JP2007188818A - シャドウマスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シャドウマスクを形成する際に、金属薄板からシャドウマスク部材をピッキング等によって切断分離しやすくするために、短辺外枠線部分をあらかじめエッチングによって貫通するように形成すると、シャドウマスク部材が垂れ下がり搬送ローラー等に引っ掛かる虞があったが、このような障害を抑制して高品位なシャドウマスクが得られるシャドウマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】シャドウマスクの製造方法において、金属薄板の有効部19に隣接する短辺側外枠部に、エッチングによって金属薄板の板厚よりも薄い余肉部24を形成し、この余肉部24部分でシャドウマスク部材を金属薄板より切断分離するようにした。
【選択図】図8
【解決手段】シャドウマスクの製造方法において、金属薄板の有効部19に隣接する短辺側外枠部に、エッチングによって金属薄板の板厚よりも薄い余肉部24を形成し、この余肉部24部分でシャドウマスク部材を金属薄板より切断分離するようにした。
【選択図】図8
Description
本発明は、フォトエッチング法を用いたカラー陰極線管用シャドウマスクの製造方法に関する。
一般に、カラーテレビジョン受像機やカラー端末ディスプレイ等に使用されているカラー陰極線管は、図12に示すように、画面が略矩形状を呈するフェースパネル51と、このフェースパネル51に一体的に接合されたファンネル52を有する外囲器を有している。このフェースパネル51の内面には、青、緑、赤に発光する3色蛍光体層を有するブラックマトリクス形またはブラックストライプ形の蛍光体スクリーン53が形成されている。また、外囲器内には、この蛍光体スクリーン53に対向して、センタービーム54G及び一対のサイドビーム54B,54Rからなる電子ビーム54が通過し、色選別を行うためのシャドウマスク55が配置されている。このシャドウマスク55は、マスクフレーム56に固定されると共に、このマスクフレーム56は、フェースパネル51の内側面にスタッドピン(図示せず)を介して取着され、またマスクフレーム56には、磁気シールド板57も取着されている。
更に、ファンネル52のネック58内には、電子ビーム54B,54G,54Rを放出する、例えばインライン型の電子銃59が配設されている。この電子銃59から放出された電子ビーム54B,54G,54Rを、ファンネル52の外側に装着された偏向ヨーク60の発生する磁界によって偏向し、電子ビーム54B,54G,54Rにて蛍光体スクリーン53を水平、垂直方向に走査することによって、蛍光体スクリーン53上にカラー画像を再生表示している。
この偏向ヨーク60は、水平偏向コイルにて発生する水平偏向磁界をピンクッション形に、垂直偏向コイルにて発生する垂直偏向磁界をバレル形とする非斉一磁界として3電子ビーム54B,54G,54Rを自己集中させるセルフコンバーゼンス方式が採用されている。
上記シャドウマスク55は、図13に示すように、略矩形状の金属薄板61に、多数の電子ビーム通過孔62が穿設された構成となっている。この電子ビーム通過孔62の開孔形状には、大別して円形状のドットタイプと、矩形状のスリットタイプの2種類があり、電子銃59側を小孔63、蛍光体スクリーン53側を大孔64とする連通孔65から構成されている。主に文字や図形を表示するディスプレイ用のカラー陰極線管には、主として円形状のドットタイプの電子ビーム通過孔62を有するシャドウマスク55が用いられ、カラーテレビジョン受像機等の民生用のカラー陰極線管には、主として矩形状のスリットタイプの電子ビーム通過孔62を有するシャドウマスク55が用いられている。
このシャドウマスク55には、プレス成形により所定の曲面に形成した後にフレームに溶接等で固定されるプレス方式と、フラットマスクが短軸方向あるいは短軸と長軸の両方向にフレームによって張力を与えられた状態で固定されるテンション方式に大別される。
このプレス方式のシャドウマスク55は、一般にフォトエッチング法によって製造されている。
即ち、図14に示すように、シャドウマスク55の基材となる金属薄板61を脱脂処理手段に供給して、金属薄板61の表面を脱脂洗浄した後に水洗し、その両面に感光剤を塗布して膜厚7〜8μm程度のフォトレジスト被膜を形成する。
次に、この両面のフォトレジスト被膜にシャドウマスク55を構成する大孔64及び小孔63に対応するパターンが形成された一対のフォトマスクを、真空密着焼付装置を用いて装着するとともに露光して、両面のフォトレジスト被膜にフォトマスクのパターンを焼付ける。
次いで、このパターンの焼付けられたフォトレジスト被膜を温水で現像して未感光部を除去し、連通孔65を形成しようとする部分のマスク素材面が露出したレジストパターンを形成する。
次に、このレジストパターンを約200℃でベーキングして、その後に行われるエッチングの耐蝕性を高める。次にレジストパターンの形成された金属薄板61素材面の両面に、60℃以上に加熱された塩化第2鉄溶液からなるエッチング液をスプレーして、金属薄板61の一方の面から大孔64を、他方の面から小孔63をエッチングし、これら大孔64と小孔63とが連通した連通孔65を形成する。
その後、金属薄板61の両面に残存するレジスト被膜を剥離除去して、所定の形状にプレス成形することにより、シャドウマスクが製造される。
これらシャドウマスク55のいずれも、図13に示すように、基本的には、電子ビーム通過孔62を形成する開孔部分の断面形状は、金属薄板61の蛍光体スクリーン53と対向する面側に形成された大孔64と、電子銃59と対向する反対面側に形成された小孔63を有し、これら大孔64及び小孔63が連通した連通孔65として電子ビーム通過孔62が構成されており、この電子ビーム通過孔62は、その大孔64と小孔63との互いの底部が繋がる合致点66が、実質的に電子ビーム通過孔62としての開孔径を決定している。
カラー陰極線管の蛍光体スクリーン53は、シャドウマスク55をフォトマスクとしてフォトリソグラフィー法によって形成されるため、この蛍光体スクリーン53を構成するブラックマトリクスのマトリクスホールやドット状の3色蛍光体層の寸法や形状が、シャドウマスク55の開孔寸法や形状に大きく依存している。シャドウマスク55の開孔寸法や形状のばらつきが、そのまま表示される画像の斑として現れ、画像品位を損なうために、高精細化及び高品質化への強い要求に伴ってシャドウマスク55の開孔寸法の微細化や開孔寸法のばらつきの低減化が計られている。特にカラーディスプレイ用のカラー陰極線管において、このような要求が強い。
また、カラーテレビジョン受像機等の民生用のカラー陰極線管では、画面の大形化が進み、且つ外光の反射が少なく画像歪の少ない平坦な画面を有するフラットスクエア(Flat Square)管が、現在の主流をなしている。しかも最近では、画像を表示するフェースパネル51の外表面を、板ガラスと同様の略完全なフラット形状とした完全フラット管がカラー陰極線管の主流をなしている。
一般に、蛍光体スクリーン53と対向するシャドウマスク55の有孔面は、フェースパネル51の内面形状に対応した形状に形成され、フラットスクエア管のシャドウマスク55は、従来のカラー陰極線管のシャドウマスク55よりもマスク曲率が小さい(曲率半径が大きい)が、完全フラット管では、更にその曲率を小さくすることによってフラット化を達成している。
これらのシャドウマスク55は、板厚0.1mm〜0.3mm程度の非常に薄い金属薄板61から製造されている。このような金属薄板61で大画面対応のシャドウマスク55を形成するためには、電子ビーム通過孔62の配列状態、及びフェースパネル51の内面形状等を考慮しながら、可能な限りシャドウマスク55の曲面を球面に近づけるように設計する等して、長期間に亘りシャドウマスク55の曲面が維持できるように種々の工夫がなされている。
更に、このようなシャドウマスク55を2枚の金属薄板61を全面に、あるいは中央部等に部分的に重ね合わせたプレス方式重畳型シャドウマスクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この方式によれば、シャドウマスクの機械的強度を維持したままで重畳される各々の金属薄板を薄肉化することにある。また、主シャドウマスクに重畳される補助マスクの長軸端外枠部は、重畳させる主シャドウマスクの電子ビームに干渉しないようにする必要があり、このため、補助マスクの長軸端外枠部の端面エッチング(ピッキング)時の板厚方向の突部を少なくなるように形成することが望ましい。
しかしながら、主シャドウマスクの長軸方向がシャドウマスク形成時における搬送ローラー上の進行方向(通板方向)とが平行となる場合において、補助マスクも主シャドウマスクと同じ向きとして電子ビーム通過孔をエッチング処理等によって形成する必要があるが、外枠線部分全体をエッチング除去しておくと、補助マスクのマスク部分が垂れ下がり、この部分が製造工程の搬送ローラー等に引っ掛かって製品不良となったり製品を製造することができない等の問題があった。
これを改善するためには、外枠線部分に保持部材を設けるようにすることが考えられるが、開孔と外枠線までは開孔間の距離(1ピッチ)の半分の距離(1/2ピッチ)しかなく、保持部の強度が強過ぎるとピッキング(破り取り)時に有孔部を破損させてしまうという問題があった。
一方、テンション方式のシャドウマスクは、シャドウマスク自身では曲面を保持する必要がないため、金属薄板の板厚が一般的なプレス方式に対して薄くすることが可能である。また、一般にはフレームへの固定は長辺のみで行なわれるために、プレス方式のようにシャドウマスクの全周に同じような長さのスカート部を持たず、短辺の長軸方向最外列のスロット列と外枠部の距離が短く形成されている。
このようにシャドウマスクを形成する際には、帯状の金属薄板に複数のシャドウマスクをパターニングしてエッチング処理を行なうことにより、有孔部の開孔やシャドウマスク部剤を金属薄板に保持しておくための保持部分を除いた外枠線部分はエッチングによって貫通させておき、シャドウマスク形成工程の最後に保持部をピッキング等の方法によって帯状の金属薄板から分離させることによってシャドウマスク部材を得ている。
しかしながら、金属薄板の板厚が薄い場合、ピッキングによる金属薄板からのシャドウマスク部材の分離作業時に、シャドウマスク部材にシワが発生したり、シャドウマスク部材の有孔部を破損させる虞があり、歩留まりが悪くなる問題があった。
特開2002−304953号公報
従来のプレス方式重畳型シャドウマスクの補助マスクやテンション方式シャドウマスクの短辺部は、電子ビーム通過孔が形成されている有孔部と外枠線までの距離が短いため、帯状の金属薄板帯からのシャドウマスク部材の保持部をピッキングする際に、電子ビーム通過孔を変形させてしまう虞があるために外枠線部分を貫通させておく方が望ましい。
しかしながら、金属薄板帯の通板方向とシャドウマスク部材の短辺が略垂直な配置となっているような場合には、外枠線部分を完全に貫通させてしまうとシャドウマスク部材が金属薄板帯から下方に垂れ下がり、コンベア等の通板ローラー等に引っ掛かって途中で金属薄板帯が切れてしまうという問題が発生した。
このため、短辺の一部にエッチングされない保持部を設けても、保持部の肉厚が厚ければ有孔部がピッキング時に変形し、有孔部を変形させない程度の肉厚にした場合でも、保持部に力が集中して、この部分から切断が発生するという事態が発生していた。
本発明は、これらの課題に対処してなされたものであり、有孔部に変形が発生することを抑制し、製造段階においてもシャドウマスク部材が金属薄板帯部分からローラー等に接触するほどには垂れ下がらないように形成することができるシャドウマスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、帯状の金属薄板に感光剤を塗布してレジストを形成する工程と、このレジスト面を露光、現像して電子ビーム通過孔を設けた有孔部及びこれに連接する外枠部を備えた所定のレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンが形成された金属薄板をエッチングする工程と、このエッチングされた金属薄板をレジスト剥離用の溶液を用いてレジストを除去する除去処理工程からなるシャドウマスクの製造方法において、金属薄板の通板方向と直交する短辺側外枠部に、エッチングによって金属薄板の板厚よりも薄い余肉部を形成し、この余肉部部分でシャドウマスク部材を金属薄板から切断分離することを特徴とする。
本発明のシャドウマスクの製造方法によれば、帯状の金属薄板にシャドウマスク部材を形成しても、シャドウマスク部材の有孔部や外枠部が垂れ下がり、搬送ローラーに引っ掛かるような事態を回避することが可能となり、このためシャドウマスク部材の異常切断やシャドウマスク部材の有孔面にムラが発生する虞がなく、品位の高いシャドウマスクを歩留まりよく製造することができる。
以下、本発明に係るシャドウマスクの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、カラー陰極線管及びシャドウマスクの全体的な構成は、従来の構成と同様な構成を採るので、ここではその詳細な説明は省略する。
図1乃至図3は、本発明に係るシャドウマスクの製造方法によって形成されたプレス方式重畳型のシャドウマスクを示す。
先ず主シャドウマスク11は、鉄材またはインバー材等の板厚0.1〜0.25mm程度の金属材料で構成され、パネルの内面と対向して配置されると共に所定の曲面形状に形成された略矩形状のマスク主面12と、マスク主面12の周縁から管軸方向に沿って電子銃側に延出したスカート部13を備えている。マスク主面12は電子ビーム通過孔として機能する多数の開孔14が形成された矩形状の有孔部15と、この有孔部15を囲むように位置していると共に、開孔を持たない略矩形枠状の無孔部16とを有している。
主シャドウマスク11の各開孔14は、有孔部15の長軸方向を幅方向とする略矩形状に形成されている。そして複数個の開孔14が有孔部15の短軸方向にブリッジを介して直線状に配置されてなる開孔列が長軸方向に所定の配列ピッチPHで多数列設けられている。
一方、補助マスク17は、主シャドウマスク11と同じく板厚0.25mm程度のインバー材から細長い短冊状に形成され、主シャドウマスク11の電子銃側の表面上で有孔部15の短軸近傍の領域に重ねて固定されている。そして補助マスク17は、その長軸方向が主シャドウマスク11の短軸と一致して設けられ、長軸方向に沿った幅が主シャドウマスク11の有孔部15の長軸方向長よりも小さく形成されている。
補助マスク17は、電子ビーム通過孔として機能する多数の開孔18が設けられた有孔部19と、この有孔部19の外側で補助マスク17の長手方向両端部に位置した無孔部20と、各無孔部20から両端方向へ延出した一対のスカート部21を一体に備えている。
この補助マスク17は、その有孔部19及び無孔部20とスカート部21とが主シャドウマスク11の夫々の部位に合致した状態で主シャドウマスク11に固定されるので、主シャドウマスク11の短軸上の領域は主シャドウマスク11と補助マスク17との2重構造となっている。このように主シャドウマスク11と補助マスク17とを重ねて2重構造とすることにより、シャドウマスク22全体としての強度、特に短軸付近の強度が向上し、マスク曲面強度を上げることが可能となる。
このような主シャドウマスク11及び補助マスク17からなるシャドウマスク22は、図4に示す工程によって形成される。
まず、例えば板厚が約0.15mmのアンバー材等からなる帯板状の金属薄板を搬送ローラーを介して脱脂処理装置に供給し、金属薄板の両面を脱脂用の処理液をノズルから金属薄板にスプレーして、金属薄板の両面を洗浄し(工程A)、次いで水洗して処理液を洗い流す(工程B)。その後、この金属薄板の両面にカゼインを主成分として、これを重クロム酸アンモニウムで増感した感光剤を塗布し、この塗布された感光剤を約100℃で乾燥して、厚さが約5μmのレジスト被膜を形成する(工程C)。
次に、そのレジスト被膜上に大孔に対応するスリット状のパターン、及び小孔に対応するスリット状のパターン並びに外枠線に対応するパターンが形成された一対のフォトマスクを形成するネガ原版を密着し、例えばこれらから約1m離して配置された5kwの水銀ランプによって約30秒間露光して、その両面のレジスト被膜にネガ原版のパターンを焼付ける(工程D)。
そして、その後にレジスト被膜に約40℃の温水をスプレーして現像し、未感光部を除去することによって、一対のネガ原版のスリット状パターンに対応するパターン及び外枠部を持つレジスト被膜を形成する(工程E)。更に、このレジスト被膜を約150℃で乾燥し、次いで約200℃でベーキングする(工程F)。
しかる後に、大孔のスリット状パターンのネガ原版に対応する大径のパターンが形成されたレジスト被膜側及び反対面側の小孔のスリット状パターンが形成されたレジスト被膜側並びに外枠部にエッチング液をスプレーし、スリット状パターンに対応する孔並びに外枠部側端に余肉部を形成する(工程G)。
次いで、そのレジスト被膜に水酸化ナトリウムからなる処理液をスプレーして、レジスト被膜を剥離し水洗する(工程H)。
その後、水洗及び乾燥させることにより、大孔と小孔とが連通した連通孔からなる所定の形状及び大きさの電子ビーム通過孔が形成された主シャドウマスク用のシャドウマスク部材(フラットマスク)を得る。この後に帯状の金属薄板からシャドウマスク部材をピッキング等の手段を用いて金属薄板から切断分離して取り出すようにしている。
一方で、補助マスクも同様な工程で形成され、補助マスク用のシャドウマスク部材(フラットマスク)を得ている。次いで、この補助マスク用のシャドウマスク部材を主シャドウマスク用シャドウマスク部材の短軸上に正確に位置を合わせて、両者を拡散接合やレーザー、抵抗溶接等の手段にて密着固定した後に、両者を同時にプレス成形することによって所定の曲面形状に形成し、表面に酸化膜を形成するマスク黒化処理を施してシャドウマスクを完成させる。このシャドウマスクをマスクフレームと組合せてカラー陰極線管用のシャドウマスクとして内蔵させることになる。
このように補助マスク17を設けることにより、シャドウマスク22の最も変形し易い画面中央近傍の変形を抑制することが可能となり、結果的にマスク曲面強度を向上させることができ、シャドウマスク22の変形を防止したカラー陰極線管を得ることができる。
このように本発明に係る製造方法にて補助マスク17を製造した場合の鉄板切れと有孔部の変形を測定した評価結果を表1に示す。
なお、ここでは板厚0.18mmの帯状の金属薄板にエッチング工程通板時の進行方向とスロット列が垂直に補助マスク17をパターニングした場合に、有孔部19に隣接する短辺外枠部23部分を金属薄板の両面からエッチングを施して0.015mmの余肉部24を形成した場合を実施例1としている。この余肉部24の厚さは金属薄板の板厚の約8.3%に相当している。
この実施例1に対応させるために、図5に示すように、有孔部19に隣接する短辺外枠部23部分をエッチングにより余肉部24を形成することなく全て貫通させた場合を比較例1として記載している。同様に、図6に示すように、有孔部19に隣接する短辺外枠部23に幅5mmの保持部26を4ヶ所持たせた場合を比較例2として記載しており、これら実施例1及び比較例1,2を測定している。
この表1からも解るように、鉄板切れせずに、しかも有孔部19の変形もなくサンプルを取得できたのは実施例1のみである。比較例1の場合には、短辺外枠部23を貫通させた部分が通板中にエッチングマシンのローラーに引っ掛かってしまい鉄板切れが発生し製品を得るまでに至らなかった。比較例2の場合には、鉄板切れは発生しなかったものの、ピッキング工程において有孔部19の最外列が破損して製品を得ることができなかった。
ここで実施例1のピッキング後の外枠部23部分の断面は、図3(b)に示すように、余肉部24を設けている関係で、外枠部23の板厚方向中断部分が外側方向に向けて突出した突部25を有する形状となっている。これは余肉部24を金属薄板の両面側方向から同じエッチングスピードでエッチングをして金属薄板の厚さ方向の中央部分に余肉部24を形成しているからに他ならない。仮に何れか一方側からだけしかエッチングを行なわなかった場合には、余肉部24はエッチングの進行方向とは反対側の面に連接して形成されるようになる。このため、余肉部24を所定の厚さで残すための板厚のコントロールが難しく、またサイドエッチングも進行してしまう等の問題があり、更にピッキング時に開孔が引っ張られて破れる虞が強いという問題がある。このために、余肉部24は可能な限り板厚の中央付近に存在するように設定した方が好都合であり、余肉部24の厚さや位置は金属薄板表面のエッチング用線幅を変えることによってコントロールすることが可能である。
この結果、本発明に係る製造方法によって製造することが有利で大きな効果を発揮していることが判る。
ここで、余肉部24について考察すると、板厚0.25mmの金属薄板に対して余肉部24を0.09mm以上となるように設定した場合に、外部エッジ部が波打ったようになる状態、いわゆる耳波が発生することが判明したので、この余肉部24の厚さは金属薄板の板厚の35%以下(但し、0%は含まない)となるように設定すると好適である。
次いでテンション方式シャドウマスクについて説明する。
図7はスロットテンション方式シャドウマスクの平面図を示しているもので、板厚0.13〜0.15mmの金属薄板で形成され、外枠部23は6〜8mm程度の幅を有している。電子ビーム通過孔27のピッチは1.0mmで外枠部23と最外側の電子ビーム通過孔27との間隔は0.3〜0.4mm程度に形成されている。
ここで、板厚0.15mmのスロットテンション方式シャドウマスクを本発明に係る製造方法によって製造した実施例2及び3と、比較例3及び4との測定結果を表2に示す。
ここでの実施例2は、図8に示すように、有孔部に隣接する短辺外枠部23に0.04mm厚の余肉部24を設けた場合を示し、また実施例3は、図9に示すように、有孔部19に隣接する短辺外枠部23の4ヶ所に幅5mmで厚さが0.08mmの余肉部24を設けると共に、残余の部分を厚さ0.04mmとした余肉部24として形成した場合を示している。
一方、比較例3は、図10に示すように、有孔部19に隣接する短辺外枠部23を全て貫通させた場合を示し、比較例4は、図11に示すように、短辺外枠部23の4ヶ所に幅5mmで厚さが金属薄板と同じ厚さの0.15mmに設定された保持部26を持たせた場合を示している。
実施例2及び3共に鉄板切れ及び有孔部19変形も発生せず良好な製品を得ることができた。これに対して比較例3及び4は、両者共に鉄板切れは発生しなかったものの比較例3では有孔面19にシワが発生してしまい良好な製品が得られなかった。
一方、比較例4の場合には、有孔面19でのシワの発生と併せてピッキング時のスロット列の一部に破損が発生し、良好な製品を得ることがならなかった。
また、ピッキング後の外枠部23の断面は、図3に示す実施例1の場合と同様に板厚の中間に外側に向かう突部25が形成された形状となる。
なお、上記説明では、補助マスク17を主シャドウマスク11の電子銃側に配置した場合について説明しているが、補助マスク17は主シャドウマスク11の蛍光体スクリーン側に配置された構成としても同様な効果を発揮することができる。
11:主シャドウマスク
12:マスク主面
17:補助マスク
23:外枠部
24:余肉部
25:突部
12:マスク主面
17:補助マスク
23:外枠部
24:余肉部
25:突部
Claims (3)
- 帯状の金属薄板に感光剤を塗布してレジストを形成する工程と、このレジスト面を露光、現像して電子ビーム通過孔を設けた有孔部及びこれに連接する外枠部を備えた所定のレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンが形成された金属薄板をエッチングする工程と、このエッチングされた金属薄板をレジスト剥離用の溶液を用いてレジストを除去する除去処理工程からなるシャドウマスクの製造方法において、
前記金属薄板の通板方向と直交する短辺側外枠部に、エッチングによって金属薄板の板厚よりも薄い余肉部を形成し、この余肉部部分でシャドウマスク部材を金属薄板から切断分離することを特徴とするシャドウマスクの製造方法。 - 前記余肉部は、金属薄板の両側からエッチングして形成することを特徴とする請求項1記載のシャドウマスクの製造方法。
- 前記余肉部は、金属薄板の板厚の35%以下となるように設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のシャドウマスクの製造方法。
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JP2006007380A JP2007188818A (ja) | 2006-01-16 | 2006-01-16 | シャドウマスクの製造方法 |
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