JP4952671B2 - 遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法 - Google Patents

遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、サンシャフト、プラネタリシャフト及びリングシャフトを備え、これらに設けられたネジ間の差動によりリングシャフトとサンシャフトとの間で回転直動間の変換を行う遊星差動ネジ型回転直動変換機構の製造方法に関する。
遊星差動ネジ型回転直動変換機構は高精度な差動をさせるためには、機構を構成しているサンシャフト、プラネタリシャフト及びリングシャフトのネジやギヤを、製造時に高精度に配置する必要がある。このような遊星差動ネジ型回転直動変換機構の製造については各種の治具を用いて高精度に機構を組み立てる手法が提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
特開2008−045642号公報(第32頁、図31,32) 特開2008−025829号公報(第69頁、図60,61)
特許文献1,2では、治具を用いて遊星差動ネジ型回転直動変換機構の構成中間物であるサブアッセンブリを組み立てる際に、リングネジをプラネタリシャフト配列の外周にねじ込みつつ、同時にリングネジの内側にリングギヤを圧入していた。このことにより以後、治具からサブアッセンブリを取り外しても、高精度な組立状態が崩れることを防止し、以後の組み立て工程を経て高精度な遊星差動ネジ型回転直動変換機構を製造しようとしている。
しかし上述したごとく高精度な配置を決定する精密な治具上にて高い応力がかかる圧入処理が、リングネジをプラネタリネジにねじ込みながら行われるため、サブアセンブリ全体に歪みが生じて組立精度が低下するおそれがある。特に遊星差動ネジ型回転直動変換機構駆動時の摩耗抑制のためにプラネタリシャフトをサンシャフトの軸方向とは傾けて配置する場合には、プラネタリネジが傾いているため、ねじ込みと圧入とが同時に行われるとプラネタリネジの姿勢が不安定になり易く、組立精度を低下させるおそれがあった。
本発明は、遊星差動ネジ型回転直動変換機構の高精度な組立が容易な製造方法の提供を目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法は、サンネジの軸方向前後にサンギヤを設けたサンシャフト、プラネタリネジの軸方向前後にプラネタリギヤを設けた複数のプラネタリシャフト、及びリングネジの軸方向前後にリングギヤを設けたリングシャフトを備え、ネジ間の差動によりリングシャフトとサンシャフトとの間で回転直動間の変換を行う遊星差動ネジ型回転直動変換機構の製造方法であって、部材配置用治具上の正規位置にて、前記サンシャフトの周上に、一方の前記プラネタリギヤを有する前記プラネタリネジを複数配列して前記サンシャフトに噛み合わせた状態に配置し、前記リングネジを前記プラネタリネジの配列の外側にて前記部材配置用治具にて設定される正規位置まで螺入した後に、この螺入方向とは反対側から一方の前記リングギヤを前記リングネジに圧入することにより一体化してサブアッセンブリを形成するサブアッセンブリ工程を有することを特徴とする。
このようにリングネジをプラネタリネジの配列の外側にて正規位置まで螺入する際にはリングギヤの圧入は実行されない。正規位置までリングネジを螺入した後に、螺入方向とは反対側からはリングギヤをリングネジに圧入することにより一体化している。したがってこのように形成されたサブアッセンブリは組立時の歪みが抑制されて組立精度が低下することを防止できる。こうして容易に高精度な遊星差動ネジ型回転直動変換機構の組立が実現できる。
請求項2に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項1において、前記サブアッセンブリ工程の次に、他方のリングギヤを、前記一方のリングギヤの位相位置にて規制された位相位置に圧入装置にて前記リングネジに圧入するリングギヤ圧入工程を有することを特徴とする。
このように他方のリングギヤについては、既に圧入された一方のリングギヤの位相位置にて規制された位相位置に圧入装置にてリングネジに圧入することにより、他方のリングギヤについても高精度にサブアッセンブリに組み付けることができ、容易に高精度な遊星差動ネジ型回転直動変換機構の組立が実現できる。
請求項3に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法は、サンネジの軸方向前後にサンギヤを設けたサンシャフト、プラネタリネジの軸方向前後にプラネタリギヤを設けた複数のプラネタリシャフト、及びリングネジの軸方向前後にリングギヤを設けたリングシャフトを備え、ネジ間の差動によりリングシャフトとサンシャフトとの間で回転直動間の変換を行う遊星差動ネジ型回転直動変換機構の製造方法であって、部材配置用治具上の正規位置にて、前記サンシャフトの周上に、一方の前記プラネタリギヤを有する前記プラネタリネジを複数配列して噛み合わせた状態に配置し、前記リングネジを前記プラネタリネジの配列の外側にて前記部材配置用治具にて設定される正規位置まで螺入した後に、この螺入方向とは反対側から一方の前記リングギヤを前記リングネジに予備圧入することにより一体化してサブアッセンブリを形成し、その後に前記部材配置用治具から圧入装置に前記サブアッセンブリを移動した後、前記一方のリングギヤを前記リングネジに本圧入することにより完全一体化するサブアッセンブリ工程を有することを特徴とする。
このようにリングネジをプラネタリネジの配列の外側にて正規位置まで螺入する際にはリングギヤの圧入は実行されない。更に正規位置までリングネジを螺入した後に、螺入方向とは反対側からはリングギヤをリングネジに予備圧入することにより一体化している。このように部材配置用治具上にては、リングギヤはリングネジに予備圧入するのみで、完全な圧入ではない。このため予備圧入時の比較的低い圧力がリングギヤとリングネジとの間に作用するのみでありサブアッセンブリ組立時の歪みを効果的に抑制できるので、組立精度が低下することを十分に防止できる。
更に予備圧入後に部材配置用治具からサブアッセンブリを外して圧入装置へ運搬しても単なるサブアッセンブリの運搬であることから予備圧入のみで高精度な組立状態が崩れることを十分に防止できる。そして圧入装置にて本圧入が実行されることにより、完全にリングギヤはリングネジに一体化する。したがって容易に高精度な遊星差動ネジ型回転直動変換機構の組立が実現できる。
請求項4に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項3において、前記サブアッセンブリ工程の次に、又は前記本圧入時に、他方のリングギヤを、前記一方のリングギヤの位相位置にて規制された位相位置に圧入装置にて前記リングネジに圧入するリングギヤ圧入工程を有することを特徴とする。
このように他方のリングギヤについては、既に予備圧入あるいは本圧入された一方のリングギヤの位相位置にて規制された位相位置に圧入装置にてリングネジに圧入することにより、他方のリングギヤについても高精度にサブアッセンブリに組み付けることができ、容易に高精度な遊星差動ネジ型回転直動変換機構の組立が実現できる。
請求項5に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項2又は4において、前記リングギヤ圧入工程は、前記一方のリングギヤと前記他方のリングギヤとに共に噛合することで前記他方のリングギヤを前記一方のリングギヤの位相位置に対する正規の位相位置に規制する位相規制治具を用いて前記他方のリングギヤの位相位置を規制した状態で、前記圧入装置にて圧入することを特徴とする。
このように位相規制治具を用いることにより、容易にリングギヤ同士の相対位相を高精度に設定してサブアッセンブリを組み立てることができる。
請求項6に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項2、4又は5において、前記サブアッセンブリ工程では、一方のみの前記プラネタリギヤを有し、他方の前記プラネタリギヤの配置部分には支持軸を有する前記プラネタリネジを用いると共に、前記リングギヤ圧入工程の次に、前記支持軸に挿入されることで自身を支持する軸穴を形成しているプラネタリギヤを、前記他方のリングギヤとサンギヤとの間にて前記軸穴を前記支持軸に挿入させることにより、前記プラネタリシャフトを形成するプラネタリシャフト形成工程を有することを特徴とする。
このようにプラネタリシャフトを、一方のみのプラネタリギヤを有するプラネタリネジと、このプラネタリネジに形成されている支持軸に軸穴にて支持されるプラネタリギヤとの2つの構成部品にて構成していることにより、プラネタリシャフト自身の製造が容易なものとできる。そしてプラネタリシャフトを形成するに際して、単に軸穴を支持軸に挿入させることによりプラネタリシャフトを完成させているので、プラネタリシャフトの製造コストを抑制できる。
請求項7に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項6において、前記サンシャフトは、前記サンネジとこのサンネジの軸方向前後のサンギヤとを共に一体成形により設けたものであることを特徴とする。
このことによりサンシャフト自身は必要な構成が一体化されているので、後で圧入などが不要となり製造が容易で高精度なものにできる。
請求項8に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項6又は7において、前記リングギヤ圧入工程では、前記他方のリングギヤを前記一方のリングギヤの位相位置とは1歯未満の位相差を設けて圧入することにより、前記プラネタリシャフト形成工程では前記プラネタリネジが前記サンシャフトの軸方向に対して傾いた状態で前記他方のプラネタリギヤの軸穴を前記支持軸に挿入させることで前記プラネタリシャフトを形成することを特徴とする。
このようにリングギヤ圧入工程で他方のリングギヤを一方のリングギヤの位相位置とは1歯未満の位相差にてずらして圧入すると、プラネタリシャフト形成工程ではプラネタリネジの支持軸は、他方のプラネタリギヤの軸穴に対してサンシャフトの軸方向に対して傾くことで挿入可能となる。したがってプラネタリシャフト形成工程では軸穴を支持軸に挿入することで自ずとサンシャフトの周りにてプラネタリシャフトが傾くようにできる。
しかも直前の工程までは前述したごとく歪みが生じないように組立がなされているので、プラネタリシャフトを傾けて配置する遊星差動ネジ型回転直動変換機構を高精度に組み立てることが容易となる。
請求項9に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項8において、前記プラネタリシャフト形成工程では、串歯状治具の各串歯を、前記プラネタリネジの配列における周方向に形成された間隙に挿入すると共に、前記串歯状治具の各串歯は、前記他方のプラネタリギヤの軸穴を前記支持軸に挿入させる際に前記プラネタリネジに正規の傾き角を生じさせる傾き代を前記プラネタリネジとの間に形成する位相間隔に設定されていることを特徴とする。
このように串歯の位相間隔は、プラネタリネジに正規の傾き角を生じさせる傾き代を前記プラネタリネジとの間に形成できるので、プラネタリギヤの軸穴を、プラネタリネジ側の支持軸に挿入する際に前述したごとく自ずとプラネタリネジを傾けることになる。このように傾けても、串歯間隔が前記傾き代を有してプラネタリネジ間に挿入されているので、過多に傾いて1歯以上異なる位相位置にプラネタリギヤが配置されることを防止できる。
したがってこの串歯状治具により、プラネタリシャフトが傾いた遊星差動ネジ型回転直動変換機構を高精度に組み立てることが容易となる。
請求項10に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項8又は9において、前記プラネタリネジと前記リングネジとはねじれ角が同一であり、前記プラネタリネジと前記サンネジとはねじれ角が異なることによりネジ間の差動が生じると共に、前記プラネタリネジの傾きは遊星差動ネジ型回転直動変換機構駆動時の摩耗が少ない側への傾きであることを特徴とする。
プラネタリネジの傾きが、製造された遊星差動ネジ型回転直動変換機構の駆動時における摩耗が少ない側への傾きとされていることにより、実際に遊星差動ネジ型回転直動変換機構の摩耗を抑制することができる。
しかも前述したごとく遊星差動ネジ型回転直動変換機構が高精度に組み立てられていることから、傾きも高精度に設定できるので、クリアランスによる傾きの変動を考慮しても、十分に摩耗を抑制できる傾き範囲となるように遊星差動ネジ型回転直動変換機構を組み立てることができ、確実に摩耗を抑制できる。
請求項11に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項10において、前記プラネタリネジの傾きは前記サンネジのネジ方向に前記プラネタリネジのネジ方向が近づく方向への傾きであることを特徴とする。
製造された遊星差動ネジ型回転直動変換機構におけるプラネタリネジの傾きが、サンネジのネジ方向にプラネタリネジのネジ方向が近づく方向への傾きであることにより、遊星差動ネジ型回転直動変換機構の摩耗を少なくすることができる。
請求項12に記載の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法では、請求項8〜11のいずれか一項において、前記プラネタリシャフトは6本が配置されることを特徴とする。
通常、遊星差動ネジ型回転直動変換機構は、6本よりも多数のプラネタリシャフトを用いた方が、耐摩耗性上好ましいが、前述のごとく傾斜させることにより摩耗を抑制できるので、6本にても十分な耐摩耗性を生じさせられる。このことによりプラネタリシャフトが6本にて製造された遊星差動ネジ型回転直動変換機構にても十分な耐久性を生じさせることができる。
[実施の形態1]
図1は本発明の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法を実施するための部材配置用治具2の縦断面図である。部材配置用治具2は、図の左右から、後述するサンシャフト24(図2)を軸方向で挟持するために、前方側部分収納部4aと後方側部分収納部4bとの2つに分離されたサンシャフト収納部4を備えている。前方側部分収納部4aはサンシャフト24の前方側を軸方向の正規位置に軸回転不能に支持する。この支持のために前方部収納空間6が形成されて、この内周面6aにはサンシャフト24の回転を阻止するためのスプライン6bが形成されている。更に前方部収納空間6において軸方向内奥には前方側センタ8が軸方向に突出して設けられている。後方側部分収納部4bはサンシャフトの後方側を軸方向の正規位置に支持する。この支持のために後方部収納空間10が形成されて、この内周面10aにてサンシャフト24を支持している。更にこの後方部収納空間10の軸方向内奥には後方側センタ12が軸方向に突出して設けられている。
サンシャフト収納部4の外側には、サンシャフト収納部4に対応して前方側部分スリーブ14aと後方側部分スリーブ14bとの2つに分離されているプラネタリシャフト脱落防止スリーブ14が密着状態でかつ摺動可能状態で配置されている。前方側部分スリーブ14aは基台16に固定されている。後方側部分スリーブ14bは、図示左側にて基台16に後方側部分収納部4bと共に軸方向に移動可能に取り付けられている。
プラネタリシャフト脱落防止スリーブ14内部に配置されたサンシャフト収納部4の前方側部分収納部4a及び後方側部分収納部4bは、それぞれベアリング18に支持されて前方側部分スリーブ14a及び後方側部分スリーブ14b内にて軸回転可能とされている。前方側部分収納部4aと後方側部分収納部4bとは、ギヤ機構やスプロケットなどからなる同期用モーションリンクにて接続されており、前方側部分スリーブ14a及び後方側部分スリーブ14b内にて、同期して回転する。このため常に前方側部分収納部4aと後方側部分収納部4bとは同一の位相状態にあるので、前方部収納空間6から後方部収納空間10に架け渡すように収納したサンシャフト24に対して捻り力を与えることなく円滑に回転できる。
前方側部分スリーブ14aと共に基台16上には、後述する前方側リングギヤ22(図2)を支持するための支持装置20と、前方側リングギヤ22を予備的に圧入するための予備圧入装置21(図8)とが設けられている。
遊星差動ネジ型回転直動変換機構の組立は次のように行われる。まず図2の縦断面図に示すごとく、遊星差動ネジ型回転直動変換機構に用いる前方側リングギヤ22を、前方側部分スリーブ14aの外周側に挿入した状態で配置する。又、後述するリングネジ28(図6)についても後方側部分スリーブ14bの外周側に挿入した状態で配置しておく。
次に後方側部分収納部4b及び後方側部分スリーブ14bを軸方向に移動して前方側部分収納部4a及び前方側部分スリーブ14a側から遠ざけ、前方側部分収納部4a及び前方側部分スリーブ14aとの間隔を広げる。このことにより遊星差動ネジ型回転直動変換機構のサンシャフト24は、前方側部分収納部4a及び前方側部分スリーブ14aと、後方側部分収納部4b及び後方側部分スリーブ14bとの間に配置できるようになる。そして図2に示したごとくサンシャフト24の後端を後方部収納空間10に挿入する。あるいはサンシャフト24の前端を前方部収納空間6に挿入しても良い。この状態で後方側部分収納部4b及び後方側部分スリーブ14bを前方側部分収納部4a及び前方側部分スリーブ14a側に近づけて元の位置に戻す。
このことにより図3に示すごとく、サンシャフト24はその前端面の中心に形成されているセンタ穴が前方側センタ8にて位置決めされ、サンシャフト24の後端面の中心に形成されているセンタ穴が後方側センタ12にて位置決めされる。更にサンシャフト24のスプライン24aは前方部収納空間6側のスプライン6bに噛合して前方側部分収納部4a内での回転が阻止される。このことによりサンシャフト24は部材配置用治具2において正規位置に配置されて軸方向移動が阻止され、軸回りについては前方側部分収納部4aと一体に回転する状態となる。尚、同期用モーションリンクにより前方側部分収納部4aと後方側部分収納部4bとは一体として回転することから、サンシャフト24はサンシャフト収納部4全体と一体に回転する状態となる。
ここで基台16に固定されることで回転しないプラネタリシャフト脱落防止スリーブ14においては、前方側部分スリーブ14a側と後方側部分スリーブ14b側とにおいて、重力方向上方側のみに、それぞれ両者が対向した側の縁が軸方向に凹状に切り込まれた切込部14c,14dが形成されている。この切込部14c,14d部分での前方側部分スリーブ14aと後方側部分スリーブ14bとの間隔は、図4に示したごとく遊星差動ネジ型回転直動変換機構に用いるプラネタリネジ26の軸方向の長さと同一に設定されている。そして切込部14c,14dの幅は、それぞれプラネタリネジ26の前端軸部26a及び後端軸部26bの幅(直径)と同じかわずかに大きい。ただし切込部14c,14dの軸方向の各長さは、プラネタリネジ26の前端軸部26a及び後端軸部26bの長さ以下に形成されている。したがって切込部14c,14d部分では、軸方向をサンシャフト24と平行にした状態のプラネタリネジ26を、前方側部分スリーブ14a及び後方側部分スリーブ14bを通過させて内部の前方側部分収納部4a及び後方側部分収納部4b側へ挿入することが可能である。
前方側部分収納部4a及び後方側部分収納部4bの外周には、軸方向において、これら切込部14c,14dと同一の長さ及び幅にて溝4c,4dが設けられている。溝4c,4dの深さはプラネタリネジ26の前端軸部26a及び後端軸部26bが収納できる深さとされている。この溝4c,4dはサンシャフト24の周りに配置するプラネタリネジ26の本数分がプラネタリネジ26の配列に対応した位相位置に形成されている。すなわちこれらの溝4c,4dはプラネタリネジ26を部材配置用治具2上の正規の配置に配列するためのものである。
このように前方側部分収納部4a及び後方側部分収納部4bの外周に溝4c,4dが形成されているので、切込部14c,14dを介して、各プラネタリネジ26の前端軸部26a及び後端軸部26bを溝4c,4d内に配置できる。この配置により、プラネタリネジ26は正規の位置に配置されると共に、プラネタリネジ26のネジ26cをサンシャフト24のネジ24b(サンネジ)に噛み合わせることができる。そしてプラネタリネジ26に既に一体に形成されている前方ギヤ26dはサンシャフト24の前方ギヤ24cに噛み合わせることができる。
次にサンシャフト収納部4を回転させることにより、次の位相位置にある溝4c,4dを切込部14c,14dの位置に合わせ、上述したごとく次のプラネタリネジ26を新たな溝4c,4d内に切込部14c,14dを介して配置することができる。この時、既に正規位置に配置したプラネタリネジ26はサンシャフト24の周りにて下側に移動することになるが、下側ではプラネタリシャフト脱落防止スリーブ14には切込部14c,14dは存在しない。したがってサンシャフト収納部4からプラネタリネジ26が脱落することはない。
遊星差動ネジ型回転直動変換機構に配置すべき本数の全てのプラネタリネジ26について、上述のごとく各溝4c,4dへの配置を繰り返すことで図5に示すごとくの状態となる。更にこの状態からサンシャフト収納部4とサンシャフト24とを回転させて、いずれのプラネタリネジ26も切込部14c,14dに位置しないようにする。このことによりプラネタリネジ26は完全に部材配置用治具2上に固定される。
次に図6に示すごとく前方側リングギヤ22を前方ギヤ26d側に移動させて、前方側リングギヤ22を部分的に前方ギヤ26dに噛み合わせる。そして支持装置20を中心側に移動させて、その先端部20aにて前方側リングギヤ22の軸方向位置を維持する。このことにより前方側リングギヤ22と前方ギヤ26dとの間の位相関係が決定される。
そして予め後方側部分スリーブ14b上に配置しておいたリングネジ28をプラネタリネジ26側に移動させ、サンシャフト24の周上に配列しているプラネタリネジ26のネジ26cに螺入する。この螺入により図7に示すごとくリングネジ28の先端を部材配置用治具2の基準面2a(ここでは支持装置20上の面)に当接することでリングネジ28を正規位置とする。このことでサンシャフト24、プラネタリネジ26及びリングネジ28の軸方向での相対的配置が正規配置となる。
次に図8に示すごとく、予備圧入装置21を用いて、その圧入部先端21aにて前方側リングギヤ22をリングネジ28側に移動させる。このことにより前方側リングギヤ22は、プラネタリネジ26の前方ギヤ26dとは噛合状態にて軸方向に移動することによりリングネジ28に対して予備圧入される。すなわちリングネジ28の内周面に圧入代が形成されている圧入部28aにわずかに圧入され、このことにより前方側リングギヤ22はリングネジ28に対する相対的な回転位相が固定される。このことによりサンシャフト24、プラネタリネジ26及びリングネジ28の軸周りでの相対的回転位相関係が正規配置に固定されたサブアッセンブリが形成される。
次に前方側部分収納部4a及び前方側部分スリーブ14aと、後方側部分収納部4b及び予め後方側部分スリーブ14bとを離して、サブアッセンブリを部材配置用治具2より取り外し、図9のごとくの圧入装置30に配置する。この圧入装置30は上部圧入体30aと下部圧入体30bとを備えている。下部圧入体30bは装置基台31に固定されている。下部圧入体30b内では、リングネジ28の後端側に後方側リングギヤ32を配置する。この後方側リングギヤ32に対して上から上部圧入体30aにて圧力を付与することにより、前方側リングギヤ22の本圧入と、後方側リングギヤ32の圧入(本圧入)とが同時に実行される。
図10の(A)に示したA−A線断面図のごとく、上部圧入体30aの外周円筒部30cは下部圧入体30bに対して軸方向に摺動可能に嵌合している。そして上部圧入体30aと下部圧入体30bとの間の軸周りでの相対的な回転位相は、外周円筒部30cの内周面に設けたキー30dと、下部圧入体30bの外周面に設けた軸方向のキー溝30eとにより固定されている。
上部圧入体30aの中心側には、後方側リングギヤ32をリングネジ28内に圧入するための後方側圧入部34が円筒状に設けられている。この後方側圧入部34は内側が外側よりも軸方向に一段長く形成されている。外側は後方側リングギヤ32の一端に当接して圧力を与える当接部34aであり、内側は規制ギヤ部34bである。この規制ギヤ部34bの外周面はギヤ歯を形成し、後方側リングギヤ32の内周側にあるギヤと噛合することで後方側リングギヤ32の軸回転を規制し、後方側リングギヤ32の回転位相を規定位相に固定している。更に規制ギヤ部34bには、プラネタリネジ26の後端軸部26bが圧入時に後方側圧入部34に干渉しないように、後端軸部26bに対応する数(ここでは9ヶ所)の穴34cが形成されている。
下部圧入体30bは、図10の(B)に示したB−B線断面図のごとく、装置基台31に固定された円筒部30fを備え、この円筒部30fの中心部空間には円筒状の前方側圧入部36が配置されている。この前方側圧入部36おいては、円筒部30fとの間の軸周りでの相対的な回転位相は、前方側圧入部36に設けられたキー30gと、円筒部30fの内周面に形成されたキー溝30hとにより固定されている。
前方側圧入部36は内側が外側よりも軸方向に一段長く形成されている。外側は前方側リングギヤ22の一端に当接して圧入時の圧力を受ける当接部36aであり、内側は規制ギヤ部36bである。この規制ギヤ部36bの外周面はギヤ歯を形成し、前方側リングギヤ22の内周側のギヤと噛合することで前方側リングギヤ22の軸回転を規制し、前方側リングギヤ22の回転位相を規定位相に固定している。更に規制ギヤ部36bには、プラネタリネジ26の前方ギヤ26dが圧入時に前方側圧入部36に干渉しないように、前方ギヤ26dに対応する数(ここでは9ヶ所)の穴36cが対応する位相位置に形成されている。
圧入処理後の状態を図11に示す。このようにして前方側リングギヤ22の本圧入と後方側リングギヤ32の圧入とが同時に実行される。前述したごとく前方側リングギヤ22は、前方側圧入部36の規制ギヤ部36b、キー30g、キー溝30hにより円筒部30fに対して軸周りでの相対回転は規制されている。更に後方側リングギヤ32は、後方側圧入部34の規制ギヤ部34bにより外周円筒部30cに対して軸周りでの相対回転は規制されている。そして上部圧入体30aの外周円筒部30cと下部圧入体30bの円筒部30fとの間はキー30dとキー溝30eとにより軸周りでの相対回転は規制されている。
このため、前方側リングギヤ22と後方側リングギヤ32とは規定の位相関係(ここでは位相差β:1歯の幅より小さい位相差)にて高精度に固定された状態でリングネジ28に圧入されることになる。
このことによりリングネジ28と前方側リングギヤ22及び後方側リングギヤ32とは一体化して、前方側リングギヤ22と後方側リングギヤ32とが規定の位相関係にあるリングシャフト29が形成されることになる。
以上でサブアッセンブリ工程を終了し、次にプラネタリシャフト形成工程を実行する。
上述のごとく組み立てられたサブアッセンブリを、圧入装置30から外し、図12に示す後方ギヤ組立用治具40に、図13に示すごとく配置する。図12の(A)は平面図、(B)は(A)におけるC−C線縦断面図である。
後方ギヤ組立用治具40は基台40aと串歯40bとから構成されている。基台40aは円筒形をなし、この上部に中心空間を取り囲むように軸方向に伸びる9本の串歯40bが固定されている。この串歯40b間の間隙40cの位相幅θは、図13に示したごとく後方ギヤ26eの軸穴に後端軸部26bを挿入する際に、前述した前方側リングギヤ22と後方側リングギヤ32との位相差βに伴ってプラネタリネジ26を傾けた状態にて後方ギヤ26eに後端軸部26bが挿入される幅に設定されている。
図14に後方ギヤ26eの軸穴を後端軸部26bにて支持させる手順を示す。サブアッセンブリ全体は、プラネタリネジ26の前方ギヤ26d側が串歯40bの間隙底面40dに当接した状態で後方ギヤ組立用治具40に配置されている。このプラネタリネジ26の後端軸部26bに対して後方ギヤ26eを配置するために、図14の(A)に示すごとく後方ギヤ26eを間隙40cに挿入しようとした場合、後方ギヤ26eは、リングネジ28に固定された後方側リングギヤ32とサンシャフト24に形成された後方ギヤ24dとの間で噛合状態となることにより挿入されることになる。この噛合状態では、後方側リングギヤ32が前方側リングギヤ22に対して位相差βにて配置されているため、後方ギヤ26eは、前方ギヤ26dと同じ位相では後方側リングギヤ32と噛み合わない。このため、図14の(B)に示すごとく、わずかに公転上の位相をずらした状態(前方ギヤ26dとの位相差γ)にて間隙40c内に入ることになる。
この状態にて後方ギヤ組立用治具40自体を振動させると、プラネタリネジ26の上端側(後端軸部26b側)が揺動することにより、図14の(C)に示すごとく後方ギヤ26eの軸穴に後端軸部26bが位置する状態が生じる。このことにより、図14の(D)に示すごとく後方ギヤ26eの自重により軸穴内に後端軸部26bが挿入され、プラネタリネジ26と後方ギヤ26eとが組み合わされてプラネタリシャフト42が形成される。
このプラネタリシャフト42の完成状態では、前方ギヤ26dと後方ギヤ26eとがサブアッセンブリの軸周りにて位相差γが存在するので、プラネタリシャフト42の軸方向Axはサブアッセンブリの軸方向に平行ではなく、周方向に角度α傾いた状態の姿勢にて配置されている。尚、この傾き方向は、プラネタリネジ26のネジ26cのネジ方向を、このネジ26cが噛合しているサンシャフト24側のネジ24bのネジ方向に近づける方向に傾けた状態となっている。
このようにして図15に示すごとく後方ギヤ組立用治具40上にてプラネタリシャフト42が完成し、プラネタリシャフト形成工程が終了する。
このサブアッセンブリを後方ギヤ組立用治具40から取り出して図16に示すごとく、前方に油穴44aの形成された前方側キャップ44を嵌合し、後方にスライドセンサ46aが設けられた後方側キャップ46を嵌合して、遊星差動ネジ型回転直動変換機構48が完成する。
この遊星差動ネジ型回転直動変換機構48は、プラネタリシャフト42が軸方向に対してサンシャフト24の周上で角度α分傾けられていることになる。ここで内燃機関の可変動弁機構を駆動するために遊星差動ネジ型回転直動変換機構48を内燃機関に組み込んだ場合に、プラネタリシャフト42の傾き角度(°)と遊星差動ネジ型回転直動変換機構48における摩耗量(g)との関係を図17に示す。
本実施の形態のごとくサンシャフト24の周りに9本のプラネタリシャフト42が配置されている場合を実線にて示す。摩耗限界内での中央値は0°ではなく、傾き角度α(>0°)である。この傾き角度αが前述したごとくの製造方法にて実現されている。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).部材配置用治具2上では、前方側リングギヤ22はリングネジ28に予備圧入するのみで、完全な圧入ではない。このため比較的低い圧力が前方側リングギヤ22とリングネジ28との間に作用するのみでありサブアッセンブリ組立時の歪みを効果的に抑制できる。したがってサブアッセンブリの組立精度が低下することを十分に防止できる。
更に部材配置用治具2上での予備圧入後に部材配置用治具2からサブアッセンブリを外して圧入装置30側へ運搬しても単なるサブアッセンブリの運搬であることから予備圧入のみで高精度な組立状態が崩れることを十分に防止できる。そして圧入装置30にて本圧入が後方側リングギヤ32と共に前方側リングギヤ22に対して実行されることにより、これ以後に完成する遊星差動ネジ型回転直動変換機構48は高精度な組立体となる。このように容易に高精度な遊星差動ネジ型回転直動変換機構48の組立が実現できる。
(ロ).本圧入時においては、位相規制治具としても構成されている圧入装置30にて圧入されるので、既に予備圧入されている前方側リングギヤ22の位相位置にて規制された位相位置にて後方側リングギヤ32を圧入することができる。このことにより後方側リングギヤ32についても高精度にサブアッセンブリに組み付けることができ、容易に高精度な遊星差動ネジ型回転直動変換機構48の組立が実現できる。
(ハ).プラネタリネジ26からプラネタリシャフト42への組立は、串歯状治具として構成された後方ギヤ組立用治具40上にて、串歯40bの間隙40cに後方ギヤ26eを入れて、軸穴内に支持軸である後端軸部26bを挿入させるのみで完成する。このように後方ギヤ26eを串歯40bにガイドさせて単にその軸穴を後端軸部26bに挿入させることによりプラネタリシャフト42を完成させている。このようにプラネタリシャフト42は2つの別体の部品(プラネタリネジ26及び後方ギヤ26e)からなるため製造自体も容易であり、上述したごとく組立も容易であることから、プラネタリシャフト42の製造コストを抑制できる。
しかも、後方ギヤ組立用治具40の串歯40bによるガイドは、前方側リングギヤ22に対する後方側リングギヤ32の位相差(ここでは1歯未満の位相差)に対応させた傾き角度にプラネタリシャフト42が傾くように、必要な間隙40cの幅が設定されている。すなわち串歯40bの間隙40cは、プラネタリネジ26に正規の傾き角を生じさせる傾き代となる分の幅に設定されている。したがって後方ギヤ26eの軸穴に後端軸部26bを挿入することで、プラネタリシャフト42を容易に正規の傾き角度αに設定することができる。
そしてこのような串歯40bのガイドにより、過多にプラネタリネジ26が傾斜することがなく、確実にプラネタリシャフト42を容易に正規の傾き角度αに設定することができる。
しかも部材配置用治具2上では前述したごとくサブアッセンブリに歪みが生じないように予備圧入がなされ、圧入装置30においてもサブアッセンブリに歪みが生じないように本圧入がなされているので、プラネタリシャフト42を傾けて配置する遊星差動ネジ型回転直動変換機構48の高精度な組立を容易なものとすることができる。
(ニ).本実施の形態のごとく製造された遊星差動ネジ型回転直動変換機構48は、プラネタリネジ26のネジ26cをサンシャフト24のネジ24bのネジ方向に近づく方向に、プラネタリネジ26を傾けた構成となっている。このことにより図17に示したごとくプラネタリネジ26の傾きはネジ噛合における摩耗が少ない側への傾きとなり、傾き角度の許容範囲W1が、傾かない場合の許容範囲W2よりも拡大して、許容範囲W1の中央に最も摩耗しない傾き角度αが設定される。
製造された遊星差動ネジ型回転直動変換機構48がこのように構成されていることにより、遊星差動ネジ型回転直動変換機構48の駆動時の摩耗を十分に抑制することができる。
しかも前述したごとく遊星差動ネジ型回転直動変換機構48が高精度に組み立てられていることから、プラネタリシャフト42の傾きも高精度に設定できる。このためクリアランスによるプラネタリシャフト42の傾きの変動を考慮しても、十分に摩耗を抑制できる傾き範囲となるように遊星差動ネジ型回転直動変換機構48を組み立てることができる。
(ホ).本製造方法ではサンシャフト24は、スプライン24aを含めて、ネジ24b、前方ギヤ24c、及び後方ギヤ24dの全体を、転造などにより最初から一体に形成したものを用いることができるので、後で後方ギヤ24dの圧入が不要となり製造が容易で高精度なものにできる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、前方側リングギヤ22及び後方側リングギヤ32を本圧入する圧入装置30が、前方側リングギヤ22及び後方側リングギヤ32の間で位相差が存在しない位相規制治具として機能する点が前記実施の形態1とは異なる。このため図13〜15にて説明したごとく、後方ギヤ組立用治具40を用いて後方ギヤ26eの軸穴に後端軸部26bを挿入しても、プラネタリシャフト42はサンシャフト24の軸方向に対して傾くことはない。他の構成は前記実施の形態1と同じである。
したがって、前記実施の形態1の(ニ)にて述べた効果以外は、前記実施の形態1のごとくの効果が生じる。
尚、プラネタリネジ26が傾いていない状態に設定したため、本実施の形態により製造された遊星差動ネジ型回転直動変換機構は、図17に示したごとく摩耗量については許容範囲W2となる。しかし、この場合でも高精度に遊星差動ネジ型回転直動変換機構が組み立てられていることにより、本実施の形態により製造された遊星差動ネジ型回転直動変換機構は、実際には問題ない範囲で各種用途に用いることができる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、部材配置用治具2上での前方側リングギヤ22については、予備圧入の代わりに本圧入を実行する点が前記実施の形態1,2とは異なる。このため圧入装置30による圧入は実際には後方側リングギヤ32側のみが圧入されることになる。他の構成は前記実施の形態1又は実施の形態2と同じである。
このことにより前記実施の形態1に述べた予備圧入による歪みの低減効果はないが、他の効果は存在する。特に部材配置用治具2からサブアッセンブリを外して圧入装置30へ運搬しても組立状態の精度が低下しないように維持できる。そして圧入装置30にて後方側リングギヤ32の圧入が行われても、この時の圧入時の歪みは、前方側リングギヤ22が既に完全に圧入されていることから、全く精度には問題はなく、これ以後に完成した遊星差動ネジ型回転直動変換機構48は高精度な組立体となる。このように遊星差動ネジ型回転直動変換機構48の高精度な組立を容易とすることができる。
[実施の形態4]
本実施の形態では、サンシャフト24の周上に配置されるプラネタリネジ26は6本である点が前記実施の形態1とは異なる。具体的には、前記実施の形態1に示した9本の内で、位相が120°間隔にあるものを3本除いた構成になる。このことにより製造される遊星差動ネジ型回転直動変換機構は、6本のプラネタリシャフト42がサンシャフト24とリングシャフト29との間に配列されて公転することになる。
更に前記実施の形態1の場合に比較して、圧入装置30上では前方側リングギヤ22に対して後方側リングギヤ32は、更に大きい位相差(>β、ただし1歯の幅より小さい位相差)とされる。このことにより図17に示すごとく遊星差動ネジ型回転直動変換機構内でのプラネタリシャフト42は、軸方向に対してサンシャフト24の周上で角度ε(>α)傾けられることになる。他の構成は前記実施の形態1と同じである。
したがって、前記実施の形態1にて述べた効果を生じると共に、プラネタリシャフト42を6本としたために図17に一点鎖線にて示したごとく摩耗量が増加するが、プラネタリシャフト42を、角度αよりも更に傾けて角度εとしたことにより、摩耗量の許容範囲W3の中央値に設定できる。
更に前述したごとく高精度に遊星差動ネジ型回転直動変換機構が形成できる。このことから、通常、遊星差動ネジ型回転直動変換機構は、6本よりも多数のプラネタリシャフト、例えば前記実施の形態1〜3のごとく9本用いた方が、耐摩耗性上好ましいが、前述のごとく角度ε傾斜させることにより摩耗を抑制できるので、プラネタリシャフト6本にても十分な耐摩耗性を生じさせることができる。
尚、本実施の形態にても、前記実施の形態3のごとく部材配置用治具2上での前方側リングギヤ22については、予備圧入の代わりに本圧入を実行しても良い。この場合、リングネジ28を予備圧入装置21(図8)とは反対側から支持すれば、サブアッセンブリに対する圧入時の歪みを、より小さくすることができる。
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態1,2,4において、前方側リングギヤ22の本圧入は後方側リングギヤ32の圧入と同時に行ったが、別々に圧入しても良い。
(b).前記各実施の形態において、サンシャフト24は、スプライン24aを含めて、ネジ24b、前方ギヤ24c、及び後方ギヤ24dの全体を最初から一体に形成したものを用いていたが、特に後方ギヤ24dについては別体に形成して、後でサンシャフト24に圧入して一体化しても良い。例えば圧入装置30において前方側リングギヤ22及び後方側リングギヤ32の圧入と同時に、後方ギヤ24dについてもサンシャフト24側に圧入しても良い。
(c).前記各実施の形態においては、遊星差動ネジ型回転直動変換機構は内燃機関、特に車両用の内燃機関の可変動弁機構を駆動するために製造されたものであったが、これ以外の用途にて、各種機構をサンシャフトの軸方向移動により駆動する用途に適用しても良い。更にサンシャフトを回転することによりリングシャフトを軸方向移動させる用途にも適用できる。
(d).前記実施の形態1〜3において、部材配置用治具2上での前方側リングギヤ22の予備圧入あるいは本圧入時に、リングネジ28を、前方側リングギヤ22とは反対側から支持しても良い。このことによりサブアッセンブリに対する圧入時の歪みを、より小さくすることができる。
実施の形態1の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法におけるサブアッセンブリ工程を実施するための部材配置用治具の縦断面図。 実施の形態1のサブアッセンブリ工程説明図。 同じくサブアッセンブリ工程説明図。 同じくサブアッセンブリ工程説明図。 同じくサブアッセンブリ工程説明図。 同じくサブアッセンブリ工程説明図。 同じくサブアッセンブリ工程説明図。 同じくサブアッセンブリ工程説明図。 実施の形態1のリングギヤ圧入工程を実施するための圧入装置の縦断面図。 同じく圧入装置の横断面説明図。 実施の形態1のリングギヤ圧入工程説明図。 実施の形態1のプラネタリシャフト形成工程を実施するための後方ギヤ組立用治具の構成説明図。 実施の形態1のプラネタリシャフト形成工程説明図。 同じくプラネタリシャフト形成工程説明図。 同じくプラネタリシャフト形成工程説明図。 実施の形態1の遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法により完成した遊星差動ネジ型回転直動変換機構の縦断面図。 プラネタリシャフトの傾き角度と摩耗量との関係を示すグラフ。
符号の説明
2…部材配置用治具、2a…基準面、4…サンシャフト収納部、4a…前方側部分収納部、4b…後方側部分収納部、4c,4d…溝、6…前方部収納空間、6a…内周面、6b…スプライン、8…前方側センタ、10…後方部収納空間、10a…内周面、12…後方側センタ、14…プラネタリシャフト脱落防止スリーブ、14a…前方側部分スリーブ、14b…後方側部分スリーブ、14c,14d…切込部、16…基台、18…ベアリング、20…支持装置、20a…先端部、21…予備圧入装置、21a…圧入部先端、22…前方側リングギヤ、24…サンシャフト、24a…スプライン、24b…ネジ、24c…前方ギヤ、24d…後方ギヤ、26…プラネタリネジ、26a…前端軸部、26b…後端軸部、26c…ネジ、26d…前方ギヤ、26e…後方ギヤ、28…リングネジ、28a…圧入部、29…リングシャフト、30…圧入装置、30a…上部圧入体、30b…下部圧入体、30c…外周円筒部、30d…キー、30e…キー溝、30f…円筒部、30g…キー、30h…キー溝、31…装置基台、32…後方側リングギヤ、34…後方側圧入部、34a…当接部、34b…規制ギヤ部、34c…穴、36…前方側圧入部、36a…当接部、36b…規制ギヤ部、36c…穴、40…後方ギヤ組立用治具、40a…基台、40b…串歯、40c…間隙、40d…間隙底面、42…プラネタリシャフト、44…前方側キャップ、44a…油穴、46…後方側キャップ、46a…スライドセンサ、48…遊星差動ネジ型回転直動変換機構、Ax…軸方向、W1,W2,W3…摩耗量の許容範囲。

Claims (12)

  1. サンネジの軸方向前後にサンギヤを設けたサンシャフト、プラネタリネジの軸方向前後にプラネタリギヤを設けた複数のプラネタリシャフト、及びリングネジの軸方向前後にリングギヤを設けたリングシャフトを備え、ネジ間の差動によりリングシャフトとサンシャフトとの間で回転直動間の変換を行う遊星差動ネジ型回転直動変換機構の製造方法であって、
    部材配置用治具上の正規位置にて、前記サンシャフトの周上に、一方の前記プラネタリギヤを有する前記プラネタリネジを複数配列して前記サンシャフトに噛み合わせた状態に配置し、前記リングネジを前記プラネタリネジの配列の外側にて前記部材配置用治具にて設定される正規位置まで螺入した後に、この螺入方向とは反対側から一方の前記リングギヤを前記リングネジに圧入することにより一体化してサブアッセンブリを形成するサブアッセンブリ工程を有することを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  2. 請求項1において、前記サブアッセンブリ工程の次に、他方のリングギヤを、前記一方のリングギヤの位相位置にて規制された位相位置に圧入装置にて前記リングネジに圧入するリングギヤ圧入工程を有することを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  3. サンネジの軸方向前後にサンギヤを設けたサンシャフト、プラネタリネジの軸方向前後にプラネタリギヤを設けた複数のプラネタリシャフト、及びリングネジの軸方向前後にリングギヤを設けたリングシャフトを備え、ネジ間の差動によりリングシャフトとサンシャフトとの間で回転直動間の変換を行う遊星差動ネジ型回転直動変換機構の製造方法であって、
    部材配置用治具上の正規位置にて、前記サンシャフトの周上に、一方の前記プラネタリギヤを有する前記プラネタリネジを複数配列して噛み合わせた状態に配置し、前記リングネジを前記プラネタリネジの配列の外側にて前記部材配置用治具にて設定される正規位置まで螺入した後に、この螺入方向とは反対側から一方の前記リングギヤを前記リングネジに予備圧入することにより一体化してサブアッセンブリを形成し、その後に前記部材配置用治具から圧入装置に前記サブアッセンブリを移動した後、前記一方のリングギヤを前記リングネジに本圧入することにより完全一体化するサブアッセンブリ工程を有することを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  4. 請求項3において、前記サブアッセンブリ工程の次に、又は前記本圧入時に、他方のリングギヤを、前記一方のリングギヤの位相位置にて規制された位相位置に圧入装置にて前記リングネジに圧入するリングギヤ圧入工程を有することを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  5. 請求項2又は4において、前記リングギヤ圧入工程は、前記一方のリングギヤと前記他方のリングギヤとに共に噛合することで前記他方のリングギヤを前記一方のリングギヤの位相位置に対する正規の位相位置に規制する位相規制治具を用いて前記他方のリングギヤの位相位置を規制した状態で、前記圧入装置にて圧入することを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  6. 請求項2、4又は5において、前記サブアッセンブリ工程では、一方のみの前記プラネタリギヤを有し、他方の前記プラネタリギヤの配置部分には支持軸を有する前記プラネタリネジを用いると共に、
    前記リングギヤ圧入工程の次に、前記支持軸に挿入されることで自身を支持する軸穴を形成しているプラネタリギヤを、前記他方のリングギヤとサンギヤとの間にて前記軸穴を前記支持軸に挿入させることにより、前記プラネタリシャフトを形成するプラネタリシャフト形成工程を有することを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  7. 請求項6において、前記サンシャフトは、前記サンネジとこのサンネジの軸方向前後のサンギヤとを共に一体成形により設けたものであることを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  8. 請求項6又は7において、前記リングギヤ圧入工程では、前記他方のリングギヤを前記一方のリングギヤの位相位置とは1歯未満の位相差を設けて圧入することにより、前記プラネタリシャフト形成工程では前記プラネタリネジが前記サンシャフトの軸方向に対して傾いた状態で前記他方のプラネタリギヤの軸穴を前記支持軸に挿入させることで前記プラネタリシャフトを形成することを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  9. 請求項8において、前記プラネタリシャフト形成工程では、串歯状治具の各串歯を、前記プラネタリネジの配列における周方向に形成された間隙に挿入すると共に、前記串歯状治具の各串歯は、前記他方のプラネタリギヤの軸穴を前記支持軸に挿入させる際に前記プラネタリネジに正規の傾き角を生じさせる傾き代を前記プラネタリネジとの間に形成する位相間隔に設定されていることを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  10. 請求項8又は9において、前記プラネタリネジと前記リングネジとはねじれ角が同一であり、前記プラネタリネジと前記サンネジとはねじれ角が異なることによりネジ間の差動が生じると共に、前記プラネタリネジの傾きは遊星差動ネジ型回転直動変換機構駆動時の摩耗が少ない側への傾きであることを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  11. 請求項10において、前記プラネタリネジの傾きは前記サンネジのネジ方向に前記プラネタリネジのネジ方向が近づく方向への傾きであることを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
  12. 請求項8〜11のいずれか一項において、前記プラネタリシャフトは6本が配置されることを特徴とする遊星差動ネジ型回転直動変換機構製造方法。
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