本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、一例として、入力装置と出力装置とが一体になっているタッチパネルを備えたマルチファンクションプリンタ(複写機)に、本発明の文字入力装置を適用した場合について説明する。しかし、本実施形態で説明する複写機は一例であって、本発明の文字入力装置を、携帯電話、携帯端末、パソコン、リモコンなどに適用することも可能である。
また、本実施形態では、ピンイン表記(アルファベット列)から中国語(簡体字)を入力可能な文字入力装置について説明するが、本発明の文字入力装置は中国語に限定されず、種々の表音文字から所望の表意文字を得られるものである。なお、上記ピンイン表記について、中国語には本来、4種の異なる発音を表す四声が存在するが、説明の簡略化のために四声の概念を省略して説明する。
〔実施形態1〕
(マルチファンクションプリンタの構成)
図2は、本発明の文字入力装置1を適用したマルチファンクションプリンタの概略構成を示すブロック図である。
マルチファンクションプリンタは、図2に示すとおり、制御部10、操作パネル(タブレット)2、一時記憶部3、記録部40、画像読取ユニット4、画像転写ユニット5、紙送りユニット6を備えている。なお、ここで説明するマルチファンクションプリンタの構成は、本発明を実施するための一例として示すものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
制御部10は、マルチファンクションプリンタを統括制御するものである。制御部10は、記録部40に記録されている各種プログラムを読み出して、複写機としての機能を果たす、画像読取ユニット4、画像転写ユニット5、および、紙送りユニット6などを制御し、複写などの処理を行う。また、本発明に係る文字入力処理を行うための各部もこの制御部10に含まれている。
記録部40は、操作パネル2、複写機として動作するための上述の各種ユニットの制御プログラム、および、文字入力装置1の制御プログラムを記録するものであり、ROM(read only memory)などの不揮発性記憶素子で実現される。
一時記憶部3は、プログラムを処理するための作業領域、読取画像の一時記憶に利用されるほか、本実施形態では、文字入力処理時の学習文字(列)などの一時記憶に利用される。RAM(random access memory)などの揮発性メモリで実現される。
操作パネル2は、ユーザがマルチファンクションプリンタに対して各種処理の実行を指示するためのものである。例えば、表示装置と入力装置とが一体に形成されたタッチパネルや、表示一体型タブレットで実現される。さらに、表示一体型タブレットを用いて筆記された文字を認識する手書き文字認識機能を備えていてもよい。また、ユーザが表示一体型タブレットの指示した位置に基づいて、その指示された文字、文字列、その他機能キーなどの情報を検出する機能を備えている。
ユーザは、操作パネル2に表示された、アルファベット(表音文字)に対応する各キーにペンや指などで軽く触れることにより、所望のアルファベットをマルチファンクションプリンタに入力することが可能となる。
あるいは、上記マルチファンクションプリンタは、操作パネル2に加えて、キーボード(第1入力部/第3入力部)7(例えば、PCで使用する汎用キーボード)を備えていてもよい。この場合、操作パネル2の表示されるキー、および、キーボード7のキーのいずれを用いてもアルファベットを入力することが可能となる。表音文字を入力するためのキーを備えた入力部(第1入力部)を、操作パネル2およびキーボード7の両方で同時に実現することもできるし、キーボード7のみで実現することもできる。あるいは、表音文字の入力を操作パネル2で行うか、キーボード7で行うかを切り替えられる構成としてもよい。
以下、上記文字入力処理を行う本発明の文字入力装置1について、さらに詳細に説明する。
(文字入力装置の構成)
図1は、本実施形態に係る文字入力装置1の要部構成を示すブロック図である。文字入力装置1は、図1に示すとおり、操作パネル2、制御部10、記録部40、および、一時記憶部3を備えた構成となっている。
操作パネル2は、上述したように、表示装置と入力装置とが一体に形成されたタッチパネルで実現されている。
表示部12は、ユーザに各種情報を提供するものである。図3は、操作パネル2に表示される文字入力処理時の操作画面の一例を示す図である。図3に示すとおり、表示部12には、ユーザが文字を入力するためのキーボードを表示する文字入力領域121、入力の候補として挙げられている文字(または、文字列)を表示する候補文字(列)表示領域122、および、すでに入力が完了し確定している入力確定文字を表示する確定文字(列)表示領域123が表示されている。入力部11は、ユーザが中国語発音表記のピンイン(表音文字列)を入力するためのものであり、文字入力領域121に表示されたアルファベットのキーがユーザにより押下されると、パネル上のその押下位置に対応するアルファベットの信号が、文字入力装置1の入出力制御部20に入力される。また、入力部11は、ユーザが入力を確定させたい文字を選択するためのものでもある。候補文字表示領域122に表示されている漢字(表意文字)が押下されると、その押下位置に表示されている漢字の信号が、入出力制御部20に入力され、該漢字の入力が確定する。
制御部10は、内部に入出力制御部20および文字入力制御部30を有している。入出力制御部20は、操作パネル2と制御部10との間でやりとりされる信号の入出力を制御するものであり、アルファベット入力受付部21、表示制御部(表示制御手段)22、および、候補選択受付部23を含んでいる。文字入力制御部30は、文字入力処理を実行するものであり、候補抽出部(文字候補抽出手段/文字列候補抽出手段)31、候補順序決定部(候補順序決定手段)32、および、文字確定部(文字入力確定手段)33を含んでいる。なお、制御部10内の各部は、コンピュータの中央演算装置(CPU)およびCPUによって実行されるソフトウェアにより実現される。このソフトウェアも、上述の記録部40に格納され、一時記憶部3に読み出されてCPUにより実行される。
入出力制御部20のアルファベット入力受付部21は、入力部11から入力されたアルファベットの信号を受け付けて、候補抽出部31に供給するものである。表示制御部22は、表示部12の文字入力領域121、候補文字表示領域122、および、確定文字表示領域123の各々に表示すべき情報が表示されるよう表示部12を制御するものである。候補選択受付部23は、入力部11から入力された、候補文字表示領域122内の選択された候補漢字の信号、および、該選択された候補漢字の入力を確定する指示信号を受け付けて、文字確定部33に供給するものである。
文字入力制御部30の候補抽出部31は、入力されたアルファベット(列)に基づいて、候補となる漢字を記録部40の漢字辞書記録部(文字記録部)41から抽出するものである。より詳細には、まず、入力されたアルファベット(列)に対応するピンインを特定して、特定した各ピンインに対応する漢字を、候補漢字として抽出する。候補抽出部31は、抽出した候補漢字を、内部バッファ(不図示)に記憶し、候補順序決定部32および表示制御部22に候補漢字の表示を指示する。
候補抽出部31が参照する漢字辞書記録部41には、アルファベット(列)−ピンイン−漢字が対応付けて記録されている。漢字辞書記録部41の詳細は後述する。
候補順序決定部32は、候補抽出部31が抽出した候補漢字の表示順序を、所定の条件に基づいて決定するものである。表示順序とは、図3に示すように、候補文字表示領域122に候補漢字を表示する順序のことである。抽出されたすべての候補漢字が候補文字表示領域122内に一度に表示できる場合、順序が上の候補漢字ほど、候補文字表示領域122の上部に表示されるようにし、ユーザが選択しやすいようにすればよい。また、候補漢字が一度に表示できる数を上回る場合は、下位に続く順序の候補漢字を表示するようページを切り換えるようにしてもよい。この場合でも、順序が上の候補漢字ほど初めのページに表示されるようにして、上位の候補漢字ほどユーザに選ばれやすいようにしておく。したがって、候補順序決定部32は、抽出された候補漢字を、所定の条件に基づいてユーザに選択されやすいものから順に表示されるよう順序を決定する。どのような条件に基づいて候補漢字の順序を決定するのかについては後に詳しく説明する。
文字確定部33は、入力部11より入力されたユーザが選択した候補漢字の信号、および、該選択された候補漢字の入力を確定する指示信号を、候補選択受付部23より受け取り、ユーザにより選択された上記候補漢字の入力を確定させるものである。まず、選択された候補漢字は、確定前の選択されている状態を示す下線とともに、確定文字表示領域123に表示させる。さらに、入力確定の指示信号に応じて文字確定部33が確定した候補漢字は、入力確定文字として下線が付されない状態で、表示制御部22を介して確定文字表示領域123に表示される。
(漢字辞書)
次に、漢字辞書記録部41に記録される漢字辞書について説明する。図4は、候補抽出部31が候補漢字を抽出するときに参照する、漢字辞書記録部41に記録されている漢字辞書の例を示す図である。
図4に示すとおり、本実施形態における漢字辞書140は、アルファベット入力受付部21が受け付けたアルファベット(列)とピンインとの対応付けを記録した、アルファベット−ピンイン対応表(A/P対応表141)、および、ピンインと漢字との対応付けを記録した、ピンイン−漢字対応表(P/C対応表142)とを含んでいる。これにより、入力されたアルファベット(列)に対応する候補漢字を直接抽出することが可能となる。
具体的には、例えば、ユーザが「
(以下の記載では、文字“毎”を代用する)」(ピンインは「mei」)という漢字を入力したいために、入力部11を用いて、まず「m」のキーを押下したとする。アルファベット入力受付部21より「m」の信号が供給されると、候補抽出部31は、まず、漢字辞書140のA/P対応表141から、「m」と前方一致するピンイン(図4の例では、「ma」と「mei」)を特定し、該ピンインに対応する漢字が記録されている、P/C対応表142のアドレスを検出する(「cp_ml」と「cp_mi」)。
続いて、P/C対応表142の「cp_ml」と「cp_mi」とに基づいて、候補抽出部31は、「m」と前方一致のピンインに対応する漢字(
、麻、没、・・・毎、
・・・)を抽出する。抽出された漢字は、上述したとおり、候補漢字として候補順序決定部32に供給される。ここで、ユーザによりさらに「mei」と入力された場合には、候補抽出部31は、「mei」と前方一致する漢字に絞り込んで、漢字辞書記録部41から候補漢字を抽出する。
上記構成によれば、候補抽出部31は、ユーザが入力したアルファベットを受け付けて、そのアルファベットを含む、ピンインを特定する。候補抽出部31は、特定したピンインに基づいて、ユーザが入力したいと所望する漢字の候補を漢字辞書記録部41から抽出することができる。
候補順序決定部32は、上記候補抽出部31が抽出した漢字の候補を所定の条件に基づいて並べ替え、候補の表示順序を決定する。表示制御部22は、漢字の候補が、上記候補順序決定部32が決定した表示順序で表示されるよう表示部12を制御する。
最後に、ユーザが表示された入力したい候補漢字の中から、所望の漢字を指定すると、文字確定部33は、指定された漢字の入力を確定させる。
これにより、所望の漢字を得るための入力操作を簡素化することが可能となる。
また、候補抽出部31が抽出する候補となる漢字は、ユーザのアルファベット入力操作により、外部記憶装置(図示せず)への記憶および外部記憶装置からの読込みが行えるようになっていてもよく、読み込まれた漢字を、候補を表示する際に利用するようにしてもよい。
(変形例1−候補熟語の出力)
さらに、本発明の文字入力装置1は、某漢字が入力確定文字として選択されたのち、該漢字から始まる1つの意味を持つ漢字列(以下、熟語(表意文字列)と称する)を候補熟語として、候補文字表示領域122(図3)に表示することが好ましい。これにより、ユーザは、上記某漢字とともに熟語を形成し得る漢字を候補文字表示領域122において得ることができるので、続く漢字のピンインを別途入力しなくても、所望の漢字を得ることが可能となる。したがって、所望の漢字を得るための入力操作を簡素化することが可能となる。
図5は、候補熟語を出力する文字入力装置1の要部構成を示すブロック図である。なお、図5の各構成要素に付された符号は、図1の各構成要素に付された符号に対応しており、同じ符号は、同じ構成要素を示している。したがって、上述の各実施形態ですでに説明した構成要素についての説明は繰り返さない。図5に示す文字入力装置1において、図1と異なる点は、文字確定部33から候補抽出部31に制御信号が伝達される点と、記録部40に熟語辞書記録部(文字列記録部)42が含まれている点である。
文字確定部33は、ユーザにより選択された漢字(または、入力確定文字)が候補選択受付部23を介して入力されると、続いて、候補抽出部31に対して、当該選択されたから始まる熟語を抽出する指示を送る。
候補抽出部31は、上記の指示に基づいて、上記選択された漢字から始まる熟語を、候補熟語として熟語辞書記録部42から抽出する。図6は、操作パネル2の表示部12に表示される候補熟語の例を示す図である。図6に示す例では、漢字「毎」が選択されているときに、「毎」から始まる熟語が、候補熟語として表示部12の候補文字表示領域122に表示されている。
候補抽出部31が参照する熟語辞書記録部42には、漢字−熟語が対応付けて記録されている。図7は、熟語辞書記録部42が記録する熟語辞書の例を示す図である。図7に示すとおり、本実施形態における熟語辞書は、漢字辞書記録部41に記録されている漢字と、該漢字から始まる熟語との対応付けを記録した、漢字−熟語対応表(C/I対応表143)を含んでいる。これにより、選択された漢字に対応する候補熟語をさらに抽出することが可能となる。
具体的には、例えば、ユーザにより、漢字「毎」が選択されると、候補抽出部31は、P/C対応表142(図4)の「毎」のアドレスを検出する(「wp_mi+j」)。続いて、熟語辞書記録部42を参照し、アドレス「wp_mi+j」に基づいて、「毎」から始まる熟語(毎月、毎天・・・)を抽出する。抽出された熟語は、上述の構成と同様に、候補熟語として候補順序決定部32に供給され、候補文字表示領域122に表示される(図6)。
ある漢字が入力されると、その漢字の次に続く文字(ユーザが所望する漢字)は、何の脈絡もない漢字よりも、その漢字から始まる熟語を構成する漢字である可能性が高い。したがって、入力が確定された漢字から始まる熟語を候補として表示すれば、ユーザは、その熟語の候補の中から所望の熟語を選択するのみで、別途ピンインを入力することなく、中国語を入力することが可能となる。これにより、ユーザは、ピンインの入力に係る操作数について、さらに少ない操作数で、所望の漢字の入力を得ることが可能となる。
(フローチャート)
次に、本発明の文字入力装置1(図5)の処理の流れを、図21に示すフローチャートと、図22に示す操作パネル2上の候補文字表示領域122および確定文字表示領域123の表示例に基づき説明する。以下では、ユーザが、「毎天到郊外散歩」を入力しようとした場合について説明する。
ユーザが操作パネル2の入力部11からアルファベット(漢字「毎」(mei)のピンインの先頭アルファベット「m」)を入力すると(S201のYES)、アルファベット入力受付部21は、入力されたアルファベット「m」の信号を、候補抽出部31に供給する。次に、候補抽出部31は、入力されたアルファベットに対応するピンインを特定し、特定したピンインに対応する漢字を、候補漢字として漢字辞書記録部41から抽出する(S202)。
候補順序決定部32は、所定の条件に基づいて上記抽出された候補漢字の表示順序を決定する(詳細は後述)(S203)。続いて、表示制御部22は、候補順序決定部32が決定した表示順序でn個の候補漢字を表示するよう表示位置を定め、上記候補漢字を表示部12に出力し、ユーザに提示する(S204)。図22(a)に、n=5として、漢字候補を5個づつ表示する場合の表示例を示す。
ここで、ユーザにより、1度目に候補文字表示領域122に表示された漢字以外の次候補漢字を表示する指示(図22(a)に所望の漢字「毎」がないので、例えば、「次候補表示」のボタンを押すなどする)が入力されると(S205のNO、S206のYES)、S204に戻り、表示制御部22は、次の候補漢字のリストを表示する(図22(b))。さらに、次候補漢字の表示指示も、候補漢字の選択指示も入力されず(S205、S206においてNO)、新たにアルファベットが入力された場合には、S202に戻り、候補抽出部31は、これまでに入力されたアルファベット列に対応するピンインをさらに絞り込んで特定し、特定したピンインに対応する漢字を、候補漢字として抽出する。
一方、ユーザが、入力部11を介して、候補文字表示領域122に表示された所望の漢字「毎」(図22(b)の“3011”)を選択すると(S205のYES)、候補選択受付部23は、選択された候補漢字「毎」の信号を受け付けて、文字確定部33に供給する。
文字確定部33は、選択された「毎」を表示するよう表示制御部22に指示するとともに、候補抽出部31に対して、次に「毎」から始まる熟語を抽出するよう指示する。候補抽出部31は、続いて、「毎」から始まる熟語を候補熟語として熟語辞書記録部42から抽出する(S207)(図22(c))。
候補順序決定部32は、所定の条件に基づいて上記抽出された候補熟語の表示順序を決定する(詳細は後述)(S208)。続いて、表示制御部22は、候補順序決定部32が決定した表示順序にて上記候補熟語を表示部12に出力し、ユーザに提示する(S209)。
ここで、ユーザにより、次候補熟語を表示する指示が入力されると(S210のNO、S211のYES)、S209に戻り、表示制御部22は、次の候補熟語のリストを表示する。さらに、次候補熟語の表示指示も、候補熟語の選択指示も入力されず(S210、S211においてNO)、新たにアルファベットが入力された場合には、S202に戻り、候補抽出部31は、これまでに入力されたアルファベットに対応するピンインを特定し、特定したピンインに対応する漢字を、候補漢字として抽出する。
一方、ユーザが、入力部11を介して、候補文字表示領域122に表示された所望の熟語「毎天」(図22(c)の“020”)を選択すると(S210のYES)、候補選択受付部23は、選択された候補熟語「毎天」の信号を受け付けて、文字確定部33に供給する。
文字確定部33は、選択された候補熟語を表示するよう表示制御部22に指示し、表示制御部22は、選択された候補熟語を表示部12に表示する(S212)(図22(d))。同時に、候補抽出部31に対して、次に該候補熟語から始まる熟語を抽出するよう指示する。文字の入力を終了する指示が入力されなければ(S213のNO)、候補抽出部31は、S207に戻り、上記選択された候補熟語から始まる熟語を候補熟語として熟語辞書記録部42から抽出する。
ユーザの次の所望の漢字「到」が候補漢字として表示されない場合、ユーザは、「到」(dao)の先頭ピンイン「d」を入力することができる(S211のNO、S201のYES)(図22(e))。以降同様の処理を繰り返し、所望の漢字を入力することが可能となる。
選択された候補熟語が選択されたのち(「散歩」まで入力が確定されたのち)、文字の入力を終了する指示が入力されれば(S213のYES)、処理を終了する。
(変形例2−学習機能)
さらに、本発明の文字入力装置1は、ユーザの選択により入力が確定された漢字(熟語)を記録する構成を備えていることが好ましい。これにより、文字入力装置1は、過去に入力した漢字、つまり、ユーザが使用したことのある漢字の記録に基づいて、候補漢字を表示することができる。過去に使用された漢字は、ユーザによって再度使用される可能性は大きい。したがって、そのような使用履歴が反映された候補漢字の一覧を用いることにより、ユーザは少ない操作数で所望の漢字を得ることが可能となる。
図8は、学習機能を備えた文字入力装置1の要部構成を示すブロック図である。なお、図8の各構成要素に付された符号は、図1の各構成要素に付された符号に対応しており、同じ符号は、同じ構成要素を示している。したがって、上述の各実施形態ですでに説明した構成要素についての説明は繰り返さない。図8に示す文字入力装置1において、図1と異なる点は、文字入力制御部30が、さらに、学習制御部(学習制御手段)34を有している点と、記録部40に学習辞書記録部(学習語記録部)43およびペア学習辞書記録部(学習語記録部)44が含まれている点である。
学習制御部34は、ユーザの指示により、文字入力装置1に入力(使用)された漢字の記録(学習)を制御するものである。具体的には、ユーザにより使用された漢字を学習漢字として、学習辞書記録部43に格納したり(以下、単独学習(機能)と称す)、または、ユーザにより使用された漢字を、直前に入力されている漢字と関連付けてペア学習辞書記録部44に格納したり(以下、ペア学習(機能)と称す)する。ユーザにより過去に入力されたことのある漢字は、ユーザによって再度使用される可能性が大きいので、そのような学習漢字を候補漢字として利用することにより、ユーザがより少ない操作数で所望の漢字を得る確率が高まる。
学習辞書記録部43は、ユーザにより過去に使用された漢字(入力確定文字)を単独学習漢字として記録するものである。学習辞書記録部43に記録される学習辞書には、その単独学習漢字が記録された日時の情報や、使用頻度の情報(過去に何回使用されたか、所定期間内に何回使用されたかなど)が、漢字ごとに対応付けて記録されていてもよい。
学習制御部34は、文字確定部33から、ユーザにより選択された候補漢字の信号を受け取ると、一時記憶部3に該選択された候補漢字を書き込む。学習制御部34は、文字確定部33が確定指示信号に応じて入力を確定させたとき、文字確定部33より当該入力確定文字の単独学習処理の指示を受け付ける。学習制御部34は、一時記憶部3から、上記候補漢字を内部バッファに読み出し、一時記憶部3から読み出された候補漢字の削除および内容の更新を行う。そして、内部バッファに記憶した候補漢字を単独学習漢字として学習辞書記録部43に記憶する。
ペア学習辞書記録部44は、ユーザにより過去に使用された漢字を、当該漢字がどの漢字に続いて確定されたのかを示す情報(直前漢字)と関連付けて、ペア学習漢字として記録するものである。直前漢字は、すでに学習辞書記録部43において単独学習漢字として記録されている。ペア学習辞書記録部44に記録される学習辞書には、そのペア学習漢字ごとに、上記直前漢字が関連付けて記録される。この漢字のペアごとに、記録された日時の情報や、使用頻度の情報を対応付けて記録してもよい。
学習制御部34は、文字確定部33より入力確定文字のペア学習処理の指示を受け付ける。学習制御部34は、一時記憶部3から、上記入力確定文字と、その直前漢字とを内部バッファに読み出し、一時記憶部3から読み出された文字列の削除および内容の更新を行う。そして、内部バッファに記憶した入力確定文字を直前漢字と関連付けて、ペア学習漢字としてペア学習辞書記録部44に記憶する。
なお、上記では、学習辞書記録部43およびペア学習辞書記録部44において、各学習辞書が漢字ごとに記録される構成について説明したが、これに限定されない。上記構成に加えて、熟語を辞書に記録する構成としてもよい。すなわち、学習制御部34の単独学習機能により、使用された熟語が、学習辞書記録部43に記録されるようにしてもよい。例えば、「給水」という熟語が使用された場合、「給」という漢字に加え、「給水」という熟語が、単独学習漢字(熟語)として学習辞書記録部43に記録される。
また、学習制御部34のペア学習機能によれば、「大学」「教授」という熟語が続けて入力された場合、漢字「教」を、「学」および/または「大学」の直前漢字(熟語)と関連付けて、ペア学習漢字として記録することもできる。さらに、熟語「教授」を、「学」および/または「大学」の直前漢字(熟語)と関連付けて、ペア学習熟語として記録することもできる。
(候補順序決定要素)
次に、文字入力装置1の候補順序決定部32(図1、5、8)が候補(候補漢字/候補熟語)の表示順序を決定するための所定の条件(以下、候補順序決定要素と称する)について説明する。
上述したとおり、操作パネル2に設けられた表示部12において、一度により多くの候補を表示できる方が、ユーザがより早く所望の漢字を得る可能性が高くなるというメリットがある。しかも、操作パネル2をタッチパネルなどの表示/入力一体型の入出力デバイスで実現した場合、ユーザが所望の漢字を得るための操作数を格段に減らすことが可能である。しかし、一方で、多くの候補を大きな表示画面に一覧表示しても、その中から所望の候補を探す負担が逆に大きくなるという問題が生じる。そこで、限られた表示領域に限られた数の候補を表示する際、ユーザが所望する(選択する)可能性の大きい漢字(熟語)から順に表示されることが望まれる。
本発明では、ユーザの嗜好に合致した、より精度の高い表示順序で候補が表示されるよう、表示する候補の順序を決定する。これにより、所望の漢字を得るための入力操作を簡素化することが可能な文字入力装置を実現することができる。
以下では、候補熟語の表示順序を決定する方法について説明するが、候補漢字/候補熟語のいずれの表示順序も同じ方法にて決定される。
本実施形態では、候補順序決定部32は、以下の7つの候補順序決定要素に基づいて、候補の表示順序を決定する。
(要素A)出現頻度
出現頻度とは、ある言語の文字(列)において、どの程度出現するのかの指標となる情報である。出現頻度が高ければ高いほど、その言語使用環境下においてよく使用されているということになるので、出現頻度の高い候補ほど表示順序を上位にする。出現頻度は、既知の統計データを用いた固定的な情報を用いればよい。
(要素B)ピンイン長の一致/不一致
入力されたアルファベット(列)の文字数と、対応する候補のピンインの文字数が一致するか否かに基づいて表示順序を決定する。ピンイン長が、入力されたピンイン文字数と一致する候補の表示順序を上位にする。
(要素C)直前文字列との連続性
その時点までにすでに入力が確定している入力確定文字および/または現時点で選択中の文字(列)の直後に続く可能性(直前文字列との連続性)の大きい候補ほど表示順序を上位にする。あるいは、過去の入力履歴より、上記直前文字列に連続して入力されたことの有無を判定して、連続して入力された履歴が残っている候補の表示順序を上位にする。
(要素D)前方文字列との関連性
その時点までにすでに入力が確定している入力確定文字(列)に関連し、当該文字(列)の後方に入力される可能性(前方文字列との関連性)の大きい候補ほど表示順序を上位にする。
(要素E)単独学習漢字/熟語
学習辞書記録部43に記録されている単独学習漢字(熟語)であるか否かによって、表示順序を決定する。過去に入力(使用)されたことのある漢字(熟語)であれば、再び、使用される可能性は大きい。したがって、単独学習漢字(熟語)として記録されている候補の表示順序を上位にする。
(要素F)ペア学習漢字/熟語
ペア学習辞書記録部44に記録されているペア学習漢字(熟語)であるか否かによって、表示順序を決定する。過去に入力(使用)されたことのある漢字(熟語)の組み合わせであれば、再び、その組み合わせで使用される可能性は大きい。したがって、ペア学習漢字(熟語)として記録されている候補の表示順序を上位にする。
(要素G)学習時期
候補漢字(熟語)に一致する学習漢字(熟語)が、学習辞書記録部43および/またはペア学習辞書記録部44に記録された時期に基づいて表示順序を決定する。記録された時期が新しいものほど、ユーザにより選択される可能性が大きいので、最近記録された漢字(熟語)の候補ほど表示順序を上位にする。
以上の各要素を条件にすることにより、ユーザに選択される可能性の大きい候補ほど、優先して候補文字表示領域122(図3)に表示させることができるので、ユーザは、少ないキー操作数で、所望の漢字を得ることが可能となる。
(候補順序決定部の構成)
図9は、候補順序決定部32のさらに詳細な構成を示すブロック図である。候補順序決定部32は、学習漢字判定部131、ピンイン長判定部132、連結度判定部133、出現頻度判定部134、および、学習時期判定部135を備えている。記録部40(図1、5、8)は、上述の各記憶部に加えて、出現頻度記録部45および連結度記録部(関連度記録部)46を含んでいる。一時記憶部3は、内部に、抽出候補一時記憶部51、評価値一時記憶部52、および、表示順序一時記憶部53を含んでいる。
一時記憶部3内の抽出候補一時記憶部51は、候補抽出部31が抽出した候補(以下、抽出候補と称する)としての漢字および/または熟語を一時的に保持するものである。候補順序決定部32は、抽出候補一時記憶部51から抽出候補を読み出して、各抽出候補の表示順序を決定する処理を行う。
評価値一時記憶部52は、条件に応じて上記各抽出候補に付与される評価値を一時的に保持するものである。表示順序は、最終的に算出された評価値を基に決定されてもよい。
表示順序一時記憶部53は、上記各抽出候補に対して決定された表示順序の情報を一時的に保持するものである。候補順序決定部32は、決定した表示順序を表示順序一時記憶部53に格納する。表示順序一時記憶部53の表示順序の情報は、抽出候補を表示部12に表示する際に表示制御部22によって参照される。
候補順序決定部32の学習漢字判定部131は、抽出候補が、学習漢字(熟語)であるか否か、および、それが単独学習であるかペア学習であるかを判定するものである。具体的には、抽出された候補と一致する漢字(熟語)が学習辞書記録部43内に記録されている場合は、単独学習漢字(熟語)であると判定し、ペア学習辞書記録部44内に記録されている場合は、ペア漢字(熟語)であると判定する。学習漢字判定部131は、判定結果を評価値一時記憶部52の評価値または表示順序一時記憶部53の表示順序に反映させる。これにより、要素Eおよび/または要素Fに基づく表示順序を決定することができる。
ピンイン長判定部132は、アルファベット入力受付部21(図1、5、8)に入力されたアルファベット(列)の文字数と、対応する候補のピンインの文字数が一致するか否かを判定するものである。例えば、漢字「毎(ピンイン:mei)」を得るために、「me」まで入力していたとする。この時点では、入力文字数は2で、対応する候補漢字「毎(mei)」のピンイン長は3であるため、ピンイン長判定部132は、ピンイン長不一致と判定する。一方、ユーザによって「mei」まで入力された時点では、ピンイン長が一致すると判定し、候補漢字「毎」の表示順序を上がるよう、評価値一時記憶部52の評価値または表示順序一時記憶部53の表示順序を変更する。これにより、要素Bに基づく表示順序を決定することができる。
連結度判定部133は、その時点までにすでに入力が確定している入力確定文字および/または現時点で選択中の文字(漢字/熟語)とのつながり具合、つまり、連結度に応じて次にユーザが所望する文字を予測して候補に挙げる判定を行うものである。連結度判定部133は、連結度記録部46に記録されている連結度テーブル150を参照して、確定あるいは選択された前方文字列および/または直前文字列との連結度を判定する。前方文字列および/または直前文字列との連結度が高いものほど、ユーザが所望する文字である確率が高いとして、その表示順序を上位にする。これにより、要素Cおよび/または要素Dに基づく表示順序を決定することができる。連結度記録部46の連結度テーブル150および連結度判定部133の詳細については後述する。
出現頻度判定部134は、出現頻度記録部45に記録される、既知の統計データに基づいて、候補漢字(熟語)が出現する(使用される)頻度を判定するものである。出現頻度が高いものほど、その文字がよく使用されていることになるので、ユーザにより選択される可能性も大きい。したがって、出現頻度の高い候補ほど表示順序を上位にする。これにより、要素Aに基づく表示順序を決定することができる。
学習時期判定部135は、候補漢字(熟語)に一致する学習漢字(熟語)が、学習辞書記録部43および/またはペア学習辞書記録部44に記録された時期を判定するものである。学習漢字(熟語)が記録された時期が新しいものほど、ユーザにより選択される可能性も大きい。したがって、学習時期が最近の漢字(熟語)ほど上位になるよう候補の表示順序を決定する。これにより、要素Gに基づく表示順序を決定することができる。
上記構成によれば、候補順序決定部32は、上述のさまざまな条件に基づいて、候補の表示順序を決定することができる。
これにより、ユーザの希望をより正確に反映した表示順序で候補を表示することが可能となり、結果として、表音文字の入力に係る操作数について、より少ない操作数で、所望の表意文字の入力を得ることが可能となる。
(連結度の判定)
次に、連結度判定部133の動作について、さらに詳細に説明する。
図10は、連結度記録部46に記録される、漢字(熟語)ごとの直前(前方)文字列との連結度を示した連結度テーブル150の例を示す図である。図10に示すとおり、連結度テーブル150は、漢字(熟語)ごとに格納されている直前文字列との連続性情報のアドレスおよび前方文字列との関連性情報のアドレスを検出するための連結度対応表151と、漢字(熟語)ごとに直前文字列との連続性を格納する連続性テーブル152と、漢字(熟語)ごとに前方文字列との関連性を格納する前方関連性テーブル153とを含んでいる。
例えば、「交通」という熟語がユーザにより選択されると、連結度判定部133は、直前文字列としての「交通」のあとに連続する確率が高い漢字(熟語)を連結度テーブル150から検索する。連結度判定部133は、連結度対応表151を参照し、直前文字列「交通」との連続性情報が、連続性テーブル152のアドレス「npi+l」に格納されていることを検知する。
次に、連結度判定部133は、連続性テーブル152のアドレス「npi+l」を参照し、「規則(連続性21)」、「大学(16)」、「工具(15)」・・・の順に、連続性が高いことを検出する。最後に、上述の各候補熟語の表示順序を、「規則」「大学」「工具」・・・の順にすることを決定する。
また、熟語「上海」の入力が確定されたのちに、「交通」が選択されると、連結度判定部133は、前方文字列としての「上海」の後ろに関連して入力される確率が高い漢字(熟語)を連結度テーブル150から検索する。連結度判定部133は、連結度対応表151を参照し、前方文字列「上海」との関連性情報が、前方関連性テーブル153のアドレス「ppi+s」に格納されていることを検知する。
次に、連結度判定部133は、前方関連性テーブル153のアドレス「ppi+s」を参照し、「大学(関連性10)」、「規則(5)」、「警察(3)」・・・の順に、関連性が高いことを検出する。最後に、上述の各候補熟語の表示順序を、「大学」「規則」「警察」・・・の順にすることを決定する。
これにより、ユーザがよく入力する熟語の並びにしたがって、候補漢字(熟語)の表示順序を決定することができるので、ユーザの嗜好を反映した表示順序でもって候補漢字・熟語を表示させることができる。結果として、ユーザのキー操作回数を減らし、所望の漢字を得るためのユーザの入力操作を簡素化することが可能となる。
(連結度の判定−変形例)
表示順序の決定を、要素C(直前文字列との連続性)および要素D(前方文字列との関連性)の両方を用いて実行する場合、要素Dに基づく判定結果を優先させてもよい。この場合、上述の例で言えば、「交通」が選択された場合に、候補熟語「規則」を常に優先して表示するのではなく、前方に「上海」が入力されている場合には、候補熟語「大学」を優先して表示することができる。
ユーザが「上海交通大学」を頻繁に入力している文字入力装置1において、「上海交通大学」を入力するときの文字入力装置1の動作について説明する。ユーザが、「上」(shang)の入力のために、ピンインの先頭文字「s」を入力すると、上述の手順で、「上」を候補漢字として表示する。ユーザによって「上」が選択されると、「上」で始まる熟語を候補熟語として表示する。
ユーザによって、「上海」が選択されると、確定文字表示領域123(図3)上に熟語「上海」が表示する。同時に、文字入力装置1の候補抽出部31は、入力確定文字「上海」に続いて入力される候補熟語を抽出する。候補順序決定部32は、「上海」に続く確率の高い熟語を上位に表示するために、図9の連結度記録部46を参照し、候補熟語の表示順序を決定する。
まず、連結度判定部133は、連結度対応表151(図10)に基づいて、連続性テーブル152のアドレス「npi+s」を参照し、熟語候補を、熟語「上海」に直接連続する確率(連続度)の高い順に並べる。すなわち、図10に示す例では、「大学(15)」「交通(13)」「警察(12)」「規則(8)」...の順に候補が求まる。続いて、連結度判定部133は、入力確定文字「上海」の前方に位置する熟語との関連性に基づいて、「上海」のあとに続く候補熟語の表示順序を並べ替える。しかし、ここでは、「上海」の前方に位置する漢字・熟語がないため、前方文字列との関連性による表示順序の変更は実行されない。
上記手順で表示された候補熟語の中から、ユーザによって「交通」が選択されると、文字入力装置1は、続いて、入力確定文字「交通」に直接連続する候補熟語を上位に表示するための表示順序を決定する。
連結度判定部133は、連続性テーブル152のアドレス「npi+l」を参照し、連続度に基づいて「規則(21)」、「大学(16)」、「工具(15)」、「警察(14)」...の順に候補を求める。次に、前方関連性テーブル153のアドレス「ppi+s」を参照して、「交通」の前方に位置する漢字・熟語(ここでは、「上海」)との関連性(関連度)に基づいて、「交通」のあとに続く候補熟語の表示順序を並べ替える。より具体的には、図10に示す例では、前方関連性テーブル153によれば、候補熟語の「上海」との関連度は、順に、「大学(10)」、「規則(5)」、「警察(3)」、「工具(2)」...となっている。
そこで、連結度判定部133は、上記候補熟語の関連度を優先し、関連度の順に表示順序を変更する。この場合、「上海交通」に続く、候補熟語の表示順序は、「規則」、「大学」、「工具」、「警察」...の順から、「大学」、「規則」、「警察」、「工具」...の順に変更される。あるいは、連結度および関連度の合計に基づいて、表示順序を変更してもよい。また、連結度および関連度の平均値、最大値に基づいて表示順序を変更してもよい。
以上のことから、ユーザの嗜好に沿った、より精度の高い表示順序でもって候補漢字・熟語を表示させることができるので、ユーザのキー操作回数を減らすことができる。結果として、所望の漢字を得るためのユーザの入力操作を簡素化することが可能となる。
(表示順序決定手順)
本実施形態では、上述の各候補順序決定要素を組み合わせて、抽出された候補の表示順序を決定する。以下にその一例について説明するが、本発明は、以下で説明する組み合わせに限定されず、上述の各要素を適宜組み合わせることより表示順序を決定することが可能である。
図11は、候補順序決定部32が表示順序を決定するときの、候補の分類手順を示す図である。候補順序決定部32は、まず、所定の条件(上記要素A〜Gおよびその組み合わせ)によって、表示順序ごとにいくつかのグループに候補を分類し、そのグループに内において、最終的な表示順序を決定する。
候補抽出部31によって抽出された候補熟語Gは、まず、一時記憶部3の抽出候補一時記憶部51(図9)に格納される。格納された候補熟語Gに対し、学習漢字判定部131(図9)は、学習熟語であるか否かの判定を行う(S101)。また、ピンイン長判定部132は、候補熟語Gが抽出された時点で入力されているピンイン長(アルファベットの文字数)と、候補熟語Gの各ピンイン長との比較を行う(S102)。
ここで、候補熟語Gのうち、学習熟語であり、かつ、ピンイン長も一致すると判定された候補熟語は、表示順序が最上位のグループAに分類される。学習熟語であるが、ピンイン長は一致しないと判定された候補熟語は、グループAに次いで上位のグループBに分類される。学習熟語ではないが、ピンイン長は一致すると判定された候補熟語は、グループB下位のグループCに分類される。学習熟語でもなく、ピンイン長も一致しないと判定された候補熟語は、最下位のグループDに分類される。
グループA、Bに分類された、学習熟語である候補熟語に対し、学習漢字判定部131は、さらに、単独学習熟語であるかペア学習熟語であるかの判定を行う(S103)。また、連結度判定部133は、直前文字列との連続性の有無についての判定を行う(S104)。
ここで、グループAの候補熟語のうち、ペア学習熟語であって、直前文字列との連続性ありと判定された候補熟語は、最上位のグループA1に分類される。ペア学習熟語であるが、直前文字列との連続性なしと判定された候補熟語は、上位のグループA2に分類される。ペア学習熟語でないが、直前文字列との連続性ありと判定された候補熟語は、下位のグループA3に分類される。ペア学習熟語でなく、直前文字列との連続性もないと判定された候補熟語は、最下位のグループA4に分類される。グループBの候補熟語についても同様に分類される。
一方、グループC、Dに分類された候補熟語に対しては、連結度判定部133が直前文字列との連続性の有無を判定して(S105)、上位のグループC(D)1と下位のグループC(D)2とに分類する。
最終的に、全候補熟語(G)は、上位のグループから順に、グループA1、グループA2、グループA3、グループA4、グループB1、グループB2、グループB3、グループB4、グループC1、グループC2、グループD1、グループD2、の小グループに分類される。グループA、Bの各小グループは、さらに学習時期(要素G)によって順序が決定され(最近学習された漢字ほど上位)、グループC、Dの各小グループは、さらに出現頻度(要素A)によって順序が決定される(一般によく使われる熟語ほど上位)。
なお、上述の実施形態では、学習された候補漢字・熟語を、所定の条件で(すなわち、新しく学習された順に)並べ替えると説明したが、候補として抽出された候補漢字の後に、過去に学習された候補熟語として並べてもよい。あるいは、過去に学習された熟語が候補漢字より優先して表示されるように並べてもよい。また、候補漢字を含む過去に使用された熟語が複数ある場合は、文字数が少ない順に並べてもよい。あるいは、時間的な経過として、学習された順もしくはその逆順に並べてもよい。
(変形例3−四声の入力)
本実施形態では、四声の区別を無視してアルファベット(列)とピンインとを対応させる構成について説明したが、本発明の文字入力装置1は上記構成に限定されない。四声の区別を行って、アルファベット(列)とピンインとを対応させる構成も可能である。例えば、四声コード(例えば、PCでの入力では一声から四声を1から4、軽声を5で表現している)を含めて、図4に示すA/P対応表141を作成すればよい。より具体的には、図4に示すA/P対応表141およびP/C対応表142において、ピンイン「shang」は、漢字「上」と関連付けられていることがわかる。ここで、「上」の四声ありのピンインは「三声のshang」であるため、A/P対応表141の「cp_si」に対応する「shang」を「shang3」と記述することで、四声ありのピンイン「shang3」と「上」とを関連付けることができる。
〔実施形態2〕
本発明の文字入力装置1は、さらに、上述の候補順序決定要素に優先度の情報を付与し、候補漢字(熟語)の表示順序を決定するときの条件を、ユーザが任意に設定できるように構成してもよい。表示順序を決定するときの条件をユーザが任意に設定できるので、文字入力装置1を備えたマルチファンクションプリンタにおいて、ユーザの嗜好に合致した表示順序で候補を表示することが可能となる。結果として、所望の漢字を得るための入力操作を簡素化することができる。
(文字入力装置の構成)
本実施形態における文字入力装置1は、上述の実施形態1の構成に加えて、文字入力制御部30の内部に、候補順序決定要素設定部(候補順序決定要素設定手段)35を備えており、記録部40の内部に、さらに候補順序決定要素記録部47を含んでいる(図1)。
本実施形態では、図9に示す評価値一時記憶部52に、候補ごとに算出した評価値を一時的に記憶し、その評価値に基づいて表示順序を決定する。すなわち、候補順序決定要素設定部35によって設定された、優先度の高い候補順序決定要素ほど、上記評価値の算出により大きな影響を与える。候補順序決定要素設定部35が設定した候補順序決定要素およびその優先度は、候補順序決定要素記録部47に記録される。
まず、評価値一時記憶部52に記憶される候補ごとの評価値のデータ構造について説明する。
図12は、候補ごとに算出した表示順序の評価値を記憶するデータ構造の一例を示す図である。本実施形態では、候補ごとの評価値を16ビットで表現する。すなわち、図12に示す16の領域に、ある候補漢字(熟語)の特性(要素A〜G)を示す「0」または「1」の値を記憶する。本実施形態では、ビット位置は、評価値の高低に関連があり、上位ビットになるにつれて、評価値の上位桁を表すようになっている。よって、優先度の高い候補順序決定要素に関する判定結果は、上位ビットに反映させる。
このようなデータ構造によれば、文字入力装置1が候補ごとの評価値を算出するときの、評価値に与える要素の重要度をビット位置によって調節することが可能となる。つまり、重要な要素ほど上位位置に割り当てているので、ビットのON「1」/OFF「0」操作を行うことのみで、候補の表示順序の評価値を容易に適切に数値化することができる。また、各要素に対して個別に変数を割り当てると、表示順序を決定するために確保すべき評価値のデータサイズが大きくなる。よって、各要素による判定結果を1ビットに割り当てていることにより、データサイズの削減を実現することができる。
候補順序決定要素記録部47は、候補の表示順序を決定するための候補順序決定要素の優先度情報を記録するためのものである。図13(a)および(b)は、候補順序決定要素記録部47に記録される優先度情報の一例を示す図である。
優先度情報は、候補順序決定要素ごとに、その候補順序決定要素に関する判定結果を、評価値のデータ構造のどのビット位置に反映させるかを示すビット位置情報を含んでいる。図13(a)に示す例では、要素Bの判定結果を図12に示すビット位置12の領域に格納するよう設定されている。すなわち、ピンイン長が一致した場合は、ビット位置12の領域に「1」が、一致しなければ「0」が評価値として記憶される。高いビット位置を割り当てられている候補順序決定要素ほど、優先度が高く、候補の評価値を定めるのに与える影響が大きい。
なお、本実施形態では、評価値を16ビットで表現し、ビット位置0〜12の領域を用いて評価値を算出しているが、本発明はこの例に限定されない。候補順序決定要素数を減らしたり、新たな要素の追加または各要素の評価値としてのレンジ幅の変更をしたりする場合は、それらが十分に納まるビット長にすることも可能である。例えば、図13(a)および(b)に示す例において、出現頻度を8ビットで表現しているが、出現頻度の差を明確にするために16ビット確保する、あるいは、出現頻度の差を重視しないために4ビットに縮小することなどが可能である。また、空きのビット位置13〜15を用いてもよい。
候補順序決定要素設定部35は、入力部11(図1)を介してユーザが指定する候補順序決定要素の優先度を設定し、優先度情報を候補順序決定要素記録部47に格納するものである。
より具体的には、例えば、ユーザが候補順序決定要素の優先度設定メニューを、操作パネル2を用いて文字入力装置1に指示すると、操作パネル2の表示部12は、候補順序決定要素の優先順位の指定を促す操作画面を表示する。例えば、「(各要素(A〜G)を)優先したい順に指示してください。」などのメッセージとともに、優先度を設定できる候補順序決定要素一覧を表示すればよい。ユーザが、優先したい順に表示されている各要素を指示すると、決定するか否かを問うメッセージの表示を行う。例えば、「変更を決定する場合は、決定キーを押してください。」などのメッセージを表示すればよい。
ユーザが操作パネル2の決定キーを押すと、候補順序決定要素設定部35は、入力された指示信号に応じて、低いビット位置から、ユーザが指定した優先度が低い候補順序決定要素の領域として順に割り当て、各候補順序決定要素の判定結果を格納するビット位置の情報を変更する。
例えば、ユーザが、図13(a)に示した例の状態から、要素Fのペア学習漢字/熟語を最も優先度の高い候補順序決定要素として、順に、要素E、要素F、要素B、要素C、要素D、要素A/Gを指定したとすると、優先度情報は、図13(b)に示すとおりに変更される。図13(b)に示す例では、要素Fの判定結果が、ビット位置12の領域に格納されることになる。
上記構成によれば、候補順序決定部32の各部(図9)は、候補順序決定要素記録部47が指定する候補順序決定要素の優先度情報に基づいて、判定結果に係る評価値を指定された評価値一時記憶部52のビット位置に格納する。
これにより、表示順序を決定するための評価値を、ユーザが優先させたい候補順序決定要素をもとに算出することが可能となるので、よりユーザの嗜好に合致した表示順序で候補を表示させることが可能となる。
なお、この候補順序決定要素の優先度情報は、候補漢字と候補熟語とで別に設定できる構成としてもよいし、候補漢字・候補熟語の両方の表示順序に同様に適用する1つの優先度情報を設定できる構成としてもよい。候補漢字と候補熟語とで別に設定できる構成とした場合、優先度の変更操作を、1回の優先度設定メニュー呼び出し操作によって、候補漢字、候補熟語の順に候補順序決定要素の優先度変更操作を行えるようにしてもよいし、候補漢字用、候補熟語用それぞれの優先度設定メニュー呼び出し操作および優先度変更操作を行えるようにしてもよい。
また、設定終了キーを設け、設定終了キーを押した時点までの内容に関して、所望の優先度情報の変更を行うようにしてもよい。例えば、候補順序決定要素の優先度の変更途中で設定終了キーを押した場合には、優先度の変更内容を反映しないようにし、候補順序決定要素の変更だけを反映さえるなどすることが可能である。
次に、図9に示す候補順序決定部32の各部の判定結果に基づいて、図12に示す評価値を算出する方法についてより詳細に説明する。なお、以下で説明する例では、優先度は、図13(a)に示すとおりに設定されているものとする。
まず、候補抽出部31が抽出した候補は、一旦抽出候補一時記憶部51に格納される。評価値一時記憶部52において、格納された候補ごとに、その評価値を表す16ビットの領域(図12)が確保される。
次に、候補が学習漢字(熟語)である場合には、学習時期判定部135が、そうでない場合には、出現頻度判定部134が、学習時期または出現頻度をそれぞれ算出し、算出結果をビット位置0〜7(図12)に格納する。
出現頻度は、あらかじめ大量の新聞や雑誌などの様々な文書文字データについて統計的に文字および熟語ごとに求めた使用頻度であり、頻度が大きいほど一般的によく使われる文字・熟語であるとする。本実施形態では、出現頻度の領域を8ビット確保しているので、出現頻度に基づいて、候補の評価値を0〜255の間で定めることができる。
学習時期についても同様に、最近学習されたものほど評価値が高くなるよう0〜255の間で定めることができる。学習時期とは、候補漢字(熟語)がいつ学習されたかを表す。例えば、学習時期をX、学習できる最大個数をNとし、学習できる漢字・熟語の学習した時点をn、現時点の学習できる時点をmとすると任意の漢字・熟語の学習時期Xは、以下の式で求まる。
m−n≧0のとき
X=N+m−n−1・・・(式1−1)
m−n<0のとき
X=n−m−1・・・(式1−2)
ここで、学習時期Xにおいて、Xの値が小さいほど過去に学習されたものとする。
なお、上記式のXの値域が、学習時期の評価値として確保されているビット長の範囲(本実施形態では8ビット)を越える場合は、Xの値をビット長の範囲への数値変換や、ビット長の変更を行えばよい。
ビット位置8〜12には、それぞれ、要素D、C、F、E、Bについての判定結果が格納される。学習漢字判定部131、ピンイン長判定部132、および、連結度判定部133は、候補の特性が条件を満足していると判定した場合には「1」、そうでない場合には「0」を指定されたビット位置にセットする。例えば、連結度判定部133は、候補がすでに入力されている前方文字列と関連性ありと判定した場合には、ビット位置8に「1」をセットする。
すべての候補について表示順序の評価値を算出すると、候補順序決定部32は、候補を評価値一時記憶部52に記憶される評価値の大きい順に並べ替え、最終的な表示順序を表示順序一時記憶部53に格納する。最後に、表示制御部22(図1)は、表示順序一時記憶部53に記憶されている上記表示順序に基づいて、候補を表示部12に表示する。
〔実施形態3〕
上述の各実施形態では、ピンインを構成するアルファベットキーの入力による中国語入力の説明を行った。しかし、本発明の文字入力装置1はこれに限定されない。操作パネル2の入力部11(図1)が、手書き文字の入力機能を備え、入出力制御部20が手書き文字を認識することにより、中国語を入力する文字入力装置1を構成することも可能である。
また、手書き文字を入力するための入力部(筆記文字入力部)11は、例えば、表示一体型タブレットとしての操作パネル2の表示領域に手書き文字入力のための枠を表示することにより実現することができる。
文字入力装置1は、入出力制御部20内部に、上記文字入力枠にユーザが筆記した文字の筆記情報(座標データ)を認識するための文字認識部(文字認識手段)(図示せず)を備える。また、記録部40に、上記文字認識部で認識された入力文字パターンとマッチングするために用いる認識辞書(図示せず)をさらに含む。そして、表示制御部22が、入力文字の認識結果を出力するように構成されている。
ユーザは、操作パネル2の文字入力枠に所望の文字を筆記すると、操作パネル2は筆記された文字の座標情報60(図14)を検出し、入出力制御部20の内部バッファに記憶する。文字認識部は、内部バッファに記憶している座標情報と認識辞書の辞書パターンとマッチング(例えば、DPマッチング)を行い、入力パターンと辞書パターンの類似度(例えば距離)を求め、辞書パターンに対応する文字コードと類似度を関連付けて内部バッファに記憶する。文字認識部は、入力パターンと認識辞書の各パターンとのマッチングを行うと、内部バッファの認識結果を類似度の高い順に並べ換える。そして、認識結果を候補漢字(熟語)として候補抽出部31に供給する。
以下、手書き文字認識機能を備えた文字入力装置1の動作を具体的に説明する。
ユーザが、表示一体型タブレットの文字入力枠に「毎」を筆記すると(図15(a))、操作パネル2は「毎」の座標データを検出し、内部バッファに記憶する(図14)。文字認識部は、内部バッファの「毎」の座標データと認識辞書の各辞書パターンとDPマッチングを行い、距離を計算し、距離の小さい順に並べ替える(図16)。入出力制御部20は、認識結果を表示制御部22に転送する。
表示制御部22は、認識結果に基づいて、認識文字候補となるn個の文字(ここでは、漢字)の表示位置を求め、表示位置の情報および認識文字候補n個を操作パネル2の表示部12に表示する(図15(b))。操作パネル2は、表示された認識文字候補と表示位置を関連付けて内部バッファに記憶する。
ユーザは、「毎」が表示されていることを確認すると、操作パネル2上の「毎」を指定する。操作パネル2は指示された位置を検出し、入出力制御部20の候補選択受付部23に位置情報を転送する。そして、候補選択受付部23で「毎」が指示されたことを検出し、毎から始まる熟語(「毎天」・・・)が表示される(図15(c))。このときの動作は、すでに説明しているので、ここでは繰り返さない。
これにより、ユーザが所望の漢字に対応するピンインを把握していない場合でも、所望の漢字を入力することが可能となり、所望の漢字を得るための入力操作を簡素化することができる。
なお、手書き文字を認識するための、文字入力装置1の上記文字認識部の機能について、マルチファンクションプリンタを例に挙げて説明したが、これに限定されない。表示一体型のタッチパネルを備えた機器であればいずれも、上記文字認識部を適用することが可能である。したがって、筆記文字を入力することにより所望の漢字・熟語を入力することが可能な本発明の文字入力装置を、上記マルチファンクションプリンタ以外の機器においても実現することが可能である。
〔実施形態4〕
(繁体字の入力)
上述の実施形態では、ピンイン表記から中国語(簡体字)を入力可能な文字入力装置について説明した。しかしながら、本発明の文字入力装置1は上記構成に限定されない。
例えば、本発明の文字入力装置1を、主に台湾で使用される繁体字を入力するための文字入力装置として実現することも可能である。
本実施形態では、以下、表音文字としての注音文字(注音の字母)の入力を受け付けて、表意文字としての繁体字を、候補漢字(熟語)としてユーザに提示する文字入力装置1について説明する。
図23は、本実施形態に係る文字入力装置1の要部構成を示すブロック図である。なお、図23の各構成要素に付された符号は、図1・図9の各構成要素に付された符号に対応しており、同じ符号は、同じ構成要素を示している。したがって、上述の各実施形態ですでに説明した構成要素についての説明は繰り返さない。
図23に示す文字入力装置1において、図1・図9と異なる点は、入力部11が、注音文字を入力するための、各注音文字に対応付けられたキーを備えている点と、アルファベット入力受付部21の代わりに、上記入力された注音文字を受け付けて候補抽出部31に供給するための注音文字入力受付部24を備えている点と、漢字辞書記録部41において、注音文字−注音、および、注音−繁体字の対応関係を記録した対応表が含まれている点である。
図24は、本実施形態における、繁体字入力のための注音文字入力処理時の操作画面の一例を示す図である。本実施形態における表示一体型の操作パネル2では、アルファベットを表示するほかに、注音文字を表示してもよい(文字入力領域121)。繁体字の入力では、アルファベットではなく注音文字を入力することが一般的である。図24に示すとおり、キーボードのキーに注音文字が割り当てられており、これにより、繁体字に対応した注音を入力することができる。
図25は、本実施形態における、漢字辞書記録部41(図23)に記録される、漢字辞書(繁体字)の例を示す図である。
図26は、本実施形態における、熟語辞書記録部42に記録される、熟語辞書の例を示す図である。
図27は、本実施形態における、連結度記録部46に記録される、連結度テーブル150aの例を示す図である。
上記構成によれば、中国語(簡体字)を入力する場合と同様に、所望の表意文字(台湾で主に用いられる繁体字)を得るための、表音文字(注音の字母)を入力する操作を簡素化することが可能な文字入力装置を実現することが可能となる。
〔学習機能について〕
(学習漢字・熟語における表示順序決定方法)
学習漢字・熟語の表示順序は、例えば以下のような計算によって、学習された順序(学習順位Yと称する)を算出することにより、決定することもできる。学習順位Yの算出は、図9に示す学習時期判定部135が実行すればよい。
Y=学習番号−学習カウンタ−1・・・(式2)
学習番号は、新たに学習される漢字に割り当てるべきユニークな番号を表しており、この番号が、学習カウンタとして学習漢字とともに記録されることにより、その漢字がいつ学習されたかを知ることができるものである。図8の学習辞書記録部43(または、ペア学習辞書記録部44)には、500個の学習漢字(熟語)を記録することが可能であるとすると、学習番号は、0〜499までを用意すればよい。
上記式2の計算により、Yがマイナスになる場合は、学習番号の上限値(ここでは、500程度)を加算する。
さらに、学習時期判定部135は、候補の並び替えの手間を省くために、候補ごとに求まった学習順位Yをまるめる処理を行ってもよい。例えば、以下の手順にしたがって、学習順位をまるめることができる。
(イ)0≦Y≦9のとき、Y←Y(そのまま)
(ロ)10≦Y≦29のとき、Y←(Y−10)/2+10
(ハ)30≦Y≦109のとき、Y←(Y−30)/8+20
(ニ)Y≧110のとき、Y←(Y−110)/32+30、さらに、Y>39のとき、Y←39
以上のように、上記式2を用いれば、学習漢字(熟語)を学習された順、あるいは、学習された時期が新しい順に効率よく並べ替えることができるので、学習時期に応じて候補としての表示順序を決定することが可能となる。
(学習カウンタ付与方法)
次に、図8に示す学習制御部34が制御する学習番号(初期値=0)および学習カウンタ(初期値=0)について、より具体的に説明する。学習辞書記録部43に500個の学習漢字を記録できるものとし、学習辞書記録部43における学習漢字の記録位置(アドレス)の初期値をID=0とする。
学習番号=0のときに漢字「学」を学習すると、学習制御部34は、学習辞書記録部43に学習されている学習漢字のうち、現在の学習番号に等しい学習カウンタを持つ学習漢字を検索する。検索された学習漢字のアドレスIDの漢字を削除し、新規の学習漢字をセットする。現在の学習番号に等しい学習カウンタを持つ学習漢字が無い場合は、IDの位置に学習漢字と学習カウンタを共に記録する。そして、学習番号に1を加算する。ここでは、最初の学習であるため、アドレス「ID=0」の位置に、学習漢字「学」を学習カウンタ=0とともに記録し、学習番号に1加算して、学習番号=1とする。
この動作を繰り返して、学習番号=499のときに「文」を学習すると、学習制御部34は、学習辞書記録部43のアドレス「k」の位置に、学習漢字「文」を、学習カウンタ499とともに記録し、学習番号=0に更新する(学習番号499に1を加算した結果、学習番号が500以上になる場合は、500を減算して学習番号を0に戻す)。
さらに、新しく漢字(例えば「大」)が学習されると、学習制御部34は、新たな学習漢字「大」を、学習カウンタ0とともに記録されている「学」に上書きする形で記録する。このとき「大」には、学習カウンタ0が関連付けて記録される。続いて、上記と同様学習番号=2に更新する。
(学習辞書のデータ構造)
次に、学習辞書記録部43(および、ペア学習辞書記録部44)に記録される学習熟語のデータ構造について説明する。
学習辞書記録部43に記録される学習熟語には、その熟語を構成する漢字の文字コードから生成されるグループ識別子(GId値)が割り当てられており、学習熟語はGId値と関連付けて記録される。このGId値を用いることにより、学習辞書記録部43から目的の学習熟語を検索するための処理効率が向上する。
GId値の生成方法について、具体例を挙げて説明する。なお、以下の説明では、漢字を一意に特定するための漢字コードおよびGId値をともに16ビットで表すものとする。本実施形態では、一例として、GId値は、当該熟語の文字数を示す上位4ビットと、熟語を構成する各漢字の漢字コードの演算により求まった数値を示す下位12ビットとで構成されるものとするが、本発明の文字入力装置1で利用されるGId値のデータ構造はこれに限定されない。
例えば、「上海」という熟語の入力が確定されたとする。このとき、学習制御部34(図8)は、まず「上海」という熟語のGId値を生成する。GId値を生成するために、熟語「上海」を構成する各漢字の漢字コードの下位8ビットを、各漢字を表す数値(「上」=「009F(16進数)」、「海」=「00A3(16進数)」)として用いるものとする。例えば、GId値の下位12ビットを、上記漢字コード16ビットの下位8ビット同士の加算により求めるとすると、学習制御部34は、下位12ビットとして、9F+A3=「141(16進数)」を算出する。
次に、「上海」は2文字であるので、この熟語が2文字で構成されていることを示す「2(16進数)」を上位4ビットとして算出する。以上のようにして、熟語「上海」のGId値を「2141(16進数)」として算出する。
上述のようにして生成されたGId値は、どのような文字数からなる熟語であっても(ただし、上述の例のように文字数を4ビットで表す場合、最大8文字までを熟語として学習するものとする)、固定長(例えば、16ビット)に要約されることになる。したがって、固定長で構成されるGId値によって、目的の熟語を絞り込んでから、検索処理を実行することができるので、学習熟語の検索効率を向上させることが可能となる。
〔操作パネルについて〕
操作パネル2に表示される文字入力処理時の操作画面は、図3や図6で示す例に限定されない。操作パネル2に表示される操作画面の他の例について説明する。
操作パネル2に表示される、ピンインを入力するためのアルファベットキーは、図17に示すように、PCのキーボードを模したキー配列としてもよいし、図18に示すように、入力文字をアルファベット順にm×nのキー配列に当てはめるようにしてもよい。
また、候補漢字を表示するための候補文字表示領域122を確定文字表示領域123に重畳させて表示してもよい(図19(a)〜(c))。
さらに、候補漢字を選択後、選択した漢字から始まる候補熟語を表示するための第2の候補文字表示領域122’を、候補文字表示領域122および確定文字表示領域123に重畳させて表示してもよいし(図20(a))、候補文字表示領域122と並べて表示してもよい(図20(b))。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、文字入力装置1の各ブロック、特に、候補抽出部31、候補順序決定部32、および、文字確定部33は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、文字入力装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである文字入力装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記文字入力装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、文字入力装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
(補足事項)
本発明の文字入力装置は、入力された表音文字または表音文字列を、対応する表意文字に変換してユーザが選択する表意文字を入力する文字入力装置において、上記表意文字と、該表意文字を含む表意文字列とを関連付けて記録する文字列記録部と、ユーザにより選択された表意文字を受け付けて、該表意文字に関連付けられている表意文字列を、表意文字列の候補として上記文字列記録部から抽出する候補抽出手段と、上記候補抽出手段が抽出した候補を表示するよう表示部を制御する表示制御手段と、上記表示制御手段により表示された候補の中から、ユーザにより指定された表意文字列を受け付けて、該表意文字列の入力を確定する文字入力確定手段とを備えていることを特徴としている。
本発明の文字入力装置は、文字を入力する文字入力手段と、上記文字入力手段で入力された文字の候補を表示する文字候補表示手段と、上記文字候補表示手段に表示された文字候補を選択する文字候補選択手段と、あらかじめ設定された0個以上の文字列を記録する文字列記録部と、上記文字候補選択手段で選択された文字を含む文字列を上記文字列記録部から検索する文字列検索手段と、上記文字列検索手段により検索された文字列を表示する文字列表示手段と、上記文字列表示手段により表示された文字列を選択する文字列選択手段とを備える。
上記構成によれば、ユーザにより、入力したい文字列の先頭文字が入力されると、入力された文字の候補が表示される。その中から候補文字が選択されると、選択された候補文字を含む文字列が表示され、さらに表示された文字列が選択されることで、所望の文字列が入力される。したがって、最初の文字の入力を確定することで、表示された文字候補、及び入力した文字を含む文字列を選択するだけで文字列の入力を行えるので、操作数が少ない簡単な操作で文字を入力できる文字入力装置を提供できる。
さらに、本発明の文字入力装置は、上記文字候補選択手段によって選択された文字を複数記憶する学習文字列一時記憶部と、複数個の文字列を記録する学習語記録部と、上記学習文字列一時記憶部および上記学習語記録部の内容を制御する学習文字列記憶制御手段と、上記文字候補選択手段によって選択された文字を含む文字列を上記学習語記録部から検索する学習文字列検索手段とを備え、上記学習文字列検索手段によって検索された文字列を上記文字列表示手段に合わせて表示するようにした。
上記構成によれば、ユーザにより候補の文字の中から、所望の候補文字が選択されたときに、選択された文字を含む文字列を学習文字列記憶部から検索し、文字列検索手段から検索した文字列と合わせて表示するようにしたので、ユーザの入力傾向を反映した文字列の候補を得ることができる。そのため、ユーザの所望の文字列を得る可能性が高まるので、文字入力における操作数を削減できる。
上記学習文字列記憶制御手段は、上記文字候補選択手段で文字が選択された場合に、選択された文字を上記学習文字列一時記憶部に順番に追加し、上記文字列入力手段により文字が入力された場合に所定の長さの文字列を上記学習文字列一時記憶部から上記学習語記録部に移動し、上記文字列選択手段で文字列が選択された場合には、上記学習文字列一時記憶部の最終文字を除いた所定の長さの文字列を上記学習語記録部に移動するようにした。
上記構成によれば、学習文字列記憶制御手段は、ユーザにより候補の文字の中から所望の候補文字が選択されると、選択された文字が学習文字列一時記憶部に順番に追加する。ユーザにより文字が入力されたときは、所定の長さの文字列を、学習文字列一時記憶部から学習語記録部に移動し、ユーザにより文字列が選択されたときは、学習文字列一時記憶部の最終文字を除いた所定の長さの文字列を学習語記録部に移動するように制御するようにしたので、ユーザの入力傾向を反映した文字列の候補を得ることができる。そのため、ユーザの所望の文字列を得る可能性が高まるので、文字入力における操作数を削減することができる。
なお、上記文字入力装置は、中国語文字を入力する装置であり、上記文字入力手段は、ピンインを入力する手段であって、上記文字候補表示手段は、上記文字入力手段で入力されたピンインの前方一致の漢字候補を表示し、上記文字候補選択手段は、上記文字候補表示手段に表示された漢字候補を選択する機能を備える。
上記構成によれば、ピンインを入力すると、ピンインに前方一致の漢字候補を表示し、表示された漢字候補の中から所望の漢字を選択することで、選択した漢字を含む文字列が表示され、さらに表示された文字列を選択することで所望の文字列を入力することができる。従って、入力したい文字列の全ピンインを入力する必要がないだけでなく、入力したい文字列の全ピンインを完全に覚えていなくても所望の文字列の入力が可能な中国語の文字入力装置を提供できる。
本発明の文字入力装置の上記文字入力手段は、表示デバイスが一体に形成された入力デバイスを備え、上記文字候補選択手段および上記文字列選択手段は、上記表示デバイスに表示された文字候補および文字列を指示することで所望の文字および文字列を選択する機能を備える。
上記構成によれば、表示デバイスと一体の入力デバイス上に表示された文字候補および文字列を指やペン等で直接選択できるので、操作性の良い直感的に操作できる文字入力装置を提供できる。
本発明の文字入力装置の上記文字入力手段は、ペン型の入力デバイスと、上記ペン型の入力デバイスから入力された筆記データを認識する文字認識手段とを備える。
上記構成によれば、ユーザが筆記した文字を認識すると、筆記した文字の認識候補が表示される。そして、その中から所望の文字を選択すると、選択した文字を含む文字列が表示され、さらに表示された文字列を選択することで所望の文字列を入力することができる。従って、表示された文字候補、および入力した文字を含む文字列を選択するだけで文字列の入力を行えるので、操作数が少ない簡単な操作で文字を入力できる文字入力装置を提供できる。また、所望の文字列を全て筆記する必要がないので、手書き認識の欠点である筆記による疲れを軽減することができる。
本発明の文字入力装置の上記文字候補表示手段は、上記文字入力手段の入力に合わせて順次、文字候補表示の内容を更新する機能を備える。
上記構成によれば、文字入力に合わせて、文字候補の表示内容が更新されるので、文字候補を表示させるための確定処理が必要なくなり、操作数を削減できるとともに、レスポンスの良い文字入力装置を提供できる。
本発明の文字入力装置の上記文字候補表示手段は、上記文字列選択手段で文字列を選択された文字列を記憶する機能を有し、上記文字入力手段から入力された文字の候補を表示する際に、上記入力された文字を含む文字列を文字の候補と合わせて表示する機能を備える。
上記構成によれば、記憶されている過去に選択した文字列のうち、入力した文字列を含む文字列を検索し、表示するようにしたので、少ない文字入力で過去に入力した文字列と同様の文字列を入力することができる。従って、操作数が少ない文字入力装置を提供できる。
本発明の文字入力装置の上記文字候補表示手段は、前記文字入力手段から入力された文字の候補と該文字を含む文字列を合わせて表示する際に、文字列を優先して表示する機能を備える。
上記構成によれば、さらに、入力した文字の候補と入力した文字を含む文字列を合わせて表示する際に、入力した文字を含む文字列を優先して表示するので、入力した文字候補が多い場合でも表示された文字列候補の中から所望の文字列を容易に見つけることができる。従って、トータルの操作数を低減した文字入力装置を提供できる。
本発明の文字入力装置の上記学習文字列記憶制御手段は、上記文字列表示手段で文字列表示する際に、上記文字列検索手段により検索された文字列が無い、もしくは上記文字列選択手段によって文字列が選択されなかったときにのみ上記文字選択手段によって選択された文字を学習文字列一時記憶部に記憶する機能を備える。
上記構成によれば、ユーザが表示された文字候補を選択し、選択された候補文字を含む文字列が無い、もしくは表示された文字列が選択されなかったときに、ユーザが選択した文字を学習文字列一時記憶部に記憶するようにしたので、ユーザの入力状況に応じた文字列を記憶(学習)することができ、文字列の表示をユーザの入力傾向を反映した内容とすることができる。そのため、ユーザの所望の文字列を得る可能性が高まるので、文字入力における操作数を削減することができる。
本発明の文字入力装置の上記学習文字列記憶制御手段は、上記文字列検索手段の検索結果および上記文字列選択手段による選択結果の履歴情報を記憶する機能を有し、上記文字列表示手段で文字列表示する際に、上記文字列検索手段により検索された文字列が無い、もしくは上記文字列選択手段によって文字列が選択されないとき、履歴情報を基に上記状態の何れか一方もしくは両方が連続した場合のみ上記文字選択手段によって選択された文字を学習文字列一時記憶部に記憶する機能を備える。
上記構成によれば、ユーザが表示された文字候補を選択すると、文字列の検索結果および選択結果の履歴情報を記憶し、検索された文字列が無い、もしくは表示された文字列が選択されなかったときに、履歴情報を調べ、上記状態の何れか一方もしくは両方が連続した場合をトリガとして、選択された文字候補を学習文字列一時記憶部に記憶するようにしたので、ユーザが文字入力を行う際に、ユーザの所望の文字列を得る可能性が高まるので、文字入力における操作数を削減することができる。
本発明の文字入力装置の上記文字列記録部は、保持されている文字列に続く文字列情報および両文字列が連続する確率を保持し、上記文字候補表示手段は、上記文字入力手段で入力された文字の候補を表示する際に、直前に確定された文字列に続く確率の高い文字列のうち上記入力された文字を含む文字列を文字の候補と合わせて表示する機能を備える。
上記構成によれば、確定された文字列に続いて文字を入力し、その文字の候補表示の際に、直前に確定された文字列に続く確率の高い文字列のうち入力された文字を含む文字列を合わせて表示するようにしたので、関連のある文字列を入力するときに文字候補を確定する必要がなくなり、トータル的な文字入力の操作数を削減することができる。
本発明の文字入力装置の上記文字列記録部は、保持されている文字列に続く文字列情報および両文字列が連続する確率を保持し、上記文字列検索手段は、上記文字列候補選択手段によって所望の文字列が選択されると、選択された文字列に続く確率の高い文字列を検索し表示する機能を備える。
上記構成によれば、さらに、表示された文字列候補の中から所望の文字列を選択すると、選択された文字列に続く確率の高い文字列を検索して表示するようにしたので、表示された文字列を選択するだけで関連のある文字列を入力することが可能になり、文字入力における操作数を削減することができる。
本発明の文字入力装置の上記文字列記録部は、保持されている文字列に続く文字列情報および両文字列が連続する確率を保持し、上記文字列検索手段は、上記文字列候補選択手段によって所望の文字列が選択されると、選択された文字列に続く確率の高い文字列のうち、選択された文字列の直前に位置する文字列との連結度が高い文字列を検索して表示する機能を備える。
上記構成によれば、さらに、表示された文字列を選択すると、選択された文字列に続く確率の高い文字列のうち、選択された文字列の直前に位置する文字列との連結度が高い文字列を検索して表示するようにしたので、精度良く関連のある文字列の入力が可能となるため、文字入力における操作数を削減できる。
本発明の文字入力装置の上記文字候補表示手段は、上記文字入力手段で入力された文字の候補を表示する際に、上記文字候補を所定画面に表示しきれないと判定したとき、上記文字候補を切り換えて表示できる機能を備える。
上記構成によれば、入力した文字の候補が画面上に表示しきれない場合に、文字候補を切り換えて表示できるようにしたので、文字入力装置の表示画面の大きさに関係なく文字候補を表示できる。
本発明の文字入力装置の上記文字列表示手段は、上記文字列検索手段により検索された文字列を表示する際に、前記文字列を所定画面に表示しきれないと判定したとき、前記文字列を切り換えて表示できる機能を備える。
上記構成によれば、検索された文字列が画面上に表示しきれない場合に、文字列を切り換えて表示できるようにしたので、文字入力装置の表示画面の大きさに関係なく文字列を表示できる。
本発明の文字入力方法は、文字候補を選択する文字候補選択ステップと、あらかじめ設定された0個以上の文字列を上記文字列記録部に記録する文字列記録ステップと、上記文字候補選択ステップで選択された文字を含む文字列を上記文字列記録部から検索する文字列検索ステップと、上記文字列検索ステップにより検索された文字列を表示する文字列表示ステップと、上記文字列表示ステップにて表示された文字列を、ユーザの指示に応じて選択する文字列選択ステップとを有し、上記文字候補選択ステップで選択された文字および上記文字列選択ステップで選択された文字列を用いて入力を行う。
上記方法によれば、入力文字の候補を選択し、選択された文字を含む文字列を選択することで所望の文字入力ができるので、簡単で操作数が少ない文字入力操作を提供できる。
本発明の文字入力プログラムは、文字候補を選択する文字候補選択ステップと、あらかじめ設定された0個以上の文字列を文字列記録部に保持する文字列記録ステップと、上記文字候補選択ステップで選択された文字を含む文字列を上記文字列記録部から検索する文字列検索ステップと、上記文字列検索ステップにより検索された文字列を表示する文字列表示ステップと、上記文字列表示ステップにて表示された文字列を、ユーザの指示に応じて選択する文字列選択ステップとを有し、上記文字候補選択ステップで選択された文字および上記文字列選択ステップで選択された文字列を用いて入力を行う。
これにより、入力文字の候補を選択し、選択された文字を含む文字列を選択することで所望の文字列を入力できる、簡単で操作数が少ない文字入力プログラムを提供できる。
本発明の文字入力プログラムの記録媒体は、文字候補を選択する文字候補選択ステップと、あらかじめ設定された0個以上の文字列を文字列記録部に保持する文字列記録ステップと、上記文字候補選択ステップで選択された文字を含む文字列を上記文字列記録部から検索する文字列検索ステップと、上記文字列検索手段により検索された文字列を表示する文字列表示ステップと、上記文字列表示ステップにて表示された文字列を、ユーザの指示により選択する文字列選択ステップとを有し、上記文字候補選択ステップで選択された文字および前記文字列選択ステップで選択された文字列を用いて入力を行う文字入力プログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
これにより、入力文字の候補を選択し、選択された文字を含む文字列を選択することで所望の文字列を入力できる、簡単で操作数が少ない文字入力プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供できる。
本発明に係る文字入力装置は、上記課題を解決するために、入力された表音文字または表音文字列を対応する表意文字に変換して、ユーザが選択する表意文字または表意文字列を入力する文字入力装置において、上記表音文字と、該表音文字を含む表音文字列に対応する表意文字とを関連付けて記録する文字記録部と、ユーザにより入力された表音文字を受け付けて、該表音文字に関連付けられた表意文字を、表意文字の候補として上記文字記録部から抽出する文字候補抽出手段と、上記候補抽出手段が抽出した候補の表示順序を決定する候補順序決定手段と、上記候補順序決定手段が決定した表示順序に基づいて候補を表示するようデータを出力する表示制御手段とを備え、過去に入力された表意文字または表意文字列と、該表意文字または表意文字列の直前よりさらに前方に入力された前方文字または前方文字列とを対応付けて、上記前方文字または前方文字列の後方に該表意文字または表意文字列が入力される可能性の高さを示す関連度が関連度記録部に記憶されており、上記候補順序決定手段は、上記関連度記録部から、上記候補の前方に入力されている前方文字または前方文字列と、各候補との関連度を検出し、該関連度が高い候補ほど優先して表示されるよう表示順序を決定することを特徴としている。
本発明に係る文字入力方法は、上記課題を解決するために、入力された表音文字または表音文字列を対応する表意文字に変換して、ユーザが選択する表意文字または表意文字列を入力する文字入力装置における文字入力方法において、上記文字入力装置は、文字候補抽出手段と、候補順序決定手段と、表示制御手段とを備えており、上記文字候補抽出手段が、ユーザにより入力された表音文字を受け付けて、該表音文字に関連付けられている表意文字を、上記表音文字と、該表音文字を含む表音文字列に対応する表意文字とを関連付けて記録する文字記録部から、表意文字の候補として抽出する第1ステップと、上記候補順序決定手段が、上記第1ステップにて抽出した候補の表示順序を決定する第2ステップと、上記表示制御手段が、上記第2ステップにて決定した表示順序に基づいて候補を表示するようデータを出力する第3ステップとを含み、上記第2ステップは、過去に入力された表意文字または表意文字列と、該表意文字または表意文字列の直前よりさらに前方に入力された前方文字または前方文字列とを対応付けて、上記前方文字または前方文字列の後方に該表意文字または表意文字列が入力される可能性の高さを示す関連度を記憶する関連度記録部から、上記候補の前方に入力されている前方文字または前方文字列と、各候補との関連度を検出し、該関連度が高い候補ほど優先して表示されるよう表示順序を決定するステップを含むことを特徴としている。
本発明に係る文字入力装置は、上記課題を解決するために、入力された表音文字または表音文字列を対応する表意文字に変換して、ユーザが選択する表意文字または表意文字列を入力する文字入力装置において、上記表音文字と、該表音文字を含む表音文字列に対応する表意文字とを関連付けて記録する文字記録部と、ユーザにより入力された表音文字を受け付けて、該表音文字に関連付けられた表意文字を、表意文字の候補として上記文字記録部から抽出する文字候補抽出手段と、上記候補抽出手段が抽出した候補の表示順序を決定する候補順序決定手段と、上記候補順序決定手段が決定した表示順序に基づいて候補を表示するようデータを出力する表示制御手段と、過去に入力された表意文字または表意文字列と、該表意文字または表意文字列の直前に入力された直前文字または直前文字列とを対応付けて、上記直前文字または直前文字列の直後に該表意文字または表意文字列が入力される可能性の高さを示す連続度を記録する連続度記録部と、過去に入力された表意文字または表意文字列と、該表意文字または表意文字列の直前よりさらに前方に入力された前方文字または前方文字列とを対応付けて、上記前方文字または前方文字列の後方に該表意文字または表意文字列が入力される可能性の高さを示す関連度を記録する関連度記録部とを備え、上記候補順序決定手段は、上記連結度記録部から求まる、上記候補の直前に入力されている直前文字または直前文字列と各候補との間の連続度と、上記関連度記録部から求まる、上記候補の前方に入力されている前方文字または前方文字列と各候補との間の関連度とを合計して、候補がユーザに選択される可能性の大きさを示す評価値を算出し、該評価値が高い候補ほど優先して表示されるよう表示順序を決定することを特徴としている。
さらに、上記文字入力装置は、上記候補順序決定手段が候補の表示順序を決定する際に参照する所定の条件である、上記候補がユーザに選択される可能性の大きさを示す評価値の算出に使用可能な複数種類の要素から、ユーザにより指定された要素を設定する候補順序決定要素設定手段を備え、上記各候補に対応付けて上記関連度とは異なる要素が要素記録部に記憶されており、上記候補順序決定手段は、上記関連度と、上記候補順序決定要素設定手段によって設定された上記要素記録部に記憶されている要素とに基づき、候補の表示順序を決定することが好ましい。
上記文字入力装置は、上記評価値が複数の桁からなり、上記候補順序決定手段が候補の評価値を算出するのに用いる、上記連続度および上記関連度とは異なる、候補の特性を表す1または複数の要素を、上記各候補に対応付けて記録する要素記録部と、上記要素記録部に記録された要素から、ユーザにより指定された要素を評価値の算出に用いる要素として設定する候補順序決定要素設定手段とを備え、上記候補順序決定手段は、上記連続度および上記関連度の値を、上記複数の桁のうちあらかじめ割り当てられた桁に格納するとともに、上記候補順序決定要素設定手段によって設定された要素を、上記候補の特性を数値化するために要素ごとに設定された変換規則にしたがって変換した値を、あらかじめ割り当てられた他の桁に格納することによって上記評価値を算出することが好ましい。
さらに、上記評価値は、上位の桁であるほど大きい数値を意味し、各候補の連続度、関連度、および、各種要素から求めた値は、重要度の高いものほど上位桁に格納されるように格納位置が割り当てられていることが好ましい。
本発明に係る文字入力方法は、上記課題を解決するために、入力された表音文字または表音文字列を対応する表意文字に変換して、ユーザが選択する表意文字または表意文字列を入力する文字入力装置における文字入力方法において、上記文字入力装置は、文字候補抽出手段と、候補順序決定手段と、表示制御手段と、上記表音文字と、該表音文字を含む表音文字列に対応する表意文字とを関連付けて記録する文字記録部と、過去に入力された表意文字または表意文字列と、該表意文字または表意文字列の直前に入力された直前文字または直前文字列とを対応付けて、上記直前文字または直前文字列の直後に該表意文字または表意文字列が入力される可能性の高さを示す連続度を記録する連続度記録部と、過去に入力された表意文字または表意文字列と、該表意文字または表意文字列の直前よりさらに前方に入力された前方文字または前方文字列とを対応付けて、上記前方文字または前方文字列の後方に該表意文字または表意文字列が入力される可能性の高さを示す関連度を記録する関連度記録部とを備えており、上記文字候補抽出手段が、ユーザにより入力された表音文字を受け付けて、該表音文字に関連付けられている表意文字を、上記文字記録部から、表意文字の候補として抽出する第1ステップと、上記候補順序決定手段が、上記第1ステップにて抽出した候補の表示順序を決定する第2ステップと、上記表示制御手段が、上記第2ステップにて決定した表示順序に基づいて候補を表示するようデータを出力する第3ステップとを含み、上記第2ステップは、上記連結度記録部から求まる、上記候補の直前に入力されている直前文字または直前文字列と各候補との間の連続度と、上記関連度記録部から求まる、上記候補の前方に入力されている前方文字または前方文字列と各候補との間の関連度を合計して、候補がユーザに選択される可能性の大きさを示す評価値を算出し、該評価値が高い候補ほど優先して表示されるよう表示順序を決定するステップであることを特徴としている。