JP2007186742A - 被覆部材 - Google Patents

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【課題】窒化硼素皮膜の耐摩耗性を維持した状態において、残留圧縮応力を低減させ、更に被覆部材の耐剥離性を改善することが可能な被覆部材を提供する。
【解決手段】基材表面に硼素、窒素、酸素からなる化合物皮膜を被覆した部材であり、該化合物皮膜は、非晶質窒化硼素内に結晶質窒化硼素が分散した組織構造を有し、硼素と酸素との結合を有し、且つ、該化合物皮膜の断面における結晶質窒化硼素の粒子の面積を、円の面積として置き換えた場合の直径である等価円直径として求めた場合、10nm未満であり、を特徴とする被覆部材である。
【選択図】図2

Description

本願発明は、窒化硼素を被覆した被覆部材に関する。
窒化硼素皮膜の残留圧縮応力を低減させるための改善検討が、以下の特許文献1から3に提案されている。
特開平8−11004号公報 特開2002−167205号公報 特開2005−297142号公報
特許文献1は、窒化硼素皮膜としてcBN、hBN、wBN、アモルファスBN等をTiN等の皮膜との2層により、基体との密着性を高めた例が、特許文献2は、窒化硼素皮膜そのものの残留圧縮応力を低減させ、特許文献3は、2層の例が開示されている。本願発明は、窒化硼素皮膜の耐摩耗性を維持した状態において、残留圧縮応力を低減させ、更に被覆部材の耐剥離性を改善することが可能な被覆部材を提供することである。
本願発明は、基材表面に硼素、窒素、酸素からなる化合物皮膜を被覆した部材であり、該化合物皮膜は、非晶質窒化硼素内に結晶質窒化硼素が分散した組織構造を有し、硼素と酸素との結合を有し、且つ、該化合物皮膜の断面における結晶質窒化硼素の粒子の面積を、円の面積として置き換えた場合の直径である等価円直径として求めた場合、10nm未満であり、を特徴とする被覆部材である。上記の構成を採用することによって、窒化硼素の優れた特性を害することなく、該化合物皮膜の残留圧縮応力を低減させ、更に被覆部材の耐剥離性を改善することが可能な被覆部材を提供することができる。
本願発明の化合物皮膜は、結晶質窒化硼素が六方晶及び/又は立方晶の結晶構造を有することが好ましい。また、化合物皮膜の硼素が酸化物として存在するとき、質量%で0.3%以上、10%未満であることや、硼素が単体として存在するとき、1%以上、25%未満であることが好ましい。基材と化合物皮膜との中間にA層を有し、該A層は周期律表4a、5a、6a族元素、Al、Siから選ばれる1種以上の元素の窒化物、酸化物、硼化物、硫化物、炭化物の何れか又はそれらの固溶体又は混合物からなることが好ましい。更に、化合物皮膜とA層とを2層以上、5000層未満の範囲で交互に積層することが、より好ましい。
本願発明の被覆部材は、窒化硼素皮膜の耐摩耗性を維持した状態において、残留圧縮応力を低減させ、更に被覆部材の耐剥離性を改善することが可能な被覆部材を提供することができた。その結果、被覆部材の耐剥離性の改善によって、生産性向上、並びにコスト低減に極めて有効となった。
窒化硼素は硬質で耐熱性に優れていること、鉄との反応性が低いことから焼入れ鋼などの材料加工用途の切削工具として有望である。窒化硼素を主体とした皮膜は、例えば物理蒸着(以下、PVDと言う。)法による成膜においては、イオン衝撃等、被覆条件による残留応力、及び基材との熱的な歪みが加わることによる残留応力が発生する。特に前者の残留応力が支配的であり、極めて高い残留圧縮応力が皮膜内部に発生し、成膜後に放置すると剥離が発生する。また、耐摩耗皮膜として使用後、早期に剥離が発生する場合が多い。従って、窒化硼素を被覆した被覆部材にについて、被覆部材の耐剥離性を改善することが本願発明の目的である。
本願発明の被覆部材は、硼素、窒素、酸素からなる化合物皮膜を被覆した部材である。従って、例えば、残部が不可避的に混入した炭素、ナトリウム、カルシウム、タングステン等を含む場合もある。更に、化合物皮膜は非晶質窒化硼素内に結晶質窒化硼素が分散した組織構造を有する。言い換えると、マトリックス相としての非晶質窒化硼素が分散相の結晶質窒化硼素を取り囲む組織構造で構成することが本願発明の重要な改善点である。これらの組織構造から構成される場合、高硬度を有しながら、残留圧縮応力を低減させる効果を有する。これは非晶質窒化硼素が転移の進展を抑制し、その結果として残留圧縮応力を緩和するためである。また、硼素と酸素との結合を有することにより残留圧縮応力を緩和して耐剥離性を改善させる。この構成により、摩耗環境下において、窒化硼素の特性を十分に発揮しながら、同時に耐剥離性を改善することができる。ここで、化合物皮膜が非晶質窒化硼素内に結晶質窒化硼素が分散した組織構造を有する状態とは、化合物皮膜の断面組織において、結晶質窒化硼素が占有する領域の総面積をP、非晶質窒化硼素が占有する領域の総面積をQとしたとき、P<Q、を満足する状態であると言うことが出来る。この組織構造を確認するためには、皮膜断面を透過電子顕微鏡によって観察することが有効である。
本願発明の被覆部材は、結晶質窒化硼素の粒子の等価円直径が10nm未満を満足する場合、特に被覆部材の耐摩耗性改善に有効である。非晶質窒化硼素内に分散した結晶質窒化硼素の粒子の等価円直径が10nmを超える場合、結晶質窒化硼素内の残留圧縮応力が十分緩和されない場合がある。そのため耐剥離性が低下する傾向にあり不都合である。
本願発明の化合物皮膜における結晶質窒化硼素の結晶構造が、六方晶(以下、hcpと言う。)及び/又は面心立方晶(以下、fccと言う。)である場合、特に耐摩耗性の改善に有効である。結晶質窒化硼素の結晶構造がhcpの場合、潤滑性改善に有効である。また、fccの場合、耐摩耗に有効であり被覆部材の寿命が向上する。hcpとfccとが共存する場合は、これらの中間的特性を示す。特に結晶質窒化硼素の結晶構造のうち、fccよりもhcpの占める割合が高い場合、被覆部材の潤滑性改善、耐摩耗性改善に有効である。より具体的な窒化硼素内の結晶質窒化硼素の比率は、hcpが60%以上、97%以下、残部がfccから構成される場合が最適な比率である。
本願発明の化合物皮膜の窒化硼素内に硼素が酸化物として、質量%で、0.3%以上、10%未満存在する場合、特に残留圧縮応力の緩和に有効であり耐剥離性を改善することができるため、好ましい。一方、硼素の酸化物が0.3%未満の場合、酸素が残留圧縮応力低減に有効な作用がない。また、10%以上存在する場合には、化合物皮膜の強度が低下する傾向にあり好ましくない。硼素の結合状態を確認する方法は、X線光電子分光分析が有効である。
本願発明の化合物皮膜の窒化硼素内に硼素が単体として、質量%で、1%以上、25%未満存在することも窒化硼素層の残留圧縮応力の低減に有効である。一方、硼素の単体が1%未満の場合、残留圧縮応力低減に有効に作用しない場合が確認される。また、25%以上存在する場合には、皮膜の強度が低下する傾向にあり好ましくない。
本願発明の被覆部材は、基材と化合物皮膜との中間にA層を有し、該A層は周期律表4a、5a、6a族元素、Al、Siから選ばれる1種以上の元素の窒化物、酸化物、硼化物、硫化物、炭化物の何れか又はそれらの固溶体又は混合物からなる場合、好ましい。A層は基材と化合物皮膜との密着性を改善すること、化合物皮膜の特性を補完することができる。例えば、耐熱性に優れた層をA層に採用することにより、耐熱性と本発明の化合物皮膜の両特性を満足する皮膜特性が得られる。またA層は必ずしも上記元素から選択される1層である必要も無く、組成が異なる複数の層を積層することも可能であり耐摩耗性を改善することが可能であり好ましい。特に好ましいA層は、例えば(AlTi)N、(AlTiSi)N、(TiSi)N、(AlCr)N、(AlCrSi)N等が挙げられる。更に、化合物皮膜とA層とを交互に2層以上、5000層未満の範囲で積層することも耐摩耗性、耐剥離性改善の観点から好ましい。各層の層厚としては、2nm以上、2μm未満の範囲において積層効果が確認される。5000層を超えると耐剥離性が低下する傾向にあるため、不都合である。
本願発明の被覆部材の基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス等が挙げられ、何れも本願発明の効果が確認できることから、好適である。被覆部材は、切削工具が好ましく、耐摩耗性の改善効果が顕著に確認できる。切削工具としては、エンドミル、ドリル、刃先交換式工具、リーマ、ルーター、プリント基板用小径ドリル等が挙げられる。特に工具刃部直径が1mm未満の小径回転工具に有効である。本願発明の皮膜を被覆する手段としては、特に限定するものではないがPVD法としてスパッタリング法、フィルター方式アークイオンプレーティング法、電子ビーム方式イオンプレーティング法が挙げられる。化学蒸着(以下、CVDと言う。)法として、プラズマCVD法がある。その他、RF、ECR、レーザアブレーション、マイクロ波などによるグロー放電プラズマのもとで成膜する方法により被覆することができる。以下、本願発明を実施例に基づいて説明する。
本発明例1として、窒化硼素を主体とした化合物皮膜の組織構造を評価するための基材として、Co:8重量%、Cr:0.5重量%、VC:0.2重量%、硬さがHRA94.2の微粒子超硬合金製のインサートを用いた。上記インサートの脱脂洗浄を十分に実施した後に、高周波バイアス電源及び高周波スパッタリング電源を有した成膜装置内の冶具に配置した。窒化硼素ターゲットは、スパッタリング蒸発源に設置した。窒化硼素以外の皮膜を同時に積層する場合は、別のスパッタリング蒸発源に設置した。装置内に設置した冶具は3回転/分で自公転する。成膜装置内を3×10−4Paまで真空排気し、基材温度が500℃となるよう加熱及び排気を行った。次に、Arガスを成膜装置内に導入し、カソード電極とアノード電極の間で放電することによりArガスのイオン化を行った。このとき基材にパルス状のバイアス電圧を印加した。このパルス状のバイアス電圧は、負バイアス電圧が200V、90%、正バイアス電圧が0V、10%、パルス周期は20kHzとした。イオン化されたArイオンは被覆基材に衝突し、基材のクリーニング及び活性化処理を行う。このとき、基材のクリーニング効率や活性度をより高めるためにXe、Kr、H等のガスを複合的に用いることも有効である。Ar及び/又は必要に応じその他のガスを容器内に導入し、全体の圧力を700mPa、バイアス電圧を−250V、基材温度を650℃に設定した。容器内に複数配置したスパッタリング蒸発源のうち、2台に窒化硼素ターゲットを装着した。夫々4kWの電力を供給し、スパッタリング放電を発生させ、高周波バイアス電圧が印加された被覆基材上に総厚約1μmの皮膜を被覆した。このとき、必要に応じ中間層としてのA層を形成することも可能であり、好ましい形態である。N、C、O、S、B等を窒化硼素皮膜内に含有させる手段は、成膜時の導入ガスの圧力レベル、窒素との混合ガスとして添加することも可能である。実施例により作成した試料は、窒化硼素ターゲット内に酸素が数百ppmオーダーで含まれているものを用いており、成膜中に酸素ガスの添加は行ってない。
本発明例1の組織構造を確認するために日本電子製、JEM−2010F型電解放射型透過電子顕微鏡を用い、加速電圧200kVで格子像の観察を実施した。皮膜の結晶構造を確認するために、制限視野回折像の撮影を行った。このときカメラ長を50cm、制限視野領域を140nmに設定した。また微小部であるナノ領域の結晶構造を確認するために極微電子線回折をカメラ長50cm、ビーム径1nmの条件のもと実施した。本発明例1の直径140nm領域の制限視野回折像を図1に示す。図1より、本発明例1の皮膜内には、非晶質相と結晶質相が混在した組織構造であることがわかる。結晶質相を明確にするために、格子像の観察を実施した。その結果を図2に示す。図2より、窒化硼素層には、部分的に、非晶質窒化硼素のマトリックス相内に等価円直径が10nm未満の格子縞が観察され、これらが結晶質窒化硼素であると考えられる。図2中の格子縞が認められない領域及び、格子縞が認められる領域に対応した極微電子線回折より、TEM像において部分的に格子縞が確認される領域は、図1に示す広域の電子線回折パターンからも、hcp構造の窒化硼素を含んでいるものと考えられる。また、回折パターンから非晶質に近い構造であると考えられる。一方、TEM像において格子縞が確認されない領域は、極微電子線回折から非晶質構造であった。従って、本発明例1は非晶質窒化硼素内に結晶質窒化硼素が分散した構造である。この他に、非晶質窒化硼素内にhcp窒化硼素及び/又はfcc窒化硼素が分散した組織構造、非晶質窒化硼素とfcc窒化硼素内にhcp窒化硼素が分散した組織構造、又は非晶質窒化硼素とhcp窒化硼素内にfcc窒化硼素が分散した組織構造、であっても本願発明の効果が得られる。結晶質窒化硼素の粒子における等価円直径の確認は、透過電子顕微鏡写真から実測した。
本発明例1の窒化硼素を主体とした化合物皮膜の組織構造を明確にするため、PHI社製Quantum2000型の走査型X線光電子分光装置により、構成元素の定性及び硼素の結合状態について解析を実施した。測定条件は、X線源をAl−Kα(モノクロ)を用い、分析領域を直径100μm、電子中和銃を使用した。これらの条件で測定したワイドスペクトルを図3に示す。図3より、本発明例1の窒化硼素を主体とした化合物皮膜内には、硼素、窒素、酸素を含んでいることがわかる。その他、不可避的に混入した元素を含んでいる。図4にB元素の1s軌道に帰属したスペクトルを示す。図5にこのスペクトルを分離したものを示す。図5より、本発明例1の窒化硼素を主体とした化合物皮膜内の硼素は、窒素、酸素との結合、メタリックな硼素同士の結合が存在し、それぞれの面積比は、窒素が約69%、酸素が約3%、メタリックな硼素が約28%存在していることがわかる。
本願発明の被覆部材の耐摩耗性を評価するために、切削試験用工具として、超硬合金製の2枚刃ボールエンドミルも同時に装填し、被覆した。この2枚刃ボールエンドミルは、R5mmである。基材組成は、Co:7重量%、Cr:0.7重量%、VC:0.2重量%、硬さ、HRA94.1とした。本発明例1の被覆条件に概ね準拠した皮膜を作成し、本発明例2から17を作成した。被覆条件は、製膜時の混合ガス圧力、バイアス電圧、スパッタリング蒸発源の電力等の条件に種々の変更を施した。比較例18、19は、本発明例1の被覆条件に概ね準拠し、製膜時のガス圧力、バイアス電圧、スパッタリング蒸発源の電力等の条件に種々の変更を施した。中間層の被覆方法はAIP法のほかに、スパッタリング法、プラズマCVD法等により被覆することができる。
本発明例2〜比較例19を用い、逃げ面摩耗幅が0.1mmに達した切削長又は不安定な加工状態として、例えば火花発生、異音、加工面のむしれ、焼け、折損等などの状態に達した切削長を切削寿命とした。表1は、10m未満を切り捨てて表示した。
(切削条件)
切削方法:高速仕上げ加工
被削材:SUS304
切り込み:軸方向、1.0mm、径方向、0.5mm
主軸回転数:18kmin−1
テーブル送り:4m/min
切削油:無し、ドライ切削
本発明例2、本発明例3は、非晶質窒化硼素をマトリックス相としhcpの窒化硼素が分散した構造であり、本発明例4は、非晶質窒化硼素をマトリックス相としhcp及びfccの窒化硼素が分散した構造であった。本発明例3、4は比較例に比べて剥離による異常摩耗が抑制され、その結果、優れた耐摩耗性を発揮した。本発明例5は、硼素が酸化物として、0.2%存在する場合を示す。硼素が酸化物として0.3%以上存在することが潤滑性の観点から好ましかった。本発明例6は、硼素と酸素との結合比率が11%、本発明例7は、硼素と酸素との結合比率が14%、本発明例8は、硼素と酸素との結合比率が9%である場合を示す。硼素が酸化物として10%未満存在する場合の方がより好ましい結果となった。本発明例9は、A層にTiN層を2μm被覆した後に、本発明例2と同様の窒化硼素主体の化合物皮膜を被覆した場合を示す。本発明例10は、A層のTiNと本発明例2の窒化硼素主体の化合物皮膜とを交互に100層積層した場合を示す。本発明例11は、(TiAl)N層をA層とした場合を示す。本発明例12は、A層の(TiAl)N層と本発明例2の窒化硼素主体の化合物皮膜とを交互に1000層被覆した場合を示す。本発明例13は、(TiAl)N層を被覆後、(TiSi)N層を被覆し、その上層に本発明例2の窒化硼素主体の化合物皮膜を積層した場合を示す。本発明例14は、A層に(AlCr)N層を被覆した場合を示す。本発明例15は、A層に(AlCrSi)N層を被覆した場合を示す。本発明例16は、A層にTi(CN)層を被覆した場合を示す。本発明例17は、A層に(TiAlSi)N層を被覆した場合を示す。上記の本発明例9から17の様に、A層を用いることにより耐摩耗性が改善され、より好ましい層構造の形態となり、耐摩耗性に優れていた。
比較例18は、非晶質窒化硼素をマトリックス相とし、hcp窒化硼素が分散した組織構造であり、分散したhcp窒化硼素の粒子の等価円直径が10nm以上の場合を示す。これより、10nm未満の構造が必要であることがわかった。比較例19は、非晶質相を含まない組織構造とした。比較例19は、窒化硼素皮膜が剥離することにより、窒化硼素そのものの耐摩耗効果が殆ど確認できなかった。
図1は、本発明例1の直径140nm領域の制限視野回折像を示す。 図2は、本発明例1の透過電子顕微鏡写真を示す。 図3は、本発明例1のX線光電子分光分析によるワイドスペクトルを示す。 図4は、図3のうちB元素の1s軌道に帰属したスペクトルを示す。 図5は、図3のスペクトルを分離した結果を示す。

Claims (5)

  1. 基材表面に硼素、窒素、酸素からなる化合物皮膜を被覆した部材であり、該化合物皮膜は、非晶質窒化硼素内に結晶質窒化硼素が分散した組織構造を有し、硼素と酸素との結合を有し、且つ、該化合物皮膜の断面における結晶質窒化硼素の粒子の面積を、円の面積として置き換えた場合の直径である等価円直径として求めた場合、10nm未満であり、を特徴とする被覆部材。
  2. 請求項1記載の被覆部材において、該化合物皮膜の硼素が酸化物として存在し、質量%で0.3%以上、10%未満であることを特徴とする被覆部材。
  3. 請求項1又は2記載の被覆部材において、該化合物皮膜の硼素が単体として存在し、質量%で1%以上、25%未満であることを特徴とする被覆部材。
  4. 請求項1乃至3何れかに記載の被覆部材において、該基材と該化合物皮膜との中間にA層を有し、該A層は周期律表4a、5a、6a族元素、Al、Siから選ばれる1種以上の元素の窒化物、酸化物、硼化物、硫化物、炭化物の何れか、又はそれらの固溶体又は混合物からなることを特徴とする被覆部材。
  5. 請求項4記載の被覆部材において、該化合物皮膜と該A層とを2層以上、5000層未満の範囲で交互に積層したことを特徴とする被覆部材。
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