JP2007107594A - 回転−直動変換機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】遊星ねじローラに倒れ力が働いても、トルク損失の増大による回転−直動の変換効率低下を抑制する。
【解決手段】回転−直動変換機構は、外周面に雄ねじ13を有するねじ軸12と、ねじ軸12を囲繞し、かつ内周面に雌ねじ16を有するローラナット15と、雄ねじ13及び雌ねじ16に螺合した状態でねじ軸12及びローラナット15間に介在されるとともに、両端部がそれぞれリテーナ38,39によって支持された複数本の遊星ねじローラ24とを備え、ローラナット15の回転運動を、遊星ねじローラ24の自転及び公転を通じてねじ軸12の直線運動に変換する。各遊星ねじローラ24は、両端部においてリテーナ38,39に圧入される軸25と、ねじ軸12の雄ねじ13及びローラナット15の雌ねじ16に螺合する雄ねじ34を外周に有し、かつ軸25を中心として回転し得る円筒状のねじ部27とを備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、互いに同一軸線上に配置されたねじ軸及びローラナットについて、一方の回転運動を他方の直線運動に変換する回転−直動変換機構に関するものである。
回転運動を直線運動に変換する機構として、遊星式差動ねじ型の回転−直動変換機構が知られている(例えば特許文献1参照)。この変換機構は、外周面に雄ねじを有するねじ軸と、ねじ軸を囲繞し、かつ内周面に雌ねじを有するローラナットと、上記雄ねじ及び雌ねじに螺合した状態でねじ軸及びローラナット間に介在された複数の遊星ねじローラとを備えている。各遊星ねじローラの両端部は、それぞれリテーナにより回転可能に支持されている。
上記構成の変換機構では、ねじ軸及びローラナットについて、その一方が回転可能かつ軸方向への変位不能に設けられ、他方が回転不能かつ軸方向への変位可能に設けられる。そして、前者(一方)が回転されると、各遊星ねじローラがねじ軸及びローラナットの両方に螺合した状態で自転しながらねじ軸の周りを公転する。これらの遊星ねじローラの自転及び公転により、後者(他方)が軸方向へ変位させられる。
特開平10−196757号公報
上記回転−直動変換機構では、遊星ねじローラ外周の雄ねじと、ねじ軸外周の雄ねじ(又はローラナット内周の雌ねじ)とについて、条数が互いに異なっていて螺合部分に間隙(バックラッシュ)が生ずる。そのため、例えばねじ軸(又はローラナット)に軸方向の荷重が加わる等すると、遊星ねじローラには、これを上記間隙の分だけ歯すじに沿う方向へ倒れさせようとする力(倒れ力)が作用する。
一方、上記回転−直動変換機構では、複数の遊星ねじローラの両端部が一対のリテーナによって回転可能に支持されている。このリテーナにおいて、遊星ねじローラを支持する支持孔は軸線に平行である。そのため、上記倒れ力を受けた遊星ねじローラはリテーナにより傾斜した状態で支持されることとなる。遊星ねじローラの端部がリテーナの支持孔の壁面に対し均等に接触せず、部分的に強く当った状態、いわゆる片当りの状態となる。その結果、支持孔の壁面において上記遊星ねじローラが強く当った部分には大きな応力が作用し、トルク損失が増大し、回転−直動の変換効率が低下する。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊星ねじローラに倒れ力が働いても、トルク損失の増大による回転−直動の変換効率低下を抑制することのできる回転−直動変換機構を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、外周面に雄ねじを有するねじ軸と、前記ねじ軸を囲繞し、かつ内周面に雌ねじを有するローラナットと、前記雄ねじ及び前記雌ねじに螺合した状態で前記ねじ軸及び前記ローラナット間に介在されるとともに、両端部がそれぞれリテーナに支持される遊星ねじローラとを備え、前記ねじ軸及び前記ローラナットの一方の回転運動を、前記遊星ねじローラの自転及び公転を通じて他方の直線運動に変換する回転−直動変換機構であって、前記遊星ねじローラが、両端部において前記リテーナにより支持される軸と、前記ねじ軸の前記雄ねじ及び前記ローラナットの前記雌ねじに螺合する雄ねじを外周面に有し、かつ前記軸を中心として回転し得る筒状のねじ部とを備えている。
上記の構成によれば、遊星ねじローラが、ねじ部と、リテーナによって支持されてねじ部の軸受として機能する軸とに分離されている。この構成により、遊星ねじローラでは、ねじ部が回転しても、その回転が軸に直接伝達されない。
そのため、回転−直動変換機構においてねじ軸及びローラナットの一方が回転されると、その回転がねじ部に伝達されて、同ねじ部が軸上を自転しながらねじ軸の周りを公転する。この際、軸はリテーナとともにねじ軸の周りを回転する。そして、上記ねじ部の自転及び公転により、ねじ軸及びローラナットの他方が軸方向へ変位する。このようにして、ねじ軸及びローラナットの一方の回転が他方の直線運動に変換される。
ここで、軸においてねじ部の軸受となり得る箇所は、少なくともリテーナによって支持される端部を除く箇所である。軸において、上記軸受となり得る箇所の軸方向における長さ(軸受長さ)は、リテーナによって支持される端部の軸方向における長さよりも長い。そのため、軸及びねじ部を一体に設けて遊星ねじローラを構成し、その端部をリテーナによって回転可能に支持した場合よりも、軸受長さを長くすることが可能である。
従って、遊星ねじローラのねじ部に歯すじに沿う方向へ倒れようとする力(倒れ力)が作用すると、ねじ部がねじ軸の軸線に対し傾斜しようとし、軸がねじ部から応力を受ける。しかし、上記のように軸受長さを長くすることで、軸の軸方向に広い箇所で、上記傾斜状態のねじ部から応力を受けることとなる。軸において、傾斜状態のねじ部から極端に大きな応力を部分的に受けることがなくなる。表現を変えると、軸がねじ部から受ける単位面積当りの応力が小さくなる。その結果、トルク損失が増大して回転−直動の変換効率が低下する不具合が抑制される。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記軸の端部は前記リテーナに圧入されているとする。
上記の構成によれば、遊星ねじローラの軸の両端部がそれぞれリテーナに圧入されることにより、両リテーナが前記軸により軸方向に連結された状態となる。そのため、軸がリテーナにより回転可能に支持される場合(背景技術に相当)に比べ、遊星ねじローラを支持する両リテーナの軸方向についての剛性を高めることができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記軸上であって前記ねじ部の近傍には、外周面に外歯を有するギヤ部が回転可能に設けられる一方、内周面に内歯を有するリングギヤが、その内歯を前記ギヤ部の外歯に噛み合わせた状態で前記ローラナットに固定されているとする。
ここで、回転−直動変換機構の作動時において、ローラナット及び遊星ねじローラの一方の回転を他方に伝達する際、ローラナットの雌ねじ部と遊星ねじローラの雄ねじ部との螺合部分で滑りが発生すると、一方の回転に対応する角度(滑りがないとした場合に、本来回転すべき角度)分、他方が回転しないおそれがある。
この点、請求項3に記載の発明では、遊星ねじローラの軸上のギヤ部がその外歯において、ローラナットに固定されたリングギヤの内歯に噛み合っている。このことから、上記噛み合い部分を通じて、リングギヤ(ローラナット)と遊星ねじローラとの間で回転が伝達される。そのため、こうした噛み合いのない場合に比べ、ローラナット及び遊星ねじローラの一方の回転を、滑りの発生を抑制したうえで他方に伝達して、その他方を、一方の回転角度に対応した角度に近い角度回転させることが可能となる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記ギヤ部は前記ねじ部に一体に設けられており、その外歯には、前記ローラナットの雌ねじに螺合し得る雄ねじが形成されているとする。
上記の構成によれば、ギヤ部は、その外歯においてリングギヤの内歯に噛み合うとともに、雄ねじにおいてローラナットの雌ねじに螺合することが可能である。従って、遊星ねじローラのローラナット内への組み込みに際し、ローラナットの一方の開放端から、遊星ねじローラにおけるギヤ部及びねじ部の各雄ねじを順にローラナットの雌ねじにねじ込んでゆく。この作業を行うことにより、遊星ねじローラのねじ部をローラナットの雌ねじに螺合させるとともに、ギヤ部をリングギヤの内歯に噛み合わせることができる。
請求項5に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記ギヤ部は、前記ねじ部から分離した状態で設けられているとする。
上記の構成によれば、ギヤ部がねじ部から分離されていることから、それらギヤ部及びねじ部間で力の伝達が行われない。そのため、ねじ部が倒れ力によりいねじ軸の軸線に対し傾斜したとしても、ギヤ部はその影響を受けにくい。従って、ギヤ部がねじ軸に対し傾斜した状態となって、軸に片当りする現象が起こりにくくなる。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、前記ギヤ部は前記軸に取り外し可能に取付けられているとする。
上記の構成によれば、遊星ねじローラの回転−直動変換機構への組み込みに際し、予めギヤ部を軸から取り外しておく。そして、ローラナットの一方の開放端から、遊星ねじローラにおけるねじ部の雄ねじをローラナットの雌ねじにねじ込んでゆく。ねじ部の雄ねじをローラナットの雌ねじに螺合させた後に、ローラナットの他方の開放端から軸上にギヤ部を取付ける。このように、ねじ部をローラナットに螺合させた後にギヤ部を取付けることができるため、遊星ねじローラの組付け順の自由度が増す。また、ギヤ部を雌ねじに螺合させる作業が不要となり、その分、遊星ねじローラの組付け作業が容易になる。
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発明において、前記軸は、前記ねじ軸の軸線に対し、前記ねじ部の歯すじに沿う方向へ傾斜した状態で配置されているとする。
上記の構成によれば、回転−直動変換機構では、遊星ねじローラの軸がねじ軸の軸線に対しねじ部の歯すじに沿う方向へ予め傾斜している。そのため、倒れ力によりねじ部が軸に対し傾斜しようとしても、軸に対しては傾斜しない、又は傾斜したとしてもその傾斜の度合いは小さい。そのため、遊星ねじローラにおけるねじ部が軸に対し、部分的に強く当った状態、いわゆる片当りの状態が発生しにくい。その結果、軸においてねじ部が強く当ることにより不具合、すなわち大きな応力が作用し、トルク損失が増大し、回転−直動の変換効率が低下する現象が抑制される。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、回転−直動変換機構11はねじ軸12を備えている。ねじ軸12は、自身の軸線10を前後方向(図1中の左右方向)に合致させた状態で配置されている。ねじ軸12は、前後方向(軸方向という場合もある)へは変位可能に、かつ軸線10の周りには回転不能に設けられている。
ねじ軸12の外周面であって、後端面12Aから前方へ若干離れた箇所には雄ねじ13が形成されている。また、ねじ軸12の外周面であって、雄ねじ13よりも後端面12A寄りの箇所にはギヤ14が一体回転可能、かつ取り外し可能に取付けられている。このギヤ14は、軸線10に平行な歯すじを有する平歯車によって構成されている。
また、回転−直動変換機構11は、前後両端を開放した円筒状のローラナット15を備えている。ローラナット15は、自身の中心線を上記軸線10に合致させた状態で、ねじ軸12を囲繞している。この構成により、ねじ軸12とローラナット15との間には、円環状の空間S(図3参照)が形成されている。ローラナット15は、ねじ軸12とは逆に、軸線10を中心として回転可能に、かつ前後方向へ変位不能に設けられている。
ローラナット15の内周面であって、前後方向中間部分には、雌ねじ16を有する小径孔部17が形成されている。同内周面であって、小径孔部17の前後両側には、その小径孔部17よりも径の大きな大径孔部18,19が形成されている。
大径孔部18,19には、円環状をなすリングギヤ21,22がそれぞれ圧入されている。各リングギヤ21,22の内周面には、軸線10に平行な歯すじを有する内歯23が形成されている。
図1〜図3に示すように、上記空間Sには軸線10を中心として等角度毎に複数本の遊星ねじローラ24が配置されている。各遊星ねじローラ24は、図5及び図6に示すように、円柱状の軸25と、前後両端を開放した略円筒状の回転体26とを備えて構成されている。軸25は、上記軸線10に対し平行に配置されている。軸25では、その大部分が小径孔部17内に位置するが、前後両端部分は前後の大径孔部18,19内に位置している。
回転体26は、前記小径孔部17の雌ねじ16に対応して前後方向についての中間部分に位置するねじ部27と、前後両リングギヤ21,22の内歯23に対応してねじ部27の前後両側に位置する一対のギヤ部28,29とを備えて構成されている。特に、後ろ側のギヤ部29の前後長は、前述したねじ軸12のギヤ14の厚みよりも長くなるように設定されている。これは、ねじ軸12が前後方向へ変位した場合に、位置に拘わらずギヤ部29がギヤ14に確実に噛み合うようにするためである。そして、これらねじ部27及び両ギヤ部28,29は、互いに前後に連結された状態で一体に形成されている。
回転体26内のねじ部27に対応する箇所には、軸25よりも若干径の大きな小径孔部31が形成されている。また、回転体26内の両ギヤ部28,29に対応する箇所には、上記小径孔部31よりも径の若干大きな大径孔部32,33が形成されている。
そして、これらの小径孔部31及び両大径孔部32,33内に上記軸25が挿通されている。この軸25の小径孔部31に対応する箇所において、回転体26が回転可能に支持されている。表現を変えると、軸25の小径孔部31に対応する箇所が軸受として機能する。
この小径孔部31の軸方向についての長さを軸受長さL1とすると、この軸受長さL1は、軸25及び回転体26を一体に設けて遊星ねじローラ24を構成し、その軸25の前後両端部を、後述するリテーナ38,39に設けた支持孔41,42によって支持する場合(背景技術に相当)の軸受長さL2,L3の和よりも長くなっている。
ねじ部27の外周面には、上述したローラナット15の雌ねじ16及びねじ軸12の雄ねじ13に螺合し得る雄ねじ34が形成されている。また、前側のギヤ部28の外周面には平歯からなり、かつ前側のリングギヤ21の内歯23に噛み合い得る外歯35が形成されている。外歯35における歯すじは、軸線10に平行に形成されている。さらに、外歯35には、上記ローラナット15の雌ねじ16に螺合し得る雄ねじ36が形成されている。従って、前側のギヤ部28では、雄ねじ36のねじ山が、軸線10の周りに均等に形成された平歯(外歯35)の歯溝によって分断された形態をなしている。なお、図6では、ねじ部27における雄ねじ34と、ギヤ部28における雄ねじ36とが簡略化されて図示されている。
このように、前側のギヤ部28に外歯35に加え雄ねじ36を設けるのは、次の点を考慮したためである。軸線10を中心として等角度毎に配置され、かつギヤ部28がねじ部27と一体である複数本の遊星ねじローラ24をローラナット15に組付ける際には、遊星ねじローラ24をローラナット15の一方(後ろ側)の開放端から、前側のギヤ部28及びねじ部27の各雄ねじ36,34を順にローラナット15の雌ねじ16にねじ込んでゆくこととなる。この際、前側のギヤ部28を雌ねじ16に螺合させるために、外歯35に加え雄ねじ36が必要となる。そこで、外歯35に雄ねじ36を形成している。
また、後ろ側のギヤ部29の外周面には平歯からなり、かつ後ろ側のリングギヤ22の内歯23、及びねじ軸12のギヤ14に噛み合い得る外歯37が形成されている。外歯37における歯すじは、軸線10に平行に形成されている。なお、この外歯37には、前述した前側のギヤ部28におけるような雄ねじ36は形成されていない。
図1及び図2に示すように、前側のリングギヤ21の前方近傍、及び後ろ側のリングギヤ22の後方近傍には、それぞれ円環状をなすリテーナ38,39が、自身の中心線を軸線10に合致させた状態で配置されている。これらのリテーナ38,39は、ローラナット15における小径孔部17の雌ねじ16よりも大きな外径を有している。各リテーナ38,39において、軸線10を中心とした円周上には等角度毎に複数の支持孔41,42が開けられている。図4に示すように、軸線10に直交する仮想平面Pに複数の支持孔41,42を投影して見た場合、前側の支持孔41が後ろ側の支持孔42に重なる箇所に設けられている。
そして、これらの前後方向に相対向する支持孔41,42の対毎に、遊星ねじローラ24における軸25の両端部が圧入されている。この圧入により、軸25が前後両リテーナ38,39に固定されている。表現を変えると、これら複数の軸25により、前後一対のリテーナ38,39が連結されている。両リテーナ38,39を連結するピラー(支柱)は別途用いられていない。
なお、本実施形態の回転−直動変換機構11では、ローラナット15における雌ねじ16と各遊星ねじローラ24のねじ部27における雄ねじ34が同一方向のねじ(例えば左ねじ)により構成され、ねじ軸12の雄ねじ13が上記雄ねじ34とは異なる方向のねじ(例えば右ねじ)により構成されている。また、上記雄ねじ34の条数は、雄ねじ13の条数と異なっている。
上記の構成を有する回転−直動変換機構11は、例えば次のようにして組立てられる。まず、軸線10の周りに複数の遊星ねじローラ24を等角度毎に配置した状態で、前後両リングギヤ21,22やねじ軸12の組付けられていない状態のローラナット15の雌ねじ16に螺合させる作業を行う。
この作業に際しては、複数の遊星ねじローラ24を円環状に配置し、かつその状態に保持してなる組立体を予め作成しておく。この組立体では、複数の遊星ねじローラ24を軸線10に平行に、かつその軸線10を中心とする仮想の円環状空間に等角度毎に配置しておく。円環状空間は、ねじ軸12と、そのねじ軸12を囲繞するローラナット15との間に形成される上記空間Sに対応するものである。そして、これらの遊星ねじローラ24の軸25の前後両端部をそれぞれ図示しない治具によって保持し、組立体とする。
次に、各遊星ねじローラ24において、前側のギヤ部28が挿入方向前側となるように組立体の向きを合わせる。組立体の中心線を、ねじ軸12を囲繞する前の状態のローラナット15の中心線に略合致させ、その組立体をローラナット15に後方から近づける。
各遊星ねじローラ24のギヤ部28の前端面を雌ねじ16の後端面に接触させた状態で、組立体を軸線10を中心として所定方向へ回転させる。ギヤ部28の外歯35には雄ねじ36が形成されているため、上記組立体の回転に伴い、各ギヤ部28が雌ねじ16に噛み始める。この状態で組立体を回転させると、ギヤ部28においてローラナット15の雌ねじ16に螺合した回転体26は、軸25を中心として自転しながら軸線10の周りを公転し、徐々にローラナット15内に進入する。
各ギヤ部28の全体がローラナット15の雌ねじ16に螺合した後も組立体の回転を継続すると、ギヤ部28に加えねじ部27の雄ねじ34がローラナット15の雌ねじ16に螺入してゆく。
組立体がローラナット15内の所定の位置まで挿入されると、全ての遊星ねじローラ24について、雄ねじ34が雌ねじ16に螺合した状態となる。この状態では、前側のギヤ部28がローラナット15の小径孔部17から抜け出て前側の大径孔部18内に入り込み、後ろ側のギヤ部29が後ろ側の大径孔部19内に位置する。
次に、ギヤ14を取り外した状態のねじ軸12をローラナット15の前方に配置し、ねじ軸12を後方へ移動させる。ねじ軸12の雄ねじ13の後端面を各ギヤ部28の前端面に当て、ねじ軸12を軸線10を中心として回転させる。この回転により、雄ねじ13が円環状に配列された前側のギヤ部28に螺合する。ねじ軸12を回転させてゆくと、雄ねじ13がギヤ部28及びねじ部27に螺合する。雄ねじ13の後端面が小径孔部17内の後端面に近い箇所に達するまでねじ軸12の回転を続けると、雄ねじ13が全ての遊星ねじローラ24のねじ部27と前側のギヤ部28とに螺合した状態で組立体の回転中心に配置される。
ローラナット15の後方からギヤ14をねじ軸12に近づけ、そのギヤ14を全ての遊星ねじローラ24の後ろ側のギヤ部29に噛み合わせる。この状態でギヤ14をギヤ部29に沿って前方へスライドさせ、ねじ軸12の後端部に外嵌させる。キー等によりギヤ14をねじ軸12に対し回転不能に係止する。その後に、治具を遊星ねじローラ24から取り外す。
続いて、リングギヤ21をローラナット15の前方に配置し、回転方向における位置(角度)を合わせた後に、大径孔部18内に圧入する。この圧入により、リングギヤ21の内歯23を前側のギヤ部28の外歯35に噛み合わせる。同様に、リングギヤ22をローラナット15の後方に配置し、回転方向における位置(角度)を合わせた後に、大径孔部19内に圧入する。この圧入により、リングギヤ22の内歯23を後ろ側のギヤ部29の外歯37に噛み合わせる。このようにして、内歯23をギヤ部28,29の外歯35,37に噛み合わせた状態でリングギヤ21,22を大径孔部18,19に固定する。
その後、前側のリテーナ38をローラナット15の前方から大径孔部18に近づける。支持孔41が各遊星ねじローラ24の軸25の前端に合致するようにリテーナ38の回転方向等における位置を合わせる。この位置合わせをした状態でリテーナ38を後方へ押圧し、軸25の前端部を支持孔41内に圧入させる。また、後ろ側のリテーナ39をローラナット15の後方から大径孔部19に近づける。支持孔42が各遊星ねじローラ24の軸25の後端に合致するようにリテーナ39の回転方向等における位置を合わせる。この位置合わせをした状態でリテーナ39を前方へ押圧し、軸25の後端部を支持孔42内に圧入させる。全ての遊星ねじローラ24について軸25の前後両端部をリテーナ38,39に圧入すると、前後両リテーナ38,39が複数本の軸25によって連結された状態となる。
このようにして、ねじ軸12と、ねじ軸12の周りに配設されて同ねじ軸12に螺合する複数の遊星ねじローラ24と、ねじ軸12及び遊星ねじローラ24を囲繞して遊星ねじローラ24に螺合するローラナット15とを備える所望の回転−直動変換機構11が得られる。
上記のようにして組立てられた回転−直動変換機構11では、ローラナット15が例えば軸線10を中心として時計回り方向へ回転されると、その回転が雌ねじ16及びねじ部27の螺合部分を通じて回転体26に伝達される。この伝達により、各回転体26はそれぞれ軸25を中心として時計回り方向へ自転しつつ、軸線10の周りを時計回り方向へ公転する。この際、軸25が回転体26から分離されているため、遊星ねじローラ24では、上記のように回転体26が回転(自転)しても、その回転が軸25に直接伝達されることがない。軸25はリテーナ38,39と一体となってねじ軸12の周りを公転する。
一方、ねじ軸12は、こうした複数の遊星ねじローラ24のねじ部27に螺合している。このねじ軸12は、軸線10の周りを回転不能であるが、軸方向へは変位可能である。そのため、各回転体26の上記自転及び公転によりねじ軸12が前後方向(軸方向)へ変位する。このようにして、ねじ軸12及びローラナット15の一方の回転が他方の直線運動に変換される。この際のねじ軸12の変位量は、ローラナット15の回転角度に応じて変化する。
ところで、回転−直動変換機構11では、上述したようにねじ部27における雄ねじ34とねじ軸12の雄ねじ13とで条数が互いに異なっていて螺合部分に間隙(バックラッシュ)が生じている。そのため、例えばねじ軸12に軸方向の荷重が加わる等すると、回転体26には、これを上記間隙の分だけ歯すじに沿う方向A(図5参照)へ倒れさせようとする力(倒れ力)が作用する。
この点、第1実施形態では、遊星ねじローラ24の軸25において回転体26の小径孔部31に対応する箇所を軸受として機能させている。この軸25の軸受長さL1、すなわち小径孔部31の軸方向についての長さは、軸25及びねじ部27を一体に設けて遊星ねじローラ24を構成し、その端部を、リテーナ38,39に設けた支持孔41,42によって支持する場合(背景技術に相当)の軸受長さL2,L3の総和よりも長くなっている。
従って、上記倒れ力が作用すると、ねじ部27が軸線10に対し傾斜しようとし、軸25がねじ部27から応力を受けるが、上記のように軸受長さL1を長くすることで、軸25の軸方向に長い(広い)領域で、上記傾斜状態のねじ部27から応力を受けることとなる。軸25が、傾斜状態のねじ部27から極端に大きな応力を受けることがなくなる。別の表現をすると、軸25がねじ部27から受ける単位面積当りの応力が小さくなる。
また、上記のようにローラナット15の回転を各遊星ねじローラ24に伝達する際、同ローラナット15の雌ねじ16と各回転体26のねじ部27との螺合部分で滑りが発生すると、ローラナット15の回転に対応する角度分、回転体26が回転しないおそれがある。対応する角度とは、滑りがないとした場合に本来回転すべき角度のことである。
この点、第1実施形態では、各回転体26が、その前後両側のギヤ部28,29の外歯35,37において、リングギヤ21,22の内歯23に噛み合っている。このことから、リングギヤ21,22がローラナット15と一体で回転した場合、上記噛み合い部分を通じて、リングギヤ21,22と各回転体26との間で回転の伝達が行われる。そのため、こうした噛み合いのない場合とは異なり、各回転体26がローラナット15に対し滑る現象が抑制されたうえで、ローラナット15の回転が回転体26に確実に伝達されて、同回転体26が、ローラナット15の回転角度に対応した角度に近い角度回転する。これに伴い、ねじ軸12がローラナット15の回転角度に対応した量に近い量移動する。
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)各遊星ねじローラ24を、前後両端部においてリテーナ38,39によって支持される軸25と、ねじ軸12の雄ねじ13及びローラナット15の雌ねじ16に螺合する雄ねじ34を外周に有し、かつ軸25を中心として回転し得る略円筒状のねじ部27とに分離している。
そのため、軸25及びねじ部27を一体に設けて遊星ねじローラ24を構成し、その前後両端部をリテーナ38,39によって支持する背景技術よりも、軸受長さを長くする(L1>L2+L3)ことができる。従って、遊星ねじローラ24のねじ部27に倒れ力が作用して、ねじ部27が軸線10に対し傾斜しようとしても、軸25がねじ部27から部分的に大きな応力を受ける現象を抑制し、トルク損失が増大して回転−直動の変換効率が低下する不具合を解消することができる。
(2)各軸25の両端部を支持孔41,42に圧入することで同軸25をリテーナ38,39に固定している。そのため、軸25がリテーナ38,39に回転可能に支持される背景技術に比べ、遊星ねじローラ24を支持する前後両リテーナ38,39の前後方向(軸方向)についての剛性を高めることができる。
また、軸25をリテーナ38,39に回転可能に支持する場合には、それら遊星ねじローラ24だけでリテーナ38,39の前後方向についての剛性を確保することが難しい。これに対しては、前後両リテーナ38,39を支柱(ピラー)によって連結することによって対処可能である。しかし、支柱を付加すると、その支柱が両リテーナ38,39間のスペースを使用するため、その分、使用できる遊星ねじローラ24の本数が少なくなる。
この点、軸25の両端部をリテーナ38,39に圧入する第1実施形態では、軸25が上述した支柱の機能を兼ねる。支柱を付加しなくても、上述したように前後方向についての剛性を確保することができる。そのため、不要となった支柱の分、軸25を増やすことが可能となる。従って、この場合には、軸25が支柱の機能を兼ねることと相まってさらに前後方向の剛性を高めることができる。
(3)軸25上であってねじ部27の前後両側に、外周面に外歯35,37を有するギヤ部28,29を一体回転可能に設けている。また、内周面に内歯23をそれぞれ有するリングギヤ21,22をローラナット15内に固定している。そして、内歯23に外歯35,37を噛み合わせている。
そのため、こうした噛み合いのない場合に比べ、ローラナット15の回転を、滑りの発生を抑制したうえでねじ軸12に伝達して、そのねじ軸12を、ローラナット15の回転角度に対応した角度に近い角度回転させることができる。
(4)前側のギヤ部28をねじ部27に一体回転可能に設け、そのギヤ部28の外歯35に、ローラナット15の雌ねじ16に螺合し得る雄ねじ36を形成している。こうした構成を採用することで、ギヤ部28は、その外歯35においてリングギヤ21の内歯23に噛み合うとともに、雄ねじ36においてローラナット15の雌ねじ16に螺合することが可能となる。従って、ローラナット15の後方から、回転体26におけるギヤ部28及びねじ部27の各雄ねじ36,34を順にローラナット15の雌ねじ16にねじ込んでゆくことにより、回転体26のねじ部27をローラナット15の雌ねじ16に螺合させるとともに、ギヤ部28を同雌ねじ16の前方近傍に位置させることができる。
(5)回転体26の内周面について軸25に接触する箇所については、その回転体26が軸25によって回転可能に支持される箇所であるから、高い精度で加工される必要がある。この加工作業は、回転体26の内周面において加工の対象となる箇所が長くなるほど難しくなる。
一方、上述した(1)の効果は、軸受長さL1を長くすることによって得られるものである。しかし、ねじ部27は細長く、小径孔部31は軸25によって支持される箇所(被軸受部分)として十分な長さを有している。回転体26の内周面全体を軸25によって支持される箇所(被軸受部分)としなくても、上記(1)の効果が得られる。
この点、第1実施形態では、回転体26の内周面における前後両側部分を、中間部分の小径孔部31よりも径の大きな大径孔部32,33としている。これらの大径孔部32,33については、軸25によって回転可能に支持される箇所でないことから、小径孔部31ほど高い精度をもって加工する必要がない。従って、回転体26においては、小径孔部31についてのみ高い精度で加工すればよい。高い精度で加工する箇所の長さが短くなり、加工作業が容易となる。
このように、第1実施形態によれば、上記(1)の効果の確保と回転体26の内周面の加工のしやすさとの両立を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。
第2実施形態では、各遊星ねじローラ24において、前側のギヤ部28が、ねじ部27及び後ろ側のギヤ部29とは別部材により構成されている。表現を変えると、第1実施形態での回転体26が前側のギヤ部28と、ねじ部27及び後ろ側のギヤ部29とに分割されている。そのため、ギヤ部28と、ねじ部27及びギヤ部29とは、軸25に対しそれぞれ独立して回転可能であり、しかも前後方向に相対変位可能である。さらに、少なくともギヤ部28は軸25から取り外し可能に構成されている。すなわち、軸25には、ギヤ部28を抜け落ち不能に係止する手段が設けられていない。
前側のギヤ部28では、外歯35における雄ねじ36が割愛されている。これは、ギヤ部28がねじ部27と一体となっていないことから、ギヤ部28をローラナット15の雌ねじ16に螺合させなくてもねじ部27を同雌ねじ16に螺合させることができるからである。回転−直動変換機構11について前述した点以外の構成は第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と同様の部材、箇所等には同一の符号を付して説明を省略する。
上記の構成を有する回転−直動変換機構11は概ね第1実施形態と同様にして組立てられるが、遊星ねじローラ24におけるギヤ部28の組立てのタイミングが第1実施形態と異なっている。次に、この相違点を中心に、回転−直動変換機構11を組立てる作業について説明する。
複数の遊星ねじローラ24を主要部とする組立体を予め作成しておく。各遊星ねじローラ24では、軸25から前側のギヤ部28を取り外し、ねじ部27及び後ろ側のギヤ部29のみを軸25上に残しておく。これらの遊星ねじローラ24を軸線10に平行に、かつその軸線10を中心とする仮想の円環状空間に等角度毎に配置し、図示しない治具によって軸25の両端をそれぞれ保持し、組立体とする。
次に、組立体の中心線を、ねじ軸12を囲繞する前の状態のローラナット15の中心線に略合致させ、その組立体をローラナット15に後方から近づける。各遊星ねじローラ24のねじ部27の前端面を雌ねじ16の後端面に接触させた状態で、組立体を軸線10を中心として所定方向へ回転させる。この組立体の回転に伴い、各遊星ねじローラ24のねじ部27において、ローラナット15の雌ねじ16に螺合したねじ部27及びギヤ部29は、軸25を中心として自転しながら軸線10の周りを公転し、徐々にローラナット15内に進入する。
組立体がローラナット15内の所定の位置まで挿入されると、全ての遊星ねじローラ24について、ねじ部27が雌ねじ16に螺合した状態となる。この状態では、後ろ側のギヤ部29は小径孔部17に入り込まず、後ろ側の大径孔部19内に位置する。
図7及び図8において矢印で示すように、前側のギヤ部28をローラナット15の前方から大径孔部18内に挿入し、遊星ねじローラ24の軸25の前端部に嵌合する。この作業を全ての遊星ねじローラ24について行う。
その後の作業については第1実施形態と同様にして行う。すなわち、ギヤ14を取り外した状態のねじ軸12をローラナット15の前方から大径孔部18に入れ、雄ねじ13の後端面を各ギヤ部28の前端面に当て、ねじ軸12を軸線10を中心として回転させる。雄ねじ13の後端面が小径孔部17内の後端面に近い箇所に達するまでねじ軸12の回転を続けると、雄ねじ13が全ての遊星ねじローラ24のねじ部27と前側のギヤ部28とに螺合した状態で組立体の回転中心に配置される。
ローラナット15の後方からギヤ14を、全ての遊星ねじローラ24の後ろ側のギヤ部29に噛み合わせながらねじ軸12の後端部に外嵌させ、キー等によりギヤ14をねじ軸12に対し回転不能に係止する。その後に、治具を遊星ねじローラ24から取り外す。
ねじ軸12上であってローラナット15の前方に配置したリングギヤ21を、回転方向における位置を合わせた後に大径孔部18内に圧入し、内歯23を前側のギヤ部28の外歯35に噛み合わせる。同様に、ローラナット15の後方に配置したリングギヤ22を、回転方向における位置を合わせた後に大径孔部19内に圧入し、内歯23を後ろ側のギヤ部29の外歯37に噛み合わせる。
その後、ねじ軸12上の前側のリテーナ38を、回転方向等における位置を合わせた後に後方へ押圧し、軸25の前端部を支持孔41内に圧入させる。また、後ろ側のリテーナ39を、回転方向等における位置を合わせた後に前方へ押圧し、軸25の後端部を支持孔42内に圧入させる。
このようにして、ねじ軸12と、ねじ軸12の周りに配設されて同ねじ軸12に螺合する複数の遊星ねじローラ24と、ねじ軸12及び遊星ねじローラ24を囲繞して遊星ねじローラ24に螺合するローラナット15とを備える所望の回転−直動変換機構11が得られる。
上記回転−直動変換機構11では、前側のギヤ部28がねじ部27に一体回転可能に設けられた第1実施形態とは異なり、各遊星ねじローラ24においてギヤ部28がねじ部27から分離されている。そのため、第1実施形態に比べ次の点で有利である。
第1実施形態では、ねじ部27に倒れ力が作用して、そのねじ部27がねじ軸12に対し傾斜すると、ギヤ部28もその影響を受けて傾斜し、軸25に片当りするおそれがある。特に、前側のギヤ部28では、外歯35に加え雄ねじ36が形成されていることから、これら外歯35及び雄ねじ36の交わっている箇所の分、前側のリングギヤ21の内歯23と当接する面積が少なっている。そのため、リングギヤ21がギヤ部28から受ける単位面積当りの応力がさらに大きくなり、トルク損失、摩耗等の点で不利である。
これに対し、第2実施形態では、ギヤ部28及びねじ部27間で力の伝達が行われない。そのため、ねじ部27に倒れ力が作用して、そのねじ部27がねじ軸12に対し傾斜したとしても、ギヤ部28はその影響を受けにくい。従って、ギヤ部28がねじ軸12に対し傾斜した状態となって軸25に片当りする現象が起こりにくくなる。また、ギヤ部28における雄ねじ36が割愛されていることから、同ギヤ部28とリングギヤ21の内歯23との接触面積が第1実施形態よりも増大し、その分、リングギヤ21がギヤ部28から受ける単位面積当りの応力が小さくなる。
従って、第2実施形態によると上述した(1)〜(5)の効果に加え、次の効果が得られる。
(6)各回転体26における前側のギヤ部28をねじ部27とは別部材により構成し、そのねじ部27から独立した状態で軸25上に回転可能に設けている。そのため、ねじ部27に倒れ力が作用してねじ軸12に対し傾斜したとしても、ギヤ部28がその影響を受けないようにし、ギヤ部28がねじ軸12に対し傾斜した状態となって軸25に片当りするのを抑制することができる。
(7)上記のように前側のギヤ部28をねじ部27から分離したことで、ギヤ部28をローラナット15の雌ねじ16に螺合させなくてもよくなったことから、そのギヤ部28の雄ねじ36(第1実施形態)を割愛している。そのため、ギヤ部28とリングギヤ21との接触面積を大きくし、リングギヤ21がギヤ部28から受ける単位面積当りの応力を小さくし、耐久性等の信頼性を向上させることができる。
(8)さらに、前側のギヤ部28をねじ部27から分離したことで、ねじ部27の雄ねじ34をローラナット15の雌ねじ16に螺合させた後に、ギヤ部28を軸25に取付けることができるようになり、遊星ねじローラ24の組付け順の自由度が増す。また、ねじ部27をローラナット15に螺合させた後にギヤ部28を軸25に取付けることから、ギヤ部28を雌ねじ16に螺合させる作業が不要となり、その分、遊星ねじローラ24の組付け作業が容易になる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態について、図9及び図10に従って説明する。
第3実施形態では、前後両リテーナ38,39において、軸25の圧入される支持孔41,42がねじ部27の倒れ方向へずれた箇所に設けられている。詳しくは、図9に示すように、軸線10に直交する仮想平面Pに両支持孔41,42を投影して見た場合、前側の支持孔41は後ろ側の支持孔42に対し、周方向かつ軸線10に近づく方向(内方)へずれた箇所に設けられている。両支持孔41,42に遊星ねじローラ24の軸25の前後両端部を圧入することで、その軸25は軸線10に対し、ねじ部27の歯すじに沿う方向Aへ傾斜している(図10参照)。この点、軸線10に直交する仮想平面Pに両支持孔41,42を投影して見た場合に両支持孔41,42が合致し、軸25が軸線10に対し平行となる第1実施形態(図4参照)と大きく異なっている。なお、説明の便宜上、図9では支持孔41の支持孔42に対するずれ量が誇張して描かれ、図10では、軸25の傾斜状態が誇張して描かれている。
上記の構成を有する回転−直動変換機構11では、遊星ねじローラ24の軸25が予めねじ軸12に対しねじ部27の雄ねじ34の歯すじに沿う方向Aへ傾斜しているため、倒れ力によりねじ部27が軸25に対し傾斜しようとしても、軸25に対しては傾斜しない、又は傾斜したとしてもその傾斜の度合いは小さい。そのため、遊星ねじローラ24におけるねじ部27が軸25に対し、部分的に強く当った状態、いわゆる片当りの状態が発生しにくい。
従って、第3実施形態によれば、上述した(1)〜(5)に加え次の効果が得られる。
(9)遊星ねじローラ24の軸25を、ねじ軸12に対し、ねじ部27の歯すじに沿う方向Aへ傾斜した状態で配置している。そのため、軸25においてねじ部27が強く当ることにより不具合、すなわち大きな応力が作用し、トルク損失が増大し、回転−直動の変換効率が低下する現象を抑制することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・関係式L1>L2+L3を満たすことを条件に小径孔部31の前後長さ(軸受長さL1)を変更してもよい。例えば、第1及び第3実施形態において、大径孔部32,33の一方又は両方の径を小径孔部31の径と同一にしてもよい。
・第2実施形態についても第3実施形態と同様にして、遊星ねじローラ24の軸25を、ねじ軸12に対し、ねじ部27の歯すじに沿う方向Aへ傾斜した状態で配置してもよい。この場合にも、第3実施形態と同様の効果が得られる。
・前記各実施形態において、遊星ねじローラ24の一部の軸25に代え、ピラー(支柱)によって前後両リテーナ38,39を補助的に連結する構成を採用してもよい。
・上記各実施形態とは逆に、ねじ軸12の回転運動をローラナット15の直線運動に変換するようにしてもよい。この場合には、ねじ軸12を回転可能かつ軸方向への変位不能とする一方、ローラナット15を回転不能かつ軸方向への変位可能とする。
・各遊星ねじローラ24の軸25はリテーナ38,39に必ずしも圧入固定されていなくてもよく、抜け落ち不能に支持されていればよい。従って、軸25はリテーナ38,39に対し相対回転し得るものであってもよい。
・第2実施形態において、前側のギヤ部28の雄ねじ36を割愛せず、同ギヤ部28を第1実施形態と同様の形態(外歯35+雄ねじ36)としてもよい。
・各実施形態において、遊星ねじローラ24として中空状(管状)をなすものを用いてもよい。
・リテーナ38,39として、ローラナット15の雌ねじ16よりも小径のものを用いてもよい。
本発明を具体化した第1実施形態における回転−直動変換機構の内部構造を示す縦断面図。 回転−直動変換機構の軸線に沿う面における縦断面図。 円環状に配列された複数の遊星ねじローラの側面図。 仮想平面Pにおける前後両リテーナの支持孔の位置関係を示す説明図。 リテーナによる遊星ねじローラの支持状態を示す部分断面図。 図5の遊星ねじローラの内部構造を示す部分断面図。 本発明を具体化した第2実施形態における遊星ねじローラの部分側面図。 図7の遊星ねじローラの内部構造を示す部分断面図。 本発明を具体化した第3実施形態において、仮想平面Pにおける前後両リテーナの支持孔の位置関係を示す説明図。 リテーナによる遊星ねじローラの支持状態を示す部分断面図。
符号の説明
10…軸線、11…回転−直動変換機構、12…ねじ軸、13,34,36…雄ねじ、15…ローラナット、16…雌ねじ、21,22…リングギヤ、23…内歯、24…遊星ねじローラ、25…軸、27…ねじ部、28,29…ギヤ部、35,37…外歯、38,39…リテーナ、A…方向。

Claims (7)

  1. 外周面に雄ねじを有するねじ軸と、前記ねじ軸を囲繞し、かつ内周面に雌ねじを有するローラナットと、前記雄ねじ及び前記雌ねじに螺合した状態で前記ねじ軸及び前記ローラナット間に介在されるとともに、両端部がそれぞれリテーナに支持される遊星ねじローラとを備え、前記ねじ軸及び前記ローラナットの一方の回転運動を、前記遊星ねじローラの自転及び公転を通じて他方の直線運動に変換する回転−直動変換機構であって、
    前記遊星ねじローラが、両端部において前記リテーナにより支持される軸と、前記ねじ軸の前記雄ねじ及び前記ローラナットの前記雌ねじに螺合する雄ねじを外周面に有し、かつ前記軸を中心として回転し得る筒状のねじ部とを備えることを特徴とする回転−直動変換機構。
  2. 前記軸の端部は前記リテーナに圧入されている請求項1に記載の回転−直動変換機構。
  3. 前記軸上であって前記ねじ部の近傍には、外周面に外歯を有するギヤ部が回転可能に設けられる一方、内周面に内歯を有するリングギヤが、その内歯を前記ギヤ部の外歯に噛み合わせた状態で前記ローラナットに固定されている請求項1又は2に記載の回転−直動変換機構。
  4. 前記ギヤ部は前記ねじ部に一体に設けられており、その外歯には、前記ローラナットの雌ねじに螺合し得る雄ねじが形成されている請求項3に記載の回転−直動変換機構。
  5. 前記ギヤ部は、前記ねじ部から分離した状態で設けられている請求項3に記載の回転−直動変換機構。
  6. 前記ギヤ部は、前記軸に取り外し可能に取付けられている請求項5に記載の回転−直動変換機構。
  7. 前記軸は、前記ねじ軸の軸線に対し、前記ねじ部の歯すじに沿う方向へ傾斜した状態で配置されている請求項1〜6のいずれか1つに記載の回転−直動変換機構。
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