JP2007187298A - 差動制限装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 量産加工が容易であり、加工作業性に優れるとともに、精度よく安価に加工することを可能にした差動制限装置を提供する。
【解決手段】 差動制限装置(10)は、第1及び第2の出力カム部材(40,50)が、複数のカム従動子(30)を介してデフケース(20)からの駆動トルクに比例した差動制限トルクを出力する。デフケース(20)は、一端部に端部開口部(21a)を有する有底筒状のケース本体(21)と、ケース本体(21)の端部開口部(21a)を覆うケースカバー(22)とにより構成されている。ケース本体(21)の内周面には、歯車状に歯型創成された複数個の凹凸部(28)が所要の間隔をもってデフケース20の回転軸線方向に形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば農業機械、建設土木機械、運搬機械等の作業用車両、バギー車及び自動車などの各種の車両に使用することができる差動制限装置に係わり、特に、格別な加工を要求されずに精度よく簡単に加工を行うことができるとともに、製作コストを低減することができる差動制限装置に関する。
従来から、例えば自動車等の各種の車両において、駆動輪の空転を抑えてトラクションや走行安定性を向上させることができる差動装置(デファレンシャルギヤ)に差動制限機能を備えた各種の差動制限装置(リミテッド・スリップ・デファレンシャルギヤ)が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載された差動制限装置100(図8)は、左右駆動輪の差動を制限して駆動力を確保するためのものであり、バギー車のような小型車両に搭載されている。この差動制限装置100は、図7に示すように、動力伝達機構101の構成部品である左右両側一対のフロントドライブシャフト102,103に連結したフロントファイナルアセンブリ104の内部に設けられている。
この従来の差動制限装置100の構成部品であるデファレンシャルケース105は、図8に示すように、カップ状に一体成形したケース本体106とケース本体106の開口部に被せる図示せぬキャップとからなる2分割構造となっている。このキャップには、リングギヤ107が取り付けられる。
このデファレンシャルケース105の内部には、図8に示すように、デファレンシャルケース105とケース溝の軸方向にスライドしながら一体的に回転する二種類の入力側ブロック(カムフォロア)108,109と、これらの入力側ブロック108,109を相対滑り可能に挟み込むとともに、各入力側ブロック108,109との摩擦力で独立して回転することができる左・右出力側カム110,111と、左出力側カム110に隣接させるスラストワッシャ112と、スラストワッシャ112に隣接させる皿ばね113とが収納される。
この従来の差動制限装置100は、上述したように、デファレンシャルケース105のケース本体106をカップ状に一体成形している。このため、ケース本体106を2部品から構成する場合に比べて、部品数の削減と、ねじ結合や溶接等の結合工程の廃止とを図ることができ、デファレンシャルケース105の組立工数及び各構成部品の加工工数を減らすことができるとしている。また、組立時間を短縮することができるとともに、デファレンシャルケース105の生産性の向上及び生産コストの低減を図ることができるとしている。
特開2003−172431号公報
ところで、上記特許文献1に記載された差動制限装置100は、図8に示すように、ケース本体106におけるカップ状の筒部の開口端から底部に至る内周面に多数個の軸方向溝106a,…,106aを有している。これらの軸方向溝106aを形成する方法としては、例えば冷間鍛造方法により行うことが考えられる。
通常の冷間鍛造方法では、鍛造時においてカップ状の筒部の内周面に設けられる軸方向溝(歯形)106aに所望の寸法精度を確保することは困難である。このため、鍛造時においてカップ状の筒部の内周面に粗形状の歯形を有するケース本体106を成形し、その鍛造後にケース本体106内の粗形状の歯形を機械加工により切削することで、その歯形に所望の寸法精度を得るようにすることが必要となる。
しかしながら、鍛造したカップ状のケース本体106における筒部の開口端から底部に至る内周面に多数個の歯形を形成するにあたっては、ケース本体106の筒部内にブローチを挿入することが不可欠であるブローチ盤によって切削加工を行うことはできない。このため、スロッターなどの切削工具でカップ状のケース本体106内の粗形状の歯形を一歯ずつ切削することにより仕上げ加工を行わざるを得ない。
このように、冷間鍛造を用いた製造方法では、カップ状のケース本体106における筒部の開口端から底部に至る内周面に形成された多数の粗形状の歯形を目的とした最終形状に仕上げるための機械加工による切削・仕上げ加工に制約を受け易くなる。また、カップ状のケース本体106の冷間鍛造後に、複数の粗形状の歯形に対して面倒な切削・仕上げ加工を必要とする。このため、製造方法が複雑になり、多量生産するにあたり製作費が高騰するばかりでなく、生産効率を低下させるという問題や軸方向溝106aの歯高、歯幅及び歯形などの設計に制約を受けるという様々な問題があった。
また、冷間鍛造を用いた製造方法において、カップ状のケース本体106内に歯形を形成する冷間鍛造を施した場合には、ケース本体106が開口部側に向かって拡径するテーパ形状に変形する傾向にある。ケース本体106が開口部側に向かって拡径するテーパ形状に変形すると、ケース本体106内に所望の歯形形状を得ることは困難となり、ケース本体106内の軸方向溝106aと、入力側ブロック108,109の軸方向溝106aに対応する部位に突設された凸部108a,109aとの係合が確実になされないという不具合を発生することとなる。
特に上記特許文献1に記載されたバギー車のような小型車両よりも大型の車両に上記差動制限装置を搭載する場合は、上記差動制限装置を構成する各種の構成部品が大型化することと相まってカップ状のケース本体106も大型化してしまうこととなる。カップ状のケース本体106が大型化すると、このケース本体106内に設ける軸方向溝106aに精密な鍛造を行うことは困難であるという実情があった。しかしながら、この種の大型のカップ状のケース本体106を効率よく多量生産する技術は工業化されていない。
本発明は、上記従来の課題を解消すべくなされたものであり、量産加工が容易であり、加工作業性に優れるとともに、精度よく安価に加工することを可能にした差動制限装置を提供することを目的としている。
本発明は、駆動トルクを入力して回転するデフケースと、前記デフケースの内周面に係合するとともに、前記デフケースの回転軸線方向に摺動自在に配された複数のカム従動子と、所定のピッチの山部及び谷部によって形成されたカム面を有し、前記カム面が、前記複数のカム従動子を挟んで前記デフケースの内部に互いに対峙して配された第1及び第2の出力カム部材とを備え、前記第1及び第2の出力カム部材が、前記複数のカム従動子を介して前記デフケースからの駆動トルクに比例した差動制限トルクを出力する差動制限装置であって、前記デフケースが、一端部に端部開口部を有する有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の前記端部開口部を覆うケースカバーとにより構成され、前記ケース本体の内周面に、歯車状に歯型創成された凹凸部を有してなることを特徴とする差動制限装置にある。
本発明は、一端部に端部開口部を有する有底筒状のケース本体を鍛造または鋳造などにより成形するとともに、有底筒状のケース本体を鍛造または鋳造などにより成形した後、有底筒状のケース本体の開口端から底部に至る内周面に機械加工である歯切り加工により歯車状に歯型創成された凹凸部を設けることに主要な特徴部を有している。
ここで、歯型創成という用語は、例えばギヤシェーパ加工、ホブ切り加工などの創成加工方法を含んでいる。
本発明によれば、有底筒状のケース本体を鍛造または鋳造などにより成形した後、有底筒状のケース本体内を歯切り加工により歯車状に歯型創成することにより、有底筒状のケース本体とカム従動子との噛合精度と心合わせ精度とを同時に達成することができる。その結果、製造工程を簡略化することができるようになり、量産加工が容易であり、しかも品質の優れた安価な製品を得ることができる。
本発明は、有底筒状のケース本体を鍛造または鋳造などにより成形した後、そのケース本体内を歯切り加工により歯車状に歯型創成することにより初期の目的を達成することができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば鍛造または鋳造などの成形時において有底筒状のケース本体の内周面に歯車状の凹凸部を粗形状に成形することで、鍛造または鋳造などの成形後、その粗形状の凹凸部を機械加工である歯切り加工により歯車状に歯型創成することができる。
本発明にあっては、デフケースにおける有底筒状のケース本体の凹凸部の設定数をカム従動子の設定数と同じ数に設定することができる。本発明の好適な一例としては、ケース本体の内周面を歯車状に歯型創成することにより、ケース本体の凹凸部の設定数がカム従動子の設定数の整数倍、例えば2以上の整数倍に設定することができる。本発明によれば、例えばケース本体の凹凸部の設定数をカム従動子の設定数の整数倍に設定することができるので、ケース本体における歯車状の凹凸部の設計の自由度が大きくなり、その歯数(歯溝数)、歯高及び歯幅などの設定を容易に行うことが可能となる。
ケース本体の凹凸部の外郭形態としては、一般的な歯車形状を使用することができる。本発明の好適な例としては、例えば歯形を直線状の歯先面と半円弧面状の歯先フィレットとにより構成することができる。本発明の他の好適な一例としては、例えば歯形をインボリュート、サイクロイド等の幾何曲線で形成することができる。
カム従動子の係合部としては、例えばケース本体内の凹凸部の突出面(歯先面)に当接する摺動面と、隣り合う凸部間の凹溝面に係合する係合面とを有する係合突起部または係合凹部により構成することができる。
本発明によれば、ケース本体の凹凸部の歯数(歯溝数)をカム従動子の係合部と同数に設定することもできるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明にあっては、ケース本体の内周面を歯車状に歯型創成することにより、カム従動子の係合部をデフケースの凹凸部と対応する部位に複数個設けることができる。
デフケースとしては、例えば有底筒状のケース本体とケース本体の端部開口部を覆うケースカバーとの二部材により構成することが好適である。デフケースのうちケース本体としては、特に限定されるものではないが、鋳造素材により構成することができる。鋳造素材としては、例えば球状黒鉛鋳鉄材などの一般的な鋳造素材を使用することができる。鍛造素材に比べると、鋳造素材は安価な材料であり、材料費を低減することができる。
本発明は、有底筒状のケース本体内を歯切り加工により歯車状に歯型創成することにより、製造工程を簡略化することができるようになり、量産加工が容易であり、しかも品質の優れた安価な差動制限装置を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の代表的な第1の実施形態である差動制御装置を概略的に示す断面図、図2は、第1の実施形態である差動制御装置のデフケースとカム従動子の一構成例を概略的に示す説明図であり、図3は、図2の要部拡大図である。
図1において、符号10は駆動トルクに比例した差動制限トルクを出力する差動制御装置の全体構成を示している。この差動制限装置10は、例えば図示せぬプロペラシャフト等のトルク伝達手段から駆動トルクを入力して回転する有底筒状のデフケース20と、デフケース20の内周面に円環状に配されてデフケース20と同期回転する複数のカム従動子30,…,30と、複数のカム従動子30を挟んだ状態でデフケース20の内部に互いに対向して配された第1及び第2の出力カム部材40,50とを備えている。
複数のカム従動子30及び第1及び第2の出力カム部材40,50を内包した有底筒状のデフケース20は、図1に示すように、ケース底部の中央部に形成された円形開口とは反対側の一端部に、その円形開口よりも大径の端部開口部21aを有する有底筒状のケース本体21と、ケース本体21の端部開口部21aを覆うケースカバー22との二部材により構成されている。
ケース本体21は、ケース底部の中央部に円形開口を有する円筒部23と、円筒部23の内径よりも小径の軸受円筒部24と、軸受円筒部24の内径よりも小径の貫通孔を有する軸貫通部25とを同心上に一体形成した階段形状をなしている。ケース本体21の円筒部における端部開口部21aの外周端縁には、図1及び図5に示すように、略六角形状のフランジ部21bが形成されている。
ケース本体21の軸受円筒部24は、外方向に向けて突設されている軸貫通部25の貫通孔を介して図示せぬ左側(右側)アクスル軸が第1の出力カム部材40の回転軸部42とスプライン結合できるようになっている。ケース本体21の端部開口部21aの内周面には、図1に示すように、ケースカバー22の外周面と螺合する内ネジが形成されている。ケース本体21のフランジ部21bには、図示せぬトルク伝達手段にギヤ結合するプロペラシャフトと噛合するリングギヤが、周方向にわたり所定の間隔をもって穿設された6つの取付孔21c,…,21cを介してボルト締めにより締込固定されるようになっている。
ケース本体21は、図1に示すように、第1の出力カム部材40を皿ばね60、ラジアルニードルベアリング61及びスラストニードルベアリング62を介して相対回転可能に支承している。
一方、ケースカバー22は、図1に示すように、ケース本体21の軸受円筒部24と同じ内径を有する軸受円筒部26と、図示せぬ右側(左側)アクスル軸を貫通させる貫通孔を有する軸貫通部27とを同心上に一体形成した階段形状をなしている。ケースカバー22の軸受円筒部26の外周面には、ケース本体21の内ネジと螺合する外ネジが形成された環状の取付部が突設されている。
このケースカバー22は、図1に示すように、ケース本体21と同様に第2の出力カム部材50をスペーサー63、ラジアルニードルベアリング61及びスラストニードルベアリング62を介して相対回転可能に支承している。
第1及び第2の出力カム部材40,50間に配されたカム従動子30は、図1〜図3に示すように、ケース本体21における円筒部23の内周面に形成された複数の凹凸部28,…,28に摺動自在に係合するようになっている。図示例によると、カム従動子30は、ケース本体21内の凹凸部数と同数の19個設けられており、その凹凸部28と対応する部位にリング状に配されている。
このカム従動子30は、図1に示すように、第1及び第2の出力カム部材40,50と面する両側部であって各出力カム部材40,50の第1及び第2のカム部41,51のカム面に摺接する第1及び第2の接触面31,32と、ケース本体21の円筒部23内に形成された凹凸部28と係合する係合部33とを有する矩形状のブロック体からなる。カム従動子30の第1及び第2の接触面31,32は、それぞれ出力カム部材40,50に所定のピッチの山部及び谷部によってジグザグ状に形成されたカム面と合致した外郭形状をなしている。カム従動子30の係合部33は、図2及び図3に示すように、デフケース20の凹凸部28の突出面(歯先面)に当接する半円弧状の摺動面34と、隣り合う凸部間の凹溝面に係合する係合面35とを有する突起係合部33とにより構成されている。この摺動面34は、デフケース20の凹凸部28の突出面と同一曲率を有している。
複数のカム従動子30を挟んでデフケース20の内部に互いに対峙して配された第1及び第2の出力カム部材40,50は、図1に示すように、それぞれケース本体21の軸受円筒部24内に支承される円筒状の軸体からなる第1及び第2の回転軸部42,52と、その回転軸部42,52の外径よりも大きい外径を有する環状体からなる第1及び第2のカム部41,51とを有している。この円筒状の回転軸部42,52の内周面には、それぞれケース本体21の軸貫通部25の貫通孔を介して貫通する図示せぬ左側(右側)アクスル軸とスプライン嵌合するようになっている。
差動制限装置10を組み立てるにあたっては、常法に従いケース本体21内に皿ばね60、ラジアルニードルベアリング61、スラストニードルベアリング62、第1の出力カム部材40、ケース本体21の内周面にリング状に並べた複数のカム従動子30,…,30、第2の出力カム部材50、スペーサー63、ラジアルニードルベアリング61、スラストニードルベアリング62を順次重ね合わせて収納し、ケース本体21の内ネジにケースカバー22の外ネジを螺合して図示せぬ固着手段により固着する。このように組み立てられた差動制限装置10は、常法に従い図示せぬ車両における左右の車輪間に搭載される。
いま、図示せぬトルク伝達手段にギヤ結合するプロペラシャフトと噛合するリングギヤを介してデフケース20に駆動トルクが伝達されると、デフケース20が回転する。デフケース20が回転すると、デフケース20の凹凸部28に摺動自在に係合するカム従動子30に駆動トルクが伝達され、そのカム従動子30がデフケース20と同期回転する。カム従動子30が回転すると、カム従動子30の接触面31,32と第1及び第2の出力カム部材40,50のカム部41,51のカム面とを介して第1及び第2の出力カム部材40,50に駆動トルクが伝達され、第1及び第2の出力カム部材40,50を回転させる。それと同時に、第1及び第2の出力カム部材40,50の回転軸部42,52とスプライン嵌合された図示せぬ左側(右側)アクスル軸(左右の車輪)を回転させる。
このとき、左右の車輪(第1及び第2の出力カム部材)間に相対回転が生じると、カム従動子30及び第2の出力カム部材40,50よりも回転の速い第1の出力カム部材40間、またはカム従動子30及び第1の出力カム部材40よりも回転の速い第2の出力カム部材50間で、差動制限力となる摩擦力が発生する。その摩擦力が、第1の出力カム部材40よりも回転の遅い第2の出力カム部材50、または第2の出力カム部材40よりも回転の遅い第1の出力カム部材50に伝わることによって、第1及び第2の出力カム部材40,50間の相対回転を抑制することができる。
上記のように構成された差動制限装置10の構成部分は、デフケース20の内部構造を除くと、従来のものと基本的な構成において変わるところはない。従って、本発明は、図示例に限定されるものではない。デフケース20の内部構造は、本発明の主要な特徴部を有している。このデフケース20の基本構成としては、例えばギヤシェーパ加工、ホブ切り加工などの創成加工方法により、有底筒状のケース本体21の内周面に、所要の間隔をもってデフケース20の回転軸線方向に延びる歯車状に歯型創成された複数の凹凸部28,…,28を備えている。
デフケース20は、少なくとも有底筒状のケース本体21を鍛造または鋳造などにより成形する。本発明にあっては、特に限定されるものではないが、ケース本体21としては、鋳造素材により構成することが好適である。鋳造素材としては、例えば球状黒鉛鋳鉄材などの一般的な鋳造素材を使用することができる。鋳造素材は安価な材料であり、鍛造素材により成形したケース本体よりも、加工工数を低減することができるとともに、材料費などを削減することができる。
有底筒状のケース本体21を鍛造または鋳造などにより成形した後、有底筒状のケース本体21の開口端から底部に至る内周面に、所要の間隔をもってデフケース20の回転軸線方向に延びる多数個の凹凸部28,…,28を機械加工である歯切り加工により歯車状に歯型創成する。ケース本体21の内周面に歯車状に歯型創成された凹凸部28の長手方向の前後両側部には、環状の加工逃げ部がそれぞれ形成されている。
有底筒状のケース本体21を鍛造または鋳造などにより成形した後、有底筒状のケース本体21の開口端から底部に至る内周面に複数の凹凸部28を機械加工である歯切り加工により所望の歯形、歯高、歯幅、歯数及び歯溝数をもって歯型創成することで、鍛造または鋳造などの成形後に機械加工である切削・仕上げ加工などの後加工が不要な凹凸部を形成することができるようになる。厳密な切削・仕上げ加工を必要とすることのない簡単な加工であり、成形加工性の向上を達成することができるとともに、製作コストを削減することができるようになる。
また、有底筒状のケース本体21の鍛造または鋳造などの成形後に、有底筒状のケース本体21内を歯切り加工により歯車状に歯型創成することにより、カム従動子30と歯車状の凹凸部28との歯当たりの厳密な切削・仕上げ加工精度を高める必要がなくなり、有底筒状のケース本体21とカム従動子30との噛合精度と心合わせ精度とを同時に達成することができる。このため、製造工程を簡略化することができるようになり、量産加工が容易であり、しかも品質の優れた安価な製品を得ることができるようになる。
なお、この第1の実施形態では、出力カム部材40,50のカム部41,51は円環状に形成されているが、本発明にあっては図示例に限定されるものではなく、例えばカム部41,51を円盤状に形成することにより、出力カム部材40,50を止まり穴を有する回転軸部42,52により構成することができる。この構成を採用することにより、デフケース20の内部に第1及び第2の出力カム部材40,50を組み立てると、デフケース20の内周面と各出力カム部材40,50の回転軸部42,52との間の隙間に介装された図示せぬ一対のシール部材により、デフケース20内に潤滑油を封入する密閉空間を形成することができるので、各出力カム部材40,50に図示せぬアクスル軸を連結する前にデフケース20内に潤滑油を封入することができる。
[第2の実施形態]
図4は、本発明に係る第2の実施形態であるデフケース20とカム従動子30の一構成例を概略的に示す要部拡大図である。図4は、図2と同様に、デフケース20とカム従動子30の一部を概略的に示している。なお、この第2の実施形態において、上記第1の実施形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。
図4において、デフケース20における有底筒状のケース本体21の凹凸部28は、歯形を直線状の歯先面と半円弧面状の歯先フィレットとにより構成されている。有底筒状のケース本体21の凹凸部28の好適な他の一例としては、一般的な歯車形状の凹凸部、例えば歯形をインボリュート、サイクロイド等の幾何曲線で形成することができる。この第2の実施形態では、有底筒状のケース本体21を鍛造または鋳造などにより成形した後、有底筒状のケース本体21内に歯切り加工により歯車形状に歯型創成している。しかしながら、本発明にあってはこれに限定されるものではなく、例えば有底筒状のケース本体21を鍛造または鋳造などにより成形する成形時において有底筒状のケース本体21の内周面に凹凸部を粗形状に成形することで、有底筒状のケース本体21の成形後に機械加工である歯切り加工により歯車形状に歯型創成することができる。
[第3の実施形態]
図5は、本発明に係る第3の実施形態であるデフケース20とカム従動子30の一構成例を概略的に示す説明図である。図5は、スペーサー63、ラジアルニードルベアリング61、スラストニードルベアリング62、第2の出力カム部材50、ケースカバー22をケース本体21から取り外した状態を示している。なお、この第3の実施形態において、上記各実施形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
上記第1の実施形態では、デフケース20における凹凸部28の歯数(歯溝数)の設定数をカム従動子30の設定数と同じ数に設定した一構成例を説明したが、この第3の実施形態にあっては、デフケース20の凹凸部28の設定数をカム従動子30の設定数の整数倍に設定している点で上記第1の実施形態と異なっている。図示例によれば、デフケース20の凹凸部28は36個に設定されている。一方、カム従動子30は、12個に設定されている。カム従動子30の半円弧状の摺動面34は、図5に示すように、デフケース20における隣り合う一対の凹凸部28の突出面に当接している。カム従動子30の突起係合部33は、隣り合う一対の凹凸部28の両側部に形成された凹溝面を除いて、隣り合う凸部間の凹溝面に摺動自在に係合している。
この第3の実施形態にあっては、デフケース20の凹凸部28の設定数をカム従動子30の設定数の2倍に設定しているが、本発明はこれに限定されるものではない。この第3の実施形態にあっては、デフケース20の内周面を歯車状に歯型創成することにより、例えばデフケース20の凹凸部28の数に対してカム従動子30の係合部33の数を3以上の整数倍に設定することができることは勿論である。デフケース20の内周面を歯車状に歯型創成することで、デフケース20における歯車状の凹凸部28の設計の自由度が大きくなり、凹凸部28の歯数(歯溝数)や歯形の設定を容易に行うことができるようになる。
[第4の実施形態]
図6は、本発明に係る第4の実施形態であるデフケース20とカム従動子30の一構成例を概略的に示す説明図である。図6は、図5と同様にスペーサー63、ラジアルニードルベアリング61、スラストニードルベアリング62、第2の出力カム部材50、ケースカバー22をケース本体21から取り外した状態を示している。なお、この第4の実施形態において、上記各実施形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。
この第4の実施形態では、上記第3の実施形態と同様に、デフケース20の凹凸部28を36個に設定しており、カム従動子30は12個に設定されているが、カム従動子30におけるデフケース20の凹凸部28の突出面に当接する半円弧状の摺動面34に2個の係合突起部33,33を突設している点で上記各実施形態とは異なっている。カム従動子30の半円弧状の摺動面34は、図6に示すように、デフケース20における互いに隣り合う3つの凹凸部28,…,28の突出面に当接している。カム従動子30の各突起係合部33,33は、互いに隣り合う3つの凹凸部28,…,28の両側部に形成された凹溝面を除いて、互いに隣り合う3つの凸部間の2つの凹溝面に摺動自在に係合している。
この第4の実施形態では、カム従動子30の突起係合部33を2個に設定しているが、本発明は図示例に限定されるものではない。カム従動子30の係合突起部33としては、例えばデフケース20の凹凸部28と対応する部位に所定の間隔をおいて3個以上の任意の数に突設することができる。また、カム従動子30の係合突起部33は、各カム従動子30ごとに同数に設定することもできるが、その係合突起部33の設定数が各カム従動子30ごとに異なった構成であってもよいことは勿論である。
以上の説明からも明らかなように、上記各実施形態では、有底筒状のケース本体21内の凹凸部28の歯数(歯溝数)、歯高(歯溝)寸法及び歯形などを任意に設定し、有底筒状のケース本体21内に歯切り加工により歯車形状に歯型創成することで、カム従動子30が適当な個数をもって適当な数の突起係合部33により構成されている。しかしながら、本発明にあってはこれに限定されるものではなく、例えばカム従動子30の係合部33を適当な数の係合凹部により構成することができることは勿論であり、本発明の初期の目的を十分に達成することができる。従って、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
本発明の代表的な差動制御装置を概略的に示す断面図である(第1の実施形態)。 本発明における差動制御装置のデフケースとカム従動子の一構成例を概略的に示す説明図である(第1の実施形態)。 図2の要部拡大図である(第1の実施形態)。 本発明におけるデフケースとカム従動子の一構成例を概略的に示す要部拡大図である(第2の実施形態)。 本発明におけるデフケースとカム従動子の一構成例を概略的に示す説明図である(第3の実施形態)。 本発明におけるデフケースとカム従動子の一構成例を概略的に示す説明図である(第4の実施形態)。 従来の差動制限装置を搭載した車両の動力伝達機構を示す斜視図である。 従来の差動制限装置の分解斜視図である。
符号の説明
10 差動制御装置
20 デフケース
21 ケース本体
21a 端部開口部
21b フランジ部
21c 取付孔
22 ケースカバー
23 円筒部
24,26 軸受円筒部
25,27 軸貫通部
28 凹凸部
30 カム従動子
31,32 接触面
33 係合部
34 摺動面
35 係合面
40,50 出力カム部材
41,51 カム部
42,52 回転軸部
60 皿ばね
61 ラジアルニードルベアリング
62 スラストニードルベアリング
63 スペーサー

Claims (5)

  1. 駆動トルクを入力して回転するデフケースと、
    前記デフケースの内周面に係合するとともに、前記デフケースの回転軸線方向に摺動自在に配された複数のカム従動子と、
    所定のピッチの山部及び谷部によって形成されたカム面を有し、前記カム面が、前記複数のカム従動子を挟んで前記デフケースの内部に互いに対峙して配された第1及び第2の出力カム部材とを備え、
    前記第1及び第2の出力カム部材が、前記複数のカム従動子を介して前記デフケースからの駆動トルクに比例した差動制限トルクを出力する差動制限装置であって、
    前記デフケースが、一端部に端部開口部を有する有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の前記端部開口部を覆うケースカバーとにより構成され、前記ケース本体の内周面に、歯車状に歯型創成された凹凸部を有してなることを特徴とする差動制限装置。
  2. 前記デフケースの前記凹凸部の設定数が、前記カム従動子の設定数の整数倍に設定されてなることを特徴とする請求項1記載の差動制限装置。
  3. 前記カム従動子が、前記デフケースの前記凹凸部に対して摺動自在に係合する係合部を有してなることを特徴とする請求項1又は2記載の差動制限装置。
  4. 前記カム従動子の前記係合部が、前記カム従動子の前記デフケースの前記凹凸部と対応する部位に複数個設けられてなることを特徴とする請求項3記載の差動制限装置。
  5. 前記ケース本体が鋳造素材からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の差動制限装置。
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