Y22に生成される(図8(a)(b)参照)。
次に、減衰部352が出力Y12を減衰させて、両マイクロホンM1,M2とスピーカSPとの距離の差(X2−X1)に相当するレベル調整を行ない、スピーカSPからの音声に対する両マイクロホンM1,M2の出力レベルを一致させる(図9(a)(b)参照)。
次に、遅延回路353は、時間遅延素子またはCR位相遅延回路で構成されており、上記遅延時間Tdだけ減衰部352の出力Y13を遅延させることで、スピーカSPからの音声に対する両マイクロホンM1,M2の位相を一致させる。(図10(a)(b)参照)。
あるいは、遅延回路353は、図9(a)(b)に示すマイクロホンM1の出力Y13とマイクロホンM2の出力Y22を比較しながら、出力Y13,Y22の位相差を検出し、該検出した位相差だけ出力Y13の位相を遅れさせてもよい。このとき、スピーカSPの中心から両マイクロホンM1,M2の中心までの距離X1,X2の差(X2−X1)は、出力Y13と出力Y22との位相差が0°より大きく、90°より小さくなるように設定されている。したがって、遅延回路353は0°〜90°の範囲で出力Y13の位相を遅れさせればよいので位相差を容易に把握でき、位相を正確に一致させることができる。
次に、加算回路356は、バンドパスフィルター355の出力Y22を反転させた信号Y23を、遅延回路353の出力Y14に加算することで(図11(a)参照)、出力Y14と出力Y23との差を出力する差動手段を構成しており、スピーカSPからの音声成分が打ち消された出力Yaが生成される(図11(b)参照)。そして、D/A変換回路357からは、出力Yaをアナログ変換した音声信号が出力される。
したがって、出力Y14に含まれるスピーカSPからの音声成分と、出力Y22に含まれるスピーカSPからの音声成分とは、上記減衰処理,遅延処理によって同一振幅、同一位相となって、上記加算処理によって互いに打ち消される。すなわち、出力Yaでは、スピーカSPからの音声成分が低減しているのである。
一方、マイクロホンM1,M2前方の話者Hが発する音声に対しては、振動部分53cを話者Hに向かって配置したマイクロホンM2の出力Y21の振幅が、振動部分53cをスピーカSPに向かって配置したマイクロホンM1の出力Y11の振幅よりも大きくなる。さらに、マイクロホンM1からの信号は減衰部352で減衰するので、出力Y22に含まれる話者Hからの音声成分は、出力Y14に含まれる話者Hからの音声成分よりさらに大きくなる。すなわち、出力Y14に含まれる話者Hからの音声成分と、出力Y22に含まれる話者Hからの音声成分との振幅差は大きくなり、加算回路356で上記加算処理を施しても、出力Yaには、話者Hが発する音声に応じた信号が十分な振幅を維持した状態で残る。
なお、マイクロホンM2からの信号は遅延回路353による遅延処理が施されるので、話者Hが発する音声は、マイクロホンM1の信号とマイクロホンM2の信号とで遅延時間Tdだけずれるが、遅延時間Tdはμsec単位であり、通話先の人の耳では、このμsec単位のずれを識別することはできない。すなわち、人の耳に伝達される音声信号としては問題ない。
以上のようにして加算回路356の出力YaではスピーカSPからの音声成分が低減されて、通話装置A前方の話者HからマイクロホンM1,M2に向って発した音声成分は残っており、出力Yaでは、残したい話者Hからの音声成分と、低減したいスピーカSPからの音声成分との相対的な差が大きくなる。すなわち、話者Hからの音声とスピーカSPからの音声とが同時に発生している場合でも、話者Hからの音声成分は十分な振幅を維持しながらスピーカSPからの音声成分のみが低減されるので、スピーカSPの音声出力をマイクロホンM1,M2が拾うことで発生するハウリングを防止することができるのである。
次に、D/A変換回路357が出力する音声信号はエコーキャンセル部35cに出力され、エコーキャンセル部35b,35c(図3参照)では、以下の処理を行うことでさらなるハウリング防止を図っている。
まず、エコーキャンセル部35cは、エコーキャンセル部35bの出力を参照信号として取り込み、信号処理部35eの出力に対して演算を施すことにより、スピーカSPからマイクロホンM1,M2に回り込んだ音声信号をさらにキャンセリングする。一方、エコーキャンセル部35bも、エコーキャンセル部35cの出力を参照信号として取り込み、通信部35aの出力に対して演算を施すことにより、通話先の相手側でのスピーカからマイクロホンへの音声信号の回り込みをキャンセリングする。
具体的には、エコーキャンセル部35b,35cは、スピーカSP−マイクロホンM1,M2−信号処理部35e−エコーキャンセル部35c−通信部35a−エコーキャンセル部35b−増幅部35d−スピーカSPで構成されるループ回路内に設けた可変損失手段(図示無し)での損失量を調節することにより、ループゲインが1以下となるようにしてハウリングを防止するのである。ここで、送話信号と受話信号とのうち信号レベルが小さいほうは重要ではないとみなし、信号レベルが小さいほうの伝送路に挿入された可変損失回路の伝送損失を大きくするようにしている。
ここで、上記マイクロホンM1とICパッケージ35iとの間は、筐体A1の前面内側に形成した導電パターンPTを介して電気的に接続されており(図1(a)(b)参照)、導電パターンPTの生成方法について以下説明する。
本実施形態ではMID(Molded Interconnection Device)成形基板技術を用いて導電パターンPTを形成しており、合成樹脂製の筐体A1の前面内側において、導体パターンPTを形成する部位を含む領域に導体薄膜からなるメッキ下地電極を形成する。このメッキ下地電極は導体パターンPTと一致している必要はなく、導体パターンPTを形成する部位の全体を含んでいればよい。
メッキ下地電極はレーザ照射によってパターニングされ、導体パターンPTとなる部位と他の部位との間が分離される。つまり、導体パターンPTとなる部位の輪郭線に沿ってメッキ下地電極の一部が除去される。次に、導体パターンPTとなる部位に電気メッキによる厚み付けを行って導体パターンPTを形成し、その後、導体パターンPT以外の部位の導体薄膜をエッチングにより除去する。この手順で、導体パターンPTの形状をレーザ照射によるパターニングで決定することができ、導体パターンPTの微細な加工が可能になる。つまり、導体パターンPTを精密に形成することができる。また、別体の給電線、信号線が不要となり、構造の簡易化を図ることができる。
また、マイクロホンM1のみ、あるいはマイクロホンM1,M2の両方を、スピーカSPの振動板73に対向する位置に配置すれば、通話装置Aの小型化を図ることができる。
なお、マイクロホンM1,M2の数は各々1つに限定されるものではなく、状況に応じた複数のマイクロホンを配置して上記同様の処理を行えばよい。
(実施形態2)
実施形態1では、スピーカSPの中心から各マイクロホンM1,M2の中心までの距離X1,X2がX1<X2となるように、マイクロホンM1,M2を配置しているが、本実施形態では、図13に示すように、X1=X2となるようにマイクロホンM1,M2をスピーカSPの振動板73の前方に配置する。
そして、マイクロホンM1は、振動部分53cがスピーカSPの振動板73に対向するように位置決めされ、マイクロホンM2は、振動部分53cが筐体A1の前面内側に対向するように位置決めされる。
したがって、マイクロホンM1は、振動部分53cがスピーカSPに向かって実装されており、通話装置Aの前方に位置する話者Hが発する音声よりも、スピーカSPが発する音声を感度よく集音する。一方、マイクロホンM2は、振動部分53cが前方に向かって配置されており、スピーカSPが発する音声よりも、通話装置Aの前方に位置する話者Hが発する音声を感度よく集音する。そして、信号処理部35eで実施形態1と同様の処理を施すことで、ハウリングを防止することができる。
さらに、マイクロホンM1,M2を、スピーカSPの中心からの距離X1,X2が互いに等しくなるように配置することで、スピーカSPから発せられた音声がマイクロホンM1,M2に達する各到着時間が幅広い周波数帯域で略同一となり、スピーカSPからの音声成分は、加算回路356での加算処理により、幅広い周波数帯域に亘って打ち消される。したがって、出力Yaに含まれるスピーカSPからの音声成分がさらに低減し、ハウリング防止効果がさらに向上する。
また本実施形態では、マイクロホンM1,M2の両方を、スピーカSPの振動板73に対向する位置に配置することで、通話装置Aの小型化を図ることができる。
なお、他の構成は実施形態1と同様であり説明は省略する。
(実施形態3)
本発明の通話装置を用いた配線システム例について以下説明する。
まず、図14に示すように建物内の適所において埋め込み配設している1乃至複数のスイッチボックス2を設け、各スイッチボックス2間に壁面内に先行配線した電力線L1と、情報線L2とを送り配線するとともに、始端のスイッチボックス2に対しては、配線盤1内の主幹ブレーカMBと分岐ブレーカBBとを介して屋内に引き込まれた電力線L1を導入し、また外部のインターネット網NTにゲートウェイGW(ルータ、ハブ内蔵)を介して接続されている情報線L2を導入してある。ここでスイッチボックス2には室内の天井面のようなハイポジションHPに設けられるものと、壁スイッチ等で推奨される高さ位置(ミドルポジションMP)に設けられるものと、足元付近(ローポジションLP)に設けられるものとに区分される。
これらのスイッチボックス2は、例えばJISで規格化された大角形の1個モジュール寸法の埋め込み型の配線器具が3個取り付けることができる1連の取付枠4(図15参照)に対応して規格化されたスイッチボックスからなり、図23に示すように上部から配線盤1または他のスイッチボックス2から送り配線されてくる電力線L1及び情報線L2を導入するとともに、下部からは他のスイッチボックス2へ送り配線するための電力線L1及び情報線L2を導出している。そして各スイッチボックス2には基本機能モジュール8を接続するゲート装置3のボディを夫々取付枠4により取り付けてある。
この取付枠4は図15に示すように中央に器具取り付け用の窓孔4aを設けてあって、この窓孔4aに取り付け対象の器具本体の前部を背方から嵌め、左右両側の枠片に設けた係止手段に器具本体の両側に設けた被係止部を係止させて器具本体を固定するようになっている。そして上下枠片に設けた取付孔4bに挿通する取り付けねじ(図示せず)をスイッチボックス2のねじ孔(図示せず)に締結することで、器具本体ごとスイッチボックス2に取り付けられる。またスイッチボックス2を用いず、埋め込み孔を開口した壁パネルに取り付ける場合には所謂挟み金具で壁パネルを挟持させて取り付けたり、木ねじを用いて取り付けることもできるようになっている。
ゲート装置3は図16に示すようにボディ背面部に速結端子構造の接続端子部5a,5b及び送り配線用の接続端子部5a’、5b’を設け、夫々に対応する電力線L1、情報線L2を接続するようになっている。またボディ前面部には、送られてきた電力線L1と電気的に接続されている接触部を備えた電力路接続口6Aと、送られてきた情報線L2と電気的に接続されている情報路接続口6Bとを有しモジュール化した接続口6を図15に示すように備えている。
これら接続口6A,6Bは両者間の間隔及び内部の接触部の配列、開口部の形状等がシステムとして規格化されており、このゲート装置3のボディ前面部を覆うようにスイッチボックス2の前面開口側に取り付ける図17に示す基本機能モジュール8の背面部に設けたコネクタ7の被接続部7A、7Bが各接続口6A,6Bに着脱自在に結合されるようになっている。
基本機能モジュール8は、後述する拡張機能モジュール10とで機能装置を構成するもので、図17,図18(a)に示す合成樹脂製(ABS等の非結晶性汎用プラスチック)で扁平なモジュール本体8A内に図20に示す回路を内蔵しているもので、背面部のコネクタ7の被接続部7A,7Bをゲート装置3の接続口6A,6Bに結合させることで、スイッチボックス2の前面開口を覆うとともに、周部のフランジをスイッチボックス2の前面開口周辺の壁面に重ねた状態となり、その状態で上、下部の中央に穿孔している取付孔80に取り付けねじ(図示せず)を前面部側から挿通させて取付枠4の上下枠に設けたねじ孔4cに螺入締結することでスイッチボックス2に取付枠4を介して取り付けられる。
またモジュール本体8Aの前面部には、上、下の取付孔80の開口位置より上または下側位置において、図18(a)に示すようにモジュール本体8Aの幅方向に幅広溝81aと幅狭溝81bとからなる連結用溝部81を中央の仕切壁82で左右に二分されるように形成している。
この仕切壁82の左側または右側の連結用溝部81には図18(b)に示す合成樹脂製の連結体100の片側半分を仕切壁82に当たる位置まで嵌め込み、この連結体100の残り半分を図19に示すように拡張機能モジュール10側に同様に設けてある連結用溝部81に嵌め込むことで、基本機能モジュール8と拡張機能モジュール10とを機械的に結合できるようになっている。連結体100は背面に幅広溝81a,幅狭溝81bを仕切る仕切壁81cが嵌る溝100aを設け、両溝81a、81bに跨るように挿入される。そして基本機能モジュール8では前面部側から化粧カバー8Bを着脱自在に被着することで、また拡張機能モジュール10では蓋部83を閉じることで、両者の連結用溝部81に跨るように嵌め込んである連結体100が脱落しないように保持して連結状態を維持するようになっている。而して連結体100と連結用溝部81とが基本機能モジュール8と拡張機能モジュール10との連結手段を構成する。
本実施形態の配線システムでは、機能によって複数の種類の基本機能モジュール8が準備されており、基本機能モジュール8は、図20に示すように、被接続部7Aを介して供給される商用電源ACを、安定した直流電圧からなる内部回路の動作電源+Vに変換するAC/DCコンバータ21と、被接続部7Bを介して接続される情報線L2を通じて双方向に伝送される情報信号を送受信する通信伝送部22と、被接続部7Aを介して商用電源ACに接続される電源用コネクタ9A,9A’と、通信伝送部22、被接続部7Bを介して情報線L2に接続される情報用コネクタ9B,9B’と、通信伝送部22で受信される情報信号からデータを取り込んで処理を行うとともに、当該基本機能モジュール8から他の基本機能モジュール8あるいは拡張機能モジュール10宛、、あるいは情報線L2を介してデータを送る場合のデータ生成処理を行う演算処理部23と、I/Oインターフェース24を介して演算処理部23との間でデータの授受を行って動作する機能部25とから構成され、これら各部は動作電源+Vを前記のAC/DCコンバータ21から供給されるのである。この機能部25の構成が基本機能モジュール8によって異なるのである。
基本機能モジュール8のモジュール本体8Aの両側側面の一方側は雄型の電源用コネクタ9A、情報用コネクタ9Bを、他方側には雌型の電源用コネクタ9A’、情報用コネクタ9B’を設けている。そして、これら電源用コネクタ9A,9A’の接触片に被接続部7Aの接触片を内部で接続することで、左右何れの方向に拡張機能モジュール10が連結されても商用電源ACを供給することができるようにしている。さらに、情報用コネクタ9B,9B’の接触片に通信伝送部22の入出力を接続することで、左右何れの方向に拡張機能モジュール10が連結されても情報信号の授受を行えるようにしている。なお、上記電源用コネクタ9A,9A’は、モジュール本体8Aの両側側面において一端側に偏倚して配置され、上記情報用コネクタ9B,9B’は、モジュール本体8Aの両側側面において他端側に偏倚して配置される。
これら電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’は、内部の接触部の配列、開口部の形状等がシステムとして規格化され、さらには同一面に配置された電源用コネクタと情報用コネクタとの間隔もシステムとして規格化されており、拡張機能モジュール10の後述する電源用コネクタ11A,11A’、情報用コネクタ11B,11B’が着脱自在に結合されるようになっている。
次に、本実施形態の配線システムでは、電力供給を受けて動作する機能によって複数の種類の拡張機能モジュール10が準備されており、拡張機能モジュール10は図21に示すように、電源用コネクタ11A,11A’と、情報用コネクタ11B,11B’と、電源用コネクタ11A,11A’いずれか一方を介して供給される商用電源ACを、安定した直流電圧からなる内部回路の動作電源+Vに変換するAC/DCコンバータ31と、情報用コネクタ11B,11B’を介して双方向に伝送される情報信号を送受信する通信伝送部32と、通信伝送部32で受信される情報信号からデータを取り込んで処理を行うとともに、当該拡張機能モジュール10から基本機能モジュール8あるいは他の拡張機能モジュール10宛、あるいは情報線L2を介してデータを送る場合のデータ生成処理を行う演算処理部33と、I/Oインターフェース34を介して演算処理部33との間でデータの授受を行って動作する機能部35とから構成され、これら各部は動作電源+Vを前記のAC/DCコンバータ31から供給されるのである。この機能部35の構成が拡張機能モジュール10によって異なるのである。
そして、拡張機能モジュール10は、基本的には図22(a)に示すようにモジュール本体10Aの高さ寸法を基本機能モジュール8と同じ高さ寸法に規格化され、また横幅寸法も規格化された単位モジュール寸法の整数倍に規格化されている。
また、合成樹脂製(ABS等の非結晶性汎用プラスチック)で扁平なモジュール本体10Aの両側側面の一方側は雄型の電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bを、他方側には雌型の電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’を設けている。上記電源用コネクタ11A,11A’は、モジュール本体10Aの両側側面において一端側に偏倚して配置され、上記情報用コネクタ11B,11B’は、モジュール本体10Aの両側側面において他端側に偏倚して配置される。これら電源用コネクタ11A,11A’、情報用コネクタ11B,11B’は、基本機能モジュール8の電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’と同様に、内部の接触部の配列、開口部の形状等がシステムとして規格化され、さらには同一面に配置された電源用コネクタと情報用コネクタとの間隔もシステムとして規格化されており、基本機能モジュール8の電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’、あるいは他の拡張機能モジュール10の電源用コネクタ11A,11A’、情報用コネクタ11B,11B’が着脱自在に結合されるようになっている。
具体的には、雄型の電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bは、基本機能モジュール8の雌型の電源用コネクタ9A’、情報用コネクタ9B’、あるいは他の拡張機能モジュール10の雌型の電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’に接続し、雌型の電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’は、基本機能モジュール8の雄型の電源用コネクタ9A、情報用コネクタ9B、あるいは他の拡張機能モジュール10の雄型の電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bに接続する。
そして、モジュール本体10A内ではこれら電源用コネクタ11A,11A’の接触片を互いに接続しており、片側の電源用コネクタが隣接する基本機能モジュール8または拡張機能モジュール10の電源用コネクタに嵌合して電力を受け取る側(受電口)となると、他方の電源用コネクタが電力供給側(給電口)となる。
さらに、情報用コネクタ(情報授受口)11B,11B’の接触片に通信伝送部32の入出力を接続することで、左右何れの方向に基本機能モジュール8や、他の拡張機能モジュール10が連結されても情報信号の授受を行えるようにしており、両側に隣接する基本機能モジュール8または拡張機能モジュール10との間で情報信号を授受できるようになっている。
また、拡張機能モジュール10のモジュール本体10Aの形状は、背面を図22(b)、(c)に示すように平坦な面に形成して壁面に沿わせることができるようにしている。そして上下位置には上述の連結体100を基本機能モジュール8と同様に挿入するための幅広溝81a、幅狭溝81bからなる連結用溝部81を設けるとともに、この連結用溝部81を開閉する蓋部83を設け、連結体100を装着する際や外す場合にはこの蓋部83を開き、連結体100の装着状態を保持する際には上述したように閉じるようになっている(図22(c)参照)。
次に、拡張機能モジュール10の1つの形態である本実施形態の通話装置10aについて説明する。図24,図25に示すように、通話装置10aは、拡張機能モジュール10と同様に、AC/DCコンバータ31、通信伝送部32、演算処理部33、I/Oインターフェース34、機能部35がモジュール本体10A内に収納され、モジュール本体10Aの両側側面の一方側は雄型の電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bを、他方側には雌型の電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’を設けている。
モジュール本体10Aの前面には複数の音孔10Bが穿設されるとともに、通話スイッチSW1,警報解除スイッチSW2を前面に露出させている。
モジュール本体10A内には図25に示すように、機能部35として、スピーカSP、マイクロホンM1(第1のマイクロホン)、マイクロホンM2(第2のマイクロホン)、通話スイッチSW1、警報解除スイッチSW2、通信部35a、エコーキャンセル部35b,35c、増幅部35d、信号処理部35eを備え、実施形態1の通話装置Aと同様の機能を有するとともに、スピーカSP、マイクロホンM1,M2の配置も実施形態1と同様であり、スピーカSPの音声出力をマイクロホンM1,M2が拾うことで発生するハウリングを防止している。
また、当該通話装置10aが配置された部屋内に設置されているセンサ機能を有する基本機能モジュール8あるいは拡張機能モジュール10、あるいは他の部屋から情報線L2を介して警報信号が送信された場合、スピーカSPから警報音を発するが、警報解除スイッチSW2を操作することで警報音出力を解除することができる。
そして、例えば図23に示すように、化粧カバー8Bの前面に操作スイッチSW3の操作部を露出させて照明器具のオン/オフする壁スイッチを構成する基本機能モジュール8bをゲート装置3に接続し、基本機能モジュール8bの右側部には、モジュール本体10Aの前面に時刻表示部35gを露出させて時計機能を有する拡張機能モジュール10bを接続し、拡張機能モジュール10bの右側部には上記通話装置10aを接続することで、壁スイッチ機能、時計機能等の様々な機能装置にインターホン機能を追加することができる。あるいは、予め設置している通話装置10aに新たな拡張機能モジュール10bを接続することができる。
この場合、拡張機能モジュール10bの電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’が、屋内の天井面、壁面、床面に設置されて電力及び情報信号を伝送する少なくとも1系統の配線に電気的に接続された第1の接続部に相当し、通話装置10aの電源用コネクタ11A、情報用コネクタ11Bが、第1の接続部から電力供給を受け、第1の接続部との間で情報信号を授受するための第2の接続部に相当する。さらに通話装置10aの右側部に所定機能を有する拡張機能モジュール(図示無し)を接続すれば、通話装置10aの電源用コネクタ11A’、情報用コネクタ11B’が、拡張機能モジュールに電力を供給し、拡張機能モジュールとの間で情報信号を授受するための第3の接続部に相当する。
したがって、通話装置10aは、予め同一に配線されている電力線L1、情報線L2にゲート装置3、基本機能モジュール8、他の拡張機能モジュール10を介して接続することで、電力路と情報路とを同時に確保でき、新たに配線工事を行う必要がなく、施工性に優れている。また、基本機能モジュール8、他の拡張機能モジュール10と同一の情報線L2を用いることで、通話装置10aと基本機能モジュール8、他の拡張機能モジュール10との間の連動制御を容易に行なうことができ、拡張性に優れたものとなる。
次に、基本機能モジュール8の1つの形態である本実施形態の通話装置8aについて説明する。基本機能モジュール8の機能部25として、図26,図27に示すように、スピーカSP、マイクロホンM1(第1のマイクロホン)、マイクロホンM2(第2のマイクロホン)、通話スイッチSW1、警報解除スイッチSW2、通信部35a、エコーキャンセル部35b,35c、増幅部35d、信号処理部35eを備えれば、上述の通話装置10aと同様の機能を有する通話装置8aが構成される。
モジュール本体8Aの前面には複数の音孔8Cが穿設されるとともに、通話スイッチSW1,警報解除スイッチSW2を前面に露出させている。
そして、基本機能モジュールとして通話装置8a単体で用いることができ、さらには必要に応じて、電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’を介して側部に拡張機能モジュール10を連結すればよい。この場合、ゲート装置3の電力路接続口6A、情報路接続口6Bからなる接続口6が、屋内の天井面、壁面、床面に設置されて電力及び情報信号を伝送する少なくとも1系統の配線に電気的に接続された第1の接続部に相当し、通話装置8aの被接続部7A、被接続部7Bからなるコネクタ7が、第1の接続部から電力供給を受け、第1の接続部との間で情報信号を授受するための第2の接続部に相当する。さらに通話装置8aの右側部あるいは左側部に所定機能を有する拡張機能モジュール(図示無し)を接続すれば、通話装置8aの電源用コネクタ9A,9A’、情報用コネクタ9B,9B’が、拡張機能モジュールに電力を供給し、拡張機能モジュールとの間で情報信号を授受するための第3の接続部に相当する。
したがって、通話装置8aは、予め同一に配線されている電力線L1、情報線L2にゲート装置3を介して接続することで、電力路と情報路とを同時に確保でき、新たに配線工事を行う必要がなく、施工性に優れている。また、他の基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10と同一の情報線L2を用いることで、通話装置8aと他の基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10との間の連動制御を容易に行なうことができ、拡張性に優れたものとなる。
基本機能モジュール8としては上記以外に、コンセント機能を有するものや、モニタ機能を有するものや、スピーカ機能のみを有するもの等がある。
拡張機能モジュール10としては上記以外に、空調機器の運転操作器や、空調機器の温度設定器や、電力供給を利用した電気カミソリ、電動歯ブラシ、携帯オーディオプレーヤ等の充電器、照明器具や空調機器等のリモコン赤外線を有するもの等がある。また音声情報だけでなく、監視カメラ等で撮像した映像の伝送機能や、映像のモニタ機能を有するインターホンの親機,子機もある。
なお、本発明の機能装置を用いる配線システムの情報信号の伝送方式としては、ベースバンド伝送またはブロードバンド伝送の何れを採用しても良く、またプロトコルも何れでも良いが、音声、映像などを用いるインターホンの親機、子機との間にはJT−H232パケットを基づいて音声・映像を相互に送るようし、また制御系においては操作側からの操作データにより1乃至複数を操作できるような1対1または1対Nの対応が可能なユニキャスト、ブロードキャストに対応する経路制御プロトコルを採用すれば良く、特に限定されるものではないので、説明は省略する。またゲート装置3間の使用プロトコルと、ゲート装置3に連なる機能モジュール8,10での使用プロトコルを異ならせ、例えばゲート装置3でプロトコル変換を行うようにしても良い。
而して機能装置を構成する基本機能モジュール8を使用するに当たっては、まず、ゲート装置3を予め建物の適所の壁面に埋設してあるスイッチボックス2に取付枠4を介して取り付け、先行配線されている電力線L1,情報線L2の接続を行う。その後、ゲート装置3の前面部に設けられた電線路接続口6A,6Bに対して基本機能モジュール8のコネクタ7の対応する被接続部7A,7Bを接続するとともに、基本機能モジュール8をゲート装置3の前面部を覆うように取付枠4に取り付ける。この基本機能モジュール8はこの取り付けた状態において壁面よりも前面部が突出し、両側面が室内側に露出することになる。
そして、拡張機能モジュール10は基本機能モジュール8の露出した両側側面の一方に片側の側面を面接させてコネクタ接続し、この状態で連結体100を用いて拡張機能モジュール10と基本機能モジュール8とを機械的に連結する。これによって基本機能モジュール8と拡張機能モジュール10とで機能装置が構成されることになる。このとき拡張機能モジュール10の背面はスイッチボックス2の側方の壁面に沿うことになり、例えば壁面にクロス貼り等が施されている場合、拡張機能モジュール10の背面の位置が多少のずれていてもそれを吸収して背面を壁部に密接させた状態に配設することができ、拡張機能モジュール10の前面部から操作力等が加わっても連結部位に加わる荷重を軽減することができる。
さらに先に連結した拡張機能モジュール10に別の拡張機能モジュール10を連結する場合には、対向側面を面接させてコネクタ接続した状態で連結体100により互いに機械的に連結する。このようにして図23に示すように順次拡張機能モジュール10(10a,10b...)を側方に連結することができる。
なお、基本機能モジュール8は両側に拡張機能モジュール10を連結することができるため、基本機能モジュール8の両側方向に拡張機能モジュール10を連結しても良い。このようにして拡張機能モジュール10を連結した後、両端に位置する拡張機能モジュール10または基本機能モジュール8の連結部位の側部に着脱自在にエンドカバー101を被着することで、拡張機能モジュール10の連結施工が完了することになる。なお、基本機能モジュール8に拡張機能モジュール9を連結しない状態、つまり未使用のまま置いておく場合にはエンドカバー101を基本機能モジュール8の両側部に被着する。
そして、基本機能モジュール8の化粧カバー8Bの上辺,下辺、拡張機能モジュール10(通話装置10a含む)の上辺,下辺に設けた蓋部83、エンドカバー101で構成される枠体は、JISで規格化されたワイドハンドル形スイッチプレート(JIS8316)と略同様の形状を有するもので、既に設置されているワイドハンドル形スイッチ等との見た目の統一感が得られる。なお、この枠体の形状は上記ワイドハンドル形スイッチプレートの形状に限定されるものではなく、JISで規格化された大角形連用配線器具に用いるプレートと略同様の形状であれば、既設のコンセント等の埋込形配線器具との見た目の統一感を得ることができる。
また、基本機能モジュール8,拡張機能モジュール10の横幅方向、高さ方向の寸法は、両側部にエンドカバー101を被着した状態で、JISで規格化された大角形連用配線器具に用いるプレートと同一寸法となるように形成されており、さらに基本機能モジュール8,拡張機能モジュール10の厚さ寸法は同一寸法で各々形成されているので、施工後に別の基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10に容易に交換できる。
また、基本機能モジュール8に連結できる拡張機能モジュール10の数は連結部位に加わる荷重の大きさにより制限があり、また基本機能モジュール8の電力供給能力によっても制限される。
ここで例えば図14に示すように建物内の適所において埋め込み配設している1乃至複数のスイッチボックス2の内、室内の天井面のようなハイポジションHPに設けられたスイッチボックス2のゲート装置3には引掛栓刃接続部60を備えた基本機能モジュール8が接続され、この基本機能モジュール8には人感センサ61等が設けられた拡張機能モジュール9などが連結され、あるいは、ゲート装置3にスピーカSPのみを備えてBGM用の機能等を有する基本機能モジュール8cが接続される。
壁スイッチ等で推奨される室内の壁面のような高さ位置(ミドルポジションMP)に設けられたスイッチボックス2のゲート装置3には照明器具をオン/オフする壁スイッチを構成する基本機能モジュール8bに、時計機能を有する拡張機能モジュール10bや、通話装置10aが連結される。あるいはミドルポジションMPのスイッチボックス2のゲート装置3にはモニタ装置64を備えた基本機能モジュール8を接続している。
さらに床面を含む足元付近(ローポジションLP)に設けられたスイッチボックス2のゲート装置3には電源コンセント部62を備えた基本機能モジュール8が接続され、更に足元灯63を構成する拡張機能モジュール10が連結され、あるいは、ゲート装置3にスピーカSPのみを備えてBGM用の機能等を有する基本機能モジュール8cが接続されている。
以上のようにして配設施工が終了し、システムが完成した後は、対応する基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10間で情報信号の授受を行い、通話装置8a,10aであれば他の部屋の通話装置8a,10aとの間でインターホンシステムを構成し、両者間での通話を可能とするとともに、警報報知等を行う。
また、本実施形態では拡張機能モジュール10や基本機能モジュール8の追加や削除に特別な施工が不要となり、そのため一般ユーザーの好みに合わせて拡張機能モジュール10を基本機能モジュール8に連結するだけで、拡張性が確保される。
なお、本実施形態に用いるゲート装置3は取付枠4でスイッチボックス2に取り付けているが、スイッチボックス2の奥壁に直接取り付け、基本機能モジュール8をスイッチボックス2に取り付ける構成としても勿論良い。
(実施形態4)
上記実施形態3では、ゲート装置3、基本機能モジュール8(通話装置8aを含む)、拡張機能モジュール10(通話装置10aを含む)の間では、コネクタ接続による電力路、情報路が構築されている。
しかし、本実施形態では、コネクタ接続の代わりに磁気結合による非接触で電力を供給して電力路を構成する。具体的には、ゲート装置3、基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10がコネクタの代わりにコアにコイルを巻回した構成を各々備え、互いのコアが磁気結合することで相手側のコイルに低圧交流電源電圧を誘起させて電源供給を行う。ここで商用周波数よりも周波数が高い交流電源をコイルに印加することで、電磁結合部によるトランス構成の小型化を図ることができる。
さらに、ゲート装置3、基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10において、情報信号をE/O変換を経て送り出し、情報信号をO/E変換を経て取り込むことで、光信号からなる情報信号を発光素子、受光素子を用いて非接触で双方向に伝送することができる情報路が構築されることになる。
(実施形態5)
上記実施形態3,4では電力(電源)の送りと、情報信号の受け渡しは別系統で行っているが、本実施形態では、システム全体の情報信号の伝送方式を電力線搬送に行うことで、電力路と情報路との共通化を図ったものである。
つまり各スイッチボックス2での先行配線は電力線L1のみとし、これに対応してゲート装置3の接続口は図15に示す接続口の電力路接続口6Aのみとなり、これに対応する基本機能モジュール8(通話装置8aを含む)のコネクタ7も電力路接続口6Aに対応する被接続口7Aのみとなり、情報用コネクタ9B,9B’も省略される。さらに、拡張機能モジュール10(通話装置10aを含む)も、情報用コネクタ11B,11B’が省略される。
そして、図28に示すように通話装置10a内では、電力線搬送による情報信号を受信し、また情報信号を送信するためのPLCモデム部36と、このPLCモデム部36を介して受信された情報信号のデータ処理を行うとともにPLCモデム部36を介して電力線搬送によって送信する情報信号のデータ生成を行う演算処理部33と、機能部35と、機能部35と演算処理部33との間に設けられるI/Oインターフェース34とを設けている。この演算処理部33、I/Oインターフェース34、機能部35は実施形態3,4におけるものと同じ機能を持つものである。
さらに、上記PLCモデム部36と同様の構成をゲート装置3、基本機能モジュール8、拡張機能モジュール10にも設けておく。
なお、本実施形態で採用する電力線搬送の変調方式としては広帯域スペクトラム拡散方式、マルチキャリア方式、OFDM方式等各種方式の何れでも良いので、ここでは特に説明はしない。
而して本実施形態では、電力路と情報路とが共通であるため、ゲート装置3での接続口が電力路接続口6Aのみとなり、基本機能モジュール8のコネクタ7も一つの被接続部7Aのみとなり、拡張機能モジュール10のコネクタ11も一つの被接続部11Aのみとなるため接続周りの構成のスペースが小さくなる。また基本機能モジュール8や拡張機能モジュール10の内部回路に通信伝送部や、情報用コネクタの構成が不要となり、そのため薄型のモジュール本体8A,10A内の配置スペースにゆとりができる。
また照明器具や空調機器にPLCモデム部を内蔵することで、直接情報信号を照明器具、空調機器に送ることができるため、遠隔制御のための赤外線リモコン信号発信機能を備えた機能モジュールを設ける必要がなくなる。